(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173561
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】自動ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 7/22 20060101AFI20231130BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20231130BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E06B7/22 B
E06B3/46
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085896
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】501013156
【氏名又は名称】フルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【弁理士】
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】馬場 良治
(72)【発明者】
【氏名】原田 博和
(72)【発明者】
【氏名】亀井 哲郎
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FA06
2E014FB05
2E014FB11
2E014FC02
2E036AA02
2E036AA04
2E036BA01
2E036CA00
2E036DA02
2E036DA09
2E036EB02
2E036EB07
2E036EC01
2E036EC03
2E036GA03
2E036GA07
2E036HB02
2E239CA02
2E239CA12
2E239CA29
2E239CA47
2E239CA54
2E239CA57
2E239CA66
(57)【要約】
【課題】 遮煙性能を向上することができる自動ドアを提供する。
【解決手段】 自動ドア10は、ドア20および方立31の間の隙間からの煙の流出を遮る戸尻遮煙部200と、ドア20および縦枠40との間の隙間からの煙の流出を遮る戸先遮煙部300とを備え、戸尻遮煙部200は、方立31に設けられて無機繊維によって形成された気密材201と、ドア20に設けられた押し付け部204とを備え、気密材201は、押し付け部204が押し付けられる被押し付け部201aに弾性を有し、戸先遮煙部300は、ドア20に設けられて無機繊維によって形成された気密材301と、縦枠40に設けられて無機繊維によって形成された気密材303とを備え、気密材301は、気密材303が押し付けられる被押し付け部301bに弾性を有し、気密材303は、気密材301が押し付けられる被押し付け部303bに弾性を有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアと、前記ドアの近傍の部分であるドア近傍部との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部を備え、
前記遮煙部は、
前記ドアおよび前記ドア近傍部の一方に設けられた気密材と、
前記ドアおよび前記ドア近傍部の他方に設けられて、前記気密材に押し付けられる押し付け部と
を備え、
前記気密材は、無機繊維によって形成されており、前記押し付け部が押し付けられる部分である被押し付け部に弾性を有することを特徴とする自動ドア。
【請求項2】
前記気密材は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって、前記被押し付け部に弾性を有することを特徴とする請求項1に記載の自動ドア。
【請求項3】
前記気密材は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有する突出部を備え、
前記突出部は、前記ドアの延在方向に交差する方向に前記押し付け部が押し付けられる前記被押し付け部を備えることを特徴とする請求項2に記載の自動ドア。
【請求項4】
前記押し付け部は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって、前記被押し付け部に押し付けられる部分に弾性を有することを特徴とする請求項3に記載の自動ドア。
【請求項5】
前記気密材は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有する突出部を備え、
前記突出部は、前記ドアの延在方向に交差する方向に前記押し付け部が押し付けられる前記被押し付け部を備え、
前記突出部は、前記ドアの延在方向に交差する方向において前記押し付け部の両側に配置されることを特徴とする請求項2に記載の自動ドア。
【請求項6】
前記気密材は、無機繊維によって形成された、ブランケット状の部材であることを特徴とする請求項1に記載の自動ドア。
【請求項7】
前記気密材は、前記ドア近傍部に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の自動ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙の流出を抑えることができる自動ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気密材としてゴムが使用されることによって、煙の流出を抑えることができるドアが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のドアにおいては、気密材としてゴムが使用されているので、火災の際に気密材が燃えて隙間が発生する可能性があり、隙間が発生した場合には、この隙間から煙が外に出てしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、遮煙性能を向上することができる自動ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動ドアは、ドアと、前記ドアの近傍の部分であるドア近傍部との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部を備え、前記遮煙部は、前記ドアおよび前記ドア近傍部の一方に設けられた気密材と、前記ドアおよび前記ドア近傍部の他方に設けられて、前記気密材に押し付けられる押し付け部とを備え、前記気密材は、無機繊維によって形成されており、前記押し付け部が押し付けられる部分である被押し付け部に弾性を有することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の自動ドアは、気密材が無機繊維によって形成されているので、火災の際に気密材が燃える可能性を低減することができ、その結果、火災の際に煙が外に出ることを気密材によって防止する可能性を向上することができる。したがって、本発明の自動ドアは、遮煙性能を向上することができる。
【0008】
本発明の自動ドアにおいて、前記気密材は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって、前記被押し付け部に弾性を有しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の自動ドアは、無機繊維によって形成されたブランケット状の部材が気密材として使用される構成と比較して、気密材が摩耗し難いので、遮煙部の耐久性を向上することができる。
【0010】
本発明の自動ドアにおいて、前記気密材は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有する突出部を備え、前記突出部は、前記ドアの延在方向に交差する方向に前記押し付け部が押し付けられる前記被押し付け部を備えても良い。
【0011】
この構成により、本発明の自動ドアは、ドアと、ドア近傍部との間の隙間を気体が流れようとする場合に、この気体の流れによって気密材の突出部が押されて、その被押し付け部が押し付け部に密着するので、気密性を向上することができる。
【0012】
本発明の自動ドアにおいて、前記押し付け部は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって、前記被押し付け部に押し付けられる部分に弾性を有しても良い。
【0013】
この構成により、本発明の自動ドアは、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有するもの同士が押し付け合うことによって密着するので、気密性を向上することができる。
【0014】
本発明の自動ドアにおいて、前記気密材は、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有する突出部を備え、前記突出部は、前記ドアの延在方向に交差する方向に前記押し付け部が押し付けられる前記被押し付け部を備え、前記突出部は、前記ドアの延在方向に交差する方向において前記押し付け部の両側に配置されても良い。
【0015】
この構成により、本発明の自動ドアは、ドアの延在方向に交差する方向にドアが僅かに移動した場合であっても、押し付け部の両側の突出部の少なくとも一方の被押し付け部が押し付け部に密着するので、気密性を向上することができる。
【0016】
本発明の自動ドアにおいて、前記気密材は、無機繊維によって形成された、ブランケット状の部材であっても良い。
【0017】
この構成により、本発明の自動ドアは、無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有するものが気密材として使用される構成と比較して、組み立て作業を容易化することができる。
【0018】
本発明の自動ドアにおいて、前記気密材は、前記ドア近傍部に設けられていても良い。
【0019】
この構成により、本発明の自動ドアは、開閉時に移動するドアに気密材が設けられる構成と比較して、ドアの開閉時に気密材に加わる振動を低減することができるので、遮煙部の耐久性を向上することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の自動ドアは、遮煙性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】片引きタイプである場合の本発明の一実施の形態に係る自動ドアの正面図である。
【
図2】
図1に示す自動ドアの一部の平面断面図である。
【
図3】
図1に示す自動ドアの一部の左側面断面図である。
【
図4】
図3に示す上部遮煙部の近傍の左側面断面図である。
【
図5】上部遮煙部の気密材およびストッパーを表した状態での、
図1に示す自動ドアの一部の平面図である。
【
図7】
図2に示す戸尻遮煙部の近傍の平面断面図である。
【
図8】戸尻遮煙部の気密材およびストッパーを表した状態での、
図1に示す自動ドアの一部の右側面断面図である。
【
図9】
図2に示す戸先遮煙部の近傍の平面断面図である。
【
図10】ドアの溝内に配置されていない状態での
図9に示す気密材の外観斜視図である。
【
図11】下部遮煙部の気密材を表した状態での
図1に示すドアの一部の平面断面図である。
【
図12】
図4に示す上部遮煙部とは異なる上部遮煙部の近傍の左側面断面図である。
【
図13】
図4に示す上部遮煙部と、
図12に示す上部遮煙部とのいずれとも異なる上部遮煙部の近傍の左側面断面図である。
【
図14】
図4に示す上部遮煙部と、
図12に示す上部遮煙部と、
図13に示す上部遮煙部とのいずれとも異なる上部遮煙部の近傍の左側面断面図である。
【
図15】ストッパーによる
図13に示す気密材の固定方法を説明するための斜視図である。
【
図16】(a)
図7に示す戸尻遮煙部とは異なる戸尻遮煙部の近傍の平面断面図である。 (b)
図7に示す戸尻遮煙部と、
図16(a)に示す戸尻遮煙部とのいずれとも異なる戸尻遮煙部の近傍の平面断面図である。 (c)
図7に示す戸尻遮煙部と、
図16(a)に示す戸尻遮煙部と、
図16(b)に示す戸尻遮煙部とのいずれとも異なる戸尻遮煙部の近傍の平面断面図である。
【
図17】(a)
図9に示す戸先遮煙部とは異なる戸先遮煙部の近傍の平面断面図である。 (b)
図9に示す戸先遮煙部と、
図17(a)に示す戸先遮煙部とのいずれとも異なる戸先遮煙部の近傍の平面断面図である。
【
図18】引分けタイプである場合の本発明の一実施の形態に係る自動ドアの正面図である。
【
図20】(a)
図19に示す戸先遮煙部の近傍の平面断面図である。 (b)
図20(a)に示す戸先遮煙部とは異なる戸先遮煙部の近傍の平面断面図である。 (c)
図20(a)に示す戸先遮煙部と、
図20(b)に示す戸先遮煙部とのいずれとも異なる戸先遮煙部の近傍の平面断面図である。
【
図21】
図14に示す上部遮煙部の変形例を示す、上部遮煙部の近傍の左側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
まず、本実施の形態に係る自動ドアの構成について説明する。
【0024】
図1は、片引きタイプである場合の本実施の形態に係る自動ドア10の正面図である。
図2は、
図1に示す自動ドア10の一部の平面断面図である。
図3は、
図1に示す自動ドア10の一部の左側面断面図である。
【0025】
図1~
図3に示す自動ドア10は、矢印10aで示す左右方向に開閉可能な建具であるドア20と、固定された建具であるフィックス30と、ドア20に対して戸先側に配置されて矢印10bで示す上下方向に延在している縦枠40と、ドア20に対して戸尻側に配置されて矢印10bで示す上下方向に延在している縦枠50と、上部に配置された無目60と、床90に設置された、矢印10aで示す左右方向に延在する図示していないガイドレールと、無目60の屋内側および屋外側のそれぞれに取り付けられて物体を検知するためのセンサー70と、無目60内に収納されていてドア20を駆動するための駆動装置80と、無目60内に収納されていて駆動装置80を制御するための図示していない制御装置とを備えている。
図1~
図3に示す自動ドア10は、火災の際に炎が外に出ることを防止することができ、例えば防火設備や特定防火設備として機能することができる。
【0026】
ドア20は、上部に配置された上框21と、下部に配置された下框22と、戸尻側に配置された戸尻框23と、戸先側に配置された戸先框24と、上框21、下框22、戸尻框23および戸先框24によって固定されたガラス25と、下框22に固定されて、ドア20の延在方向に直交する方向、すなわち、矢印10cで示す前後方向へのドア20の振れを止めるためにガイドレール内に収納される振れ止め26とを備えている。戸先框24は、矢印10bで示す上下方向に延在している溝24aが形成されている。溝24aは、ドア20の戸尻から戸先に向かう方向と同一の方向に開口している。
【0027】
フィックス30は、方立31と、下部に配置された下枠32と、方立31、下枠32および縦枠50によって固定されたガラス33とを備えている。方立31は、矢印10bで示す上下方向に延在している溝31aが形成されている。溝31aは、ドア20の戸先から戸尻に向かう方向と同一の方向に開口している。
【0028】
縦枠40は、それぞれ矢印10bで示す上下方向に延在している溝40aおよび溝40bが形成されている。溝40aおよび溝40bは、それぞれ、ドア20の戸先から戸尻に向かう方向と同一の方向に開口している。
【0029】
無目60は、矢印10aで示す左右方向に延在している溝60aが形成されている。溝60aは、上側が開口している。
【0030】
駆動装置80は、矢印10aで示す左右方向に延在しているレール81と、ドア20の上框21に固定されているブラケット82と、ブラケット82に回転可能に支持されていてレール81に沿って移動するローラー83とを備えている。
【0031】
自動ドア10は、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部100と、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部200と、ドア20の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部300と、ドア20の下部における煙の流出を遮る下部遮煙部400とを備えている。
【0032】
図4は、上部遮煙部100の近傍の左側面断面図である。
図5は、上部遮煙部100の気密材101およびストッパー102、103を表した状態での、
図1に示す自動ドア10の一部の平面図である。
図6は、ドア20の一部の斜視図である。
【0033】
図3~
図6に示すように、上部遮煙部100は、無目60の溝60a内に配置されている気密材101と、溝60a内から気密材101が抜け出ることを防止するためのストッパー102およびストッパー103と、ドア20の上框21の一部であって気密材101に押し付けられる押し付け部104とを備えている。上部遮煙部100は、ドア20と、ドア20の近傍の部分(以下「ドア近傍部」という。)としての無目60との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。
【0034】
気密材101は、アルカリアースシリケート(AES)などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、ブランケット状の部材である。気密材101は、矢印10aで示す左右方向に延在している。気密材101は、押し付け部104が押し付けられる部分である被押し付け部101aを備えている。気密材101は、無目60にストッパー102およびストッパー103が配置されている状態で、無目60の溝60a外から溝60a内に向けてストッパー102およびストッパー103を乗り越えるように押し込まれることによって、溝60a内に固定される。気密材101は、ブランケット状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材101は、押し付け部104が押し付けられた場合に、気密材101自身の弾性力によって押し付け部104を押し返すことによって、押し付け部104と密着する。
【0035】
ストッパー102は、矢印10aで示す左右方向に延在している。ストッパー102は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー102は、例えば、矢印10aで示す左右方向に並んで配置された複数のネジ102aによって無目60に固定されても良いし、溶接など、ネジ以外の固定方法によって無目60に固定されても良い。
【0036】
ストッパー103は、矢印10cで示す前後方向においてストッパー102に対向して設けられていて、矢印10aで示す左右方向に延在している。ストッパー103は、無目60の溝60aを形成する部材の一部の潰し曲げによって形成されている。
【0037】
押し付け部104は、ドア20の上框21を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されていても良い。
【0038】
図7は、戸尻遮煙部200の近傍の平面断面図である。
図8は、戸尻遮煙部200の気密材201およびストッパー202、203を表した状態での、
図1に示す自動ドア10の一部の右側面断面図である。
【0039】
図2および
図6~
図8に示すように、戸尻遮煙部200は、上部遮煙部100(
図4参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、戸尻遮煙部200は、方立31の溝31a内に配置されている気密材201と、溝31a内から気密材201が抜け出ることを防止するためのストッパー202およびストッパー203と、ドア20の戸尻框23の一部であって気密材201に押し付けられる押し付け部204とを備えている。戸尻遮煙部200は、ドア20と、ドア近傍部としての方立31との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。
【0040】
気密材201は、アルカリアースシリケート(AES)などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、ブランケット状の部材である。気密材201は、矢印10bで示す上下方向に延在している。気密材201は、押し付け部204が押し付けられる部分である被押し付け部201aを備えている。気密材201は、方立31にストッパー202およびストッパー203が配置されている状態で、方立31の溝31a外から溝31a内に向けてストッパー202およびストッパー203を乗り越えるように押し込まれることによって、溝31a内に固定される。気密材201は、ブランケット状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材201は、押し付け部204が押し付けられた場合に、気密材201自身の弾性力によって押し付け部204を押し返すことによって、押し付け部204と密着する。
【0041】
ストッパー202は、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー202は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー202は、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ202aによって方立31に固定されても良いし、溶接など、ネジ以外の固定方法によって方立31に固定されても良い。
【0042】
ストッパー203は、矢印10cで示す前後方向においてストッパー202に対向して設けられていて、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー203は、方立31を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されている。
【0043】
押し付け部204は、ドア20の戸尻框23を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されていても良い。
【0044】
図9は、戸先遮煙部300の近傍の平面断面図である。
【0045】
図2および
図9に示すように、戸先遮煙部300は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材301と、溝24a内から気密材301が抜け出ることを防止するためのストッパー302と、縦枠40の溝40a内に配置されている気密材303と、溝40a内から気密材303が抜け出ることを防止するためのストッパー304とを備えている。ここで、気密材301および気密材303の一方にとって、他方は、押し付け部を構成している。戸先遮煙部300は、ドア20と、ドア近傍部としての縦枠40との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。
【0046】
図10は、ドア20の溝24a内に配置されていない状態での気密材301の外観斜視図である。
【0047】
気密材301は、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。
図10に示すように、気密材301は、ドア20の溝24a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。
【0048】
図2および
図9に示すように、気密材301は、矢印10bで示す上下方向に延在している。矢印10bで示す上下方向における気密材301の長さは、矢印10bで示す上下方向における戸先框24の長さと同一である。気密材301は、ドア20の戸尻から戸先に向かう方向と同一の方向に突出していてストッパー302によって直接固定されていない突出部301aを備えている。突出部301aは、気密材303が押し付けられる部分である被押し付け部301bを備えている。突出部301aは、布状の部材がU字状に曲がるように形成されているので、矢印10cで示す前後方向に弾性を有する。したがって、突出部301aは、矢印10cで示す前後方向に気密材303が押し付けられた場合に、突出部301a自身の弾性力によって気密材303を押し返すことによって、気密材303と密着する。
【0049】
ストッパー302は、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー302は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー302は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材301の一部を戸先框24と挟み込んだ状態で、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ302aによって戸先框24に固定されることによって、気密材301を溝24a内に固定しても良い。
【0050】
気密材303は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材303は、気密材301と同様に、縦枠40の溝40a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材303は、矢印10bで示す上下方向に延在している。矢印10bで示す上下方向における気密材303の長さは、矢印10bで示す上下方向における気密材301の長さと同一である。気密材303は、矢印10bで示す上下方向に直交する方向において気密材301に対向するように設置されている。気密材303は、ドア20の戸先から戸尻に向かう方向と同一の方向に突出していてストッパー302によって直接固定されていない突出部303aを備えている。突出部303aは、気密材301が押し付けられる部分である被押し付け部303bを備えている。突出部303aは、布状の部材がU字状に曲がるように形成されているので、矢印10cで示す前後方向に弾性を有する。したがって、突出部303aは、矢印10cで示す前後方向に気密材301が押し付けられた場合に、突出部303a自身の弾性力によって気密材301を押し返すことによって、気密材301と密着する。
【0051】
ストッパー304は、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー304は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー304は、縦枠40の溝40a内に配置されている気密材303の一部を縦枠40と挟み込んだ状態で、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ304aによって縦枠40に固定されることによって、気密材303を溝40a内に固定する。
【0052】
図11は、下部遮煙部400の気密材401を表した状態でのドア20の一部の平面断面図である。
【0053】
図3および
図11に示すように、下部遮煙部400は、気密材401と、ドア20の下框22に気密材401を固定する固定部材402とを備えている。下部遮煙部400は、ドア20と、ドア近傍部としての床90との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。
【0054】
気密材401は、ゴムによって形成された部材である。気密材401は、
図11に示すように、矢印10aで示す左右方向に延在する部分と、矢印10cで示す前後方向に延在する部分とを備えるL字型の部材である。気密材401は、
図3において床90に接触していないように描かれているが、実際には床90に接触している。
【0055】
次に、自動ドア10の動作について説明する。
【0056】
自動ドア10の制御装置は、通常時、センサー70が物体を検知すると、駆動装置80にドア20を開かせて、センサー70が物体を検知しなくなると、駆動装置80にドア20を閉じさせる。また、自動ドア10は、例えば火災などの緊急時に通常の電源から電力が供給されなくなった場合や、建物から伝達された火報信号に応じて自動ドア10の制御装置が通常の電源からの電力の使用を停止した場合に、ドア20が手動で開けられたとき、非常電源による電気式または機械式の図示していない自動閉鎖機構によってドア20を自動で閉じる。
【0057】
ドア20が完全に閉じると、上部遮煙部100は、押し付け部104が矢印10aで示す左右方向における気密材101の全域で気密材101と密着する。したがって、上部遮煙部100は、ドア20の上部における煙の流出を遮ることができる。
【0058】
また、ドア20が完全に閉じると、戸尻遮煙部200は、押し付け部204が矢印10bで示す上下方向における気密材201の全域で気密材201と密着する。したがって、戸尻遮煙部200は、ドア20の戸尻における煙の流出を遮ることができる。
【0059】
また、ドア20が完全に閉じると、戸先遮煙部300は、気密材301の突出部301aが、矢印10bで示す上下方向における気密材303の突出部303aの全域で突出部303aと密着する。したがって、戸先遮煙部300は、ドア20の戸先における煙の流出を遮ることができる。
【0060】
なお、戸先遮煙部300は、気密材301の突出部301aがストッパー302によって直接固定されていないので、突出部301aが変形可能である。同様に、戸先遮煙部300は、気密材303の突出部303aがストッパー304によって直接固定されていないので、突出部303aが変形可能である。したがって、戸先遮煙部300は、ドア20の戸先框24と、縦枠40との間の隙間を気体が流れようとする場合に、この気体の流れによって気密材301の突出部301aと、気密材303の突出部303aとの一方が押されて、突出部301aおよび突出部303aの他方に更に密着する。
【0061】
また、ドア20が閉じているか否かにかかわらず、下部遮煙部400は、気密材401が床90と接触している。したがって、下部遮煙部400は、ドア20の下部における煙の流出を遮ることができる。
【0062】
図12は、
図4に示す上部遮煙部100とは異なる上部遮煙部110の近傍の左側面断面図である。
図13は、
図4に示す上部遮煙部100と、
図12に示す上部遮煙部110とのいずれとも異なる上部遮煙部120の近傍の左側面断面図である。
図14は、
図4に示す上部遮煙部100と、
図12に示す上部遮煙部110と、
図13に示す上部遮煙部120とのいずれとも異なる上部遮煙部130の近傍の左側面断面図である。
【0063】
自動ドア10は、以上の説明において、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部として、上部遮煙部100を備えている。しかしながら、自動ドア10は、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部として、上部遮煙部100以外のものを、上部遮煙部100に代えて備えても良い。例えば、自動ドア10は、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部として、
図12に示す上部遮煙部110と、
図13に示す上部遮煙部120と、
図14に示す上部遮煙部130と、
図9に示す戸先遮煙部300の構成と同様な構成の遮煙部とのいずれかを、上部遮煙部100に代えて備えても良い。
【0064】
図12において、無目60は、溝60aを形成する部材61および部材62と、部材61および部材62を無目60の本体に固定する複数のネジ63とを備えている。複数のネジ63は、矢印10aで示す左右方向に並んで配置されている。
図12に示す上部遮煙部110は、上部遮煙部100(
図4参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図12に示す上部遮煙部110は、無目60の溝60a内に配置されている気密材101と、溝60a内から気密材101が抜け出ることを防止するためのストッパー112およびストッパー113と、ドア20の上框21の一部であって気密材101に押し付けられる押し付け部104とを備えている。
【0065】
ストッパー112は、矢印10a(
図1参照。)で示す左右方向に延在している。ストッパー112は、部材61の一部の潰し曲げによって形成されている。
【0066】
ストッパー113は、矢印10cで示す前後方向においてストッパー112に対向して設けられていて、矢印10aで示す左右方向に延在している。ストッパー113は、部材62の一部の潰し曲げによって形成されている。
【0067】
図13に示す上部遮煙部120は、無目60の溝60a内に配置されている気密材121と、溝60a内から気密材121が抜け出ることを防止するためのストッパー122と、ドア20の上框21の一部であって気密材121に押し付けられる押し付け部104とを備えている。
【0068】
気密材121は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材121は、気密材301と同様に、無目60の溝60a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材121は、矢印10a(
図1参照。)で示す左右方向に延在している。気密材121は、押し付け部104が押し付けられる部分である被押し付け部121aを備えている。気密材121は、スリーブ状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材121は、押し付け部104が押し付けられた場合に、気密材121自身の弾性力によって押し付け部104を押し返すことによって、押し付け部104と密着する。
【0069】
ストッパー122は、気密材121の空洞に挿入された状態で、矢印10aで示す左右方向に延在している。ストッパー122は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー122は、例えば、矢印10aで示す左右方向に並んで配置された複数のネジ122aによって無目60に固定されても良い。
【0070】
図15は、ストッパー122による気密材121の固定方法を説明するための斜視図である。
【0071】
図15に示すように、気密材121は、ネジ122aによって固定される部分に対向する部分に切り込み121bが入れられても良い。気密材121は、ネジ122aが切り込み121bを介して気密材121の空洞に挿入されることができるし、ネジ122aを締めるための図示していないドライバーの先端が切り込み121bを介して気密材121の空洞に挿入されることができる。
【0072】
図14に示す上部遮煙部130は、無目60の溝60a内に配置されている気密材131と、溝60a内から気密材131が抜け出ることを防止するためのストッパー132と、ドア20の上框21の一部であって気密材131に押し付けられる押し付け部104とを備えている。
【0073】
気密材131は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材131は、気密材301と同様に、無目60の溝60a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材131は、矢印10a(
図1参照。)で示す左右方向に延在している。気密材131は、上側に突出していてストッパー132によって直接固定されていない突出部131aおよび突出部131cを、矢印10cで示す前後方向におけるストッパー132の両側に備えている。したがって、気密材131は、矢印10cで示す前後方向における押し付け部104の両側に突出部131aおよび突出部131cが配置される。突出部131aは、押し付け部104が押し付けられる部分である被押し付け部131bを備えている。突出部131cは、押し付け部104が押し付けられる部分である被押し付け部131dを備えている。突出部131aおよび突出部131cのそれぞれは、布状の部材がU字状に曲がるように形成されているので、矢印10cで示す前後方向に弾性を有する。したがって、突出部131aおよび突出部131cのそれぞれは、矢印10cで示す前後方向に押し付け部104が押し付けられた場合に、突出部自身の弾性力によって押し付け部104を押し返すことによって、押し付け部104と密着する。
【0074】
ストッパー132は、矢印10aで示す左右方向に延在している。ストッパー132は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー132は、無目60の溝60a内に配置されている気密材131の一部を無目60と挟み込んだ状態で、例えば、矢印10aで示す左右方向に並んで配置された複数のネジ132aによって無目60に固定されることによって、気密材131を溝60a内に固定しても良い。
【0075】
図16(a)は、
図7に示す戸尻遮煙部200とは異なる戸尻遮煙部210の近傍の平面断面図である。
図16(b)は、
図7に示す戸尻遮煙部200と、
図16(a)に示す戸尻遮煙部210とのいずれとも異なる戸尻遮煙部220の近傍の平面断面図である。
図16(c)は、
図7に示す戸尻遮煙部200と、
図16(a)に示す戸尻遮煙部210と、
図16(b)に示す戸尻遮煙部220とのいずれとも異なる戸尻遮煙部230の近傍の平面断面図である。
【0076】
自動ドア10は、以上の説明において、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部として、戸尻遮煙部200を備えている。しかしながら、自動ドア10は、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部として、戸尻遮煙部200以外のものを、戸尻遮煙部200に代えて備えても良い。例えば、自動ドア10は、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部として、
図16(a)に示す戸尻遮煙部210と、
図16(b)に示す戸尻遮煙部220と、
図16(c)に示す戸尻遮煙部230と、
図9に示す戸先遮煙部300の構成と同様な構成の遮煙部とのいずれかを、戸尻遮煙部200に代えて備えても良い。
【0077】
図16(a)において、方立31は、溝31aを形成する部材34および部材35と、部材34および部材35を方立31の本体に固定する複数のネジ36とを備えている。複数のネジ36は、矢印10b(
図1参照。)で示す上下方向に並んで配置されている。
図16(a)に示す戸尻遮煙部210は、上部遮煙部110(
図12参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図16(a)に示す戸尻遮煙部210は、方立31の溝31a内に配置されている気密材201と、溝31a内から気密材201が抜け出ることを防止するためのストッパー212およびストッパー213と、ドア20の戸尻框23の一部であって気密材201に押し付けられる押し付け部204とを備えている。
【0078】
ストッパー212は、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー212は、部材34の一部の潰し曲げによって形成されている。
【0079】
ストッパー213は、矢印10cで示す前後方向においてストッパー212に対向して設けられていて、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー213は、部材35の一部の潰し曲げによって形成されている。
【0080】
図16(b)に示す戸尻遮煙部220は、上部遮煙部120(
図13参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図16(b)に示す戸尻遮煙部220は、方立31の溝31a内に配置されている気密材221と、溝31a内から気密材221が抜け出ることを防止するためのストッパー222と、ドア20の戸尻框23の一部であって気密材221に押し付けられる押し付け部204とを備えている。
【0081】
気密材221は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材221は、気密材301と同様に、方立31の溝31a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材221は、矢印10b(
図1参照。)で示す上下方向に延在している。気密材221は、押し付け部204が押し付けられる部分である被押し付け部221aを備えている。気密材221は、スリーブ状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材221は、押し付け部204が押し付けられた場合に、気密材221自身の弾性力によって押し付け部204を押し返すことによって、押し付け部204と密着する。
【0082】
ストッパー222は、気密材221の空洞に挿入された状態で、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー222は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー222は、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ222aによって方立31に固定されても良い。
【0083】
気密材221は、
図15に示す気密材121と同様に、ネジ222aによって固定される部分に対向する部分に切り込みが入れられても良い。気密材221は、ネジ222aが切り込みを介して気密材221の空洞に挿入されることができるし、ネジ222aを締めるための図示していないドライバーの先端が切り込みを介して気密材221の空洞に挿入されることができる。
【0084】
図16(c)に示す戸尻遮煙部230は、上部遮煙部130(
図14参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図16(c)に示す戸尻遮煙部230は、方立31の溝31a内に配置されている気密材231と、溝31a内から気密材231が抜け出ることを防止するためのストッパー232と、ドア20の戸尻框23の一部であって気密材231に押し付けられる押し付け部204とを備えている。
【0085】
気密材231は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材231は、気密材301と同様に、方立31の溝31a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材231は、矢印10b(
図1参照。)で示す上下方向に延在している。気密材231は、ドア20の戸先から戸尻に向かう方向と同一の方向に突出していてストッパー232によって直接固定されていない突出部231aおよび突出部231cを、矢印10cで示す前後方向におけるストッパー232の両側に備えている。したがって、気密材231は、ドア20が閉まっている場合に、矢印10cで示す前後方向における押し付け部204の両側に突出部231aおよび突出部231cが配置される。突出部231aは、押し付け部204が押し付けられる部分である被押し付け部231bを備えている。突出部231cは、押し付け部204が押し付けられる部分である被押し付け部231dを備えている。突出部231aおよび突出部231cのそれぞれは、布状の部材がU字状に曲がるように形成されているので、矢印10cで示す前後方向に弾性を有する。したがって、突出部231aおよび突出部231cのそれぞれは、矢印10cで示す前後方向に押し付け部204が押し付けられた場合に、突出部自身の弾性力によって押し付け部204を押し返すことによって、押し付け部204と密着する。
【0086】
ストッパー232は、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー232は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー232は、方立31の溝31a内に配置されている気密材231の一部を方立31と挟み込んだ状態で、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ232aによって方立31に固定されることによって、気密材231を溝31a内に固定しても良い。
【0087】
図17(a)は、
図9に示す戸先遮煙部300とは異なる戸先遮煙部310の近傍の平面断面図である。
図17(b)は、
図9に示す戸先遮煙部300と、
図17(a)に示す戸先遮煙部310とのいずれとも異なる戸先遮煙部320の近傍の平面断面図である。
【0088】
自動ドア10は、以上の説明において、ドア20の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部として、戸先遮煙部300を備えている。しかしながら、自動ドア10は、ドア20の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部として、戸先遮煙部300以外のものを、戸先遮煙部300に代えて備えても良い。例えば、自動ドア10は、ドア20の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部として、
図17(a)に示す戸先遮煙部310と、
図17(b)に示す戸先遮煙部320と、
図14に示す上部遮煙部130の構成と同様な構成の遮煙部とのいずれかを、戸先遮煙部300に代えて備えても良い。
【0089】
図17(a)に示す戸先遮煙部310は、気密材の個数が異なるものの、上部遮煙部120(
図13参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図17(a)に示す戸先遮煙部310は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材311と、溝24a内から気密材311が抜け出ることを防止するためのストッパー312と、縦枠40の一部であって気密材311に押し付けられる押し付け部313と、縦枠40の溝40a内に配置されている気密材314と、溝40a内から気密材314が抜け出ることを防止するためのストッパー315と、ドア20の戸先框24の一部であって気密材314に押し付けられる押し付け部316とを備えている。
【0090】
気密材311は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材311は、気密材301と同様に、ドア20の溝24a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材311は、矢印10b(
図1参照。)で示す上下方向に延在している。気密材311は、押し付け部313が押し付けられる部分である被押し付け部311aを備えている。気密材311は、スリーブ状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材311は、押し付け部313が押し付けられた場合に、気密材311自身の弾性力によって押し付け部313を押し返すことによって、押し付け部313と密着する。
【0091】
ストッパー312は、気密材311の空洞に挿入された状態で、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー312は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー312は、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ312aによって戸先框24に固定されても良い。
【0092】
気密材311は、
図15に示す気密材121と同様に、ネジ312aによって固定される部分に対向する部分に切り込みが入れられても良い。気密材311は、ネジ312aが切り込みを介して気密材311の空洞に挿入されることができるし、ネジ312aを締めるための図示していないドライバーの先端が切り込みを介して気密材311の空洞に挿入されることができる。
【0093】
押し付け部313は、縦枠40を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されていても良い。
【0094】
気密材314は、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材314は、気密材301と同様に、縦枠40の溝40a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材314は、矢印10b(
図1参照。)で示す上下方向に延在している。気密材314は、押し付け部316が押し付けられる部分である被押し付け部314aを備えている。気密材314は、スリーブ状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材314は、押し付け部316が押し付けられた場合に、気密材314自身の弾性力によって押し付け部316を押し返すことによって、押し付け部316と密着する。
【0095】
ストッパー315は、気密材314の空洞に挿入された状態で、矢印10bで示す上下方向に延在している。ストッパー315は、例えば、細い板状の鋼材などの部材である。ストッパー315は、例えば、矢印10bで示す上下方向に並んで配置された複数のネジ315aによって縦枠40に固定されても良い。
【0096】
気密材314は、
図15に示す気密材121と同様に、ネジ315aによって固定される部分に対向する部分に切り込みが入れられても良い。気密材314は、ネジ315aが切り込みを介して気密材314の空洞に挿入されることができるし、ネジ315aを締めるための図示していないドライバーの先端が切り込みを介して気密材314の空洞に挿入されることができる。
【0097】
押し付け部316は、ドア20の戸先框24を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されていても良い。
【0098】
図17(b)に示す戸先遮煙部320は、気密材の個数が異なるものの、上部遮煙部100(
図4参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図17(b)に示すように、戸先遮煙部320は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材321と、溝24a内から気密材321が抜け出ることを防止するための図示していないストッパーと、縦枠40の一部であって気密材321に押し付けられる押し付け部313と、縦枠40の溝40a内に配置されている気密材322と、溝40a内から気密材322が抜け出ることを防止するための図示していないストッパーと、ドア20の戸先框24の一部であって気密材322に押し付けられる押し付け部316と、縦枠40の溝40b内に配置されている気密材323と、溝40b内から気密材323が抜け出ることを防止するための図示していないストッパーと、ドア20の戸先框24の一部であって気密材323に押し付けられる押し付け部324とを備えている。
【0099】
気密材321は、アルカリアースシリケート(AES)などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成されたブランケット状の部材である。気密材321は、矢印10b(
図1参照。)で示す上下方向に延在している。気密材321は、押し付け部313が押し付けられる部分である被押し付け部321aを備えている。気密材321は、ブランケット状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材321は、押し付け部313が押し付けられた場合に、気密材321自身の弾性力によって押し付け部313を押し返すことによって、押し付け部313と密着する。
【0100】
ドア20の溝24a内から気密材321が抜け出ることを防止するためのストッパーは、例えば、ドア20の戸先框24を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されても良い。
【0101】
気密材322は、アルカリアースシリケート(AES)などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成されたブランケット状の部材である。気密材322は、矢印10bで示す上下方向に延在している。気密材322は、押し付け部316が押し付けられる部分である被押し付け部322aを備えている。気密材322は、ブランケット状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材322は、押し付け部316が押し付けられた場合に、気密材322自身の弾性力によって押し付け部316を押し返すことによって、押し付け部316と密着する。
【0102】
縦枠40の溝40a内から気密材322が抜け出ることを防止するためのストッパーは、例えば、縦枠40を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されても良い。
【0103】
気密材323は、アルカリアースシリケート(AES)などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成されたブランケット状の部材である。気密材323は、矢印10bで示す上下方向に延在している。気密材323は、押し付け部324が押し付けられる部分である被押し付け部323aを備えている。気密材323は、ブランケット状であることによって、弾性を有する。したがって、気密材323は、押し付け部324が押し付けられた場合に、気密材323自身の弾性力によって押し付け部324を押し返すことによって、押し付け部324と密着する。
【0104】
押し付け部324は、ドア20の戸先框24を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されていても良い。
【0105】
縦枠40の溝40b内から気密材323が抜け出ることを防止するためのストッパーは、例えば、縦枠40を構成する部材の一部の潰し曲げによって形成されても良い。
【0106】
図18は、引分けタイプである場合の本実施の形態に係る自動ドア10の正面図である。
図19は、
図18に示す自動ドア10の一部の平面断面図である。
【0107】
自動ドア10は、以上の説明において、片引きタイプである。しかしながら、自動ドア10は、
図18および
図19に示すように引分けタイプでも良い。
【0108】
図18に示す自動ドア10の構成要素のうち、
図1に示す自動ドア10の構成要素と同様の構成要素については、
図1に示す自動ドア10の構成要素と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0109】
図18および
図19に示す自動ドア10は、矢印10aで示す左右方向に開閉可能な建具であるドア20およびドア520と、固定された建具であるフィックス30およびフィックス530と、ドア520に対して戸尻側に配置されて矢印10bで示す上下方向に延在している縦枠540と、ドア20に対して戸尻側に配置されて矢印10bで示す上下方向に延在している縦枠50と、上部に配置された無目60と、床90に設置された、矢印10aで示す左右方向に延在する図示していないガイドレールと、無目60の屋内側および屋外側のそれぞれに取り付けられて物体を検知するためのセンサー70と、無目60内に収納されていてドア20およびドア520を駆動するための図示していない駆動装置と、無目60内に収納されていて駆動装置を制御するための図示していない制御装置とを備えている。
図18および
図19に示す自動ドア10は、火災の際に炎が外に出ることを防止することができ、例えば防火設備や特定防火設備として機能することができる。
【0110】
ドア520は、上部に配置された上框521と、下部に配置された下框522と、戸尻側に配置された戸尻框523と、戸先側に配置された戸先框524と、上框521、下框522、戸尻框523および戸先框524によって固定されたガラス525と、下框522に固定されて、矢印10cで示す前後方向へのドア520の振れを止めるためにガイドレール内に収納される振れ止めとを備えている。戸先框524は、矢印10bで示す上下方向に延在している溝524aと、矢印10bで示す上下方向に延在している溝524bとが形成されている。溝524aおよび溝524bは、それぞれ、ドア520の戸尻から戸先に向かう方向と同一の方向に開口している。
【0111】
フィックス530は、方立531と、下部に配置された下枠532と、方立531、下枠532および縦枠540によって固定されたガラス533とを備えている。
【0112】
図18および
図19に示す自動ドア10は、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部100(
図3参照。)と、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部200と、ドア20の下部における煙の流出を遮る下部遮煙部400(
図3参照。)と、ドア520の上部における煙の流出を遮る図示していない上部遮煙部と、ドア520の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部600と、ドア520の下部における煙の流出を遮る図示していない下部遮煙部と、ドア20およびドア520の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部700とを備えている。
【0113】
ドア520の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部の構成は、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部100の構成と同様である。ドア520の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部は、ドア520と、ドア近傍部としての無目60との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。上述したように、自動ドア10は、ドア20の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部として、上部遮煙部100以外のものを、上部遮煙部100に代えて備えても良い。同様に、自動ドア10は、ドア520の上部における煙の流出を遮る上部遮煙部として、上部遮煙部100の構成と同様な上部遮煙部以外のものを備えても良い。
【0114】
ドア520の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部600の構成は、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部200の構成と同様である。戸尻遮煙部600は、ドア520と、ドア近傍部としての方立531との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。上述したように、自動ドア10は、ドア20の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部として、戸尻遮煙部200以外のものを、戸尻遮煙部200に代えて備えても良い。同様に、自動ドア10は、ドア520の戸尻における煙の流出を遮る戸尻遮煙部として、戸尻遮煙部200の構成と同様な戸尻遮煙部以外のものを備えても良い。
【0115】
ドア520の下部における煙の流出を遮る下部遮煙部の構成は、ドア20の下部における煙の流出を遮る下部遮煙部400の構成と同様である。ドア520の下部における煙の流出を遮る下部遮煙部は、ドア520と、ドア近傍部としての床90との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。
【0116】
ドア20およびドア520の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部700の構成は、ドア20の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部300(
図2参照。)の構成と同様である。
【0117】
図20(a)は、戸先遮煙部700の近傍の平面断面図である。
図20(b)は、
図20(a)に示す戸先遮煙部700とは異なる戸先遮煙部710の近傍の平面断面図である。
図20(c)は、
図20(a)に示す戸先遮煙部700と、
図20(b)に示す戸先遮煙部710とのいずれとも異なる戸先遮煙部720の近傍の平面断面図である。
【0118】
図18に示す自動ドア10は、ドア20およびドア520の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部として、戸先遮煙部700以外のものを、戸先遮煙部700に代えて備えても良い。例えば、
図18に示す自動ドア10は、ドア20およびドア520の戸先における煙の流出を遮る戸先遮煙部として、
図20(b)に示す戸先遮煙部710と、
図20(c)に示す戸先遮煙部720と、
図14に示す上部遮煙部130の構成と同様な構成の遮煙部とのいずれかを、戸先遮煙部700に代えて備えても良い。
【0119】
図19および
図20(a)に示す戸先遮煙部700は、戸先遮煙部300(
図9参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図19および
図20(a)に示すように、戸先遮煙部700は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材301と、溝24a内から気密材301が抜け出ることを防止するためのストッパー302と、ドア520の溝524a内に配置されている気密材303と、溝524a内から気密材303が抜け出ることを防止するためのストッパー304とを備えている。戸先遮煙部700は、ドア20と、ドア520との間の隙間からの煙の流出を遮る遮煙部である。ここで、ドア20は、ドア520にとってのドア近傍部の1つであり、ドア520は、ドア20にとってのドア近傍部の1つである。
【0120】
図20(b)に示す戸先遮煙部710は、戸先遮煙部310(
図17(a)参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図20(b)に示す戸先遮煙部710は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材311と、溝24a内から気密材311が抜け出ることを防止するためのストッパー312と、ドア520の戸先框524の一部であって気密材311に押し付けられる押し付け部313と、ドア520の溝524a内に配置されている気密材314と、溝524a内から気密材314が抜け出ることを防止するためのストッパー315と、ドア20の戸先框24の一部であって気密材314に押し付けられる押し付け部316とを備えている。
【0121】
図20(c)に示す戸先遮煙部720は、戸先遮煙部320(
図17(b)参照。)の構成と同様な構成の遮煙部である。すなわち、
図20(c)に示すように、戸先遮煙部720は、ドア20の溝24a内に配置されている気密材321と、溝24a内から気密材321が抜け出ることを防止するための図示していないストッパーと、ドア520の戸先框524の一部であって気密材321に押し付けられる押し付け部313と、ドア520の溝524a内に配置されている気密材322と、溝524a内から気密材322が抜け出ることを防止するための図示していないストッパーと、ドア20の戸先框24の一部であって気密材322に押し付けられる押し付け部316と、ドア520の溝524b内に配置されている気密材323と、溝524b内から気密材323が抜け出ることを防止するための図示していないストッパーと、ドア20の戸先框24の一部であって気密材323に押し付けられる押し付け部324とを備えている。
【0122】
以上に説明したように、自動ドア10は、上部遮煙部、戸尻遮煙部および戸先遮煙部において気密材が無機繊維によって形成されているので、火災の際に気密材が燃える可能性を低減することができ、その結果、火災の際に煙が外に出ることを気密材によって防止する可能性を向上することができる。したがって、自動ドア10は、遮煙性能を向上することができる。
【0123】
自動ドア10は、例えば上部遮煙部120、130、戸尻遮煙部220、230、戸先遮煙部300、310、700、710のように無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって被押し付け部に弾性を有するものが気密材として使用される場合、例えば上部遮煙部100、110、戸尻遮煙部200、210、600、戸先遮煙部320、720のように無機繊維によって形成されたブランケット状の部材が気密材として使用される構成と比較して、気密材が摩耗し難いので、遮煙部の耐久性を向上することができる。
【0124】
自動ドア10は、例えば上部遮煙部130、戸尻遮煙部230、戸先遮煙部300、700のように矢印10cで示す前後方向に押し付け部が気密部材の突出部に押し付けられる場合、ドアと、ドア近傍部との間の隙間を気体が流れようとする場合に、この気体の流れによって気密材の突出部が押されて、その被押し付け部が押し付け部に密着するので、気密性を向上することができる。
【0125】
自動ドア10は、例えば戸先遮煙部300、700のように無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有する気密材同士が押し付け合う場合、弾性を有する気密材同士が押し付け合うことによって密着するので、気密性を向上することができる。
【0126】
自動ドア10は、例えば上部遮煙部130、戸尻遮煙部230のように矢印10cで示す前後方向において押し付け部の両側に突出部を気密材が備える場合、ドアと、ドア近傍部との間の隙間を気体が流れようとするときに、この気体の流れの方向がドアの延在方向に交差する方向のうちのいずれの方向であっても、この気体の流れによって、押し付け部の両側の突出部のいずれか一方が押されて、その被押し付け部が押し付け部に密着するので、気密性を向上することができる。
【0127】
自動ドア10は、ドア側のローラーおよび振れ止めがそれぞれレール81およびガイドレールに対してドアの延在方向に交差する方向のうち、矢印10cで示す前後方向に例えば数mmなど僅かに移動可能な構造であるので、例えばドアが受ける風圧によって、矢印10cで示す前後方向にドアが例えば数mmなど僅かに移動する場合がある。自動ドア10は、例えば上部遮煙部130、戸尻遮煙部230のように矢印10cで示す前後方向において押し付け部の両側に突出部が配置されている場合、矢印10cで示す前後方向にドアが僅かに移動したときであっても、押し付け部の両側の突出部の少なくとも一方の被押し付け部が押し付け部に密着するので、気密性を向上することができる。
【0128】
自動ドア10は、例えば上部遮煙部100、110、戸尻遮煙部200、210、600、戸先遮煙部320、720のように無機繊維によって形成されたブランケット状の部材が気密材として使用される場合、例えば上部遮煙部120、130、戸尻遮煙部220、230、戸先遮煙部300、310、700、710のように無機繊維によって形成された、布状の部材が曲げられることによって弾性を有するものが気密材として使用される構成と比較して、組み立て作業を容易化することができる。
【0129】
自動ドア10は、開閉時に移動するドアに気密材が設けられている場合、ドアの開閉時に気密材に振動が加わるので、気密材が振動によってドアから外れたり、気密材をドアに固定しているネジが振動によって緩んだりする可能性がある。自動ドア10は、例えば気密材101、121、131、201、221、231、303、314、322、323のようにドア近傍部に気密材が設けられている場合、開閉時に移動するドアに気密材が設けられる構成と比較して、ドアの開閉時に気密材に加わる振動を低減することができるので、遮煙部の耐久性を向上することができる。なお、自動ドア10は、開閉時に移動するドアに気密材が設けられても良い。
【0130】
図21は、
図14に示す上部遮煙部130の変形例を示す、上部遮煙部130の近傍の左側面断面図である。
【0131】
上部遮煙部130は、突出部以外の構成が
図14に示す構成以外の構成でも良い。例えば、上部遮煙部130は、
図21に示す構成でも良い。
図21に示す上部遮煙部130は、無目60の溝60a内に配置されている気密材133および気密材134と、溝60a内から気密材133および気密材134が抜け出ることを防止するためのストッパー132と、ドア20の上框21の一部であって気密材133および気密材134に押し付けられる押し付け部104とを備えている。
【0132】
気密材133および気密材134のそれぞれは、気密材301と同様に、高珪酸ガラス繊維などの人造鉱物繊維などの無機繊維によって形成された、布状の部材によって形成されている。気密材133および気密材134のそれぞれは、気密材301と同様に、無目60の溝60a内に配置されていない状態においてスリーブ状に形成されている。気密材133および気密材134のそれぞれは、矢印10a(
図1参照。)で示す左右方向に延在している。気密材133は、上側に突出していてストッパー132によって直接固定されていない突出部133aを、矢印10cで示す前後方向におけるストッパー132の片側に備えている。気密材134は、上側に突出していてストッパー132によって直接固定されていない突出部134aを、矢印10cで示す前後方向におけるストッパー132の片側に備えている。したがって、突出部133aおよび突出部134aは、矢印10cで示す前後方向における押し付け部104の両側に配置される。突出部133aは、押し付け部104が押し付けられる部分である被押し付け部133bを備えている。突出部134aは、押し付け部104が押し付けられる部分である被押し付け部134bを備えている。突出部133aおよび突出部134aのそれぞれは、布状の部材がU字状に曲がるように形成されているので、矢印10cで示す前後方向に弾性を有する。したがって、突出部133aおよび突出部134aのそれぞれは、矢印10cで示す前後方向に押し付け部104が押し付けられた場合に、突出部自身の弾性力によって押し付け部104を押し返すことによって、押し付け部104と密着する。
【0133】
以上においては、上部遮煙部130について説明している。しかしながら、
図16(c)に示す戸尻遮煙部230についても、突出部以外の構成が
図16(c)に示す構成以外の構成でも良い。
【0134】
戸先遮煙部300は、
図9に示すように、気密材による気密の箇所が1箇所である。戸先遮煙部310は、
図17(a)に示すように、気密材による気密の箇所が2箇所であり、二重の気密を実現している。戸先遮煙部310は、
図17(b)に示すように、気密材による気密の箇所が3箇所であり、三重の気密を実現している。自動ドア10において、各遮煙部は、気密材による気密の箇所が1箇所でも良いし、複数箇所でも良い。
【0135】
自動ドア10は、本実施の形態において、ドアの下部における煙の流出を遮る下部遮煙部が備える気密材がゴムによって形成されている。しかしながら、自動ドア10において、ドアの下部における煙の流出を遮る下部遮煙部は、上部遮煙部、戸尻遮煙部および戸先遮煙部のいずれかの構成と同様な構成の遮煙部でも良い。
【0136】
自動ドア10は、本実施の形態において、フィックスを備えている。しかしながら、自動ドア10は、フィックスの部分が壁であっても良い。
【符号の説明】
【0137】
10 自動ドア
10c 矢印(ドアの延在方向に直交する方向を示す矢印)
20 ドア(ドア近傍部)
31 方立(ドア近傍部)
40 縦枠(ドア近傍部)
60 無目(ドア近傍部)
100 上部遮煙部(遮煙部)
101 気密材
101a 被押し付け部
104 押し付け部
110、120 上部遮煙部(遮煙部)
121 気密材
121a 被押し付け部
130 上部遮煙部(遮煙部)
131 気密材
131a 突出部
131b 被押し付け部
131c 突出部
131d 被押し付け部
133 気密材
133a 突出部
133b 被押し付け部
134 気密材
134a 突出部
134b 被押し付け部
200 戸尻遮煙部(遮煙部)
201 気密材
201a 被押し付け部
204 押し付け部
210、220 戸尻遮煙部(遮煙部)
221 気密材
221a 被押し付け部
230 戸尻遮煙部(遮煙部)
231 気密材
231a 突出部
231b 被押し付け部
231c 突出部
231d 被押し付け部
300 戸先遮煙部(遮煙部)
301 気密材(押し付け部)
301a 突出部
301b 被押し付け部
303 気密材(押し付け部)
303a 突出部
303b 被押し付け部
310 戸先遮煙部(遮煙部)
311 気密材
311a 被押し付け部
313 押し付け部
314 気密材
314a 被押し付け部
316 押し付け部
320 戸先遮煙部(遮煙部)
321 気密材
321a 被押し付け部
322 気密材
322a 被押し付け部
323 気密材
323a 被押し付け部
324 押し付け部
520 ドア(ドア近傍部)
531 方立(ドア近傍部)
600 戸尻遮煙部(遮煙部)
700、710、720 戸先遮煙部(遮煙部)