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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173581
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231130BHJP
   F25B 41/20 20210101ALI20231130BHJP
【FI】
F25B1/00 351B
F25B1/00 371C
F25B41/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085926
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 慎介
(72)【発明者】
【氏名】村田 勝則
(57)【要約】
【課題】ポンプダウン運転終了後の閉鎖弁からの冷媒漏れを判定する。
【解決手段】圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)が接続される熱源回路(11a)を有する熱源ユニット(20)と、利用熱交換器(31)が接続される利用回路(11b)を有する利用ユニット(30)とを備える空調システムであって、熱源回路(11a)と利用回路(11b)とが閉鎖弁(46,47)を介して接続されることにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)が構成され、利用回路(11b)の冷媒を熱源回路(11a)に移動させるポンプダウン運転終了後における、利用回路(11b)の冷媒圧力に基づいて、閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)が接続される熱源回路(11a)を有する熱源ユニット(20)と、
利用熱交換器(31)が接続される利用回路(11b)を有する利用ユニット(30)とを備える空調システムであって、
前記熱源回路(11a)と前記利用回路(11b)とが閉鎖弁(46,47)を介して接続されることにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)が構成され、
前記利用回路(11b)の冷媒を前記熱源回路(11a)に移動させるポンプダウン運転終了後における、前記利用回路(11b)の冷媒圧力に基づいて、前記閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する
ことを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記冷媒圧力を第1圧力、前記第1時点より後の第2時点における前記冷媒圧力を第2圧力としたとき、前記第2圧力が前記第1圧力よりも高い場合、前記閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第1比率、前記第1時点よりも後の第2時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第2比率としたとき、前記第2比率が前記第1比率よりも高い場合、前記閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記冷媒圧力を第1圧力、前記第1圧力よりも後の第2時点における前記冷媒圧力を第2圧力としたとき、前記第2圧力が前記第1圧力以下である場合、前記閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空調システム。
【請求項5】
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する前記冷媒圧力の比率を第1比率、前記第1時点よりも後の第2時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する前記冷媒圧力の比率を第2比率としたとき、前記第2比率が前記第1比率以下である場合、前記閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空調システム。
【請求項6】
前記閉鎖弁(46,47)の開閉の判定に基づいて、前記閉鎖弁(46,47)が閉じていること、または前記閉鎖弁(46,47)が開いていることをユーザに報知する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空調システム。
【請求項7】
前記閉鎖弁(46,47)は、前記利用回路(11b)のうち液側に設けられる液側閉鎖弁(47)とガス側に設けられるガス側閉鎖弁(46)とを有し、
前記冷媒圧力は、前記ガス側閉鎖弁(46)と前記利用熱交換器(31)との間における圧力を示す
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空調システム。
【請求項8】
前記冷媒は、可燃性冷媒であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の空調システム。
【請求項9】
圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)を含む熱源回路(11a)を有する熱源ユニット(20)と、
利用熱交換器(31)を含む利用回路(11b)を有する利用ユニット(30)とを備え、
前記熱源回路(11a)と前記利用回路(11b)とが閉鎖弁(46,47)を介して接続されることにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)が構成される空調システムのポンプダウン運転終了後の前記閉鎖弁(46,47)の開閉状態を確認する方法であって、
前記閉鎖弁(46,47)は、前記熱源回路(11a)のうち液側に設けられる液側閉鎖弁(47)とガス側に設けられるガス側閉鎖弁(46)とを有し、
前記ポンプダウン運転を開始するステップと、
前記液側閉鎖弁(47)を閉じるステップと、
前記ガス側閉鎖弁(46)を閉じるステップと、
前記ポンプダウン運転を終了するステップと、
前記利用回路(11b)の冷媒圧力の変化、または、前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する前記冷媒圧力の比率に基づいて、前記閉鎖弁(46,47)の開閉を判定するステップとを含む
ポンプダウン運転終了後の前記閉鎖弁(46,47)の開閉状態を確認する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ポンプダウン運転において圧縮機の吸入側圧力の圧力が所定値以下になった時、電磁弁を遮断すると共に、所定時間後に圧縮機を停止する空気調和装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-161535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポンプダウン運転終了後に、閉鎖弁から熱源熱交換器側から利用熱交換器側に向かって冷媒が漏れることについてこれまで考慮されてこなかった。
【0005】
本開示の目的は、ポンプダウン運転終了後の閉鎖弁からの冷媒漏れを判定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、
圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)が接続される熱源回路(11a)を有する熱源ユニット(20)と、
利用熱交換器(31)が接続される利用回路(11b)を有する利用ユニット(30)とを備える空調システムであって、
前記熱源回路(11a)と前記利用回路(11b)とが閉鎖弁(46,47)を介して接続されることにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)が構成され、
前記利用回路(11b)の冷媒を前記熱源回路(11a)に移動させるポンプダウン運転終了後における、前記利用回路(11b)の冷媒圧力の変化に基づいて、前記閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する。
【0007】
第1の態様では、閉鎖弁(46,47)の開閉判定により、ポンプダウン運転終了後の熱源回路(11a)から利用回路(11b)への冷媒漏れを確認できる。
【0008】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記冷媒圧力を第1圧力、前記第1時点より後の第2時点における冷媒圧力を第2圧力としたとき、前記第2圧力が前記第1圧力よりも高い場合、前記閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する。
【0009】
第2の態様では、第1圧力よりも第2圧力が高い場合、利用回路(11b)側に冷媒が戻ってきていることがわかる。この判定により、閉鎖弁(46,47)が開いていることを把握できる。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1の態様において、
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第1比率、前記第1時点よりも後の第2時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第2比率としたとき、前記第2比率が前記第1比率よりも高い場合、前記閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する。
【0011】
第3の態様では、冷媒温度もパラメータに含めることでより精度高く判定できる。
【0012】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様において、
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記冷媒圧力を第1圧力、前記第1圧力よりも後の第2時点における冷媒圧力を第2圧力としたとき、前記第2圧力が前記第1圧力以下である場合、前記閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する。
【0013】
第4の態様では、第2圧力が第1圧力以下である場合、利用回路(11b)側に冷媒が戻ってきていないことがわかる。この判定により、閉鎖弁(46,47)が閉じていることを把握できる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第3の態様において、
前記ポンプダウン運転終了後において、第1時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第1比率、前記第1時点よりも後の第2時点における前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第2比率としたとき、前記第2比率が前記第1比率以下である場合、前記閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する。
【0015】
第5の態様では、冷媒温度もパラメータに含めることでより精度高く判定できる。
【0016】
本開示の第6の態様は、第1~第5のいずれか1つの態様において、
前記閉鎖弁(46,47)の開閉の判定に基づいて、前記閉鎖弁(46,47)が閉じていること、または前記閉鎖弁(46,47)が開いていることをユーザに報知する。
【0017】
第6の態様では、ユーザは、閉鎖弁(46,47)の開閉について認識できる。
【0018】
本開示の第7の態様は、第1~第6のいずれか1つの態様において、
前記閉鎖弁(46,47)は、前記利用回路(11b)のうち液側に設けられる液側閉鎖弁(47)とガス側に設けられるガス側閉鎖弁(46)とを有し、
前記冷媒圧力は、前記ガス側閉鎖弁(46)と前記利用熱交換器(31)との間における圧力を示す。
【0019】
第7の態様では、ポンプダウン運転終了後の圧力変化の検知と、暖房運転時の高圧の検知とを兼用できる。
【0020】
本開示の第8の態様は、第1~第7のいずれか1つの態様において、
前記冷媒は、可燃性冷媒である。
【0021】
第8の態様では、冷媒が可燃性である場合、室内に漏洩することによる引火のリスクを低減できる。
【0022】
本開示の第9の態様は、
圧縮機(21)及び熱源熱交換器(22)を含む熱源回路(11a)を有する熱源ユニット(20)と、
利用熱交換器(31)を含む利用回路(11b)を有する利用ユニット(30)とを備え、
前記熱源回路(11a)と前記利用回路(11b)とが閉鎖弁(46,47)を介して接続されることにより冷凍サイクルを行う冷媒回路(11)が構成される空調システムのポンプダウン運転終了後の前記閉鎖弁(46,47)の開閉状態を確認する方法であって、
前記閉鎖弁(46,47)は、前記熱源回路(11a)のうち液側に設けられる液側閉鎖弁(47)とガス側に設けられるガス側閉鎖弁(46)とを有し、
前記ポンプダウンを開始するステップと、
前記液側閉鎖弁(47)を閉じるステップと、
前記ガス側閉鎖弁(46)を閉じるステップと、
前記ポンプダウン運転を終了するステップと、
前記利用回路(11b)の前記冷媒圧力の変化、または、前記利用回路(11b)の冷媒温度に対する前記冷媒圧力の比率に基づいて、前記閉鎖弁(46,47)の開閉を判定するステップとを含む
前記ポンプダウン運転終了後の前記閉鎖弁(46,47)の開閉状態を確認する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態の空調システムの概略の配管系統図である。
図2図2は、空気調和システムのブロック図である。
図3図3は、閉鎖弁の開閉を確認する方法の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、閉鎖弁の開閉判定のフローチャートである。
図5図5は、変形例に係る空調システムの図2に相当するブロック図である。
図6図6は、変形例に係る閉鎖弁開閉判定のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。また、以下に説明する各実施形態、変形例、その他の例等の各構成は、本発明を実施可能な範囲において、組み合わせたり、一部を置換したりできる。
【0025】
(1)空調システムの全体構成
図1及び図2に示すように、本実施形態の空調システム(1)は、室外ユニット(20)、室内ユニット(30)、連絡配管(12,13)及び制御部(100)を有する。室外ユニット(20)は、本開示の熱源ユニット(20)の一例である。室内ユニット(30)は、本開示の利用ユニット(30)の一例である。空調システム(1)は、室内空間の空気の温度を調節する。空調システム(1)は、冷房運転、暖房運転及びポンプダウン運転を切り換えて行う。
【0026】
室外ユニット(20)と室内ユニット(30)とは、連絡配管(12,13)を介して互いに接続される。この接続により、閉回路である冷媒回路(11)が構成される。
【0027】
(2-1)冷媒回路
冷媒回路(11)は、冷凍サイクルを行う。冷媒回路(11)は、室外回路(11a)と室内回路(11b)とが、後述する閉鎖弁(46,47)を介して接続されることにより構成される。室外回路(11a)は、室外ユニット(20)に設けられる。室内回路(11b)は、室内ユニット(30)に設けられる。室外回路(11a)は、本開示の熱源回路(11a)の一例である。室内回路(11b)は、本開示の利用回路(11b)の一例である。
【0028】
冷媒回路(11)には、可燃性の自然冷媒が充填されている。本実施形態の冷媒は、強燃性の自然冷媒であるプロパン(R290)である。自然冷媒は、オゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も低く、環境への負荷が少ない冷媒である。
【0029】
冷媒回路(11)に充填される可燃性の冷媒は、プロパン以外でもよい。例えば、冷媒回路(11)に充填される可燃性の冷媒は、自然冷媒であるアンモニア(R717)でもよい。また、冷媒回路(11)に充填される可燃性の冷媒として、強燃性の自然冷媒であるメタン(R50)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)でもよい。
【0030】
(2-2)第1連絡配管及び第2連絡配管
第1連絡配管(12)及び第2連絡配管(13)は、本開示の連絡配管(12,13)の一例である。第1連絡配管(12)及び第2連絡配管(13)は、室内ユニット(30)及び室外ユニット(20)を互いに接続する。第1連絡配管(12)はガス管であり、第2連絡配管(13)は液管である。
【0031】
第1連絡配管(12)は、その一端が室内回路(11b)のガス端部に接続し、その他端が室外回路(11a)のガス端部に接続する。第2連絡配管(13)は、その一端が室内回路(11b)の液端部に接続し、その他端が室外回路(11a)の液端部に接続する。
【0032】
(2-3)室外ユニット
室外ユニット(20)は、室外に配置される。室外ユニット(20)は、ガス側閉鎖弁(46)、液側閉鎖弁(47)、ガスライン(26)、液ライン(27)、圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、四方切換弁(24)、膨張弁(23)、及び室外ファン(25)を有する。具体的に、室外回路(11a)が、ガス側閉鎖弁(46)、液側閉鎖弁(47)圧縮機(21)、室外熱交換器(22)、四方切換弁(24)及び膨張弁(23)を有する。
【0033】
(2-3-1)ガス側閉鎖弁及び液側閉鎖弁
ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)は、本開示の閉鎖弁(46,47)の一例である。ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)は、作業者によって手動で開閉操作を行う。ガス側閉鎖弁(46)は、室外回路(11a)のうちガス側に設けられる。具体的に、ガス側閉鎖弁(46)は、室外回路(11a)のガス側の端部に接続される。ガス側閉鎖弁(46)には、第1連絡配管(12)の一端が接続する。液側閉鎖弁(47)は、室外回路(11a)のうち液側に設けられる。液側閉鎖弁(47)は、室外回路(11a)の液側の端部に接続される。液側閉鎖弁(47)には、第2連絡配管(13)の一端が接続する。ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)は、後述のポンプダウン運転を行う場合や室内ユニット(30)を取り外す場合を除いて、常に開放されている。以下の説明では、ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)をまとめて閉鎖弁(46,47)と呼ぶ場合がある。
【0034】
(2-3-2)ガスライン及び液ライン
ガスライン(26)及び液ライン(27)は、室外回路(11a)を構成する。ガスライン(26)は、室外熱交換器(22)における凝縮または放熱前のガス冷媒が流れるガス管で構成される。ガスライン(26)の一端は、室外熱交換器(22)のガス側の端部に繋がる。ガスライン(26)の他端には、ガス側閉鎖弁(46)が接続される。ガスライン(26)には、四方切換弁(24)と圧縮機(21)とが接続される。
【0035】
液ライン(27)は、室外熱交換器(22)における凝縮または放熱後の液冷媒が流れる液管で構成される。液ライン(27)の一端は、室外熱交換器(22)の液端部に繋がる。液ライン(27)の他端には、液側閉鎖弁(47)が接続される。液ライン(27)には、膨張弁(23)が接続される。
【0036】
(2-3-3)圧縮機
圧縮機(21)は、吸入した冷媒を圧縮する。圧縮機(21)は、圧縮した冷媒を吐出する。圧縮機(21)は、スクロール式、揺動ピストン式、ローリングピストン式、スクリュー式などの回転式圧縮機である。圧縮機(21)は、インバータ装置により運転周波数(回転数)が可変に構成される。
【0037】
(2-3-4)室外熱交換器及び室外ファン
室外熱交換器(22)は、本開示の熱源熱交換器(22)の一例である。室外熱交換器(22)は、フィンアンドチューブ式の空気熱交換器である。室外熱交換器(22)は、その内部を流れる冷媒と室外空気とを熱交換させる。
【0038】
室外ファン(25)は、室外において室外熱交換器(22)の近傍に配置される。本例の室外ファン(25)は、プロペラファンである。室外ファン(25)は、室外熱交換器(22)を通過する空気流を発生させる。
【0039】
(2-3-5)四方切換弁
四方切換弁(24)は、冷房サイクルである第1冷凍サイクルと、暖房サイクルである第2冷凍サイクルとを切り換えるように、冷媒回路(11)の流路を変更する。四方切換弁(24)は、冷媒回路(11)の冷媒の流れを逆転させる。四方切換弁(24)は、図1の実線で示す第1状態と、図1の破線で示す第2状態とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室外熱交換器(22)のガス側とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室内熱交換器(31)のガス側とを連通させる。第2状態の四方切換弁(24)は、圧縮機(21)の吐出側と室内熱交換器(31)のガス側とを連通させると同時に、圧縮機(21)の吸入側と室外熱交換器(22)のガス側とを連通させる。
【0040】
(2-3-6)膨張弁
膨張弁(23)は、冷媒を減圧する。膨張弁(23)は、室外回路(11a)において、ガス側閉鎖弁(46)と室外熱交換器(22)の間に配置される。膨張弁(23)は、開度が調節可能な電子膨張弁である。
【0041】
(2-4)室内ユニット
室内ユニット(30)は、室内空間に設置される。図1に示すように、室内ユニット(30)は、室内熱交換器(31)、室内ファン(32)及び圧力センサ(50)を備える。
【0042】
(2-4-1)室内熱交換器及び室内ファン
室内熱交換器(31)は、本開示の利用熱交換器(31)の一例である。室内熱交換器(31)は、室内回路(11b)に接続される。
【0043】
室内熱交換器(31)は、冷媒と室内空気とを熱交換させる。室内熱交換器(31)はフィンアンドチューブ式である。室内ファン(32)は、室内空気を搬送するクロスフローファンである。室内ファン(32)により搬送される空気は、室内熱交換器(31)を通過する。
【0044】
(2-4-2)圧力センサ
圧力センサ(50)は、室内回路(11b)の冷媒の圧力を検出する。具体的に、圧力センサ(50)は、室内回路(11b)のうち、ガス側閉鎖弁(46)と室内熱交換器(31)との間の冷媒配管に設けられる。圧力センサ(50)は、室内熱交換器(31)のガス側の冷媒圧力を検出する。
【0045】
圧力センサ(50)は、例えば静電容量式である。圧力センサ(50)は、図示しないセンサ部と信号処理部とから構成される。センサ部は、可変容量コンデンサであり、冷媒圧力に応じて静電容量を変化させる。信号処理部は、静電容量を電圧値に変換して、後述する制御部(100)に送信(出力)する。
【0046】
(2-4-3)報知装置
空調システム(1)は、報知装置(60)を有する。本例の報知装置(60)は、スピーカである。報知装置(60)は、室内ユニット(30)のケーシング内に設けられる。報知装置(60)は、各種のアラームを発報する。
【0047】
(3)制御部
空調システム(1)は、制御部(100)を有する。制御部(100)は、MCU(Micro Control Unit,マイクロコントローラユニット)、電気回路、電子回路を含む。MCUは、CPU(Central Processing Unit,中央演算処理装置)、メモリ、通信インターフェースを含む。メモリには、CPUが実行するための各種のプログラムが記憶されている。
制御部(100)は、室内ユニット(30)の制御基板(図示省略)に設けられる。制御部(100)は、空調システム(1)の各種の機器と無線または有線の通信線により接続される。制御部(100)は、受信した指令に基づいて、空調システム(1)の各種の機器の運転を制御する。例えば、制御部(100)は、暖房運転を行うように空調システム(1)の各種の機器を制御する。
【0048】
(4)リモートコントローラ
空調システム(1)は、リモートコントローラ(102)を有する。リモートコントローラ(102)は、有線または無線の通信線により制御部(100)に接続される。リモートコントローラ(102)は、ユーザの操作に基づいて、制御部(100)に所定の指令を出力する。
【0049】
(5)空調システムの運転動作
本実施形態の空調システム(1)は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行う。
【0050】
(5-1)冷房運転
冷房運転では、制御部(100)は四方切換弁(24)を第1状態とする。冷房運転では、制御部(100)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、及び室内ファン(32)を運転し、膨張弁(23)の開度を調整する。
【0051】
冷房運転中の冷媒回路(11)は、室外熱交換器(22)が放熱器として機能し、室内熱交換器(31)が蒸発器として機能する冷凍サイクル(冷房サイクル)を行う。
【0052】
(5-2)暖房運転
暖房運転では、制御部(100)が四方切換弁(24)を第2状態とする。暖房運転では、制御部(100)は、圧縮機(21)、室外ファン(25)、及び室内ファン(32)が運転し、膨張弁(23)の開度が調整される。
【0053】
暖房運転中の冷媒回路(11)は、室内熱交換器(31)が放熱器として機能し、室外熱交換器(22)が蒸発器として機能する冷凍サイクル(暖房サイクル)を行う。
【0054】
(6)ポンプダウン運転終了後における課題
空調システム(1)は、ポンプダウン運転を行う。ポンプダウン運転は、室内回路(11b)中の冷媒を室外回路(11a)に移動させる運転である。ポンプダウン運転終了(室内回路(11b)中の冷媒量が実質的にゼロになった)後にガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)を閉じることで、室外回路(11a)側から室内回路(11b)側への冷媒の流入が制限され、安全に室内ユニット(30)を取り外すことができる。
【0055】
しかし、ポンプダウン終了後にガス側閉鎖弁(46)又は液側閉鎖弁(47)が完全に閉じ切っていないと、室外回路(11a)側から室内回路(11b)側へ冷媒が流入するおそれがある。そのような状態で、室内ユニット(30)を取り外すと、ガス側閉鎖弁(46)または液側閉鎖弁(47)から漏れた冷媒が室内空間に流入してしまう。特に、プロパン等の強撚性冷媒のような可燃性冷媒であると室内空間で引火するおそれがある。
【0056】
従って、ポンプダウン終了後にガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)は完全に閉じていることが求められるが、各閉鎖弁(46,47)の開閉を判定することはこれまで検討されてこなかった。
【0057】
上記課題に対して、本実施形態の空調システム(1)では、ポンプダウン運転終了後のガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)の開閉状態の確認を行う。以下、該確認方法について図3を参照しながら説明する。
【0058】
ステップS1では、ポンプダウン運転が開始される。具体的に、作業者の操作によりリモートコントローラ(102)からポンプダウン運転を行う指令が制御部(100)に送信されると、該指令を受信した制御部(100)は、四方切換弁(24)を第1状態に切り換えると共に圧縮機(21)の運転を開始する。さらに、制御部(100)は、膨張弁(23)を全開にする。このようにポンプダウン運転では、冷房運転が行われる。
【0059】
ステップS2では、ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)が開放された状態で、作業者の作業に基づいて液側閉鎖弁(47)のみが閉鎖される。このことで、室内回路(11b)側の冷媒が圧縮機(21)によって吸引され、該冷媒が室外回路(11a)に移動する。
【0060】
ステップS3では、液側閉鎖弁(47)が閉鎖された状態で、作業者によってガス側閉鎖弁(46)が閉鎖される。ステップS3はステップS2から一定時間が経過した後に開始される。一定時間は、室内回路(11b)中の冷媒がすべて室外回路(11a)に回収されたと推測される期間以上であればよい。なお、ステップS1~S3までの工程をポンプダウン運転とする。
【0061】
ステップS4では、ポンプダウン運転が停止する。具体的に、作業者の操作により、リモートコントローラ(102)からポンプダウン運転を停止する指令が制御部(100)に送信されると、該指令を受信した制御部(100)は、圧縮機(21)の運転を停止する。
【0062】
ステップS5では、制御部(100)は、室内回路(11b)の冷媒圧力の変化に基づいて、ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)の開閉を判定する。ステップS5の詳細は後述する。ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)の少なくとも一方が開状態であると判定されたとき(ステップS5のYES)、ステップS6が実行される。ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)が閉状態であると判定されたとき(ステップS5のNO)、ステップS9が実行される。
【0063】
ここで制御部(100)は、ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)のそれぞれについて開閉を判定しない。開状態と判定されたとき、ガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)の少なくとも一方が開状態となっている。また、開状態は、S2及びS3において、作業者の作業によりガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)が閉鎖されても、完全に閉鎖しきれずにわずかに開いている状態をいう。
【0064】
ステップS6では、制御部(100)は、報知装置(60)を作動させる。報知装置(60)は、第1アラーム音を発報する。第1アラーム音は、単なるデジタル音でもよいし、完全に閉鎖弁(46,47)が閉鎖しきれていない旨を報知する音声であってもよい。第1アラームにより、作業者はガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)の少なくとも一方が完全に閉鎖されておらず、冷媒が室内回路(11b)側に漏れていることを認識できる。
【0065】
ステップS7では、作業者の作業によりガス側閉鎖弁(46)が開放され、かつ、液側閉鎖弁(47)がさらに締められる(増し締めされる)。
【0066】
ステップS8では、制御部(100)は、ポンプダウン運転を開始する。具体的に、作業者の操作によりリモートコントローラ(102)からポンプダウン運転を行う指令が制御部(100)に送信される。ステップS8の終了後、再びステップS3が実行される。
【0067】
ステップS9では、制御部(100)は、報知装置(60)を作動させる。報知装置(60)は、第2アラーム音を発報する。第2アラーム音は、単なるデジタル音でもよいし、閉鎖弁(46,47)が閉鎖されたことを報知する音声であってもよい。第2アラームにより、作業者はガス側閉鎖弁(46)及び液側閉鎖弁(47)が完全に閉鎖されて、冷媒が室内回路(11b)側に漏れていないことを認識できる。
【0068】
(7)閉鎖弁の開閉判定の詳細
次にステップS5の詳細について説明する。
【0069】
制御部(100)は、ポンプダウン運転終了(ステップS4終了)後において、第1時点における冷媒圧力である第1圧力P1と、第1時点より後の第2時点における冷媒圧力である第2圧力P2とに基づいて、閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する。第1時点から第2時点までの期間は、例えば2~5分間である。
【0070】
本実施形態では、第1時点は、ポンプダウン終了時から所定の待機期間の経過時である。待機期間は、例えば約10秒間である。制御部(100)は、ポンプダウン終了時(ステップS4終了時)から10秒経過時(第1時点)に、第1圧力P1を取得し、第1圧力取得時から3分間経過時(第2時点)に第2圧力P2を取得する。
【0071】
制御部(100)は、第1圧力P1と第2圧力P2とを比較して、第1圧力P1よりも第2圧力P2の方が高い場合、閉鎖弁(46,47)は開状態であると判定する。一方、第2圧力P2が第1圧力P1以下である場合、制御部(100)は、閉鎖弁(46,47)は閉状態であると判定する。以上の一連のフローについて、図4を参照しながら説明する。
【0072】
ステップS11では、制御部(100)は、待機期間が経過したか判定する。言い換えると、制御部(100)は、ポンプダウン終了時からの時間が第1時点となったかを判定する。第1時点になったと判定された場合(ステップS11のYES)、ステップS12が実行される。第1時点になっていないと判定された場合(ステップS11のNO)、再びステップS11が実行される。
【0073】
ステップS12では、制御部(100)は、圧力センサ(50)から圧力値を取得する。この圧力値は第1圧力P1である。第1圧力P1はメモリに保存される。
【0074】
ステップS13では、制御部(100)は、第2時点になったかを判定する。第2時点になったと判定された場合(ステップS13のYES)、ステップS14が実行される。第2時点となっていないと判定された場合(ステップS13のNO)、再びステップS13が実行される。
【0075】
ステップS14では、制御部(100)は、圧力センサ(50)から圧力値を取得する。この圧力値は第2圧力P2である。第2圧力P2はメモリに保存される。
【0076】
ステップS15では、制御部(100)は、ステップS12で取得した第1圧力P1、及びステップS14で取得した第2圧力P2について、第2圧力P2が第1圧力P1よりも高いか否かを判定する。第2圧力P2が第1圧力P1よりも高いと判定された場合(ステップS15のYES)、制御部(100)は、閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する(ステップS16)。第2圧力P2が第1圧力P1以下であると判定された場合(ステップS15のNO)、制御部(100)は、閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する(ステップS17)。
【0077】
(8)特徴
(8-1)特徴1
本実施形態の空調システム(1)では、室内回路(11b)の冷媒を室外回路(11a)に移動させるポンプダウン運転終了後における、室内回路(11b)の冷媒圧力の変化に基づいて、閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する。
【0078】
本実施形態によると、閉鎖弁(46,47)の開閉に判定により、ポンプダウン運転終了後の室外回路(11a)から室内回路(11b)への冷媒漏れを確認できる。これにより、閉鎖弁(46,47)が全閉であればポンプダウン運転終了後に安全に室内ユニット(30)を取り外すことができ、ひいては室内空間に冷媒が漏れるリスクを低減できる。
【0079】
また、冷媒回路(11)の冷媒が減少することを抑制できるため、冷媒回路(11)中の冷媒充填量を確認したり、冷媒の充填量が足りていない場合、新たに冷媒を補充する手間を省くことができる。
【0080】
(8-2)特徴2
本実施形態の空調システム(1)では、ポンプダウン運転終了後において、第2圧力が第1圧力よりも高い場合、閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する。
【0081】
本実施形態によると、第2圧力が第1圧力よりも高い場合、室内回路(11b)側に冷媒が戻ってきていることがわかる。この判定により、閉鎖弁(46,47)が開いていることを簡便に把握できる。
【0082】
(8-3)特徴3
本実施形態の空調システム(1)では、ポンプダウン運転終了後において、第2圧力が、第1圧力以下である場合、閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する。
【0083】
本実施形態によると、第2圧力が第1圧力以下である場合、室内回路(11b)側に冷媒が戻ってきていないことがわかる。この判定により、閉鎖弁(46,47)が閉じていることを簡便に把握できる。
【0084】
(8-4)特徴4
本実施形態の空調システム(1)では、閉鎖弁(46,47)の開閉の判定に基づいて、閉鎖弁(46,47)が閉じていること及び閉鎖弁(46,47)が開いていることをユーザに報知する。
【0085】
本実施形態によると、報知装置(60)は、閉鎖弁(46,47)が閉じていることを示す第1アラーム音と、閉鎖弁(46,47)が開いていることを示す第2アラーム音を発報する。このことで、ポンプダウン終了後において、第1アラーム音または第2アラーム音のどちらのアラームが発報されるかによりユーザは、閉鎖弁(46,47)の開閉について簡便に把握できる。
【0086】
(8-5)特徴5
本実施形態の空調システム(1)では、圧力センサ(50)は、ガス側閉鎖弁(46)と室内熱交換器(31)との間における冷媒圧力を検出する。
【0087】
本実施形態によると、ポンプダウン運転終了後の圧力変化のみならず、暖房運転時の冷媒の高圧を1つの圧力センサ(50)で検知できる。このように、圧力センサ(50)を、ポンプダウン運転終了後の閉鎖弁の開閉判定と、通常の暖房運転時の高圧判定との両方に活用できるため、圧力センサ(50)を有効利用できる。
【0088】
(8-6)特徴6
本実施形態の空調システム(1)では、冷媒は可燃性冷媒である。このような可燃性冷媒では、ポンプダウン終了後に冷媒が室内回路(11b)側に漏れていると、室内ユニット(30)の取り外しの際に漏れた冷媒が室内空間で引火する恐れがあるが、本実施形態の空調システム(1)により冷媒の漏洩が抑制できるため、このような引火のリスクを低減できる。
【0089】
(9)変形例
以下、変形例の空調システムについて上記実施形態の空調システム(1)と異なる構成について説明する。
【0090】
(9-1)変形例1
図5に示すように、変形例1の空調システム(1)は、室内回路(11b)の冷媒温度を検出する温度センサ(70)を備える。具体的に、温度センサ(70)は、室内回路(11b)のうちガス側閉鎖弁(46)と室内熱交換器(31)との間に設けられる。温度センサ(70)は、室内熱交換器(31)のガス側の冷媒温度を検出する。
【0091】
室内回路(11b)(具体的には室内熱交換器(31)のガス側)の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率をP/Tとする。本例の制御部(100)は、ポンプダウン運転終了時から待機期間経過時(第1時点)における圧力センサ(50)の圧力値(第1圧力P1)と温度センサ(70)の温度値(第1温度T1)とを取得する。このときの冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第1比率(P1/T1)とする。
【0092】
本例の制御部(100)は、第2時点における圧力センサ(50)の圧力値(第2圧力P2)と温度センサ(70)の温度値(第2温度T2)とを取得する。このときの冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を第2比率(P2/T2)とする。
【0093】
制御部(100)は、上記実施形態のフロー(図3参照)のステップS5において、第1比率(P1/T1)及び第2比率(P2/T2)のどちらが高いか判定する。以下、本例の閉鎖弁(46,47)の開閉の判定について、図6を用いて説明する。なお、ステップS5以外のステップは上記実施形態と同一である。
【0094】
ステップS21では、制御部(100)は、ポンプダウン運転終了時からの時間が第1時点となったかを判定する。第1時点になったと判定された場合(ステップS21のYES)、ステップS22が実行される。第1時点になっていないと判定された場合(ステップS21のNO)、再びステップS21が実行される。
【0095】
ステップS22では、制御部(100)は、圧力センサ(50)から圧力値を取得する。この圧力値は第1圧力P1である。第1圧力P1はメモリに保存される。
【0096】
ステップS23では、制御部(100)は、温度センサ(70)から温度値を取得する。この温度値は第1温度T1である。第1温度T1はメモリに保存される。
【0097】
ステップS24では、制御部(100)は、第2時点となったかを判定する。第2時点になったと判定された場合(ステップS24のYES)、ステップS25が実行される。第2時点になっていないと判定された場合(ステップS24のNO)、再びステップS24が実行される。
【0098】
ステップS25では、制御部(100)は、圧力センサ(50)から圧力値を取得する。この圧力値は第2圧力P2である。第2圧力P2はメモリに保存される。
【0099】
ステップS26では、制御部(100)は、温度センサ(70)から温度値を取得する。この温度値は第2温度T2である。第2温度T2はメモリに保存される。
【0100】
ステップS27では、制御部(100)は、ステップS22~S23及びステップS25~S26で取得した第1比率(P1/T1)及び第2比率(P2/T2)について、第2比率が第1比率よりも高いか否かを判定する。第2比率が第1比率よりも高いと判定された場合(ステップS27のYES)、制御部(100)は、閉鎖弁(46,47)が開いていると判定する(ステップS28)。第2比率が第1比率以下であると判定された場合(ステップS27のNO)、制御部(100)は、閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する(ステップS29)。
【0101】
このように本例では、冷媒圧力及び冷媒温度に基づいて、閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する。状態方程式(PV=nRT;Pは圧力、Vは体積、nはモル数、Rは定数及びTは温度を示す)に、冷媒圧力及び冷媒温度をパラメータとして代入することで冷媒の体積を求めることができ、上記実施形態の冷媒圧力のみの場合よりもより正確に閉鎖弁(46,47)の開閉判定を行うことができる。このことで、閉鎖弁(46,47)の開閉について誤検知を抑制できる。
【0102】
(9-2)変形例2
変形例2の空調システム(1)は、制御部(100)は、ポンプダウン運転終了後における、室内回路(11b)の冷媒圧力に基づいて、閉鎖弁(46,47)の開閉を判定する。具体的に、本例の制御部(100)は、ポンプダウン運転終了後における所定の時点の冷媒圧力Pが、第1所定値よりも大きい場合、閉鎖弁(46,47)が開いていると判定し、第1所定値以下である場合、閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定する。
【0103】
温度センサ(70)を備えている空調システム(1)において、制御部(100)は、ポンプダウン運転終了後における所定の時点の冷媒温度に対する冷媒圧力の比率(P/T)が、第2所定値よりも大きい場合、閉鎖弁(46,47)が開いていると判定し、第2所定値以下である場合、閉鎖弁(46,47)が閉じていると判定してもよい。第1所定値及び第2所定値は、任意の値である。
【0104】
(10)その他の実施形態
上記実施形態及び上記変形例1において、制御部(100)は、第1時点及び第2時点の冷媒圧力、または冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を取得するが、これに限定されない。制御部(100)は、第2時点よりも後の第3時点の冷媒圧力、または冷媒温度に対する冷媒圧力の比率を取得してもよい。このように、第1時点、第2時点及び第3時点の3点の冷媒圧力、または冷媒温度に対する冷媒圧力を比較することで、より正確に閉鎖弁(46,47)の開閉判定ができると共に、閉鎖弁(46,47)の開閉の誤検知を抑制できる。なお、制御部(100)が取得する冷媒圧力、または冷媒温度に対する冷媒圧力の比率は、4点以上であってもよい。
【0105】
上記実施形態及び上記変形例1において、第2圧力P2が第1圧力P1よりも高く、かつ、P2とP1との差が所定値以上である場合、閉鎖弁(46,47)は開いていると判定してもよい。同様に、上記変形例において、第2比率(P2/T2)が第1比率(P1/T1)よりも高く、かつ、第2比率と第1比率との差が所定値以上である場合、閉鎖弁(46,47)は開いていると判定してもよい。このような所定値を設けることで、閉鎖弁(46,47)の開閉の誤検知を抑制できる。
【0106】
上記実施形態及び上記変形例1において、ポンプダウン運転終了時を第1時点としてもよい。すなわち、待期期間を設けずに、制御部(100)は第1圧力P1、または第1比率(P1/T1)を取得してもよい。
【0107】
上記実施形態及び上記各変形例において、作業者の操作に基づいて、第1時点または第2時点の冷媒圧力、または冷媒圧力及び冷媒温度が取得されてもよい。
【0108】
上記実施形態及び上記各変形例において、空調システム(1)は圧力センサ(50)を有していなくてもよい。この場合、空調システム(1)は、室内回路(11b)の冷媒温度を検出する温度センサ(70)を有し、冷媒圧力(第1圧力及び第2圧力を含む)は、冷媒温度に基づいて求めてもよい。
【0109】
上記実施形態及び上記各変形例において、冷媒は、R32やR1234yf等のフロン系の冷媒、不燃性のHFC冷媒であってもよい。
【0110】
上記実施形態及び上記各変形例において、制御部(100)は、室外ユニット(20)の制御基板(図示省略)に設けれられてもよい。または、制御部(100)は、室内ユニット(30)の制御基板と室外ユニット(20)の制御基板の双方に設けられ、相互に連携するように構成されていてもよい。例えば、圧力センサ(50)の検出値を受信した室内ユニット(30)の制御基板が室外ユニット(20)の制御基板に送信し、室外ユニット(20)の制御基板が閉鎖弁(46,47)の開閉の判定を行うように構成されてもよい。制御部(100)は、リモートコントローラ(102)の制御基板に設けれてもよい。
【0111】
報知装置(60)は、リモートコントローラ(102)に設けられるディスプレイであってもよい。ディスプレイに、閉鎖弁(46,47)が完全に閉鎖できていないこと、または、閉鎖弁(46,47)が閉鎖できていることが表示されてもよい。
【0112】
以上、実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態及び変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」及び「第3」という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本開示は、空調システムについて有用である。
【符号の説明】
【0114】
1 空調システム
11 冷媒回路
11a 室外回路(熱源回路)
11b 室内回路(利用回路)
20 室外ユニット(熱源ユニット)
21 圧縮機
22 室外熱交換器(熱源熱交換器)
30 室内ユニット(利用ユニット)
31 室内熱交換器(利用熱交換器)
46 ガス側閉鎖弁(閉鎖弁)
47 液側閉鎖弁(閉鎖弁)
図1
図2
図3
図4
図5
図6