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特開2023-173584コミュニケーション支援システム及びオフィス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173584
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援システム及びオフィス
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/15 20060101AFI20231130BHJP
   G06F 3/04815 20220101ALI20231130BHJP
   H04M 3/56 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H04N7/15
G06F3/04815
H04M3/56 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085929
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】西本 昌悟
(72)【発明者】
【氏名】古賀 貴秀
【テーマコード(参考)】
5C164
5E555
5K201
【Fターム(参考)】
5C164FA10
5C164GA07
5C164UB81S
5C164VA02S
5C164VA07P
5E555AA27
5E555AA61
5E555BA11
5E555BB11
5E555BC01
5E555CA42
5E555CA47
5E555CB64
5E555DA11
5E555DA23
5E555DB57
5E555DC23
5E555DC43
5E555FA00
5K201BA15
5K201BB09
5K201CA06
(57)【要約】
【課題】執務地にいる執務者が、当該執務地とは別の執務地にいる遠隔執務者と現実空間内でコミュニケーションを取る際、当該コミュニケーションを双方にとって円滑なものにすることができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】コミュニケーション支援システム30は、執務地10に配置されて遠隔執務者90に応じた立体映像91を、前記執務地10における執務者80が存在しない空間に表示する立体映像表示部31と、前記執務地10に配置されて前記執務者80の音声を取得する音声取得部34を含み、前記執務地10において前記立体映像91が表示される表示位置に応じた表示位置リアルタイム状況を取得する執務地内リアルタイム状況取得部と、前記執務地10に配置されて前記遠隔執務者90の音声を出力する音声出力部36と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
執務地に執務する執務者と、前記執務地とは異なる遠隔執務地に執務する遠隔執務者との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援システムであって、
前記執務地に配置されて前記遠隔執務者に応じた立体映像を、前記執務地における前記執務者が存在しない空間に表示する立体映像表示部と、
前記執務地に配置されて前記執務者の音声を取得する音声取得部を含み、前記執務地において前記立体映像が表示される表示位置に応じた表示位置リアルタイム状況を取得する執務地内リアルタイム状況取得部と、
前記執務地に配置されて前記遠隔執務者の音声を出力する音声出力部と、
を備える、コミュニケーション支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコミュニケーション支援システムであって、
前記立体映像表示部は、前記立体映像として、前記遠隔執務者のリアルタイム状況に応じたリアルタイム映像を表示する、コミュニケーション支援システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコミュニケーション支援システムであって、
前記立体映像表示部は、前記執務地に設けられる什器又は前記執務地の天井に配置される、コミュニケーション支援システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のコミュニケーション支援システムであって、
前記立体映像表示部は、複数の前記遠隔執務者を互いに重ならないように前記空間に表示する、コミュニケーション支援システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のコミュニケーション支援システムであって、
前記執務地内リアルタイム状況取得部は、前記執務地に配置されて前記執務地を撮影する撮影部を備え、
前記表示位置リアルタイム状況は、前記撮影部の撮影映像に基づく映像であって、前記立体映像の前記表示位置に応じた表示位置リアルタイム映像を含む、コミュニケーション支援システム。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のコミュニケーション支援システムであって、
前記表示位置リアルタイム状況は、前記音声取得部の取得した音声に基づく音声であって、前記立体映像の前記表示位置に応じた表示位置リアルタイム音声を含む、コミュニケーション支援システム。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のコミュニケーション支援システムであって、
前記遠隔執務地に配置されて前記遠隔執務者を撮影する遠隔執務地側撮影部と、
前記遠隔執務地に配置されて前記遠隔執務者の前記音声を取得する遠隔執務地側音声取得部と、
前記遠隔執務地に配置されて前記執務者の前記音声を出力する遠隔執務地側音声出力部と、
を備える、コミュニケーション支援システム。
【請求項8】
請求項5に記載のコミュニケーション支援システムであって、
第1の前記遠隔執務者に提供される前記表示位置リアルタイム映像のうち第2の前記遠隔執務者の前記表示位置に対応する位置に第2の前記遠隔執務者に応じた表示が合成される、コミュニケーション支援システム。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載のコミュニケーション支援システムを備える、オフィス。
【請求項10】
請求項9に記載のオフィスであって、
複数の前記遠隔執務者の前記立体映像が表示される映像表示領域が、前記執務者が執務する執務領域とは異なる領域に専用に設けられている、オフィス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、コミュニケーション支援システム及びオフィスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、1又は複数のユーザに対して仮想空間を提供する仮想空間提供システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-107160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、互いに異なる位置にいるユーザ同士が、仮想空間内で円滑にコミュニケーションをとることができる。
【0005】
執務地にいる執務者が、現実空間内で、当該執務地とは別の執務地にいる執務者とコミュニケーションをとる際、当該コミュニケーションが双方にとって円滑であることが望まれている。
【0006】
そこで、本開示は、執務地にいる執務者が、当該執務地とは別の執務地にいる遠隔執務者と現実空間内でコミュニケーションを取る際、当該コミュニケーションを双方にとって円滑なものにすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、コミュニケーション支援システムは、執務地に執務する執務者と、前記執務地とは異なる遠隔執務地に執務する遠隔執務者との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援システムであって、前記執務地に配置されて前記遠隔執務者に応じた立体映像を、前記執務地における前記執務者が存在しない空間に表示する立体映像表示部と、前記執務地に配置されて前記執務者の音声を取得する音声取得部を含み、前記執務地において前記立体映像が表示される表示位置に応じた表示位置リアルタイム状況を取得する執務地内リアルタイム状況取得部と、前記執務地に配置されて前記遠隔執務者の音声を出力する音声出力部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
このコミュニケーション支援システムによると、執務地にいる執務者が、当該執務地とは別の執務地にいる遠隔執務者と現実空間内でコミュニケーションを取る際、当該コミュニケーションが双方にとって円滑なものとなる。なお、「執務者が存在しない空間」とは、物理的に執務者を外した空間のことであり、執務者と重複しないように立体映像を表示することが可能な空間である。例えば、執務者が位置していない床面上の空間や、執務者が着座していない椅子上の空間、又はデスクの天板のうち執務者が使用していない領域の周囲の空間などが該当する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コミュニケーション支援システムを示す説明図である。
図2】コミュニケーション支援システムの電気的構成を示すブロック図である。
図3】遠隔執務者と表示位置との関係を示すテーブルの一例を示す図である。
図4】執務スペースにおけるコミュニケーション支援システムの構築例を示す説明図である。
図5】執務者の視点の一例を示す図である。
図6】カメラによる撮像画像の一例を示す図である。
図7】コミュニケーション支援システムを用いてコミュニケーションを行う様子を示す説明図である。
図8】執務者の視点を説明する図である。
図9】第1の遠隔執務者の表示位置に応じた撮像画像の一例を示す図である。
図10】第2の遠隔執務者の表示位置に応じた撮像画像の一例を示す図である。
図11】オフィスにおけるコミュニケーション支援システムの構築例の変形例を示す説明図である。
図12】カメラによる撮像画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るコミュニケーション支援システム及びこれを備えるオフィスについて説明する。
【0011】
<全体構成>
コミュニケーション支援システムの全体構成について説明する。図1はコミュニケーション支援システム30を示す説明図である。
【0012】
コミュニケーション支援システム30は、執務地10に執務する執務者80と、執務地10とは異なる遠隔執務地20に執務する遠隔執務者90との間のコミュニケーションを支援する。ここで執務とは、職業又は営業上の業務だけではなく、学校又は図書館等における学習、実技、読書等を含む広い活動全般を指す。例えば、執務は、机上での作業、座ったまま又は立ち止ったままなされ得る各種活動全般を意味する。
【0013】
執務地10と遠隔執務地20とは、互いに離れた地点を区別するための語であり、執務地10と遠隔執務地20との距離は如何なる距離であってもよい。例えば、執務地10と遠隔執務地20とは、互いに異なる都市に設定されてもよいし、同じ都市内の互いに異なる建物に設定されてもよいし、同じ建物内の互いに異なる部屋に設定されてもよい。遠隔執務地20の数は、一又は複数であり、特に限定されない。
【0014】
執務者80と遠隔執務者90とは、互いに離れた地点で執務を行う者同士を区別する語である。執務者80と遠隔執務者90との関係は如何なる関係であってもよいが、例えば、執務者80と遠隔執務者90とは、執務上のことなどについて相談する関係にあることが想定される。例えば、執務者80と遠隔執務者90とは、互いに異なる組織に属してもよいし、同じ組織内の互いに異なる部署に属してもよいし、同じ部署に属してもよい。また、例えば、執務者80と遠隔執務者90との関係は、互いに同僚の関係であってもよいし、一方が上司で他方が部下である関係であってもよい。また例えば、執務者80と遠隔執務者90との関係は、一方がサービスを提供し、他方が当該サービスを受ける関係などであってもよい。執務者80の数及び遠隔執務者90の数は、それぞれ一又は複数であり、特に限定されない。執務者80の数が遠隔執務者90の数よりも多くてもよいし、少なくてもよいし、同数であってもよい。遠隔執務者90が複数の場合、複数の遠隔執務者90は同じ遠隔執務地20に執務してもよいし、互いに異なる遠隔執務地20に執務してもよい。
【0015】
執務地10には、執務スペース11が設けられる。執務スペース11において、執務者80が執務する。執務スペース11における執務者80の配置としては、固定席方式が採用されてもよいし、フリーアドレス方式(ノンテリトリアルオフィス方式などともいう)が採用されてもよい。固定席方式では、執務スペース11に執務者80の専用什器(例えば、執務者80の専用机13、椅子15など)が設けられ、執務者80は個々の専用什器の位置にて執務する。フリーアドレス方式では、執務スペース11に執務者80の専用什器が設けられない代わりに、複数の執務者80の共用什器(例えば、複数の執務者80の共用机、椅子など)が設けられ、執務者80はあいている共用什器にて執務する。
【0016】
複数の執務者80のうち少なくとも一部の執務者80が、日によって執務地10での執務と遠隔執務地20での執務とを選択可能であってもよい。日によって執務地10での執務と遠隔執務地20での執務とを選択可能な執務者80がおらず、執務者80及び遠隔執務者90それぞれの執務箇所が固定されていてもよい。執務者80は執務地10内の端末(以下、内部端末という)を利用して執務を行ってもよい。遠隔執務者90は遠隔執務地20内の端末(以下、外部端末50という)を利用して執務を行ってもよい。内部端末、及び、外部端末50は、例えば、デスクトップパソコン又はノートパソコン等のパーソナルコンピュータであってもよいし、スマートフォンなどであってもよい。
【0017】
本実施形態では、執務地10がオフィス10であるものとして説明する。遠隔執務地20は、遠隔執務者90の自宅又はオフィス10とは別のオフィスなどが想定される。
【0018】
コミュニケーション支援システム30は、立体映像表示部31と執務地内リアルタイム状況取得部と音声出力部36とを備える。立体映像表示部31と執務地内リアルタイム状況取得部と音声出力部36とは、それぞれ執務地10に配置される。
【0019】
立体映像表示部31は、遠隔執務者90に応じた立体映像91を、執務地10における執務者80が存在しない空間に表示する。「執務者80が存在しない空間」とは、物理的に執務者80を外した空間のことであり、執務者80と重複しないように立体映像を表示することが可能な空間である。例えば、執務者80が位置していない床面上の空間や、執務者が着座していない椅子上の空間、又はデスクの天板のうち執務者が使用していない領域の周囲の空間などが該当する。図1において、立体映像91Xは遠隔執務者90Xに応じた映像であり、立体映像91Yは遠隔執務者90Yに応じた映像である。立体映像表示部31は、執務地10に設けられる什器又は執務地10の天井12に配置される。
【0020】
立体映像表示部31は、立体映像91を表示可能であれば、如何なるものであってもよい。立体映像表示部31は、3Dホログラムによる立体映像を表示するものであってもよいし、3Dホログラム状の立体映像を表示するものであってもよい。なお、本開示では、光の位相を用いる立体映像を3Dホログラムによる立体映像とし、光の位相を用いない立体映像を3Dホログラム状の立体映像とする。立体映像91が3Dホログラム状のものである場合、立体映像表示部31としては、例えば、投影媒体としての平面状の透過型スクリーンと当該透過型スクリーンに立体映像91を投影するプロジェクタ装置とを有するいわゆるペッパーゴースト型の表示装置、又は、複数のLEDが並んだブレードを回転させることによって立体映像91を表示するいわゆるブレード型の表示装置などであってもよい。そのほか、投影媒体としての透過型スクリーンが、ピラミッド状又は円筒状などの表示装置であってもよい。
【0021】
執務地内リアルタイム状況取得部は、執務地10において立体映像91が表示される表示位置に応じた表示位置リアルタイム状況を取得する。表示位置リアルタイム状況は、当該表示位置に対応する遠隔執務者90に提供される。複数の遠隔執務者90がそれぞれ異なる表示位置に表示される場合、複数の遠隔執務者90が受け取る表示位置リアルタイム状況は、互いに異なるものとなる。執務地内リアルタイム状況取得部は、音声取得部34及び撮影部35を含む。音声取得部34は、執務者80の音声を取得する。ここでは音声取得部34は、一又は複数のマイク34を含む。撮影部35は、執務地10を撮影する。ここでは撮影部35は、一又は複数のカメラ35を含む。
【0022】
音声出力部36は、遠隔執務者90の音声を出力する。ここでは、音声出力部36は、一又は複数のスピーカ36を含む。
【0023】
ここでは、カメラ35、マイク34及びスピーカ36が一体化されてカメラユニット33とされている。ここでは、複数の遠隔執務者90それぞれの立体映像91の表示位置にカメラユニット33が配置される。
【0024】
<コミュニケーション支援システムのブロック図>
図2はコミュニケーション支援システム30の電気的構成を示すブロック図である。コミュニケーション支援システム30は、執務スペース11に設置された機器を制御する制御装置40を備える。制御装置40は、例えば、プロセッサ41と、記憶装置42等を備えるコンピュータによって構成される。プロセッサ41は、プログラムに従って演算処理を実行する電気回路を備える。記憶装置42は、磁気記録媒体、フラッシュメモリ等の不揮発メモリである。記憶装置42に、制御装置40が執務地10の機器を制御するための手順を定める執務地用プログラム42aが記憶されている。プロセッサ41が執務地用プログラム42aに基づいて演算処理を実行することで、制御装置40がカメラ35、マイク34、スピーカ36及び表示装置32をマンマシンインターフェースとして、執務者80と遠隔執務者90との間のコミュニケーションのための処理を実行する。
【0025】
カメラ35、マイク34、スピーカ36及び表示装置32が制御装置40に接続される。制御装置40と、カメラ35、マイク34、スピーカ36及び表示装置32との接続は、有線接続であってもよいし、無線接続であってもよい。有線接続としては、汎用性が高いUSB規格、専ら映像信号に向けられたHDMI(登録商標)規格、音声信号に向けられた音声入力端子の規格等、接続先となる機器に応じて各種有線接続方式を採用することができる。無線接続としては、Bluetooth(登録商標)規格、Wi-Fi(登録商標)規格等に基づく接続方式を採用することができる。
【0026】
制御装置40は、ネットワーク60を介して遠隔執務者90側の外部端末50に通信可能に接続される。ネットワーク60は、中継装置及びインターネット等が含まれる。ネットワーク60には、公衆回線が含まれてもよいし、専用回線が含まれてもよい。ネットワーク60には、Wi-Fi等の無線LAN(Local Area Network)が含まれてもよい。
【0027】
外部端末50も、制御装置40と同様に、プロセッサ51と、制御プログラムを記憶した記憶装置52とを備えるコンピュータによって構成される。外部端末50は、表示装置53、遠隔執務地側撮影部54としてのカメラ54、遠隔執務地側音声取得部55としてのマイク55及び遠隔執務地側音声出力部56としてのスピーカ56を備えている。表示装置53は、撮影部35が撮影した執務地10の画像を表示する。表示装置53は、液晶表示装置、有機EL(electro-luminescence)表示装置、ブラウン管表示装置、プロジェクタ表示装置等である。カメラ54は、遠隔執務者90を撮影する。カメラ54は、一又は複数設けられる。マイク55は、遠隔執務者90の音声を取得する。マイク55が取得した音声が、執務地10のスピーカ36から出力される。マイク55は、一又は複数設けられる。スピーカ56は、執務者80の音声を出力する。ここではスピーカ56は、執務地10においてマイク34が取得した音声を出力する。
【0028】
ここでは、表示装置53、カメラ54、マイク55、及びスピーカ56は、外部端末50に取付けられているものとして説明する。表示装置53、カメラ54、マイク55及びスピーカ56は、外部端末50に内蔵された構成であってもよいし、無線又は有線によって外部端末50に接続される構成であってもよい。表示装置53、カメラ54、マイク55及びスピーカ56の少なくとも一つは、外部端末50とは別に設けられていてもよい。
【0029】
制御装置40は、複数の表示位置のうちある立体映像91に対応する表示位置にかかるリアルタイム状況を、当該表示位置に対応する遠隔執務者90に提供する。この際、制御装置40は、遠隔執務者90と、当該遠隔執務者90の立体映像91の表示位置との関係を示すテーブル又はマップなどを作成してもよい。図3は、遠隔執務者90と立体映像91の表示位置との関係を示すテーブルの一例を示す図である。当該テーブルは、執務者80に公開されてもよい。例えば、当該テーブルは、オフィス10内のネットワークにおいて、執務者80の使用する端末からアクセス可能なサーバ等に保存されてもよい。執務者80は、当該テーブルを見て、特定の遠隔執務者90の立体映像91の表示位置を把握してもよい。例えば、制御装置40は、遠隔執務者90に関する情報を取得して、当該遠隔執務者90の立体映像91の表示位置として、所定の位置又は空いている表示位置のうち任意の位置を割り当ててもよい。制御装置40は、当該遠隔執務者90の立体映像91の表示位置として割り当てた位置に立体映像91を表示するように立体映像表示部31に指令を出してもよい。遠隔執務者90に関する情報は、例えば遠隔執務者90が外部端末50を通じて執務を開始したときに、外部端末50からの信号を制御装置40が受信するなどして取得してもよい。またこのとき、制御装置40は、遠隔執務者90と、当該遠隔執務者90の立体映像91の表示位置との関係を示す上記テーブル等を作成又は更新してもよい。
【0030】
立体映像表示部31、遠隔執務地側撮影部54及び執務地内リアルタイム状況取得部についてより具体的に説明する。
【0031】
<立体映像表示部>
立体映像表示部31は、執務者80が肉眼(裸眼)で見える立体映像91を表示する。立体映像91は、実写(リアルイメージ)でもよいし、アバターなどのコンピュータグラフィックスでもよい。立体映像91がコンピュータグラフィックスの場合、複数の立体映像91は、名前などの表示なしで複数の立体映像91から複数の遠隔執務者90を見分けられる程度に、互いに異なる表示に設定されてもよい。例えば、立体映像91は、顔、髪形、体格等が、遠隔執務者90の実際の顔、髪形、体格等に応じて設定されてもよい。また、立体映像91は、予め準備された髪型、体格等を有する人物モデルに、遠隔執務者90の実際の顔に応じた顔画像を合成したものであってもよい。また、複数の立体映像91は、複数の遠隔執務者90によらず互いに同じ輪郭を有しつつ、名前などの表示が異なることによって複数の遠隔執務者90を区別可能であってもよい。立体映像91は、動画でもよいし、静止画でもよいし、これらが切り替えられてもよい。静止画の場合、同一の静止画のままでもよいし、遠隔執務者90のポーズなどが互いに異なる複数の静止画が切り替えられてもよい。
【0032】
立体映像91は、実物が観察されるときと同様に、360度どこからでも観察でき、かつ、観察者の観察角度によって、異なる向きが見えるものであってもよい。つまり、立体映像91に映る遠隔執務者90の正面から観察された場合、立体映像91に映る遠隔執務者90の正面の顔が観察され、横から観察された場合、立体映像91に映る遠隔執務者90の横顔が観察されてもよい。例えば、立体映像91が3Dホログラムによる映像の場合、立体映像91は、観察者の観察角度によって、異なる向きが見える。また、ピラミッド状、又は、円筒状などの透過型スクリーンを用いた表示装置でも、立体映像91は、観察者の観察角度によって、異なる向きが見えうる。
【0033】
立体映像91は、平面映像が観察されるときと同様に、正面方向から観察されるのに適したものであってもよい。この場合、観察角度によっては、立体映像91を観察できないこともあり得る。例えば、立体映像91がいわゆるペッパーゴースト型又はブレード型の3Dホログラム状の映像の場合、立体映像91は、平面映像が観察されるときと同様に、正面方向から観察されることに適したものとなる。
【0034】
立体映像91の向きは、遠隔執務者90の向きと同期してもよい。つまり、遠隔執務者90の向きを変えたときに、立体映像91も同様に向きを変えてもよい。例えば、執務者80が立体映像91の横又は後ろから話しかけたとき、遠隔執務者90が横又は後ろを向くのと同じ動きを立体映像91がしてもよい。この場合、遠隔執務者90の表示装置53は、遠隔執務者が装着するVRゴーグルなど遠隔執務者90の向きと同期するように構成されていてもよい。また、遠隔執務者90の表示装置53は、遠隔執務者90が向きを変化させても見えるように、曲面ディスプレイ又は複数配置などされていてもよい。立体映像91の向きは、遠隔執務者90の向きと同期していなくてもよい。立体映像91は、遠隔執務者90の向きによらずに向きを変えてもよいし、常に一定向きであってもよい。立体映像91が、遠隔執務者90の動きと関係なく、話しかけてくる執務者80の方を向くように向きを変えてもよい。なお、立体映像91に対して、話しかけてくる執務者80の方向は、マイク34によって取得される音声の方向から分かり得る。
【0035】
立体映像表示部31は、状況によって立体映像91を切り替えてもよい。例えば、立体映像表示部31は、遠隔執務者90のコミュニケーションの状況によって立体映像91を切り替えてもよい。具体的には、執務者80と遠隔執務者90とがコミュニケーションをとっていないときに立体映像表示部31は静止画などを表示し、執務者80と遠隔執務者90とがコミュニケーションをとっているときに立体映像表示部31は動画を表示するなどしてもよい。
【0036】
ここでは立体映像表示部31は、複数の表示装置32を含む。表示装置32が設けられる位置は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、表示装置32は、オフィス10の壁又は天井12などに設けられてもよい。また例えば表示装置32は、オフィス10に設置された什器などに設けられてもよい。図1に示す例では、天井12に設けられる表示装置32と、椅子16に設けられる表示装置32とが描かれているが、いずれか一方のみであってもよい。
【0037】
表示装置32による立体映像91の表示位置は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、表示位置は、什器のある位置であってもよいし、什器のない位置などであってもよい。什器は、1人用であってもよいし、複数人用であってもよい。什器は、遠隔執務者90の立体映像91のために専用に設けられたものであってもよいし、執務者80と遠隔執務者90の立体映像91との共用であってもよい。什器は、デスク、テーブル、椅子、ベンチ又はソファなどであってもよい。具体的には、什器は、遠隔執務者の立体映像91専用の一人用デスクであってもよいし、複数人用テーブルであってもよい。また例えば、什器は、遠隔執務者90の立体映像91専用の一人用チェアであってもよいし、複数人用ベンチであってもよいし、複数人用ソファであってもよい。
【0038】
ここでは、立体映像表示部31は、立体映像91として、遠隔執務者90のリアルタイム状況に応じたリアルタイム映像を表示する。遠隔執務者90のリアルタイム状況に応じたリアルタイム映像は、例えば、カメラ54の撮像画像に基づいて取得される。
【0039】
立体映像表示部31が表示する立体映像91は、例えば、カメラ54の撮像画像に基づいて立体映像作成部が作成してもよい。立体映像作成部は、執務地10に設けられてもよいし、執務地10の外(サーバ、遠隔執務地20等)に設けられてもよい。
【0040】
立体映像表示部31は、複数の遠隔執務者90の立体映像91を互いに重ならないように映像表示領域18における空間に表示する。ここで、複数の遠隔執務者90は、1つの遠隔執務地20のカメラ54に映り込む複数の遠隔執務者90ではなく、例えば、互いに異なる遠隔執務地20に執務する複数の遠隔執務者90である。
【0041】
<遠隔執務地側撮影部>
遠隔執務地側撮影部54は、立体映像表示部31が表示する映像に応じて、遠隔執務者90を撮像するように構成されているとよい。
【0042】
例えば、立体映像表示部31が遠隔執務者90のリアルタイム映像を表示する場合、遠隔執務地側撮影部54は、遠隔執務者90のリアルタイム映像を作成可能に、遠隔執務者90を撮像するように構成されているとよい。この場合、例えば、遠隔執務地側撮影部54は、遠隔執務者90を複数の角度から撮像する複数の撮像カメラを含んでもよい。複数の撮像カメラが撮像した画像から遠隔執務者90のリアルタイム映像が作成される。また、例えば、遠隔執務地側撮影部54は、遠隔執務者90の画像を撮像する撮像カメラと、遠隔執務者90との距離を測定する深度カメラとを含んでもよい。撮像画像と、深度画像とから遠隔執務者90のリアルタイム映像が作成される。なお、リアルタイム映像は、リアルイメージであってもよいし、アバターなどの映像であってもよい。後者の場合、遠隔執務地側撮影部54は、遠隔執務者90の身体動作を認識可能に構成されたモーションキャプチャであってもよい。
【0043】
<リアルタイム状況取得部>
リアルタイム状況取得部が取得する表示位置リアルタイム状況は、ここでは表示位置リアルタイム音声及び表示位置リアルタイム映像を含む。表示位置リアルタイム音声は、音声取得部34の取得した音声に基づく音声であって、立体映像91の表示位置に応じた音声である。例えば、複数の立体映像91の表示位置から音声を観測した場合、音声の発出位置に対する位置の違いにより、音量が異なったり、音声が聞こえてくる方向が異なったりする。リアルタイム状況取得部は、音声発出位置に対する立体映像91の表示位置に応じて音量の大小及び聞こえてくる方向の少なくとも1つを把握可能な情報を含む表示位置リアルタイム音声を取得する。表示位置リアルタイム映像は、撮影部35の撮影映像に基づく映像であって、立体映像91の表示位置に応じた映像である。例えば、表示位置リアルタイム映像は、立体映像91の表示位置を基準として、当該表示位置の周りを認識可能な情報を提供する映像であってもよい。複数の表示位置にかかる複数の表示位置リアルタイム映像は、互いに異なる映像となる。
【0044】
もっとも、表示位置リアルタイム状況は、表示位置リアルタイム音声のみを含んでもよい。この場合、遠隔執務者90には映像は提供されなくてもよい。また、複数の遠隔執務者90に同じ映像が提供されてもよい。また、複数の遠隔執務者90にそれぞれの表示位置に応じたリアルタイムでない映像が提供されてもよい。
【0045】
また、表示位置リアルタイム状況は、表示位置リアルタイム映像のみを含んでもよい。この場合、複数の遠隔執務者90に同じ音声が提供されてもよい。
【0046】
表示位置リアルタイム音声は、立体映像91を映す什器に設置された専用マイクから取得されてもよい。表示位置リアルタイム音声は、複数のマイクを用いて取得されてもよい。モノラルマイクの位置と表示位置との差から算出されてもよい。
【0047】
表示位置リアルタイム映像は、立体映像91を映す什器に設置された専用カメラから取得されてもよい。表示位置リアルタイム映像は、複数のカメラを用いた自由視点映像から取得されてもよい。執務者80が立体映像91における遠隔執務者90の顔の向きを認識可能であり、かつ、立体映像91における遠隔執務者90の顔の向きが遠隔執務地20における遠隔執務者90の実際の顔の向きに応じて変化してもよい。この場合、表示位置リアルタイム映像として、立体映像91における遠隔執務者90の顔の向きに応じた映像が取得されてもよい。例えば、立体映像91における遠隔執務者90の顔の向きが執務地10において第1方向を向いていた場合、表示位置リアルタイム映像としてカメラ35が第1方向の画像を取得する。また、立体映像91における遠隔執務者90の顔の向きが執務地10において第1方向とは異なる第2方向を向いていた場合、表示位置リアルタイム映像としてカメラ35が第2方向の画像を取得する。もしくは、カメラ35が広角カメラであり、広角カメラの撮像画像のうち立体映像91における遠隔執務者90の顔の向きに応じた一部の範囲の画像を遠隔執務者90に送信してもよい。
【0048】
表示位置リアルタイム状況は、カメラ35又はマイク34が取得したデータそのものであってもよいし、カメラ35又はマイク34が取得したデータが加工された加工データであってもよい。加工データの場合、データの加工は、執務地10で行われてもよいし、執務地10の外(サーバ、遠隔執務地20等)で行われてもよい。
【0049】
複数の表示位置それぞれにおいて、対応する表示位置リアルタイム状況が取得される。複数の表示位置リアルタイム状況が互いに異なる。具体的には、図1に示すように、第1遠隔執務者90Xの立体映像91Xが第1表示位置に表示され、第2遠隔執務者90Yの立体映像91Yが第1表示位置とは別の第2表示位置に表示される場合、リアルタイム状況取得部は、第1表示位置に応じた第1表示位置リアルタイム状況と、第2表示位置に応じた第2表示位置リアルタイム状況とを取得する。そして、第1遠隔執務者90Xには第1表示位置に応じた第1表示位置リアルタイム状況が提供され、第2遠隔執務者90Yには第2表示位置に応じた第2表示位置リアルタイム状況が提供される。
【0050】
執務者80が特定の遠隔執務者90の立体映像91と会話する際、執務者80の音声は執務地10に散在する複数のマイク34に入力される。このとき、特定の遠隔執務者90の立体映像91に関連付けられたマイク34の入力値が、他の遠隔執務者90の立体映像91に関連付けられたマイク34の入力値よりも大きくなる。また、特定の遠隔執務者90の音声は執務地10に散在する複数のスピーカ36のうち、特定の遠隔執務者90の立体映像91の表示位置に関連付けられたスピーカ36から選択的に出力される。
【0051】
例えば、図1において、執務者80が立体映像91Xの前に立って立体映像91Xと会話する際、立体映像91Xの表示位置に関連付けられたカメラユニット33(図1の紙面上において立体映像91Xの右にあるカメラユニット33)のマイク34の入力値が、立体映像91Yの表示位置に関連付けられたカメラユニット33(図1の紙面上において立体映像91Yの左にあるカメラユニット33)のマイク34の入力値よりも小さくなる。遠隔執務者90X、90Yのスピーカ56には、それぞれの表示位置に関連付けられたマイク34の音声が送られる。従って、遠隔執務者90X、90Yは、執務者80の音量の大きさから執務者80から話しかけられているかどうかを認識しやすい。また、マイク34が音声発出位置を取得し、かつ、遠隔執務者90X、90Yのスピーカ56がステレオスピーカーなどであって音声発出位置に応じた音声を出力可能であれば、遠隔執務者90X、90Yは、執務者80の音声の方向から執務者80から話しかけられているかどうかを認識しやすい。
【0052】
また、遠隔執務者90Xの音声は、遠隔執務者90Xの立体映像91Xの表示位置に関連付けられたカメラユニット33(図1の紙面上において立体映像91Xの右にあるカメラユニット33)のスピーカ36から選択的に出力される。
【0053】
なお、複数の表示装置32のそれぞれが、互いに別のマイク付きヘッドホンと接続されて、執務者80が遠隔執務者90ごとに複数のマイク付きヘッドホンを使い分けてもよい。
【0054】
<構築例>
図4は執務スペース11におけるコミュニケーション支援システム30の構築例を示す説明図である。執務スペース11には、執務者80が執務する執務領域17が設けられる。本実施形態では、執務スペース11には、映像表示領域18が執務領域17とは異なる領域に専用に設けられている。映像表示領域18は、複数の遠隔執務者90の立体映像91が表示される領域である。
【0055】
執務領域17には、執務者80用の什器(図4では、机13及び椅子15)が配置される。映像表示領域18には、執務者80用の什器とは別の什器(図4では、机14及び椅子16)が配置される。執務者80は、執務領域17において執務する。遠隔執務者90は、遠隔執務地20において執務する。映像表示領域18には、遠隔執務者90の立体映像91が表示される。
【0056】
図5は、執務者80の視点の一例を示す図である。図5は、図4に示す執務者80Aの視点である。図5に示すように、映像表示領域18には、遠隔執務者90の立体映像91が表示される。このため、執務者80は、遠隔執務者90と一緒に執務する感覚を得ることができる。
【0057】
図6は、カメラ35による撮像画像の一例を示す図である。図6は、図4に示す立体映像91Xの表示位置におけるカメラユニット33のカメラ35による撮像画像である。本撮像画像は、当該立体映像91Xに対応する遠隔執務者90の表示装置53に表示される。撮像画像には、遠隔執務者90の立体映像91Xに応じた位置の周りの様子が表示される。例えば、執務スペース11内であって、映像表示領域18の外側領域に、執務領域17が存在し、カメラ35が執務領域17を撮像することが考えられる。この場合、図6に示すように、撮像画像には、執務領域17において執務者80が執務する様子が表示される。このため、遠隔執務者90は、執務スペース11における雰囲気を味わいながら、執務を行うことができる。
【0058】
<コミュニケーションの一例>
図7は、コミュニケーション支援システム30を用いてコミュニケーションを行う様子を示す説明図である。上記したように、本実施形態では、執務スペース11において、執務領域17と映像表示領域18とが互いに異なる専用の領域として設けられる。図7に示すように、執務領域17に執務する執務者80Bは、映像表示領域18に移動して、遠隔執務者90とコミュニケーションをとってもよい。図7に示す例では、執務者80Bが遠隔執務者90とコミュニケーションをとるため、遠隔執務者90の立体映像91Xの前に移動している。
【0059】
図8は、執務者80Bの視点を説明する図である。このとき執務者80Bは、図7の実線に示す位置にいる。従って、図8は、執務者80Bが遠隔執務者90とコミュニケーションをとる際、遠隔執務者90の立体映像91Xの前に位置した状態での視点を説明する図である。
【0060】
図8に示すように、執務者80は、遠隔執務者90の立体映像91Xを見ながらコミュニケーションをとることができる。なお、図8には、立体映像91Xに対応する遠隔執務者90Xを、遠隔執務地20のカメラ54によって撮影した撮像画像も描かれている。立体映像91Xがリアルタイム映像の場合、立体映像91Xは、遠隔執務者90Xの撮像画像と同様の表情、又は、ジェスチャを表示する。従って、立体映像91がリアルタイム映像であると、執務者80は、遠隔執務者90Xの表情、又は、ジェスチャなどを知覚しながらコミュニケーションをとることができる。
【0061】
図9は、第1遠隔執務者90Xの立体映像91Xの表示位置に応じた撮像画像の一例を示す図である。図10は、第2遠隔執務者90Yの立体映像91Yの表示位置に応じた撮像画像の一例を示す図である。図9図7の立体映像91Xの表示位置に設けられたカメラユニット33のカメラ35の撮像画像であり、図10図7の立体映像91Yの表示位置に設けられたカメラユニット33のカメラ35の撮像画像である。図9の撮像画像は、立体映像91Xに対応する遠隔執務者90Xに送られ、図10の撮像画像は、立体映像91Yに対応する遠隔執務者90に送られる。
【0062】
図9に示すように、ここでは表示位置リアルタイム状況は表示位置リアルタイム映像を含むため、遠隔執務者90Xは、使用する外部端末50の表示装置53に表示される執務者80Bの画像を見ながら執務者80Bとコミュニケーションをとることができる。また、図9に示すように、遠隔執務者90Xは、使用する外部端末50の表示装置53に執務者80Bの画像がしっかりと表示されることによって、執務者80Bに話しかけられていることを容易に認識できる。また、図10に示すように、立体映像91Yに対応する遠隔執務者90は、使用する外部端末50の表示装置53に執務者80Bの画像がしっかりと表示されないことによって、執務者80に話しかけられていると誤認しにくくなる。
【0063】
表示位置リアルタイム状況が表示位置リアルタイム音声を含む場合、スピーカ56から出力される音声が立体映像91の表示位置に応じた音声となる。このため、遠隔執務者90Xの使用する外部端末50のスピーカ56には執務者80Bの音声がしっかりと出力され、遠隔執務者90Yの使用する外部端末50のスピーカ56には執務者80Bの音声がしっかりと出力されないことが生じうる。これにより、遠隔執務者90Xは執務者80Bに話しかけられていることを容易に認識でき、立体映像91Yに対応する遠隔執務者90は執務者80Bに話しかけられていると誤認しにくくなる。
【0064】
<効果等>
このように構成されたコミュニケーション支援システム30によると、執務者80は、遠隔執務者90の立体映像91を見ながら執務地10内で遠隔執務者90とコミュニケーションをとることができる。また、遠隔執務者90は、執務地10における自身の立体映像91の表示位置に応じたリアルタイム状況を確認しながら、執務者80とコミュニケーションをとることができる。これにより、執務者80と遠隔執務者90とのコミュニケーションが、双方にとって円滑なものとなる。
【0065】
また、執務者80は、遠隔執務者90の立体映像91に向けて話しかけることによって、遠隔執務者90とコミュニケーションをとることができる。このため、執務者80は、同じ執務スペース11で執務する他の執務者80に対するコミュニケーションに近いコミュニケーションを、コミュニケーション支援システム30を通じて遠隔執務者90ととることができる。執務者80は、執務上の又は執務とは関係のない報告、連絡及び相談のほか、雑談等を、コミュニケーション支援システム30を通じて遠隔執務者90と気軽に行うことができる。
【0066】
また、立体映像表示部31は、立体映像91として、遠隔執務者90のリアルタイム状況に応じたリアルタイム映像を表示する。これにより、執務地10に執務する執務者80が、遠隔執務者90のリアルタイム映像を見ながら遠隔執務者90とコミュニケーションをとることができる。
【0067】
また、立体映像表示部31は、執務地10に設けられる什器又は執務地10の天井12に配置される。これにより、執務地10に執務する執務者80が、立体映像表示部31が設けられる位置を認識しやすい。
【0068】
また、立体映像表示部31は、複数の遠隔執務者90を互いに重ならないように空間に表示する。これにより、複数の遠隔執務者90がいる場合でも、執務者80が特定の遠隔執務者90とコミュニケーションを取りやすい。
【0069】
また、執務地内リアルタイム状況取得部は、執務地10に配置されて執務地10を撮影する撮影部35を備え、表示位置リアルタイム状況は、撮影部35の撮影映像に基づく映像であって、立体映像91の表示位置に応じた表示位置リアルタイム映像を含む。これにより、遠隔執務者90は、立体映像91の表示位置に応じたリアルタイムの映像を見ることができ、執務地10で執務する感覚を感じやすくなる。また、執務者80との会話時に、表示位置リアルタイム映像に執務者80が映ると、遠隔執務者90が執務者80を見ながら会話できる。
【0070】
表示位置リアルタイム状況は、音声取得部34の取得した音声に基づく音声であって、立体映像91の表示位置に応じた表示位置リアルタイム音声を含む。これにより、遠隔執務者90は、立体映像91の表示位置に応じた音声を聞くことができ、執務地10で執務する感覚を感じやすくなる。
【0071】
また、コミュニケーション支援システム30は、遠隔執務地20に配置されて遠隔執務者90を撮影する遠隔執務地側撮影部54と、遠隔執務地20に配置されて遠隔執務者90の音声を取得する遠隔執務地側音声取得部55と、遠隔執務地20に配置されて執務者80の音声を出力する遠隔執務地側音声出力部56と、を備える。これにより、遠隔執務者90のリアルタイム映像に応じた立体映像91が表示されることができる。
【0072】
またコミュニケーション支援システム30を備えるオフィス10によると、オフィス10内の執務者80とオフィス10外の遠隔執務者90とのコミュニケーションが双方にとって、円滑なものとなる。
【0073】
また、オフィス10において、複数の遠隔執務者90の立体映像91が表示される映像表示領域18が、執務者80が執務する執務領域17とは異なる領域に専用に設けられている。これにより、オフィス10内の執務者80は、遠隔執務者90とコミュニケーションをとるための領域を認識しやすい。執務者80が、特定の遠隔執務者90とコミュニケーションをとる際に、当該遠隔執務者90の表示位置を探す手間がかかりにくい。
【0074】
<変形例>
図11は、オフィス10におけるコミュニケーション支援システム30の構築例の変形例を示す説明図である。
【0075】
これまで、映像表示領域18が、執務領域17とは異なる領域に専用に設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。執務領域17の一部が、映像表示領域18として用いられてもよく、執務領域17の中に立体映像91が表示されてもよい。例えば、執務スペース11がフリーアドレス方式の場合、執務領域17のうち執務者80が使っておらず空いている領域に立体映像91が表示されてもよい。また例えば、執務スペース11が固定席方式の場合であって、日によって執務地10での執務と遠隔執務地20での執務とを選択可能な執務者80がいる場合に、その日に遠隔執務者90となっている者がオフィス10で執務するときの固定席に立体映像91を写してもよい。この場合、遠隔執務者90は、執務者80をより身近に感じながら、執務を行うことができる。
【0076】
図12は、カメラ35による撮像画像の一例を示す図である。図12は、図11に示す立体映像91Dの表示位置に設けられたカメラユニット33のカメラの撮像画像である。本撮像画像は、立体映像91Dに対応する遠隔執務者90の表示装置53に表示される。この撮像画像の撮影範囲には、他の遠隔執務者90の立体映像91Eの表示位置が含まれる。従って、立体映像91Dに対応する遠隔執務者90に提供される表示位置リアルタイム映像のうち立体映像91Eの表示位置に対応する位置に当該立体映像91Eに対応する遠隔執務者90に応じた表示が映り込むことがあり得る。この場合に、立体映像91Dに対応する遠隔執務者90に提供される表示位置リアルタイム映像は、カメラ35の撮影映像そのままではなく、カメラ35の撮影映像が加工されたものであってもよい。例えば、立体映像91Dに対応する遠隔執務者90に提供される表示位置リアルタイム映像のうち立体映像91Eの表示位置に対応する位置に立体映像91Eに応じた表示が合成されてもよい。これにより、複数の遠隔執務者90がいる場合に、立体映像91Dに対応する遠隔執務者90が立体映像91Eに対応する遠隔執務者90を表示位置リアルタイム映像にきれいに映り、確認しやすい。複数の遠隔執務者90同士が、表示位置リアルタイム映像を通じてコミュニケーションをとることで、円滑なコミュニケーションをとることができる。
【0077】
また、遠隔執務者90は、遠隔執務地20から仮想空間にアクセスして、仮想空間内で執務してもよい。かかる仮想空間は、例えば、上記特開2020-107160号に記載の仮想空間提供システムなどによって遠隔執務者90に提供されることができる。かかる仮想空間は、オフィス10に応じた空間とされる。例えば、オフィス10内に配置された複数のカメラによって、オフィス10内のボリュメトリックビデオが撮影されて、オフィス10に応じた仮想空間が形成されてもよい。立体映像90Dにかかる遠隔執務者90には、立体映像90Dの表示位置に応じた位置の視点に基づく映像が提供されてもよい。
【0078】
係る仮想空間には、執務者80に応じたキャラクターが、オフィス10で存在する位置に応じた位置に配置されてもよい。仮想空間には、他の遠隔執務者90に応じたキャラクターが、オフィス10で表示される位置に応じた位置に配置されてもよい。この場合、立体映像表示部31は、仮想空間における遠隔執務者90のキャラクター表示と同期する立体映像91を執務スペース11に表示してもよい。リアルタイム状況取得部は、仮想空間内の遠隔執務者90の様子を取得してもよい。
【0079】
このほか、これまで、立体映像表示部31が、立体映像91として、遠隔執務者90のリアルタイム状況に応じたリアルタイム映像を表示するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。立体映像表示部31は、立体映像91として遠隔執務者90のリアルタイム状況とは関係ない映像を表示してもよい。例えば、立体映像91は静止画であってもよいし、固定パターンで動く動画であってもよい。立体映像表示部31が表示する立体映像91は、記憶装置42に記憶された映像であってもよい。
【0080】
またこれまで、立体映像表示部31は、執務地10に設けられる什器又は執務地10の天井12に配置されるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、立体映像表示部31は、執務者80の使用する端末に配置されてもよい。
【0081】
またこれまで、立体映像表示部31は、複数の遠隔執務者90を互いに重ならないように空間に表示するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。立体映像表示部31が表示する複数の遠隔執務者90の少なくとも一部が、互いに重なっていてもよい。
【0082】
またこれまで、執務者80が遠隔執務者90と会話を始める際の契機となるアクションとして、マイク34及びスピーカ56を通じた音声での呼びかけによるものが説明されたが、これ以外のアクションがなされてもよい。例えば、執務地に配置された物理スイッチ又は仮想スイッチの入力を契機としてもよい。また、例えば、所定のコマンドの入力を契機としてもよい。また例えば、カメラ35等に向けてノックや肩をたたくなど所定のジェスチャを行うことを契機としてもよい。遠隔執務者90が執務者80と会話を始める際の契機となるアクションとしても同様である。
【0083】
またこれまで、執務者80が遠隔執務者90と会話を始める際の契機となるアクションが起こされると、自動的に会話可能な状態が始まるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。例えば、呼びかけられた遠隔執務者90の対応として、オフィス、什器やスマートフォンなどに設けられるスピーカ56から出力される呼び出し音、メッセージ音、ノック音、什器やスマートフォンなどに配置される振動装置の振動などの呼び出しに応じる形で、コマンド入力、スイッチ入力、音声入力での応対許可入力を経て、会話がスタートしてもよい。その場合、放置することや、「取り込み中」などのメッセージを流すことにより、応対を拒絶することも可能である。また、執務者80が遠隔執務者90から呼びかけられたときについても同様である。
【0084】
<付記>
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0085】
本明細書及び図面は、下記の各態様を開示する。
【0086】
第1の態様は、執務地に執務する執務者と、前記執務地とは異なる遠隔執務地に執務する遠隔執務者との間のコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援システムであって、前記執務地に配置されて前記遠隔執務者に応じた立体映像を、前記執務地における前記執務者が存在しない空間に表示する立体映像表示部と、前記執務地に配置されて前記執務者の音声を取得する音声取得部を含み、前記執務地において前記立体映像が表示される表示位置に応じた表示位置リアルタイム状況を取得する執務地内リアルタイム状況取得部と、前記執務地に配置されて前記遠隔執務者の音声を出力する音声出力部と、を備える、コミュニケーション支援システムである。
【0087】
このコミュニケーション支援システム及びオフィスによると、執務者は、遠隔執務者の立体映像を見ながら執務地内で遠隔執務者とコミュニケーションをとることができる。また、遠隔執務者は、執務地における自身の立体映像の表示位置に応じたリアルタイム状況を確認しながら、執務者とコミュニケーションをとることができる。これにより、執務者と遠隔執務者とのコミュニケーションが、双方にとって円滑なものとなる。
【0088】
第2の態様は、第1の態様に係るコミュニケーション支援システムであって、前記立体映像表示部は、前記立体映像として、前記遠隔執務者のリアルタイム状況に応じたリアルタイム映像を表示する。これにより、執務地に執務する執務者が、遠隔執務者のリアルタイム映像を見ながら遠隔執務者とコミュニケーションをとることができる。
【0089】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るコミュニケーション支援システムであって、前記立体映像表示部は、前記執務地に設けられる什器又は前記執務地の天井に配置される。これにより、執務地に執務する執務者が、立体映像表示部が設けられる位置を認識しやすい。
【0090】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るコミュニケーション支援システムであって、前記立体映像表示部は、複数の前記遠隔執務者を互いに重ならないように前記空間に表示する。これにより、複数の遠隔執務者がいる場合でも、執務者が特定の遠隔執務者とコミュニケーションを取りやすい。
【0091】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るコミュニケーション支援システムであって、前記執務地内リアルタイム状況取得部は、前記執務地に配置されて前記執務地を撮影する撮影部を備え、前記表示位置リアルタイム状況は、前記撮影部の撮影映像に基づく映像であって、前記立体映像の前記表示位置に応じた表示位置リアルタイム映像を含む。これにより、遠隔執務者は、立体映像の表示位置に応じたリアルタイムの映像を見ることができ、執務地で執務する感覚を感じやすくなる。また、執務者との会話時に、表示位置リアルタイム映像に執務者が映ると、遠隔執務者が執務者を見ながら会話できる。
【0092】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係るコミュニケーション支援システムであって、前記表示位置リアルタイム状況は、前記音声取得部の取得した音声に基づく音声であって、前記立体映像の前記表示位置に応じた表示位置リアルタイム音声を含む。これにより、遠隔執務者は、立体映像の表示位置に応じた音声を聞くことができ、執務地で執務する感覚を感じやすくなる。
【0093】
第7の態様は、第1から第6のいずれか1つの態様に係るコミュニケーション支援システムであって、前記遠隔執務地に配置されて前記遠隔執務者を撮影する遠隔執務地側撮影部と、前記遠隔執務地に配置されて前記遠隔執務者の前記音声を取得する遠隔執務地側音声取得部と、前記遠隔執務地に配置されて前記執務者の前記音声を出力する遠隔執務地側音声出力部と、を備える。これにより、遠隔執務者のリアルタイム映像に応じた立体映像が表示されることができる。
【0094】
第8の態様は、第5の態様に係るコミュニケーション支援システムであって、第1の前記遠隔執務者に提供される前記表示位置リアルタイム映像のうち第2の前記遠隔執務者の前記表示位置に対応する位置に第2の前記遠隔執務者に応じた表示が合成される。これにより、複数の遠隔執務者がいる場合に、第1の遠隔執務者が第2の遠隔執務者を表示位置リアルタイム映像で確認しやすい。
【0095】
第9の態様は、第1から第8のいずれか1つの態様に係るコミュニケーション支援システムを備える、オフィスである。これにより、オフィス内の執務者と遠隔執務者とのコミュニケーションが双方にとって、円滑なものとなる。
【0096】
第10の態様は、第9の態様に係るオフィスであって、複数の前記遠隔執務者の前記立体映像が表示される映像表示領域が、前記執務者が執務する執務領域とは異なる領域に専用に設けられている。これにより、オフィス内の執務者は、遠隔執務者とコミュニケーションをとるための領域を認識しやすい。執務者が、特定の遠隔執務者とコミュニケーションをとる際に、当該遠隔執務者の表示位置を探す手間がかかりにくい。
【0097】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0098】
10 オフィス(執務地)
11 執務スペース
12 天井
17 執務領域
18 映像表示領域
20 遠隔執務地
30 コミュニケーション支援システム
31 立体映像表示部
32 表示装置
33 カメラユニット
34 マイク(音声取得部)
35 カメラ(撮影部)
36 スピーカ(音声出力部)
40 制御装置
50 外部端末
53 表示装置
54 カメラ(遠隔執務地側撮影部)
55 マイク(遠隔執務地側音声取得部)
56 スピーカ(遠隔執務地側音声出力部)
60 ネットワーク
80、80A、80B 執務者
90、90X、90Y 遠隔執務者
91、91D、91E、91X、91Y 立体映像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12