(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173599
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】布帛処理装置
(51)【国際特許分類】
D06B 11/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
D06B11/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085958
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130535
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 明
(74)【代理人】
【識別番号】100183025
【弁理士】
【氏名又は名称】大角 孝一
(72)【発明者】
【氏名】関野 博一
(72)【発明者】
【氏名】勝田 治
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 毅
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB27
3B154BA17
3B154BA23
3B154BB28
3B154BB33
3B154BB35
3B154BC08
3B154BC16
3B154BC22
3B154BE05
3B154DA09
(57)【要約】
【課題】布帛の風合いを効果的に向上させる。
【解決手段】布帛Fを搬送方向Aに搬送する搬送部10と、布帛Fを支持する支持部21と、支持部21に支持された布帛Fに液体3を噴射する液体噴射部1と、を備え、液体噴射部1は、液体3を噴射速度が30m/s以上の連続流3aとなるように噴射するとともに、連続流3aとして噴射された液体3が液滴3bとなった状態で布帛Fに衝突させて布帛Fの処理をする布帛処理装置100。このような構成の布帛処理装置100とすることで、布帛Fの風合いを効果的に向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛を搬送方向に搬送する搬送部と、
前記布帛を支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記布帛に液体を噴射する液体噴射部と、
を備え、
前記液体噴射部は、前記液体を噴射速度が30m/s以上の連続流となるように噴射するとともに、前記連続流として噴射された前記液体が液滴となった状態で前記布帛に衝突させて前記布帛の処理をすることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の布帛処理装置において、
前記液体噴射部は、前記液体を噴射速度が500m/s以下の連続流となるように噴射することを特徴とする布帛処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の布帛処理装置において、
前記支持部は、前記布帛を支持する支持面を有し、
前記液体噴射部は、前記支持面と対向する位置に配置されることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の布帛処理装置において、
前記液体噴射部は、前記支持面の法線に対して0°以上45°以下の角度をなす噴射方向に前記液体を噴射することを特徴とする布帛処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の布帛処理装置において、
前記支持面は、前記液体噴射部側に突出する凸状の曲面であることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項6】
請求項4に記載の布帛処理装置において、
前記支持面は、平面であることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の布帛処理装置において、
前記支持面は、前記平面の法線が水平面に対して0°以上45°以下の角度をなすことを特徴とする布帛処理装置。
【請求項8】
請求項1または2に記載の布帛処理装置において、
前記液体噴射部は、前記液体を噴射する少なくとも1つの噴射口を有するノズル部と、前記液体を前記噴射口まで搬送する液体搬送部と、前記液体搬送部中の前記液体を加圧する加圧部と、を有することを特徴とする布帛処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の布帛処理装置において、
前記噴射口の直径は、0.005mm以上0.12mm以下であることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項10】
請求項8に記載の布帛処理装置において、
前記加圧部の加圧圧力は、0.5MPa以上150MPa以下であることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項11】
請求項1または2に記載の布帛処理装置において、
前記液体噴射部から噴射される前記液体の噴射量を制御する制御部を備えることを特徴とする布帛処理装置。
【請求項12】
請求項1または2に記載の布帛処理装置において、
前記搬送部は、回転することにより前記布帛を前記搬送方向に搬送する駆動ローラーを有することを特徴とする布帛処理装置。
【請求項13】
請求項1または2に記載の布帛処理装置において、
前記支持部には吸引孔が設けられ、
前記吸引孔から吸引する吸引部を備えることを特徴とする布帛処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、布帛の風合いを向上するために布帛に様々な処理を行っている。例えば、特許文献1には、捺染処理された布帛などに気流を用いて柔軟性などの風合いを調整する気流式風合い加工方法が開示されている。特許文献1に開示される気流式風合い加工方法は、水またはスチームを気流中に噴霧供給し、該気流を処理流体噴射部から布帛に噴射して該布帛に湿潤効果を与え、次いで、乾燥気流を布帛に当てて乾燥する。特許文献1に開示される気流式風合い加工方法は、気流により繰り返して衝撃を付与することにより布帛表面に細かい毛羽(ピーチ加工)やドレーブ性及びヌメリ感を出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような気流を布帛に当てて布帛の風合いを向上する方法では、布帛に強い衝撃を付与することは困難である。このため、布帛の風合いを十分に向上させることは困難であり、布帛の風合いを十分に向上させるためには長時間必要とする。このように、布帛の風合いを向上するための従来の方法では、布帛の風合いを効果的に向上させることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の布帛処理装置は、布帛を搬送方向に搬送する搬送部と、前記布帛を支持する支持部と、前記支持部に支持された前記布帛に液体を噴射する液体噴射部と、を備え、前記液体噴射部は、前記液体を噴射速度が30m/s以上の連続流となるように噴射するとともに、前記連続流として噴射された前記液体が液滴となった状態で前記布帛に衝突させて前記布帛の処理をすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施例1の布帛処理装置の噴射方向を説明するための図。
【
図4】
図1の布帛処理装置の液体噴射部を表す概略図。
【
図7】実施例3の布帛処理装置の一部を表す概略図。
【
図8】
図7の布帛処理装置の液体噴射部の噴射口の配置を表す底面側からの概略図。
【
図9】実施例4の布帛処理装置の一部を表す概略図。
【
図10】
図9の布帛処理装置の液体噴射部の噴射口の配置を表す底面側からの概略図。
【
図14】実施例8の布帛処理装置の一部を表す概略図。
【
図15】
図14の布帛処理装置の液体噴射部の噴射口の配置を表す底面側からの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の布帛処理装置は、布帛を搬送方向に搬送する搬送部と、前記布帛を支持する支持部と、前記支持部に支持された前記布帛に液体を噴射する液体噴射部と、を備え、前記液体噴射部は、前記液体を噴射速度が30m/s以上の連続流となるように噴射するとともに、前記連続流として噴射された前記液体が液滴となった状態で前記布帛に衝突させて前記布帛の処理をすることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、液体を噴射速度が30m/s以上の連続流となるように噴射するとともに、連続流として噴射された液体が液滴となった状態で布帛に衝突させて布帛の処理をする。すなわち、噴射速度が30m/s以上という速い速度で、且つ、連続流として噴射された液体が液滴となった状態で布帛に衝突させるという強い衝撃を布帛に与えることが可能な方法で、布帛の処理をする。このため、布帛の風合いを効果的に向上させることができる。なお、噴射速度が30m/s未満では強い衝撃を布帛に与えることが困難な場合がある。
【0009】
本発明の第2の態様の布帛処理装置は、前記第1の態様において、前記液体噴射部は、前記液体を噴射速度が500m/s以下の連続流となるように噴射することを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、液体を噴射速度が500m/s以下の連続流となるように噴射する。噴射速度が500m/sを超えると布帛を損傷する虞があるが、布帛を損傷することなく、布帛の風合いを効果的に向上させることができる。
【0011】
本発明の第3の態様の布帛処理装置は、前記第1または第2の態様において、前記支持部は、前記布帛を支持する支持面を有し、前記液体噴射部は、前記支持面と対向する位置に配置されることを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、支持部は布帛を支持する支持面を有し、液体噴射部は支持面と対向する位置に配置される。このため、布帛の風合いを効果的に向上させることができる構成を簡単に形成することができる。
【0013】
本発明の第4の態様の布帛処理装置は、前記第3の態様において、前記液体噴射部は、前記支持面の法線に対して0°以上45°以下の角度をなす噴射方向に前記液体を噴射することを特徴とする。
【0014】
本態様によれば、液体噴射部は支持面の法線に対して0°以上45°以下の角度をなす噴射方向に液体を噴射する。このような構成とすることで、特に強い衝撃を布帛に与えることが可能になり、布帛の風合いを特に効果的に向上させることができる。
【0015】
本発明の第5の態様の布帛処理装置は、前記第4の態様において、前記支持面は、前記液体噴射部側に突出する凸状の曲面であることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、支持面は液体噴射部側に突出する凸状の曲面である。このような構成とすることで、布帛を凸状の曲面にテンションをかけてしっかりと支持させることができ、布帛に好適に液体を噴射することができる。
【0017】
本発明の第6の態様の布帛処理装置は、前記第4の態様において、前記支持面は、平面であることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、支持面は平面である。このような構成とすることで、布帛の広い範囲を支持面に支持させることができ、布帛の広い範囲に好適に液体を噴射することができる。
【0019】
本発明の第7の態様の布帛処理装置は、前記第6の態様において、前記支持面は、前記平面の法線が水平面に対して0°以上45°以下の角度をなすことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、支持面は平面の法線が水平面に対して0°以上45°以下の角度をなす。このような構成とすることで、液体噴射部から噴射された液体が液体噴射部に垂れることを抑制でき、また、支持面で跳ね返った液体が液体噴射部に付着することも併せて抑制でき、そのことで、液体噴射部に噴射不良が生じることを抑制することができる。
【0021】
本発明の第8の態様の布帛処理装置は、前記第1または第2の態様において、前記液体噴射部は、前記液体を噴射する少なくとも1つの噴射口を有するノズル部と、前記液体を前記噴射口まで搬送する液体搬送部と、前記液体搬送部中の前記液体を加圧する加圧部と、を有することを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、液体噴射部は、液体を噴射する少なくとも1つの噴射口を有するノズル部と、液体を噴射口まで搬送する液体搬送部と、液体搬送部中の液体を加圧する加圧部と、を有する。このような構成とすることで、液体を連続流となるように噴射するとともに、連続流として噴射された液体が液滴となった状態で布帛に衝突させる液体噴射部を好適に形成することができる。
【0023】
本発明の第9の態様の布帛処理装置は、前記第8の態様において、前記噴射口の直径は、0.005mm以上0.12mm以下であることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、噴射口の直径は0.005mm以上0.12mm以下である。このような噴射口の直径とすることで、好適に液体を連続流として噴射し該液体を液滴状態で布帛に衝突させることができる。
【0025】
本発明の第10の態様の布帛処理装置は、前記第8の態様において、前記加圧部の加圧圧力は、0.5MPa以上150MPa以下であることを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、加圧部の加圧圧力は0.5MPa以上150MPa以下である。このような加圧部の加圧圧力とすることで、布帛を損傷することなく、布帛の風合いを効果的に向上させることができる。
【0027】
本発明の第11の態様の布帛処理装置は、前記第1または第2の態様において、前記液体噴射部から噴射される前記液体の噴射量を制御する制御部を備えることを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、液体噴射部から噴射される液体の噴射量を制御する制御部を備える。このため、自動で好ましい噴射量で液体を液体噴射部から噴射させることができる。
【0029】
本発明の第12の態様の布帛処理装置は、前記第1または第2の態様において、前記搬送部は、回転することにより前記布帛を前記搬送方向に搬送する駆動ローラーを有することを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、搬送部は回転することにより布帛を搬送方向に搬送する駆動ローラーを有する。このような構成とすることで、布帛を搬送方向に搬送する搬送部を好適に形成することができる。
【0031】
本発明の第13の態様の布帛処理装置は、前記第1または第2の態様において、前記支持部には吸引孔が設けられ、前記吸引孔から吸引する吸引部を備えることを特徴とする。
【0032】
本態様によれば、支持部には吸引孔が設けられ、吸引孔から吸引する吸引部を備える。このため、吸引孔を介して布帛を吸引することで支持部に布帛を確りと支持させることができるとともに、吸引孔を介して液体を吸引することで布帛上に液体が溜まり強い衝撃を布帛に与えることができなくなることを抑制することができる。
【0033】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。最初に、
図1を参照して、布帛処理装置100としての本発明の実施例1に係る布帛処理装置100Aの概要について説明する。
図1に示す布帛処理装置100Aは、布帛Fを搬送方向Aに搬送する搬送部10と、布帛Fを支持する支持部21と、支持部21に支持された布帛Fに液体3を噴射する液体噴射部1と、を備えている。
【0034】
搬送部10は、ロール状の布帛Fをセットすることが可能なセット軸11と、搬送方向Aに搬送された布帛Fをロール状に巻き取ることが可能な巻取軸12と、を有している。セット軸11及び巻取軸12は、ケーブル14を介して搬送制御部13に接続され、共に搬送制御部13の制御により回転方向Cに回転可能な構成となっている。搬送制御部13は、布帛Fを搬送する際にセット軸11の回転速度よりも巻取軸12の回転速度のほうが速くなるように制御することで、セット軸11から巻取軸12に向けて搬送方向Aに搬送される布帛Fに所望のテンションをかけることが可能である。
【0035】
別の観点から説明すると、本実施例の布帛処理装置100Aの搬送部10は、回転することにより布帛Fを搬送方向Aに搬送する駆動ローラーとしてのセット軸11及び巻取軸12を有している。このような構成とすることで、布帛Fを搬送方向Aに搬送する搬送部10を好適に形成することができる。
【0036】
支持部21としての本実施例の支持部21Aは布帛Fを支持する支持面23を有し、支持面23は液体噴射部1側に突出する凸状の曲面となっている。このような構成とすることで、布帛Fを凸状の曲面にテンションをかけて隙間なくしっかりと支持させることができ、布帛Fに好適に液体3を噴射することができる。なお、「支持面23は液体噴射部1側に突出する凸状の曲面」とは、詳細には、「支持面23の液体噴射部1から噴射方向Bに延びる直線の支持面23との接点及びその周辺領域が、液体噴射部1側に突出する凸状の曲面」という意味である。したがって、該接点及びその周辺領域以外の部分は、凸状の曲面となっていなくてもよい。
【0037】
ここで、本実施例の支持部21Aは、ステンレス製である。支持部21をステンレスのような錆びにくく硬質の材料で構成することで、液体噴射部1から噴射される液体3により腐食することや変形することが抑制される。支持部21の腐食や変形を抑制することで、液体噴射部1から噴射される液体3が布帛Fに着弾した際の衝撃圧が減衰することを抑制することができ、効率的に布帛Fに対して風合いを向上するための衝撃を与えることができる。
【0038】
液体噴射部1は、支持面23と対向する位置に配置される。このため、布帛Fの風合いを効果的に向上させることができる構成を簡単に形成している。そして、このような構成とすることで、支持面23に対してほぼ垂直に液体噴射部1から液体3を噴射することができる。支持面23に対して垂直に液体噴射部1から液体3を噴射することで、効率的に布帛Fに対して風合いを向上するための衝撃を与えることができる。
【0039】
ここで、
図2を参照して、支持面23に対する液体3の噴射方向Bについて説明する。上記のとおり、本実施例の布帛処理装置100Aにおいては、支持面23に対する液体3の噴射方向Bはほぼ垂直である。ここで、液体噴射部1は、支持面23の法線Nに対して0°以上45°以下の角度をなす噴射方向Bに液体3を噴射することが好ましい。
図2を用いて説明すると、法線Nに対する噴射方向Bのなす角度Θ1が0°以上45°以下の角度となるように支持面23に対して液体噴射部1を配置させることが好ましい。このような構成とすることで、特に強い衝撃を布帛Fに与えることが可能になり、布帛Fの風合いを特に効果的に向上させることができるためである。
【0040】
支持面23に対する液体3の噴射方向Bを変化させた際の実験結果を以下に示す。縦と横の長さがともに50mmの布帛Fを直径30mmのステンレス製の円柱状の棒に巻き付け、噴射方向Bを変化させて本実施例の液体噴射部1から液体3としての水を噴射させて布帛Fの風合いの違いを確認した。布帛Fの風合いの違いは、布帛Fに加えられる衝撃圧に比例するので、衝撃圧が高いほど色抜けの度合いが高くなる布帛Fを用い、該布帛Fの色抜けの度合いで判断した。噴射方向Bは、具体的には、角度Θ1が0°、8°、15°、24°、32°、42°、53°、69°となる各々の位置で評価した。その結果、0°から42°までは色抜けの度合いが高く、53°では色抜けの度合いがやや低くなり、69°では色抜けの度合いが低くなった。さらに評価を重ねると、角度Θ1が0°以上45°以下の角度となるように支持面23に対して液体噴射部1を配置させることが好ましいということが分かった。
【0041】
次に、
図3及び
図4を参照して、さらに液体噴射部1の構成について詳細に説明する。
図3で表されるように、本実施例の液体噴射部1は、布帛Fの搬送方向Aと交差する方向である幅方向全体に亘り液体3の噴射口4aがライン状に複数設けられるノズル部4を有している。ノズル部4はヘッド部2の先端に設けられている。なお、ノズル部4には噴射口4aの位置に対応して噴射口4aよりも十分に大きな径の穴部を有した幅方向全体に亘る不図示の補強板が形成されており、ノズル部4が変形することを抑制している。ただし、ヘッド部2の構成に特に限定は無く、本実施例のようなラインヘッドではなく、例えば、幅方向に往復移動可能なキャリッジにヘッド部2を設け、ヘッド部2を幅方向に往復移動させて布帛Fの幅方向全体に液体3を噴射する構成などとしてもよい。
【0042】
また、本実施例の液体噴射部1は、
図4で表されるように、液体3を噴射する少なくとも1つの噴射口4aを有するノズル部4が設けられたヘッド部2に加え、液体3を噴射口4aまで搬送するチューブである液体搬送部7と、液体搬送部7中の液体3を加圧する加圧部6と、を有している。このような構成とすることで、液体3を連続流3aとなるように噴射するとともに、連続流3aとして噴射された液体3が液滴3bとなった状態で布帛Fに衝突させる液体噴射部1を好適に形成することができている。
【0043】
このように、本実施例の液体噴射部1は、ヘッド部2に設けられた複数の噴射口4aから噴射方向Bに連続状態で噴射された液体3の連続流3aが液滴3bとなる液滴化された状態で該液滴3bを対象物である布帛Fに衝突させる液体噴射装置であることを特徴としている。液体3としては、水を好ましく使用できるほか、水を溶媒として各種溶剤や添加剤などを含有した水溶液や、揮発性の有機溶剤など、特に限定なく使用することができる。
【0044】
ここで、液体貯留部8からヘッド部2までを接続する送液流路としての液体搬送部7は、軟性樹脂材などを用いて構成することで、ハンドリング性を良くすることができる。そして、加圧部6は、制御信号線9で接続される制御部5の制御によって駆動され、所定の圧力または所定の流量で液体3を送液する。なお、圧力または流量は、使用者が制御部5に指示入力することによって任意に変更可能である。別の表現をすると、制御部5は液体噴射部1から噴射される液体3の噴射量を制御することができる。このため、自動で好ましい噴射量で液体3を液体噴射部1から噴射させることができる。
【0045】
以下に、布帛の風合いを効果的に向上させるための好ましい噴射条件の詳細について説明する。下記の評価においては、本実施例の布帛処理装置100Aを使用し、縦の長さが50mmで横の長さが25mmの布帛Fに対して液体3を液体噴射部1から噴射させ、その後、該布帛Fの縦方向における一方側端部を樹脂板で5mmぶん挟んで水平状態にセットし、その際の樹脂板から水平方向に30mm離れた位置での垂れ下がり長さdが何mmになったかで布帛Fの風合い変化について評価した。垂れ下がり長さdが大きくなるほど風合いが大きく変化、すなわち、GOODであることを示す。その結果を下記表1に示す。
【0046】
【0047】
表1で表されるように、噴射速度が20m/sで液体3を噴射させた布帛Fにおいては、垂れ下がり長さdが液体3を噴射させていない初期状態の布帛Fと大差がなく、布帛Fの風合い変化があまりなかった。一方、噴射速度を30m/s及び44m/sで液体3を噴射させた布帛Fにおいては、垂れ下がり長さdが初期状態の布帛Fよりも明らかに長くなり、風合い変化が顕著であった。
【0048】
上記のように、本実施例の布帛処理装置100Aは、連続流3aとして噴射された液体3が液滴3bとなった状態で布帛Fに衝突させるが、液体3を噴射させる際の噴射速度が30m/s以上となるようにすることが布帛Fの風合い変化をさせるためには好ましい。すなわち、噴射速度が30m/s以上という速い速度で、且つ、連続流3aとして噴射された液体3が液滴3bとなった状態で布帛Fに衝突させるという強い衝撃を布帛Fに与えることが可能な方法で布帛の処理をすることが、布帛Fの風合い変化をさせるためには好ましい。噴射速度が30m/s未満では、布帛Fの風合い変化をさせることが可能なほど強い衝撃を布帛Fに与えることが困難となる場合、すなわち、N.G.となる場合があるためである。
【0049】
ここで、本実施例の布帛処理装置100Aの液体噴射部1における噴射口4aの直径は、0.12mmである。下記表2に、噴射口4aの直径が0.12mmである本実施例の液体噴射部1を使用した場合の、噴射速度と、加圧部6の加圧圧力と、連続流3aが液滴3bになるまでの噴射口4aからの距離である液滴化距離と、風合い変化の評価結果と、の対応を示す。
【0050】
【0051】
上記のように、噴射速度を30m/s以上とすることで布帛Fの風合い変化をさせることが可能である。一方、加圧部6の加圧圧力を1.5MPaよりも大きくすると、例えば、布帛Fにインクで画像などが記録されている場合などにおいて画像の形成面が荒れるなどする場合がある。噴射口4aの直径が0.12mmで加圧部6の加圧圧力を1.5MPaである場合、上記の表2で表されるように噴射速度は50m/sとなる。
【0052】
なお、布帛Fの風合い変化に必要な噴射速度は噴射口4aの直径に依存する。噴射口4aの直径が小さくなるほど布帛Fの風合い変化に必要な噴射速度は速くなる。例えば、噴射口4aの直径が0.025mmのものを使用した場合の加圧圧力は17MPaで風合い変化に必要な噴射速度は180m/sであり、噴射口4aの直径が0.005mmのものを使用した場合の加圧圧力は150MPaで風合い変化に必要な噴射速度は500m/sである。なお、下記表3に、噴射口4aの直径と加圧圧力と噴射速度と液体3の流量との関係を示す。
【0053】
【0054】
上記のことから、液体噴射部1は、液体3を噴射速度が500m/s以下の連続流となるように噴射することが好ましい。噴射速度が500m/sを超えると布帛を損傷する虞もあり、噴射速度を500m/s以下とすることで、噴射条件を調整し、布帛Fを損傷することなく、布帛Fの風合いを効果的に向上させることができるためである。なお、布帛Fの損傷とは、布帛F自体が損傷することのほか、布帛Fに形成された印刷画像などが損傷することも含む意味である。
【0055】
また、噴射口4aの直径は、0.005mm以上0.12mm以下であることが好ましい。このような噴射口4aの直径とすることで、好適に液体3を連続流として噴射し該液体3を液滴3b状態で布帛Fに衝突させることができるためである。
【0056】
また、加圧部6の加圧圧力は、0.5MPa以上150MPa以下であることが好ましい。加圧部6の加圧圧力を0.5MPa以上150MPa以下とすることで、布帛Fを損傷することなく、布帛Fの風合いを効果的に向上させることができるためである。
【0057】
[実施例2]
以下に、布帛処理装置100としての実施例2の布帛処理装置100Bについて
図5及び
図6を参照して説明する。このうち、
図5は、実施例1の布帛処理装置100Aにおける
図1に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Bは、以下で説明する構成以外については、実施例1の布帛処理装置100Aと同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Bは、下記の説明箇所以外については実施例1の布帛処理装置100Aと同様の特徴を有している。そこで、
図5及び
図6では上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0058】
上記のように、実施例1の布帛処理装置100Aは、布帛Fを支持する支持部21として、支持面23のみが液体噴射部1側に突出する凸状の曲面となった支持部21Aを備えていた。そして、支持部21Aは、不動の構成であった。一方、本実施例の支持部21Bは、
図5及び
図6で表されるように側面視で円形、すなわち、円柱状であり、セット軸11及び巻取軸12の回転軸と同じ方向の
図6で表される回転軸22を基準にして布帛Fの搬送に伴って従動して回転方向Dに回転可能な構成である。このように、支持部21を円柱状の回転体とすることで、不動の構成の支持部21に比べて、布帛Fに対する摩擦を少なくできるので、摩擦に伴う布帛Fの損傷を抑制することができる。
【0059】
[実施例3]
以下に、布帛処理装置100としての実施例3の布帛処理装置100Cについて
図7及び
図8を参照して説明する。このうち、
図7は、実施例2の布帛処理装置100Bにおける
図6に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Cは、以下で説明する構成以外については、実施例1及び実施例2の布帛処理装置100と同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Cは、下記の説明箇所以外については実施例1及び実施例2の布帛処理装置100と同様の特徴を有している。そこで、
図7及び
図8では上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0060】
上記のように、実施例1及び実施例2の布帛処理装置100の液体噴射部1は、ヘッド部2を1カ所有していた。一方、本実施例の布帛処理装置100Cの液体噴射部1は、
図7及び
図8で表されるように、ヘッド部2を第1ヘッド部2A及び第2ヘッド部2Bと、2カ所有している。そして、
図8で表されるように、搬送方向Aと交差する幅方向において、第1ヘッド部2Aの噴射口4aの位置と第2ヘッド部2Bの噴射口4aの位置とがずれて構成されている。詳細には、第1ヘッド部2A及び第2ヘッド部2Bの噴射口4aの隣接する噴射口4a同士の間隔である噴射口ピッチはともに長さL1であるが、第1ヘッド部2Aの噴射口4aの位置と第2ヘッド部2Bの噴射口4aの位置とが幅方向において長さL1の半分である長さL2ぶんずれている。このような構成としていることで、装置全体としての噴射口ピッチを狭めることが可能になり、特に好適に布帛Fの風合いを向上させることができる。また、搬送方向Aにおいて噴射口4aの位置をずらすことで、布帛F上に液体3が溜まり、布帛Fの風合いを向上させる効果が低減することを抑制する効果もある。なお、長さL1に特に限定は無いが、例えば、1mm以上とすることで、隣接する噴射口4a同士の干渉を抑制でき、衝撃を効果的に布帛Fに付与することが可能になる。
【0061】
[実施例4]
以下に、布帛処理装置100としての実施例4の布帛処理装置100Dについて
図9及び
図10を参照して説明する。このうち、
図9は実施例3の布帛処理装置100Cにおける
図7に対応する図であり、
図10は実施例3の布帛処理装置100Cにおける
図8に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Dは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例3の布帛処理装置100と同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Dは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例3の布帛処理装置100と同様の特徴を有している。そこで、
図9及び
図10では上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0062】
上記のように、実施例1から実施例3の布帛処理装置100は、支持部21を1つのみ備えていた。一方、本実施例の布帛処理装置100Dは、
図9で表されるように、上下交互に配置されるように、実施例2及び実施例3の布帛処理装置100における支持部21Bと同様の構成の支持部21Bを5つ備えている。そして、上側に配置される3つの支持部21Bの上側に、ヘッド部2を、搬送方向Aにおける順に、第1ヘッド部2C、第2ヘッド部2D、第3ヘッド部2E、と3つ備えている。
【0063】
なお、
図10で表されるように、搬送方向Aと交差する幅方向において、第1ヘッド部2Cの噴射口4aの位置と第2ヘッド部2Dの噴射口4aの位置と第3ヘッド部2Eの噴射口4aの位置とがずれて構成されている。詳細には、第1ヘッド部2C、第2ヘッド部2D及び第3ヘッド部2Eの噴射口ピッチはいずれも長さL3であるが、第1ヘッド部2Cの噴射口4aの位置と第2ヘッド部2Dの噴射口4aの位置とが幅方向において長さL3の1/3である長さL4ぶんずれている。そして、第1ヘッド部2Cの噴射口4aの位置と第3ヘッド部2Eの噴射口4aの位置とが幅方向において長さL3の2/3である長さL5ぶんずれている。このような構成としていることで、装置全体としての噴射口ピッチを狭めることが可能になり、特に好適に布帛Fの風合いを向上させることができる。また、搬送方向Aにおいて噴射口4aの位置をずらすことで、布帛F上に液体3が溜まり、布帛Fの風合いを向上させる効果が低減することを抑制する効果もある。
【0064】
[実施例5]
以下に、布帛処理装置100としての実施例5の布帛処理装置100Eについて
図11を参照して説明する。
図11は、実施例1の布帛処理装置100Aにおける
図1に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Eは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例4の布帛処理装置100と同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Eは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例4の布帛処理装置100と同様の特徴を有している。そこで、
図11では上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0065】
上記のように、実施例1から実施例4の布帛処理装置100は、布帛Fを支持する支持部21として、支持面23が液体噴射部1側に突出する凸状の曲面のみで構成されていた。一方、本実施例の布帛処理装置100Eの支持部21Cは、
図11で表されるように、従動ローラー15と従動ローラー16との間に設けられており、支持面23として液体噴射部1側に突出する凸状の曲面部分23aと平面部分23bとを有している。
【0066】
別の表現をすると、本実施例の布帛処理装置100Eの支持部21Cの支持面23は、平面部分23bを有する平面である。このような支持面23が平面である構成とすることで、布帛Fの広い範囲を支持面23に支持させることができ、布帛Fの広い範囲に好適に液体3を噴射することができる。なお、「支持面23が平面である」とは、詳細には、「支持面23の液体噴射部1から噴射方向Bに延びる直線の支持面23との接点及びその周辺領域が、平面である」という意味である。このため、本実施例のように、平面部分23bの両端部分などに曲面部分23aなどを有していてもよい。なお、平面部分23bの両端部分に曲面部分23aを有することで、布帛Fが支持面23の角部などに擦り付けられて損傷することを抑制することができる。なお、本実施例において、噴射方向Bは水平方向であるが、噴射方向Bは水平方向でなくてもよい。
【0067】
[実施例6]
以下に、布帛処理装置100としての実施例6の布帛処理装置100Fについて
図12を参照して説明する。
図12は、実施例5の布帛処理装置100Eにおける
図11に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Fは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例5の布帛処理装置100と同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Fは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例5の布帛処理装置100と同様の特徴を有している。そこで、
図12では上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0068】
図11で表されるように、実施例5の布帛処理装置100Eは、平面部分23bが噴射方向Bに対してほぼ垂直になるように、支持部21Cが配置されていた。一方、本実施例の支持部21は、
図12で表されるように、実施例5の支持部21Cと同じ形状の支持部21Cが、平面部分23bの噴射方向Bに対する角度Θ2が45°となる配置で設けられている。
【0069】
また、別の観点から説明すると、本実施例の布帛処理装置100Fの支持部21Cの支持面23は、平面部分23bに対応する平面の法線Nが水平面に対して45°の角度をなしている。なお、実施例5の布帛処理装置100Eの支持部21Cの支持面23は、平面部分23bに対応する平面の法線Nが水平面に対して0°の角度をなしていると表現することができる。このように、支持面23における平面部分23bに対応する平面の法線Nが水平面に対して0°以上45°以下の角度をなすことが好ましい。このような構成とすることで、液体噴射部1から噴射された液体3が液体噴射部1に垂れることを抑制でき、また、支持面23で跳ね返った液体3が液体噴射部1に付着することも併せて抑制でき、そのことで、液体噴射部1に噴射不良が生じることを抑制することができるためである。
【0070】
[実施例7]
以下に、布帛処理装置100としての実施例7の布帛処理装置100Gについて
図13を参照して説明する。
図13は、実施例5の布帛処理装置100Eにおける
図11に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Gは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例6の布帛処理装置100と同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Gは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例6の布帛処理装置100と同様の特徴を有している。そこで、
図13では上記実施例1から実施例6と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0071】
図13で表されるように、本実施例の布帛処理装置100Gは、実施例5の布帛処理装置100Eに対して、吸引チューブ32が接続された吸引部31を備えるとともに、支持部21Cと同様の形状の支持部21Dの内部に吸引チューブ32と繋がる吸引孔25が複数設けられている。別の表現をすると、本実施例の布帛処理装置100Gの支持部21Dには吸引孔25が設けられ、本実施例の布帛処理装置100Gは吸引孔25から吸引する吸引部31を備えている。このため、本実施例の布帛処理装置100Gは、吸引孔25を介して布帛Fを吸引することで支持部21Dに布帛Fを確りと支持させることができるとともに、吸引孔25を介して液体3を吸引することで布帛F上に液体3が溜まり強い衝撃を布帛Fに与えることができなくなることを抑制することができる。
【0072】
なお、吸引孔25の内径は、液滴3bの直径よりも小さくすることが好ましい。吸引孔25の内径を液滴3bの直径よりも小さくすることで、液滴3bが布帛Fに衝突した際の衝撃力の低下を抑制できるためである。そして、支持部21Dの内部における吸引孔25の延びる方向は、噴射方向Bに対してずれていることが好ましい。支持部21Dの内部における吸引孔25の延びる方向が噴射方向Bに対してずれていないと、液滴3bが布帛Fに衝突した際の衝撃力が低下する場合があるためである。
【0073】
[実施例8]
以下に、布帛処理装置100としての実施例8の布帛処理装置100Hについて
図14及び
図15を参照して説明する。このうち、
図14は実施例7の布帛処理装置100Gにおける
図13に対応する図であり、
図15は実施例3の布帛処理装置100Cにおける
図8に対応する図である。本実施例の布帛処理装置100Hは、以下で説明する構成以外については、実施例1から実施例7の布帛処理装置100と同様である。このため、本実施例の布帛処理装置100Hは、下記の説明箇所以外については実施例1から実施例7の布帛処理装置100と同様の特徴を有している。そこで、
図14及び
図15では上記実施例1から実施例7と共通する構成部材は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0074】
図14及び
図15で表されるように、本実施例の布帛処理装置100Hは、実施例3の布帛処理装置100C及び実施例4の布帛処理装置100Dと同様、搬送方向Aと交差する幅方向に噴射口4aが並べられた噴射口列を複数有している。ただし、本実施例の布帛処理装置100Hにおいては、実施例3の布帛処理装置100C及び実施例4の布帛処理装置100Dとは異なり、合計3本の噴射口列41、42及び43が1つのヘッド部2に形成されている。
【0075】
なお、
図15で表されるように、各噴射口列41、42及び43の噴射口4aは、幅方向における位置がずれて構成されている。詳細には、噴射口列41、噴射口列42及び噴射口列43の噴射口ピッチはいずれも長さL6であるが、噴射口列41の噴射口4aの位置と噴射口列42の噴射口4aの位置とが幅方向において長さL6の1/3である長さL7ぶんずれている。そして、噴射口列41の噴射口4aの位置と噴射口列43の噴射口4aの位置とが幅方向において長さL6の2/3である長さL8ぶんずれている。このような構成としていることで、装置全体としての噴射口ピッチを狭めることが可能になり、特に好適に布帛Fの風合いを向上させることができる。また、搬送方向Aにおいて噴射口4aの位置をずらすことで、布帛F上に液体3が溜まり、布帛Fの風合いを向上させる効果が低減することを抑制する効果もある。
【0076】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…液体噴射部、2…ヘッド部、2A…第1ヘッド部、2B…第2ヘッド部、2C…第1ヘッド部、2D…第2ヘッド部、2E…第3ヘッド部、3…液体、3a…連続流、3b…液滴、4…ノズル部、4a…噴射口、5…制御部、6…加圧部、7…液体搬送部、8…液体貯留部、9…制御信号線、10…搬送部、11…セット軸(駆動ローラー)、12…巻取軸(駆動ローラー)、13…搬送制御部、14…ケーブル、15…従動ローラー、16…従動ローラー、21…支持部、21A…支持部、21B…支持部、21C…支持部、21D…支持部、22…回転軸、23…支持面、23a…曲面部分、23b…平面部分、25…吸引孔、31…吸引部、32…吸引チューブ、41…噴射口列、42…噴射口列、43…噴射口列、100…布帛処理装置、100A…布帛処理装置、100B…布帛処理装置、100C…布帛処理装置、100D…布帛処理装置、100E…布帛処理装置、100F…布帛処理装置、100G…布帛処理装置、100H…布帛処理装置、F…布帛、N…法線