(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017361
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】不動産情報処理プログラム、不動産情報処理サーバ、及び不動産情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20230131BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121589
(22)【出願日】2021-07-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】521238395
【氏名又は名称】Studio LOC合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蘆川 洵
(72)【発明者】
【氏名】長田 幸洋
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC28
(57)【要約】
【課題】不動産賃貸物件ごとに対応した満室経営戦略を提案する。
【解決手段】自ら不動産賃貸物件を所有する物件オーナーのオーナー側端末3からのアクセスを受け付けるSS105の手順と、アクセスを受け付けた物件オーナーの不動産賃貸物件に係わる物件データをオーナー側端末3から取得するSS110の手順と、一般公開データを取得するSS115の手順と、物件データと一般公開データと、に基づき、物件オーナーの不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する満室経営戦略レポートを作成するSS120の手順と、満室経営戦略レポートを物件オーナーのオーナー側端末3へ出力するSS125の手順と、を実行させる。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社がサーバを用いて不動産情報処理方法を実行するための不動産情報処理プログラムであって、
前記サーバの演算部に対し、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成するレポート作成ステップと、
前記レポート作成ステップで作成した前記診断レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力ステップと、
を実行させるための、不動産情報処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップにおける前記診断では、
前記物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件に関する賃料評価値、空室率評価値、入居年数評価値、募集期間評価値、及び管理満足度評価値の少なくとも1つを算出して診断する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測し、対応する推奨ターゲット入居者レポートも併せて作成し、
前記レポート出力ステップでは、
前記診断レポートと併せて前記推奨ターゲット入居者レポートも前記オーナーの情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項4】
請求項3記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記物件属性情報及び前記賃貸マーケット関連情報と、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記推奨ターゲット入居者の属性モデルを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項5】
請求項3記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記サーバの演算部に対し、さらに、
前記推奨ターゲット入居者レポートに対して前記オーナーが関心を示しているか否かを示す第1関心度情報を前記情報端末から取得する第1関心度情報取得処理と、
を実行し、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記物件属性情報、前記賃貸マーケット関連情報、及び前記第1関心度情報と、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記推奨ターゲット入居者の属性モデルを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記推奨ターゲット入居者の属性モデルに基づき、当該推奨ターゲット入居者がさらに前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクションを予測し、対応する獲得アクションレポートも前記推奨ターゲット入居者レポートに併記する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルと、前記獲得アクションとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記獲得アクションを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項8】
請求項6記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記サーバの演算部に対し、さらに、
前記獲得アクションレポートに対して前記オーナーが関心を示しているか否かを示す第2関心度情報を前記情報端末から取得する第2関心度情報取得処理と、
を実行し、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記推奨ターゲット入居者の属性モデル及び前記第2関心度情報と、前記獲得アクションとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記獲得アクションを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項9】
請求項3乃至8のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記推奨ターゲット入居者の属性モデルに基づき、当該推奨ターゲット入居者が前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居した場合の売上を予測し、対応する売上予測レポートも前記推奨ターゲット入居者レポートに併記する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
管理受託契約及び賃貸借媒介契約の少なくとも一方における所定項目に関して、前記管理会社があらかじめ入力した自らの対応情報を記載する管理会社比較レポートも併せて作成し、
前記レポート出力ステップでは、
前記診断レポートと併せて前記管理会社比較レポートも前記オーナーの情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の所在地域における不動産賃貸物件の市場トレンドを解析し、対応する地域市場トレンドレポートも併せて作成し、
前記レポート出力ステップでは、
前記診断レポートと併せて前記地域市場トレンドレポートも前記オーナーの情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項12】
請求項11記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップにおける前記解析では、
前記物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の所在地域における人口、世帯、世帯収入、類似物件数、着工戸数、平均賃料、及び空き家の少なくとも1つについて解析する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記サーバの演算部に対し、さらに、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーに係わる個人情報を前記情報端末から取得する第3情報取得処理と、
を実行し、
前記レポート出力ステップでは、
前記第3情報取得処理で前記個人情報を取得していない場合には前記診断レポートを前記情報端末において画面表示するだけの表示画面データの形態で出力し、
前記第3情報取得処理で前記個人情報を取得している場合には前記診断レポートを前記情報端末において印刷可能な印刷データの形態で出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記受付ステップは、
前記管理会社の情報端末からのアクセスも受け付け可能であり、
前記第1情報取得ステップは、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記管理会社が管理受託契約または賃貸借媒介契約を受けている不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記管理会社の情報端末から取得し、
前記レポート作成ステップは、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記管理会社が管理受託契約または賃貸借媒介契約を受けている前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成し、
前記レポート出力ステップは、
前記レポート作成ステップで作成した前記診断レポートを前記管理会社の情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項15】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社が利用する不動産情報処理サーバであって、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付処理と、
前記受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得処理と、
前記第1情報取得処理で取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得処理と、
前記第1情報取得処理で取得された前記物件属性情報と、前記第2情報取得処理で取得された前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成するレポート作成処理と、
前記レポート作成処理で作成された前記診断レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力処理と、
を実行することを特徴とする不動産情報処理サーバ。
【請求項16】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社がサーバを用いて実行する不動産情報処理方法であって、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成するレポート作成ステップと、
前記レポート作成ステップで作成した前記診断レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力ステップと、
を有することを特徴とする不動産情報処理方法。
【請求項17】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社が利用する不動産情報処理サーバであって、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付けるオーナー受付処理と、
前記オーナー受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第4情報取得処理と、
前記オーナー受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーに係わる個人情報を前記情報端末から取得する第5情報取得処理と、
前記第4情報取得処理で取得された前記物件属性情報と、前記第5情報取得処理で取得された前記個人情報とをオーナー顧客情報として登録する登録処理と、
前記管理会社の情報端末からのアクセスを受け付ける管理会社受付処理と、
前記登録処理で登録された前記オーナー顧客情報を前記管理会社の情報端末へ出力するオーナー顧客情報出力処理と、
を実行することを特徴とする不動産情報処理サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産賃貸物件の満室経営戦略に関する情報処理を行う不動産情報処理プログラム、不動産情報処理サーバ、及び不動産情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不動産関連取引情報をネットワーク経由で提供する情報処理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術の情報処理システムでは、需要と供給とのバランスをマッチングした不動産関連取引情報を提供することを目的に、物件ごとの各要素について値の入力を行い、利用者の類型ごとに重みづけをしつつ点数に変換し、物件の評価値を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の情報処理システムは、主に需要者である入居者側のニーズと検索の利便性を基準として物件の評価値計算を行うものであった。一方、供給者である物件オーナー側としては、その保有物件に合った入居者をできる限り早く探してくれることや、一度入居した入居者にできる限り長く住んでもらうこと、つまりは満室経営の持続が望まれている。そして物件オーナーと共に満室経営の持続を目指す立場である不動産管理会社としても、そのような物件オーナーから信頼を得て管理受託契約や賃貸借の媒介契約を受注できるよう、物件ごとに対応して高度な満室経営の戦略を立てて提案できる情報処理システムが要望されていた。
【0005】
本発明の目的は、不動産賃貸物件ごとに対応した満室経営戦略を提案できる不動産情報処理プログラム、不動産情報処理サーバ、及び不動産情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社がサーバを用いて不動産情報処理方法を実行するための不動産情報処理プログラムであって、前記サーバの演算部に対し、自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付ステップと、前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得ステップと、前記第1情報取得ステップで取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得ステップと、前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成するレポート作成ステップと、前記レポート作成ステップで作成した前記診断レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力ステップと、を実行させる。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明は、不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社が利用する不動産情報処理サーバであって、自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付処理と、前記受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得処理と、前記第1情報取得処理で取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得処理と、前記第1情報取得処理で取得された前記物件属性情報と、前記第2情報取得処理で取得された前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成するレポート作成処理と、前記レポート作成処理で作成された前記診断レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力処理と、を実行する。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明は、不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社がサーバを用いて実行する不動産情報処理方法であって、自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付ステップと、前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得ステップと、前記第1情報取得ステップで取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得ステップと、前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の経営に係わる診断を行い、対応する診断レポートを作成するレポート作成ステップと、前記レポート作成ステップで作成した前記診断レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力ステップと、を有する。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社が利用する不動産情報処理サーバであって、自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付けるオーナー受付処理と、前記オーナー受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第4情報取得処理と、前記オーナー受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーに係わる個人情報を前記情報端末から取得する第5情報取得処理と、前記第4情報取得処理で取得された前記物件属性情報と、前記第5情報取得処理で取得された前記個人情報とをオーナー顧客情報として登録する登録処理と、前記管理会社の情報端末からのアクセスを受け付ける管理会社受付処理と、前記登録処理で登録された前記オーナー顧客情報を前記管理会社の情報端末へ出力するオーナー顧客情報出力処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、不動産賃貸物件ごとに対応した満室経営戦略を提案できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る不動産情報処理システムの概略的なシステム構成図である。
【
図2】実際の不動産賃貸ビジネスの概要と、そこにおけるプレーヤー間の関係性を表す図である。
【
図3】管理サーバの第1の利用形態を表すシーケンスチャートである。
【
図4】管理サーバの第2の利用形態を表すシーケンスチャートである。
【
図5】特定個別情報データベースと一般公開情報データベースのそれぞれが備える小データベース群を表す図である。
【
図6】物件オーナーからの入力データの詳細な内容を例示する図である。
【
図7】満室経営戦略レポートにおける表紙の一例を表す図である。
【
図8】満室経営戦略レポートにおける該当地域の賃貸市場トレンド報告の記載の一例を表す図である。
【
図9】満室経営戦略レポートにおける保有物件の経営診断の記載の一例を表す図である。
【
図10】満室経営戦略レポートにおける推奨ターゲット入居者等の記載の一例を表す図である。
【
図11】推奨ターゲット入居者予測AIの構成の一例を表す図である。
【
図12】獲得アクション予測AIの構成の一例を表す図である。
【
図13】満室経営戦略レポートにおける現行管理会社との比較の記載の一例を表す図である。
【
図14】第1の利用形態に対応して管理サーバのCPUが実行するオーナー利用処理の制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図15】第2の利用形態に対応して管理サーバのCPUが実行する管理会社利用処理の制御手順の一例を表すフローチャートである。
【
図16】提供会社が有償で満室経営戦略レポートを作成するビジネスモデルの場合を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<概略的なシステム構成について>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態に係る不動産情報処理システムの概略的なシステム構成について説明する。なお、
図1に示す本実施形態の不動産情報処理システム1の例では、実際に不動産に関する情報処理を行う管理サーバは提供会社が保有しており、この提供会社が当該管理サーバを不動産管理会社に有償で貸し出すビジネスモデルの場合について説明する。
【0014】
この
図1において、本実施形態の例の不動産情報処理システム1は、管理サーバ2を有している。管理サーバ2は、例えばインターネットなどの通信ネットワークNWを介して、不動産賃貸物件を保有する物件オーナーのオーナー側端末3と、不動産管理会社の管理会社側端末4との間で各種の情報を送受可能ないわゆるクラウドサーバである。また管理サーバ2は、通信ネットワークNWを介して、例えば国や地方自治体などの公的機関や民間住宅情報会社の調査による地域不動産情報を登録、公開する一般統計調査データベースや民間住宅情報会社データベースなどの外部サーバ5との間でも各種の情報を送受可能となっている。
【0015】
上記のオーナー側端末3及び管理会社側端末4のいずれも、いわゆるスマートフォンや、タブレット型PC、デスクトップ型PC、又はノート型PCなどの汎用パーソナルコンピュータを利用できる(図中ではデスクトップ型PCのみ図示)。そして、いずれの汎用パーソナルコンピュータの場合でも、WEBブラウザを介して管理サーバ2との間の情報送受を行える。
【0016】
なお、上記における管理サーバ2が各請求項記載のサーバ及び不動産情報処理サーバに相当し、オーナー側端末3が各請求項記載のオーナーの情報端末に相当し、管理会社側端末4が各請求項記載の管理会社の情報端末に相当する。
【0017】
<管理サーバについて>
管理サーバ2は、CPU、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリなどで構成されるコンピュータであり、情報処理部21、特定個別情報データベース22、及び一般公開情報データベース23の各機能部を有している。なお、上記のCPUが各請求項記載の演算部に相当する。
【0018】
情報処理部21は、上述したように通信ネットワークNWを介して各種端末3,4に対しWEBアプリケーション等の形態で情報送受を行うWEBサーバ機能部21aと、上記の外部サーバ5から後述する一般公開データを取得する情報取得機能部21bと、後述する満室経営戦略レポートを作成するレポート作成部21cを備えている。
【0019】
特定個別情報データベース22は、上記情報処理部21のWEBサーバ機能部21aが各種端末3,4から取得した特定の不動産賃貸物件の物件データやその物件オーナーの個人データなどを特定個別情報として記録し保存するデータベースである。なお、この特定個別情報データベース22が記録する特定個別情報の詳細については後述する(後の
図5、
図6参照)。また、上記の物件データが各請求項記載の不動産賃貸物件の物件属性情報に相当し、上記の個人データが各請求項記載のオーナーに係わる個人情報に相当する。
【0020】
一般公開情報データベース23は、上記情報処理部21の情報取得機能部21bが外部サーバ5から取得した地域不動産情報などを一般公開情報として記録し保存するデータベースである。なお、この一般公開情報データベース23が記録する一般公開情報の詳細については後述する(後の
図5参照)
【0021】
<実際の不動産賃貸ビジネスの概要とプレーヤーについて>
ここで、本実施形態の不動産情報処理システム1を適用する実際の不動産賃貸ビジネスの概要と、そこにおけるプレーヤー間の関係性について
図2を参照しつつ説明する。この
図2において、まず賃貸アパートや賃貸マンションなどの不動産賃貸物件を所有する物件オーナー(貸主)は、その不動産賃貸物件に入居する入居者(借主)を募集し、成約した入居者から賃貸借契約に基づく賃料収入を得ることで不動産経営を行う。また入居中となっている不動産賃貸物件に対しては、賃料の徴収、クレーム対応、建物の状態維持管理、契約の更新手続き、また退居時の対応など多様な業務を行う必要がある。
【0022】
基本的に物件オーナー自身がこれらいずれの業務も行うことはできるが、例えば多数の建物、戸数を所有する場合には全ての業務を単独で行うことは困難であり、物件オーナーは、賃貸住宅管理業者登録や宅建業免許を有する不動産管理会社と管理受託契約や賃貸借の媒介契約を締結し、業務を委託する場合が多い。それら委託を受けた不動産管理会社は、管理業務を行うことで物件オーナーから管理手数料収入を得ることができる。尚、管理手数料は入居者から得られる賃料収入のうち一定割合を物件オーナーが不動産管理会社に支払う形態が多い。このため、入居者の満足度を高め、できる限り長く住んでもらうことが、不動産管理会社の利益にもなる。また、不動産管理会社は、媒介業務(募集、重要事項説明、賃貸借契約補助など)を行うことで賃貸借契約が成約した入居者から仲介手数料収入を得ることができる。このため、入居者を獲得し満室経営を実現することが、不動産管理会社の利益にもなる。このように、満室経営の持続は、物件オーナーにとっても、不動産管理会社にとっても同一の目標といえ、互いの利益が一致しているといえる。
【0023】
以上のような不動産賃貸ビジネス業界において、近年ではインターネットなどを介したネットワークシステムの利用が進んでいる。例えば、特に図示しないが、不動産管理会社から広告宣伝費としての掲載料を受けて物件を掲載し、入居者がインターネット上で物件検索するためのポータルサイトが存在する。また上述したように、国や地方自治体などの公的機関や民間住宅情報会社が各地域の不動産状況を調査し、その情報を物件オーナーや不動産管理会社が参照できるよう上記外部サーバ5で一般公開している。
【0024】
しかしこれまでは、主に需要者である入居者側のニーズと検索の利便性を基準として設計された情報処理システムが多く提案されているものの、供給者である物件オーナー側に対しては有益な情報を提供できる情報処理システムの提案がなかった。とりわけ、物件オーナー側としてはその保有物件に合った入居者をできる限り早く探してくれることや、一度入居した入居者にできる限り長く住んでもらうこと、つまりは満室経営の持続が望まれている。そして前述したように物件オーナーと利害を一にしている不動産管理会社としても、そのような物件オーナーから信頼を得て管理受託契約や賃貸借の媒介契約を受注できるよう、物件ごとに対応して高度な満室経営の戦略を策定して提案することが望まれている。しかし、そのような満室経営戦略を有効に策定するためには、多くの関係データの収集とそれらに対する高度な統計解析技術が必要であり、それらを簡易かつ自動的に行える情報処理システムが提案されていなかった。
【0025】
これに対して本実施形態の不動産情報処理システム1における管理サーバ2は、物件オーナーが所有する個別の不動産賃貸物件に関する物件データと、外部サーバ5から取得できる地域不動産状況に関する一般公開データとに基づいて、当該個別の不動産賃貸物件に対する満室経営に向けての戦略を記載した満室経営戦略レポートを作成する。そして本実施形態においてこの管理サーバ2を利用するためのビジネスモデルとしては、当該管理サーバ2の保有者である提供会社が、不動産管理会社にその管理サーバ2を有償で貸し出すビジネスモデルとなる。以下、そのようなビジネスモデルにおける管理サーバ2の利用形態と機能について、順次詳細に説明する。
【0026】
<管理サーバの利用形態について>
本実施形態の例における管理サーバ2の利用形態としては、
図3に示す第1の利用形態と、
図4に示す第2の利用形態の2種類がある。
【0027】
第1の利用形態の場合は、不動産管理会社がまだ管理受託契約や賃貸借媒介契約が締結できていない多くの未取引物件オーナーに対して広く無償で利用してもらう利用形態であり、この第1の利用形態の具体的な工程について
図3のシーケンスチャートを参照しつつ説明する。
【0028】
まずST1に示すように、不動産管理会社が例えば自社ホームページでのバナー、WEB広告、案内メールなどを介して、管理サーバ2へのアクセス情報と、その利用により満室経営戦略レポートの作成を無償で行えることを多くの未取引物件オーナーに広く提示する。
【0029】
そしてST2で、興味を持った未取引物件オーナーがオーナー側端末3により管理サーバ2へアクセスし、自身が所有する未契約物件についての物件データを管理サーバ2に入力する。
【0030】
これによりST3で、管理サーバ2が、上記ST2で入力された未契約物件データと、あらかじめ外部サーバ5から取得した一般公開データとに基づいて、当該未契約物件に対する満室経営戦略レポートを作成する。
【0031】
次にST4で、管理サーバ2は作成した満室経営戦略レポートを未取引物件オーナーに提示する。なお、この時点ではオーナー側端末3において満室経営戦略レポートを画面表示させるだけの表示画面データの形態で出力し、もしPDFデータなどの印刷可能な印刷データとして入手を希望する場合には、未取引物件オーナー自身の個人データ(氏名、メールアドレス、電話番号、面談希望、問合せ、個人情報取扱いへの同意、等)の入力が必要であることを提示する。
【0032】
そしてST5で、満室経営戦略レポートの印刷データを希望する未取引物件オーナーが管理サーバ2に対して自身の個人データを入力した場合には、ST6で管理サーバ2が印刷データの形態の満室経営戦略レポートとともに不動産管理会社のパンフレットを未取引物件オーナーへのメールアドレスに送付し、同時に、面談受付や問合せ受付等、いわゆる営業活動的な処理も併せて行う。
【0033】
さらにST7で、管理サーバ2は、このとき個人情報の取扱いへの同意が得られたものとして新たに取得した未取引物件オーナーの物件データと個人データを特定個別情報データベース22に新規登録する。なお、物件データに関しては、個人データの入力の有無にかかわらず特定個別情報データベース22に登録するよう設定してもよい。
【0034】
その結果ST8で、不動産管理会社は、ST3で作成された満室経営戦略レポートや、ST6で受け付けた面談希望や問合せ内容を基に、未取引物件オーナーに対して面談、電話、メールなどを通じて接触し、管理受託契約や賃貸借媒介契約の締結に向けた営業活動を行うことができる。また、管理サーバ2において、不動産管理会社は、未取引物件オーナーに対する営業活動状況(活動未済、活動済、契約済、お断り等)を記録することで効率的な顧客管理を行うことができる。こうした営業活動を通じ、未取引物件オーナーから信頼を得られた場合は、管理受託契約や賃貸借の媒介契約の締結を行う。
【0035】
以上のような第1の利用形態により、不動産管理会社がまだ契約していない多くの未取引物件オーナーに対して当該不動産管理会社自身から手当たり次第に広く営業活動を行う、従来型のいわゆるプッシュ型の営業とは異なり、満室経営戦略レポートで信頼を得た未取引物件オーナー自ら問合せてもらえるいわゆるプル型の営業が可能となる。また、満室経営戦略レポートには現行管理会社との比較も含まれており、そこには未取引物件オーナーが入力した現行管理会社のサービス範囲、管理手数料、不満点等が記載されているため(後の
図13参照)、こうした情報を基に、不動産管理会社は自社の管理サービスの優位性等をその後の営業活動において効率的に訴求することができる。
【0036】
次に第2の利用形態の場合は、不動産管理会社がすでに管理受託契約や賃貸借媒介契約を締結済みの既取引物件オーナーに対して追加契約を取ること、もしくは他社への管理替えを防止することを目的として当該不動産管理会社自身が管理サーバ2を利用する形態であり、この第2の利用形態の具体的な工程について
図4のシーケンスチャートを参照しつつ説明する。
【0037】
まずST11に示すように、不動産管理会社が既取引物件オーナー所有の物件データ(契約済物件、未契約物件とも可)を、例えば手入力または表計算データのアップロードなどにより管理会社側端末4から管理サーバ2へ入力する。
【0038】
これによりST12で、管理サーバ2が、入力された物件データと、あらかじめ外部サーバ5から取得した一般公開データとに基づいて、当該契約済物件に対する満室経営戦略レポートを作成する。
【0039】
次にST13で、管理サーバ2は作成した満室経営戦略レポートを印刷データの形態(及び表示画面データの形態)で管理会社側端末4に出力する。
【0040】
そしてST14で、不動産管理会社は、満室経営戦略レポートをそのまま印刷データの形態でメールで送るか、もしくは印刷物として作成して面談時の手渡しや郵送などで送ることにより既取引物件オーナーに提示し、新たな管理受託契約や賃貸借の媒介契約締結に向けた営業活動を行う。
【0041】
その結果ST15で、既取引物件オーナーがST14にて提示される満室経営戦略レポートの内容や営業活動に基づいて不動産管理会社を信頼した場合には、まだ契約していない他の物件の追加契約締結を行う、もしくは現行契約を維持する。
【0042】
追加契約があった場合は、その後にST16で、不動産管理会社は新たに契約した追加物件の物件データを管理サーバ2に入力し、ST17で管理サーバ2がその追加物件データを対応する既取引物件オーナーに紐付けて特定個別情報データベース22に追加登録する。
【0043】
以上のような第2の利用形態により、不動産管理会社は既取引物件オーナーに対しても満室経営戦略レポートを用いた高度な満室経営戦略の提案ができることにより、他の競合する不動産管理会社と大きく差別化して他の物件の追加契約締結を図るとともに、契約済の物件の他社への管理替えを防止することができる。
【0044】
<データベースの記録内容について>
上述したように満室経営戦略レポートは、特定個別情報に含まれる物件データと、一般公開情報に含まれる地域不動産情報としての一般公開データに基づいて作成されるが、有効かつ精度の高い空室対策の戦略(満室経営戦略)の策定にはそれら各種データの種類と質の高さに大きく依存する。以下では、本実施形態の例における管理サーバ2の各データベース22,23に記録される各種データ内容について説明する。
【0045】
図5に示すように、管理サーバ2が備える特定個別情報データベース22と一般公開情報データベース23は、それぞれ記憶するデータ種類の小区分別に分割された小データベース群として構成されている。この
図5に示す本実施形態の例において、特定個別情報データベース22が備える小データベースとしては、物件データベース22a、入居状況データベース22b、入居者属性データベース22c、管理状況データベース22d、物件オーナーデータベース22e、管理会社データベース22f、担当者データベース22g、及びその他データベース22hとを有している。
【0046】
物件データベース22a、入居状況データベース22b、入居者属性データベース22c、管理状況データベース22d、及び物件オーナーデータベース22eは、上記WEBサーバ機能部21aにより、オーナー側端末3及び不動産管理会社側端末4から入力された不動産賃貸物件そのものに関する物件データ、その入居・管理状況に関するデータ、及び個人データをそれぞれ記録する。管理会社データベース22f、及び担当者データベース22gは、上記WEBサーバ機能部21aにより不動産管理会社側端末4から入力された不動産管理会社のデータをそれぞれ記録する。
【0047】
また
図5に示す本実施形態の例において、一般公開情報データベース23が備える小データベースとしては、人口推移データベース23a、世帯年収データベース23b、物件供給データベース23c、平均賃料データベース23d、空室率データベース23e、入居年数データベース23f、募集期間データベース23g、及びその他データベース23fとを有している。これら小データベースは、上記情報取得機能部21bにより外部サーバ5から取得した人口推移、世帯年収、物件供給、平均賃料、空室率、入居年数、募集期間、及びその他に関するそれぞれの一般公開データを記録する。
【0048】
また、特に満室経営戦略レポートの作成にあたって必要とされる物件オーナーからの入力データの詳細な内容を
図6に示す。図示する例では、データ分類の大区分として保有物件、入居状況、主な入居者属性、及び管理状況があり、このうちの保有物件の大区分に属する入力データが物件データベース22aに記録され、入居状況の大分類に属する入力データが入居状況データベース22bに記録され、主な入居者属性の大区分に属する入力データが入居者属性データベース22cに記録され、管理状況の大区分に属する入力データが管理状況データベース22dに記録される。そして各大区分のそれぞれで複数の小区分のデータ分類があり、物件オーナーは各小区分のデータ分類のそれぞれに対応して図示するような入力選択肢もしくは数値(多数の数値区分の選択肢としてもよい)やコメントテキストを入力する。
【0049】
特に管理状況の大区分に属する各入力データは、満室経営戦略レポートの「現行管理会社との比較」(後の
図13参照)の記載内容にそのまま反映するデータとなる。このように多種多様なデータが満室経営戦略レポートの作成に必要となるが、上記のWEBサーバ機能部21aでは物件オーナーによる入力操作の負担ができるだけ低くなるよう単純なアイコン選択操作や入力メニュー操作を多用するとよい(図示省略)。
【0050】
<満室経営戦略レポートの内容とその作成手法の具体例について>
以下、
図7~
図13を参照しつつ、本実施形態の例における満室経営戦略レポートの内容とレポート作成部21cにおけるその作成手法の具体例について説明する。この満室経営戦略レポートの記載内容としては、主に下記のような項目に大別される。
・表紙
・該当地域の賃貸市場トレンド報告
・保有物件の経営診断
・推奨ターゲット入居者、獲得アクション、売上予測
・現行管理会社との比較
【0051】
<満室経営戦略レポートの表紙の記載内容>
まず
図7に示す例の表紙の上方位置には、宛先の物件オーナー(図中の「〇〇〇〇様」)、レポートタイトル、不動産管理会社名(図中の「△△不動産」)、及び発行日付(図中の「YYYY年MM月DD日」)が記載されているとともに、右下の位置には当該満室経営戦略レポートの提供元としてアピールする意味で当該不動産管理会社のロゴマークMが記入されている。
【0052】
<該当地域の賃貸市場トレンド報告の記載内容>
そして
図8に示す例の賃貸市場トレンド報告では、対象としている不動産賃貸物件の所在地域(「〇〇県〇〇市(東京都23区の場合は東京都○○区)」)における人口(年齢区分)の推移のグラフ101と、世帯(家族類型)の推移のグラフ102が示されている。なお特に図示しないが、他にも同じ地域における世帯収入(年間収入階級)の推移、賃貸用住宅の類似物件数の推移、新設賃貸用住宅の着工戸数の推移、賃貸用住宅の月額平均賃料の推移、賃貸用住宅の空き家(戸単位)の推移などの報告についても同様にグラフで記載するとよい。これらの賃貸市場トレンド報告の内容は、上記外部サーバ5からの公的調査情報(住民基本台帳、国勢調査、住宅・土地統計調査、建築着工統計調査)から入手した一般公開データと対象の不動産賃貸物件の物件データとに基づいて、従来から行われている公知の算出手法により生成できる。なお、上述した該当地域の賃貸市場トレンド報告の記載内容が、各請求項記載の地域市場トレンドレポートに相当する。
【0053】
<保有物件の経営診断の記載内容>
また
図9に示す例の保有物件の経営診断の記載では、対象の不動産賃貸物件に関する主要な物件データ103が示されているとともに、当該不動産賃貸物件の現状の経営状況に対する5つの評価項目での各評価値が、レーダーチャート104及び説明付きコメント欄105で示されている。5つの評価項目は、賃料、空室率、入居年数、募集期間、管理満足度であり、図示する例では対象の不動産賃貸物件についてそれぞれ5段階評価での5、4、2、1、2の評価値が算出されている。
【0054】
ここで、賃料の評価項目については、一般公開データの中から対象の不動産賃貸物件と特定の属性(例えば所在地域、住宅の建て方、間取り、等)で類似する類似物件を抽出し、それらの平均賃料と対象の不動産賃貸物件における賃料(
図6中の入力データ参照)との比較に基づいて対象の不動産賃貸物件の賃料に関する賃料評価値を算出する。図示する例では平均賃料を基準としてそれより対象の不動産賃貸物件の賃料が高い場合に評価値が大きく算出され、低い場合に評価値が小さく算出されている。なお、上記抽出した類似物件が各請求項記載の類似賃貸物件に相当し、この類似物件に対応する一般公開データが各請求項記載の賃貸マーケット関連情報に相当する。
【0055】
空室率の評価項目については、
空室率=年間解約戸数×1戸あたりの平均空室期間÷(総戸数×12ヶ月)
(年間解約戸数、1戸あたりの平均空室期間、総戸数については
図6中の入力データ参照)の演算式を用いて対象の不動産賃貸物件における1戸1月単位での空室率そのものを算出する。そして、一般公開データの中から抽出した類似物件の空き家率(戸単位)と、上記の空室率との比較に基づいて対象の不動産賃貸物件の空室率に関する空室率評価値を算出する。図示する例では一般公開データからの空き家率(戸単位)を基準としてそれより対象の不動産賃貸物件の空室率が低い場合に評価値が大きく算出され、高い場合に評価値が小さく算出されている。
【0056】
入居年数の評価項目については、一般公開データの中から対象の不動産賃貸物件と同じ所在地域における類似物件の入居年数の母集団を抽出し、その母集団に対して対象の不動産賃貸物件における平均入居年数(
図6中の入力データ参照)の偏差値の大きさに基づいて対象の不動産賃貸物件の入居年数に関する入居年数評価値を算出する。図示する例では対象の不動産賃貸物件における平均入居年数の偏差値が高い場合に評価値が大きく算出され、低い場合に評価値が小さく算出されている。
【0057】
募集期間の評価項目については、一般公開データの中から抽出した類似物件の平均募集期間と、対象の不動産賃貸物件における平均募集期間(
図6中の入力データ参照)との比較に基づいて対象の不動産賃貸物件の募集期間に関する募集期間評価値を算出する。図示する例では類似物件の平均募集期間を基準としてそれより対象の不動産賃貸物件の平均募集期間が短い場合に評価値が大きく算出され、長い場合に評価値が小さく算出されている。
【0058】
管理満足度の評価項目については、物件オーナーが入力した管理状況の大区分に属する入力データ(
図6中の入力データ参照)のうち、実際に行われている管理サービスの項目件数に対して満足しているとする項目件数の割合に基づき、対象の不動産賃貸物件の管理満足度に関する管理満足度評価値を算出する。図示する例では管理満足度が高い場合に評価値が大きく算出され、低い場合に評価値が小さく算出されている。
【0059】
また、コメント欄105における各評価項目対応の説明コメントについては、それぞれで算出した評価値の大きさに応じた内容のコメントテキストが記載される。なお、上述した保有物件の経営診断の記載内容の全体が、各請求項記載の診断レポートに相当する。
【0060】
<推奨ターゲット入居者等の記載内容>
また
図10に示す例の推奨ターゲット入居者等の記載では、対象の不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデル106と、その推奨ターゲット入居者がさらに当該不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクション107と、推奨ターゲット入居者が当該不動産賃貸物件に入居した場合の売上の推移を予測した売上予測108とが示されている。
【0061】
推奨ターゲット入居者の属性モデル106は、予測された入居者に関して所定の属性データ(図示する例では世帯類型、世帯主年齢層、世帯主性別、世帯主国籍、世帯所得層)の集合で表現されるモデルである。図示する例では、当該推奨ターゲット入居者の属性モデルに対応した人物の肖像を抽象的に表現するシンボルアイコンと、各属性データの内容が示されている。
【0062】
レポート作成部21cにおけるこの推奨ターゲット入居者の属性モデルの予測処理については、人為的に設計した数理モデルや統計学的な演算手法などに基づく多様な実装形態の適用が考えられるが、本実施形態の例では
図11に示すようにニューラルネットワークで構成された推奨ターゲット入居者予測AI201を適用した場合について説明する。この
図11において、推奨ターゲット入居者予測AI201のニューラルネットワークは、一般公開データと物件データの入力に対して推奨ターゲット入居者の属性データを出力するよう設計されている。なお、推奨ターゲット入居者の属性データと明らかに相関関係を有しないと考えられるデータについては入力を省略してよい。
【0063】
この推奨ターゲット入居者予測AI201の予測処理は、学習フェーズにおける深層学習プロセスでの学習内容に基づくものであり、すなわちこのニューラルネットワークは入力されるデータと出力するデータとの間の相関関係(対応関係)を表す特徴量を学習している。なおこの例では、出力層において各属性項目ごとにあらかじめ設定した複数の属性データ選択肢のいずれが最も適切であるかを予測する多クラス分類タスクモデルとなる。そのため、出力側の各属性項目ごとにいわゆる交差クロスエントロピーをコスト関数として適用し、入力データと出力データをそれぞれデータの属性項目ごとに例えば1Hotベクトルデータや数値データの形態で組み合わせた学習用データセットを用いていわゆる教師あり学習により学習させればよい。
【0064】
なお、入力データと出力データの学習用データセットとしては、過去の賃貸借契約のケースデータから特に入居者の物件に対する満足度が高く入居期間が長かった場合に対応する一般公開データ、物件データ、及び入居者属性データの組み合わせで多数抽出したものを用意するとよい。なお、上記の推奨ターゲット入居者予測AI201はニューラルネットワークに限られず、例えばk近傍法、サポートベクターマシン、決定分類木などその他適宜の機械学習アルゴリズムの手法を適用してもよい。
【0065】
図10に戻り、獲得アクション107については、上記のように予測された推奨ターゲット入居者が当該不動産賃貸物件への入居の可能性をさらに高めるために物件オーナーが実行し得るアクションであり、図示する例では設備(無料インターネット)の導入(アクション1)、設備(温水洗浄便座)の導入(アクション2)、及び広告等においてアピールすべき宣伝要素(アクション3)の3つが記載されている。
【0066】
これら獲得アクションは、予測された推奨ターゲット入居者が当該不動産賃貸物件への入居を決める要因と成り得るものであり、本実施形態の例におけるレポート作成部21cでの獲得アクションの予測処理には
図12に示すように別途のニューラルネットワークで構成された獲得アクション予測AI202で予測する。この
図12において、獲得アクション予測AI202のニューラルネットワークは、推奨ターゲット入居者の属性データを入力として適切な獲得アクションの属性データを出力するよう設計されており、上記推奨ターゲット入居者予測AI201と同様の多クラス分類モデルの構成で同様の教師有り学習で学習すればよい。なお、入力データと出力データの学習用データセットとしては、過去の賃貸借契約のケースデータから特に募集期間が短かった物件の設備や広告文言が記載された物件に対応する一般公開データ、過去に登録した多数の入居者の属性データ、及びその入居者から取ったアンケートなどから抽出して用意するとよい。
【0067】
また
図10に戻り、売上予測108については、現状の空室率のままでの総戸数での売上(賃料収入)と、推奨ターゲット入居者が多数入居することで低減すると予測される空室率に基づく総戸数の売上(賃料収入)とを比較するものであり、図示する例では1年後の売上の比較と、10年後の累積売上の比較が記載されている。なお1年後の売上は、
1年後の売上=(1戸あたりの年間賃料-1戸あたりの年間賃料×
(賃料下落率×経過年数)×総戸数×(1-空室率)
の演算式で算出し、また10年後の累積売上は、
10年後の累積売上=1年後の売上+2年後の売上+・・・
+10年後の売上
の演算式で算出する。なお、この売上予測における各種演算については、上述した演算式以外でも例えば深層学習による回帰問題タスクモデル等を適用してもよい。
【0068】
また、以上に示した例では、その時点で最も多くの入居数が見込める推奨ターゲット入居者の属性モデルを基準として予測した場合を示したが、他にもこれから最も入居数が増加する(増加数が多い)と見込める属性モデルを基準として予測する場合や、最も伸びる(増加率が高い)ことが見込める属性モデルを基準として予測する場合などについても同様にレポートに記載してもよい(図示省略)。この場合には、それぞれの予測方針に対応して学習した推奨ターゲット入居者予測AI201を用いて予測し、それぞれ対応して異なる獲得アクションや売上予測を比較して選択できるように記載する。なお、上述した推奨ターゲット入居者の属性モデルの記載内容が各請求項記載の推奨ターゲット入居者レポートに相当し、獲得アクションの記載内容が各請求項記載の獲得アクションレポートに相当し、売上予測の記載内容が各請求項記載の売上予測レポートに相当する。
【0069】
なお、上述したように、物件オーナーから取得した物件データ及び入居者属性データ等を学習用データとするが、加えて、レポートを閲覧した物件オーナーが推奨ターゲット入居者の属性モデル106及び獲得アクション107に関心を示しているか否かのデータも取集し、学習用データとすることもできる。具体的には、特に図示しないが、Webブラウザ上にボタンを表示させ、ボタンをクリックしたか否で、推奨ターゲット入居者属性モデル106及び獲得アクション107に関心を示したか否かをデータ収集する。これら学習用データは、推奨ターゲット入居者予測AI201及び獲得アクション予測AI202の予測精度向上に使用することができる。なお、物件オーナーが推奨ターゲット入居者属性モデル106に関心を示したか否かのデータが各請求項記載の第1関心度情報に相当し、管理サーバ2においてこのデータを取得する処理が、第1関心度情報取得処理に相当し、物件オーナーが獲得アクション107に関心を示したか否かのデータが各請求項記載の第2関心度情報に相当し、管理サーバ2においてこのデータを取得する処理が、第2関心度情報取得処理に相当する。
【0070】
<現行管理会社との比較の記載内容>
また
図13に示す例の現行管理会社との比較の記載では、一般的な不動産管理会社が行い得る管理業務の複数の項目109について、それぞれ物件オーナーからの入力データの内容110と、当該不動産管理会社があらかじめ入力設定していた内容111とを比較できるよう一覧表示されている。図示する例では、物件管理業務の大区分の項目109として入居者募集、入居者管理、建物管理、連絡、及び標準月額管理費があり、それぞれでさらに適宜の小区分の項目が設けられ、入力データ内容110と入力設定内容111のそれぞれで各々該当する管理サービスの有無とコメントが記載されている。
【0071】
前述したように物件オーナーは、当該満室経営戦略レポートの作成前に自身が所有する不動産賃貸物件について、その時点で管理受託契約又は賃貸借媒介契約している他の不動産管理会社(現行管理会社)やその管理サービスの状況を物件データとして入力しており(
図6中の大区分「管理状況」に対応)、この現行管理会社との比較においてそれらの内容が小区分項目ごとにそのまま一覧表示される。これに対して、当該不動産管理会社からもあらかじめ同じ小区分項目ごとに該当する管理サービスの対応有無とその実施内容(対応情報)が入力設定されており、物件オーナーの入力内容と対比して表示される。また図示する例では、最下方位置に当該不動産管理会社から入力された不動産賃貸物件の管理方針(管理サービスの特徴)に関するメッセージが記載されている。
【0072】
以上のように記載された現行管理会社との比較を参照することにより、物件オーナーがその時点で契約している他の不動産管理会社(現行管理会社)と、満室経営戦略レポートの提供元である当該不動産管理会社との管理サービスの対応面での比較検討が容易となり、当該不動産管理会社への管理替えをアピールできる。なお、上述した現行管理会社との比較の記載内容が、各請求項記載の管理会社比較レポートに相当する。
【0073】
<満室経営戦略レポートの簡易版について>
例えば、上述した管理サーバ2の第1の利用形態、つまり未取引物件オーナーが満室経営戦略レポートを自身で作成する場合かつ対象の不動産賃貸物件が新築の未入居物件であるとき、もしくは、上述した管理サーバ2の第2の利用形態、つまり不動産管理会社が既取引物件オーナーに対して満室経営戦略レポートを作成する場合かつ対象の不動産賃貸物件が未契約であるとき、これらの作成者は過去の入居状況、入居者属性、及び管理状況などに関する物件データを把握していないため入力することができず、満室経営戦略レポートを作成する際にもそれらの未入力データに基づく導出項目については記載することができない。これに対応するため本実施形態の例では、特に図示しないが、そのような未入力データに基づく記載項目を省略した簡易版として満室経営戦略レポートを作成する。
【0074】
具体的には、保有物件の経営診断において、主に対象の不動産賃貸物件の類似物件に関する平均値のみが表示され、各評価項目の評価値は表示しない。また、推奨ターゲット入居者が入居した場合の売上予測においては、現状の売上値の表示を省略する。また、上述したとおり現行管理会社との比較では、現行管理会社に関する記載項目を省略する。
【0075】
<管理サーバの制御手順>
本実施形態における上記の手法を実現するために、管理サーバ2のCPUが実行する制御手順の一例を、
図14、
図15のフローチャートにより説明する。
図14は、上記
図3に示した第1の利用形態、つまり未取引物件オーナーからの利用形態に対応したフローチャートを示しており、
図15は、上記
図4に示した第2の利用形態、つまり不動産管理会社からの利用形態に対応したフローチャートを示している。
【0076】
まず、管理サーバ2が通信ネットワークNWを介して未取引物件オーナーのオーナー側端末3からアクセス要求を受信した際には、
図14に示す以下の手順が開始される。
【0077】
SS105では、オーナー側端末3からのアクセスを受け付けるよう処理する。
【0078】
次にSS110で、オーナー側端末3から未契約賃貸物件に関する物件データを取得する。
【0079】
次にSS115で、一般公開情報データベース23から満室経営戦略レポートの作成に必要な一般公開データを取得する。
【0080】
そしてSS120で、上記取得した物件データと一般公開データに基づいて満室経営戦略レポートを作成する。具体的には、該当地域の賃貸市場トレンド報告、保有物件の経営診断、推奨ターゲット入居者と獲得アクションと売上予測、及び現行管理会社との比較の各項目について記載内容を導出する。なお、上述したように不動産賃貸物件が新築の未入居物件の場合には、簡易版の形態で満室経営戦略レポートを作成する。
【0081】
次にSS125で、オーナー側端末3に対し満室経営戦略レポートの表示画面データのみを出力し、さらにSS130で満室経営戦略レポートの印刷データを希望する場合には未取引物件オーナーの個人データの入力が必要であることを提示する。
【0082】
そしてSS135で、オーナー側端末3からの応答として個人データの入力が行われたか否かを判定する。個人データの入力が行われない場合、判定は満たされず(SS135:NO)、そのままこのフローを終了する。
【0083】
一方、個人データが入力された場合、判定が満たされ(SS135:YES)、SS140へ移行する。
【0084】
SS140では、オーナー側端末3に対して満室経営戦略レポートの印刷データと、当該不動産管理会社のパンフレットを出力する。
【0085】
そしてSS145で、入力された物件データと個人データを特定個別情報データベース22における適宜の小データベースに登録し、このフローを終了する。
【0086】
次に、管理サーバ2が通信ネットワークNWを介して当該不動産管理会社の管理会社側端末4からアクセス要求を受信した際には、
図15に示す以下の手順が開始される。
【0087】
SS205では、管理会社側端末4からのアクセスを受け付けるよう処理する。
【0088】
次にSS210で、管理会社側端末4から契約済または未契約賃貸物件に関する物件データを取得する。なお、すでに特定個別情報データベース22に記録されている物件データのうちで管理会社側端末4から指定されたデータを取得するようにしてもよい。
【0089】
次にSS215で、一般公開情報データベース23から満室経営戦略レポートの作成に必要な一般公開データを取得する。
【0090】
そしてSS220で、上記取得した物件データと一般公開データに基づいて満室経営戦略レポートを作成する。
【0091】
そしてSS225で、作成した満室経営戦略レポートの印刷データを管理会社側端末4へ出力し、このフローを終了する。
【0092】
以上において、
図14、
図15に示した制御手順を実行するプログラム及び方法が各請求項記載の不動産情報処理プログラム及び不動産情報処理方法に相当し、そのうちのSS105とSS205の手順が各請求項記載の受付ステップと受付処理に相当し、SS110とSS210の手順が各請求項記載の第1情報取得ステップと第1情報取得処理に相当し、SS115とSS215の手順が各請求項記載の第2情報取得ステップと第2情報取得処理に相当し、SS120とSS220の手順が各請求項記載のレポート作成ステップとレポート作成処理に相当し、SS125とSS140とSS225の手順が各請求項記載のレポート出力ステップとレポート出力処理に相当し、SS130とSS135の手順が各請求項記載の第3情報取得処理に相当する。
【0093】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の不動産情報処理システム1においては、管理サーバ2のレポート作成部21cが物件オーナーから取得した物件データと一般公開データに基づいて当該物件オーナーが所有する不動産賃貸物件の経営に係わる診断と提案を行い、その対応する保有物件の経営診断と提案内容を記載した満室経営戦略レポートを作成して物件オーナーに返送する(第1の利用形態)。これにより、物件オーナーは、自分の物件の現在の経営状況が適正なのか不適正なのか、不適正な点があればどのように是正すべきなのかを認識できるので、有効な空室対策をとって経営を改善することができる。
【0094】
一方、不動産管理会社は、上記物件オーナーへの満室経営戦略レポートの提供と引き換えに、各物件の物件オーナーの個人データや、物件オーナーしか知り得ない物件データ等を取得することができる。これにより、現在の経営状況が不適正である物件オーナー、現行の不動産管理会社の業務がマッチしていない物件オーナー、現行の不動産管理会社に対し不満を持っている物件オーナー等から自ら問合せをしてもらうことができ(いわゆるプル型の営業が可能となる)、また、不動産管理会社はこれらのデータを基に、自社の管理サービスの優位性等をその後の営業活動において効率的に訴求することができる。また既取引物件オーナーに対しては、満室経営戦略レポートを用いた適切な空室対策の助言をすることで当該物件オーナーからの信頼を高めることができる(第2の利用形態)。
【0095】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cにおける保有物件の経営診断では、物件データに対応する物件オーナーの不動産賃貸物件に関する賃料評価値、空室率評価値、入居年数評価値、募集期間評価値、及び管理満足度評価値の少なくとも1つを算出して診断する。これにより、物件オーナーが特に重要視する各経営診断項目について、それぞれ評価値に基づく客観的かつ公正な評価を明確に認識できる。
【0096】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cが物件データと一般公開データに基づいて当該不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測し、満室経営戦略レポートに記載して物件オーナーに返送する。これにより、物件オーナーは自ら所有する不動産賃貸物件にどのような入居者が入居する可能性が高いかを認識できる。そして、物件オーナー自らもしくは媒介契約を受けた不動産管理会社が当該不動産賃貸物件の入居者を募集する際には、従来型のように手当たり次第に広く行う募集活動ではなく、推奨ターゲット入居者に的を絞った効率的な募集活動を行うことが可能となる。
【0097】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cが、予測された推奨ターゲット入居者の属性モデルに基づき、当該推奨ターゲット入居者がさらに当該不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクションを予測し、満室経営戦略レポートに記載する。これにより、推奨ターゲット入居者を獲得するための設備導入リフォーム工事手配や、広告等においてアピールすべき宣伝要素の変更等、効果的な募集活動に繋がる行動を実施できる。
【0098】
なお、以上のような推奨ターゲット入居者や獲得アクションの予測は、入居者からの賃料収入を目的とした物件オーナーや不動産管理会社に提示する満室経営戦略レポートへの適用に限られない。他にも、アパート・マンション・戸建て等も含めた多用な不動産物件のデベロッパー、建築業者、設計業者などに提示する、建築戦略レポートに適用することも可能である。具体的には、建物をまだ建築していない住宅用地としての更地だけがある場合に、その土地に関するデータ(例えば、所在地、広さ、最寄り駅までの距離、その他特徴)と一般公開データに基づいて、その住宅用地の物件に入居又は購入する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測する。さらに、その予測された推奨ターゲット入居者の属性モデルが入居又は購入する可能性の高い獲得アクションとしての建物の仕様属性モデル(建て方、建物構造、階数、1部屋面積、間取り、設備、広告等においてアピールすべき宣伝要素等)を予測してもよい。これらの予測処理についても、機械学習の適用が有効である。
【0099】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cが、予測された推奨ターゲット入居者の属性モデルに基づき、当該推奨ターゲット入居者が当該不動産賃貸物件に入居した場合の売上(賃料)を予測し、対応する売上予測を満室経営戦略レポートに記載する。これにより物件オーナーは、推奨ターゲット入居者が入居した場合の売上の見通しを確認できる。また、上述したように、その時点で最も多くの入居数が見込める推奨ターゲット入居者の属性モデル、これから最も入居数が増加すると見込める属性モデル、及び最も伸びることが見込める属性モデルのそれぞれの場合で売上予測を作成することで、どの属性モデルを選択し募集活動をすべきかの比較検討も可能となる。
【0100】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cが、管理委託受託及び賃貸借媒介契約の所定項目(入居者募集、入居者管理、建物管理、連絡、標準月額管理費等)に関して、当該不動産管理会社があらかじめ入力した自らの対応情報と物件オーナーの現行管理会社との比較を満室経営戦略レポートに記載して物件オーナーに返送する。これにより、物件オーナーが現行管理会社と、満室経営戦略レポートの提供元である当該不動産管理会社との管理サービスの対応面での比較検討が容易となり、当該不動産管理会社への管理替えをアピールできる。
【0101】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cが、物件データと一般公開データとに基づき、当該不動産賃貸物件の所在地域における不動産賃貸市場のトレンドを解析し、満室経営戦略レポートに記載して物件オーナーに返送する。これにより、物件オーナーは該当地域における賃貸市場トレンドを参照して、それに対応した空室対策(満室経営戦略)を検討できる。
【0102】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cにおける市場トレンド報告では、当該不動産賃貸物件の所在地域における人口、世帯、世帯収入、類似物件数、着工戸数、平均賃料、及び空き家の少なくとも1つについて解析する。これにより、これにより、物件オーナーが特に重要視する市場トレンドの各解析項目について、それぞれ客観的かつ公正な解析内容を明確に認識できる。
【0103】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のWEBサーバ機能部21aがSS130とSS135の手順で物件オーナーに係わる個人データをオーナー側端末3から取得し、個人データを取得していない場合には満室経営戦略レポートをオーナー側端末3において画面表示するだけの表示画面データの形態でのみ出力し、個人データを取得している場合には満室経営戦略レポートをオーナー側端末3において印刷可能な印刷データの形態で出力する。これにより、最初の段階では個人データの入力が不要であるとして物件オーナーの心理的な障壁を排除した気軽な満室経営戦略レポートの作成を試してもらうことができる。そして、画面表示された満室経営戦略レポートの内容に満足して手元に残すために、印刷用の印刷データとの引き換えで物件オーナーに個人データを入力してもらえるという段階的な手順が可能となる。
【0104】
また、本実施形態では特に、管理サーバ2のレポート作成部21cが不動産管理会社が入力した契約済または未契約物件データと一般公開データに基づいて既取引物件オーナーが所有する不動産賃貸物件の経営に係わる診断と提案を行い、その対応する保有物件の経営診断を記載した満室経営戦略レポートを作成して不動産管理会社に出力する(第2の利用形態)。これにより、不動産管理会社が既取引物件オーナーに対しても満室経営戦略レポートでの経営戦略の提案ができ、契約済物件については他の競合する不動産管理会社と大きく差別化して管理替えを回避できるとともに、未契約物件については新たな信頼を得て契約の締結に結びつけることができる。
【0105】
なお、上記実施形態の不動産情報処理システム1の例では、実際に不動産に関する情報処理を行う管理サーバ2を提供会社が保有しており、その提供会社が当該管理サーバ2を不動産管理会社に有償で貸し出すビジネスモデルの例について説明した(
図2参照)。この他にも、例えば
図16に示すように、提供会社自身が当該管理サーバ2を利用して、物件オーナーや不動産管理会社から直接受け取った物件データと一般公開データとに基づいて有償で満室経営戦略レポートを作成するビジネスモデルに適用してもよい。
【0106】
また、上記実施形態の不動産情報処理システム1における管理サーバ2は、当該不動産管理会社に対して、物件データと個人データを登録した全ての物件オーナーに関するいわゆるCRM(Customer Relationship Management)機能を有していると言える。つまり、第1の利用形態において、不動産管理会社は、未取引物件オーナーに対する営業活動状況(活動未済、活動済、契約済、お断り等)を記録することで効率的な顧客管理を行うことができ、こうした顧客管理情報を基に、的確な営業活動を実施することができる。
【0107】
この場合において、管理サーバ2における上記のSS105の手順のように物件オーナーからのアクセスを受け付ける処理が各請求項記載のオーナー受付処理に相当し、SS110のように物件オーナーから物件データを取得する処理が各請求項記載の第4情報取得処理に相当し、SS130とSS135のように物件オーナーから個人データを取得する処理が各請求項記載の第5情報取得処理に相当し、SS145のように物件データと個人データとを登録する処理が各請求項記載の登録処理に相当し、このときの物件データと個人データが各請求項記載のオーナー顧客情報に相当し、SS205のように不動産管理会社からのアクセスを受け付ける処理が各請求項記載の管理会社受付処理に相当し、SS225のように特定の物件データと個人データを管理会社側端末4に出力する処理が各請求項記載のオーナー顧客情報出力処理に相当する。
【0108】
また、
図3、
図4、
図14、
図15等に示すシーケンスチャートやフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0109】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0110】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0111】
1 不動産情報処理システム
2 管理サーバ(サーバに相当)
3 物件オーナー側端末(物件オーナーの情報端末に相当)
4 不動産管理会社端末(不動産管理会社の情報端末に相当)
5 外部サーバ
21 情報処理部
21a WEBサーバ機能部
21b 情報取得機能部
21c レポート作成部
22 特定個別情報データベース
23 一般公開情報データベース
201 推奨ターゲット入居者予測AI
202 獲得アクション予測AI
NW 通信ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2022-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社がサーバを用いて不動産情報処理方法を実行するための不動産情報処理プログラムであって、
前記サーバの演算部に対し、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測し、さらに当該推奨ターゲット入居者が前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクションを予測し、対応する獲得アクションレポートを併記した推奨ターゲット入居者レポートを作成するレポート作成ステップと、
前記レポート作成ステップで作成した前記推奨ターゲット入居者レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力ステップと、
を実行させ、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記物件属性情報及び前記賃貸マーケット関連情報と、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記推奨ターゲット入居者の属性モデルを推定し、
さらに機械学習プロセスにより、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルと、前記獲得アクションとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記獲得アクションを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記サーバの演算部に対し、さらに、
前記推奨ターゲット入居者レポートに対して前記オーナーが関心を示しているか否かを示す第1関心度情報を前記情報端末から取得する第1関心度情報取得処理と、
を実行し、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記物件属性情報、前記賃貸マーケット関連情報、及び前記第1関心度情報と、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記推奨ターゲット入居者の属性モデルを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記サーバの演算部に対し、さらに、
前記獲得アクションレポートに対して前記オーナーが関心を示しているか否かを示す第2関心度情報を前記情報端末から取得する第2関心度情報取得処理と、
を実行し、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記推奨ターゲット入居者の属性モデル及び前記第2関心度情報と、前記獲得アクションとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記獲得アクションを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記推奨ターゲット入居者の属性モデルに基づき、当該推奨ターゲット入居者が前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居した場合の売上を予測し、対応する売上予測レポートも前記推奨ターゲット入居者レポートに併記する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件に関する賃料評価値、空室率評価値、入居年数評価値、募集期間評価値、及び管理満足度評価値の少なくとも1つを算出して、対応する診断レポートも併せて作成し、
前記レポート出力ステップでは、
前記推奨ターゲット入居者レポートと併せて前記診断レポートも前記オーナーの情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
管理受託契約及び賃貸借媒介契約の少なくとも一方における所定項目に関して、前記管理会社があらかじめ入力した自らの対応情報を記載する管理会社比較レポートも併せて作成し、
前記レポート出力ステップでは、
前記推奨ターゲット入居者レポートと併せて前記管理会社比較レポートも前記オーナーの情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップでは、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の所在地域における不動産賃貸物件の市場トレンドを解析し、対応する地域市場トレンドレポートも併せて作成し、
前記レポート出力ステップでは、
前記推奨ターゲット入居者レポートと併せて前記地域市場トレンドレポートも前記オーナーの情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項8】
請求項7記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記レポート作成ステップにおける前記解析では、
前記物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件の所在地域における人口、世帯、世帯収入、類似物件数、着工戸数、平均賃料、及び空き家の少なくとも1つについて解析する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記サーバの演算部に対し、さらに、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーに係わる個人情報を前記情報端末から取得する第3情報取得処理と、
を実行し、
前記レポート出力ステップでは、
前記第3情報取得処理で前記個人情報を取得していない場合には前記推奨ターゲット入居者レポートを前記情報端末において画面表示するだけの表示画面データの形態で出力し、
前記第3情報取得処理で前記個人情報を取得している場合には前記推奨ターゲット入居者レポートを前記情報端末において印刷可能な印刷データの形態で出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の不動産情報処理プログラムにおいて、
前記受付ステップは、
前記管理会社の情報端末からのアクセスも受け付け可能であり、
前記第1情報取得ステップは、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記管理会社が管理受託契約または賃貸借媒介契約を受けている不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記管理会社の情報端末から取得し、
前記レポート作成ステップは、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記管理会社が管理受託契約または賃貸借媒介契約を受けている前記不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測し、さらに当該推奨ターゲット入居者が前記管理会社が管理受託契約または賃貸借媒介契約を受けている前記不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクションを予測し、対応する獲得アクションレポートを併記した推奨ターゲット入居者レポートを作成し、
前記レポート出力ステップは、
前記レポート作成ステップで作成した前記推奨ターゲット入居者レポートを前記管理会社の情報端末へ出力する
ことを特徴とする不動産情報処理プログラム。
【請求項11】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社が利用する不動産情報処理サーバであって、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付処理と、
前記受付処理でアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得処理と、
前記第1情報取得処理で取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得処理と、
前記第1情報取得処理で取得された前記物件属性情報と、前記第2情報取得処理で取得された前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測し、さらに当該推奨ターゲット入居者が前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクションを予測し、対応する獲得アクションレポートを併記した推奨ターゲット入居者レポートを作成するレポート作成処理と、
前記レポート作成処理で作成した前記推奨ターゲット入居者レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力処理と、
を実行し、
前記レポート作成処理では、
機械学習プロセスにより、前記物件属性情報及び前記賃貸マーケット関連情報と、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記推奨ターゲット入居者の属性モデルを推定し、
さらに機械学習プロセスにより、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルと、前記獲得アクションとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記獲得アクションを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理サーバ。
【請求項12】
不動産賃貸物件を管理する不動産管理会社がサーバを用いて実行する不動産情報処理方法であって、
前記サーバの演算部に対し、
自ら不動産賃貸物件を所有するオーナーの情報端末からのアクセスを受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップでアクセスを受け付けた前記オーナーの前記不動産賃貸物件に係わる物件属性情報を前記情報端末から取得する第1情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得された物件属性情報に類似する物件属性を備えた類似賃貸物件に対応する賃貸マーケット関連情報を取得する第2情報取得ステップと、
前記第1情報取得ステップで取得した前記物件属性情報と、前記第2情報取得ステップで取得した前記賃貸マーケット関連情報と、に基づき、当該物件属性情報に対応する前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性の高い推奨ターゲット入居者の属性モデルを予測し、さらに当該推奨ターゲット入居者が前記オーナーの前記不動産賃貸物件に入居する可能性を高めるための獲得アクションを予測し、対応する獲得アクションレポートを併記した推奨ターゲット入居者レポートを作成するレポート作成ステップと、
前記レポート作成ステップで作成した前記推奨ターゲット入居者レポートを前記オーナーの情報端末へ出力するレポート出力ステップと、
を実行させ、
前記レポート作成ステップでは、
機械学習プロセスにより、前記物件属性情報及び前記賃貸マーケット関連情報と、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記推奨ターゲット入居者の属性モデルを推定し、
さらに機械学習プロセスにより、前記推奨ターゲット入居者の属性モデルと、前記獲得アクションとの間の相関関係を学習した学習内容に基づいて前記獲得アクションを推定する
ことを特徴とする不動産情報処理方法。