(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173621
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法、ロボットシステム、及び、物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B25J9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085994
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
(72)【発明者】
【氏名】稲田 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 皓太
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】繁田 知秀
(72)【発明者】
【氏名】中西 秀行
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CT05
3C707CU02
3C707CV08
3C707CW08
3C707CY39
3C707HS27
3C707HT20
(57)【要約】
【課題】ロボットの大型化を抑制しつつ、ロボットの先端部が到達可能な領域を広くする。
【解決手段】ロボット10は、ボディ部BDPとリンクLK3を接続するリンクLK1及びLK2と、リンクLK1及びLK2を接続し、リンクLK1の延在方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax3を回転軸としてリンクLK2を回転させる関節機構AR3と、リンクLK2及びLK3を接続し、リンクLK2の延在方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax5を回転軸としてリンクLK3を回転させる関節機構AR5とを備え、リンクLK2は、支持部分LK21と、可動部分LK22及びLK23と、支持部分LK21の延在方向とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax4を回転軸として可動部分LK22を回転させる関節機構AR4と、可動部分LK23を可動部分LK22の延在方向に沿って移動させることにより、リンクLK2を伸縮させる伸縮機構TE2とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
先端部と、
第1リンク及び第2リンクを含み、前記基部と前記先端部を接続する複数のリンクと、
前記第1リンクと前記第2リンクを接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第1駆動機構と、
前記第2リンクと前記第1リンク及び前記第2リンク以外のリンクもしくは前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第2駆動機構と、
を備え、
前記第2リンクは、
前記第1リンクに接続される第1部分と、
前記第1リンク及び前記第2リンク以外のリンクもしくは前記先端部に接続される第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分を接続する第3部分と、
前記第1部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を回転軸として、前記第3部分を前記第1部分に対して回転させる第3駆動機構と、
前記第3部分に対して前記第2部分を前記第3部分の延在方向に沿って移動させることにより、前記第2リンクを伸縮させる第1伸縮機構と、
を含む、
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項2】
前記第3部分は、中空であり、
前記第2リンクが収縮した場合、前記第2部分の少なくとも一部が、前記第3部分の内部に格納される、
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項3】
前記第3駆動機構を駆動する第1モータと、
前記第1伸縮機構を駆動する第2モータと、
をさらに含み、
前記第1モータは、
前記第2リンクが伸縮した場合でも前記第2リンクに対して前記第2リンクの伸縮方向に相対的に移動しないように、前記第1部分の2つの端部のうちの前記第3部分に近い端部に取り付けられ、
前記第2モータは、
前記第2リンクが伸縮した場合でも前記第2リンクに対して前記第2リンクの伸縮方向に相対的に移動しないように、前記第3部分の2つの端部のうちの前記第1部分に近い端部に取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多関節ロボット。
【請求項4】
前記第3駆動機構により前記第3部分が回転する場合の前記第3部分の回転軸は、前記第2部分の中心軸と平行である、
ことを特徴とする請求項3に記載の多関節ロボット。
【請求項5】
前記第1リンクは、
第4部分と、
前記第2リンクに接続される第5部分と、
前記第4部分と前記第5部分を接続する第6部分と、
前記第4部分に対して前記第6部分を前記第4部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の多関節ロボット。
【請求項6】
前記第4部分は、中空であり、
前記第1リンクが収縮した場合、前記第6部分の少なくとも一部が、前記第4部分の内部に格納される、
ことを特徴とする請求項5に記載の多関節ロボット。
【請求項7】
前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第4駆動機構と、
前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第5駆動機構と、
をさらに備え、
前記先端部は、
前記第2リンクに接続され、
前記第2駆動機構により前記先端部が回転する場合の前記先端部の回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構を、
含み、
前記複数のリンクは、前記第1リンク及び前記第2リンクである、
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項8】
前記第1リンクは、
前記基部に接続される第4部分と、
前記第2リンクに接続される第5部分と、
前記第4部分と前記第5部分を接続する第6部分と、
前記第4部分に対して前記第6部分を前記第4部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、
を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の多関節ロボット。
【請求項9】
請求項8に記載の多関節ロボットの制御方法であって、
前記多関節ロボットの動作を制御する制御装置は、
前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する、
ことを特徴とする多関節ロボットの制御方法。
【請求項10】
請求項8に記載の多関節ロボットと、
前記先端部に取り付けられたエンドエフェクタと、
前記多関節ロボット及び前記エンドエフェクタの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する、
ことを特徴とするロボットシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のロボットシステムにより、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く、
ことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法、ロボットシステム、及び、物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人と同様の動作を行うロボットとして、多関節ロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多関節ロボットには、人の動作を超えた動きが要求される場合がある。この場合、ロボットの先端部が到達可能な領域を広くすることが望まれる。但し、ロボットの先端部が到達可能な領域を広くするために、ロボットを大型化した場合、ロボットを設置するスペースを確保できないおそれがある。このため、ロボットの大型化を抑制しつつ、ロボットの先端部が到達可能な領域を広くすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様に係る多関節ロボットは、基部と、先端部と、第1リンク及び第2リンクを含み、前記基部と前記先端部を接続する複数のリンクと、前記第1リンクと前記第2リンクを接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第1駆動機構と、前記第2リンクと前記第1リンク及び前記第2リンク以外のリンクもしくは前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第2駆動機構と、を備え、前記第2リンクは、前記第1リンクに接続される第1部分と、前記第1リンク及び前記第2リンク以外のリンクもしくは前記先端部に接続される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する第3部分と、前記第1部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を回転軸として、前記第3部分を前記第1部分に対して回転させる第3駆動機構と、前記第3部分に対して前記第2部分を前記第3部分の延在方向に沿って移動させることにより、前記第2リンクを伸縮させる第1伸縮機構と、を含む。
【0006】
本発明の好適な態様に係る多関節ロボットの制御方法は、上述の多関節ロボットにおいて、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第4駆動機構と、前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第5駆動機構と、をさらに備え、前記先端部は、前記第2リンクに接続され、前記第2駆動機構により前記先端部が回転する場合の前記先端部の回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構を、含み、前記複数のリンクは、前記第1リンク及び前記第2リンクであり、前記第1リンクは、前記基部に接続される第4部分と、前記第2リンクに接続される第5部分と、前記第4部分と前記第5部分を接続する第6部分と、前記第4部分に対して前記第6部分を前記第4部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、を含む多関節ロボットの制御方法であって、前記多関節ロボットの動作を制御する制御装置は、前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する。
【0007】
本発明の好適な態様に係るロボットシステムは、上述の多関節ロボットにおいて、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第4駆動機構と、前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第5駆動機構と、をさらに備え、前記先端部は、前記第2リンクに接続され、前記第2駆動機構により前記先端部が回転する場合の前記先端部の回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構を、含み、前記複数のリンクは、前記第1リンク及び前記第2リンクであり、前記第1リンクは、前記基部に接続される第4部分と、前記第2リンクに接続される第5部分と、前記第4部分と前記第5部分を接続する第6部分と、前記第4部分に対して前記第6部分を前記第4部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、を含む多関節ロボットと、前記先端部に取り付けられたエンドエフェクタと、前記多関節ロボット及び前記エンドエフェクタの動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する。
【0008】
本発明の好適な態様に係る物品の製造方法は、上述のロボットシステムにより、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロボットの大型化を抑制しつつ、ロボットの先端部が到達可能な領域を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るロボットシステムの概要を説明するための説明図である。
【
図2】関節機構及び伸縮機構を含むリンクの一例を説明するための説明図である。
【
図3】伸縮機構を含むリンクの一例を説明するための説明図である。
【
図4】
図1に示したロボットの利点を説明するための説明図である。
【
図5】
図1に示したロボットコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】第1変形例に係るリンクの一例を説明するための説明図である。
【
図7】第1変形例に係るリンクの別の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0012】
[1.実施形態]
先ず、
図1を参照しながら、実施形態に係るロボットシステム1の概要の一例について説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係るロボットシステム1の概要を説明するための説明図である。
【0014】
ロボットシステム1は、例えば、ロボット10と、ロボット10に着脱可能に取り付けられるエンドエフェクタ20と、ロボット10及びエンドエフェクタ20の動作を制御するロボットコントローラ30とを有する。ロボット10は、「多関節ロボット」の一例であり、ロボットコントローラ30は、「制御装置」の一例である。
【0015】
ロボット10及びロボットコントローラ30は、例えば、有線を用いた接続により、互いに通信可能に接続されている。なお、ロボット10とロボットコントローラ30との接続は、無線を用いた接続であってもよいし、有線及び無線の両方を用いた接続であってもよい。また、ロボットコントローラ30は、ロボット10に取り付けられたエンドエフェクタ20と通信可能である。ロボットコントローラ30としては、他の装置と通信可能な任意の情報処理装置を採用することができる。なお、ロボットコントローラ30の構成は、後述する
図5において説明される。
【0016】
ロボット10は、例えば、農場、工場及び倉庫等での作業に用いられる多関節ロボットである。具体的には、ロボット10は、垂直6軸多関節ロボットに2つの伸縮機構TE1及びTE2を追加した6軸2伸多関節ロボットである。例えば、ロボット10は、関節機構AR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6と、伸縮機構TE1及びTE2とを有する。なお、ロボット10は、複数の関節機構AR(AR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6)及び複数の伸縮機構TE(TE1及びTE2)の他に、土台部BSP、ボディ部BDP、リンクLK1、リンクLK2及びリンクLK3を有する。なお、伸縮機構TE1は、リンクLK1に設けられ、伸縮機構TE2及び関節機構AR4は、リンクLK2に設けられる。また、ロボット10は、複数の関節機構ARと複数の伸縮機構TEとを駆動する複数のモータをさらに有する。
図1では、図を見やすくするために、複数の関節機構ARと複数の伸縮機構TEとを駆動する複数のモータの記載を省略している。
【0017】
ボディ部BDPは、「基部」の一例である。また、リンクLK1は、「第1リンク」の一例であり、リンクLK2は、「第2リンク」の一例である。従って、リンクLK1及びLK2は、「複数のリンク」に該当する。リンクLK3は、「先端部」の一例である。関節機構AR1は、「第4駆動機構」の一例であり、関節機構AR2は、「第5駆動機構」の一例である。関節機構AR3は、「第1駆動機構」の一例であり、関節機構AR5は、「第2駆動機構」の一例である。
【0018】
土台部BSPは、床等の所定の場所に固定される。ボディ部BDPは、関節機構AR1を介して土台部BSPに接続される。関節機構AR1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な軸Ax1を回転軸として、ボディ部BDPを回転させる。但し、「垂直」は、厳密な垂直だけではなく、実質的な垂直(例えば、誤差範囲内の垂直)も含む。同様に、後述する「平行」は、厳密な平行だけではなく、実質的な平行(例えば、誤差範囲内の平行)も含む。
【0019】
このように、ボディ部BDPは、関節機構AR1により、軸Ax1を回転軸として回転可能に土台部BSPに接続される。
図1の回転方向Dr1は、軸Ax1を回転軸として回転する場合のボディ部BDPの回転方向を示す。
【0020】
関節機構AR2は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続し、ボディ部BDPの底面BDPbtに平行な軸Ax2を回転軸としてリンクLK1をボディ部BDPに対して回転させる。
図1の回転方向Dr2は、軸Ax2を回転軸として回転する場合のボディ部BDPの回転方向を示す。
【0021】
リンクLK1は、例えば、リンクLK1が延在する方向De1に沿って伸縮可能に構成される。例えば、リンクLK1は、ボディ部BDPに接続される支持部分LK11と、可動部分LK12及びLK13と、伸縮機構TE1とを含む。可動部分LK12は、支持部分LK11と可動部分LK13を接続する。可動部分LK13は、リンクLK2に接続される。本実施形態では、支持部分LK11、可動部分LK12及び可動部分LK13の各々が方向De1に沿って延在する場合を想定する。すなわち、方向De1は、支持部分LK11、可動部分LK12及び可動部分LK13の各々の長手方向に該当する。また、本実施形態では、支持部分LK11が延在する方向De11が、リンクLK1が延在する方向De1である場合を想定する。
【0022】
伸縮機構TE1は、支持部分LK11と可動部分LK12を接続し、可動部分LK12を支持部分LK11に対して、支持部分LK11が延在する方向De11に沿って移動させる。可動部分LK12が方向De11に沿って移動することにより、可動部分LK13が方向De11に沿って移動する。可動部分LK12及びLK13が方向De11に沿って移動することにより、リンクLK1は、方向De11(すなわち、方向De1)に沿って伸縮する。
図1の方向Dm1は、リンクLK1の伸縮方向(方向De1に沿う方向)を示す。
【0023】
なお、支持部分LK11は、「第4部分」の一例であり、可動部分LK12は、「第6部分」の一例である。また、可動部分LK13は、「第5部分」の一例であり、伸縮機構TE1は、「第2伸縮機構」の一例である。
【0024】
関節機構AR3は、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1に垂直な軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。
図1の回転方向Dr3は、軸Ax3を回転軸として回転する場合のリンクLK2の回転方向を示す。
【0025】
リンクLK2は、例えば、リンクLK2が延在する方向De2に沿って伸縮可能に構成される。例えば、リンクLK2は、リンクLK1に接続される支持部分LK21と、可動部分LK22及びLK23と、伸縮機構TE2と、関節機構AR4とを含む。可動部分LK22は、支持部分LK21と可動部分LK23を接続する。可動部分LK23は、リンクLK3に接続される。本実施形態では、支持部分LK21、可動部分LK22及び可動部分LK23の各々が方向De2に沿って延在する場合を想定する。すなわち、方向De2は、支持部分LK21、可動部分LK22及び可動部分LK23の各々の長手方向に該当する。また、本実施形態では、可動部分LK22が延在する方向De22が、リンクLK2が延在する方向De2である場合を想定する。
【0026】
伸縮機構TE2は、可動部分LK22と可動部分LK23を接続し、可動部分LK23を可動部分LK22に対して、可動部分LK22が延在する方向De22に沿って移動させる。可動部分LK23が方向De22に沿って移動することにより、リンクLK2は、方向De22(すなわち、方向De2)に沿って伸縮する。
図1の方向Dm2は、リンクLK2の伸縮方向(方向De2に沿う方向)を示す。
【0027】
関節機構AR4は、支持部分LK21が延在する方向De21と平行な軸Ax4を回転軸として、可動部分LK22を支持部分LK21に対して回転させる。
図1の回転方向Dr4は、軸Ax4を回転軸として回転する場合の可動部分LK22の回転方向を示す。なお、本実施形態では、可動部分LK23は、可動部分LK22と一緒に回転するように、可動部分LK22に接続されている。従って、本実施形態では、関節機構AR4は、軸Ax4を回転軸として可動部分LK22を支持部分LK21に対して回転させることにより、軸Ax4を回転軸として可動部分LK23を支持部分LK21に対して回転させる。
【0028】
支持部分LK21は、「第1部分」の一例であり、可動部分LK22は、「第3部分」の一例であり、可動部分LK23は、「第2部分」の一例である。また、関節機構AR4は、「第3駆動機構」の一例であり、伸縮機構TE2は、「第1伸縮機構」の一例である。
【0029】
関節機構AR5は、リンクLK2とリンクLK3を接続し、リンクLK2が延在する方向De2に垂直な軸Ax5を回転軸としてリンクLK3をリンクLK2に対して回転させる。
図1の回転方向Dr5は、軸Ax5を回転軸として回転する場合のリンクLK3の回転方向を示す。
【0030】
リンクLK3には、例えば、物品を把持するエンドエフェクタ20が取り付けられる。例えば、リンクLK3の端面LK3sfには、エンドエフェクタ20が取り付けられる。また、リンクLK3は、軸Ax5に垂直な軸Ax6を回転軸として、リンクLK3の少なくとも一部分をリンクLK2に対して回転させる関節機構AR6を含む。例えば、関節機構AR6は、軸Ax6を回転軸として、リンクLK3の端面LK3sfをリンクLK2に対して回転させる。
図1の回転方向Dr6は、軸Ax6を回転軸として回転する場合のリンクLK3の端面LK3sfの回転方向を示す。なお、関節機構AR6は、「第6駆動機構」の一例である。
【0031】
また、エンドエフェクタ20により行われる作業は、物品の把持に限定されない。エンドエフェクタ20としては、ロボット10の作業目的に応じて適切な部品(例えば、ロボットハンド及びロボットフィンガー等)を適用することができる。すなわち、各種作業に適したエンドエフェクタ20がリンクLK3に取り付けられる。
【0032】
ここで、本実施形態では、特定の方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸とした回転を、特定の方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を回転軸とした回転と区別して、「旋回」と称する場合がある。所定の角度は、例えば、45°であってもよい。なお、所定の角度は、45°に限定されない。
【0033】
例えば、軸Ax1及びAx2の各々を回転軸とする回転では、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当し、軸Ax2は、方向Dv1とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。従って、軸Ax2を回転軸とするリンクLK1の回転は、旋回に該当する。なお、本実施形態では、ボディ部BDPが底面BDPbtに垂直な方向Dv1に沿って延在しているため、ボディ部BDPが延在する方向Debを特定の方向としてもよい。
【0034】
また、軸Ax3を回転軸とする回転では、リンクLK1が延在する方向De1が特定の方向に該当し、軸Ax4を回転軸とする回転では、支持部分LK21が延在する方向De21が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax3は、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当し、軸Ax4は、支持部分LK21が延在する方向De21とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。従って、軸Ax3を回転軸とするリンクLK2の回転は、旋回に該当する。
【0035】
また、軸Ax5を回転軸とする回転では、リンクLK2が延在する方向De2が特定の方向に該当し、軸Ax6を回転軸とする回転では、リンクLK3が延在する方向De3が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax5は、リンクLK2が延在する方向De2とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当し、軸Ax6は、リンクLK3が延在する方向De3とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。従って、軸Ax5を回転軸とするリンクLK3の回転は、旋回に該当する。なお、本実施形態では、リンクLK3が延在する方向De3が、軸Ax5に垂直な方向である場合を想定する。このため、本実施形態では、方向De3とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax6は、関節機構AR5によりリンクLK3が回転する場合のリンクLK3の軸Ax5(回転軸)とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。
【0036】
このように、本実施形態では、ロボット10の複数の部分(ボディ部BDP、リンクLK1、LK2及びLK3等)の各々が軸Ax1、Ax2、Ax3、Ax4、Ax5及びAx6の各々を回転軸として回転可能である。これにより、本実施形態では、ロボット10は、人と同様の動作を実行できる。
【0037】
例えば、関節機構AR2と関節機構AR3との間のリンクLK1が上腕に相当し、関節機構AR3と関節機構AR5との間のリンクLK2が前腕に相当する。そして、ロボット10は、関節機構AR1により、人の腰のねじりを模した動作を行うことができ、関節機構AR2により、肩の旋回を模した動作を行うことができる。また、ロボット10は、関節機構AR3により、肘の旋回を模した動作を行うことができ、関節機構AR4により、腕のねじりを模した動作を行うことができる。また、ロボット10は、関節機構AR5により、手首の旋回を模した動作を行うことができ、関節機構AR6により、指先のねじりを模した動作を行うことができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、リンクLK1を旋回させる関節機構AR2とリンクLK2を旋回させる関節機構AR3との間に設けられた伸縮機構TE1により、リンクLK1を伸縮することができる。また、本実施形態では、関節機構AR3とリンクLK3を旋回させる関節機構AR5との間に設けられた伸縮機構TE2及び関節機構AR4により、リンクLK2を伸縮すること、及び、可動部分LK23を回転させることができる。本実施形態では、伸縮機構TE1及びTE2により、ロボット10の先端部(例えば、リンクLK3の端面LK3sf)が到達可能な領域を広くすることができ、ロボット10に取り付けられるエンドエフェクタ20が到達可能な領域を広くすることができる。
【0039】
なお、ロボットシステム1の構成は、
図1に示す例に限定されない。例えば、ロボットコントローラ30は、ロボット10に内蔵されてもよい。また、
図1では、ロボット10が床等の所定の場所に固定される場合を想定したが、ロボット10は、所定の場所に固定されずに、ロボット10自体が移動可能であってもよい。また、関節機構AR1は、ボディ部BDPに含まれてもよい。この場合、ボディ部BDPの全体が、軸Ax1を回転軸として回転してもよいし、ボディ部BDPの一部(例えば、関節機構AR2と接続される部分を部分)が、軸Ax1を回転軸として回転してもよい。あるいは、ボディ部BDPは土台部BSPに回転しないように固定され、関節機構AR2が、軸Ax1を回転軸として回転してもよい。また、リンクLK2と「先端部」であるリンクLK3は、必ずしも、「第2駆動機構」である関節機構AR5を介して接続されている必要はなく、関節機構AR5とリンクLK3との間に、リンクLK1及びリンクLK2とは異なるリンクを配置してもよい。
【0040】
次に、
図2を参照しながら、関節機構AR4及び伸縮機構TE2を含むリンクLK2の一例について説明する。
【0041】
図2は、関節機構AR4及び伸縮機構TE2を含むリンクLK2の一例を説明するための説明図である。
図2の上段は、収縮している状態のリンクLK2を示し、
図2の下段は、伸長している状態のリンクLK2を示している。また、
図2では、説明を分かり易くするために、リンクLK2の伸縮方向を示す方向Dm2を、符号の末尾に“p”又は“m”を付して、区別して図示している。方向Dm2mは、リンクLK2が収縮する方向を示し、方向Dm2pは、方向Dm2mの反対方向であり、リンクLK2が伸長する方向を示す。なお、
図2以降において、方向Dm2m及びDm2pを、特に区別することなく、方向Dm2と称する場合がある。
【0042】
リンクLK2は、
図1において説明したように、支持部分LK21と、可動部分LK22及びLK23と、伸縮機構TE2と、関節機構AR4と、関節機構AR4を駆動するモータMOa4と、伸縮機構TE2を駆動するモータMOt2とを含む。可動部分LK22は、中空である。可動部分LK22の内部には、伸縮機構TE2が設けられる。また、モータMOt2は、可動部分LK22の内部に取り付けられ、モータMOa4は、支持部分LK21の内部に取り付けられている。モータMOa4は、「第1モータ」の一例であり、モータMOt2は、「第2モータ」の一例である。
【0043】
伸縮機構TE2は、例えば、可動部分LK23の2つの端部のうちの支持部分LK21から近い端部に固定されたナットTE21と、方向De22に沿って延在し、ナットTE21に挿通されるボールねじTE22とを含む。ボールねじTE22は、例えば、ボールねじTE22の中心軸が可動部分LK22の中心軸と一致するように、モータMOt2に取り付けられている。そして、ボールねじTE22は、モータMOt2の回転に伴い、軸Axte2を回転軸として回転する。軸Axte2は、例えば、ボールねじTE22の中心軸である。ナットTE21は、ボールねじTE22の回転に伴い、軸Axte2に沿って移動する。ナットTE21が可動部分LK23に固定されているため、可動部分LK23は、ナットTE21の移動に伴い、軸Axte2(すなわち、方向De22)に沿って移動する。このように、ボールねじTE22は、可動部分LK23を移動可能に支持する。
【0044】
なお、可動部分LK23は、ボールねじTE22を格納可能に構成される。また、例えば、可動部分LK23の中心軸は、ボールねじTE22の中心軸、すなわち、軸Axte2と同じ軸である。また、可動部分LK23は、ボールねじTE22が回転した場合でも、軸Axte2を回転軸として回転しないように、可動部分LK22に接続される。これにより、可動部分LK23に固定されたナットTE21が、上述したように、ボールねじTE22の回転に伴い、軸Axte2に沿って移動する。
【0045】
モータMOt2の回転方向を切り替えることにより、ナットTE21の移動方向、すなわち、可動部分LK23の移動方向が、方向Dm2pと方向Dm2mとの間で切り替わる。例えば、モータMOt2の回転が第1の回転方向の回転である場合、ナットTE21は、方向Dm2pに移動し、モータMOt2の回転が第1の回転方向の回転に対して逆回転となる第2の回転方向の回転である場合、ナットTE21は、方向Dm2mに移動する。
【0046】
例えば、可動部分LK23が可動部分LK22の内部に格納された状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt2を第1の回転方向に回転させた場合、ナットTE21の移動に伴い、可動部分LK23は、可動部分LK22から徐々に突出する。これにより、リンクLK2は、方向Dm2pに伸長する。
図2に示す例では、リンクLK2は、最大で、可動部分LK23の長さとほぼ同じ長さだけ伸長する。また、可動部分LK23が可動部分LK22から突出している状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt2を第2の回転方向に回転させた場合、ナットTE21の移動に伴い、可動部分LK23は、可動部分LK22の内部に徐々に格納される。これにより、リンクLK2は、方向Dm2mに収縮する。このように、リンクLK2が収縮した場合、可動部分LK23の少なくとも一部が可動部分LK22の内部に格納される。
【0047】
なお、モータMOt2は、可動部分LK23を方向Dm2p又はDm2mに移動させる伸縮動作が伸縮機構TE2により行われた場合でも方向Dm2に移動しないように、可動部分LK22の2つの端部のうちの支持部分LK21に近い端部に取り付けられている。すなわち、モータMOt2は、可動部分LK23が方向Dm2p又はDm2mに移動した場合でも方向Dm2に移動しないように、可動部分LK22の2つの端部のうちの支持部分LK21に近い端部に取り付けられている。
【0048】
関節機構AR4は、例えば、支持部分LK21の2つの端部のうちの可動部分LK22に近い端部(すなわち、支持部分LK21と可動部分LK22との境界付近)に取り付けられる。例えば、関節機構AR4は、モータ固定部分AR48、伝達軸AR46及びギアAR47を有する。
【0049】
支持部分LK21の2つの端部のうちの可動部分LK22に近い端部に設けられたモータ固定部分AR48には、支持部分LK21の内部に配置されたモータMOa4が固定される。このように、モータMOa4は、支持部分LK21に固定されているため、伸縮機構TE2による伸縮動作が行われた場合でも方向Dm2に移動しない。
【0050】
伝達軸AR46は、モータMOa4の回転が伝達されるように、モータMOa4に取り付けられる。さらに、伝達軸AR46は、ギアAR47を介して可動部分LK22と連結している。これにより、例えば、モータMOa4が回転した場合、伝達軸AR46及びギアAR47を介して、可動部分LK22にモータMOa4の回転が伝達される。この結果、可動部分LK22は、軸Ax4を回転軸として回転する。なお、モータMOa4は、支持部分LK21に取り付けられているため、軸Ax4を回転軸として可動部分LK22を回転させる回転動作が関節機構AR4により行われた場合でも、軸Ax4を回転軸として回転することはない。従って、本実施形態では、可動部分LK22が軸Ax4を回転軸として回転した場合でも、モータMOa4自体の回転に伴う外乱が発生することを抑制することができる。
【0051】
ここで、例えば、関節機構AR4による回転動作では、関節機構AR2、AR3又はAR5による旋回動作に比べて、外部からの振動等の外乱が回転動作における偏心及び速度制御に与える影響が、大きくなる。なお、本実施形態では、関節機構AR4による回転動作、又は、伸縮機構TE2による伸縮動作が行われた場合でも、可動部分LK22に対するモータMOa4及び関節機構AR4の相対的な位置は変化しない。このため、本実施形態では、関節機構AR4による回転動作に影響を与える外乱の発生を抑制することができ、関節機構AR4による回転動作を精度よく制御することができる。すなわち、本実施形態では、ロボット10を精度よく制御することができる。
【0052】
また、本実施形態では、関節機構AR4により可動部分LK22が回転する場合の可動部分LK22の回転軸は、可動部分LK23の中心軸と平行である。例えば、リンクLK2は、可動部分LK23が移動する際の軸Axte2(ボールねじTE22、可動部分LK22及び可動部分LK23の各々の中心軸)が、可動部分LK22が回転する際の軸Ax4と同じ軸又はほぼ同じ軸になるように、構成されている。これにより、本実施形態では、可動部分LK22が軸Ax4を回転軸として回転している最中に、可動部分LK23を軸Axte2に沿って移動させた場合でも、リンクLK2全体のたわみ及び偏心等を抑制することができる。この結果、本実施形態では、ロボット10を精度よく制御することができる。また、本実施形態では、可動部分LK22及びLK23の重心が、可動部分LK22が回転する際の軸Ax4上に位置するように、リンクLK2を構成することが好ましい。この場合、可動部分LK22及びLK23が軸Ax4を回転軸として回転する際に生ずる慣性を小さくすることができ、リンクLK2全体のたわみ及び偏心等をさらに抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、リンクLK2の伸縮は、可動部分LK22に対して可動部分LK23が軸Axte2に沿って移動することにより実現され、リンクLK2の回転は、可動部分LK22が軸Ax4を回転軸として回転することにより実現される。このように、本実施形態では、リンクLK2の伸縮及び回転を行う際の制御対象が可動部分LK22と可動部分LK23とに分離されているため、リンクLK2を動かすためのモータMOt2及びMOa4の制御が煩雑になることを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、可動部分LK22及びLK23の方向De2に沿う長さ(長手方向の長さ)をある程度長く(例えば、可動部分LK22の径よりも長く)することにより、可動部分LK22及びLK23の重量を大きくしている。これにより、本実施形態では、可動部分LK22及びLK23の固有振動周波数を小さくすることができる。この結果、本実施形態では、リンクLK3に取り付けられたエンドエフェクタ20による作業の最中に発生する振動を吸収することができ、リンクLK3及びエンドエフェクタ20の振動を抑制することができる。また、本実施形態では、可動部分LK22及びLK23の固有振動周波数が小さいため、ロボット10のうちの関節機構AR5から土台部BSPまでの部分における振動がリンクLK3及びエンドエフェクタ20に伝搬することを抑制することができる。例えば、ロボットシステム1では、リンクLK1及びLK2を伸縮中又は伸長した状態でのリンクLK3及びエンドエフェクタ20の動作精度が重要になる場合がある。この場合、可動部分LK22及びLK23の方向De2に沿う長さ、及び、可動部分LK22及びLK23の重量をある程度大きくすることが重要である。
【0055】
なお、リンクLK2の構成は、
図2に示す例に限定されない。例えば、リンクLK2が最大限に収縮した場合に、可動部分LK23の一部が可動部分LK22の内部に格納されずに、可動部分LK22から露出していてもよい。また、例えば、可動部分LK23は、モータMOt2、ナットTE21及びボールねじTE22の構造を工夫することにより、可動部分LK22の外周を覆うように構成されてもよい。この構成では、リンクLK2が収縮した場合、可動部分LK22の少なくとも一部が、可動部分LK23に格納されてもよい。また、モータMOa4は、支持部分LK21の外部に配置されてもよい。
【0056】
次に、
図3を参照しながら、伸縮機構TE1を含むリンクLK1の一例について説明する。
【0057】
図3は、伸縮機構TE1を含むリンクLK1の一例を説明するための説明図である。
図3の上段は、収縮している状態のリンクLK1を示し、
図3の下段は、伸長している状態のリンクLK1を示している。また、
図3では、
図2と同様に、説明を分かり易くするために、リンクLK1の伸縮方向を示す方向Dm1を、符号の末尾に“p”又は“m”を付して、区別して図示している。方向Dm1mは、リンクLK1が収縮する方向を示し、方向Dm1pは、方向Dm1mの反対方向であり、リンクLK1が伸長する方向を示す。
【0058】
リンクLK1は、
図1において説明したように、支持部分LK11と、可動部分LK12及びLK13と、伸縮機構TE1と、モータMOt1とを含む。支持部分LK11は、中空である。支持部分LK11の内部には、伸縮機構TE1が設けられる。
【0059】
伸縮機構TE1は、例えば、可動部分LK12の2つの端部のうちの可動部分LK13から遠い端部に固定されたナットTE11と、方向De11に沿って延在し、ナットTE11に挿通されるボールねじTE12とを含む。ボールねじTE12は、伸縮機構TE1を駆動するモータMOt1に取り付けられている。そして、ボールねじTE12は、モータMOt1の回転に伴い、軸Axte1を回転軸として回転する。軸Axte1は、例えば、ボールねじTE12の中心軸である。
【0060】
ここで、可動部分LK12は、ボールねじTE12が回転した場合でも、軸Axte1を回転軸として回転しないように、支持部分LK11に接続される。これにより、可動部分LK12に固定されたナットTE11は、ボールねじTE12の回転に伴い、軸Axte1に沿って移動する。また、ナットTE11が可動部分LK12に固定されているため、可動部分LK12は、ナットTE11の移動に伴い、軸Axte1(すなわち、方向De11)に沿って移動する。このように、ボールねじTE12は、可動部分LK12を移動可能に支持する。なお、可動部分LK12は、ボールねじTE12を格納可能に構成される。
【0061】
モータMOt1の回転方向を切り替えることにより、ナットTE11の移動方向、すなわち、可動部分LK12の移動方向が、方向Dm1pと方向Dm1mとの間で切り替わる。例えば、モータMOt1の回転が第1の回転方向の回転である場合、ナットTE11は、方向Dm1pに移動し、モータMOt1の回転が第1の回転方向の回転に対して逆回転となる第2の回転方向の回転である場合、ナットTE11は、方向Dm1mに移動する。
【0062】
例えば、可動部分LK12が支持部分LK11の内部に格納された状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt1を第1の回転方向に回転させた場合、ナットTE11の移動に伴い、可動部分LK12は、支持部分LK11から徐々に突出する。これにより、リンクLK1は、方向Dm1pに伸長する。
図3に示す例では、リンクLK1は、最大で、可動部分LK12の長さとほぼ同じ長さだけ伸長する。また、可動部分LK12が支持部分LK11から突出している状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt1を第2の回転方向に回転させた場合、ナットTE11の移動に伴い、可動部分LK12は、支持部分LK11の内部に徐々に格納される。これにより、リンクLK1は、方向Dm1mに収縮する。このように、リンクLK1が収縮した場合、可動部分LK12の少なくとも一部が支持部分LK11の内部に格納される。
【0063】
なお、リンクLK1の構成は、
図3に示す例に限定されない。例えば、リンクLK1が収縮した場合に、可動部分LK12の少なくとも一部は、可動部分LK13に格納されてもよい。あるいは、リンクLK1が収縮した場合、可動部分LK12の一部が支持部分LK11に格納され、可動部分LK12の他の一部が可動部分LK13に格納されてもよい。また、例えば、リンクLK1が最大限に収縮した場合に、可動部分LK12の一部が支持部分LK11の内部に格納されずに、支持部分LK11から露出していてもよい。また、可動部分LK12は、可動部分LK13と一体に構成されてもよい。また、支持部分LK11と可動部分LK12とが一体に構成され、一体に構成された支持部分LK11及び可動部分LK12に対して可動部分LK13を相対的に移動させる伸縮機構が伸縮機構TE1としてリンクLK1に設けられてもよい。
【0064】
また、例えば、可動部分LK12は、モータMOt1、ナットTE11及びボールねじTE12の構造を工夫することにより、支持部分LK11の外周を覆うように構成されてもよい。この構成では、リンクLK1が収縮した場合、支持部分LK11の少なくとも一部が、可動部分LK12に格納されてもよい。
【0065】
次に、
図4を参照しながら、ロボット10の利点について説明する。
【0066】
図4は、
図1に示したロボット10の利点を説明するための説明図である。なお、
図4では、ロボット10と対比される形態として、伸縮機構TE1及びTE2がロボット10から省かれたロボット10Z(垂直6軸多関節ロボット)が点線で示されている。
図4では、棚RKに配置された物品GDに対する作業を例にして、ロボット10の利点を説明する。先ず、ロボット10と対比されるロボット10Zについて説明する。
【0067】
対比例のロボット10Zは、リンクLK1及びLK2の代わりにリンクLK1z及びLK2zを有することを除いて、ロボット10と同様である。リンクLK1z及びLK2zは、所定の長さで固定され、伸縮しない。
図4に示す例では、リンクLK1zの長さは、リンクLK1を最大限に収縮した場合のリンクLK1の長さとほぼ同じ長さであり、リンクLK2zの長さは、リンクLK2を最大限に伸長した場合のリンクLK2の長さとほぼ同じ長さである。なお、リンクLK1zの長さは、リンクLK1を最大限に伸長した場合のリンクLK1の長さとほぼ同じ長さであってもよい。
【0068】
リンクLK1z及びLK2zを伸縮可能とせずに、リンクLK1z及びLK2zの一方又は両方を単純に長くしたロボット10Zでは、ロボット10Z自体が大型化する。このため、ロボット10Zが用いられる場合、ロボット10Zを設置するスペース、又は、ロボット10Zが移動するスペースを、ロボット10が用いられる場合に比べて、大きくする必要がある。従って、リンクLK1z及びLK2zを伸縮できない形態(例えば、ロボット10Z)では、大型のロボットを設置するスペースを確保できない場合、ロボットの先端部が到達可能な領域を広くすることが困難である。
【0069】
また、ロボット10Zでは、例えば、棚RKの奥に配置された物品GDを棚RKの奥から前方に取り出す場合、リンクLK1z及びLK2zを旋回させて、リンクLK3及びエンドエフェクタ20を直線的に動かす必要がある。このため、ロボット10Zでは、リンクLK3の可動スペース以外に、リンクLK1z及びLK2zの可動スペースが必要となる。従って、ロボット10Zでは、物品GDの周辺(特に前上方)に他の物品GDや棚RKの枠FRM等がある場合、他の物品GDや棚RKの枠FRM等が障害物となりロボット10Zの動作と干渉するため、ロボット10Zによる所望の作業ができないおそれがある。
【0070】
これに対し、本実施形態では、上述したように、リンクLK2が伸縮するため、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、ロボット10の先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くすることができる。これにより、本実施形態では、ロボット10Zを設置するためのスペースを確保できない狭い場所にも、ロボット10を設置することができる。この結果、本実施形態では、ロボット10は、狭い場所においても、リンクLK2を伸縮することにより、ロボット10に近い場所に配置された物品に対する作業、及び、ロボット10から遠い場所に配置された物品に対する作業の両方を効率よく行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、ロボット10は、リンクLK2を伸縮することにより、
図4の破線の矢印で示すように、リンクLK3及びエンドエフェクタ20を直線的に動かすことができる。このため、本実施形態では、ロボット10は、棚RKの枠FRM等の障害物がある狭い空間においても、リンクLK2を伸縮することにより、棚RKの奥に配置された物品GDに対する作業を容易に行うことができる。また、本実施形態では、例えば、関節機構AR2及びAR3を同時に駆動しなくても、伸縮機構TE2を駆動することにより、リンクLK3及びエンドエフェクタ20を直線的に動かすことができる。このため、本実施形態では、複数の関節機構ARの制御が煩雑になることを抑制することができ、リンクLK3及びエンドエフェクタ20を直線的に動かす場合の精度を向上させることができる。
【0072】
さらに、本実施形態では、上述したように、リンクLK1が伸縮するため、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、ロボット10の先端部が到達可能な領域をリンクLK1が伸縮しない形態に比べて広くすることができる。これにより、本実施形態では、ロボット10は、リンクLK1が伸縮しない形態では届かない高い位置に配置された物品GDに対して作業することが可能となる。また、本実施形態では、ロボット10は、伸縮機構TE1により関節機構AR3を高い位置に移動させることにより、棚RKの高い位置で、かつ棚RKの奥に配置された物品GDに対する作業を容易に行うことができる。
【0073】
次に、
図5を参照しながら、ロボットコントローラ30のハードウェア構成について説明する。
【0074】
図5は、
図1に示したロボットコントローラ30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0075】
ロボットコントローラ30は、ロボットコントローラ30の各部を制御する処理装置32と、各種情報を記憶するメモリ33と、通信装置34と、作業者等による操作を受け付ける操作装置35と、表示装置36と、ドライバ回路37とを有する。
【0076】
メモリ33は、例えば、処理装置32の作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、制御プログラムPGr等の各種情報を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリとの、一方又は両方を含む。なお、メモリ33は、ロボットコントローラ30に着脱可能であってもよい。具体的には、メモリ33は、ロボットコントローラ30に着脱されるメモリカード等の記憶媒体であってもよい。また、メモリ33は、例えば、ロボットコントローラ30とネットワーク等を介して通信可能に接続された記憶装置(例えば、オンラインストレージ)であってもよい。
【0077】
図5に示すメモリ33は、制御プログラムPGrを記憶している。本実施形態では、制御プログラムPGrは、例えば、ロボットコントローラ30がロボット10の動作を制御するためのアプリケーションプログラムを含む。但し、制御プログラムPGrは、例えば、処理装置32がロボットコントローラ30の各部を制御するためのオペレーティングロボットシステムプログラムを含んでもよい。
【0078】
処理装置32は、ロボットコントローラ30の全体を制御するプロセッサであり、例えば、1又は複数のCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。処理装置32は、例えば、メモリ33に記憶された制御プログラムPGrを実行し、制御プログラムPGrに従って動作することで、ロボット10の動作を制御する。なお、制御プログラムPGrは、ネットワーク等を介して他の装置から送信されてもよい。
【0079】
また、例えば、処理装置32が複数のCPUを含んで構成される場合、処理装置32の機能の一部又は全部は、これら複数のCPUが制御プログラムPGr等のプログラムに従って協働して動作することで実現されてもよい。また、処理装置32は、1又は複数のCPUに加え、又は、1又は複数のCPUのうち一部又は全部に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。この場合、処理装置32の機能の一部又は全部は、DSP等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0080】
通信装置34は、ロボットコントローラ30の外部に存在する外部装置と通信を行うためのハードウェアである。例えば、通信装置34は、近距離無線通信によって外部装置と通信する機能を有する。なお、通信装置34は、移動体通信網又はネットワークを介して外部装置と通信する機能をさらに有してもよい。
【0081】
操作装置35は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタン及びセンサ等)である。例えば、操作装置35は、作業者の操作を受け付け、操作に応じた操作情報を処理装置32に出力する。なお、例えば、表示装置36の表示面に対する接触を検出するタッチパネルが、操作装置35として採用されてもよい。
【0082】
表示装置36は、外部への出力を実施するディスプレイ等の出力デバイスである。表示装置36は、例えば、処理装置32による制御のもとで、画像を表示する。なお、操作装置35及び表示装置36は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0083】
ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、ロボット10を駆動するための信号をロボット10に出力するハードウェアである。例えば、ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、モータMOa1、MOa2、MOa2、MOa4、MOa5、MOa6、MOt1及びMOt2等を駆動する信号をロボット10に出力する。なお、モータMOa1、MOa2、MOa2、MOa4、MOa5及びMOa6は、関節機構AR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6をそれぞれ駆動するモータである。また、モータMOt1及びMOt2は、伸縮機構TE1及びTE2をそれぞれ駆動するモータである。
【0084】
このように、ロボットコントローラ30は、モータMOa1、MOa2、MOa2、MOa4、MOa5、MOa6、MOt1及びMOt2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。
【0085】
以上、本実施形態では、ロボット10は、ボディ部BDPと、リンクLK3と、ボディ部BDPとリンクLK3を接続する複数のリンクLK1及びLK2と、関節機構AR3と、関節機構AR5とを有する。関節機構AR3は、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。関節機構AR5は、リンクLK2とリンクLK3を接続し、リンクLK2が延在する方向De2とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax5を回転軸としてリンクLK3をリンクLK2に対して回転させる。リンクLK2は、リンクLK1に接続される支持部分LK21と、リンクLK3に接続される可動部分LK23と、支持部分LK21と可動部分LK23を接続する可動部分LK22と、関節機構AR4と、伸縮機構TE2とを有する。関節機構AR4は、支持部分LK21が延在する方向De21とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax4を回転軸として、可動部分LK22を支持部分LK21に対して回転させる。伸縮機構TE2は、可動部分LK22に対して可動部分LK23を可動部分LK22の延在方向(方向De22)に沿って移動させることにより、リンクLK2を伸縮させる。
【0086】
このように、本実施形態では、伸縮機構TE2により、リンクLK2が伸縮する。このため、本実施形態では、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、ロボット10の先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くすることができる。これにより、本実施形態では、大型のロボットを設置するためのスペースを確保できない狭い場所にも、ロボット10を設置することができる。すなわち、本実施形態では、狭い場所で用いられるロボット10においても、ロボット10の先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くすることができる。
【0087】
また、本実施形態では、リンクLK2の可動部分LK22の回転が関節機構AR4により行われ、リンクLK2の伸縮が伸縮機構TE2により行われる。このため、本実施形態では、リンクLK2の可動部分LK22の回転及びリンクLK2の伸縮の制御が煩雑になることを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態では、可動部分LK22は、中空である。リンクLK2が収縮した場合、可動部分LK23の少なくとも一部が、可動部分LK22の内部に格納される。これにより、本実施形態では、リンクLK2の伸縮を簡易な構成で実現することができる。
【0089】
また、本実施形態では、ロボット10は、関節機構AR4を駆動するモータMOa4と、伸縮機構TE2を駆動するモータMOt2とをさらに含む。モータMOa4は、リンクLK2が伸縮した場合でもリンクLK2の伸縮方向(方向Dm2)に移動しないように、かつ、可動部分LK22が支持部分LK21に対して回転した場合でも可動部分LK22の回転方向Dr4に移動しないように、支持部分LK21の2つの端部のうちの可動部分LK22に近い端部に取り付けられる。モータMOt2は、リンクLK2が伸縮した場合でもリンクLK2の伸縮方向(方向Dm2)に移動しないように、可動部分LK22の2つの端部のうちの支持部分LK21に近い端部に取り付けられる。
【0090】
これにより、本実施形態では、関節機構AR4による回転動作、又は、伸縮機構TE2による伸縮動作が行われた場合でも、可動部分LK22に対するモータMOa4の相対的な位置は変化しない。このため、本実施形態では、関節機構AR4による回転動作に影響を与える外乱の発生を抑制することができ、関節機構AR4による回転動作を精度よく制御することができる。すなわち、本実施形態では、ロボット10を精度よく制御することができる。また、本実施形態では、モータMOt2が可動部分LK22に取り付けられるため、可動部分LK23が方向De22に沿って移動した場合でも、モータMOt2は方向De22に沿って移動しない。このため、本実施形態では、伸縮機構TE2により伸縮動作が行われた場合においても、モータMOa4に対するモータMOt2の相対的な位置は、変化しない。この結果、本実施形態では、可動部分LK23が軸Axte2に沿って移動している最中であっても、軸Ax4を回転軸として可動部分LK22を安定して回転させることができる。
【0091】
また、本実施形態では、関節機構AR4により可動部分LK22が回転する場合の可動部分LK22の回転軸(軸Ax4)は、可動部分LK23の中心軸と平行である。これにより、本実施形態では、可動部分LK22が軸Ax4を回転軸として回転している最中に、可動部分LK23を方向De22に沿って移動させた場合でも、リンクLK2全体のたわみ及び偏心等を抑制することができる。この結果、本実施形態では、ロボット10を精度よく制御することができる。
【0092】
また、本実施形態では、リンクLK1は、支持部分LK11と、リンクLK2に接続される可動部分LK13と、支持部分LK11と可動部分LK13を接続する可動部分LK12と、伸縮機構TE1とを含む。伸縮機構TE1は、支持部分LK11に対して可動部分LK12を支持部分LK11が延在する方向De11に沿って移動させることにより、リンクLK1を伸縮させる。
【0093】
このように、本実施形態では、伸縮機構TE1により、リンクLK1が伸縮する。このため、本実施形態では、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、ロボット10の先端部が到達可能な領域をリンクLK1が伸縮しない形態に比べて広くすることができる。これにより、本実施形態では、例えば、ロボット10は、リンクLK1が伸縮しない形態では届かない高い位置に配置された物品GDに対して作業する事が可能となる。また、本実施形態では、ロボット10は、伸縮機構TE1により関節機構AR3を高い位置に移動させることにより、棚RKの高い位置で、かつ棚RKの奥に配置された物品GDに対する作業を容易に行うことができる。
【0094】
また、本実施形態では、支持部分LK11は、中空である。リンクLK1が収縮した場合、可動部分LK12の少なくとも一部が、支持部分LK11の内部に格納される。これにより、本実施形態では、リンクLK1の伸縮を簡易な構成で実現することができる。
【0095】
また、本実施形態では、ロボット10は、関節機構AR1と関節機構AR2とをさらに有する。関節機構AR1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax1を回転軸として、ボディ部BDPの少なくとも一部分を回転させる。関節機構AR2は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続し、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax2を回転軸としてリンクLK1をボディ部BDPに対して回転させる。リンクLK3は、関節機構AR5によりリンクLK3が回転する場合のリンクLKの回転軸(軸Ax5)とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax6を回転軸として、リンクLK3の少なくとも一部分をリンクLK2に対して回転させる関節機構AR6を含む。このように、本実施形態に係る発明は、垂直6軸多関節ロボットに適用されてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、リンクLK1は、ボディ部BDPに接続される支持部分LK11と、リンクLK2に接続される可動部分LK13と、支持部分LK11と可動部分LK13を接続する可動部分LK12と、伸縮機構TE1とを含む。伸縮機構TE1は、支持部分LK11に対して可動部分LK12を支持部分LK11が延在する方向De11に沿って移動させることにより、リンクLK1を伸縮させる。このように、本実施形態では、垂直6軸多関節ロボットに2つの伸縮機構を追加することにより、先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くしたロボット10を簡易に構成することができる。
【0097】
また、本実施形態では、ロボットコントローラ30は、関節機構AR1を駆動するモータMOa1、関節機構AR2を駆動するモータMOa2、関節機構AR3を駆動するモータMOa3、関節機構AR4を駆動するモータMOa4、関節機構AR5を駆動するモータMOa5、関節機構AR6を駆動するモータMOa6、伸縮機構TE1を駆動するモータMOt1、及び、伸縮機構TE2を駆動するモータMOt2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。このように、本実施形態では、ロボットコントローラ30により、ロボット10の動作を容易に制御することができる。
【0098】
また、本実施形態では、ロボットシステム1は、ロボット10と、リンクLK3に取り付けられたエンドエフェクタ20と、ロボット10及びエンドエフェクタ20の動作を制御するロボットコントローラ30とを有する。このように、本実施形態では、全体の大きさが大きくなることを抑制しつつ、先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くしたロボット10がロボットシステム1に用いられる。このため、本実施形態では、狭い場所においても、ロボットシステム1は、ロボット10に近い場所に配置された物品に対する作業、及び、ロボット10から遠い場所に配置された物品に対する作業の両方を効率よく行うことができる。例えば、部品を組み付ける、又は、部品を取り除くことを含む物品の製造方法にロボットシステム1が用いられてもよい。この場合、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く作業を効率よく実行することができる。
【0099】
[2.変形例]
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0100】
[第1変形例]
上述した実施形態では、モータMOa4が支持部分LK21の内部に設けられる場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、モータMOa4は、支持部分LK21の外部に設けられてもよい。
【0101】
図6は、第1変形例に係るリンクLK2の一例を説明するための説明図である。
図1から
図5において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図6では、上述した実施形態との対比を分かり易くするために、リンクLK2、支持部分LK21及び関節機構AR4の符号の末尾に、小文字のアルファベット“a”を付している。例えば、ロボット10は、
図1に示したリンクLK2の代わりにリンクLK2aを有する。
図6の上段は、収縮している状態のリンクLK2aを示し、
図6の下段は、伸長している状態のリンクLK2aを示している。リンクLK2aは、「第2リンク」の他の例である。なお、以下では、リンクLK2aをリンクLK2と称する場合がある。
【0102】
リンクLK2aは、
図2に示した支持部分LK21及び関節機構AR4代わりに支持部分LK21a及び関節機構AR4aを有することを除いて、
図2に示したリンクLK2と同様である。支持部分LK21aは、「第1部分」の他の例であり、関節機構AR4aは、「第3駆動機構」の他の例である。
図6では、支持部分LK21a及び関節機構AR4aを中心に説明する。
【0103】
リンクLK2aは、支持部分LK21aと、可動部分LK22及びLK23と、伸縮機構TE2と、関節機構AR4aと、モータMOa4と、モータMOt2とを含む。
【0104】
関節機構AR4aは、例えば、支持部分LK21aの2つの端部のうちの可動部分LK22に近い端部(すなわち、支持部分LK21aと可動部分LK22との境界付近)に取り付けられる。例えば、関節機構AR4aは、ステーAR41と、モータMOa4の回転が伝達される伝達軸AR42と、プーリAR43及びAR44と、タイミングベルトAR45と、プーリAR44の回転が伝達される伝達軸AR46と、ギアAR47とを有する。
【0105】
ステーAR41は、支持部分LK21aの2つの端部のうちの可動部分LK22に近い端部に、支持部分LK21aから張り出すように取り付けられている。ステーAR41のうち、支持部分LK21aから張り出した部分には、モータMOa4が取り付けられる。すなわち、モータMOa4は、可動部分LK23が移動しても移動しない支持部分LK21aに、ステーAR41を介して取り付けられる。
【0106】
また、ステーAR41には、プーリAR43及びAR44が並列に設けられている。例えば、プーリAR43は、伝達軸AR42に取り付けられる。また、プーリAR44は、方向De2からの平面視において、全体が可動部分LK22と重なるように、配置される。タイミングベルトAR45は、プーリAR43の回転がプーリAR44に伝達されるように、プーリAR43とプーリAR44とを連結する。プーリAR44には、伝達軸AR46が取り付けられている。例えば、伝達軸AR46の中心軸は、軸Ax4に対応する。伝達軸AR46は、ギアAR47を介して可動部分LK22と連結している。
【0107】
これにより、例えば、モータMOa4が回転した場合、伝達軸AR42、プーリAR43、タイミングベルトAR45、プーリAR44、伝達軸AR46、及び、ギアAR47を介して、可動部分LK22にモータMOa4の回転が伝達される。この結果、可動部分LK22は、軸Ax4を回転軸として回転する。なお、ステーAR41は、可動部分LK22に対して回転可能に、支持部分LK21aに取り付けられている。このため、可動部分LK22が軸Ax4を回転軸として回転した場合でも、モータMOa4及びステーAR41が軸Ax4を回転軸として回転することはない。従って、
図6に示す例においても、可動部分LK22が軸Ax4を回転軸として回転した場合でも、モータMOa4自体は軸Ax4の周りを回転(公転)しないため、回転(公転)に伴う外乱が発生することを抑制することができる。
【0108】
図6に示す例においても、リンクLK2aは、可動部分LK23が移動する際の軸Axte2が、可動部分LK22が回転する際の軸Ax4と同じ軸又はほぼ同じ軸になるように、構成されている。
【0109】
次に、
図7を参照しながら、第1変形例に係るリンクLK2の別の例について説明する。
【0110】
図7は、第1変形例に係るリンクLK2の別の例を説明するための説明図である。
図1から
図6において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図7では、
図6に示した構成との対比を分かり易くするために、リンクLK2、支持部分LK21、可動部分LK22、関節機構AR4、ステーAR41、伝達軸AR42及びギアAR47の符号の末尾に、小文字のアルファベット“b”を付している。例えば、ロボット10は、
図1に示したリンクLK2の代わりにリンクLK2bを有する。
図7の上段は、収縮している状態のリンクLK2bを示し、
図7の下段は、伸長している状態のリンクLK2bを示している。リンクLK2bは、「第2リンク」の他の例である。なお、以下では、リンクLK2bをリンクLK2と称する場合がある。
【0111】
リンクLK2bは、
図2に示した支持部分LK21、可動部分LK22及び関節機構AR4代わりに支持部分LK21b、可動部分LK22b及び関節機構AR4bを有することを除いて、
図2に示したリンクLK2と同様である。支持部分LK21bは、「第1部分」の他の例であり、可動部分LK22bは、「第3部分」の他の例であり、関節機構AR4bは、「第3駆動機構」の他の例である。
図7では、支持部分LK21b、可動部分LK22b及び関節機構AR4bを中心に説明する。
【0112】
リンクLK2bは、支持部分LK21bと、可動部分LK22b及びLK23と、伸縮機構TE2と、関節機構AR4bと、モータMOa4と、モータMOt2とを含む。可動部分LK22bは、中空である。可動部分LK22bの内部には、伸縮機構TE2が設けられる。伸縮機構TE2は、
図2に示した伸縮機構TE2と同様である。
【0113】
関節機構AR4bは、例えば、支持部分LK21bの2つの端部のうちの可動部分LK22bに近い端部(すなわち、支持部分LK21bと可動部分LK22bとの境界付近)に取り付けられる。例えば、関節機構AR4bは、ステーAR41bと、モータMOa4の回転が伝達される伝達軸AR42bと、伝達軸AR42bに取り付けられたギアAR47bとを有する。
【0114】
ステーAR41bは、支持部分LK21bの2つの端部のうちの可動部分LK22bに近い端部に、可動部分LK22bから張り出すように取り付けられている。ステーAR41bのうち、可動部分LK22bから張り出した部分には、モータMOa4が取り付けられる。すなわち、モータMOa4は、可動部分LK23が移動しても移動しない支持部分LK21bに、ステーAR41bを介して取り付けられる。
【0115】
また、ステーAR41bには、伝達軸AR42b及びギアAR47bが設けられている。例えば、ギアAR47bは、方向De2からの平面視において、ギアAR47bの中心に伝達軸AR42bが位置するように、伝達軸AR42bに取り付けられる。また、可動部分LK22bの外周には、可動部分LK22bをギアAR47bと噛み合う歯車として動作させるための複数の溝が設けられている。
【0116】
これにより、例えば、モータMOa4が回転した場合、モータMOa4の回転が伝達される伝達軸AR42bの回転に伴い、ギアAR47bが回転し、ギアAR47bの回転に伴い、ギアAR47bと噛み合う可動部分LK22bが回転する。このように、モータMOa4が回転した場合、伝達軸AR42b及びギアAR47bを介して、可動部分LK22bにモータMOa4の回転が伝達される。この結果、可動部分LK22bは、軸Ax4を回転軸として回転する。また、可動部分LK23は、可動部分LK22bと一緒に回転するように可動部分LK22bと連結されているため、可動部分LK22bと一体的に回転する。
【0117】
また、モータMOa4は、ステーAR41bを介して支持部分LK21bに取り付けられているため、可動部分LK22b及びLK23が回転した場合でも、軸Ax4を回転軸として回転することはない。従って、
図7に示す例においても、可動部分LK22bが軸Ax4を回転軸として回転した場合でも、モータMOa4自体の回転に伴う外乱が発生することを抑制することができる。
【0118】
なお、
図7に示す例においても、リンクLK2bは、可動部分LK23が移動する際の軸Axte2が、可動部分LK22bが回転する際の軸Ax4と同じ軸又はほぼ同じ軸になるように、構成されている。
【0119】
図7に示すリンクLK2bでは、モータMOa4の回転を可動部分LK22bに伝達するギアAR47bが可動部分LK22bの外部に設けられるため、ボールねじTE22の方向De22に沿う長さを
図2に示したリンクLK2よりも長くすることができる。従って、
図7に示すリンクLK2bでは、リンクLK2bの伸縮範囲を
図2に示したリンクLK2よりも大きくすることができる。なお、例えば、リンクLK2bの伸縮範囲は、リンクLK2bを最大限に収縮した場合のリンクLK2bの方向De2に沿う長さと、リンクLK2bを最大限に伸長した場合のリンクLK2bの方向De2に沿う長さとの差に対応する範囲である。
【0120】
なお、本変形例に係るリンクLK2の構成は、
図6及び
図7に示す例に限定されない。例えば、
図7に示す例において、モータMOt2は、可動部分LK22bの外側で支持部分LK21bの内部に配置されてもよい。この場合においても、ボールねじTE22は、ボールねじTE22の中心軸が可動部分LK22bの中心軸と一致するように、モータMOt2に取り付けられる。また、ボールねじTE22の中心軸が可動部分LK22bの中心軸と一致するようにボールねじTE22をモータMOt2に取り付けることができれば、モータMOt2は、可動部分LK22b及び支持部分LK21bの外側に配置されてもよい。
【0121】
モータMOt2が可動部分LK22bの外側に配置される構成では、例えば、ボールねじTE22は、関節機構AR4bにより可動部分LK22bが回転した場合にナットTE21と一緒にモータMOt2に対して空転するように、モータMOt2に取り付けられる。これにより、可動部分LK23は、関節機構AR4bにより可動部分LK22及びLK23が回転した場合でも、軸Axte2に沿って移動することはない。また、モータMOt2が可動部分LK22bの外側に配置される構成では、ボールねじTE22の方向De22に沿う長さを長くすることができるため、リンクLK2bの伸縮範囲を大きくすることができる。また、モータMOt2が可動部分LK22の外側に配置される構成では、リンクLK2bが収縮した場合、可動部分LK23の一部が支持部分LK21bに格納され、可動部分LK23の他の一部が可動部分LK22bに格納されてもよい。すなわち、モータMOt2が可動部分LK22の外側に配置される構成では、可動部分LK23の長さが可動部分LK22bの長さよりも長くてもよい。
【0122】
以上、本変形例においても、上述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本変形例に係るロボット10は、
図1に示したリンクLK2の代わりにリンクLK2a又はLK2bを有することを除いて、
図1に示したロボット10と同様である。
【0123】
[第2変形例]
上述した実施形態及び変形例では、垂直6軸多関節ロボットに2つの伸縮機構TE1及びTE2を追加した6軸2伸多関節ロボットをロボット10として例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ロボット10は、垂直6軸多関節ロボットに1つの伸縮機構TE2を追加した6軸1伸多関節ロボットであってもよい。
【0124】
また、例えば、ロボット10は、7軸以上の多関節ロボットに2つの伸縮機構TE1及びTE2を追加した構成であってもよいし、7軸以上の多関節ロボットに1つの伸縮機構TE2を追加した構成であってもよい。具体的には、ロボット10は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続する1以上のリンクを有してもよい。すなわち、ロボット10は、ボディ部BDPとリンクLK3を接続する3以上のリンク(リンクLK3を除いた3以上のリンク)を有してもよい。なお、ロボット10が有する3以上のリンクには、リンクLK1及びLK2が含まれる。リンクLK3を除いた3以上のリンクは、「複数のリンク」に該当する。
【0125】
以上、本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0126】
[3.応用例]
上述した実施形態及び変形例において説明したロボット10を含むロボットシステム1は、部品を組み付ける、又は、部品を取り除くことを含む物品の製造方法に用いられてもよい。
【0127】
[4.その他]
上述した第1実施形態において簡単に説明した「旋回」と他の回転との区別について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0128】
図8は、旋回の一例を説明するための説明図である。
図8では、長手方向を把握可能な2つのリンクLKi及びLKjの接続を例にして、旋回と他の回転との区別について説明する。
図8の延在方向Deiは、リンクLKiが延在する方向を示し、延在方向Dejは、リンクLKjが延在する方向を示す。また、
図8の関節機構ARiは、リンクLKiとリンクLKjを接続し、軸Axiを回転軸として、リンクLKjをリンクLKiに対して回転させる。
【0129】
図8に示す例では、リンクLKiの延在方向Dei(特定の方向)と軸Axiとのなす角度θが所定の角度より大きい場合、当該軸Axiを回転軸とした回転は、「旋回」に該当する。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θが所定の角度以下の場合、当該軸Axiを回転軸とした回転は、旋回以外の回転(旋回と区別される他の回転)に該当する。
図8に示す「回転」は、旋回以外の回転を示す。また、所定の角度は特に限定されないが、
図8では、所定の角度が45°である場合を想定する。延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、延在方向Deiに対する軸Axiの角度として把握される複数の角度(例えば、互いに交差する2つの直線では4つの角度、又は、平行な2つの直線では0°及び180°)のうち、0°以上90°以下の角度である。
【0130】
第1パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、90°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第1パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第1パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第1パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転(旋回)した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0131】
第2パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、0°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第2パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第2パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、リンクLKiの延在方向Dei及び軸Axiに平行である。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、0°である。なお、第2パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、0°に維持され、常に一定である。
【0132】
第3パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、0°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第3パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第3パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、リンクLKiの延在方向Dei及び軸Axiに垂直である。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、90°である。なお、第3パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、90°に維持され、常に一定である。
【0133】
第4パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、10°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第4パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第4パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに平行であり、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、10°である。なお、第4パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、10°に維持され、常に一定である。
【0134】
第5パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、70°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第5パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第5パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第5パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転(旋回)した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0135】
第6パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、10°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第6パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第6パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第6パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0136】
第7パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、70°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第7パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第7パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに平行であり、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、70°である。なお、第7パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、70°に維持され、常に一定である。
【0137】
このように、上述した実施形態及び変形例では、リンクLKiに対するリンクLKjの回転のうち、リンクLKiの延在方向Deiとのなす角度が所定の角度より大きい軸Axiを回転軸とした回転が、旋回とも称される。但し、「旋回」の定義は、上述の例に限定されない。例えば、リンクLKiの延在方向Deiとのなす角度が所定の角度より大きい軸Axiを回転軸とした回転を旋回とする上述の定義を第1定義とした場合、第1定義の代わりに、下記の第2定義又は第3定義が採用されてもよい。
【0138】
第2定義では、リンクLKiに対するリンクLKjの回転により、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度が変化する場合、当該回転が旋回に該当する。従って、第2定義では、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度が、回転しても常に一定の場合、当該回転は、旋回以外の回転に該当する。例えば、第2定義では、
図8に示した第1パターン、第5パターン及び第6パターンは、旋回に該当し、第2パターン、第3パターン、第4パターン及び第7パターンは、旋回以外の回転に該当する。
【0139】
第3定義では、回転するリンクLKjの延在方向DejとリンクLKjの回転軸(軸Axi)とのなす角度が所定の角度より大きい場合、当該回転が旋回に該当する。従って、第3定義では、リンクLKjの延在方向DejとリンクLKjの回転軸(軸Axi)とのなす角度が所定の角度以下の場合、当該回転は、旋回以外の回転に該当する。例えば、第3定義では、
図8に示した第1パターン、第3パターン、第5パターン及び第6パターンは、旋回に該当し、第2パターン、第4パターン及び第7パターンは、旋回以外の回転に該当する。
【0140】
また、上述の第1定義、第2定義及び第3定義とは別に、互いに隣接する2つの関節機構ARのそれぞれの回転軸の関係に着目して、2つの関節機構ARによる2つの回転の相対関係を定義してもよい。具体的には、2つの回転軸のなす角度が所定の角度以下である場合(典型的には、平行の場合)、2つの回転を同種の回転とし、2つの回転軸のなす角度が所定の角度よりも大きい場合(典型的には、直交する場合)、2つの回転を異種の回転としてもよい。なお、同種の回転とは、2つの回転とも旋回、又は、2つの回転とも旋回以外の回転であり、異種の回転とは、2つの回転の一方が旋回で他方が旋回以外の回転である。2つの回転の相対関係の定義が用いられる場合、相対関係の起点となる回転は、例えば、上述の第1定義、第2定義及び第3定義のいずれかに基づいて決められてもよい。
図8に示した第1パターンは、第1定義、第2定義及び第3定義のいずれにおいても、旋回に該当し、第2パターンは、第1定義、第2定義及び第3定義のいずれにおいても、旋回以外の回転に該当する。従って、第1パターン又は第2パターンを、相対関係の起点となる回転とすることが好ましい。
【0141】
また、上述の第1定義、第2定義及び第3定義の2以上の定義を組み合わせた定義が用いられてもよい。この場合、例えば、組み合わせる2以上の定義の全てで旋回に該当する回転のみを旋回としてもよいし、組み合わせる2以上の定義の少なくとも1つで旋回に該当する回転を旋回としてもよい。
【符号の説明】
【0142】
1…ロボットシステム、10、10Z…ロボット、20…エンドエフェクタ、30…ロボットコントローラ、32…処理装置、33…メモリ、34…通信装置、35…操作装置、36…表示装置、37…ドライバ回路、AR、AR1、AR2、AR3、AR4、AR4a、AR4b、AR5、AR6、ARi…関節機構、AR41、AR41b…ステー、AR48…モータ固定部分、AR42、AR42b…伝達軸、AR43、AR44…プーリ、AR45…タイミングベルト、AR46…伝達軸、AR47、AR47b…ギア、Ax1、Ax2、Ax3、Ax4、Ax5、Ax6、Axi、Axte1、Axte2…軸、BDP…ボディ部、BDPbt…底面、BSP…土台部、GD…物品、LK、LK1、LK1z、LK2、LK2a、LK2b、LK2z、LK3、LKi、LKj…リンク、LK11…支持部分、LK12、LK13…可動部分、LK21、LK21a、LK21b…支持部分、LK22、LK22b、LK23…可動部分、LK3sf…端面、MOa1、MOa2、MOa3、MOa4、MOa5、MOa6、MOt1、MOt2…モータ、RK…棚、TE、TE1、TE2…伸縮機構、TE11、TE21…ナット、TE12、TE22…ボールねじ。