(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173622
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法、ロボットシステム、及び、物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/06 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B25J9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085995
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】繁田 知秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 亮
(72)【発明者】
【氏名】稲田 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 皓太
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】中西 秀行
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS12
3C707CT05
3C707CU02
3C707CV08
3C707CW08
3C707CY39
3C707HS27
3C707HT20
(57)【要約】
【課題】単純な動作を行う場合の多関節ロボットの制御が複雑になることを抑制する。
【解決手段】ロボット10は、ボディ部BDPと、リンクLK3と、リンクLK1及びLK2を含み、ボディ部BDPとリンクLK3を接続する複数のリンクと、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる関節機構AR3とを備え、関節機構AR3は、回転軸に沿って、リンクLK2をリンクLK1に対して相対的に移動させる伸縮機構TE2を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
先端部と、
第1リンク及び第2リンクを含み、前記基部と前記先端部を接続する複数のリンクと、
前記第1リンクと前記第2リンクを接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる駆動機構と、
を備え、
前記駆動機構は、
前記回転軸に沿って、前記第2リンクを前記第1リンクに対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む、
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項2】
前記第1伸縮機構は、
前記第1リンクと前記第2リンクとを接続する接続部分を含み、
前記接続部分の少なくとも一部は、
前記回転軸に沿う第1方向における前記第1リンクと前記第2リンクとの距離が最小になる場合、前記第1リンク及び前記第2リンクの少なくとも一方の内部に格納され、
前記第1方向における前記第1リンクと前記第2リンクとの距離が最大になる場合、前記第1リンク及び前記第2リンクから露出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の多関節ロボット。
【請求項3】
前記駆動機構は、
前記第2リンクを前記第1リンク及び前記接続部分に対して回転させることにより、前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の多関節ロボット。
【請求項4】
前記駆動機構は、
前記第2リンク及び前記接続部分を前記第1リンクに対して一体的に回転させることにより、前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の多関節ロボット。
【請求項5】
前記第1リンクは、
第1部分と、
前記第2リンクに接続される第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分を接続する第3部分と、
前記第1部分に対して前記第3部分を前記第1部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多関節ロボット。
【請求項6】
前記第1部分は、中空であり、
前記第1リンクが収縮した場合、前記第3部分の少なくとも一部が、前記第1部分の内部に格納される、
ことを特徴とする請求項5に記載の多関節ロボット。
【請求項7】
基部と、
第1リンクと、
支持部分及び可動部分を含む第2リンクと、
先端部と、
前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を第1回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第1駆動機構と、
前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第2回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第2駆動機構と、
前記第1リンクと前記支持部分を接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第3駆動機構と、
前記支持部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記可動部分を前記支持部分に対して回転させる第4駆動機構と、
前記可動部分と前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第5駆動機構と、
前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構と、
を備え、
前記第3駆動機構は、
前記第3回転軸に沿って、前記第2リンクを前記第1リンクに対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む、
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項8】
基部と、
第1リンクと、
支持部分及び可動部分を含む第2リンクと、
先端部と、
前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を第1回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第1駆動機構と、
前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第2回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第2駆動機構と、
前記第1リンクと前記支持部分を接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第3駆動機構と、
前記支持部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記可動部分を前記支持部分に対して回転させる第4駆動機構と、
前記可動部分と前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第5駆動機構と、
前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構と、
を備え、
前記第2駆動機構は、
前記第2回転軸に沿って、前記第1リンクを前記基部に対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む、
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項9】
基部と、
第1リンクと、
支持部分及び可動部分を含む第2リンクと、
先端部と、
前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を第1回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第1駆動機構と、
前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第2回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第2駆動機構と、
前記第1リンクと前記支持部分を接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第3駆動機構と、
前記支持部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記可動部分を前記支持部分に対して回転させる第4駆動機構と、
前記可動部分と前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第5駆動機構と、
前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構と、
を備え、
前記第5駆動機構は、
前記第5回転軸に沿って、前記先端部を前記第2リンクに対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む、
ことを特徴とする多関節ロボット。
【請求項10】
前記第1リンクは、
前記基部に接続される第1部分と、
前記第2リンクに接続される第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分を接続する第3部分と、
前記第1部分に対して前記第3部分を前記第1部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、
を含む、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の多関節ロボット。
【請求項11】
請求項10に記載の多関節ロボットの制御方法であって、
前記多関節ロボットの動作を制御する制御装置は、
前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する、
ことを特徴とする多関節ロボットの制御方法。
【請求項12】
請求項10に記載の多関節ロボットと、
前記先端部に取り付けられたエンドエフェクタと、
前記多関節ロボット及び前記エンドエフェクタの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する、
ことを特徴とするロボットシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のロボットシステムにより、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く、
ことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節ロボット、多関節ロボットの制御方法、ロボットシステム、及び、物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人と同様の動作を行うロボットとして、多関節ロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多関節ロボットは、溶接作業等の複雑な動作を必要とする作業の他に、物品を平行移動させる作業等の単純な動作を繰り返す作業に使用される場合もある。特に、人と共同して作業を行う多関節ロボット(所謂人協働ロボット)は、単純な動作を繰り返す作業に使用される傾向がある。従来の多関節ロボットでは、ロボットの先端部を横方向等に単に平行移動させる作業でも、多関節ロボットの複数の関節を動作させなければならず、多関節ロボットの制御が複雑になる場合がある。このため、単純な動作を行う場合の多関節ロボットの制御を簡易にすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好適な態様に係る多関節ロボットは、基部と、先端部と、第1リンク及び第2リンクを含み、前記基部と前記先端部を接続する複数のリンクと、前記第1リンクと前記第2リンクを接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる駆動機構と、を備え、前記駆動機構は、前記回転軸に沿って、前記第2リンクを前記第1リンクに対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む。
【0006】
本発明の好適な他の態様に係る多関節ロボットは、基部と、第1リンクと、支持部分及び可動部分を含む第2リンクと、先端部と、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を第1回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第1駆動機構と、前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第2回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第2駆動機構と、前記第1リンクと前記支持部分を接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第3駆動機構と、前記支持部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記可動部分を前記支持部分に対して回転させる第4駆動機構と、前記可動部分と前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第5駆動機構と、前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構と、を備え、前記第3駆動機構は、前記第3回転軸に沿って、前記第2リンクを前記第1リンクに対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む。
【0007】
本発明の好適な他の態様に係る多関節ロボットは、基部と、第1リンクと、支持部分及び可動部分を含む第2リンクと、先端部と、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を第1回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第1駆動機構と、前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第2回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第2駆動機構と、前記第1リンクと前記支持部分を接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第3駆動機構と、前記支持部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記可動部分を前記支持部分に対して回転させる第4駆動機構と、前記可動部分と前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第5駆動機構と、前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構と、を備え、前記第2駆動機構は、前記第2回転軸に沿って、前記第1リンクを前記基部に対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む。
【0008】
本発明の好適な他の態様に係る多関節ロボットは、基部と、第1リンクと、支持部分及び可動部分を含む第2リンクと、先端部と、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を第1回転軸として、前記基部の少なくとも一部分を回転させる第1駆動機構と、前記基部と前記第1リンクを接続し、前記基部の底面に垂直な方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第2回転軸として前記第1リンクを前記基部に対して回転させる第2駆動機構と、前記第1リンクと前記支持部分を接続し、前記第1リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第3回転軸として前記第2リンクを前記第1リンクに対して回転させる第3駆動機構と、前記支持部分が延在する方向とのなす角度が前記所定の角度以下の軸を第4回転軸として、前記可動部分を前記支持部分に対して回転させる第4駆動機構と、前記可動部分と前記先端部を接続し、前記第2リンクが延在する方向とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第5回転軸として前記先端部を前記第2リンクに対して回転させる第5駆動機構と、前記第5回転軸とのなす角度が前記所定の角度より大きい軸を第6回転軸として、前記先端部の少なくとも一部分を前記第2リンクに対して回転させる第6駆動機構と、を備え、前記第5駆動機構は、前記第5回転軸に沿って、前記先端部を前記第2リンクに対して相対的に移動させる第1伸縮機構を含む。
【0009】
本発明の好適な態様に係る多関節ロボットの制御方法は、上述の多関節ロボットにおいて、前記第1リンクは、前記基部に接続される第1部分と、前記第2リンクに接続される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する第3部分と、前記第1部分に対して前記第3部分を前記第1部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構と、を含む多関節ロボットの制御方法であって、前記多関節ロボットの動作を制御する制御装置は、前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する。
【0010】
本発明の好適な態様に係るロボットシステムは、上述の多関節ロボットにおいて、前記第1リンクは、前記基部に接続される第1部分と、前記第2リンクに接続される第2部分と、前記第1部分と前記第2部分を接続する第3部分と、前記第1部分に対して前記第3部分を前記第1部分が延在する方向に沿って移動させることにより、前記第1リンクを伸縮させる第2伸縮機構とを含む多関節ロボットと、前記先端部に取り付けられたエンドエフェクタと、前記多関節ロボット及び前記エンドエフェクタの動作を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1駆動機構を駆動するモータ、前記第2駆動機構を駆動するモータ、前記第3駆動機構を駆動するモータ、前記第4駆動機構を駆動するモータ、前記第5駆動機構を駆動するモータ、前記第6駆動機構を駆動するモータ、前記第1伸縮機構を駆動するモータ、及び、前記第2伸縮機構を駆動するモータを制御することにより、前記多関節ロボットの動作を制御する。
【0011】
本発明の好適な態様に係る物品の製造方法は、上述のロボットシステムにより、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、単純な動作を行う場合の多関節ロボットの制御が複雑になることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るロボットシステムの概要を説明するための説明図である。
【
図2】伸縮機構を含む関節機構の一例を説明するための説明図である。
【
図3】伸縮機構を含むリンクの一例を説明するための説明図である。
【
図4】
図1に示したロボットの利点を説明するための説明図である。
【
図5】
図1に示したロボットコントローラのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】第1変形例に係る関節機構の一例を説明するための説明図である。
【
図7】第2変形例に係る関節機構の一例を説明するための説明図である。
【
図8】第2変形例に係る関節機構の別の例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0015】
[1.実施形態]
先ず、
図1を参照しながら、実施形態に係るロボットシステム1の概要の一例について説明する。
【0016】
図1は、実施形態に係るロボットシステム1の概要を説明するための説明図である。
【0017】
ロボットシステム1は、例えば、ロボット10と、ロボット10に着脱可能に取り付けられるエンドエフェクタ20と、ロボット10及びエンドエフェクタ20の動作を制御するロボットコントローラ30とを有する。ロボット10は、「多関節ロボット」の一例であり、ロボットコントローラ30は、「制御装置」の一例である。
【0018】
ロボット10及びロボットコントローラ30は、例えば、有線を用いた接続により、互いに通信可能に接続されている。なお、ロボット10とロボットコントローラ30との接続は、無線を用いた接続であってもよいし、有線及び無線の両方を用いた接続であってもよい。また、ロボットコントローラ30は、ロボット10に取り付けられたエンドエフェクタ20と通信可能である。ロボットコントローラ30としては、他の装置と通信可能な任意の情報処理装置を採用することができる。なお、ロボットコントローラ30の構成は、後述する
図5において説明される。
【0019】
ロボット10は、例えば、農場、工場及び倉庫等での作業に用いられる多関節ロボットである。具体的には、ロボット10は、垂直6軸多関節ロボットに2つの伸縮機構TE1及びTE2を追加した6軸2伸多関節ロボットである。例えば、ロボット10は、関節機構AR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6と、伸縮機構TE1及びTE2とを有する。なお、ロボット10は、複数の関節機構AR(AR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6)及び複数の伸縮機構TE(TE1及びTE2)の他に、土台部BSP、ボディ部BDP、リンクLK1、リンクLK2及びリンクLK3を有する。なお、伸縮機構TE1は、リンクLK1に設けられ、伸縮機構TE2は、関節機構AR4に設けられる。関節機構AR4は、リンクLK2に設けられ、関節機構AR6は、リンクLK3に設けられる。また、ロボット10は、複数の関節機構ARと複数の伸縮機構TEとを駆動する複数のモータをさらに有する。
図1では、図を見やすくするために、複数の関節機構ARと複数の伸縮機構TEとを駆動する複数のモータ、複数のモータの各々に設けられる減速機及びエンコーダ等の記載を省略している。
【0020】
ボディ部BDPは、「基部」の一例である。また、リンクLK1は、「第1リンク」の一例であり、リンクLK2は、「第2リンク」の一例である。従って、リンクLK1及びLK2は、「複数のリンク」に該当する。リンクLK3は、「先端部」の一例である。関節機構AR1は、「第1駆動機構」の一例であり、関節機構AR2は、「第2駆動機構」の一例である。関節機構AR3は、「第3駆動機構」及び「駆動機構」の一例であり、関節機構AR4は、「第4駆動機構」の一例である。また、関節機構AR5は、「第5駆動機構」の一例であり、関節機構AR6は、「第6駆動機構」の一例である。
【0021】
土台部BSPは、床等の所定の場所に固定される。ボディ部BDPは、関節機構AR1を介して土台部BSPに接続される。関節機構AR1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な軸Ax1を回転軸として、ボディ部BDPを回転させる。但し、「垂直」は、厳密な垂直だけではなく、実質的な垂直(例えば、誤差範囲内の垂直)も含む。同様に、後述する「平行」は、厳密な平行だけではなく、実質的な平行(例えば、誤差範囲内の平行)も含む。
【0022】
このように、ボディ部BDPは、関節機構AR1により、軸Ax1を回転軸として回転可能に土台部BSPに接続される。
図1の回転方向Dr1は、軸Ax1を回転軸として回転する場合のボディ部BDPの回転方向を示す。なお、軸Ax1は、「第1回転軸」の一例である。
【0023】
関節機構AR2は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続し、ボディ部BDPの底面BDPbtに平行な軸Ax2を回転軸としてリンクLK1をボディ部BDPに対して回転させる。
図1の回転方向Dr2は、軸Ax2を回転軸として回転する場合のボディ部BDPの回転方向を示す。なお、軸Ax2は、「第2回転軸」の一例である。
【0024】
リンクLK1は、例えば、リンクLK1が延在する方向De1に沿って伸縮可能に構成される。例えば、リンクLK1は、ボディ部BDPに接続される支持部分LK11と、可動部分LK12及びLK13と、伸縮機構TE1とを含む。可動部分LK12は、支持部分LK11と可動部分LK13を接続する。可動部分LK13は、リンクLK2に接続される。本実施形態では、支持部分LK11、可動部分LK12及び可動部分LK13の各々が方向De1に沿って延在する場合を想定する。すなわち、方向De1は、支持部分LK11、可動部分LK12及び可動部分LK13の各々の長手方向に該当する。また、本実施形態では、支持部分LK11が延在する方向De11が、リンクLK1が延在する方向De1である場合を想定する。
【0025】
伸縮機構TE1は、支持部分LK11と可動部分LK12を接続し、可動部分LK12を支持部分LK11に対して、支持部分LK11が延在する方向De11に沿って移動させる。可動部分LK12が方向De11に沿って移動することにより、可動部分LK13が方向De11に沿って移動する。可動部分LK12及びLK13が方向De11に沿って移動することにより、リンクLK1は、方向De11(すなわち、方向De1)に沿って伸縮する。
図1の方向Dm1は、リンクLK1の伸縮方向(方向De1に沿う方向)を示す。
【0026】
なお、支持部分LK11は、「第1部分」の一例であり、可動部分LK12は、「第3部分」の一例である。また、可動部分LK13は、「第2部分」の一例であり、伸縮機構TE1は、「第2伸縮機構」の一例である。
【0027】
関節機構AR3は、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1に垂直な軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。例えば、関節機構AR3は、後述する
図2に示すように、軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる旋回機構RE1を含む。
図1の回転方向Dr3は、軸Ax3を回転軸として回転する場合のリンクLK2の回転方向を示す。なお、軸Ax3は、「第3回転軸」の一例である。
【0028】
また、関節機構AR3は、上述したように、伸縮機構TE2を含む。伸縮機構TE2は、軸Ax3に沿って、リンクLK2をリンクLK1に対して相対的に移動させる。
図1の方向Dm2は、軸Ax3に沿う方向であり、リンクLK2のリンクLK1に対する相対的な移動方向を示す。方向Dm2は、「第1方向」の一例である。また、伸縮機構TE2は、「第1伸縮機構」の一例である。なお、関節機構AR3(旋回機構RE1及び伸縮機構TE2)の詳細は、後述する
図2において説明される。
【0029】
リンクLK2は、例えば、リンクLK1に接続される支持部分LK21と、リンクLK3に接続される可動部分LK22と、関節機構AR4とを含む。本実施形態では、支持部分LK21及び可動部分LK22の各々が方向De2に沿って延在する場合を想定する。すなわち、方向De2は、支持部分LK21及び可動部分LK22の各々の長手方向に該当する。また、本実施形態では、支持部分LK21が延在する方向De21が、リンクLK2が延在する方向De2である場合を想定する。
【0030】
関節機構AR4は、支持部分LK21が延在する方向De21と平行な軸Ax4を回転軸として、可動部分LK22を支持部分LK21に対して回転させる。
図1の回転方向Dr4は、軸Ax4を回転軸として回転する場合の可動部分LK22の回転方向を示す。なお、軸Ax4は、「第4回転軸」の一例である。また、支持部分LK21は、「支持部分」の一例であり、可動部分LK22は、「可動部分」の一例である。
【0031】
関節機構AR5は、リンクLK2とリンクLK3を接続し、リンクLK2が延在する方向De2に垂直な軸Ax5を回転軸としてリンクLK3をリンクLK2に対して回転させる。
図1の回転方向Dr5は、軸Ax5を回転軸として回転する場合のリンクLK3の回転方向を示す。なお、軸Ax5は、「第5回転軸」の一例である。
【0032】
リンクLK3には、例えば、物品を把持するエンドエフェクタ20が取り付けられる。例えば、リンクLK3の端面LK3sfには、エンドエフェクタ20が取り付けられる。また、リンクLK3は、上述したように、関節機構AR6を含む。関節機構AR6は、軸Ax5に垂直な軸Ax6を回転軸として、リンクLK3の少なくとも一部分をリンクLK2に対して回転させる。
図1に示す例では、関節機構AR6は、軸Ax6を回転軸として、リンクLK3の端面LK3sfをリンクLK2に対して回転させる。
図1の回転方向Dr6は、軸Ax6を回転軸として回転する場合のリンクLK3の端面LK3sfの回転方向を示す。なお、軸Ax6は、「第6回転軸」の一例である。
【0033】
また、エンドエフェクタ20により行われる作業は、物品の把持に限定されない。エンドエフェクタ20としては、ロボット10の作業目的に応じて適切な部品(例えば、ロボットハンド及びロボットフィンガー等)を適用することができる。すなわち、各種作業に適したエンドエフェクタ20がリンクLK3に取り付けられる。
【0034】
ここで、本実施形態では、特定の方向とのなす角度が所定の角度より大きい軸を回転軸とした回転を、特定の方向とのなす角度が所定の角度以下の軸を回転軸とした回転と区別して、「旋回」と称する場合がある。所定の角度は、例えば、45°であってもよい。なお、所定の角度は、45°に限定されない。
【0035】
例えば、軸Ax1及びAx2の各々を回転軸とする回転では、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当し、軸Ax2は、方向Dv1とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。従って、軸Ax2を回転軸とするリンクLK1の回転は、旋回に該当する。なお、本実施形態では、ボディ部BDPが底面BDPbtに垂直な方向Dv1に沿って延在しているため、ボディ部BDPが延在する方向Debを特定の方向としてもよい。
【0036】
また、軸Ax3を回転軸とする回転では、リンクLK1が延在する方向De1が特定の方向に該当し、軸Ax4を回転軸とする回転では、支持部分LK21が延在する方向De21が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax3は、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当し、軸Ax4は、支持部分LK21が延在する方向De21とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。従って、軸Ax3を回転軸とするリンクLK2の回転は、旋回に該当する。
【0037】
また、軸Ax5を回転軸とする回転では、リンクLK2が延在する方向De2が特定の方向に該当し、軸Ax6を回転軸とする回転では、リンクLK3が延在する方向De3が特定の方向に該当する。この場合、軸Ax5は、リンクLK2が延在する方向De2とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当し、軸Ax6は、リンクLK3が延在する方向De3とのなす角度が所定の角度以下の軸に該当する。従って、軸Ax5を回転軸とするリンクLK3の回転は、旋回に該当する。なお、本実施形態では、リンクLK3が延在する方向De3が、軸Ax5に垂直な方向である場合を想定する。このため、本実施形態では、方向De3とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax6は、関節機構AR5によりリンクLK3が回転する場合のリンクLK3の軸Ax5(回転軸)とのなす角度が所定の角度より大きい軸に該当する。
【0038】
このように、本実施形態では、ロボット10の複数の部分(ボディ部BDP、リンクLK1、LK2及びLK3等)の各々が軸Ax1、Ax2、Ax3、Ax4、Ax5及びAx6の各々を回転軸として回転可能である。これにより、本実施形態では、ロボット10は、人と同様の動作を実行できる。
【0039】
例えば、関節機構AR2と関節機構AR3との間のリンクLK1が上腕に相当し、関節機構AR3と関節機構AR5との間のリンクLK2が前腕に相当する。そして、ロボット10は、関節機構AR1により、人の腰のねじりを模した動作を行うことができ、関節機構AR2により、肩の旋回を模した動作を行うことができる。また、ロボット10は、関節機構AR3により、肘の旋回を模した動作を行うことができ、関節機構AR4により、腕のねじりを模した動作を行うことができる。また、ロボット10は、関節機構AR5により、手首の旋回を模した動作を行うことができ、関節機構AR6により、指先のねじりを模した動作を行うことができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、リンクLK1を旋回させる関節機構AR2とリンクLK2を旋回させる関節機構AR3との間に設けられた伸縮機構TE1により、リンクLK1を伸縮することができる。また、本実施形態では、関節機構AR3に設けられた伸縮機構TE2により、軸Ax3に沿って、リンクLK2をリンクLK1に対して相対的に移動させることができる。本実施形態では、伸縮機構TE1及びTE2により、ロボット10の先端部(例えば、リンクLK3の端面LK3sf)が到達可能な領域を広くすることができ、ロボット10に取り付けられるエンドエフェクタ20が到達可能な領域を広くすることができる。また、本実施形態では、伸縮機構TE2により、ロボット10の先端部を軸Ax3に沿う方向Dm2に容易に移動させることができる。
【0041】
なお、ロボットシステム1の構成は、
図1に示す例に限定されない。例えば、ロボットコントローラ30は、ロボット10に内蔵されてもよい。また、
図1では、ロボット10が床等の所定の場所に固定される場合を想定したが、ロボット10は、所定の場所に固定されずに、ロボット10自体が移動可能であってもよい。また、関節機構AR1は、ボディ部BDPに含まれてもよい。この場合、ボディ部BDPの全体が、軸Ax1を回転軸として回転してもよいし、ボディ部BDPの一部(例えば、関節機構AR2と接続される部分を部分)が、軸Ax1を回転軸として回転してもよい。あるいは、ボディ部BDPは土台部BSPに回転しないように固定され、関節機構AR2が、軸Ax1を回転軸として回転してもよい。
【0042】
また、リンクLK2と「先端部」であるリンクLK3とは、必ずしも、「第5駆動機構」である関節機構AR5を介して接続されている必要はなく、関節機構AR5とリンクLK3の間に、リンクLK1及びLK2とは異なるリンクが配置されてもよい。
【0043】
次に、
図2を参照しながら、伸縮機構TE2を含む関節機構AR3の一例について説明する。
【0044】
図2は、伸縮機構TE2を含む関節機構AR3の一例を説明するための説明図である。
図2の上段は、収縮している状態の関節機構AR3を示し、
図2の下段は、伸長している状態の関節機構AR3を示している。また、
図2では、説明を分かり易くするために、リンクLK2のリンクLK1に対する相対的な移動方向を示す方向Dm2を、符号の末尾に“p”又は“m”を付して、区別して図示している。方向Dm2mは、関節機構AR3が収縮する方向を示し、方向Dm2pは、方向Dm2mの反対方向であり、関節機構AR3が伸長する方向を示す。なお、
図2以降において、方向Dm2m及びDm2pを、特に区別することなく、方向Dm2と称する場合がある。
【0045】
関節機構AR3は、
図1において説明したように、旋回機構RE1と、伸縮機構TE2と、旋回機構RE1を駆動するモータMOa3と、伸縮機構TE2を駆動するモータMOt2とを含む。
【0046】
伸縮機構TE2は、例えば、ナットTE21と、方向Dm2に沿って延在するボールねじTE22と、方向Dm2に沿って延在し、リンクLK1の可動部分LK13とリンクLK2の支持部分LK21を接続する接続部分TE23とを含む。接続部分TE23は、中空である。本実施形態では、接続部分TE23の内部には、ナットTE21及びモータMOa3が取り付けられている。また、モータMOt2は、方向Dm2において可動部分LK13がモータMOt2と支持部分LK21との間に位置するように、可動部分LK13の外側に取り付けられている。また、可動部分LK13は、
図2の上段に示すように、接続部分TE23の一部を格納可能に構成される。
【0047】
ナットTE21は、例えば、接続部分TE23の2つの端部のうちのリンクLK2から遠い端部に固定されている。また、ボールねじTE22は、例えば、ボールねじTE22の中心軸が接続部分TE23の中心軸と一致するようにモータMOt2に取り付けられ、ナットTE21に挿通される。そして、ボールねじTE22は、モータMOt2の回転に伴い、軸Axte2を回転軸として回転する。軸Axte2は、例えば、ボールねじTE22の中心軸、すなわち、接続部分TE23の中心軸である。
【0048】
ナットTE21は、ボールねじTE22の回転に伴い、軸Axte2に沿って移動する。ナットTE21が接続部分TE23に固定されているため、接続部分TE23は、ナットTE21の移動に伴い、軸Axte2(すなわち、方向Dm2)に沿って移動する。このように、ボールねじTE22は、接続部分TE23を移動可能に支持する。
【0049】
なお、接続部分TE23は、ボールねじTE22を格納可能に構成される。また、接続部分TE23は、ボールねじTE22が回転した場合でも、軸Axte2を回転軸として回転しないように、可動部分LK13及び支持部分LK21に接続される。これにより、接続部分TE23に固定されたナットTE21が、上述したように、ボールねじTE22の回転に伴い、軸Axte2に沿って移動する。
【0050】
モータMOt2の回転方向を切り替えることにより、ナットTE21の移動方向、すなわち、接続部分TE23の移動方向が、方向Dm2pと方向Dm2mとの間で切り替わる。例えば、モータMOt2の回転が第1の回転方向の回転である場合、ナットTE21は、方向Dm2pに移動し、モータMOt2の回転が第1の回転方向の回転に対して逆回転となる第2の回転方向の回転である場合、ナットTE21は、方向Dm2mに移動する。
【0051】
例えば、接続部分TE23の一部が可動部分LK13の内部に格納された状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt2を第1の回転方向に回転させた場合、ナットTE21の移動に伴い、接続部分TE23は、可動部分LK13から徐々に露出する。これにより、関節機構AR3は、方向Dm2pに伸長する。
図2に示す例では、関節機構AR3は、最大で、方向Dm2における可動部分LK13の長さとほぼ同じ長さだけ伸長する。
【0052】
なお、リンクLK2の支持部分LK21は、接続部分TE23に対する方向Dm2の相対的な位置が変化しないように、かつ、軸Ax3を回転軸として接続部分TE23に対して回転可能に、接続部分TE23に取り付けられている。従って、関節機構AR3が方向Dm2pに伸長することにより、リンクLK2は、リンクLK1から遠ざかるように、方向Dm2pに移動する。
【0053】
また、接続部分TE23の一部が可動部分LK13から露出している状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt2を第2の回転方向に回転させた場合、ナットTE21の移動に伴い、接続部分TE23は、可動部分LK13の内部に徐々に格納される。これにより、関節機構AR3は、方向Dm2mに収縮する。関節機構AR3が方向Dm2mに収縮することにより、リンクLK2がリンクLK1に近づくように、方向Dm2mに移動する。
【0054】
このように、接続部分TE23の少なくとも一部(例えば、
図2の破線で囲んだ部分)は、方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最小になる場合、リンクLK1の内部に格納される。そして、接続部分TE23の少なくとも一部(例えば、
図2の破線で囲んだ部分)は、方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最大になる場合、リンクLK1から露出する。
【0055】
なお、モータMOt2は、リンクLK1の可動部分LK13に取り付けられているため、接続部分TE23を方向Dm2p又はDm2mに移動させる伸縮動作が伸縮機構TE2により行われた場合でも方向Dm2に移動しない。
【0056】
旋回機構RE1を駆動するモータMOa3は、接続部分TE23の内部に取り付けられ、接続部分TE23の2つの端部のうちの支持部分LK21に近い端部に固定される。従って、モータMOa3は、伸縮機構TE2により伸縮動作が行われた場合、接続部分TE23と一緒に方向Dm2p又はDm2mに移動する。
【0057】
旋回機構RE1は、例えば、リンクLK2の支持部分LK21の2つの端部のうちの接続部分TE23に近い端部に取り付けられる。例えば、旋回機構RE1は、伝達軸RE11及び連結部RE12を有する。連結部RE12は、例えば、支持部分LK21と一体に構成される。なお、支持部分LK21及び連結部RE12は、1つの部材により一体に構成されてもよいし、互いに異なる部材により一体に構成されてもよい。
【0058】
伝達軸RE11は、モータMOa3の回転が伝達されるように、モータMOa3に取り付けられる。さらに、伝達軸RE11は、連結部RE12を介して支持部分LK21と連結している。これにより、例えば、モータMOa3が回転した場合、伝達軸RE11及び連結部RE12を介して、支持部分LK21にモータMOa3の回転が伝達される。この結果、支持部分LK21は、軸Ax3を回転軸として回転する。
【0059】
このように、本実施形態では、関節機構AR3(より詳細には、旋回機構RE1)は、リンクLK2をリンクLK1及び接続部分TE23に対して回転させることにより、リンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。
【0060】
なお、本実施形態では、上述したように、支持部分LK21は、モータMOa3が取り付けられた接続部分TE23に対して回転可能である。このため、モータMOa3は、軸Ax3を回転軸として支持部分LK21を回転させる回転動作が関節機構AR3により行われた場合でも、軸Ax3を回転軸として回転することはない。従って、本実施形態では、支持部分LK21が軸Ax3を回転軸として回転した場合でも、モータMOa3自体の回転に伴う外乱が発生することを抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上述したように、モータMOa3は、伸縮機構TE2により伸縮動作が行われた場合に接続部分TE23と一緒に方向Dm2に沿って移動するように、接続部分TE23の2つの端部のうちの支持部分LK21に近い端部に固定される。例えば、モータMOa3の出力位置とモータMOa3の回転に応じて回転する支持部分LK21との軸Ax3に沿う距離が長い場合、モータMOa3の出力位置と支持部分LK21との軸Ax3に沿う距離が短い場合に比べて、回転に伴う外乱が大きくなる。本実施形態では、接続部分TE23の2つの端部のうちの支持部分LK21に近い端部にモータMOa3が固定されるため、回転に伴う外乱の発生を抑制することができ、関節機構AR3による回転動作及び伸縮動作を精度よく制御することができる。
【0062】
また、本実施形態では、リンクLK1に対するリンクLK2の移動は、リンクLK1に対して接続部分TE23が軸Axte2に沿って移動することにより実現され、リンクLK2の回転は、支持部分LK21が軸Ax3を回転軸として回転することにより実現される。このように、本実施形態では、リンクLK2の移動及び回転を行う際の制御対象が接続部分TE23と支持部分LK21とに分離されているため、リンクLK2を動かすためのモータMOt2及びMOa3の制御が複雑になることを抑制することができる。
【0063】
なお、関節機構AR3の構成は、
図2に示す例に限定されない。例えば、関節機構AR3が最大限に収縮した場合に、接続部分TE23の一部が可動部分LK13の内部に格納されずに、可動部分LK13から露出していてもよい。また、伸縮機構TE2は、関節機構AR3を伸縮できれば、
図2に示す構成に限定されない。
【0064】
次に、
図3を参照しながら、伸縮機構TE1を含むリンクLK1の一例について説明する。
【0065】
図3は、伸縮機構TE1を含むリンクLK1の一例を説明するための説明図である。
図3の上段は、収縮している状態のリンクLK1を示し、
図3の下段は、伸長している状態のリンクLK1を示している。また、
図3では、
図2と同様に、説明を分かり易くするために、リンクLK1の伸縮方向を示す方向Dm1を、符号の末尾に“p”又は“m”を付して、区別して図示している。方向Dm1mは、リンクLK1が収縮する方向を示し、方向Dm1pは、方向Dm1mの反対方向であり、リンクLK1が伸長する方向を示す。
【0066】
リンクLK1は、
図1において説明したように、支持部分LK11と、可動部分LK12及びLK13と、伸縮機構TE1と、モータMOt1とを含む。支持部分LK11は、中空である。支持部分LK11の内部には、伸縮機構TE1が設けられる。
【0067】
伸縮機構TE1は、例えば、可動部分LK12の2つの端部のうちの可動部分LK13から遠い端部に固定されたナットTE11と、方向De11に沿って延在し、ナットTE11に挿通されるボールねじTE12とを含む。ボールねじTE12は、伸縮機構TE1を駆動するモータMOt1に取り付けられている。そして、ボールねじTE12は、モータMOt1の回転に伴い、軸Axte1を回転軸として回転する。軸Axte1は、例えば、ボールねじTE12の中心軸である。
【0068】
ここで、可動部分LK12は、ボールねじTE12が回転した場合でも、軸Axte1を回転軸として回転しないように、支持部分LK11に接続される。これにより、可動部分LK12に固定されたナットTE11は、ボールねじTE12の回転に伴い、軸Axte1に沿って移動する。また、ナットTE11が可動部分LK12に固定されているため、可動部分LK12は、ナットTE11の移動に伴い、軸Axte1(すなわち、方向De11)に沿って移動する。このように、ボールねじTE12は、可動部分LK12を移動可能に支持する。なお、可動部分LK12は、ボールねじTE12を格納可能に構成される。
【0069】
モータMOt1の回転方向を切り替えることにより、ナットTE11の移動方向、すなわち、可動部分LK12の移動方向が、方向Dm1pと方向Dm1mとの間で切り替わる。例えば、モータMOt1の回転が第1の回転方向の回転である場合、ナットTE11は、方向Dm1pに移動し、モータMOt1の回転が第1の回転方向の回転に対して逆回転となる第2の回転方向の回転である場合、ナットTE11は、方向Dm1mに移動する。
【0070】
例えば、可動部分LK12が支持部分LK11の内部に格納された状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt1を第1の回転方向に回転させた場合、ナットTE11の移動に伴い、可動部分LK12は、支持部分LK11から徐々に突出する。これにより、リンクLK1は、方向Dm1pに伸長する。
図3に示す例では、リンクLK1は、最大で、可動部分LK12の長さとほぼ同じ長さだけ伸長する。また、可動部分LK12が支持部分LK11から突出している状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt1を第2の回転方向に回転させた場合、ナットTE11の移動に伴い、可動部分LK12は、支持部分LK11の内部に徐々に格納される。これにより、リンクLK1は、方向Dm1mに収縮する。このように、リンクLK1が収縮した場合、可動部分LK12の少なくとも一部が支持部分LK11の内部に格納される。
【0071】
なお、リンクLK1の構成は、
図3に示す例に限定されない。例えば、リンクLK1が収縮した場合に、可動部分LK12の少なくとも一部は、可動部分LK13に格納されてもよい。あるいは、リンクLK1が収縮した場合、可動部分LK12の一部が支持部分LK11に格納され、可動部分LK12の他の一部が可動部分LK13に格納されてもよい。また、例えば、リンクLK1が最大限に収縮した場合に、可動部分LK12の一部が支持部分LK11の内部に格納されずに、支持部分LK11から露出していてもよい。また、可動部分LK12は、可動部分LK13と一体に構成されてもよい。また、支持部分LK11と可動部分LK12とが一体に構成され、一体に構成された支持部分LK11及び可動部分LK12に対して可動部分LK13を相対的に移動させる伸縮機構が伸縮機構TE1としてリンクLK1に設けられてもよい。
【0072】
また、例えば、可動部分LK12は、モータMOt1、ナットTE11及びボールねじTE12の構造を工夫することにより、支持部分LK11の外周を覆うように構成されてもよい。この構成では、リンクLK1が収縮した場合、支持部分LK11の少なくとも一部が、可動部分LK12に格納されてもよい。また、伸縮機構TE1は、リンクLK1を伸縮できれば、
図3に示す構成に限定されない。
【0073】
次に、
図4を参照しながら、ロボット10の利点について説明する。
【0074】
図4は、
図1に示したロボット10の利点を説明するための説明図である。
【0075】
なお、
図4では、説明の便宜上、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を有する3軸の直交座標系を導入する。以下では、X軸の矢印の指す方向は+X方向と称され、+X方向の反対方向は-X方向と称される。Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の反対方向は-Y方向と称される。また、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の反対方向は-Z方向と称される。以下では、+Y方向及び-Y方向を特に区別することなく、Y方向と称し、+X方向及び-X方向を、特に区別することなく、X方向と称する場合がある。また、+Z方向及び-Z方向を、特に区別することなく、Z方向と称する場合がある。
【0076】
図4では、作業台WBにX方向に沿って配置されたパレットPL1及びPL2のうちのパレットPL1に配置された物品GDをパレットPL2に移動する作業を例にして、ロボット10の利点を説明する。先ず、ロボット10と対比される垂直6軸多関節ロボット(以下、対比例の垂直6軸多関節ロボットとも称する)について説明する。対比例の垂直6軸多関節ロボットは、ロボット10から伸縮機構TE1及びTE2が省かれたロボットである。
【0077】
対比例の垂直6軸多関節ロボットでは、パレットPL1に配置されている物品GDを、物品GDの姿勢を維持した状態でX方向に水平移動させ、パレットPL2に再配置する作業を行う場合、6軸の全てを駆動させる必要がある。同様に、軸Ax2及びAx3に垂直な面(
図4では、Y-Z平面)に平行な方向以外の方向に物品GDを移動させる場合においても、対比例の垂直6軸多関節ロボットでは、6軸の全てを駆動させる必要がある。但し、対比例の垂直6軸多関節ロボットにおいても、物品GDをZ方向から把持している場合等では、例外的に、4軸又は5軸の駆動により、物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDをX方向等に移動可能な場合もある。
【0078】
垂直6軸多関節ロボットに所定の作業を行わせる際に駆動させる軸の数が多い場合、駆動させる軸の数が少ない場合に比べて、複数の関節機構ARの制御が複雑になる。また、垂直6軸多関節ロボットに所定の作業を行わせる際に駆動させる軸の数が多い場合、駆動させる軸の数が少ない場合に比べて、ロボットを制御できなくなる姿勢である特異点に近づくリスクが増加するため、ロボットの動作(例えば、動作範囲)が制約される。また、特異点に近づくリスクが高い場合、特異点に近づくリスクが低い場合に比べて、ロボットに動作を教示するティーチングの作業負荷が増加する。特に、X-Y平面に対する軸Ax4及びAx6の傾きが小さい状態で物品GDを把持した場合、X-Y平面に対する軸Ax4及びAx6の傾きが大きい状態で物品GDを把持した場合に比べて、特異点による動作の制約が大きくなる。
【0079】
このように、対比例の垂直6軸多関節ロボットでは、物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDをX方向に水平移動させる単純な作業を行う場合でも、6軸の全てを駆動させる必要があるため、複数の関節機構ARの制御が複雑になる。
【0080】
なお、直交座標型ロボットでは、X方向、Y方向及びZ方向の各々の方向への移動は、X方向、Y方向及びZ方向に対応して設けられた3つのモータのうちの1つを駆動することにより、実現される。このため、直交座標型ロボットでは、対比例の垂直6軸多関節ロボットに比べて、物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDをX方向に水平移動させる単純な動作の制御を簡易にすることができる。但し、直交座標型ロボットでは、垂直6軸多関節ロボットに比べて、ロボットの設置面積が大きくなる傾向がある。また、直交座標型ロボットでは、垂直6軸多関節ロボットに比べて、複雑な作業を行うことが困難である。
【0081】
本実施形態では、垂直6軸多関節ロボットに伸縮機構TE2が設けられているため、垂直6軸多関節ロボットの利点(複雑な作業を実行可能、及び、小型化等)を残しつつ、単純な作業を行う場合のロボット10の制御が複雑になることを抑制することができる。
【0082】
例えば、本実施形態では、物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDをX方向に水平移動させる動作をロボット10に行わせる場合、ロボットコントローラ30は、複数のモータのうち、伸縮機構TE2を駆動するモータMOt2のみを制御すればよい。このため、本実施形態では、ロボット10を精度よく高速に制御することができる。具体的には、ロボット10は、軸Ax3に沿う方向Dm2(関節機構AR3が伸縮する方向Dm2)がX方向と平行となる状態で、パレットPL1に配置されている物品GDを把持する。そして、ロボット10は、伸縮機構TE2により、関節機構AR3を方向Dm2pに伸長する。この結果、
図4の破線で示すように、ロボット10のリンクLK2からエンドエフェクタ20までの部分が方向Dm2p(すなわち、X方向)に水平移動する。これにより、エンドエフェクタ20に把持された物品GDは、物品GDの姿勢を維持した状態でパレットPL1からパレットPL2まで移動する。
【0083】
このように、ロボット10は、伸縮機構TE2により、物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDをX方向に水平移動させる動作を精度よく高速に実行することができる。また、本実施形態では、軸Ax2及びAx3に垂直な面に平行な方向以外の方向に物品GDを移動させる場合においても、対比例の垂直6軸多関節ロボットに比べて、少ない軸Axの駆動により、物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDを移動させることができる。この結果、本実施形態では、関節機構ARの制御が複雑になることを抑制することができる。
【0084】
また、伸縮機構TE2により、ロボット10のリンクLK2からエンドエフェクタ20までの部分が方向Dm2に移動する場合、複数の関節機構ARによる回転動作が行われないため、エンドエフェクタ20は、X-Y平面上でのみ移動し、Z方向に移動しない。従って、本実施形態では、エンドエフェクタ20の動作を制御するために、複数の関節機構ARの各々の回転動作の回転量等をエンドエフェクタ20の位置から計算する逆軌道計算等を行う場合、X方向の移動量を算出するだけでよい。このため、本実施形態では、エンドエフェクタ20をX方向に水平移動させるための逆軌道計算等を行う場合の演算の負荷を低減することができ、演算を高速に実行することができる。
【0085】
また、本実施形態では、関節機構AR3を伸縮させることにより、関節機構AR3を伸縮させる前ではロボット10の特異点に対応する領域でも作業をすることができる。また、本実施形態では、関節機構AR3を伸長させることにより、ロボット10の特異点を回避しつつ、ロボット10の先端部が到達可能な領域を広くすることができる。例えば、ロボット10を人と協働して動作させる場合、ロボット10を設置するスペースの制約が多いことが想定される。この場合、特異点等による動作範囲の制約は、極力少ないことが求められる。本実施形態では、ロボット10の特異点を回避しつつ、ロボット10の先端部が到達可能な領域を広くすることができるため、ロボット10を設置するスペースの制約が多い場合でも、ロボット10を安全に動作させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、関節機構AR3よりも、-Z方向に障害物BLが存在する場合でも、ロボット10は、伸縮機構TE2により、ロボット10のリンクLK2からエンドエフェクタ20までの部分を方向Dm2(すなわち、X方向)に移動させることができる。このように、本実施形態では、関節機構AR3よりも-Z方向に障害物BLが存在するような場所でも、ロボット10を設置し、物品GDのX方向への移動等の単純な作業をロボット10に行わせることができる。
【0087】
さらに、本実施形態では、伸縮機構TE1により、リンクLK1が長手方向(方向Dm1)に伸縮するため、リンクLK1が伸縮しない形態に比べて、ロボット10の先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くすることができる。なお、リンクLK1を伸縮可能とせずに、リンクLK1を単純に長くした態様では、ロボット自体が大型化する。本実施形態では、リンクLK1が伸縮するため、ロボット10の全体が大きくなることを抑制することができる。すなわち、本実施形態では、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、ロボット10の先端部が到達可能な領域をリンクLK1が伸縮しない形態に比べて広くすることができる。これにより、本実施形態では、ロボット10は、リンクLK1が伸縮しない形態では届かない高い位置に配置された物品GDに対して作業することが可能となる。例えば、本実施形態では、ロボット10は、伸縮機構TE1により関節機構AR3を高い位置に移動させることにより、作業台WBの高い位置で、かつ作業台WBの奥に配置された物品GDに対する作業を容易に行うことができる。
【0088】
なお、伸縮機構TE1による伸縮動作(リンクLK1を長手方向に伸縮する伸縮動作)では、ロボット10の特異点を回避することはできない。同様に、リンクLK2を長手方向に伸縮する伸縮機構が設けられた態様においても、リンクLK2を長手方向に伸縮することにより、ロボット10の先端部が到達可能な領域を広くすることはできるが、ロボット10の特異点を回避することはできない。本実施形態では、上述したように、関節機構AR3を軸Ax3に沿う方向Dm2に伸縮させることにより、ロボット10の特異点を回避することができる。
【0089】
次に、
図5を参照しながら、ロボットコントローラ30のハードウェア構成について説明する。
【0090】
図5は、
図1に示したロボットコントローラ30のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0091】
ロボットコントローラ30は、ロボットコントローラ30の各部を制御する処理装置32と、各種情報を記憶するメモリ33と、通信装置34と、作業者等による操作を受け付ける操作装置35と、表示装置36と、ドライバ回路37とを有する。
【0092】
メモリ33は、例えば、処理装置32の作業領域として機能するRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと、制御プログラムPGr等の各種情報を記憶するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリとの、一方又は両方を含む。なお、メモリ33は、ロボットコントローラ30に着脱可能であってもよい。具体的には、メモリ33は、ロボットコントローラ30に着脱されるメモリカード等の記憶媒体であってもよい。また、メモリ33は、例えば、ロボットコントローラ30とネットワーク等を介して通信可能に接続された記憶装置(例えば、オンラインストレージ)であってもよい。
【0093】
図5に示すメモリ33は、制御プログラムPGrを記憶している。本実施形態では、制御プログラムPGrは、例えば、ロボットコントローラ30がロボット10の動作を制御するためのアプリケーションプログラムを含む。但し、制御プログラムPGrは、例えば、処理装置32がロボットコントローラ30の各部を制御するためのオペレーティングロボットシステムプログラムを含んでもよい。
【0094】
処理装置32は、ロボットコントローラ30の全体を制御するプロセッサであり、例えば、1又は複数のCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。処理装置32は、例えば、メモリ33に記憶された制御プログラムPGrを実行し、制御プログラムPGrに従って動作することで、ロボット10の動作を制御する。なお、制御プログラムPGrは、ネットワーク等を介して他の装置から送信されてもよい。
【0095】
また、例えば、処理装置32が複数のCPUを含んで構成される場合、処理装置32の機能の一部又は全部は、これら複数のCPUが制御プログラムPGr等のプログラムに従って協働して動作することで実現されてもよい。また、処理装置32は、1又は複数のCPUに加え、又は、1又は複数のCPUのうち一部又は全部に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、又は、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを含んで構成されるものであってもよい。この場合、処理装置32の機能の一部又は全部は、DSP等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0096】
通信装置34は、ロボットコントローラ30の外部に存在する外部装置と通信を行うためのハードウェアである。例えば、通信装置34は、近距離無線通信によって外部装置と通信する機能を有する。なお、通信装置34は、移動体通信網又はネットワークを介して外部装置と通信する機能をさらに有してもよい。
【0097】
操作装置35は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、スイッチ、ボタン及びセンサ等)である。例えば、操作装置35は、作業者の操作を受け付け、操作に応じた操作情報を処理装置32に出力する。なお、例えば、表示装置36の表示面に対する接触を検出するタッチパネルが、操作装置35として採用されてもよい。
【0098】
表示装置36は、外部への出力を実施するディスプレイ等の出力デバイスである。表示装置36は、例えば、処理装置32による制御のもとで、画像を表示する。なお、操作装置35及び表示装置36は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0099】
ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、ロボット10を駆動するための信号をロボット10に出力するハードウェアである。例えば、ドライバ回路37は、処理装置32による制御のもとで、モータMOa1、MOa2、MOa2、MOa4、MOa5、MOa6、MOt1及びMOt2等を駆動する信号をロボット10に出力する。なお、モータMOa1、MOa2、MOa2、MOa4、MOa5及びMOa6は、関節機構AR1、AR2、AR3、AR4、AR5及びAR6をそれぞれ駆動するモータである。また、モータMOt1及びMOt2は、伸縮機構TE1及びTE2をそれぞれ駆動するモータである。
【0100】
このように、ロボットコントローラ30は、モータMOa1、MOa2、MOa2、MOa4、MOa5、MOa6、MOt1及びMOt2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。
【0101】
以上、本実施形態では、ロボット10は、ボディ部BDPと、リンクLK3と、ボディ部BDPとリンクLK3を接続する複数のリンクLK1及びLK2と、関節機構AR3とを有する。関節機構AR3は、リンクLK1とリンクLK2を接続し、リンクLK1が延在する方向De1とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax3を回転軸としてリンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。また、関節機構AR3は、軸Ax3(回転軸)に沿って、リンクLK2をリンクLK1に対して相対的に移動させる伸縮機構TE2を含む。
【0102】
このように、本実施形態では、伸縮機構TE2により、関節機構AR3が軸Ax3に沿って伸縮する。このため、本実施形態では、ロボット10のリンクLK2からロボット10の先端部(例えば、リンクLK3)までの部分を軸Ax3に沿う方向Dm2に簡易に移動させることができる。これにより、本実施形態では、例えば、ロボット10のリンクLK3に取り付けられたエンドエフェクタ20に把持された物品GDの姿勢を維持した状態で物品GDをX方向に水平移動させる動作を、伸縮機構TE2により、精度よく高速に実行することができる。このように、本実施形態では、ロボット10が単純な動作を行う場合の関節機構ARの制御が複雑になることを抑制することができる。すなわち、本実施形態では、単純な動作を行う場合のロボット10の制御を簡易にすることできる。
【0103】
また、本実施形態では、伸縮機構TE2は、リンクLK1とリンクLK2とを接続する接続部分TE23を含む。接続部分TE23の少なくとも一部は、軸Ax3(回転軸)に沿う方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最小になる場合、リンクLK1の内部に格納される。また、接続部分TE23の少なくとも一部は、方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最大になる場合、リンクLK1及びLK2から露出する。これにより、本実施形態では、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、関節機構AR3を伸縮させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、関節機構AR3は、リンクLK2をリンクLK1及び接続部分TE23に対して回転させることにより、リンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。これにより、本実施形態では、例えば、リンクLK2を回転させるためのモータMOa3(関節機構AR3を駆動するモータMOa3)の出力位置とリンクLK2との軸Ax3に沿う距離が短くなるように、モータMOa3を配置することができる。この場合、モータMOa3の出力位置とリンクLK2との軸Ax3に沿う距離が長い場合に比べて、リンクLK2の回転に伴う外乱の発生を抑制することができ、関節機構AR3による回転動作及び伸縮動作を精度よく制御することができる。
【0105】
また、本実施形態では、リンクLK1は、支持部分LK11と、リンクLK2に接続される可動部分LK13と、支持部分LK11と可動部分LK13を接続する可動部分LK12と、伸縮機構TE1とを含む。伸縮機構TE1は、支持部分LK11に対して可動部分LK12を支持部分LK11が延在する方向De11に沿って移動させることにより、リンクLK1を伸縮させる。
【0106】
このように、本実施形態では、伸縮機構TE1により、リンクLK1が伸縮する。このため、本実施形態では、ロボット10の全体が大きくなることを抑制しつつ、ロボット10の先端部が到達可能な領域をリンクLK1が伸縮しない形態に比べて広くすることができる。これにより、本実施形態では、例えば、ロボット10は、リンクLK1が伸縮しない形態では届かない高い位置に配置された物品GDに対して作業する事が可能となる。また、本実施形態では、ロボット10は、伸縮機構TE1により関節機構AR3を高い位置に移動させることにより、作業台WBの高い位置で、かつ作業台WBの奥に配置された物品GDに対する作業を容易に行うことができる。
【0107】
また、本実施形態では、支持部分LK11は、中空である。リンクLK1が収縮した場合、可動部分LK12の少なくとも一部が、支持部分LK11の内部に格納される。これにより、本実施形態では、リンクLK1の伸縮を簡易な構成で実現することができる。
【0108】
また、本実施形態では、ロボット10は、関節機構AR1、AR2、AR4、AR5及びAR5をさらに有する。また、リンクLK2は、支持部分LK21及び可動部分LK22を含む。関節機構AR1は、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax1を第1回転軸として、ボディ部BDPの少なくとも一部分を回転させる。関節機構AR2は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続し、ボディ部BDPの底面BDPbtに垂直な方向Dv1とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax2を第2回転軸としてリンクLK1をボディ部BDPに対して回転させる。関節機構AR4は、支持部分LK21が延在する方向De21とのなす角度が所定の角度以下の軸Ax4を第4回転軸として、可動部分LK22を支持部分LK21に対して回転させる。関節機構AR5は、可動部分LK22とリンクLK3を接続し、リンクLK2が延在する方向De2とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax5を第5回転軸としてリンクLK3をリンクLK2に対して回転させる。関節機構AR6は、第5回転軸(軸Ax5)とのなす角度が所定の角度より大きい軸Ax6を第6回転軸として、リンクLK3の少なくとも一部分をリンクLK2リンクに対して回転させる。このように、本実施形態に係る発明は、垂直6軸多関節ロボットに適用されてもよい。
【0109】
また、本実施形態では、リンクLK1は、ボディ部BDPに接続される支持部分LK11と、リンクLK2に接続される可動部分LK13と、支持部分LK11と可動部分LK13を接続する可動部分LK12と、伸縮機構TE1とを含む。伸縮機構TE1は、支持部分LK11に対して可動部分LK12を支持部分LK11が延在する方向De11に沿って移動させることにより、リンクLK1を伸縮させる。このように、本実施形態では、垂直6軸多関節ロボットに伸縮機構TE1を追加することにより、先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くしたロボット10を簡易に構成することができる。
【0110】
また、本実施形態では、ロボットコントローラ30は、関節機構AR1を駆動するモータMOa1、関節機構AR2を駆動するモータMOa2、関節機構AR3を駆動するモータMOa3、関節機構AR4を駆動するモータMOa4、関節機構AR5を駆動するモータMOa5、関節機構AR6を駆動するモータMOa6、伸縮機構TE1を駆動するモータMOt1、及び、伸縮機構TE2を駆動するモータMOt2を制御することにより、ロボット10の動作を制御する。このように、本実施形態では、ロボットコントローラ30により、ロボット10の動作を容易に制御することができる。
【0111】
また、本実施形態では、ロボットシステム1は、ロボット10と、リンクLK3に取り付けられたエンドエフェクタ20と、ロボット10及びエンドエフェクタ20の動作を制御するロボットコントローラ30とを有する。このように、本実施形態では、単純な動作を行う場合のロボット10の制御が簡易であり、全体の大きさが大きくなることを抑制しつつ、先端部(例えば、リンクLK3)が到達可能な領域を広くしたロボット10がロボットシステム1に用いられる。このため、本実施形態では、狭い場所においても、複雑な作業及び単純な作業を効率よく行うことができる。例えば、部品を組み付ける、又は、部品を取り除くことを含む物品の製造方法にロボットシステム1が用いられてもよい。この場合、部品を組み付ける、又は、部品を取り除く作業を効率よく実行することができる。
【0112】
[2.変形例]
本発明は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様を併合してもよい。
【0113】
[第1変形例]
上述した実施形態では、モータMOa3が接続部分TE23の内部に設けられる場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、モータMOa3は、接続部分TE23の外部に設けられてもよい。
【0114】
図6は、第1変形例に係る関節機構AR3の一例を説明するための説明図である。
図1から
図5において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図6では、上述した実施形態との対比を分かり易くするために、関節機構AR3、支持部分LK21、可動部分LK13、旋回機構RE1、伸縮機構TE2及び接続部分TE23の符号の末尾に、小文字のアルファベット“a”を付している。例えば、ロボット10は、
図1に示した関節機構AR3の代わりに関節機構AR3aを有する。
図6の上段は、収縮している状態の関節機構AR3aを示し、
図6の下段は、伸長している状態の関節機構AR3aを示している。関節機構AR3aは、「第3駆動機構」及び「駆動機構」の他の例であり、伸縮機構TE2aは、「第1伸縮機構」の他の例である。なお、以下では、関節機構AR3a等は、符号の末尾のアルファベット“a”を付さずに称される(例えば、関節機構AR3)場合がある。
【0115】
関節機構AR3aは、モータMOa3が接続部分TE23aの外部に設けられ、支持部分LK21aが接続部分TE23aと一体的に回転することを除いて、
図2に示した関節機構AR3と同様である。例えば、関節機構AR3aは、
図2に示した旋回機構RE1及び伸縮機構TE2の代わりに、旋回機構RE1a及び伸縮機構TE2aを有する。
【0116】
伸縮機構TE2aは、
図2に示した接続部分TE23の代わりに接続部分TE23aを有することを除いて、
図2に示した伸縮機構TE2と同様である。接続部分TE23aは、内部にモータMOa3が配置されないこと、及び、外周に複数の溝が設けられていることを除いて、
図2に示した接続部分TE23と同様である。例えば、接続部分TE23aの外周には、接続部分TE23aを後述する旋回機構RE1aのギアRE13と噛み合う歯車として動作させるための複数の溝が設けられている。また、接続部分TE23aは、軸Axte2(すなわち、方向Dm2)に沿って移動可能に可動部分LK13aに接続され、支持部分LK21aと一緒に回転するように支持部分LK21aに接続される。
【0117】
旋回機構RE1aを駆動するモータMOa3は、可動部分LK13aの内部で、接続部分TE23aの外部に配置され、可動部分LK13aに固定される。すなわち、モータMOa3は、接続部分TE23aが移動しても移動しない可動部分LK13aに取り付けられる。
【0118】
旋回機構RE1aは、
図2に示した連結部RE12の代わりにギアRE13を有することを除いて、
図2に示した旋回機構RE1と同様である。例えば、旋回機構RE1aは、モータMOa3の回転が伝達されるようにモータMOa3に取り付けられた伝達軸RE11と、伝達軸RE11と一緒に回転するように伝達軸RE11に取り付けられたギアRE13とを有する。例えば、ギアRE13は、方向Dm2からの平面視において、ギアRE13の中心に伝達軸RE11が位置するように、伝達軸RE11に取り付けられる。
【0119】
また、上述した接続部分TE23aの外周に設けられた複数の溝の各々は、接続部分TE23aの長手方向(方向Dm2)に延在している。これにより、例えば、接続部分TE23aが可動部分LK13aに対して移動し、接続部分TE23aに対するギアRE13の相対的な位置が変化した場合においても、接続部分TE23aは、ギアRE13と噛み合う。すなわち、関節機構AR3aが方向Dm2に沿って伸縮する場合に、接続部分TE23aがどの位置で停止しても、ギアRE13は、接続部分TE23aと噛み合った状態を維持することができる。
【0120】
これにより、例えば、モータMOa3が回転した場合、モータMOa3の回転が伝達される伝達軸RE11の回転に伴い、ギアRE13が回転し、ギアRE13の回転に伴い、ギアRE13と噛み合う接続部分TE23aが回転する。このように、モータMOa3が回転した場合、伝達軸RE11及びギアRE13を介して、接続部分TE23aにモータMOa3の回転が伝達される。この結果、接続部分TE23aは、軸Ax3を回転軸として回転する。なお、本変形例では、接続部分TE23aの中心軸が軸Ax3に該当する。また、支持部分LK21aは、接続部分TE23aと一緒に回転するように接続部分TE23aと連結されているため、接続部分TE23aと一体的に回転する。本変形例では、接続部分TE23aと支持部分LK21aとは、常に一体的に駆動するため、一つの部材であってもよい。
【0121】
なお、本変形例では、例えば、ボールねじTE22は、旋回機構RE1aにより接続部分TE23aが回転した場合にナットTE21と一緒にモータMOt2に対して空転するように、モータMOt2に取り付けられる。
【0122】
また、本変形例では、モータMOa3は、可動部分LK13aに取り付けられているため、接続部分TE23a及び支持部分LK21aが回転した場合でも、軸Ax3を回転軸として回転することはない。従って、本変形例においても、支持部分LK21aが軸Ax3を回転軸として回転した場合でも、モータMOa3自体の回転に伴う外乱が発生することを抑制することができる。
【0123】
また、本変形例では、接続部分TE23aの2つの端部のうちの支持部分LK21aに近い端部が伸縮機構TE2aにより可動部分LK13aから遠ざかるように移動しても、モータMOa3は、可動部分LK13aに固定されているため、移動しない。これにより、本変形例では、伸縮機構TE2aにより移動する部材の重量をモータMOa3及びモータMOa3の連結機構の分だけ軽くすることができる。この結果、本変形例では、関節機構AR3aによる回転動作及び伸縮動作を精度よく制御することができる。
【0124】
以上、本変形例では、関節機構AR3aは、リンクLK2及び接続部分TE23aをリンクLK1に対して一体的に回転させることにより、リンクLK2をリンクLK1に対して回転させる。本変形例においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0125】
[第2変形例]
上述した実施形態及び変形例では、接続部分TE23の一部がリンクLK1の内部に格納される場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、接続部分TE23の少なくとも一部は、軸Ax3(回転軸)に沿う方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最小になる場合、リンクLK2の内部に格納されてもよい。すなわち、接続部分TE23の少なくとも一部は、軸Ax3(回転軸)に沿う方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最小になる場合、リンクLK1及びLK2の少なくとも一方の内部に格納されてもよい。
【0126】
図7は、第2変形例に係る関節機構AR3の一例を説明するための説明図である。
図1から
図6において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図7においても、
図6と同様に、関節機構AR3、支持部分LK21、可動部分LK13、旋回機構RE1、伸縮機構TE2及び接続部分TE23の符号の末尾に、小文字のアルファベット“a”を付している。
図7の上段は、収縮している状態の関節機構AR3aを示し、
図7の下段は、伸長している状態の関節機構AR3aを示している。
【0127】
図7に示す関節機構AR3aは、モータMOt2が支持部分LK21aに取り付けられていること、及び、接続部分TE23aが軸Axte2に沿って移動可能に支持部分LK21aに接続されていることを除いて、
図6に示した関節機構AR3aと同様である。例えば、本変形例では、接続部分TE23aは、支持部分LK21aに対して軸Axte2(すなわち、方向Dm2)に沿って移動可能で、かつ、支持部分LK21aと一緒に回転するように、支持部分LK21aに接続される。また、ナットTE21は、接続部分TE23aの2つの端部のうちの支持部分LK21aに近い端部に固定される。
【0128】
ボールねじTE22が回転した場合、ボールねじTE22に対するナットTE21の相対的な位置が変化する。ボールねじTE22に対するナットTE21の相対的な位置が変化することにより、ナットTE21の支持部分LK21aに対する方向Dm2の相対的な位置が変化する。ナットTE21が接続部分TE23aに固定されているため、ナットTE21の支持部分LK21aに対する方向Dm2の相対的な位置が変化した場合、リンクLK2の接続部分TE23aに対する相対的な位置が変化する。
【0129】
例えば、接続部分TE23aの一部が支持部分LK21aの内部に格納された状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt2を第1の回転方向に回転させた場合、ボールねじTE22の回転に伴い、接続部分TE23aは、支持部分LK21aから徐々に露出する。これにより、関節機構AR3aは、方向Dm2pに伸長する。
図7に示す例では、関節機構AR3aは、最大で、方向Dm2における支持部分LK21aの長さとほぼ同じ長さだけ伸長する。
【0130】
なお、接続部分TE23aは、リンクLK1の可動部分LK13aに対する方向Dm2の相対的な位置が変化しないように、かつ、軸Ax3を回転軸として可動部分LK13aに対して回転可能に、可動部分LK13aに取り付けられている。従って、関節機構AR3aが方向Dm2pに伸長することにより、リンクLK2は、リンクLK1から遠ざかるように、方向Dm2pに移動する。
【0131】
また、接続部分TE23aの一部が支持部分LK21aから露出している状態において、ロボットコントローラ30がモータMOt2を第2の回転方向に回転させた場合、ナットTE21の移動に伴い、接続部分TE23aは、支持部分LK21aの内部に徐々に格納される。これにより、関節機構AR3aは、方向Dm2mに収縮する。関節機構AR3aが方向Dm2mに収縮することにより、リンクLK2がリンクLK1に近づくように、方向Dm2mに移動する。
【0132】
このように、接続部分TE23aの少なくとも一部(例えば、
図7の破線で囲んだ部分)は、方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最小になる場合、リンクLK2の内部に格納される。そして、接続部分TE23aの少なくとも一部(例えば、
図7の破線で囲んだ部分)は、方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最大になる場合、リンクLK2から露出する。
【0133】
次に、
図8を参照しながら、第2変形例に係る関節機構AR3の別の例について説明する。
【0134】
図8は、第2変形例に係る関節機構AR3の別の例を説明するための説明図である。
図1から
図7において説明した要素と同様の要素については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図8では、
図7に示した関節機構AR3aとの対比を分かり易くするために、関節機構AR3、旋回機構RE1、ギアRE13、伸縮機構TE2及び接続部分TE23の符号の末尾に、小文字のアルファベット“b”を付している。
図8の上段は、収縮している状態の関節機構AR3bを示し、
図7の下段は、伸長している状態の関節機構AR3bを示している。関節機構AR3bは、「第3駆動機構」及び「駆動機構」の他の例であり、伸縮機構TE2bは、「第1伸縮機構」の他の例である。なお、以下では、関節機構AR3b等は、符号の末尾のアルファベット“b”を付さずに称される(例えば、関節機構AR3)場合がある。
【0135】
関節機構AR3bは、伝達軸RE11の中心軸がボールねじTE22の中心軸(すなわち、軸Axte2)と一致するように、モータMOa3が可動部分LK13aに取り付けられていることを除いて、
図7に示した関節機構AR3aと同様である。例えば、旋回機構RE1bを駆動するモータMOa3は、軸Ax3に沿う方向からの平面視において、モータMOa3に取り付けられる伝達軸RE11の中心軸が軸Ax3となるように接続部分TE23bの外部に配置され、可動部分LK13aの内部に固定される。従って、関節機構AR3bにおいても、
図6等に示した関節機構AR3aと同様に、モータMOa3は、接続部分TE23bが移動しても移動しない。
【0136】
また、関節機構AR3bにおいても、接続部分TE23bは、
図7に示した接続部分TE23aと同様に、支持部分LK21a及び可動部分LK13aに接続される。例えば、接続部分TE23bは、支持部分LK21aに対して軸Axte2(すなわち、方向Dm2)に沿って移動可能で、かつ、支持部分LK21aと一緒に回転するように、支持部分LK21aに接続される。また、接続部分TE23bは、リンクLK1の可動部分LK13aに対する方向Dm2の相対的な位置が変化しないように、かつ、軸Ax3を回転軸として可動部分LK13aに対して回転可能に、可動部分LK13aに接続される。
【0137】
旋回機構RE1bは、モータMOa3の回転が伝達される伝達軸RE11と、伝達軸RE11に取り付けられたギアRE13bとを有する。伝達軸RE11は、モータMOa3に取り付けられている。ギアRE13bは、接続部分TE23bの内部に配置され、接続部分TE23bの2つの端部のうちの可動部分LK13aに近い端部に取り付けられている。従って、関節機構AR3bでは、伝達軸RE11は、ギアRE13bを介して接続部分TE23bと連結している。
【0138】
これにより、例えば、モータMOa3が回転した場合、伝達軸RE11及びギアRE13bを介して、接続部分TE23bにモータMOa3の回転が伝達される。この結果、接続部分TE23bは、軸Ax3を回転軸として回転する。そして、リンクLK2は、接続部分TE23bの回転に伴い、接続部分TE23bと一緒に回転する。
【0139】
以上、本変形例では、伸縮機構TE2(TE2a又はTE2b)は、リンクLK1とリンクLK2とを接続する接続部分TE23(TE23a又はTE23b)を含む。接続部分TE23の少なくとも一部は、軸Ax3(回転軸)に沿う方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最小になる場合、リンクLK2の内部に格納される。また、接続部分TE23の少なくとも一部は、方向Dm2におけるリンクLK1とリンクLK2との距離が最大になる場合、リンクLK1及びLK2から露出する。本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0140】
[第3変形例]
上述した実施形態及び変形例では、関節機構AR3が伸縮機構TE2を含む場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、伸縮機構TE2は、関節機構AR2に設けられてもよいし、関節機構AR5に設けられてもよい。すなわち、関節機構AR2が、第2回転軸(軸Ax2)に沿って、リンクLK1をボディ部BDPに対して相対的に移動させる伸縮機構(第1伸縮機構の一例)を含んでもよい。あるいは、関節機構AR5が、第5回転軸(軸Ax5)に沿って、リンクLK3をリンクLK2に対して相対的に移動させる伸縮機構(第1伸縮機構の一例)を含んでもよい。
【0141】
関節機構AR2が伸縮機構を含む場合、当該伸縮機構は、例えば、主に、
図2のリンクLK1をボディ部BDPと読み替え、
図2のリンクLK2をリンクLK1と読み替え、
図2の軸Ax3を軸Ax2と読み替えることにより、
図2で説明される。また、関節機構AR5が伸縮機構を含む場合、当該伸縮機構は、例えば、主に、
図2のリンクLK1をリンクLK2と読み替え、
図2のリンクLK2をリンクLK3と読み替え、
図2の軸Ax3を軸Ax5と読み替えることにより、
図2で説明される。
【0142】
以上、本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。但し、関節機構AR2が伸縮機構を含む態様では、当該伸縮機構により、リンクLK1からリンクLK3までの部材が全て移動するため、上述した実施形態及び変形例に比べて、移動する部材の重量及び体積が増加する。このため、関節機構AR2が伸縮機構を含む態様では、上述した実施形態及び変形例に比べて、伸縮機構による伸縮動作等の制御の精度及び高速化に関しての課題、及び、ロボット10を設置するスペースの問題等が生じる懸念が大きくなる。換言すれば、上述した実施形態及び変形例(関節機構AR3が伸縮機構TE2を含む態様)では、伸縮機構TE2による伸縮動作等の制御の精度及び高速化に関しての課題、及び、ロボット10を設置するスペースの問題等が生じる懸念が小さい。
【0143】
また、関節機構AR5が伸縮機構を含む態様では、伸縮機構によりロボット10の先端部周辺(例えば、リンクLK3周辺)の構造が複雑になる。また、関節機構AR5が伸縮機構を含む態様では、上述した実施形態及び変形例に比べて、ロボット10の先端部周辺(例えば、リンクLK3周辺)の重量が増加する。このため、関節機構AR5が伸縮機構を含む態様では、上述した実施形態及び変形例に比べて、伸縮機構による伸縮動作等の制御の精度及び高速化に関しての課題等が生じる懸念が大きくなる。また、関節機構AR5の回転軸(軸Ax5)は、関節機構AR4の回転により、ロボット10の底面BDPbtに平行な面(例えば、
図4のX-Y平面)上から逸脱する。このため、関節機構AR5が伸縮機構を含む態様では、逆軌道計算において、単純な水平方向(
図4の例では、X方向)の移動量で演算できない場合がある。この場合、逆軌道計算等を行う場合の演算の負荷が大きくなる等の懸念が生じる。換言すれば、上述した実施形態及び変形例(関節機構AR3が伸縮機構TE2を含む態様)では、上述の懸念を小さくすることができる。
【0144】
[第4変形例]
上述した実施形態及び変形例では、垂直6軸多関節ロボットに2つの伸縮機構TE1及びTE2を追加した6軸2伸多関節ロボットをロボット10として例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ロボット10は、垂直6軸多関節ロボットに1つの伸縮機構TE2を追加した6軸1伸多関節ロボットであってもよい。
【0145】
また、例えば、ロボット10は、7軸以上の多関節ロボットに2つの伸縮機構TE1及びTE2を追加した構成であってもよいし、7軸以上の多関節ロボットに1つの伸縮機構TE2を追加した構成であってもよい。具体的には、ロボット10は、ボディ部BDPとリンクLK1を接続する1以上のリンクを有してもよい。すなわち、ロボット10は、ボディ部BDPとリンクLK3を接続する3以上のリンク(リンクLK3を除いた3以上のリンク)を有してもよい。なお、ロボット10が有する3以上のリンクには、リンクLK1及びLK2が含まれる。リンクLK3を除いた3以上のリンクは、「複数のリンク」に該当する。
【0146】
また、例えば、伸縮機構TE1は、リンクLK2に設けられてもよい。また、例えば、ロボット10は、リンクLK1を伸縮する伸縮機構TE1と、リンクLK2を長手方向(方向De2)に伸縮する伸縮機構と、関節機構AR3を伸縮する伸縮機構TE2とを有してもよい。
【0147】
以上、本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0148】
[第5変形例]
上述した実施形態及び変形例では、ロボット10がモータMOt2とモータMOa3とを有する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、モータMOt2とモータMOa3とを1つの共通のモータとしてロボット10に設け、当該共通のモータとボールねじTE22及び伝達軸RE11との連結をクラッチ等で切り替えてもよい。以上、本変形例においても、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0149】
[3.応用例]
上述した実施形態及び変形例において説明したロボット10を含むロボットシステム1は、部品を組み付ける、又は、部品を取り除くことを含む物品の製造方法に用いられてもよい。
【0150】
[4.その他]
上述した実施形態において簡単に説明した「旋回」と他の回転との区別について、いくつかの例を挙げて説明する。
【0151】
図9は、旋回の一例を説明するための説明図である。
図9では、長手方向を把握可能な2つのリンクLKi及びLKjの接続を例にして、旋回と他の回転との区別について説明する。
図9の延在方向Deiは、リンクLKiが延在する方向を示し、延在方向Dejは、リンクLKjが延在する方向を示す。また、
図9の関節機構ARiは、リンクLKiとリンクLKjを接続し、軸Axiを回転軸として、リンクLKjをリンクLKiに対して回転させる。
【0152】
図9に示す例では、リンクLKiの延在方向Dei(特定の方向)と軸Axiとのなす角度θが所定の角度より大きい場合、当該軸Axiを回転軸とした回転は、「旋回」に該当する。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θが所定の角度以下の場合、当該軸Axiを回転軸とした回転は、旋回以外の回転(旋回と区別される他の回転)に該当する。
図9に示す「回転」は、旋回以外の回転を示す。また、所定の角度は特に限定されないが、
図9では、所定の角度が45°である場合を想定する。延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、延在方向Deiに対する軸Axiの角度として把握される複数の角度(例えば、互いに交差する2つの直線では4つの角度、又は、平行な2つの直線では0°及び180°)のうち、0°以上90°以下の角度である。
【0153】
第1パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、90°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第1パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第1パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第1パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転(旋回)した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0154】
第2パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、0°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第2パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第2パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、リンクLKiの延在方向Dei及び軸Axiに平行である。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、0°である。なお、第2パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、0°に維持され、常に一定である。
【0155】
第3パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、0°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第3パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第3パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、リンクLKiの延在方向Dei及び軸Axiに垂直である。すなわち、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、90°である。なお、第3パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、90°に維持され、常に一定である。
【0156】
第4パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、10°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第4パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第4パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに平行であり、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、10°である。なお、第4パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、10°に維持され、常に一定である。
【0157】
第5パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、70°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第5パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第5パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第5パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転(旋回)した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0158】
第6パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、10°であり、所定の角度(45°)以下である。従って、第6パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回以外の回転である。また、第6パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに垂直である。なお、第6パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転した場合、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、変化する。
【0159】
第7パターンでは、リンクLKiの延在方向Deiと軸Axiとのなす角度θは、70°であり、所定の角度(45°)よりも大きい。従って、第7パターンでは、軸Axiを回転軸としたリンクLKjの回転は、旋回である。また、第7パターンでは、リンクLKjの延在方向Dejは、軸Axiに平行であり、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、70°である。なお、第7パターンでは、リンクLKjが軸Axiを回転軸として回転しても、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度は、70°に維持され、常に一定である。
【0160】
このように、上述した実施形態及び変形例では、リンクLKiに対するリンクLKjの回転のうち、リンクLKiの延在方向Deiとのなす角度が所定の角度より大きい軸Axiを回転軸とした回転が、旋回とも称される。但し、「旋回」の定義は、上述の例に限定されない。例えば、リンクLKiの延在方向Deiとのなす角度が所定の角度より大きい軸Axiを回転軸とした回転を旋回とする上述の定義を第1定義とした場合、第1定義の代わりに、下記の第2定義又は第3定義が採用されてもよい。
【0161】
第2定義では、リンクLKiに対するリンクLKjの回転により、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度が変化する場合、当該回転が旋回に該当する。従って、第2定義では、リンクLKiの延在方向Deiに対するリンクLKjの延在方向Dejの角度が、回転しても常に一定の場合、当該回転は、旋回以外の回転に該当する。例えば、第2定義では、
図9に示した第1パターン、第5パターン及び第6パターンは、旋回に該当し、第2パターン、第3パターン、第4パターン及び第7パターンは、旋回以外の回転に該当する。
【0162】
第3定義では、回転するリンクLKjの延在方向DejとリンクLKjの回転軸(軸Axi)とのなす角度が所定の角度より大きい場合、当該回転が旋回に該当する。従って、第3定義では、リンクLKjの延在方向DejとリンクLKjの回転軸(軸Axi)とのなす角度が所定の角度以下の場合、当該回転は、旋回以外の回転に該当する。例えば、第3定義では、
図9に示した第1パターン、第3パターン、第5パターン及び第6パターンは、旋回に該当し、第2パターン、第4パターン及び第7パターンは、旋回以外の回転に該当する。
【0163】
また、上述の第1定義、第2定義及び第3定義とは別に、互いに隣接する2つの関節機構ARのそれぞれの回転軸の関係に着目して、2つの関節機構ARによる2つの回転の相対関係を定義してもよい。具体的には、2つの回転軸のなす角度が所定の角度以下である場合(典型的には、平行の場合)、2つの回転を同種の回転とし、2つの回転軸のなす角度が所定の角度よりも大きい場合(典型的には、直交する場合)、2つの回転を異種の回転としてもよい。なお、同種の回転とは、2つの回転とも旋回、又は、2つの回転とも旋回以外の回転であり、異種の回転とは、2つの回転の一方が旋回で他方が旋回以外の回転である。2つの回転の相対関係の定義が用いられる場合、相対関係の起点となる回転は、例えば、上述の第1定義、第2定義及び第3定義のいずれかに基づいて決められてもよい。
図9に示した第1パターンは、第1定義、第2定義及び第3定義のいずれにおいても、旋回に該当し、第2パターンは、第1定義、第2定義及び第3定義のいずれにおいても、旋回以外の回転に該当する。従って、第1パターン又は第2パターンを、相対関係の起点となる回転とすることが好ましい。
【0164】
また、上述の第1定義、第2定義及び第3定義の2以上の定義を組み合わせた定義が用いられてもよい。この場合、例えば、組み合わせる2以上の定義の全てで旋回に該当する回転のみを旋回としてもよいし、組み合わせる2以上の定義の少なくとも1つで旋回に該当する回転を旋回としてもよい。
【符号の説明】
【0165】
1…ロボットシステム、10…ロボット、20…エンドエフェクタ、30…ロボットコントローラ、32…処理装置、33…メモリ、34…通信装置、35…操作装置、36…表示装置、37…ドライバ回路、AR、AR1、AR2、AR3、AR3a、AR3b、AR4、AR5、AR6、ARi…関節機構、Ax1、Ax2、Ax3、Ax4、Ax5、Ax6、Axi、Axte1、Axte2…軸、BDP…ボディ部、BDPbt…底面、BSP…土台部、GD…物品、LK1、LK2、LK3、LKi、LKj…リンク、LK11…支持部分、LK12、LK13、LK13a…可動部分、LK21、LK21a…支持部分、LK22…可動部分、LK3sf…端面、MOa1、MOa2、MOa3、MOa4、MOa5、MOa6、MOt1、MOt2…モータ、PL1、PL2…パレット、RE1…旋回機構、RE11…伝達軸、RE12…連結部、RE13、RE13b…ギア、TE、TE1、TE2…伸縮機構、TE11、TE21…ナット、TE12、TE22…ボールねじ、TE23、TE23a、TE23b…接続部分、WB…作業台。