(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173623
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ベッド装置
(51)【国際特許分類】
A47C 19/04 20060101AFI20231130BHJP
A47C 21/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A47C19/04 Z
A47C21/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022085996
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊一
(57)【要約】
【課題】 床板を伸縮可能なベッド装置の使い勝手を向上させる。
【解決手段】 一実施形態に係るベッド装置は、長手方向に並ぶ第1床板および第2床板を含む床板体と、前記第1床板および前記第2床板が前記長手方向において相対的に移動可能となるように前記床板体を支持するベッドフレームと、前記床板体の側部に装着可能な止め具と、を備えている。前記止め具は、前記床板体の上方に突出するマットレス受け部と、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動を規制する規制部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に並ぶ第1床板および第2床板を含む床板体と、
前記第1床板および前記第2床板が前記長手方向において相対的に移動可能となるように前記床板体を支持するベッドフレームと、
前記床板体の側部に装着可能な止め具と、
を備え、
前記止め具は、
前記床板体の上方に突出するマットレス受け部と、
前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動を規制する規制部と、
を含む、ベッド装置。
【請求項2】
前記第2床板の側部に取り付けられ、前記第2床板とともに移動可能なカバーをさらに備え、
前記カバーは、前記規制部と係合可能な第1係合部を有し、
前記ベッドフレームは、前記規制部と係合可能な第2係合部を有し、
前記規制部が前記第1係合部および前記第2係合部に係合することにより、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動が規制される、
請求項1に記載のベッド装置。
【請求項3】
前記ベッドフレームは、
前記第2係合部を有し、前記第1床板を支持する第1フレームと、
前記第1フレームに対して前記長手方向に移動可能に取り付けられ、前記第2床板を支持する第2フレームと、
を含む、
請求項2に記載のベッド装置。
【請求項4】
前記第1係合部は、第1係合孔を含み、
前記第2係合部は、前記長手方向に並ぶ複数の第2係合孔を含み、
前記規制部は、前記第1係合孔および前記第2係合孔に挿入可能なピンを含む、
請求項2または3に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記第1床板は、前記複数の第2係合孔にそれぞれ重なる複数のスリットを有し、
前記ピンは、前記スリットに係合可能な溝を外周面に有している、
請求項4に記載のベッド装置。
【請求項6】
長手方向に並ぶ第1床板および第2床板を含む床板体と、
前記第1床板および前記第2床板が前記長手方向において相対的に移動可能となるように前記床板体を支持するベッドフレームと、
前記第2床板の側部に取り付けられ、前記第2床板とともに移動可能なカバーと、
前記床板体の側部に装着可能な止め具と、
を備え、
前記止め具は、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動を規制する規制部を含み、
前記カバーは、前記規制部と係合可能な第1係合部を有し、
前記ベッドフレームは、
前記規制部と係合可能な第2係合部を有し、前記第1床板を支持する第1フレームと、
前記第1フレームに対して前記長手方向に移動可能に取り付けられ、前記第2床板を支持する第2フレームと、
を含み、
前記規制部が前記第1係合部および前記第2係合部に係合することにより、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動が規制される、ベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベッド装置は、ベッドフレームと、ベッドフレームによって支持される床板体とを備え、床板体の上にマットレスが置かれた状態で使用される。
【0003】
従来、使用者の体格に応じたベッドサイズを実現すべく、床板体をベッド装置の長手方向に伸縮可能とする機構を備えたベッド装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2800916号公報
【特許文献2】特開2000-37261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように床板体を伸縮可能なベッド装置においては、意図せず加わる外力によって床板体が伸縮すると、マットレスと床板体の形状の不整合が生じ得る。
【0006】
また、マットレスは床板体の上に置かれるだけで、床板体に対して固定されないことが殆どである。そのため、使用者のマットレス上での動作や、マットレスへの乗り降りの動作などに起因して、マットレスが床板体に対してずれることがある。
【0007】
その他にも、従来のベッド装置には種々の改善の余地がある。そこで、本開示は、特に床板体を伸縮可能なベッド装置において、その使い勝手を向上させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るベッド装置は、長手方向に並ぶ第1床板および第2床板を含む床板体と、前記第1床板および前記第2床板が前記長手方向において相対的に移動可能となるように前記床板体を支持するベッドフレームと、前記床板体の側部に装着可能な止め具と、を備えている。前記止め具は、前記床板体の上方に突出するマットレス受け部と、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動を規制する規制部と、を含む。
【0009】
前記ベッド装置は、前記第2床板の側部に取り付けられ、前記第2床板とともに移動可能なカバーをさらに備えてもよい。この場合において、前記カバーが前記規制部と係合可能な第1係合部を有し、前記ベッドフレームが前記規制部と係合可能な第2係合部を有し、前記規制部が前記第1係合部および前記第2係合部に係合することにより前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動が規制されてもよい。
【0010】
前記ベッドフレームは、前記第2係合部を有し前記第1床板を支持する第1フレームと、前記第1フレームに対して前記長手方向に移動可能に取り付けられ前記第2床板を支持する第2フレームと、を含んでもよい。
【0011】
前記第1係合部が第1係合孔を含み、前記第2係合部が前記長手方向に並ぶ複数の第2係合孔を含み、前記規制部が前記第1係合孔および前記第2係合孔に挿入可能なピンを含んでもよい。
【0012】
前記第1床板が前記複数の第2係合孔にそれぞれ重なる複数のスリットを有し、前記ピンが前記スリットに係合可能な溝を外周面に有してもよい。
【0013】
一実施形態の他の観点によれば、ベッド装置は、長手方向に並ぶ第1床板および第2床板を含む床板体と、前記第1床板および前記第2床板が前記長手方向において相対的に移動可能となるように前記床板体を支持するベッドフレームと、前記第2床板の側部に取り付けられ、前記第2床板とともに移動可能なカバーと、前記床板体の側部に装着可能な止め具と、を備えている。前記止め具は、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動を規制する規制部を含む。前記カバーは、前記規制部と係合可能な第1係合部を有している。前記ベッドフレームは、前記規制部と係合可能な第2係合部を有し、前記第1床板を支持する第1フレームと、前記第1フレームに対して前記長手方向に移動可能に取り付けられ、前記第2床板を支持する第2フレームと、を含む。前記規制部が前記第1係合部および前記第2係合部に係合することにより、前記第1床板と前記第2床板の前記長手方向における相対的な移動が規制される。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、床板体を伸縮可能なベッド装置の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るベッド装置の概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、背部床板、カバーおよび止め具の概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、背部床板、カバーおよび止め具の他の概略的な斜視図である。
【
図4】
図4は、ベッドフレームの一部を概略的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、背部床板およびベッドフレームの概略的な斜視断面図である。
【
図6】
図6は、伸長した背部床板およびベッドフレームの概略的な斜視断面図である。
【
図8】
図8は、止め具の他の概略的な斜視図である。
【
図9】
図9は、カバーおよび止め具が取り外された状態の側部の近傍を下方から見た概略的な斜視図である。
【
図10】
図10は、カバーおよび止め具が取り付けられた状態の側部の近傍を下方から見た概略的な平面図である。
【
図11】
図11は、第1係合孔、第2係合孔およびスリットの位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
本実施形態においては、ベッド装置の一例として、床板体(ベッドプラットフォーム)の形状を変形可能な電動ベッドを開示する。ただし、本実施形態において開示する構成、特に床板体の伸縮に関する構造は、例えば電気的な制御要素を備えないベッド装置など、他種のベッド装置にも適用し得る。
【0017】
図1は、本実施形態に係るベッド装置1の概略的な斜視図である。以下の説明においては、図示したように第1方向X(長手方向)、第2方向Y(幅方向)および第3方向Z(高さ方向)を定義する。本実施系形態においては、これら方向X,Y,Zが互いに直交する。
【0018】
ベッド装置1は、ベッドフレーム2と、ベッドフレーム2の上に配置された床板体3とを備えている。ベッドフレーム2および床板体3は、いずれも第1方向Xに長尺な形状を有している。
【0019】
床板体3は、側部S1,S2,S3,S4を有している。側部S1,S2は、第1方向Xと平行に延びている。側部S3,S4は、第2方向Yと平行に延びている。例えば、側部S3はベッド装置1の上に仰臥する利用者の頭側に位置し、側部S4は当該利用者の足側に位置する。また、側部S1は当該利用者の右側に位置し、側部S2は当該利用者の左側に位置する。
【0020】
床板体3は、背部床板3Aと、腰部床板3Bと、大腿部床板3Cと、足部床板3Dとを含む。これら床板3A,3B,3C,3Dは、第1方向Xに順に並んでいる。床板3A,3B,3C,3Dのうちの隣り合う2つは、第2方向Yと平行な軸を中心として回動可能に連結されている。ベッド装置1の使用時には、床板3A,3B,3C,3Dの上にマットレスが置かれる。側部S1は床板3A,3B,3C,3Dの第2方向Yにおける一方の端部により構成され、側部S2は床板3A,3B,3C,3Dの第2方向Yにおける他方の端部により構成される。側部S3は床板3Aの頭側の端部により構成され、側部S4は床板3Dの足側の端部により構成される。
【0021】
ベッド装置1は、側部S1,S2に取り付けられた複数のカバーを備えている。
図1の例においては、背部床板3Aの側部S1,S2にそれぞれカバー41,42,43が取り付けられている。同様に、足部床板3Dの側部S1,S2にそれぞれカバー41,42,43が取り付けられている。
【0022】
ベッド装置1は、側部S1,S2,S3,S4に装着可能な少なくとも1つの止め具5を備えている。
図1の例においては、側部S1,S2のそれぞれにおいて、各カバー41に止め具5が取り付けられている。
【0023】
ベッド装置1は、側部S1,S2に沿って配置される側柵を支持するための複数の側柵ベース6を備えてもよい。
図1の例においては、側部S1,S2のそれぞれに2つずつ側柵ベース6が設けられている。
【0024】
ベッド装置1は、ヘッドボード71およびフットボード72を備えてもよい。
図1の例においては、一対の保持具73を介してヘッドボード71が側部S3に取り付けられ、一対の保持具74を介してフットボード72が側部S4に取り付けられている。
【0025】
ベッド装置1は、床板体3の下方に配置された駆動機構をさらに備えている。例えば、この駆動機構は、複数のモータおよびこれらモータの動力を伝達するための複数のリンクを含み、床板体3を上昇および下降させる。さらに、この駆動機構は、床板体3を
図1に示すように平坦な状態から所定の形状に変形させる。所定の形状としては、例えば、背部床板3Aが起き上がった背上げ状態、大腿部床板3Cおよび足部床板3Dの少なくとも一方が起き上がった脚上げ状態などが挙げられる。
【0026】
図2および
図3は、背部床板3A、カバー41,42,43および止め具5の概略的な斜視図である。
図3においては、側部S1に設けられるカバー41,43および止め具5が取り外された状態を示している。
【0027】
背部床板3Aは、第1方向Xに沿って並ぶ第1床板31、第2床板32および第3床板33を含む。床板31,32,33は、例えば合成樹脂によって形成され、第2方向Yに長尺な複数の貫通孔を有している。
【0028】
第2床板32は、第1床板31よりも頭側に位置し、側部S3を有している。第3床板33は、第1床板31よりも足側に位置している。第3床板33の足側の端部からは、
図1に示した腰部床板3Bを回動可能に連結するための複数の連結部81が突出している。
【0029】
側部S1,S2のそれぞれに配置されたカバー41には、第1床板31および第2床板32の第2方向Yにおける端部が嵌められている。側部S1,S2のそれぞれに配置されたカバー42には、第3床板33の第2方向Yにおける端部が嵌められている。側部S1,S2のそれぞれに配置されたカバー43には、第1床板31および第3床板33の第2方向Yにおける端部が嵌められている。
【0030】
なお、カバー43の頭側の端部は、カバー41と第1床板31の間に位置している。また、カバー43の足側の端部は、カバー42と第3床板33の間に位置している。カバー41,43は互いに固定されていない。これにより、カバー41は、カバー43に対し第1方向Xに沿ってスライド可能である。
【0031】
図3に示すように、側部S1における第1床板31の側壁310には、第1方向Xに並ぶスリット31L,31Sが設けられている。スリット31Lは、スリット31Sよりも頭側に位置している。スリット31L,31Sは、いずれも第3方向Zに長尺な形状を有し、側壁310の下端に開口している。
【0032】
カバー41は、後述する止め具5の規制部53と係合可能な第1係合部EP1を有している。本実施形態において、第1係合部EP1は、カバー41を第2方向Yに貫通する第1係合孔H1を含む。
【0033】
カバー41は、第1方向Xに延びるスリット411を有している。同様に、カバー42は、第1方向Xに延びるスリット421を有している。スリット411,421を設けることで、例えば床板体3の洗浄時などにカバー41,42の内側が濡れた場合であっても、カバー41,42の内側を乾燥させることができる。
【0034】
図3の例においては、スリット411の幅が第1係合孔H1の直径よりも小さい。さらに、スリット411が第1係合孔H1と繋がっている。他の例として、スリット411は、第1係合孔H1と独立した開口であってもよい。
【0035】
側部S2における第1床板31の側壁にも、側壁310と同様のスリット31L,31Sが設けられている。側部S2に取り付けられるカバー41,42,43の構成は、側部S1に取り付けられるカバー41,42,43の構成と同様である。
【0036】
床板体3は、第1方向Xに伸縮可能である。このような構成を実現すべく、本実施形態においては、
図2に矢印Rで示すように、第1床板31および第2床板32が第1方向Xにおいて相対的に移動可能(スライド可能)となるようにベッドフレーム2によって支持されている。これにより、側部S3の位置は、
図2に実線で示す位置と破線で示す位置の間で変化する。
【0037】
図4は、ベッドフレーム2のうち背部床板3Aを支持する要素を概略的に示す斜視図である。ベッドフレーム2は、第1フレーム8と、第2フレーム9とを備えている。矢印Rで示すように、第2フレーム9は第1フレーム8に対して第1方向Xに移動可能に取り付けられている。
【0038】
第1フレーム8は、第1床板31および第3床板33を支持する。第2フレーム9は、第2床板32を支持する。第1フレーム8と第1床板31、第1フレーム8と第3床板33、第2フレーム9と第2床板32は、それぞれねじ止めなどの適宜の手段により固定されている。
【0039】
第1フレーム8は、第2方向Yと平行に延びるフレーム材82,83,84と、これらフレーム材82,83,84を連結する桟材85,86,87,88とを有している。フレーム材83は、第1方向Xにおいてフレーム材82,84の間に位置している。上述の連結部81は、フレーム材84に設けられている。桟材85,86,87,88は、第1方向Xと平行に延びている。
【0040】
第1フレーム8は、後述する止め具5の規制部53と係合可能な一対の第2係合部EP2をさらに有している。これら第2係合部EP2は、第2方向Yにおけるフレーム材83の両端部にそれぞれ設けられている。本実施形態において、各第2係合部EP2は、第1方向Xに長尺なプレートPLと、プレートPLを貫通するとともに第1方向Xに並ぶ2つの第2係合孔H2(H2L,H2S)とを含む。
【0041】
第2フレーム9は、第2方向Yと平行に延びるフレーム材91と、フレーム材91から第1方向Xに延出する延出する一対のロッド92とを有している。フレーム材91は、フレーム材82よりも頭側に配置されている。
【0042】
各ロッド92は、第2方向Yにおいて桟材85,86,87,88よりも外側に配置され、少なくともフレーム材82,83の間の間隔よりも大きい長さを有している。各ロッド92は、フレーム材82,83にそれぞれ設けられた貫通孔821,831に対し、スライド可能に通されている。
【0043】
このような構成において、第2フレーム9は、
図4に実線で示すようにフレーム材91がフレーム材82に近接する位置と、破線で示すようにフレーム材91とフレーム材82が離間する位置との間で移動可能となる。ただし、第1フレーム8と第2フレーム9の構成は、
図4に示した例に限られない。
【0044】
図5および
図6は、背部床板3Aおよびベッドフレーム2等の概略的な斜視断面図である。
図5は背部床板3Aが最大限に縮小した状態を示し、
図6は背部床板3Aが最大限に伸長した状態を示す。
【0045】
第1床板31は、頭側の壁部311と、第2方向Yに延びる凹部312と、壁部311の近傍の平坦面313(上面)とを有している。第1フレーム8のフレーム材82は、壁部311を覆うように配置されている。第1フレーム8のフレーム材83は、凹部312に配置されている。
【0046】
第2床板32は、プレート部321と、プレート部321から下方に突出する一対の壁部322,323とを有している。壁部322は、プレート部321の頭側の端部に設けられている。壁部323は、壁部322と間隔を空けて対向している。第2フレーム9のフレーム材91は、壁部322,323の間に位置している。
【0047】
図5に示すように、背部床板3Aが最大限に縮小した状態においては、壁部323がフレーム材82に接触している。さらに、プレート部321が平坦面313を全体的に覆っている。
【0048】
図6に示すように、背部床板3Aが最大限に伸長した状態においては、壁部323がフレーム材82から離間する。さらに、平坦面313の大部分がプレート部321から露出する。
【0049】
図5の位置と
図6の位置との間で第2床板32が第1床板31に対し移動する際に、プレート部321が平坦面313を摺動する。カバー41は、第2床板32および第2フレーム9の少なくとも一方に固定されている。一方で、カバー41は、第1床板31および第1フレーム8には固定されていない。そのため、第2床板32が移動する際に、カバー41は、カバー43の外面を摺動しながら第2床板32とともに移動する。
【0050】
図6のように背部床板3Aが最大限に伸長した状態においても、カバー41の一部がカバー43と重なっている。これにより、カバー41,43の間に隙間が生じることが抑制され、ベッド装置1の安全性が高まる。
【0051】
図7および
図8は、止め具5の概略的な斜視図である。止め具5は、止め具5をカバー41に取り付けるためのホルダ部51と、床板体3の上に置かれるマットレスのずれを抑制するためのマットレス受け部52と、第1床板31と第2床板32の相対的な移動を規制する規制部53とを有している。
【0052】
ホルダ部51は、互いに対向する保持板511,512と、これら保持板511,512を接続する接続部513とを含む。マットレス受け部52は、保持板511から接続部513と反対の方向に延出している。
図7の例において、マットレス受け部52は、一対の円弧状の開口521を有している。
【0053】
例えば、マットレス受け部52は、保持板511と概ね垂直を成す平板状である。保持板511とマットレス受け部52が成す角部には、一対のリブ54が設けられている。同様のリブ54が保持板511と接続部513が成す角部にも設けられている。
【0054】
本実施形態において、規制部53は、円柱状のピン530を含む。ピン530は、例えば金属材料で形成されている。
図7に示すように、ピン530の外周面には環状の溝531が設けられている。
【0055】
ピン530は、保持板511,512の間に位置し、接続部513から延出している。例えば、止め具5のうちピン530を除く部分は合成樹脂によって形成されている。ピン530の一端には径が拡張した頭部が設けられており、この頭部は接続部513に埋まっている。これにより、
図8に示すように、接続部513の一部が隆起している。
【0056】
図9は、カバー41および止め具5が取り外された状態の側部S1の近傍を下方から見た概略的な斜視図である。
図10は、カバー41および止め具5が取り付けられた状態の側部S1の近傍を下方から見た概略的な平面図である。
【0057】
図9に示すように、第2係合部EP2のプレートPLは、第1床板31の側壁310の内面に対向している。第2係合孔H2Lは、側壁310のスリット31Lと第2方向Yに重なっている。第2係合孔H2Sは、側壁310のスリット31Sと第2方向Yに重なっている。
【0058】
止め具5は、
図3に示したカバー41が保持板511,512の間に位置するようにカバー41に対し押し込まれることで、カバー41に装着される。カバー41に装着された状態においては、接続部513の弾性力により、保持板511,512がカバー41を挟持する。
【0059】
カバー41に止め具5が装着されたとき、規制部53が第1係合部EP1および第2係合部EP2に係合することにより、第1床板31と第2床板32の第1方向Xにおける相対的な移動が規制される。
【0060】
具体的には、ピン530が
図3に示したカバー41の第1係合孔H1(第1係合部EP1)に挿入される。さらに、ピン530は、スリット31Lと第2係合孔H2L、または、スリット31Sと第2係合孔H2Sのうち、第1係合孔H1と重なる一方に挿入される。これにより、カバー41は、第2係合部EP2が設けられた第1フレーム8に対して、第1方向Xに移動できなくなる。結果として、第1フレーム8に固定された第1床板31に対する、カバー41に固定された第2床板32および第2フレーム9の移動が規制される。
【0061】
図10の例においては、ピン530がスリット31Sおよび第2係合孔H2Sに挿入されている。ピン530の溝531は、スリット31Sに係合している。すなわち、スリット31Sの第1方向Xにおける幅がピン530のうち溝531を除く部分の直径よりも小さく、スリット31Sの縁部が溝531の内部に位置している。
【0062】
スリット31Sが設けられた側壁310は、例えば合成樹脂によって形成されており、可撓性を有している。そのため、ピン530をスリット31Sに挿入する際には、ピン530のうち溝531より先端側の部分によってスリット31Sが押し広げられ、スリット31Sと溝531が一致するまでピン530を挿し込むことができる。止め具5を取り外す際には、一定以上の力で止め具5を引くことによりスリット31Sが押し広げられ、スリット31Sと溝531の係合が解除される。
【0063】
このようにスリット31Sと溝531が係合することにより、ピン530が抜け止めされる。結果として、止め具5が意図せず外れることを抑制できる。なお、スリット31Lの構成はスリット31Sと同様である。したがって、ピン530がスリット31Lおよび第2係合孔H2Lに挿入された際には、スリット31Lの縁部が溝531の内部に入り、ピン530が抜け止めされる。
【0064】
図11は、第1係合孔H1、第2係合孔H2L,H2Sおよびスリット31L,31Sの位置関係を示す図である。上述の通り、第2係合孔H2Sとスリット31Sは第2方向Yにおいて重なり、第2係合孔H2Lとスリット31Lは第2方向Yにおいて重なっている。
【0065】
第2床板32の移動に伴い、第1係合孔H1は、第2係合孔H2Sおよびスリット31Sと重なる位置P1と、第2係合孔H2Lおよびスリット31Lと重なる位置P2とを含む範囲で移動する。
【0066】
第1係合孔H1が位置P1にあるとき、ピン530が第1係合孔H1、第2係合孔H2Sおよびスリット31Sを通るように止め具5を装着すると、背部床板3Aが最大限に縮小した状態で第1床板31と第2床板32が固定される。
【0067】
一方、第1係合孔H1が位置P2にあるとき、ピン530が第1係合孔H1、第2係合孔H2Lおよびスリット31Lを通るように止め具5を装着すると、背部床板3Aが最大限に伸長した状態で第1床板31と第2床板32が固定される。
【0068】
位置P1,P2の間の距離Dは、背部床板3Aの第1方向Xにおける長さの調整可能量に相当する。
図1に示した足部床板3Dとその周囲の構造は、
図2乃至
図11を用いて説明した背部床板3Aとその周囲の構造と同様である。すなわち、足部床板3Dの第1方向Xにおける長さも距離Dに相当する分だけ調整可能である。ただし、背部床板3Aと足部床板3Dの長さの調整量が異なってもよい。
【0069】
図1に示した一対の保持具73は、第2フレーム9に連結されている。したがって、ヘッドボード71の位置は、背部床板3Aの伸縮に伴い変化する。同様に、
図1に示した一対の保持具74は足部床板3Dを支持するフレーム(第2フレーム9相当)に連結されており、フットボード72の位置は足部床板3Dの伸縮に伴い変化する。
【0070】
以上の本実施形態に係るベッド装置1においては、床板体3の長さが調整可能であるため、使用者の体格に応じたサイズのマットレスの使用が可能となる。さらに、本実施形態においては、止め具5により床板体3の長さを伸縮前後で固定することができる。これにより、ベッド装置1の使用により意図せぬ外力が床板体3に加わった場合でも床板体3が伸縮せず、マットレスと床板体3の形状の不整合を抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態においては、止め具5がマットレス受け部52を有している。止め具5が装着された状態においては、マットレス受け部52が
図5および
図6に示すように床板体3の上方に突出する。床板体3の上にマットレスが置かれた際には、マットレス受け部52が当該マットレスの側面に接触する。これにより、マットレスの第2方向Yにおけるずれを抑制することができる。
【0072】
このように、本実施形態に係る止め具5は、床板体3の伸縮を規制する役割と、マットレスのずれを抑制する役割とを担う。これらの役割を1つの止め具5で実現したことにより、各役割を別々の部品で実現する場合に比べ、ベッド装置1の部品点数が減るとともに、ベッド装置1の使い勝手がさらに向上する。
【0073】
以上の実施形態は、本発明の範囲を当該実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、当該実施形態にて開示した構成を種々の態様に変形して実施することができる。
【0074】
例えば、本実施形態においては背部床板3Aおよび足部床板3Dの双方が伸縮可能である場合を例示した。他の例として、背部床板3Aおよび足部床板3Dの一方のみが伸縮可能であってもよい。
【0075】
本実施形態においては、ベッド装置1がヘッドボード71およびフットボード72を備える場合を例示した。他の例として、ベッド装置1は、ヘッドボード71およびフットボード72の少なくとも一方を備えなくてもよい。この場合において、床板体3の側部S3や側部S4にも止め具5が装着され、この止め具5によってマットレスの第1方向Xにおけるずれが抑制されてもよい。
【0076】
本実施形態においては、第2係合部EP2が2つの第2係合孔H2L,H2Sを含む場合を例示した。他の例として、第2係合部EP2は、3つ以上の第2係合孔を含んでもよい。この場合には、背部床板3Aおよび足部床板3Dの長さを3段階以上で調整することが可能となる。
【0077】
また、第1係合部EP1が第1方向Xに並ぶ複数の第1係合孔H1を有し、第2係合部EP2が第2床板32の移動に伴い各第1係合孔H1と順次重なる1つの第2係合孔H2を有してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1…ベッド装置、2…ベッドフレーム、3…床板体、31…第1床板、32…第2床板、33…第3床板、41,42,43…カバー、5…止め具、51…ホルダ部、52…マットレス受け部、53…規制部、530…ピン、531…溝、EP1…第1係合部、H1…第1係合孔、EP2…第2係合部、H2(H2L,H2S)…第2係合孔、31L,31S…スリット。