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  • 特開-静電容量センサ及びハンドル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173631
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】静電容量センサ及びハンドル
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20231130BHJP
   H01H 36/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B62D1/06
H01H36/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086019
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】植松 展隆
【テーマコード(参考)】
3D030
5G046
【Fターム(参考)】
3D030DA25
3D030DA57
3D030DA69
3D030DB13
5G046AA05
5G046AA11
5G046AB01
5G046AC25
5G046AD02
5G046AE05
(57)【要約】
【課題】最大静電容量を抑制しつつ、構造的強度を保つことが可能な静電容量センサ及びこれを備えたステアリングホイールを提供する。
【解決手段】静電容量センサ1は、誘電体2と、誘電体2を挟んで所定方向に対向する対をなす電極3,4と、を備える。対をなす電極3,4は、電極非設定部6,7を有する。一方の電極非設定部6の少なくとも一部が他方の電極非設定部7と所定方向に重なり合わない位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体と、
この誘電体を挟んで所定方向に対向する対をなす電極と、を備え、
前記対をなす電極は、それぞれ電極非設定部を有し、
一方の前記電極非設定部の少なくとも一部が他方の前記電極非設定部と前記所定方向に重なり合わない位置に配置されている
ことを特徴とする静電容量センサ。
【請求項2】
電極非設定部は、電極に形成された穴部である
ことを特徴とする請求項1記載の静電容量センサ。
【請求項3】
電極非設定部は、円形状である
ことを特徴とする請求項2記載の静電容量センサ。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一記載の静電容量センサを有する把持部と、
前記静電容量センサの検出結果に基づき前記把持部の把持状態を検出する検出部と、
を備えることを特徴とするハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体を挟んで所定方向に対向する対をなす電極を有する静電容量センサ及びこれを備えたハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のハンドルすなわちステアリングホイールに対して機能を追加付与することが要求されてきている。例えば、運転者が把持部であるリム部を把持したことを検出するためのセンサを備えるステアリングホイールが知られている。このセンサとしては、例えばリム部に埋め込まれたマット状の静電容量センサが用いられる。そして、静電容量センサによるリム部の把持の有無の検出結果が車載制御装置(ECU)に送られ、その検出結果に応じて車載制御装置によって、ヒータのオンオフの切り換えや自動運転の切り換えなど、適宜の制御を行う(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-127059号公報 (第4-10頁、図1-3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年のリム部の肥大化に伴い、あるいは、大径のリム部に用いられる場合、静電容量センサの電極面積が大きくなることで、静電容量センサの最大静電容量が大きくなり、静電容量センサのコンデンサに蓄えられる電気量(電気エネルギ)が、車載制御装置が耐えられる電気エネルギを超えることが想定される。そこで、静電容量センサの最大静電容量を抑えることが求められる。
【0005】
対策の一例として、電極面積を小さくすることが考えられるものの、電極の外形を単純に小さくした場合には、静電容量センサにより検出可能な範囲が狭くなる。したがって、電極の外形を維持しつつ、電極の面積を低減するために、電極の一部を取り除く(肉抜きする)ことが考えられる。
【0006】
しかしながら、電極の肉抜きには物理的な限界があり、例えば最大静電容量を半減させたい場合、電極の半分の面積を肉抜きする必要がある。このような肉抜きは、電極強度を低下させることとなり、製造時や使用時に電極を破損するおそれがあるなど、強度や加工性(生産性)に懸念が生じる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、最大静電容量を抑制しつつ、構造的強度を保つことが可能な静電容量センサ及びこれを備えたハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の静電容量センサは、誘電体と、この誘電体を挟んで所定方向に対向する対をなす電極と、を備え、前記対をなす電極は、それぞれ電極非設定部を有し、一方の前記電極非設定部の少なくとも一部が他方の前記電極非設定部と前記所定方向に重なり合わない位置に配置されているものである。
【0009】
請求項2記載の静電容量センサは、請求項1記載の静電容量センサにおいて、電極非設定部は、電極に形成された穴部であるものである。
【0010】
請求項3記載の静電容量センサは、請求項2記載の静電容量センサにおいて、電極非設定部は、円形状であるものである。
【0011】
請求項4記載のハンドルは、請求項1ないし3いずれか一記載の静電容量センサを有する把持部と、前記静電容量センサの検出結果に基づき前記把持部の把持状態を検出する検出部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の静電容量センサによれば、各電極に電極非設定部を過剰に形成することなく、センサとして作用しない部分の面積を大きく設定することが可能になるため、その面積に応じて静電容量センサの最大静電容量を抑制しつつ、電極の強度が過剰に低下することを抑制して、構造的強度を保つことが可能となる。
【0013】
請求項2記載の静電容量センサによれば、請求項1記載の静電容量センサの効果に加えて、電極非設定部を容易に設定できる。
【0014】
請求項3記載の静電容量センサによれば、請求項2記載の静電容量センサの効果に加えて、電極非設定部の周辺長さを抑制しつつ電極非設定部の面積を大きく取り、かつ、電極非設定部が角部を有しないので電極に局部的な応力集中が生じにくく、電極非設定部からの電極の破損を抑制できる。
【0015】
請求項4記載のハンドルによれば、静電容量センサの検出結果に応じて、検出部により把持部の把持状態を容易に検出できるとともに、例えば把持部が肥大化されている場合や大径の把持部に用いられる場合などでも、静電容量センサの最大静電容量が抑制されているため、静電容量センサに蓄えられる電気量が、検出部が耐え得る電気エネルギを超えにくくできるとともに、静電容量センサを把持部に取り付ける際や使用する際に電極が破損しにくく、良好な強度や加工性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は本発明の第1の実施の形態の静電容量センサを示す平面図、(b)は(a)のA-A相当位置の断面図である。
図2】(a)は同上静電容量センサの一方の電極を示す平面図、(b)は同上静電容量センサの他方の電極を示す平面図である。
図3】(a)は同上静電容量センサを備えるハンドルを示す正面図、(b)は(a)のB-B相当位置の断面図である。
図4】(a)は本発明の第2の実施の形態の静電容量センサを示す平面図、(b)は(a)のC-C相当位置の断面図である。
図5】(a)は本発明の第3の実施の形態の静電容量センサの一方の電極を示す平面図、(b)は同上静電容量センサの他方の電極を示す平面図、(c)は同上静電容量センサを示す平面図である。
図6】同上静電容量センサを備えるハンドルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1(a)及び図1(b)において、1は静電容量センサである。静電容量センサ1は、静電容量の変化に基づき被検出物の近接を検出する近接センサである。
【0019】
静電容量センサ1は、誘電体2と、誘電体2を挟む一方及び他方の電極3,4と、を有し、コンデンサを形成する。静電容量センサ1は、薄いシート状に形成されている。
【0020】
誘電体2は、例えば四角形状に形成されている。誘電体2は、任意のものを用いてよい。
【0021】
電極3,4は、誘電体2と同一または略同一の外形を有する。つまり、電極3,4は、四角形状の外形を有する。電極3,4は、導電性の金属などにより、薄い平板状に形成されている。電極3,4は、誘電体2を挟んで所定方向(図中の矢印Xに示す方向)に互いに対向している。電極3,4間には、直流電源部が接続されている。すなわち、電極3と電極4との一方が直流電源部のプラス側に接続され、他方が直流電源部のマイナス側に接続されている。
【0022】
ここで、静電容量センサ1の最大静電容量Cは、誘電体2の誘電率をε、電極3,4の面積をS、電極3,4の間隔をdとして、C=εS/d〔F〕で表される。また、静電容量センサ1に蓄えられる電気量(電気エネルギ)Qは、電極3,4間の電位差をVとして、Q=CV〔C〕で表される。したがって、静電容量センサ1の最大静電容量Cは、電極3,4の互いに対向する部分の面積に比例し、静電容量センサ1に蓄えられる電気量は、最大静電容量に比例する。本実施の形態では、電極3,4に、電極として機能しない一方及び他方の電極非設定部6,7を形成することにより、電極3,4の有効作用面積を低減することで、静電容量センサ1の最大静電容量、つまり蓄えられる電気量の低減を狙うものである。
【0023】
電極非設定部6,7は、例えば電極3,4を貫通して(取り除いて)形成された穴部である。好ましくは、電極非設定部6,7は、円形状に形成されている。本実施の形態では、電極非設定部6と電極非設定部7とは、同一または略同一形状、つまり同径または略同径の円形状である。電極非設定部6,7は、電極3,4において、それぞれ複数ずつ形成されている。複数の電極非設定部6同士は、同一形状でもよいし、互いに異なる形状でもよい。同様に、複数の電極非設定部7同士は、同一形状でもよいし、互いに異なる形状でもよい。
【0024】
本実施の形態において、図2(a)に示すように、電極非設定部6は、電極3において互いに離れて配置されている。図示される例では、電極非設定部6は、電極3において千鳥状に配置されている。好ましくは、電極非設定部6は、等間隔または略等間隔に離れて配置されている。電極非設定部6の間が、電極として機能する電極設定部8となっている。
【0025】
同様に、図2(b)に示すように、電極非設定部7は、電極4において互いに離れて配置されている。図示される例では、電極非設定部7は、電極4において千鳥状に配置されている。好ましくは、電極非設定部7は、等間隔または略等間隔に離れて配置されている。電極非設定部7の間が、電極として機能する電極設定部9となっている。
【0026】
そして、図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施の形態では、電極非設定部6,7は、一方の電極非設定部6の少なくとも一部が他方の電極非設定部7と所定方向(矢印Xに示す方向)に重なり合わない位置、つまりずれた位置に配置されている。すなわち、所定方向から見て、電極3の電極非設定部6は、電極4の電極設定部9に少なくとも一部が対向して位置し、電極4の電極非設定部7は、電極3の電極設定部8に少なくとも一部が対向して位置する。図示される例では、電極3の各電極非設定部6は、それぞれ電極4の電極設定部9に全体が対向して位置し、電極4の各電極非設定部7は、それぞれ電極3の電極設定部8に全体が対向して位置する。したがって、電極3の電極非設定部6と電極4の電極非設定部7とは、所定方向に対向しない位置にある。
【0027】
図1(a)に示すように、所定方向から見て、電極非設定部6,6の間に、電極非設定部7,7が位置する。すなわち、電極非設定部7,7の間に、電極非設定部6,6が位置する。図示される例では、電極非設定部6と電極非設定部7とは、所定のラインLに沿って交互に並んで配置される。本実施の形態の場合、電極非設定部6と電極非設定部7とは、電極3,4の外縁部と平行な方向に対して傾斜した所定のラインL上に交互に並んでいる。また、当該ラインL上に並ぶ電極非設定部6,6間の間隔は、それぞれ電極非設定部7の外径と同一または略同一となっている。同様に、当該ラインL上に並ぶ電極非設定部7,7間の間隔は、それぞれ電極非設定部6の外径と同一または略同一となっている。そのため、当該ラインL上において、所定方向から見て、電極非設定部6と電極非設定部7とは、隙間なくまたは略隙間なく隣接して位置して、静電容量センサ1(コンデンサ)として作用しない非作用部11(図1(a)及び図1(b)の二点鎖線に示す)が細長い帯状に形成されている。本実施の形態では、これら非作用部11は、所定のラインLと直交する方向に互いに離れて複数並んで配置されている。
【0028】
そして、本実施の形態において、静電容量センサ1は、ステアリング用マットなどとも呼ばれる車両用センサ部材である。例えば、静電容量センサ1は、図3(a)及び図3(b)に示すハンドル(ステアリングハンドル)であるステアリングホイール15に用いられる。
【0029】
ステアリングホイール15は、自動車などの車両の操舵用のものである。ステアリングホイール15は、ハンドル本体である芯金20を有する。芯金20は、例えばアルミニウムやマグネシウムなどの合金からなる金属製である。芯金20は、ステアリングシャフトと歯合するセレーション構造を備えた略円筒状のボスを有するボス芯金部21を備え、ボス芯金部21からスポーク芯金部22が連続して一体的に形成されているとともに、スポーク芯金部22に把持部芯金としてのリム芯金部23が溶接などにより固着されている。
【0030】
ボス芯金部21には、エアバッグ装置などのモジュール25が配置されている。ボス芯金部21とモジュール25とにより、ボス部27が構成されている。ボス部27の背面側が、裏カバー、下部カバーあるいはボディカバーなどとも呼ばれるカバー体で覆われている。
【0031】
スポーク芯金部22は、ボス芯金部21から放射状に設けられている。これらスポーク芯金部22の少なくとも一部により、ボス部27から放射状に延びるスポーク部28が構成されている。なお、スポーク部28は、必ずしもスポーク芯金部22を備えるものではなく、一部のスポーク部28は、スポーク芯金部22を備えずにフィニッシャやカバー体などにより構成されていてもよい。本実施の形態では、スポーク芯金部22は、ボス芯金部21の左右に2本設定され、下部に1本設定されており、それに応じて、スポーク部28も、左右に2本、下部に1本設定されている3本スポークのものを図示しているが、これに限らず、スポーク部28は2本でも4本以上でもよい。
【0032】
リム芯金部23は、全周に亘り連なる円環状、または、円弧状に形成されている。そして、スポーク芯金部22の端部からリム芯金部23に亘る部分が、被覆部30により覆われている。さらに、被覆部30の表面に、必要に応じて表皮体31が配置されている。スポーク芯金部22、被覆部30及び表皮体31により、車両の乗員(運転者)によって把持操作される把持部であるリム部(グリップ部)32が構成されている。リム部32は、リム芯金部23の形状に応じて、全周に亘り連なる円環状、または、円弧状に形成されている。
【0033】
被覆部30は、例えば合成樹脂などにより形成された樹脂層である。被覆部30は、例えば軟質の発泡ポリウレタン樹脂を微細発泡させたものなどが使用される。
【0034】
本実施の形態では、被覆部30に静電容量センサ1が配置されている。静電容量センサ1は、被覆部30に埋設されていてもよいし、被覆部30の表面に巻き付けられていてもよい。静電容量センサ1は、例えば担持体であるシート部材に担持されている。静電容量センサ1は、リム部32の任意の位置に配置することが可能である。本実施の形態において、静電容量センサ1は、図3(b)に示すように、リム芯金部23を包むようにリム部32の経線(メリディアン)方向または断面円周方向または小径方向に沿って湾曲され、リム部32の緯線(ロンジチュード)方向または正面視円周方向または大径方向に亘り延びて配置されている。つまり、電極3,4(図1(b))は、リム部32の経線方向に長手状に形成される。一例として、静電容量センサ1は、電極3(図1(b))をリム部32の外側、電極4(図1(b))をリム部32の内側つまり芯金20に近い側として配置される。静電容量センサ1の各電極3,4(図1(a))と電気的に接続される配線は、スポーク部28に配置されて、車体側に位置するECUなどの車載制御装置35と電気的に接続されている。車載制御装置35は、静電容量センサ1の検出結果に基づきリム部32の把持状態、すなわちリム部32を把持しているか否かを検出する検出部である。
【0035】
そして、静電容量センサ1は、リム部32に対する乗員(運転者)の接触及び非接触に応じて変化する合成静電容量の大きさに基づき、車載制御装置35においてリム部32の把持状態が検出される。
【0036】
乗員(運転者)がリム部32を把持すると、乗員(運転者)の手は、リム部32の外側の電極3と接地との間でコンデンサを形成し、所定の静電容量C1が生じる。また、乗員(運転者)がリム部32を把持していない状態では、電極3と接地との間には小さな寄生容量(浮遊容量)C2が生じている。したがって、静電容量センサ1では、その最大静電容量Cと、乗員(運転者)がリム部32を把持したときに生じる静電容量C1と、の合成静電容量と、その最大静電容量Cと、乗員(運転者)がリム部32を把持していないときの寄生容量C2と、の合成静電容量と、が大きく異なる。よって、この合成静電容量の変化に応じて、車載制御装置35がリム部32の把持状態を検出可能となる。
【0037】
このとき、本実施の形態では、対をなす電極3,4に設定した電極非設定部6,7の少なくとも一部が所定方向に重なり合わない位置に配置したことで、各電極3,4に電極非設定部6,7を過剰に形成することなく、センサとして作用しない非作用部11の面積を大きく設定することが可能になる。したがって、非作用部11の面積に応じて静電容量センサ1の最大静電容量を抑制しつつ、電極3,4の強度が過剰に低下することを抑制して、構造的強度を保つことが可能となる。
【0038】
しかも、電極3,4の外形を小さくすることなく非作用部11の面積を大きくできるので、静電容量センサ1による検出範囲の外縁が小さくなることがない。
【0039】
電極非設定部6,7として、例えば電極3,4に穴部を形成することで、電極非設定部6,7を容易に設定できる。
【0040】
このとき、電極非設定部6,7を円形状の穴部とすることで、電極非設定部6,7の周辺長さを抑制しつつ電極非設定部6,7の面積を大きく取り、かつ、電極非設定部6,7が角部を有しないので電極3,4に局部的な応力集中が生じにくく、電極非設定部6,7からの電極3,4の破損を抑制できる。
【0041】
そして、この静電容量センサ1をステアリングホイール15に用いることで、静電容量センサ1の検出結果に応じて、車載制御装置35によりリム部32の把持状態を容易に検出できるとともに、例えばリム部32が肥大化されている(断面径が大きく)場合や大径のリム部32に用いられる場合などでも、静電容量センサ1の最大静電容量が抑制されているため、静電容量センサ1のコンデンサに蓄えられる電気量(電気エネルギ)が、車載制御装置35が耐え得る電気エネルギを超えにくくできるとともに、静電容量センサ1をリム部32に取り付ける際や使用する際に電極3,4が破損しにくく、良好な強度や加工性を得ることができる。
【0042】
なお、静電容量センサ1の電極3,4の電極非設定部6,7は、所定方向から見て少なくとも一部が互いに重なっていてもよい。例えば、図4(a)及び図4(b)に示す第2の実施の形態のように、電極非設定部6と電極非設定部7とを、それらの一部が所定方向から見て重なる位置に設定することで、所定のラインL上で非作用部11が連ならないようにしてもよい。この場合には、非作用部11,11間に、静電容量センサ1(コンデンサ)が作用する作用部38が配置される。そのため、静電容量センサ1の最大静電容量を、第1の実施の形態と比較して大きく設定することが可能である。このように、電極非設定部6,7の重なりの度合いに応じて、非作用部11の面積、すなわち電極3,4のうち、電極として作用し得る面積を調整可能となることで、静電容量センサ1の最大静電容量を調整可能となる。
【0043】
また、例えば、図5及び図6に示す第3の実施の形態のように、リム部32の正面側に緯線方向に連なる非検出範囲A(図6)を設定したい場合には、図5(a)ないし図5(c)に示すように、電極3,4の長辺部(側縁部)に沿って電極非設定部6,7を配置し、所定方向(紙面に垂直な方向)から見て、電極3,4の電極非設定部6,7が、電極3,4の長辺部(側縁部)に沿って交互に位置するようにずらして配置することで、非作用部11がリム部32の正面側に緯線方向に連なるように静電容量センサ1をリム部32に配置する。これにより、上記の非検出範囲Aを、静電容量センサ1が作用しない範囲として設定可能となる。このように、電極3,4における電極非設定部6,7の形成位置を設定することで、リム部32において、静電容量センサ1により検出する範囲を任意に設定することが可能となる。
【0044】
なお、上記の各実施の形態において、静電容量センサ1は、車両用のステアリングホイール15に適用される車両用検出装置の一部として用いる他にも、任意の用途に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、例えば車両用のステアリングホイールのリム部の把持状態を検出する静電容量センサ、及びそれを備えるステアリングホイールとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 静電容量センサ
2 誘電体
3,4 電極
6,7 電極非設定部
15 ハンドルであるステアリングホイール
32 把持部であるリム部
35 検出部である車載制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6