(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173632
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ナット
(51)【国際特許分類】
F16B 39/26 20060101AFI20231130BHJP
F16B 37/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
F16B39/26 Z
F16B37/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086023
(22)【出願日】2022-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-15
(71)【出願人】
【識別番号】502145209
【氏名又は名称】株式会社浅川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】浅川 辰彦
【テーマコード(参考)】
3J034
【Fターム(参考)】
3J034AA08
3J034AA20
3J034BA17
3J034BA20
3J034BB01
3J034BB07
3J034DA03
3J034DA10
(57)【要約】
【課題】ナット本体と座金との摺動部に潤滑剤を安定して供給可能なナットを提供する。
【解決手段】ナット7は、内面に雌ねじ部13を有するナット本体11と、ナット本体11の一端部の外側部に、ナット本体11に対して回転可能に配置された座金10と、を備える。ナット本体11は、雌ねじ部13側から潤滑剤をナット本体11と座金10との摺動部に導く給脂部20を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に雌ねじ部を有するナット本体と、
このナット本体の一端部の外側部に、このナット本体に対して回転可能に配置された座金と、を備え、
前記ナット本体は、前記雌ねじ部側から潤滑剤を前記ナット本体と前記座金との摺動部に導く給脂部を有する
ことを特徴とするナット。
【請求項2】
給脂部は、ナット本体を内面から外側部に亘り貫通する穴部である
ことを特徴とする請求項1記載のナット。
【請求項3】
給脂部は、ナット本体の一端部に内面から外側部に亘り形成された溝部である
ことを特徴とする請求項1記載のナット。
【請求項4】
給脂部は、ナット本体の周方向に複数等配されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のナット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナット本体と、ナット本体に対して回転可能に配置された座金と、を備えるナットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型トラックやバス等のブレーキと車輪のディスクホイールとをハブに取り付ける取付部、あるいは、車輪のディスクホイールをハブに取り付ける取付部として、ボルト及びナットを備える締結部が用いられている。
【0003】
近年、ディスクホイールの座面を傷めにくく、かつ、十分な軸力を得るために、ナットとして、ナット本体に対して別体の座金が回転可能に一体的にかしめられている座金組込みナットが用いられる。この座金組込みナットの場合、締め付け時に摺動する部位は、雄ねじ部と雌ねじ部との間のねじ面、及び、ナット本体と座金との間の摺動面である。締結部の信頼性にとっては、必要な締結力を安定して確保することが重要である。そのため、潤滑した締め付け仕様の場合、ねじ面と摺動面とに必要十分な潤滑剤の塗布が必須である。
【0004】
例えば、ナット本体と座金との間の摺動面に、潤滑剤を保持可能な溝部や窪みが形成されたものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5-79029号公報
【特許文献2】実開平6-18720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような座金組込みナットの場合、ナット本体と座金とがかしめ構造により一体的に取り付けられている。ナット本体と座金との隙間が小さいことから、摺動面に潤滑剤を安定して供給することが困難な場合が多いだけでなく、隙間が小さい摺動面に潤滑剤を直接塗布することが煩雑であり、当該摺動面への潤滑剤の塗布が省略されがちである。このような座金組込みナットの構造の場合、通常のナットよりも座面積が小さく、高面圧での摺動となるため、摺動面に潤滑剤が適切に供給されていないと、かじり等の発生のリスクが高くなる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ナット本体と座金との摺動部に潤滑剤を安定して供給可能なナットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のナットは、内面に雌ねじ部を有するナット本体と、このナット本体の一端部の外側部に、このナット本体に対して回転可能に配置された座金と、を備え、前記ナット本体は、前記雌ねじ部側から潤滑剤を前記ナット本体と前記座金との摺動部に導く給脂部を有するものである。
【0009】
請求項2記載のナットは、請求項1記載のナットにおいて、給脂部は、ナット本体を内面から外側部に亘り貫通する穴部であるものである。
【0010】
請求項3記載のナットは、請求項1記載のナットにおいて、給脂部は、ナット本体の一端部に内面から外側部に亘り形成された溝部であるものである。
【0011】
請求項4記載のナットは、請求項1ないし3いずれか一記載のナットにおいて、給脂部は、ナット本体の周方向に複数等配されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、給脂部によって、ナット本体と座金との摺動部に潤滑剤を安定して供給可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は第1の実施の形態に係るナットの断面図、(b)は同上ナットのナット本体の断面図である。
【
図4】(a)は第2の実施の形態に係るナットの断面図、(b)は同上ナットのナット本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
図3に、車両用の車輪支持構造1の一例を示す。車輪支持構造1は、例えば車軸に固定された支持部であるハブ2に対し、被支持物であるブレーキドラム3及びディスクホイール4を固定するものである。これに限らず、ディスクブレーキを用いる車両において、ハブ2に対しディスクホイール4を固定するものでもよい。本実施の形態において、車両としては、例えば車両総重量が概ね11トン以上の大型トラック、あるいは、定員30人以上のバス等の大型車両(大型商用車)を例に挙げる。図示される例では、当該車両の後輪に車輪支持構造1を適用した状態を示し、当該後輪は、ディスクホイール4を車幅方向(
図3中の左右方向)に並列に2つ配置し、1輪につき同サイズのタイヤを2つ使用する、いわゆるダブルタイヤのものを示す。これに限らず、車輪支持構造1は、シングルタイヤの車輪に適用してもよいし、後輪に限らず、前輪等、任意の車輪に適用してよい。
【0016】
車輪支持構造1は、ボルト6と、ナット7と、を有する。ボルト6は、ブレーキドラム3の側面から外側に向かって突設され、周方向に等ピッチで複数、例えば8本または10本配置されるホイールボルトである。ボルト6は、ハブ2に形成された嵌合穴に嵌合されており、ブレーキドラム3及びディスクホイール4に形成された貫通穴に挿入され、その先端部の雄ねじ部8にナット7が螺合され、トルクレンチ等の工具により所定のトルクで締め付けられて固定される。一例として、ボルト6はねじの呼びM22×1.5のものが用いられる。
【0017】
ナット7は、ホイールナットと呼ばれる。
図1(a)及び
図3に示すように、ナット7は、座金10と、ナット本体11と、を備える。ナット7は、ナット本体11の一端部の外側部に、別体の座金10が回転可能に配置されている。図示される例では、ナット7は、ナット本体11の一端部の外側部に対し、別体の座金10が回転可能に一体的に組付けられた座金組込みナットである。
【0018】
座金10は、平面状の設置面、本実施の形態ではディスクホイール4の側面4aに設置されて、ナット本体11の座面圧を分散させるものである。座金10は、ナット本体11よりも大きい外形を有する平座金状に形成されている。すなわち、座金10は、中央部が開口された円環状に形成されている。座金10は、外側面10a及び内側面10bがそれぞれ円形状を呈し、軸方向に延びる円筒状となっている。内側面10bは、一端部側が拡径されている。また、座金10は、側面4aに対向して側面4aに密着する座面10cを一端部に有する。座面10cは、軸直方向に延びる平面状であり、外縁部が外側面10aと連なり、内縁部が内側面10bと連なっている。また、座金10は、座面10cとは反対側の端部である他端部に、ナット本体11と軸方向に対向する対向面である摺動面10dを有する。摺動面10dは、座金10の軸直方向に沿う平面状でもよいし、軸直方向に対して傾斜していてもよい。本実施の形態では、摺動面10dは、軸直方向対して他端部側(
図1(a)に示す上側)に所定角度、例えば15°傾斜する傾斜面状に形成されている。また、摺動面10dは、内縁部が内側面10bと連なり、外縁部が端面10eと連なっている。端面10eは、外縁部が外側面10aと連なっている。図示される例では、端面10eは、軸直方向に対して一端部側(
図1(a)に示す下側)に傾斜する傾斜面状に形成されている。端面10eは、ナット本体11の外方に位置し、ナット本体11と軸方向に対向しない面となっている。
【0019】
ナット本体11は、ボルト6の雄ねじ部8と螺合する雌ねじ部13を内面に有する筒状に形成されている。ナット本体11は、座金10に隣接するナット頭部15を有する。ナット頭部15は、ナット7をボルト6に螺着して取り付けた状態で、座金10に対して露出する部分である。
図2に示すように、ナット頭部15の外側面15aは、六角形状を呈している。本実施の形態では、外側面15aは、座金10の摺動面10dの外形に内接または略内接する六角形状となっている。また、ナット頭部15の一端部は、座金10の摺動面10dと軸方向に対向する対向面である摺動面15bとなっている。摺動面15bは、ナット本体11の軸直方向に沿う平面状でもよいし、軸直方向に対して傾斜していてもよい。本実施の形態において、摺動面15bは、ナット本体11の軸直方向に対して他端部側(
図1(a)に示す上側)に所定角度、例えば15°傾斜している。摺動面15bの外縁部が外側面15aと連なっている。摺動面15bと摺動面10dとが、座金10とナット本体11との一方が他方に対して回転するときに互いに摺動する摺動部となっている。
【0020】
ナット頭部15の一端部には、座金10に挿入される内挿部17が延出されている。内挿部17が一端部側に向かい僅かに拡径されるようにかしめ変形等により変形されることにより、座金10に対してナット本体11が一体的に組付けられている。
【0021】
内挿部17は、ナット頭部15よりも外形が小さく形成されている。内挿部17は、ナット頭部15と同軸または略同軸の円筒状に形成されている。内挿部17は、座金10の軸方向長さよりも短く、座金10の一端部から突出しないように配置される。内挿部17の外側面17aは、座金10の内側面10bと径方向に対向している。内挿部17の外側面17aは、ナット頭部15の摺動面15bの内縁部と連なっている。内挿部17の内側面17bは、ナット頭部15の内側面15bと一連の面を構成する。
【0022】
そして、ナット本体11には、給脂部20が形成されている。給脂部20は、雌ねじ部13側から潤滑剤をナット本体11と座金10との摺動部、すなわち摺動面15bと摺動面10dとの間に導く油路である。給脂部20は、ナット本体11の内側から外側に亘り径方向に延びて形成されている。本実施の形態において、給脂部20は、ナット本体11を内面から外側部に亘り貫通する小径の穴部である。図示される例では、給脂部20は、内挿部17を径方向に貫通して形成されている。例えば、この給脂部20は、ナット本体11をドリル等の工具により切削、または、放電加工して形成されている。すなわち、本実施の形態の給脂部20は、ナット本体11の外形を成形型により成形した後に別工程で形成されている。
【0023】
給脂部20は、ナット本体11の外側部側である外側面17aに開口される端部である開口部20aが内挿部17の他端部、つまりナット頭部15と連なる位置に近接して位置する。すなわち、開口部20aは、摺動面15bに臨んで、または、摺動面15bに近接して位置する。図示される例では、開口部20aは、座金10の内側面10bと対向する位置にある。
【0024】
また、好ましくは、給脂部20は、ナット本体11の内面側、本実施の形態では雌ねじ部13に開口される端部である開口部20bが、例えば1ピッチ~2ピッチ程度の大きさに形成されている。一例として、開口部20bは、直径1mm~3mm程度の大きさに形成されている。開口部20bの面積は、開口部20aと等しくてもよいし、開口部20aよりも大きくてもよい。また、図示される例では、給脂部20は、ナット本体11において、軸直方向に延びる直線状に形成されているが、これに限らず、軸直方向に対し傾斜して形成されていてもよい。
【0025】
本実施の形態において、
図1(b)に示すように、給脂部20は、ナット本体11の周方向に複数等配されている。図示される例では、給脂部20は、4つ形成され、ナット本体11の周方向に90°ずつ等配されている。
【0026】
そして、ナット7は、まず、座金10とナット本体11とを別個に成形する。本実施の形態では、ナット本体11は、六角筒状に成形し、給脂部20を形成する。この後、ナット本体11の内挿部17を座金10に挿入し、内挿部17をかしめ変形して座金10とナット本体11とを一体的に組み付け、ナット本体11の内面に雌ねじ部13を形成する。
【0027】
完成したナット7は、雌ねじ部13に潤滑剤を塗布し、ハブ2の嵌合穴に嵌合しブレーキドラム3及びディスクホイール4の貫通穴に挿入して潤滑剤を塗布したボルト6の雄ねじ部8に対して螺着し、トルクレンチ等の工具によってナット本体11を締め付けて固定する。
【0028】
このとき、本実施の形態によれば、ナット本体11に給脂部20を形成したことにより、ボルト6の雄ねじ部8に塗布された流体状の潤滑剤が、ナット7のナット本体11のねじ込みにしたがい給脂部20を介してナット本体11と座金10との摺動部に導かれる。つまり、ナット7をボルト6に対して締め付け固定する前の、座金10とナット本体11とが互いに回転可能である着座前の段階では、座金10とナット本体11との間に僅かに隙間が形成されていることを利用して、ボルト6の雄ねじ部8に塗布された潤滑剤を給脂部20によってこの隙間に導く。この結果、露出していて潤滑剤の塗布が容易な雌ねじ部13及びボルト6の雄ねじ部8に潤滑剤を塗布してナット7を締め付けるだけで、外側部からでは潤滑剤を直接塗布しにくいナット本体11と座金10との摺動部である摺動面15b,10d間に対し、潤滑剤を安定して供給可能となる。
【0029】
特に、大型のタイヤを多数有する大型車両の場合、一台につき数十個のナット7が取り付けられるため、ナット本体11と座金10との摺動部にナット本体11の外側部から潤滑剤を塗布する等の煩雑な作業を要することなく、潤滑剤の塗布が容易な雌ねじ部13及びボルト6の雄ねじ部8に潤滑剤を塗布してナット7をねじ込むだけで上記の摺動部に潤滑剤を塗布可能となることにより、ナット7の取付作業を短時間で実施できる。
【0030】
また、給脂部20を、ナット本体11を内面から外側部に亘り貫通する穴部とすることで、ナット本体11を成形するための成形型を従来のものから変更したり加工したりすることなくそのまま用いて、後工程で給脂部20を形成可能となる。したがって、ナット7の製造コストを抑制可能となる。
【0031】
給脂部20がナット本体11の周方向に複数等配されているため、複数の給脂部20から、ナット本体11と座金10との摺動部に潤滑剤を均等に行き渡らせることができる。
【0032】
そこで、ナット本体11と座金10との摺動部の潤滑を補填し、必要な締結力を安定して確保することができるので、特にナット7の脱落に起因する車両の脱輪防止に効果が大きい。
【0033】
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図4を参照して説明する。
【0034】
第2の実施の形態のナット7は、給脂部20が、ナット本体11の一端部に内面から外側部に亘り形成された溝部となっている。給脂部20は、ナット本体11の一端部(
図4(a)中の下端部)を切り欠いて形成されている。給脂部20は、軸方向に窪み、径方向に延びて形成されている。
【0035】
例えば、給脂部20は、ナット本体11の成形型によって形成されている。すなわち、ナット本体11の成形型に、給脂部20を形成するための突起部が予め備えられている。
【0036】
本実施の形態において、給脂部20の深さは、内挿部17の軸方向長さに亘っている。そのため、内挿部17は、給脂部20によって、周方向に複数の内挿片21に分割されている。
【0037】
また、給脂部20は、ナット本体11の周方向に1または複数形成されている。好ましくは、
図4(b)に示すように、給脂部20は、3つ以上形成されている。図示される例では、給脂部20は、3つ形成され、ナット本体11の周方向に120°ずつ等配されている。
【0038】
この第2の実施の形態に係るナット7のその他の構成は、第1の実施の形態と基本的に同一である。
【0039】
そして、ナット7は、まず、座金10とナット本体11とを別個に成形する。本実施の形態では、ナット本体11は、成形時に給脂部20が形成される。この後、ナット本体11の内挿部17を座金10に挿入し、内挿部17をかしめ変形して座金10とナット本体11とを一体的に組み付け、ナット本体11の内面に雌ねじ部13を形成する。
【0040】
完成したナット7は、雌ねじ部13に潤滑剤を塗布し、ハブ2の嵌合穴に嵌合しブレーキドラム3及びディスクホイール4の貫通穴に挿入して潤滑剤を塗布したボルト6の雄ねじ部8に対して螺着し、トルクレンチ等の工具によってナット本体11を締め付けて固定する。
【0041】
このとき、本実施の形態によれば、ナット本体11に給脂部20を形成する等、第1の実施の形態と同様の構成を有することにより、潤滑剤の塗布が容易な雌ねじ部13及びボルト6の雄ねじ部8に潤滑剤を塗布してナット7を締め付けるだけで、外側部からでは潤滑剤を直接塗布しにくいナット本体11と座金10との摺動部に対し、潤滑剤を安定して供給可能となる等、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0042】
また、給脂部20を、ナット本体11の一端部に内面から外側部に亘り形成された溝部とすることで、ナット本体11を成形するための成形型によってナット本体11の成形時に給脂部20を成形できる。したがって、給脂部20を形成するための個別の工程が不要であり、ナット7を短時間に精度よく形成可能となる。
【0043】
さらに、給脂部20がナット本体11の周方向に複数等配されているため、複数の給脂部20から、ナット本体11と座金10との摺動部に潤滑剤を均等に行き渡らせることができる。また、給脂部20をナット本体11の周方向に3つ以上形成することで、円筒状の内挿部17が給脂部20によって3つ以上の内挿片21に分割される。そこで、ナット本体11を座金10に組み付ける際に、内挿部17を一端部側に向かい僅かに拡径されるようにかしめるときに、内挿片21が2つ以下の場合よりも、内挿片21を径方向に拡径させやすいので、ナット本体11と座金10との組み付けが容易になる。
【符号の説明】
【0044】
7 ナット
10 座金
11 ナット本体
13 雌ねじ部
20 給脂部
【手続補正書】
【提出日】2022-08-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
請求項1記載のナットは、一端部に対向面を備えるナット頭部と、このナット頭部の一端部から突出する内挿部と、前記ナット頭部と前記内挿部とに亘る内面に形成された雌ねじ部と、を有するナット本体と、前記対向面と軸方向に対向する摺動面と、内部に挿入された前記内挿部と径方向に対向する内側面と、を有し、前記ナット本体の一端部の外側部に、このナット本体に対して回転可能に配置された座金と、を備え、前記ナット本体は、ボルトの雄ねじ部の前記雌ねじ部への螺合にしたがい前記雌ねじ部側から潤滑剤を少なくとも前記対向面及び前記摺動面を含む前記ナット本体と前記座金との摺動部に導く給脂部を有するものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
6 ボルト
7 ナット
8 雄ねじ部
10 座金
10b 内側面
10d 摺動面
11 ナット本体
13 雌ねじ部
15 ナット頭部
15b 対向面である摺動面
17 内挿部
20 給脂部
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に対向面を備えるナット頭部と、このナット頭部の一端部から突出する内挿部と、前記ナット頭部と前記内挿部とに亘る内面に形成された雌ねじ部と、を有するナット本体と、
前記対向面と軸方向に対向する摺動面と、内部に挿入された前記内挿部と径方向に対向する内側面と、を有し、前記ナット本体の一端部の外側部に、このナット本体に対して回転可能に配置された座金と、を備え、
前記ナット本体は、ボルトの雄ねじ部の前記雌ねじ部への螺合にしたがい前記雌ねじ部側から潤滑剤を少なくとも前記対向面及び前記摺動面を含む前記ナット本体と前記座金との摺動部に導く給脂部を有する
ことを特徴とするナット。
【請求項2】
給脂部は、ナット本体を内面から外側部に亘り貫通する穴部である
ことを特徴とする請求項1記載のナット。
【請求項3】
給脂部は、ナット本体の一端部に内面から外側部に亘り形成された溝部である
ことを特徴とする請求項1記載のナット。
【請求項4】
給脂部は、ナット本体の周方向に複数等配されている
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のナット。