(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173637
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/32 20060101AFI20231130BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20231130BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
H05K3/32 B
H01L21/60 311T
H05K3/34 504B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086033
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小泉 洋
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 敏暢
(72)【発明者】
【氏名】進藤 修
(72)【発明者】
【氏名】須永 誠寿郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康生
(72)【発明者】
【氏名】牧田 光悦
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡史
【テーマコード(参考)】
5E319
5F044
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC02
5E319AC04
5E319BB11
5E319CC03
5E319CC12
5E319CC61
5E319CD04
5E319GG01
5F044KK02
5F044KK03
5F044LL09
5F044LL11
5F044PP15
5F044RR01
(57)【要約】
【課題】加圧対象物に加わる荷重量を均一にすることを可能とする基板処理装置を提供する。
【解決手段】加圧対象物である基板2が配置される下治具プレート46と、下治具プレート46を支持する複数の柱状部材50が設置される設置部52を有する支持部材45と、を有し、複数の柱状部材50は、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて、設置部52に設置可能となっている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧対象物が配置される下治具プレートと、
前記下治具プレートを支持する複数の柱状部材が設置される設置部を有する支持部材と、を有し、
複数の前記柱状部材は、前記下治具プレートに加わる荷重の面内分布に応じて、前記設置部に設置可能となっている基板処理装置。
【請求項2】
前記設置部には、複数の前記柱状部材がそれぞれ設置される複数の設置孔が形成されている請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
複数の前記設置孔の径は、前記下治具プレートに加わる荷重の面内分布に応じて異なっている請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
複数の前記設置孔は同心円状に配置されている請求項2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数の前記柱状部材のいずれか1つは、連結部材を介して、前記下治具プレートに連結されている請求項1~3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記連結部材を介して前記下治具プレートに連結されたいずれかの前記柱状部材は、加圧対象物を加圧するための加圧軸の下方に配置されている請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
複数の前記柱状部材のいずれかは、連結部材を介して、前記下治具プレートおよび前記設置部に連結されている請求項1~3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項8】
複数の柱状部材のいずれかは、前記下治具プレートおよび前記設置部に連結されることなく、前記設置部に設置されている請求項1~3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記下治具プレートおよび前記設置部に連結されていないいずれかの前記柱状部材は、放熱性部材を介して、前記下治具プレートに当接している請求項8に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数の素子が配置された基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の素子からなる素子アレイを基板上に形成する技術では、複数の素子と基板との機械的な接合の強度や接合の安定性の向上を図るために、基板処理装置を用いて、複数の素子が配置された基板に対し複数の素子を平板で押し付ける処理が行われる(例えば特許文献1)。
【0003】
この種の処理を実行する基板処理装置として、例えば、加圧対象物(複数の素子が配置された基板)が配置される下治具プレートと、下治具プレートに配置された加圧対象物を加圧する上治具プレートと、を有する基板処理装置が用いられる。下治具プレート上で、複数の素子が配置された基板を上治具プレートで加圧することにより、当該基板に荷重が与えられ、これに伴い、複数の素子を当該基板に対して押し付けることが可能となっている。
【0004】
近年では、基板に配置される素子のサイズ(高さ)は数μm程度まで微細化しており、下治具プレートあるいは上治具プレートの表面の平行度や平坦度等が数μm程度でばらつくと、上治具プレートによって、基板上の複数の素子に対して均一な荷重を与えることが困難となり、複数の素子と基板との間で接合不良が発生するおそれがある。
【0005】
また、上治具プレートで基板を加圧するときには、下治具プレート等に少なからず撓みが生じ、基板に対して均一な荷重を与えることが困難となる。そのため、無負荷状態において、上治具プレートや下治具プレートの表面の平行度や平坦度等をある程度確保することができたとしても、基板加圧時における荷重分布の不均一性に起因して、複数の素子と基板との間で接合不良が生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、加圧対象物に加わる荷重量を均一にすることを可能とする基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板処理装置は、
加圧対象物が配置される下治具プレートと、
前記下治具プレートを支持する複数の柱状部材が設置される設置部を有する支持部材と、を有し、
複数の前記柱状部材は、前記下治具プレートに加わる荷重の面内分布に応じて、前記設置部に設置可能となっている。
【0009】
本発明に係る基板処理装置は、下治具プレートを支持する複数の柱状部材が設置される設置部を有する支持部材を有し、複数の柱状部材は、下治具プレートに加わる荷重の面内分布に応じて、設置部に設置可能となっている。例えば、下治具プレートに加わる荷重が相対的に小さくなる位置では、支持部材から下治具プレートに大きな支持力が与えられるように、複数の柱状部材を設置部に設置することにより、下治具プレートを撓みにくくし、下治具プレートに加わる荷重を増大させることが可能となる。また、下治具プレートに加わる荷重が相対的に大きくなる位置では、支持部材から下治具プレートに小さな支持力が与えられるように、複数の柱状部材を設置部に設置することにより、下治具プレートを撓みやすくし、下治具プレートに加わる荷重を減少させることが可能となる。これにより、下治具プレートの各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレートの撓みを調整し、加圧対象物に加わる荷重を均一にすることができる。
【0010】
また、複数の柱状部材を設置部に設置することにより、複数の柱状部材の位置決めが容易になるとともに、複数の柱状部材の位置ずれを防止し、安定した状態で、複数の柱状部材で下治具プレートを支持することができる。
【0011】
なお、加圧対象物に加わる荷重を均一にする手段として、荷重印加時における下治具プレートの撓み量を実質的に0にするという観点から、下治具プレートを高剛性材料等で構成したり、あるいは下治具プレートを堅牢な(剛性の高い)フレームに固定する等の手段が挙げられるが、このような手段を用いる場合、基板処理装置の大型化、高重量化あるいは高コスト化が問題となる。また、そもそも従来技術では下治具プレートの撓み量を数μm程度に抑えることは技術的に困難であった。本発明に係る基板処理装置では、下治具プレートに撓みが生じることを許容しつつ、当該撓みの撓み量を柔軟に調整することにより、簡易な手段で、加圧対象物に加わる荷重を均一にすることを可能としている。
【0012】
好ましくは、前記設置部には、複数の前記柱状部材がそれぞれ設置される複数の設置孔が形成されている。このような構成とすることにより、複数の柱状部材をそれぞれ複数の設置孔に設置するのみで、下治具プレートに加わる荷重の面内分布に応じた適切な位置に複数の柱状部材を位置決めすることができる。
【0013】
好ましくは、複数の前記設置孔の径は、前記下治具プレートに加わる荷重の面内分布に応じて異なっている。例えば、下治具プレートに加わる荷重が相対的に小さくなる位置では、設置穴の径を大きくし、径の大きな柱状部材を設置することにより、支持部材から下治具プレートに大きな支持力が与えられ、下治具プレートを撓みにくくし、下治具プレートに加わる荷重を増大させることが可能となる。また、下治具プレートに加わる荷重が相対的に大きくなる位置では、設置穴の径を小さくし、径の小さな柱状部材を設置することにより、下治具プレートを撓みやすくし、下治具プレートに加わる荷重を減少させることが可能となる。これにより、下治具プレートの各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレートの撓みを調整し、加圧対象物に加わる荷重を均一にすることができる。
【0014】
好ましくは、複数の前記設置孔は同心円状に配置されている。同心円状に配置された複数の設置孔に複数の柱状部材を設置し、複数の柱状部材を同心円状に配置することにより、下治具プレートの各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレートの撓みを調整しやすくなり、加圧対象物に加わる荷重の均一化を効果的に図ることができる。
【0015】
複数の前記柱状部材のいずれか1つは、連結部材を介して、前記下治具プレートに連結されていてもよい。このような構成とすることにより、連結部材を介して、複数の柱状部材のいずれか1つを下治具プレートに強固に固定することが可能となり、当該柱状部材が配置された位置において、下治具プレートを撓みにくくし、下治具プレートに加わる荷重を効果的に増大させることが可能となる。
【0016】
好ましくは、前記連結部材を介して前記下治具プレートに連結されたいずれかの前記柱状部材は、加圧対象物を加圧するための加圧軸の下方に配置されている。加圧軸の下方では、下治具プレートの撓みにより、下治具プレートに加わる荷重量が相対的に小さくなる場合があり、このような位置に配置された柱状部材を、連結部材を介して、下治具プレートに連結することにより、当該位置において、下治具プレートの撓みを効果的に防止することができる。
【0017】
複数の前記柱状部材のいずれかは、連結部材を介して、前記下治具プレートおよび前記設置部に連結されていてもよい。いずれかの柱状部材を下治具プレートだけでなく設置部にも連結することにより、当該柱状部材が配置された位置において、下治具プレートの撓みをより効果的に防止することができる。
【0018】
複数の柱状部材のいずれかは、前記下治具プレートおよび前記設置部に連結されることなく、前記設置部に設置されていてもよい。このような柱状部材を下治具プレートに加わる荷重が相対的に大きくなる位置に設置することにより、下治具プレートを撓みやすくし、下治具プレートに加わる荷重を減少させることができる。
【0019】
好ましくは、前記下治具プレートおよび前記設置部に連結されていないいずれかの前記柱状部材は、放熱性部材を介して、前記下治具プレートに当接している。このような構成とすることにより、放熱性部材を介して、下治具プレートの熱を柱状部材に伝達させるとともに、柱状部材を介して、当該熱を外部に放熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】
図1Aは本発明の一実施形態に係る基板処理装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1Aに示す基板処理装置の加圧対象である基板を示す図である。
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに示す基板加圧部の下治具プレートに撓みを発生させたときの状態を示す拡大側面図である。
【
図4】
図4は
図3Aに示す基板加圧部のIV-IV線に沿う断面図である。
【
図5A】
図5Aは複数の柱状部材で下治具プレートを支持しなかった場合において感圧紙に加わる荷重の面内分布を示す図である。
【
図5B】
図5Bは複数の柱状部材で下治具プレートを支持したときに感圧紙に加わる荷重の面内分布を示す図である。
【
図7A】
図7Aは複数の柱状部材の他の配置例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは
図7Aに示す配置で複数の柱状部材を配置したときに基板あるいは下治具プレートに加わる荷重の面内分布を示す図である。
【
図8A】
図8Aは複数の柱状部材の他の配置例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは
図8Aに示す配置で複数の柱状部材を配置したときに基板あるいは下治具プレートに加わる荷重の面内分布を示す図である。
【
図9A】
図9Aは複数の柱状部材の他の配置例を示す図である。
【
図9B】
図9Bは
図9Aに示す配置で複数の柱状部材を配置したときに基板あるいは下治具プレートに加わる荷重の面内分布を示す図である。
【
図10B】
図10Bは
図10Aに示す配置で複数の柱状部材を配置したときに基板あるいは下治具プレートに加わる荷重の面内分布を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、複数の柱状部材を設置部および/または下治具プレートに固定するときの固定態様を示す図である。
【
図13B】
図13Bは、複数の柱状部材を設置部および/または下治具プレートに固定するときの固定態様を示す他の図である。
【
図13C】
図13Cは、複数の柱状部材を設置部および/または下治具プレートに固定するときの固定態様を示す他の図である。
【
図14A】
図14Aは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す図である。
【
図14B】
図14Bは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【
図14C】
図14Cは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【
図14D】
図14Dは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【
図14E】
図14Eは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【
図14F】
図14Fは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【
図14G】
図14Gは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【
図14H】
図14Hは、複数の設置孔が形成された設置部に複数の柱状部材を設置するときの設置態様を示す他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0022】
図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る基板処理装置10は、複数の素子4a,4b,4cからなる素子アレイ4(
図2)を基板2上に形成するための装置であり、複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2に対し、複数の素子4a,4b,4cを所定の手段で押し付ける処理を行うことにより、複数の素子4a,4b,4cと基板2との機械的な接合の強度や接合の安定性の向上を図るためのものである。すなわち、基板処理装置10は、素子アレイ4を基板2上に形成するにあたって、加圧部(加圧装置)として機能する。
【0023】
基板2の材質は、例えばガラスエポキシ材である。ただし、基板2の材質は、これに限定されるものではなく、例えば、ガラス基板としてSiO2あるいはAl2O3で構成されてもよく、あるいはフレキシブル基板としてポリイミド、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ウレタン、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のエラストマー等、さらにはグラスウール等で構成されてもよい。
【0024】
基板2の表面には、例えば図示しない導電性接合材料が予め形成されている。この導電性接合材料は、異方性導電粒子接続あるいはバンプ圧接接続等により、基板2と素子4a,4b,4cとを電気的および機械的に接続し、加熱により硬化する。導電性接合材料としては、例えばACF、ACP、NCFあるいはNCP等が挙げられる。導電性接合材料の厚みは、好ましくは、1.0~10000μmである。
【0025】
基板2には、配線が所定のパターンで形成されており、この配線に素子4a,4b,4cの電極を導電性接合材料を介して接続することが可能となっている。
【0026】
素子4a,4b,4cは、基板2上にアレイ状に配置される。アレイ状とは、決められたパターンに従って複数行複数列に素子4a,4b,4cが配置された状態をいい、行方向と列方向の間隔は同一でもよく、あるいは相違していてもよい。
【0027】
素子4a,4b,4cは、ディスプレイ用の表示基板にRGBの各画素として配列され、またバックライトの発光体として照明基板に配列される。素子4aは赤色光素子であり、素子4bは緑色発光素子であり、素子4cは青色発光素子である。ただし、基板2に配置される素子は、これらの素子に限定されるものではない。
【0028】
本実施形態における素子4a,4b,4cは、マイクロ発光素子(マイクロLED素子)であり、そのサイズ(幅×奥行き)は、例えば5μm×5μm~50μm×50μmである。また、素子4a~4cの厚み(高さ)は、例えば50μm以下である。
【0029】
基板処理装置10は、架台20と、荷重発生部30と、基板加圧部40とを有する。図面において、X軸は架台20の幅方向に対応し、Y軸は架台20の奥行方向に対応し、Z軸は架台20の高さ方向に対応するものとする。
【0030】
架台20は、例えば金属の筐体で構成され、架台上部21と、可動加圧部22と、架台下部23と、ガイドブッシュ24と、ガイドシャフト25と、を有する。架台下部23は、架台20の土台部分(テーブル)を構成しており、所定の高さを有する。図示の例では、架台下部23の内部には中空部が形成されているが、架台下部23の形状はこれに限定されるものではなく、架台下部23の内部が中実になっていてもよい。
【0031】
架台下部23の四隅には、4本のガイドシャフト25の下端部が固定(挿入)されている。これらのガイドシャフト25は、それぞれ所定の長さを有し、Z軸方向に直立した状態で配置されている。各ガイドシャフト25の下端部は架台下部23に固定され、各ガイドシャフト25の上端部は架台上部21に固定されている。ガイドシャフト25は、架台上部21と架台下部23との間に配置された可動加圧部22の四隅を貫通している。これらのガイドシャフト25は、架台上部21を支持する役割を果たすとともに、可動加圧部22をZ軸方向に沿って上下に摺動可能に支持する役割を果たす。
【0032】
可動加圧部22は、矩形状を有する板体(剛体)からなり、架台下部23と架台上部21との間に位置する。可動加圧部22は、荷重発生部30から荷重を受けることにより、4本のガイドシャフト25に沿って、上下方向に摺動自在に構成されている。
図1Bに示すように、可動加圧部22は、基板加圧部40の上面に当接し、これを加圧することにより、基板加圧部40に例えば0~100kN程度の荷重を与える。可動加圧部22は、基板加圧部40に対して平行に当接していることが好ましく、その平行度Aは1μm≦A<2μmであることが好ましい。
【0033】
図1Aに示すように、可動加圧部22の四隅には、4つの貫通孔220がそれぞれ形成されており、これらの貫通孔220の内部には、4本のガイドシャフト25がそれぞれ挿入されている。可動加圧部22の下面(Z軸負方向側の面)には、4つの貫通孔220に対応する位置で、4つのガイドブッシュ24が固定されている。ガイドブッシュ24は、可動加圧部22による上下方向への移動時において、可動加圧部22の滑りを良くする(ガイドシャフト25に対する摩擦を低減する)機能を有するとともに、貫通孔220の軸心に対するガイドシャフト25の位置決めを容易に実現させる機能を有する。
【0034】
架台上部21は、架台20の天井部分を構成している。架台上部21の下面の四隅には、4本のガイドシャフト25の上端部が固定(挿入)されている。架台上部21の中央部には、荷重発生部30が固定されている。荷重発生部30は、例えば加圧用シリンダ、サーボプレス、モータ、あるいはアクチュエータ等の装置で構成されており、可動加圧部22に荷重を印加する役割を果たす。なお、図面が煩雑になるのを防止するため、可動加圧部22の詳細構成については図示を省略し、その一部の構成のみを図示している。
【0035】
荷重発生部30は、可動加圧部22の中央領域221をプレスヘッド(図示略)で加圧することにより、可動加圧部22に荷重を与える。これにより、可動加圧部22は下方に移動し、基板加圧部40を加圧する結果、基板加圧部40において、加圧対象物(複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2)に荷重を与えることが可能となっている。
【0036】
図3Aに示すように、基板加圧部40は、上側ステージ41と、下側ステージ42と、上側搭載部43と、上治具プレート44と、支持部材45と、下治具プレート46と、を有する。上側ステージ41は、可動加圧部22の下面に設けられており、下側ステージ42は、架台下部23の上面に設けられている。上側ステージ41および下側ステージ42の厚みは、それぞれ基板2の厚みよりも厚くなっている。上側ステージ41および下側ステージ42は、それぞれ同一形状を有し、各々のX軸方向幅は、上側搭載部43および支持部材45の各々のX軸方向幅よりも大きくなっている。なお、上側ステージ41および下側ステージ42の形状は図示の形状に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0037】
上側ステージ41は、平板状の板体(剛体)からなり、表面精度(例えば平坦性や平滑性等)が比較的高い部材で構成されていることが好ましい。例えば、上側ステージ41の上面の表面精度は、可動加圧部22の下面の表面精度よりも優れていることが好ましく、当該表面精度よりも、凹凸が少なく(平滑であり)、水平面に対する傾斜が小さくなっている(平坦である)ことが好ましい。
【0038】
このように、表面精度に優れた上側ステージ41を可動加圧部22の下面に固定しておくことにより、上側ステージ41の下面に上側搭載部43を固定したときに、上側搭載部43あるいはこれに搭載される上治具プレート44を水平面に対して傾斜させることなく、安定した状態で配置することが可能となる。
【0039】
下側ステージ42は、平板状の板体(剛体)からなり、表面精度(例えば平坦性や平滑性等)が比較的高い部材で構成されていることが好ましい。例えば、下側ステージ42の上面の表面精度は、架台下部23の上面の表面精度よりも優れていることが好ましく、当該表面精度よりも、凹凸が少なく(平滑であり)、水平面に対する傾斜が小さくなっている(平坦である)ことが好ましい。
【0040】
このように、表面精度に優れた下側ステージ42を架台下部23の上面に固定しておくことにより、下側ステージ42の上面に支持部材45を固定したときに、支持部材45あるいはこれに支持される下治具プレート46を水平面に対して傾斜させることなく、安定した状態で配置することが可能となる。
【0041】
上側搭載部43は、平板状の外観形状を有し、上側ステージ41の下面に固定されている。上側搭載部43には上治具プレート44が搭載される。上側搭載部43は、上治具プレート44を支持する役割を果たす。
【0042】
上治具プレート44は、平板状の板体(剛体)からなり、上側搭載部43の下面に固定(搭載)されている。上治具プレート44は、下治具プレート46に配置された基板2を加圧する機能を有する。上治具プレート44には、加熱機能(例えばヒータ)が内蔵されており、上治具プレート44で基板2を加圧するときに、上治具プレート44によって基板2を加熱することが可能となっている。例えば、複数の素子4a,4b,4cと基板2との接続にあたって導電性接合材料を用いる場合には、基板2を加熱することにより、基板2に対して複数の素子4a,4b,4cを良好に接続させることが可能となり、基板2とその上に配置された複数の素子4a,4b,4cとの接合力を高めることが可能となっている。
【0043】
上治具プレート44は、表面精度が比較的高い部材で構成されていることが好ましい。上治具プレート44の下面の表面精度は、例えば上側ステージ41の下面の表面精度よりも優れていることが好ましく、当該表面精度よりも、凹凸が少なく(平滑であり)、水平面に対する傾斜が小さくなっている(平坦である)ことが好ましい。上治具プレート44の表面(特に下面)の表面粗さRaは、好ましくはRa≦1μmである。
【0044】
このように、上治具プレート44の表面精度を高めておくことにより、上治具プレート44の下面で下治具プレート46に配置された基板2を加圧するときに、基板2に加わる荷重のムラを低減し、基板2上の複数の素子4a,4b,4cに対して均一な荷重を与えることができる。
【0045】
下治具プレート46は、平板状の板体(剛体)からなり、支持部材45によって支持されている。下治具プレート46は、上治具プレート44と略同一からなる形状を有し、上治具プレート44に対して対向して配置されている。下治具プレート46には、加圧対象物である基板2を配置することが可能となっている。上治具プレート44と同様に、下治具プレート46には、加熱機能(例えばヒータ)が内蔵されており、上治具プレート44で基板2を加圧するときに、下治具プレート46(および上治具プレート44)によって基板2を加熱することが可能となっている。
【0046】
下治具プレート46は、表面精度が比較的高い部材で構成されていることが好ましい。下治具プレート46の上面の表面精度は、例えば下側ステージ42の上面の表面精度よりも優れていることが好ましく、当該表面精度よりも、凹凸が少なく(平滑であり)、水平面に対する傾斜が小さくなっている(平坦である)ことが好ましい。
【0047】
下治具プレート46の表面(特に上面)の表面粗さRaは、上治具プレート46の表面の表面粗さRaと同様に、好ましくはRa≦1μmである。また、下治具プレート46と上治具プレート44との平行度Aは、A≦1μmであることが好ましい。
【0048】
このように、下治具プレート46の表面精度を高めておくことにより、上治具プレート44の下面で下治具プレート46に配置された基板2を加圧するときに、上治具プレート44の下面と基板2とが平行になり(密着し)、上述した基板2に加わる荷重分布の均一性を高める効果を得ることができる。
【0049】
上治具プレート44および下治具プレート46の表面精度をある程度確保することができたとしても、上治具プレート44で基板2を加圧するときには、下治具プレート46に少なからず撓みが生じ、下治具プレート46と上治具プレート44との間の接触性(密着性)が不良になる等の理由により、基板2(あるいは、基板2に配置された複数の素子4a,4b,4c)に対して均一な荷重を与えることが困難となり、基板2と複数の素子4a,4b,4cとの接合状態にばらつきが発生するおそれがある。
【0050】
すなわち、基板2には、相対的に見たときに、小さな面圧が加わることにより荷重が減少する方向に変動する領域と、大きな面圧が加わることにより荷重が増大する方向に変動する領域とが形成され、基板2の荷重分布が不均一となる。そこで、本実施形態における基板処理装置10では、支持部材45に、この基板2の加圧時における荷重分布の不均一性を解消するための手段を具備させている。以下、支持部材45の詳細について説明する。
【0051】
支持部材45は、下側ステージ42の上面に固定され、下治具プレート46を支持する。すなわち、本実施形態では、下治具プレート46は、支持部材45を介して、下側ステージ42に配置される。支持部材45は、上述した下治具プレート46の撓みに伴う基板2の被荷重量の変動を調整可能に構成されており、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じた支持力を下治具プレート46に与える。
【0052】
例えば、下治具プレート46のうち、その中心に近い位置ほど、下治具プレート46が下に凸となるように凹形状に撓み、当該位置に加わる面圧が相対的に小さくなり、下治具プレート46の被荷重量が相対的に小さくなる場合がある。このように下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる位置では、支持部材45は下治具プレート46に相対的に大きな支持力を与える。これにより、下治具プレート46の中心に近い位置では、下治具プレート46が撓みにくくなり、下治具プレート46に加わる荷重を増大させることが可能となる。その結果、当該位置において、下治具プレート46に配置された基板2に加わる荷重を増大させることが可能となる。
【0053】
また、下治具プレート46のうち、その中心から離れた位置ほど、当該位置に加わる面圧が相対的に大きくなり、被荷重量が相対的に大きくなる場合がある。このように下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置では、支持部材45は下治具プレート46に小さな支持力を与える。これにより、下治具プレート46の中心から離れた位置では、下治具プレート46が撓みやすくなり、下治具プレート46に加わる荷重を減少させることが可能となる。その結果、当該位置において、下治具プレート46に配置された基板2に加わる荷重を減少させることが可能となる。
【0054】
このようにして、支持部材45は、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46の撓みを調整し、基板2に加わる荷重を均一にするのである。以下、支持部材45が下治具プレート46の荷重の面内分布に応じた支持力を下治具プレート46に与えるための具体的手段について説明する。
【0055】
支持部材45は、複数の柱状部材50の集合体500と、複数の柱状部材50が設置される設置部52とを有する。複数の柱状部材50は、それぞれ円柱形状からなり、下治具プレート46を支持する役割を果たす。各柱状部材50の形状は、これに限定されるものではなく、三角柱形状、四角柱形状、その他の多角柱形状、円錐形状、三角錐形状、その他の多角錐形状であってもよい。また、各柱状部材50は、中空形状を有していてもよい。
【0056】
複数の柱状部材50は、弾性変形可能な剛体で構成されていることが好ましい。
図4に示すように、複数の柱状部材50は、設置部52に、例えば7行7列のマトリクス状に整然と配置されており、それぞれX軸方向およびY軸方向に所定の間隔をあけて配置されている。図示の例では、複数の柱状部材50の各々の中心間距離は実質的に同一であり、複数の柱状部材50はそれぞれ等間隔で配置されているが、各柱状部材50の間隔は必ずしも同一でなくてもよい。また、複数の柱状部材50は、上方から見たときに、それぞれ設置部52のX軸方向およびY軸方向の各々の一端から他端にかけて満遍なく配置されているが、設置部52の一部に偏在(密集)していてもよい。
【0057】
また、複数の柱状部材50は、設置部52にランダムに配置されていてもよく、あるいは同心円状に配置されていてもよい。複数の柱状部材50の配置は、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて適宜決定される。
【0058】
本実施形態では、複数の柱状部材50の横断面積(XY平面に平行な面の断面積)は全て同一となっている訳ではなく、複数の柱状部材50は、横断面積が相対的に大きい柱状部材50(柱状部材50a)と、横断面積が相対的に小さい柱状部材50(柱状部材50c)と、これらの中間の横断面積を有する柱状部材50(柱状部材50b)とで構成されている。すなわち、複数の柱状部材50は、形状の異なる複数の部材で形成されている。
【0059】
下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる位置には複数の柱状部材50aが配置され、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置には複数の柱状部材50b,50cが配置されている。すなわち、複数の柱状部材50a,50b,50cは、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて配置されている。
【0060】
図示の例では、複数の柱状部材50aは、設置部52に、5行5列のマトリクス状に配置されている。以下では、複数の柱状部材50aの集合体のうち、中央に位置する柱状部材50aを特に柱状部材50a1と表記する場合がある。柱状部材50a1は、下治具プレート46の略中央部(荷重発生部30による加圧軸の直下)に配置される。なお、加圧軸は、単一で構成されてもよく、あるいは複数で構成されてもよい。
【0061】
複数の柱状部材50bおよび複数の柱状部材50cは、複数の柱状部材50aの集合体の外側(集合体500の最外周)に配置されており、これを取り囲んでいる。集合体500の最外周では、その四隅にそれぞれ4つの柱状部材50cが配置されており、さらに4つの柱状部材50cの各々の間に4つの柱状部材50cの各々が配置されている。また、各柱状部材50cの間には、2つの柱状部材50bが対になって配置されている。
図4に示す複数の柱状部材50a,50b,50cの配置は一例であり、これらの配置は適宜変更してもよい。
【0062】
柱状部材50aの幅(直径)をDa、柱状部材50bの幅(直径)をDb、柱状部材50cの幅(直径)をDcとしたとき、Da>Db>Dcである。直径Da,Db,Dcは、好ましくは10~20mmである。また、最も直径が大きい柱状部材50aの直径Daと最も直径が小さい柱状部材50cの直径Dcとの比Da/Dcは、好ましくは2/1~1.5/1である。各柱状部材50a,50b,50cの直径(太さ)の範囲をこのような範囲に設定することにより、下治具プレート46に加わる荷重の大きさあるいは面内分布に応じて、各柱状部材50a,50b,50cを適度に撓ませることが可能となる。
【0063】
なお、複数の柱状部材50aのうち、柱状部材50a1の直径については、他の柱状部材50aよりも大きくし、他の柱状部材50aよりも撓みにくくしてもよい。
【0064】
各柱状部材50間の中心間距離(ピッチ)Pは、好ましくは20~50mm、さらに好ましくは20~25mmである。各柱状部材50間の中心間距離Lの範囲をこのような範囲に設定することにより、下治具プレート46の各位置を満遍なく各柱状部材50a,50b,50cで支持することが可能となり、適度な支持力で下治具プレート46を支持することが可能となる。本実施形態では、複数の柱状部材50a,50b,50cが配置された位置において、複数の柱状部材50a,50b,50cから下治具プレート46へ局所的に支持力を与えることが可能となっている。
【0065】
複数の柱状部材50の長さLは、好ましくは20~50mmであり、さらに好ましくは20~25mmである。複数の柱状部材50の長さLは、下治具プレート46の高さと略同一であってもよい。
【0066】
柱状部材50aの横断面積をSa、柱状部材50bの横断面積をSb、柱状部材50cの横断面積をScとしたとき、Sa>Sb>Scである。下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる位置に配置される柱状部材50aの横断面積Saは、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置に配置される柱状部材50b,50cの横断面積Sb,Scに比べて大きくなっている。
【0067】
そのため、複数の柱状部材50a,50b,50cで下治具プレート46が支持された状態において、上治具プレート44(
図3A)による基板2の加圧により、下治具プレート46(
図3A)に荷重が与えられ、それに伴い、複数の柱状部材50a,50b,50cに荷重が与えられると、柱状部材50aには相対的に小さな歪み量の歪み(Z軸負方向側への圧縮歪み)が発生する一方で、柱状部材50b,50cには相対的に大きな歪み量の歪み(Z軸負方向側への圧縮歪み)が発生する。このように、本実施形態では、柱状部材50a,50b,50cが荷重を受けたときに、柱状部材50a,50b,50cに、これらの横断面積Sa,Sb,Scに応じた歪み量の歪みを発生させることが可能となっている。
【0068】
柱状部材50a,50b,50cは、一定荷重を受けたときに、その横断面積に応じた歪みを発生させることにより、その延在方向に沿って伸縮自在となっている。柱状部材50a,50b,50cが荷重を受けることにより歪みを発生させるタイミングは、下治具プレート46が上治具プレート44から荷重を受けるタイミング、あるいは上治具プレート44が可動加圧部22から荷重を受けるタイミング、あるいは可動加圧部22が荷重発生部30から荷重を受けるタイミングと概ね同期している。柱状部材50a,50b,50cに荷重が加わっていない無負荷状態では、柱状部材50a,50b,50cは、歪み状態を解除し、元の状態へ復帰する。
【0069】
本実施形態では、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる位置に配置される柱状部材50aの歪み量は、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置に配置される柱状部材50b,50cの歪み量に比べて小さくなっている。すなわち、複数の柱状部材50には、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて、歪み量の勾配が形成されており、下治具プレート46の中央付近に配置された柱状部材50ほど歪みが小さく、下治具プレート46の外周付近に配置された柱状部材50ほど歪みが大きくなっている。
【0070】
下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる位置において、歪み量が相対的に小さい柱状部材50aで下治具プレート46を支持することにより、柱状部材50aから下治具プレート46に相対的に大きな支持力を与え、下治具プレート46を撓みにくくし、下治具プレート46に発生する撓みを柱状部材50aの歪み量に応じた小さな撓み量へ調整することが可能となる。すなわち、何ら策を講じなければ、凹形状に撓んでいた下治具プレート46の中央付近では、
図3Bに示すように撓みが相対的に小さくなる。その結果、下治具プレート46に加わる荷重を増大させ、下治具プレート46に配置される基板2の被荷重量を増大させることが可能となっている。
【0071】
また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置において、歪み量が相対的に大きい柱状部材50b,50cで下治具プレート46を支持することにより、柱状部材50b,50cから下治具プレート46に相対的に小さな支持力を与え、下治具プレート46を撓みやすくし、下治具プレート46に発生する撓みを柱状部材50b,50cの歪み量に応じた大きな撓み量へ調整することが可能となる。すなわち、何ら策を講じなければ、撓みがほとんど発生していなかった下治具プレート46の外周付近には、
図3Bに示すように相対的に大きな撓みが発生する。その結果、下治具プレート46に加わる荷重を減少させ、下治具プレート46に配置される基板2の被荷重量を減少させることが可能となる。
【0072】
図5Aは、本実施形態における支持部材45を用いず、平板形状の部材(上側搭載部43に対応する部材)に下治具プレート46(
図3A)を搭載したときに、下治具プレート46に配置された感圧紙6に加わる荷重の分布を示す図(すなわち、比較例を示す図)である。また、
図5Bは、本実施形態における支持部材45で下治具プレート46を支持したときに、下治具プレート46に配置された感圧紙6に加わる荷重の分布を示す図(すなわち、実施例を示す図)である。
図5Aおよび
図5Bにおいて、感圧紙6に加わる荷重の分布は、基板2に加わる荷重部の分布に対応する。これらの図面において、濃色で示されている部分には相対的に大きな荷重が加わっていることを表しており、薄色で示されている部分には相対的に小さな荷重が加わっていることを表している。
【0073】
図5Aに示すように、比較例では、感圧紙6の中央部に近づくほど、感圧紙6に加わる荷重が相対的に小さくなっている一方で、感圧紙6の外周部に近づくほど、感圧紙6に加わる荷重が相対的に大きくなっていくことが分かる。すなわち、比較例では、下治具プレート46の中央付近に相対的に大きな撓みが発生している一方で、下治具プレート46の外周付近には相対的に小さな撓みが発生している。
【0074】
一方、
図5Bに示すように、実施例では、感圧紙6の各位置において、感圧紙6に加わる荷重が一様になっていることが分かる。本実施形態では、
図3Bに示すように、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46を撓ませることにより、
図5Bに示すように、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布を均一になるように調整し、下治具プレート46に配置された基板2に加わる荷重を均一にすることができる。
【0075】
図4に示す例では、異なる断面積を有する複数の柱状部材50a,50b,50cの歪み量の違いに基づいて、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布の調整を行う態様について示したが、当該調整を行うための態様はこれに限定されるものではない。
【0076】
例えば、支持部材45は、一定荷重を受けた場合における複数の柱状部材50のヤング率に基づく歪み量の違いにより、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布を調整してもよい。
図6Aに示す例では、複数の柱状部材50a’,50b’,50c’はそれぞれヤング率(機械強度)あるいは硬度の異なる部材で構成されている。
【0077】
より詳細には、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる下治具プレート46の中央付近には、ヤング率が相対的に大きい柱状部材50a’が配置されている。また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる下治具プレート46の外周付近には、ヤング率が相対的に小さい柱状部材50c’が配置されている。また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に中程度である下治具プレート46の中央部と外周部の間の位置には、ヤング率が相対的に中程度である柱状部材50b’が配置されている。すなわち、各柱状部材50a’,50b’,50c’のヤング率は、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じた値となっており、各柱状部材50のヤング率には下治具プレート46の中心から離れた位置ほど小さくなるような勾配が形成されている。なお、各柱状部材50a’,50b’,50c’の断面積および形状は全て同一になっている。
【0078】
この場合、複数の柱状部材50a’,50b’,50c’で下治具プレート46が支持された状態において、上治具プレート44による基板2の加圧により、下治具プレート46に荷重が与えられ、それに伴い、複数の柱状部材50a’,50b’,50c’に荷重が与えられると、複数の柱状部材50a’,50b’,50c’にそのヤング率に応じた歪みが発生し、これらの歪み量に応じた撓み量の撓みが下治具プレート46に発生する。
【0079】
すなわち、柱状部材50a’に相対的に小さな歪みが発生する結果、下治具プレート46の中央付近には相対的に小さな撓みが発生する。また、柱状部材50c’に相対的に大きな歪みが発生する結果、下治具プレート46の外周付近には相対的に大きな撓みが発生する。また、柱状部材50b’に相対的に中程度の歪みが発生する結果、下治具プレート46の中央部と外周部の間の位置には相対的に中程度の撓みが発生する。
【0080】
このように、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に複数の柱状部材50a’,50b’,50c’の歪み量を対応させ、その歪み量に応じた撓み量の撓みを下治具プレート46に発生させることにより、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46を撓ませ(
図3B参照)、基板2に加わる荷重を均一にすることができる。
【0081】
複数の柱状部材50のヤング率Eは、好ましくは100GPa~500GPaである。また、最もヤング率Eが大きい柱状部材50a’のヤング率Emaxと最もヤング率Eが小さい柱状部材50c’のヤング率Eminとの比Emax/Eminは、好ましくは2/1~4/1である。各柱状部材50a’,50b’,50c’のヤング率の範囲をこのような範囲に設定することにより、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて、各柱状部材50a’,50b’,50c’を適度に撓ませることが可能となる。なお、支持部材45には、柱状部材50a’,50b’,50c’とは異なるヤング率を有する他の柱状部材50を含めてもよい。
【0082】
上記のようなヤング率を有する材料として、複数の柱状部材50は、例えば、炭素鋼、窒化珪素、炭化珪素の材料で構成されることが好ましい。
【0083】
また、例えば、支持部材45は、複数の柱状部材50の長さの違いにより、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布を調整してもよい。
図6Bに示す例では、複数の柱状部材50a”,50b”,50c”はそれぞれ長さの異なる部材で構成されており、複数の柱状部材50a”,50b”,50c”の上端の高さ位置に分布が形成されている。
【0084】
より詳細には、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる下治具プレート46の中央付近には、長さが相対的に長い柱状部材50a”が配置されている。また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる下治具プレート46の外周付近には、長さが相対的に短い柱状部材50c”が配置されている。また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に中程度である下治具プレート46の中央部と外周部の間の位置には、長さが相対的に中程度である柱状部材50b”が配置されている。すなわち、各柱状部材50a”,50b”,50c”の長さは、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じた値となっており、各柱状部材50の長さ(上端の高さ位置)には下治具プレート46の中心から離れた位置ほど小さくなるような勾配が形成されている。なお、各柱状部材50a”,50b”,50c”の断面積およびヤング率は全て同一になっている。
【0085】
この場合、複数の柱状部材50a”,50b”,50c”で下治具プレート46が支持された状態において、上治具プレート44による基板2の加圧により、下治具プレート46に荷重が与えられ、それに伴い、複数の柱状部材50a”,50b”,50c”に荷重が与えられると、複数の下治具プレート46には、複数の柱状部材50a”,50b”,50c”の長さに応じた撓みが発生する。
【0086】
すなわち、柱状部材50a”が配置された下治具プレート46の中央付近には、相対的に小さな撓みが発生する。また、柱状部材50c”が配置された下治具プレート46の外周付近には、相対的に大きな撓みが発生する。また、柱状部材50b”が配置された下治具プレート46の中央部と外周部の間の位置には、相対的に中程度の撓みが発生する。このように、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて、異なる長さの複数の柱状部材50a”,50b”,50c”を配置し、その長さに応じた撓み量の撓みを下治具プレート46に発生させることにより、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46を撓ませ(
図3B参照)、基板2に加わる荷重を均一にすることができる。なお、支持部材45には、柱状部材50a”,50b”,50c”とは異なる長さを有する他の柱状部材50を含めてもよい。
【0087】
なお、下治具プレート46の撓みを調整するにあたって、複数の柱状部材50の高さを調整する場合に比較して、複数の柱状部材50の材質(ヤング率)あるいは径(断面積)を調整する方が、精度を出しやすく、容易である。
【0088】
複数の柱状部材50の配置は
図4に示す例に限定されるものではなく、例えば
図7A,8A,9A,10Aに示すような配置で、複数の柱状部材50を配置してもよい。
図7Aに示す例では、点線で示す設置部52の中央領域520に9個の柱状部材50dが3行3列でマトリクス状に配置されている。また、設置部52の中央領域520の外側には、複数の柱状部材50eが局所的に配置されている。複数の柱状部材50d,50eは、設置部52の中心から放射状に延びるように配置されている。設置部52の中央領域520では、複数の柱状部材50dが相対的に高い密度で配置されており、設置部52の中央領域520の外側では、複数の柱状部材50eが相対的に低い密度で配置されている。
【0089】
すなわち、
図7Aに示す例では、下治具プレート46(
図1B)に加わる荷重が相対的に小さくなる位置(中央領域520)では、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置(中央領域520の外側)に比べて、相対的に多くの本数の柱状部材50dが密集して配置されている。
【0090】
図7Bは、
図7Aに示す複数の柱状部材50d,50eで下治具プレート46を支持したときに、下治具プレート46に発生する撓みの分布をCAE(Computer Aided Engineering)解析により解析した結果を示す図である。これらの図面において、濃色で示されている部分には相対的に大きな撓みが発生していることを表しており、薄色で示されている部分には相対的に小さな撓みが発生していることを表している。
【0091】
図7Bに示すように、設置部52の中央領域520に対応する下治具プレート46の中央領域460は、相対的に多くの本数の柱状部材50dで支持されているため、中央領域460では、下治具プレート46には複数の柱状部材50dから相対的に大きな支持力が与えられ、下治具プレート46に撓みが発生しにくくなる。すなわち、中央領域460において、下治具プレート46に発生する撓みは、複数の柱状部材50dの密度(本数)に応じた小さな撓み量へ調整され、中央領域460に相対的に小さな撓みが発生する結果、下治具プレート46に加わる荷重が増大することになる。
【0092】
一方、下治具プレート46の中央領域460の外側の領域は、相対的に少ない本数の柱状部材50eで支持されているため、当該領域では、下治具プレート46には複数の柱状部材50eから相対的に小さな支持力が与えられ、下治具プレート46に撓みが発生しやすくなる。すなわち、中央領域460の外側の領域において、下治具プレート46に発生する撓みは、複数の柱状部材50eの密度(本数)に応じた大きな撓み量へ調整され、当該領域に相対的に大きな撓みが発生する結果、下治具プレート46に加わる荷重が減少することになる。
【0093】
特に、柱状部材50eで支持されていない下治具プレート46の側方領域461では、下治具プレート46に撓みが特に発生しやすく、下治具プレート46の撓み量が他の領域に比べて特に大きくなっている。
【0094】
このように、複数の柱状部材50d,50eを、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて配置することにより、複数の柱状部材50d,50eの配置に応じて、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46の撓みを調整し、下治具プレート46に配置される基板2に加わる荷重を均一にすることができる。
【0095】
図8Aに示す例では、設置部52には、
図7Aに示す複数の柱状部材50d,50eの他、複数(4つ)の柱状部材50fが配置されている。追加して配置された各柱状部材50fは、中央領域520の外側に配置された4つの柱状部材50eの各々の外側に隣接して配置されている。
【0096】
この場合も、
図8Bに示すように、
図8Aと同様に、下治具プレート46の中央領域460には、相対的に小さな撓みが発生する一方で、中央領域460の外側には、相対的に大きな撓みが発生している。
図8Bに示す下治具プレート46では、
図7Bに示す下治具プレート46に比べて、中央領域460の外側において、より広範囲に撓みが発生している。
【0097】
図9Aに示す例では、設置部52には、
図8Aに示す配置と同様の配置で、複数の柱状部材50d’,50e,50fが配置されている。ただし、設置部52の中央領域520に配置された複数の柱状部材50d’の直径は、中央領域520の外側に配置された複数の柱状部材50e,50fの直径よりも小さくなっている。
【0098】
この場合、
図8Aに示す例に比べて、複数の柱状部材50d’から下治具プレート46の中央領域460に与えられる支持力が小さくなるため、
図9Bに示すように、
図8Bに示す下治具プレート46に比べて、下治具プレート46の中央領域460に発生する撓みが大きくなる。
【0099】
図10Aに示す例では、設置部52には、
図8Aに示す複数の柱状部材50d,50e,50fの他、複数(8つ)の柱状部材50gが配置されている。追加して配置された各柱状部材50gは、中央領域520の外側に配置された4つの柱状部材50fの各々に隣接して配置されている。
【0100】
この場合、下治具プレート46の中央領域460には相対的に大きな撓みが発生する一方で、中央領域460の外側には相対的に小さな撓みが発生する。このように、設置部52に、複数の柱状部材50gを追加して配置した場合には、
図7B,8B,9Bに示す荷重の面内分布とは逆の面内分布で、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布が調整される。
【0101】
図4,7A,8A,9A,10Aのいずれに示す配置で複数の柱状部材50を設置部52に設置するかは、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて適宜決定される。なお、
図4,7A,8A,9A,10Aに示す配置以外の配置で、複数の柱状部材50を設置部52に設置してもよい。
【0102】
また、これらの設置態様は、前述したように、下治具プレート46を支持部材45で支持しなかった場合において、下治具プレート46に、その中心に近い位置ほど相対的に大きな撓みが発生し、その外周に近い位置ほど相対的に小さな撓みが発生する場合を前提としている。しかし、これとは逆に、下治具プレート46を支持部材45で支持しなかった場合において、下治具プレート46には、その中心に近い位置ほど相対的に小さな撓みが発生し、その外周に近い位置ほど相対的に大きな撓みが発生する場合がある。この場合、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布は、
図5Aに示す荷重の面内分布とは概ね逆の関係になり、下治具プレート46の中心付近に加わる荷重が相対的に大きくなる一方で、下治具プレート46の外周付近に加わる荷重が相対的に小さくなる。
【0103】
このような場合には、下治具プレート46の中央付近に配置される柱状部材50ほど歪みが大きく、下治具プレート46の外周付近に配置される柱状部材50ほど歪みが小さくなるように、設置部52に配置する複数の柱状部材50の材質(ヤング率)、形状、あるいは配置等を適宜選択すればよい。例えば、下治具プレート46の中央付近に配置される柱状部材50については、ヤング率を小さくし、あるいは径を細くするとともに、下治具プレート46の外周付近に配置される柱状部材50については、ヤング率を大きくし、あるいは径を太くすればよい。
【0104】
このような歪み特性を有する複数の柱状部材50で下治具プレート46を支持した場合、下治具プレート46の中心に近い位置では、下治具プレート46が撓みやすくなり、下治具プレート46に加わる荷重を減少させることが可能となる。その結果、当該位置において、下治具プレート46に配置された基板2に加わる荷重を減少させることが可能となる。
【0105】
また、下治具プレート46の外周に近い位置では、下治具プレート46が撓みにくくなり、下治具プレート46に加わる荷重を増大させることが可能となる。その結果、当該位置において、下治具プレート46に配置された基板2に加わる荷重を増大させることが可能となる。
【0106】
図11に示すように、設置部52は、略平板形状を有する板体からなり、複数の柱状部材50が直立した状態で保持されるよう、複数の柱状部材50を支持する機能を有する。設置部52は、複数の柱状部材50がそれぞれ設置される複数の設置孔53を有する。複数の設置孔53には、それぞれ複数の柱状部材50を挿入し、固定することが可能となっている。設置部52のX軸方向の長さは好ましくは100~500mmであり、設置部52のY軸方向の長さは好ましくは100~500mmであり、設置部52の高さ(厚み)は好ましくは10~100mmである。
【0107】
設置部52は、中央領域520と、外側領域521とを有する。中央領域520に形成された複数の設置孔53には、
図4に示す複数の柱状部材50aが挿入され、外側領域521に形成された複数の設置孔53には、複数の柱状部材50b,50cが挿入される。以下において、柱状部材50aが挿入される設置孔53を「設置孔53a」と表記し、柱状部材50bが挿入される設置孔53を「設置孔53b」と表記し、柱状部材50cが挿入される設置孔53を「設置孔53c」と表記する場合がある。
【0108】
複数の設置孔53aは、5行5列のマトリクス状に配置されており、複数の設置孔53aの配置は、
図4に示す複数の柱状部材50aの配置と対応している。また、複数の設置孔53bの配置は、
図4に示す複数の柱状部材50bの配置と対応しており、複数の設置孔53cの配置は、
図4に示す複数の柱状部材50cの配置と対応している。各設置孔53のピッチは、各柱状部材50のピッチと対応している。
【0109】
複数の設置孔53の幅(直径)は、全て同一となっている訳ではなく、複数の設置孔53の幅(直径)の分布は、
図4に示す複数の柱状部材50の幅(直径)の分布に対応している。すなわち、中央領域520では設置孔53(53a)の幅が大きくなっており、外側領域521では設置孔53の幅が小さくなっている。
【0110】
設置孔53の幅(直径)は、支持部材50の幅(直径)と略等しいか、それよりも大きくなっている。設置孔53の幅が支持部材50の幅と略等しい場合、設置孔53の内部に支持部材53を挿入したときに、支持部材53を位置ずれしないように強固に固定することができる。
【0111】
設置孔53の開口形状は、支持部材50の形状に応じて決定され、例えば支持部材53が円柱形状あるいは円錐形状からなるときは、設置孔53の開口形状は円形であることが好ましい。また、例えば支持部材53が四角柱形状あるいは四角錐形状からなるときは、設置孔53の開口形状は四角形であることが好ましい。
【0112】
設置孔53の数は、支持部材50の本数に応じて決定され、柱状部材50の本数と等しくてもよく、あるいは柱状部材50の本数よりも多くし、任意の設置孔53に複数の柱状部材50を設置してもよい。すなわち、必ずしも全ての設置孔53の内部に柱状部材50が設置されている必要はなく、柱状部材50が設置されていない設置孔53があってもよい。
【0113】
また、
図11に示す例では、設置部52には、複数の設置孔53が7行7列のマトリクス状に配置されているが、
図12Aに示すように5行5列で配置されていてもよい。あるいは、
図12Bに示すように、設置部52には、
図12Aに示す設置孔53よりも小さな幅を有する設置孔53が9行9列で配置されていてもよい。
【0114】
また、
図12Cに示すように、複数の設置孔53は、同心円状に配置されていることが好ましい。この場合、各設置孔53に各柱状部材50を配置し、各柱状部材50で下治具プレート46(
図1B)を支持したときに、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて下治具プレート46の撓みを調整する作用を良好に得ることができる。
【0115】
設置孔53の深さDと、柱状部材50の長さLとの比D/Lは、好ましくは1/10~3/4であり、さらに好ましくは1/8~1/2である。上記比D/Lを上記の範囲に設定することにより、柱状部材50を設置孔53の内部に設置したときに、柱状部材50を直立した状態で安定して固定することができる。
【0116】
なお、複数の設置孔53の深さDは、それぞれ等しくてもよく、あるいは異なっていてもよい。例えば、複数の柱状部材50の各々の長さを同一とした上で、これらを深さDの異なる複数の設置孔53に設置した場合、相対的に深さの深い設置孔53に設置された柱状部材50の上端の高さ位置は、相対的に深さの浅い設置孔53に設置された柱状部材50の上端の高さ位置よりも低くなる。したがって、
図6Bに示すように、各柱状部材50の上端の高さ位置に分布を形成することが可能となる。
【0117】
複数の柱状部材50は、連結部材等で下治具プレート46に連結(固定)されていてもよく、あるいは、連結部材等で下治具プレート46に連結(固定)されることなく、複数の柱状部材50の上端面が、単に下治具プレート46の底面に当接にしているのみでもよい。
【0118】
複数の柱状部材50が連結部材等で下治具プレート46に連結される態様として、例えば、
図13Aに示すように、複数の柱状部材50のいずれかは、設置孔53の内部に設置された状態で、貫通型連結部材54aで下治具プレート46および設置部52(設置孔53)に固定されていてもよい。
【0119】
特に、基板2を加圧するための加圧軸の下方に配置されている柱状部材50(例えば、
図4に示す複数の柱状部材50のうち、中央に位置する柱状部材50a1)については、貫通型連結部材54aを介して下治具プレート46に連結されていることが好ましい。なお、基板2を加圧するための加圧軸とは、荷重発生部30を構成する装置の加圧軸に対応する。
【0120】
加圧軸の下方では、下治具プレート46の撓みにより、下治具プレート46に加わる荷重量が相対的に小さくなる場合があり、このような位置に配置された柱状部材50a1を、貫通型連結部材54aを介して、下治具プレート46に連結することにより、当該位置において、下治具プレート46の撓みを効果的に防止することができる。
【0121】
複数の柱状部材50のうち、柱状部材50a1のみ、貫通型連結部材54aで設置孔53の内部に固定することにより、下治具プレート46の中央部において、下治具プレート46の撓みを小さくなるように調整し、下治具プレート46に加わる荷重を相対的に大きくする作用を良好に得ることができる。
【0122】
貫通型連結部材54aは、例えばボルトや鋲等の締結具、あるいはその他の連結部材からなる。後述する非貫通型連結部材54bについても同様である。貫通型連結部材54aは、柱状部材50(50a1)に形成された貫通孔510の内部を貫通し、貫通孔510に螺合している。なお、貫通孔510には螺合溝が形成されていなくてもよく、貫通孔510の内部に連結部材を挿入し、これを接着部材で貫通孔510の内壁面に固定してもよい。
【0123】
貫通型連結部材54aの下端部は、設置孔53に形成された連結用凹部530の内部に挿入され、連結用凹部530に螺合(係合)している。また、貫通型連結部材54aの上端部は、下治具プレート46に形成された連結用凹部462の内部に挿入され、連結用凹部462に螺合(係合)している。
【0124】
これにより、貫通型連結部材54aを介して、設置部52と柱状部材50(50a1)と下治具プレート46とが物理的に連結されるとともに、柱状部材50(50a1)が設置部52と下治具プレート46との間に強固に固定(挟持)される。柱状部材50(50a1)を下治具プレート46だけでなく設置部52にも連結することにより、当該柱状部材50(50a1)が配置された位置において、下治具プレート46の撓みをより効果的に防止することができる。なお、連結用凹部530および連結用凹部462の径は、貫通型連結部材54a(あるいは、後述する非貫通型連結部材54b)の径に応じて適宜決定される。
【0125】
また、複数の柱状部材50が連結部材等で下治具プレート46に連結されない態様として、
図13Aに示すように、複数の柱状部材50の上端面が下治具プレート46の底面に当接し、かつ、複数の柱状部材50の下端面が複数の設置孔53の底面に当接するのみであってもよい。この場合、複数の柱状部材50は、下治具プレート46および設置部52のいずれにも連結されることなく、設置部52に設置されることになる。
【0126】
あるいは、複数の柱状部材50が連結部材等で下治具プレート46に連結されない態様として、
図13Bに示すように、複数の柱状部材50の上端面が下治具プレート46の底面に当接し、かつ、複数の柱状部材50が設置孔53の内部に設置された状態で、複数の柱状部材50の一方側(下端部)が非貫通型連結部材54bで設置孔53の底面に連結されていてもよい。
【0127】
非貫通型連結部材54bの一方側は、設置孔53に形成された連結用凹部530の内部に挿入され、連結用凹部530に螺合(係合)している。非貫通型連結部材54bの他方側は、柱状部材50に形成された連結用凹部511の内部に挿入され、連結用凹部511に螺合(係合)している。これにより、非貫通型連結部材54bを介して、設置部52と柱状部材50とが物理的に連結される。
【0128】
なお、
図13Cに示すように、設置部52から複数の設置孔53を省略し、略平面形状(略平坦形状)からなる設置部52の表面に複数の連結用凹部530のみが形成してあってもよい。この場合、柱状部材50を設置部52と下治具プレート46との間に配置した状態で、非貫通型連結部材54bの一方側を連結用凹部530の内部に挿入してこれに螺合(係合)するとともに、非貫通型連結部材54bの他方側を連結用凹部511の内部に挿入してこれに螺合(係合)することにより、非貫通型連結部材54bを介して柱状部材50を設置部52に固定することができる。
【0129】
また、柱状部材50を設置部52と下治具プレート46との間に配置した状態で、貫通型連結部材54aの下端部を連結用凹部530の内部に挿入してこれに螺合(係合)するとともに、貫通型連結部材54aの上端部を連結用凹部511の内部に挿入してこれに螺合(係合)することにより、貫通型連結部材54aを介して柱状部材50を設置部52および下治具プレート46に固定することができる。
【0130】
なお、
図13A~
図13Cに示す非貫通型連結部材54bは、柱状部材50の下端部と設置部52(設置孔53の底面)とを連結しているが、柱状部材50の上端部と下治具プレート46とを連結していてもよい。また、非貫通型連結部材54bで柱状部材50の下端部と設置部52とを連結するのに加えて、非貫通型連結部材54bで柱状部材50の上端部と下治具プレート46とを連結してもよい。
【0131】
また、
図13A~
図13Cに示すいずれの態様においても、複数の柱状部材50は、非貫通型連結部材54bを用いることなく、接着剤等の接続部材で設置部52に固定されていてもよい。また、複数の柱状部材50は、貫通型連結部材54aを用いることなく、接着剤等の接続部材で設置部52および下治具プレート46に固定されていてもよい。
【0132】
図13A~
図13Cにおいて、連結部材等を介して下治具プレート46および/または設置部52に連結されていないいずれかの柱状部材50は、放熱性部材60を介して、下治具プレート46に当接していてもよい。この場合、
図13Bおよび
図13Cに示すように、柱状部材50の上端面と下治具プレート46の底面との間に、良好な放熱性能を有する放熱性部材60を介在させてもよく、あるいは柱状部材50の外表面を放熱性部材で覆ってもよい。図示の例では、放熱性部材60は板状の形状を有するが、柱状部材50を覆うことが可能なカバー等で構成されてもよい。
【0133】
放熱性部材60を介して柱状部材50の上端面を下治具プレートの底面に当接させることにより、下治具プレート46の熱を柱状部材50に効率よく伝達させることができるとともに、柱状部材50を介して、当該熱を外部に効率よく放熱させることができる。放熱性部材60は、熱伝導性の高い部材で構成されており、アルミニウム、鉄、銀、銅、または、少なくともこれらの一種を含む合金等により構成されている。なお、放熱性部材60が設けられる柱状部材50の少なくとも一部を熱伝導性に優れた部材で構成してもよい。
【0134】
図3Aに示す複数の柱状部材50は、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて、設置孔53に設置可能となっている。例えば、
図14A~
図14Hに示すように、複数の柱状部材50は、複数の設置孔53のうち、任意の設置孔53に設置されてもよい。図面において、黒塗部および斜線部は、設置孔53に柱状部材50が配置されていることを表している。例えば、
図14Aに示す例では、設置部52には5行5列のマトリクス状に配置された複数の設置孔53が形成されており、設置部52の中央領域520に5つの柱状部材50が設置され、設置部52の四隅には4つの柱状部材50が設置されている。他の設置孔53には、柱状部材50は設置されていない。
【0135】
同図に示すように、中央領域520に相対的に多くの柱状部材50が配置されている場合、下治具プレート46の中央領域460(
図7B参照)が撓みにくくなり、下治具プレート46の中央領域460に加わる荷重を大きくすることができる。
【0136】
より詳細には、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる中央領域520では、複数の柱状部材50から下治具プレート46に大きな支持力が与えられるように、複数の柱状部材50を複数の設置孔53に設置することにより、下治具プレート46を撓みにくくし、下治具プレート46に加わる荷重を増大させることが可能となる。また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる中央領域520の外側では、複数の柱状部材50から下治具プレート46に小さな支持力が与えられるように、柱状部材50の設置数を減らすことにより、下治具プレート46を撓みやすくし、下治具プレート46に加わる荷重を減少させることが可能となる。これにより、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46の撓みを調整し、基板2に加わる荷重を均一にすることができる。
【0137】
なお、中央領域520の中心部に配置された柱状部材50a1については、
図13Aに示す貫通型連結部材54aで設置部52および下治具プレート46の両方に固定されていることが好ましい。
図14B~
図14Hについても同様である。また、柱状部材50a1は設置部52および下治具プレート46の両方を固定する構造であれば、
図13A~
図13Cにて示したボルト固定に限られない。例えば、柱状部材50a1の周囲を囲う柱状部材固定用部材を設置し、その柱状部材固定用部材によって柱状部材50a1を嵌合固定するクランプ固定でも良い。
【0138】
これにより、貫通型連結部材54aを介して、柱状部材50a1を下治具プレート46に強固に固定することが可能となり、柱状部材50a1が配置された位置において、下治具プレート46をより撓みにくくし、下治具プレート46に加わる荷重を効果的に増大させることが可能となる。
【0139】
また、柱状部材50a1以外の複数の柱状部材50は、下治具プレート46に連結部材等を介して連結されることなく、設置部52に設置されている。そのため、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置では、下治具プレート46をより撓みやすくし、下治具プレート46に加わる荷重を効果的に減少させることができる。
【0140】
また、
図14Bに示す例では、設置部52の中央領域520に1つの柱状部材50(50a1)が設置され、設置部52の四隅に4つの柱状部材50が設置されている。他の設置孔53には、柱状部材50は設置されていない。
【0141】
この場合、例えば、中央領域520に配置された柱状部材50a1の幅(径)を他の柱状部材50の幅(径)に比べて相対的に大きくすることにより、下治具プレート46の中央領域460(
図7B参照)が撓みにくくなり、下治具プレート46に加わる荷重を増大させることができる。
【0142】
また、
図14Cに示す例では、
図14Bに示す配置に対して、さらに2つの柱状部材50が中央領域520の外側の領域に配置されている。この場合、下治具プレート46において、中央領域460(
図7B)の外側の領域が撓みにくくなり、当該領域において、下治具プレート46に加わる荷重を増大させることができる。
【0143】
また、
図14Dに示す例では、設置部52の中央領域520に9つの柱状部材50が配置され、その外側の領域に12個の柱状部材50が配置されている。
図14Dに示す柱状部材50の配置は、
図7Aに示す柱状部材50の配置と同様であり、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布は、
図7Bに示す面内分布と同様の面内分布に調整される。
【0144】
また、
図14Eに示す例では、
図14Dに示す配置に対して、さらに4つの柱状部材50が中央領域520の外側の領域に配置されている。
図14Eに示す配置は、
図8Aに示す柱状部材50の配置と同様であり、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布は、
図8Bに示す面内分布と同様の面内分布に調整される。
【0145】
また、
図14Fに示す例では、
図14Eに示す配置に対して、さらに8つの柱状部材50が中央領域520の外側の領域に配置されている。
図14Fに示す配置は、
図10Aに示す柱状部材50の配置と同様であり、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布は、
図10Bに示す面内分布と同様の面内分布に調整される。
【0146】
また、
図14Gに示す例では、設置部52の中央領域520に配置される5つの柱状部材50の幅(径)が、中央領域520の外側に配置される柱状部材50の幅(径)よりも小さくなっている。
図14Gに示す配置は、
図9Aに示す柱状部材50の配置と同様であり、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布は、
図9Bに示す面内分布と同様の面内分布に調整される。このように、複数の設置孔53の径は、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じて異なっていてもよい。
【0147】
なお、
図14Gに示す例とは逆に、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に小さくなる位置では、設置孔53の径を大きくし、径の大きな柱状部材50を設置することにより、柱状部材50から下治具プレート46に大きな支持力が与えられ、下治具プレート46を撓みにくくし、下治具プレート46に加わる荷重を増大させることが可能となる。また、下治具プレート46に加わる荷重が相対的に大きくなる位置では、設置孔53の径を小さくし、径の小さな柱状部材50を設置することにより、下治具プレートを撓みやすくし、下治具プレートに加わる荷重を減少させることが可能となる。これにより、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46の撓みを調整し、基板2に加わる荷重を均一にすることができる。
【0148】
図14Hに示す例では、設置部52の中央領域520には3つの柱状部材50が配置され、中央領域520の外側の領域には6つの柱状部材50が配置されている。複数の設置孔53は、設置部52に同心円状に形成されている。同心円状に配置された複数の設置孔53に複数の柱状部材50を設置し、複数の柱状部材50を同心円状に配置することにより、下治具プレート46の各位置に加わる荷重が均衡するように下治具プレート46の撓みを調整しやすくなり、基板2に加わる荷重の均一化を効果的に図ることができる。
【0149】
以上、本実施形態に係る基板処理装置10では、設置部52には、複数の柱状部材50がそれぞれ設置される複数の設置孔53が形成されている。複数の柱状部材50を設置部52(設置孔53)に設置することにより、複数の柱状部材50の位置決めが容易になるとともに、複数の柱状部材50の位置ずれを防止し、安定した状態で、複数の柱状部材50で下治具プレート46を支持することが可能となる。したがって、本実施形態に係る基板処理装置10では、簡易な手段で、基板2に加わる荷重の均一化を効果的に図ることができる。
【0150】
また、複数の柱状部材50をそれぞれ複数の設置孔53に設置するのみで、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布に応じた適切な位置に複数の柱状部材50を位置決めすることができる。
【0151】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0152】
上記実施形態では、複数の柱状部材50は全て円柱形状を有していたが、複数の柱状部材50のいずれかが円柱形状であり、残りのいずれかが多角柱形状、円錐形状、あるいは多角錐形状等であってもよい。このような形状からなる複数の柱状部材50は、一定荷重を受けた場合における歪み量が異なる。そのため、この場合も、上記実施形態と同様に、支持部材45は、複数の柱状部材50の形状の違いに基づく歪み量の違いにより、下治具プレート46に加わる荷重の面内分布を調整し、下治具プレート46に発生する撓みを調整することができる。
【0153】
上記実施形態において、支持部材45は、複数の素子4a,4b,4cが配置された基板2の高さの分布に応じた支持力を下治具プレート46に与えてもよい。基板2に加わる荷重の不均一性は、基板2の高さの分布が要因で生じる場合がある。基板2の高さの分布は、複数の素子4a,4b,4cの形状や大きさの違い、基板2に対する複数の素子4a,4b,4cの配置の非対称性、あるいは加圧時における複数の素子4a,4b,4cの変形等によって生じ得る。例えば、何ら策を講じなければ、基板2の高さが相対的に低い位置では、相対的に小さな荷重が与えられ、基板2の高さが相対的に高い位置では、相対的に大きな荷重が与えられる場合がある(その逆のパターンもある)。
【0154】
このような場合であっても、基板2の高さが相対的に低い位置では、歪みにくい柱状部材を配置する等して、支持部材45(複数の柱状部材50)から下治具プレート46に相対的に大きな支持力を与えて、下治具プレート46に加わる荷重が増大するようにし、基板2の高さが相対的に高い位置では、歪みやすい柱状部材50を配置する等して、支持部材45(複数の柱状部材50)から下治具プレート46に相対的に小さな支持力を与え、下治具プレート46に加わる荷重が減少するようにすることにより、下治具プレート46の各位置に加わる荷重を均衡させ、基板2に加わる荷重を均一にすることができる。
【0155】
上記実施形態では、
図2に示すように、基板2の形状は略四角形であったが、円形あるいはその他の多角形であってもよい。
【0156】
上記実施形態において、設置孔53は、設置部52のうち、柱状部材50が配置される位置にのみ形成されていてもよい。あるいは、設置孔53は、設置部52のうち、柱状部材50が配置されない位置にも形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0157】
2…基板
4…素子アレイ
4a,4b,4c…素子
6…感圧紙
10…基板処理装置
20…架台
21…架台上部
22…可動加圧部
220…貫通孔
221…中央領域
23…架台下部
24…ガイドブッシュ
25…ガイドシャフト
30…荷重発生部
40…基板加圧部
41…上側ステージ
42…下側ステージ
43…上側搭載部
44…上治具プレート
45…支持部材
46…下治具プレート
460…中央領域
461…側方領域
462…連結用凹部
50,50a~50g…柱状部材
500…集合体
510…貫通孔
511…連結用凹部
52…設置部
520…中央領域
521…外側領域
53…設置孔
530…連結用凹部
54a…貫通型連結部材
54b…非貫通型連結部材
60…放熱性部材