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特開2023-173639ますの補修構造、ます補修用キット、及び、ますの補修方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173639
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ますの補修構造、ます補修用キット、及び、ますの補修方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
E03F5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086035
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135460
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 康利
(74)【代理人】
【識別番号】100084043
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 喜多男
(74)【代理人】
【識別番号】100142240
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 優
(72)【発明者】
【氏名】石井 雄大
(72)【発明者】
【氏名】益城 大介
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA02
2D063BA17
2D063BA26
2D063BA37
2D063DA06
2D063DA07
2D063DA12
2D063DA27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ますを容易に補修可能な補修構造を提供する。
【解決手段】ます1の内部に設置される有底筒状の補修用ます部材22と、流入管路10の水が流入する流入口13と補修用ます部材22を連通する入口側継手23と、流出管路11の水を排出する流出口14と補修用ます部材22を連通する出口側継手24とを備える補修構造20にあって、出口側継手24が流出口14及び補修用ます部材22との接続状態を保ったまま、補修用ます部材22を流出口14に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能となるよう構成し、当該可動範囲を、入口側継手23の一端部と流入管路10との嵌合長さよりも長くする。出口側継手24によって流出口14と補修用ます部材22を接続した後でも、流入口13と補修用ます部材22の間隔を、流入口13と補修用ます部材22の間に入口側継手23を容易に配置可能な間隔に拡げることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に開口する流入口から流入管路の水が流入し、他側に開口する流出口から流出管路に水が流出するますを補修するための、ますの補修構造であって、
前記ますの内部に設置される有底筒状の補修用ます部材と、
一端部を前記流入口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する入口側継手と、
一端部を前記流出口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流出口を連通する出口側継手と
を備え、
前記入口側継手は、一端部を前記流入口側から前記流入管路に嵌合させることにより、前記流入口と接続されており、
前記出口側継手は、前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を、前記流出口に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能とするものであり、
前記入口側継手の一端部と前記流入管路との嵌合長さは、前記可動範囲よりも短いことを特徴とするますの補修構造。
【請求項2】
前記出口側継手は、
一端部を前記流出口から前記流出管路に差し込むことにより、前記流出口と接続されており、
前記流出口と接続した状態で、前記流出管路内で、一端部を前記可動範囲内で挿抜方向に摺動させ得るものであることを特徴とする請求項1に記載のますの補修構造。
【請求項3】
前記補修用ます部材は、有底筒状の下側ます部材と、前記下側ます部材の上端部に装着される、無底筒状の上側ます部材とを備え、
前記下側ます部材に前記出口側継手の他端部が接続され、前記上側ます部材に前記入口側継手の他端部が接続されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のますの補修構造。
【請求項4】
前記上側ます部材は、円筒形状をなし、
前記下側ます部材は、前記上側ます部材の下端部を装着する部分が、ゴム輪受口となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のますの補修構造。
【請求項5】
前記入口側継手は、自在継手であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のますの補修構造。
【請求項6】
一側に開口する流入口から流入管路の水が流入し、他側に開口する流出口から流出管路に水が流出するますを補修するための、ます補修用キットであって、
前記ますの内部に設置される有底筒状の補修用ます部材と、
一端部を前記流入口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する入口側継手と、
一端部を前記流出口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流出口を連通する出口側継手と
を含み、
前記入口側継手は、一端部を前記流入口側から前記流入管路に嵌合させることにより、前記流入口と接続されるものであり、
前記出口側継手は、前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を、前記流出口に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能とするものであり、
前記入口側継手の一端部と前記流入管路との嵌合長さは、前記可動範囲よりも短いものとすることを特徴とするます補修用キット。
【請求項7】
一側に開口する流入口から流入管路の水が流入し、他側に開口する流出口から流出管路に水が流出するますの内部に、
有底筒状の補修用ます部材と、
一端部を前記流入口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する入口側継手と、
一端部を前記流出口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流出口を連通する出口側継手と
を配設するますの補修方法であって、
前記出口側継手は、前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を、前記流出口に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能とするものであり、
前記出口側継手を前記補修用ます部材と前記流出口に夫々接続するとともに、前記補修用ます部材と前記流入口の間隔を、前記入口側継手が前記補修用ます部材と前記流入口を連通不能な間隔に保持した状態で、前記補修用ます部材と前記流入口の間に前記入口側継手を配置する第一工程と、
前記第一工程の後に、前記出口側継手が前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を前記流出口から離間する方向に移動させて、前記補修用ます部材と前記流入口の間隔を、前記入口側継手が前記補修用ます部材と前記流入口を連通可能な間隔にすることにより、前記入口側継手によって、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する第二工程と
を含むことを特徴とするますの補修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設されたますを補修するための補修構造、及び、補修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、排水用の公共ます等の、地中に埋設されたますの老朽化が問題となっている。こうしたますは数が多く、新しいますに交換するには多額の費用がかかるため、費用を削減するために、既存のますを埋設したまま補修することが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1に係る補修構造20aでは、図14に示すように、既存のます1よりも細径な有底筒状の補修用ます部材22aをます1の内部に設置し、補修用ます部材22aを、ます1の一側に開口する流入口13と、他側に開口する流出口14に接続する。かかる補修構造20aによれば、流入口13から流入する水を、ます1の内側面と接触させることなく、補修用ます部材22aの通して、流出口14から流出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-143523号公報 段落[0078]~[0097]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の補修構造20aは、ます1の内部で、補修用ます部材22aを流出口14と接続した後に、継手23aを介して、補修用ます部材22aを流入口13と接続する。ここで、補修用ます部材22aを流出口14と接続した段階では、図14に示すように、補修用ます部材22aと流入口13の間隔が、継手23aの全長よりも幅狭となって、継手23aを流入口13に接続し難くなるため、かかる補修構造20aでは、補修用ます部材22aの内部から、継手23aを外側に突き出すことにより流入口13と接続している。しかしながら、補修用ます部材22aの内部の狭いスペースから、継手23aを外側に突き出す作業は繁雑であり、従来の補修構造20aでは、継手23aと流入口13との接続作業に手間と時間を要している。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みて為されたものであり、従来に比べてますを容易に補修可能なますの補修構造、ます補修用キット、及びますの補修方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一側に開口する流入口から流入管路の水が流入し、他側に開口する流出口から流出管路に水が流出するますを補修するための、ますの補修構造であって、前記ますの内部に設置される有底筒状の補修用ます部材と、一端部を前記流入口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する入口側継手と、一端部を前記流出口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流出口を連通する出口側継手とを備え、前記入口側継手は、一端部を前記流入口側から前記流入管路に嵌合させることにより、前記流入口と接続されており、前記出口側継手は、前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を、前記流出口に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能とするものであり、前記入口側継手の一端部と前記流入管路との嵌合長さは、前記可動範囲よりも短いことを特徴とするますの補修構造である。
【0007】
かかる構成にあっては、出口側継手を介して流出口と補修用ます部材を接続した後でも、補修用ます部材を流出口に対して離近移動させることで、補修用ます部材と流入口の間隔を拡縮できる。ここで、補修用ます部材の可動範囲は、入口側継手の端部と流入管路との嵌合長さよりも長いため、かかる構成では、補修用ます部材と流入口の間隔を、入口側継手によって補修用ます部材と流入口が連通される間隔から、入口側継手によって補修用ます部材と流入口を連通不能となって、補修用ます部材と流入口の間に入口側継手を容易に配置可能な間隔まで拡げることができる。したがって、本発明のますの補修構造は、補修用ます部材と流入口の間隔を拡げた状態で、補修用ます部材と流入口の間に入口側継手を配置し、しかる後に、補修用ます部材と流入口の間隔を狭めることによって、従来構成に比べて、入口側継手を流入口と補修用ます部材に容易に接続できる。
【0008】
本発明にあって、前記出口側継手は、一端部を前記流出口から前記流出管路に差し込むことにより、前記流出口と接続されており、前記流出口と接続した状態で、前記流出管路内で、一端部を前記可動範囲内で挿抜方向に摺動させ得るものである構成が提案される。
【0009】
かかる構成にあっては、出口側継手に伸縮可能な継手等を採用することなく、簡素な構成によって、補修用ます部材を、流出口に対して離近移動させることが可能となるため、ますの補修構造を低廉に実現できる。
【0010】
また、本発明にあって、前記補修用ます部材は、有底筒状の下側ます部材と、前記下側ます部材の上端部に装着される、無底筒状の上側ます部材とを備え、前記下側ます部材に前記出口側継手の他端部が接続され、前記上側ます部材に前記入口側継手の他端部が接続される構成が提案される。
【0011】
かかる構成では、入口側継手と補修用ます部材の接続作業を、ますの外部で行うことができるため、ますの補修作業が一層容易となる。すなわち、補修用ます部材が、単一部材で構成される場合には、入口側継手が補修用ます部材と流出口の接続の妨げとならないように、補修用ます部材を流出口に接続した後に、ますの内部で、入口側継手と補修用ます部材の接続作業を行う必要がある。これに対して、かかる構成では、入口側継手を接続する補修用ます部材の上側(上側ます部材)は、補修用ます部材の下側(下側ます部材)を流出口に接続した後に装着できるため、入口側継手と補修用ます部材の接続作業を、予めますの外部で行うことができる。
【0012】
上記構成にあっては、前記上側ます部材は、円筒形状をなし、前記下側ます部材は、前記上側ます部材の下端部を装着する部分が、ゴム輪受口となっている構成が提案される。
【0013】
補修が必要なますの形態にはバラツキがあるが、かかる構成にあっては、上側ます部材の下側ます部材に対する角度を変更することにより、入口側継手の向きを容易に調整できるため、幅広い形態のますを補修可能となる。具体的には、入口側継手の水平方向の向きは、下側ます部材に装着する際に、上側ます部材を水平回転させることで調整できる。また、入口側継手の上下方向の向きは、ゴム輪受口のゴム輪を弾性変形させて、上側ます部材を、下端部を中心に傾動させることで調整できる。
【0014】
また、本発明にあって、前記入口側継手は、自在継手である構成が提案される。
【0015】
かかる構成によれば、入口側継手の端部を傾動させることにより、流入口と補修用ます部材との接続角度を調整できるため、流入口と補修用ます部材の接続作業が一層容易となる。
【0016】
本発明の別の態様は、一側に開口する流入口から流入管路の水が流入し、他側に開口する流出口から流出管路に水が流出するますを補修するための、ます補修用キットであって、前記ますの内部に設置される有底筒状の補修用ます部材と、一端部を前記流入口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する入口側継手と、一端部を前記流出口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流出口を連通する出口側継手とを含み、前記入口側継手は、一端部を前記流入口側から前記流入管路に嵌合させることにより、前記流入口と接続されるものであり、前記出口側継手は、前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を、前記流出口に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能とするものであり、前記入口側継手の一端部と前記流入管路との嵌合長さは、前記可動範囲よりも短いものとすることを特徴とするます補修用キットである。
【0017】
かかるます補修用キットによれば、本発明のますの補修構造を、容易に実現できる。
【0018】
本発明の別の態様は、一側に開口する流入口から流入管路の水が流入し、他側に開口する流出口から流出管路に水が流出するますの内部に、有底筒状の補修用ます部材と、一端部を前記流入口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する入口側継手と、一端部を前記流出口と接続し、他端部を前記補修用ます部材と接続することにより、前記補修用ます部材と前記流出口を連通する出口側継手とを配設するますの補修方法であって、前記出口側継手は、前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を、前記流出口に対して、所定の可動範囲内で離近移動可能とするものであり、前記出口側継手を前記補修用ます部材と前記流出口に夫々接続するとともに、前記補修用ます部材と前記流入口の間隔を、前記入口側継手が前記補修用ます部材と前記流入口を連通不能な間隔に保持した状態で、前記補修用ます部材と前記流入口の間に前記入口側継手を配置する第一工程と、前記第一工程の後に、前記出口側継手が前記流出口及び前記補修用ます部材との接続状態を保ったまま、前記補修用ます部材を前記流出口から離間する方向に移動させて、前記補修用ます部材と前記流入口の間隔を、前記入口側継手が前記補修用ます部材と前記流入口を連通可能な間隔にすることにより、前記入口側継手によって、前記補修用ます部材と前記流入口を連通する第二工程とを含むことを特徴とするますの補修方法である。
【0019】
補修構造が、出口側継手を介して流出口と補修用ます部材を接続した後も、補修用ます部材を流出口に対して離近移動可能な構成であれば、かかる補修方法のように、補修用ます部材に接続した入口側継手を、流入口から離間した位置から補修用ます部材ごと流入口に移動させることによって、入口側継手を流入口に容易に接続できる。したがって、本発明のますの補修構造によれば、従来構成に比べて、補修用ます部材と流入口の接続作業が容易となる。
【発明の効果】
【0020】
以上に述べたように、本発明によれば、出口側継手を介して補修用ます部材と流出口を接続した後に、入口側継手によって補修用ます部材と流入口を容易に接続できるため、従来に比べてますの補修作業を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】補修前のます1の縦断面図である。
図2】補修後のます1の縦断面図である。
図3】(A)図1中のX-X線断面図である。(B)図2中のY-Y線断面図である。
図4】補修構造20の側面図である。
図5】補修構造20の分解図である。
図6】出口側継手24と流出口14の接続態様を示す説明図であり、(A)は、流出口差込部40の先端部を流出管路11に挿入した状態を示し、(B)は、流出口差込部40の全体を流出管路11に挿入した状態を示す。
図7】入口側継手23と流入口13の接続態様を示す説明図であり、(A)は入口側継手23を接続する前の状態を示し、(B)は入口側継手23を接続した後の状態を示す。
図8】ます1の補修手順を示す説明図である。
図9図8から続くますの補修手順を示す説明図である。
図10図9から続くますの補修手順を示す説明図である。
図11図10から続くますの補修手順を示す説明図である。
図12】流入口接続工程を示す説明図であり、(A)は接続前の状態を示し、(B)は接続後の状態を示す。
図13】異なる形態のます1aを補修構造20で補修する場合を示す説明図であり、(A)入口側継手23と流入口13の接続前の状態を示し、(B)は入口側継手23と流入口13の接続後の状態を示す。
図14】従来の補修構造20aを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
図1,3(A)は、本実施例の補修構造によって補修するます1の断面図であり、補修前の状態を示したものである。かかるます1は、排水用のコンクリート製公共ますであるが、本発明の補修対象のますは、コンクリート製に限られず、また、排水ますや公共ますに限定されるものでもない。
【0023】
ます1は、有底筒状をなしており、底壁2と、底壁2の周囲から略垂直に立ち上がる円筒状の側壁3と、側壁3の上端から上方に縮径する斜壁4とを備えている。斜壁4の上には、ます1の上端部の開口部5を塞ぐように蓋枠6と蓋体7が設置される。ます1は、蓋枠6と蓋体7のみが地表に露出するように埋設される。ます1には、一側(図中左側)に開口する流入口13から家庭用の排水が流入し、流入した排水は、他側(図中右側)に開口する流出口14から下水道へ流出する。詳述すると、ます1には、一側に流入管路10が接続され、他側に流出管路11が接続される。流入管路10と流出管路11は、夫々の端部が側壁3の内側面と面一になるように接続されており、流入管路10の端部が流入口13を構成し、流出管路11の端部が流出口14を構成している。流入管路10は、地中に埋設されて、ます1と家庭用排水ます(図示省略)とを連通しており、家庭用排水ますの排水が、流入管路10を通って、流入口13からます1の内部に流入する。流出管路11は、地中に埋設されて、ます1と下水本管(図示省略)とを連通しており、ます1の内部の排水が、流出管路11を通って、流出口14から下水道に流出する。ます1に接続される流入管路10及び流出管路11の材質は特に限定されないが、一般的には、ヒューム管や陶管、塩化ビニル管などが挙げられる。
【0024】
図1に示すように、流出口14は、ます1の他側の、底部に近い位置に開口し、流入口13は、ますの一側の、流出口14より高い位置に開口している。ます1の底部には、流入口13から流出口14へ下り傾斜する溝路状のインバート15が形成されており、流入口13から流入する排水を、インバート15に沿って流出口14へ流下させるよう構成されている。また、図3(A)に示すように、流入口13と流出口14は、平面視において、ます1の中心に対して対称位置に開口しており、流入管路10と流出管路11は、平面視において、略同一直線上に配置される。
【0025】
図2,3(B)は、本実施例に係るますの補修構造20(以下、単に「補修構造20」という。)によって、上述のます1を補修した後の状態を示す断面図である。
本実施例の補修構造20は、ます1の内部に設置される補修用ます部材22と、補修用ます部材22を流入口13と連通する入口側継手23と、補修用ます部材22を流出口14と連通する出口側継手24とを備えている。これらは、特段言及しない限り、ポリ塩化ビニル等の樹脂で構成されるが、本発明の補修構造の材質は特に限定されるものではない。かかる補修構造20は、補修用ます部材22と、入口側継手23と、出口側継手24とが分離した状態の、組立式のます補修用キットとして補修担当の施工業者に提供され得る。かかる補修構造20によって補修されたます1では、流入口13から流入する排水は、ます1の内側面に触れることなく、流出口14から流出する。すなわち、流入管路10を通り流入口13からます1の内部に流入する排水は、入口側継手23を通って補修用ます部材22の内部に流入し、補修用ます部材22の内部に流入した排水は、出口側継手24を通って流出口14から流出管路11に流出する。
【0026】
図2に示すように、本実施例では、補修構造20の設置後に、ます1の内部に充填材29が充填される。充填材29の材質は特に限定されないが、好適なものとしては、安価な山砂が挙げられ、モルタルや各種の硬化性樹脂などを用いることもできる。充填材29は、充填部位によって複数種類使い分けてもよい。
【0027】
図2に示すように、本実施例では、ます1の上方に設置されていた蓋枠6及び蓋体7(図1参照)は、補修構造20の設置時に取り除かれて、補修構造20の設置後に、補修用ます部材22の上端部の開口部25を塞ぐように、一回り小さい補修用蓋枠26と補修用蓋体27が設置される。補修用蓋枠26は、充填された充填材29の上に設置されるが、補修用ます部材22の上端に固定したり、ます1の上縁に固定したりしてもよい。
【0028】
図4に示すように、補修用ます部材22は、上下方向に延びる有底筒状をなしており、中央部下寄りの一側面に開口する連通口38に、入口側継手23が分枝するように接続され、また、下端部の他側面から略水平方向に延出する横管35に、出口側継手24が接続される。
【0029】
かかる補修用ます部材22は、図5に示すように、有底筒状の下側ます部材30の上端部に、無底筒状の上側ます部材31を装着してなるものであり、下側ます部材30に出口側継手24を接続する横管35が形成され、上側ます部材31に入口側継手23を接続する連通口38が形成される。下側ます部材30と上側ます部材31は、略同径の円筒形状をなしており、下側ます部材30の上端部に配設されたゴム輪受口33に、上側ます部材31の下端部を差し込んで上下に連結することにより、補修用ます部材22が構成される。なお、上側ます部材31は、ゴム輪受口33を介して、下側ます部材30と接続されるため、図4に示すように、ゴム輪受口33の内部のゴム輪34が弾性変形可能な範囲内で、ゴム輪受口33を中心に傾動させることができる。ゴム輪34の材質としては、天然ゴムや合成ゴムが挙げられ、それらの中でもSBR(スチレン・ブタジエンゴム)が好ましい。
【0030】
図4,5に示すように、出口側継手24を接続する横管35は、下側ます部材30の下部側面から横方向に延びる短筒形状をなしており、横管35の先端部に出口側継手24が接続される。また、下側ます部材30の内底面には、横管35側に下り傾斜する案内面36が形成される。
【0031】
図4,5に示すように、上側ます部材31は、上下に長尺な円筒であり、上端の開口部25が地表近くに達するように、ます1の形態に合わせた長さに形成される。また、上側ます部材31の下端部は、下側ます部材30に装着し易いように面取りされる。上側ます部材31は、設置対象のます1の深さによって長さが変動するため、長めのサイズを用意して、ます1の深さに応じて切断して用いることが提案される。入口側継手23を接続する連通口38は、上側ます部材31の側面を貫通する貫通孔である。連通口38は、補修用ます部材22の設置状態で、流入口13と略同じ高さとなるように、補修対象のます1の形態に合わせた位置に形成される。
【0032】
図2に示すように、出口側継手24は、円筒状の樹脂部材であり、先端部を流出口14と接続し、基端部を下側ます部材30と接続することにより、補修用ます部材22と流出口14を連通する。図4,5に示すように、出口側継手24は、略均一な外径を有する流出口差込部40の基端側に、受口41を配設してなるものであり、流出口差込部40の先端側を流出口14から流出管路11に差し込むことにより流出口14と接続され、受口41を横管35の先端部に外嵌することにより、下側ます部材30と接続される。
【0033】
流出口差込部40の外径は、流出管路11の内径よりも僅かに細径であり、図6(A)に示すように、出口側継手24は、流出口差込部40を流出口14から流出管路11に挿入し、先端部に外嵌されたOリング42を流出管路11の内周面に密接させて水密性を確保することにより、流出口14と接続される。ここで、Oリング42が外嵌された流出口差込部40の先端部は、流出管路11に対して固定されず、流出管路11の内部で挿抜方向に摺動させることができる。このため、出口側継手24は、流出口差込部40の先端部を挿抜方向に摺動させることにより、流出口14との接続状態を保ったまま、流出口差込部40の先端部のみが流出管路11に挿入される位置から(図6(A)参照)と、流出口差込部40の全体が流出管路11に挿入される位置まで(図6(B)参照)、図6中の可動範囲L1の長さだけ、進退移動させることができる。かかる構成によれば、出口側継手24を流出口14と補修用ます部材22に接続した状態で、補修用ます部材22を、出口側継手24の挿抜方向の可動範囲L1の長さだけ、流出口14に対して離近移動させることが可能となる。
【0034】
図2に示すように、入口側継手23は、先端部を流入口13と接続し、基端部を上側ます部材31と接続することにより、補修用ます部材22と流入口13を連通する。図4,5に示すように、入口側継手23は、先端側を傾動可能な自在継手であり、継手本体46と、継手本体46の先端側に連結された取付管47とにより構成される。
【0035】
継手本体46は、基端側の固定筒部材51と先端側の可動筒部材53とを、公知の球面状連結機構54によって、一定角度範囲で上下左右に傾動可能に連結したものである。固定筒部材51の端部には、湾曲フランジ50が形成されており、継手本体46は、上側ます部材31の連通口38の周囲に湾曲フランジ50を接着することにより、上側ます部材31と接続される。可動筒部材53の端部には、取付管47を差し込む受口52が形成される。
【0036】
取付管47は、円筒状の樹脂部材であり、図5,7に示すように、先端側を流入管路10に差し込むための流入口差込部55とし、他端側を継手本体46の受口52に差し込む受口差込部56としている。流入口差込部55は、流入管路10の内径と略等しい外径を有しており、入口側継手23は、流入口差込部55を流入口13側から流入管路10に差し込んで、流入管路10に密嵌させることにより、流入口13と接続される。
【0037】
ここで、入口側継手23を流入口13と接続する時の、流入口差込部55と流入管路10の嵌合長さL2(図7参照)は、上述した出口側継手24の、流出口14に対して進退移動可能な可動範囲L1(図6参照)よりも短くなるよう構成される。このように、本実施例では、出口側継手24の可動範囲L1を、流入口差込部55と流入管路10の嵌合長さL2よりも長くすることで、出口側継手24の流出口差込部40の全体を流出管路11に差し込むことにより(図6(B)参照)、出口側継手24に接続された補修用ます部材22と、流入口13との間隔を、入口側継手23によって補修用ます部材22と流入口13が接続される間隔から、補修用ます部材22や流入口13と干渉することなく、入口側継手23を補修用ます部材22と流入口13の間に配置可能な間隔まで拡げ得るよう構成される。
【0038】
なお、本実施例に係るます1では、流入口差込部55の全長L2を流入管路10に差し込んで、入口側継手23を流入口13に接続するが(図7参照)、流入口差込部55の一部を流入管路10に差し込んだ状態で、入口側継手23を流入口13に接続することも可能であり、上述の嵌合長さが、流入口差込部55の全長L2より短くなる場合もある。しかしながら、いずれの場合であっても、入口側継手23と流入管路10の嵌合長さが、物理的に流入管路10に差込可能な長さ(流入口差込部55の全長L2)を上回ることはないため、上述の可動範囲L1が、流入口差込部55の全長L2よりも長く構成されていれば、入口側継手23と流入口13をどのように接続する場合であっても、流入口差込部55と流入管路10の嵌合長さは、上述の可動範囲L1よりも短いものとなる。
【0039】
以下に、上記補修構造20を用いて、ます1を補修する補修方法について説明する。
本実施例の補修方法は、以下の(1)~(3)の工程を順番に実行することにより実行される。
(1)設置前工程
(2)設置工程
(3)設置後工程
【0040】
設置前工程では、図1に示す状態から、ます1からインバート15、蓋枠6、及び蓋体7を取り除いて、図8に示すように、補修構造20を設置容易な状態とする。具体的には、インバート15を除去することで、ます1の底部に、下側ます部材30を載置する略水平な設置面44を形成する。インバート15は、例えば、工具で削ったり、斫ったりすることで除去可能である。インバート15は、補修構造20の設置の妨げとなる部分だけを取り除くだけでもよい。設置面44の高さは、出口側継手24が流出口14に接続可能な高さとする。設置面44は、インバート15を除去した後に、モルタルや土などによって、高さを調整したり、表面を均したりしてもよい。蓋枠6及び蓋体7は、例えば、ます1の周囲を掘り返して、ます1の側壁3や斜壁4の上端部を横断状に切断することで除去可能である。なお、蓋枠6及び蓋体7は、補修構造20の設置の妨げとならなければ、補修構造20の設置後に除去してもよい。
【0041】
設置工程では、ます1の内部に補修構造20を設置する。具体的には、補修用ます部材22をます1の内部に設置し、入口側継手23と出口側継手24を介して補修用ます部材22を流入口13と流出口14に接続する。補修構造20は、下側ます部材30、上側ます部材31、入口側継手23、及び出口側継手24が分離された状態の、組立式のます補修用キットとして施工業者に提供され、かかる設置工程で、施工業者によって組み立てられて、ます1の内部に設置される。設置工程は本発明の要部に係るため、以下に詳述する。
【0042】
設置工程は、以下の(2a)~(2c)の工程を順次実行することにより実行される。
(2a)流出口接続工程
(2b)ます部材組付工程
(2c)流入口接続工程
ここで、流出口接続工程及びます部材組付工程は、本発明に係る第一工程に相当し、流入口接続工程は、本発明に係る第二工程に相当する。
【0043】
流出口接続工程では、図8に示す状態から、出口側継手24を下側ます部材30と流出口14に夫々接続して、図9に示すように、補修用ます部材22(下側ます部材30)と流出口14を接続する。具体的には、下側ます部材30と出口側継手24をます1に入れ、出口側継手24の流出口差込部40を、流出口14から流出管路11に差し込むことにより、出口側継手24と流出口14を接続する。なお、下側ます部材30と出口側継手24は、予めます1の外部で横管35を受口41に差し込んで接続しておく。ます1の内部の狭い作業スペースで、下側ます部材30と出口側継手24を相互接続するよりも、接続作業が容易となるためである。
【0044】
ここで、出口側継手24は、流出口14との接続状態を保ったまま、流出口14に対して進退移動可能に構成されるため、出口側継手24を介して流出口14と接続された下側ます部材30は、出口側継手24が流出口14に対して進退移動する可動範囲L1(図6参照)において、流出口14に対して離近移動させることができる。そして、流出口接続工程では、図9に示すように、出口側継手24の流出口差込部40の全体を流出管路11に差し込むことにより、下側ます部材30を、図2に示す最終設置位置よりも流出口14の近くに配置する。このように、流出口接続工程では、補修用ます部材22を流出口14に近接配置して、下側ます部材30と流入口13の間隔を、入口側継手23が補修用ます部材22と流入口13を連通不能な間隔に拡げておくことにより、ます1や流入管路10と干渉させることなく、補修用ます部材22と流入口13の間に入口側継手23を配置可能なスペースを確保する。
【0045】
ます部材組付工程では、図9に示す状態から、設置済みの下側ます部材30に、上側ます部材31と入口側継手23を取り付けて、図10に示すように、補修構造20の全体をます1の内部に設置する。なお、上側ます部材31と入口側継手23は、予めます1の外部で連通口38の周囲に湾曲フランジ50を接着して接続しておく。ます1の内部の狭い作業スペースで、上側ます部材31と入口側継手23を相互接続するよりも、接続作業が容易となるためである。
【0046】
ます部材組付工程において、上側ます部材31を下側ます部材30に装着する際は、図10,12(A)に示すように、連通口38(入口側継手23)が流入口13を向くように上側ます部材31の回転角度を調整する。この時、下側ます部材30と流入口13の間隔は、入口側継手23が補修用ます部材22と流入口13を連通不能な間隔に保持されているため、入口側継手23をます1の側壁3や流入管路10と干渉させることなく、上側ます部材31を下側ます部材30に装着して、入口側継手23を補修用ます部材22と流入口13の間に配置できる。
【0047】
流入口接続工程では、入口側継手23を流入口13と接続して、入口側継手23によって補修用ます部材22と流入口13を連通する。具体的には、ます部材組付工程では、下側ます部材30と流入口13の間隔が、入口側継手23が補修用ます部材22と流入口13を連通不能な間隔に保持されるため、図10,12(A)に示すように、上側ます部材31を装着した後の入口側継手23は、流入口13から離間した位置に配置される。流入口接続工程では、かかる状態から、図11,12(B)に示すように、補修用ます部材22を流出口14から離間する方向に移動させて、最終設置位置へ移動させる。かかる補修用ます部材22の移動に伴って、入口側継手23は、流入口13から離間する位置から流入口13に向けて移動する。そして、補修用ます部材22が最終設置位置に達すると、下側ます部材30と流入口13の間隔が、入口側継手23が補修用ます部材22と流入口13を連通可能な間隔に狭まるため、入口側継手23の流入口差込部55を流入管路10に内嵌して、入口側継手23を流入口13に接続する。上述のように、出口側継手24の可動範囲L1(図6参照)は、流入口差込部55と流入管路10の嵌合長さL2(図7参照)よりも長いため、かかる流入口接続工程では、出口側継手24を流出口14から脱落させることなく、流出口14と補修用ます部材22との接続状態を保ったまま、流入口差込部55と流入管路10が嵌合する位置まで、補修用ます部材22を移動させることができる。そして、かかる流入口接続工程により、入口側継手23と出口側継手24が、流入口13と流出口14に夫々接続されて、補修構造20の設置が完了する。
【0048】
設置後工程では、図11に示す状態から、図2に示すように、ます1の内側面と補修構造20の間の空間に充填材29を充填し、さらに、充填材29の上に補修用蓋枠26と補修用蓋体27を設置する。通常は、補修用蓋体27が、取り外した蓋体7と同じ高さとなるように設置し、設置後に、補修用蓋体27の上面が、周囲の地面と面一となるように埋め戻しを行う。そして、かかる設置後工程により、ます1の補修が完了する。
【0049】
このように、かかる補修方法によれば、入口側継手23を、補修用ます部材22の内部から外側に突き出すことなく、補修用ます部材22と流入口13に接続できるため、従来の補修方法に比べて、補修用ます部材と流入口の接続作業が容易となる。
【0050】
以上のように、本実施例の補修構造20では、出口側継手24を介して流出口14と補修用ます部材22を接続した状態でも、補修用ます部材22を流出口14に対して離近移動させることにより、補修用ます部材22と流入口13の間隔を拡縮できる。そして、補修用ます部材22を離近移動可能な可動範囲L1は、入口側継手23と流入管路10との嵌合長さL2よりも長くなるよう構成されるため、補修用ます部材22と流入口13の間隔は、入口側継手23が補修用ます部材22と流入口13を連通可能な間隔から、ます1や流入管路10と干渉させることなく、入口側継手23を補修用ます部材22と流入口13の間に配置可能な間隔まで拡げることができる。したがって、本実施例の補修構造20は、上述の補修方法のように、補修用ます部材22と流入口13の間隔を拡げた状態で、補修用ます部材22と流入口13の間に入口側継手23を配置し、しかる後に、補修用ます部材22と流入口13の間隔を狭めることによって、入口側継手23を流入口13と補修用ます部材22に容易に接続できる。このように、本実施例の補修構造20によれば、入口側継手23を、補修用ます部材22の内側から突き出すことなく、補修用ます部材22と流入口13に接続できるため、従来構成に比べて、補修用ます部材22と流入口13の接続作業が容易であり、ます1を容易に補修できるという利点がある。
【0051】
特に、本実施例の補修構造20は、流出管路11に対する出口側継手24の挿抜方向の摺動によって、補修用ます部材22を流出口14に対して離近移動可能とするため、出口側継手24を、伸縮式の継手などを用いることなく、簡素な構成により実現できるという利点がある。
【0052】
また、本実施例では、補修用ます部材22が、入口側継手23を接続する上側ます部材31と、出口側継手24を接続する下側ます部材30の二部材で構成されるため、入口側継手23と補修用ます部材22の接続作業を、ます1の外部で行えるという利点がある。すなわち、補修用ます部材22が単一の樹脂部材である場合には、入口側継手23がます1の側壁3や流入管路10と干渉するのを避けるため、補修用ます部材22を流出口14に接続した後で、ます1の内部で、入口側継手23と補修用ます部材22の接続作業を行う必要があるが、本実施例の補修構造20では、上述のように、補修用ます部材22の下側(下側ます部材30)を流出口14に接続した後に、補修用ます部材22の上側(上側ます部材31)を装着できるため、予めます1の外部で、入口側継手23を補修用ます部材22の接続しておくことができる。
【0053】
また、上記実施例のます1では、平面視において、流入口13と流出口14がます1の対称位置に配置され、流入管路10と流出管路11が同一直線上に配置されているが、本実施例の補修構造20は、入口側継手23の水平方向の向きを調整可能であるため、図13に示すように、平面視において、流入口13と流出口14が斜向かいに配置され、流入管路10と流出管路11が同一直線上に配置されないます1aであっても補修可能である。
【0054】
特に、本実施例の補修構造20では、上側ます部材31の下側ます部材30に対する角度を変更することにより、入口側継手23の向きを容易に調整できるため、幅広い形態のますを補修できるという利点がある。具体的には、入口側継手23の水平方向の向きは、下側ます部材30に装着する際に、上側ます部材31を水平回転させることで調整できる。また、入口側継手23の上下方向の向きは、ゴム輪受口33のゴム輪34を弾性変形させて、上側ます部材31を、下端部を中心に傾動させることで調整できる(図4参照)。
【0055】
また、本実施例に係る入口側継手23は、先端の流入口差込部55を上下左右に傾動可能な自在継手であるため、入口側継手23と流入口13との接続作業において、流入管路10に対して流入口差込部55を容易に嵌合できるという利点がある。
【0056】
以上に、本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記実施例の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【0057】
例えば、本発明の補修対象のますは、上記実施例のます1に限られない。例えば、上記実施例のます1は、横断面が略円形状であるが、本発明は、横断面が円形以外の形状(例えば、四角形状)のますにも適用可能である。また、上記実施例のます1では、流入管路10及び流出管路11が、ます1の側壁3と面一になっているが、本発明は、流入管路10や流出管路11が側壁3の内側に突き出たますにも適用可能である。
【0058】
また、本発明に係るますの補修構造は、上記実施例の補修構造20に限られない。例えば、上記実施例では、出口側継手24は、先端部を流出管路11の内部で摺動させることにより、流出口14と補修用ます部材22との接続状態を保ったまま、補修用ます部材22を、流出口14に対して離近移動可能とするが、出口側継手24を、いわゆる、やりとり継手のような伸縮式の継手で構成し、出口側継手24の伸縮により、補修用ます部材22を流出口14に対して離近移動させるよう構成してもよい。
【0059】
また、出口側継手24による補修用ます部材22と流出口14の接続機構は、上記実施例の形態に限定されず、適宜変更可能である。例えば、横管35の先端に配設した受口に、出口側継手24の基端部を差込接続するようにしてもよいし、補修用ます部材22の側面に形成した開口部に、出口側継手24の基端部を接着するようにしてもよい。また、出口側継手24は、補修用ます部材22(下側ます部材30)と一体化されたものであってもよい。
【0060】
また、入口側継手23による補修用ます部材22と流入口13の接続機構は、上記実施例の形態に限定されず、適宜変更可能である。例えば、上記実施例の入口側継手23は、継手本体46と流入口13が、取付管47を介して間接的に接続されるが、継手本体46の先端部を、流入口13に直接接続するようにしてもよい。また、上記実施例では、流入口13に対して入口側継手23の先端部を差込接続する構成であるが、入口側継手23の先端部を、流入口13の周囲の側壁3に接合することにより流入口13に接続するようにしてもよい。また、流入管路10がます1の内部に突出している構成では、入口側継手23の先端部に対して、流入口13(流入管路10)を差込接続するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施例に補修方法についても、本発明の趣旨を変更しない範囲内において、各工程を適宜変更したり、省略したりできる。
例えば、上記実施例の補修方法では、ます1の蓋体7と蓋枠6を除去して、補修用蓋枠26と補修用蓋体27を配設しているが、ます1の蓋体7と蓋枠6を除去せず、補修後も使用するようにしてもよい。また、蓋体7と蓋枠6を除去せず、補修後も使用する場合には、ます1の内部に充填材29を完全に充填しなくても構わない。
【0062】
また、上記実施例の補修方法では、入口側継手23を補修用ます部材22に接続した後に、補修用ます部材22と流入口13の間隔を狭めて、入口側継手23を流入口13と接続するが(図10,11参照)、入口側継手23を流入口13に接続した後に、補修用ます部材22と流入口13の間隔を狭めて、入口側継手23を補修用ます部材22と接続するようにしてもよい。また、継手本体46を補修用ます部材22と接続し、取付管47を流入口13に接続した状態で、補修用ます部材22と流入口13の間隔を狭めて、継手本体46と取付管47を接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1a ます
2 底壁
3 側壁
4 斜壁
5 開口部
6 蓋枠
7 蓋体
10 流入管路
11 流出管路
13 流入口
14 流出口
15 インバート
20,20a 補修構造
22 補修用ます部材
23,23a 入口側継手
24 出口側継手
25 開口部
26 補修用蓋枠
27 補修用蓋体
29 充填材
30 下側ます部材
31 上側ます部材
33 ゴム輪受口
34 ゴム輪
35 横管
36 案内面
38 連通口
40 流出口差込部
41 受口(出口側継手)
42 Oリング
43 設置面
46 継手本体
47 取付管
50 湾曲フランジ
51 固定筒部材
52 受口
53 可動筒部材
54 球面状連結機構
55 流入口差込部
56 受口差込部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14