(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173664
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】推薦装置、方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231130BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231130BHJP
【FI】
G06Q30/06 330
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086084
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 栄治
(72)【発明者】
【氏名】倉重 規夫
(72)【発明者】
【氏名】松岡 賢司
(72)【発明者】
【氏名】尾川 英明
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049CC24
(57)【要約】
【課題】オンラインでの会食の場合、各参加者の居場所が異なり、注文先の店舗も異なる場合があることから、会食時間内に適切な飲食物を推薦することが困難であるため、オンラインでの会食中に、各参加者に対して適切な飲食物を推薦する。
【解決手段】本発明にかかる推薦装置(200)は、会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定する特定部(232)と、特定した飲食物を参加者へ推薦する推薦部(234)と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から前記会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定する特定部と、
前記特定した飲食物を前記参加者へ推薦する推薦部と、
を備える推薦装置。
【請求項2】
前記特定部は、
前記参加者の前記会食の際中における飲食物の摂取量にさらに基づいて、前記注文候補の飲食物を特定する
請求項1に記載の推薦装置。
【請求項3】
前記特定部は、
前記施設における前記飲食物の調理に要する時間である調理時間と、前記飲食物が前記参加者により摂取される場合に要する時間である摂取所要時間とにさらに基づいて、前記注文候補の飲食物を特定する
請求項1又は2に記載の推薦装置。
【請求項4】
コンピュータが、
会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から前記会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定するステップと、
前記特定した飲食物を前記参加者へ推薦するステップと、
を行う推薦方法。
【請求項5】
会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から前記会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定するステップと、
前記特定した飲食物を前記参加者へ推薦するステップと、
をコンピュータに実行させる推薦プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、推薦装置、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザの入店からの経過時間に基づいて統計的に1以上のおすすめ料理候補を選択し、注文済みの料理とおすすめ料理候補との相関に基づいておすすめ料理を動的に提示する技術が開示されている。
【0003】
また、近年、オンライン会議システムを利用して、複数人で会食を行うことが増えている。この場合、オンライン会議の各参加者は、会食中に、デリバリーサービスのある店舗に対して飲食物を注文して配達してもらうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オンラインでの会食の場合、各参加者の居場所が異なり、注文先の店舗も異なる場合があることから、会食時間内に適切な飲食物を推薦することが困難であるという問題点がある。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、オンラインでの会食中に、各参加者に対して適切な飲食物を推薦するための推薦装置、方法、及び、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる推薦装置は、会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から前記会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定する特定部と、前記特定した飲食物を前記参加者へ推薦する推薦部と、を備える。
【0008】
本開示にかかる推薦方法は、コンピュータが、会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から前記会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定するステップと、前記特定した飲食物を前記参加者へ推薦するステップと、を行う。
【0009】
本開示にかかる推薦プログラムは、会食の残り時間と、飲食物を提供する施設から前記会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間と、に基づいて、注文候補の飲食物を特定するステップと、前記特定した飲食物を前記参加者へ推薦するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示により、オンラインでの会食中に、各参加者に対して適切な飲食物を推薦するための推薦装置、方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態1にかかるオンライン会食支援システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態1にかかる推薦装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態1にかかる推薦処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態1にかかる推薦処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態1にかかる時間に基づくメニューの絞り込みの例を示す図である。
【
図6】本実施形態1にかかる満腹度に基づくメニューの絞り込みの例を示す図である。
【
図7】本実施形態1にかかる推薦装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0013】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかるオンライン会食支援システム1000の全体構成を示すブロック図である。オンライン会食支援システム1000は、参加者U1からU4がオンラインでの会食を行うことを支援するための情報システムである。オンライン会食支援システム1000は、オンライン会議システム100、推薦装置200、端末301~304、施設端末401~404を備える。オンライン会議システム100、推薦装置200、端末301~304、施設端末401~404のそれぞれは、通信網Nを介して通信可能に接続されている。通信網Nは、無線通信回線網又は携帯電話回線網等を含み、インターネットを含んでも良い。
【0014】
オンライン会議システム100は、参加者U1等が操作する複数の端末301等からの接続を受け付け、オンライン会議を管理及び制御する。オンライン会議システム100は、WEB会議システム等であり、公知の情報システムを適用可能である。
【0015】
居場所A1~A4のそれぞれには、参加者U1~U4のそれぞれが滞在しているものとする。参加者U1~U4のそれぞれは、端末301~304のそれぞれを操作して、オンライン会議システム100に接続してオンライン会議に参加する。本実施形態では、オンライン会議の際中に、各参加者が各自の居場所で飲食を行うという「オンラインでの会食」を行うものとする。尚、本実施形態における参加者U1等の居場所は、後述する方法により取得される端末301等の現在位置として扱われる。
【0016】
端末301等は、参加者U1等の座席周辺の映像の撮影、参加者U1等の音声入力、音声出力の機能を有する情報処理装置である。端末301等は、カメラ、マイク、スピーカの機能を内蔵するか、これらのデバイスと接続された情報処理装置である。端末301等は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC等である。
【0017】
端末301等は、少なくともオンライン会議システム100を介してオンライン会議に参加する機能を有する。さらに、端末301等は、参加者U1等の操作に応じて、推薦装置200に対して飲食物の注文候補の推薦要求を送信し、推薦装置200から注文候補を受け付けて、画面に表示する。また、端末301等は、参加者U1等の操作に応じて、注文候補の飲食物のメニューの選択を受け付け、選択された飲食物のメニューの注文要求を推薦装置200へ送信する。尚、端末301等は、GPS(Global Positioning System)等から位置情報を取得し、取得した位置情報を端末の現在位置とする。または、端末301等は、参加者U1等により入力された参加者U1等の住所等を、端末の現在位置として取得しても良い。
【0018】
提供施設F1~F4は、飲食物を提供する施設であり、例えば、飲食物の注文を受け付け、調理及び配送を行う店舗等である。施設端末401~404のそれぞれは、提供施設F1~F4のそれぞれに設置された、又は、提供施設F1等のスタッフが携帯する情報処理装置である。施設端末401等は、少なくとも推薦装置200から注文要求を受け付け、スタッフに通知する。スタッフは、通知に応じて、注文された飲食物の調理や配送の手配を行う。
【0019】
提供施設F1等の配送スタッフは、注文に応じて調理された飲食物を、注文先の参加者U1等が滞在する居場所A1等へ配送する。尚、居場所A1~A4のそれぞれは、一定距離以上、離れているものとする。そのため、居場所A1~A4のそれぞれは、飲食物の配送の注文を行う提供施設F1~F4の配送対象エリアの少なくとも一部に属し、居場所A1等の間で、配送対象エリアの一部が重複してもよい。例えば、居場所A1は提供施設F1及びF2の配送対象エリアに属しており、居場所A2は提供施設F2及びF3の配送対象エリアに属しており、居場所A3は提供施設F3及びF4の配送対象エリアに属しており、居場所A4は提供施設F3及びF4の配送対象エリアに属している。尚、居場所と配送対象エリアの関係はこれらに限定されない。
【0020】
推薦装置200は、オンラインでの会食の参加者に対して、会食の残り時間、参加者の居場所と注文可能な提供施設との距離、及び、飲食物の飲食完了所要時間等を考慮した注文候補を推薦する情報処理装置である。また、推薦装置200は、通信網Nを介して、該当する提供施設F1等に対して、注文された飲食物の注文処理を行っても良い。本実施形態にかかる推薦装置200は、オンライン会議システム100と連携し、開催中のオンライン会議に関する情報、例えば、参加者の個人情報や端末情報、会議や会食の開始時刻と終了予定時刻等を共有するものとする。但し、推薦装置200は、オンライン会議システム100の機能を有していても良い。また、推薦装置200は、複数台のサーバに冗長化されてもよく、各機能ブロックが複数台のコンピュータで実現されてもよい。
【0021】
図2は、本実施形態1にかかる推薦装置200の構成を示すブロック図である。推薦装置200は、施設DB(DataBase)210、満腹度DB220、取得部231、特定部232、算出部233、推薦部234及び注文処理部235を備える。施設DB210及び満腹度DB220は、少なくともストレージ装置で実現され、データベース管理システムを用いて実現されてもよい。取得部231、特定部232、算出部233、推薦部234及び注文処理部235は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、メモリ又はこれらの組み合わせからなる。尚、推薦装置200のハードウェア構成の例は、後述する。
【0022】
施設DB210は、施設情報211、・・・施設情報21n(nは2以上の自然数。)を管理するデータベースである。施設情報211等のそれぞれは、上述した飲食物の提供施設F1等のそれぞれに関する情報である。例えば、施設情報211は、位置情報2110、飲食物情報2111~211m(mは2以上の自然数。)を含む。位置情報2110は、提供施設F1の住所、少なくとも市町村の情報、又は、GPS等から取得した位置情報である。飲食物情報2111等は、対応する施設で提供可能な飲食物に関する情報である。具体的には、飲食物情報2111は、メニュー情報21111、調理時間21112及び摂取所要時間21113を対応付けた情報である。メニュー情報21111は、飲食物の注文対象のメニュー名、飲食物の内容、金額等の情報である。また、メニュー情報21111は、施設情報の識別情報と施設内のメニューの識別情報とを組み合わせたメニューの識別情報を含むとよい。調理時間21112は、対応する飲食物の調理に要する時間である。摂取所要時間21113は、対応する飲食物が参加者により摂取される場合に要する時間である。以降、飲食物情報2112(不図示)から211mまでも飲食物情報2111と同様の構成である。また、施設情報212(不図示)から施設情報21nまでも施設情報211と同様の構成である。尚、施設情報の飲食物情報は、1以上であればよい。また、施設DB210は、1以上の施設情報を含めばよい。
【0023】
満腹度DB220は、参加者の満腹度に応じて推薦する注文候補となり得るメニュー情報を管理するデータベースである。満腹度DB220は、満腹度2211及びメニュー情報2221の組、・・・、満腹度221k(kは2以上の自然数。)とメニュー情報222kの組を含む。満腹度2211等は、参加者が飲食物を摂取したことに伴う満腹度合いを示す情報である。満腹度2211等は、例えば、特定の参加者のオンラインでの会食中の飲食物の摂取予定量における摂取済みの飲食物の摂取量の割合を示す数値である。例えば、満腹度2211等は、「1」や「100%」が満腹を示しても良い。メニュー情報2221等は、上述したメニュー情報21111に対応する情報である。尚、満腹度DB220は、1以上の満腹度及びメニュー情報の組を含めばよい。また、本実施形態においては、満腹度DB220及び満腹度DB220を参照する処理は必須ではない。
【0024】
取得部231は、オンライン会議システム100を介したオンライン会議に参加する特定の参加者の端末の現在位置を取得する。ここで、現在位置は、参加者の住所、少なくとも市町村の情報、又は、参加者の端末がGPS等から取得した位置情報である。尚、特定の参加者とはオンラインの会食の参加者であり、その端末とは、後述する飲食物の注文候補の推薦要求を推薦装置200へ送信した端末とする。また、取得部231は、開催中のオンライン会議の残り時間、つまり、オンラインでの会食の残り時間を取得する。また、取得部231は、特定の参加者におけるオンラインでの会食中の摂取予定量を取得する。また、取得部231は、特定の参加者に対して推薦された注文候補の中から、参加者により選択された注文候補の飲食物のメニューを取得する。
【0025】
特定部232は、施設DB210の中から、特定の参加者の居場所の周辺の提供施設を特定する。このとき、特定部232は、2以上の提供施設を特定してもよい。また、特定部232は、施設DB210の中から、特定した各施設で提供可能な各飲食物のメニューにおける調理時間と摂取所要時間を特定する。また、特定部232は、会食の残り時間から飲食完了所要時間を減算した値が0以上となる飲食物のメニューを特定する。このとき、特定部232は、飲食物のメニューを注文候補として特定してもよい。または、特定部232は、算出部233が算出した満腹度に応じた飲食物のメニューを注文候補として特定するとよい。つまり、特定部232は、会食の残り時間及び配送所要時間に加えて、特定の参加者のオンラインの会食の際中における飲食物の摂取量に基づいて、注文候補の飲食物を特定するとよい。言い換えると、特定部232は、会食の残り時間及び配送所要時間に基づき特定された注文候補の中から、満腹度に基づいて特定の参加者により適切な注文候補を絞り込んでもよい。具体的には、特定部232は、会食の残り時間、飲食完了所要時間、及び、満腹度に基づいて注文候補を特定してもよい。
【0026】
算出部233は、特定した提供施設から、推薦要求を行った会食の参加者の居場所まで飲食物を配送した場合に要する時間である配送所要時間を算出する。また、算出部233は、特定した調理時間及び摂取所要時間、並びに、算出した配送所要時間から、各飲食物のメニューについて、特定の参加者の飲食完了所要時間を算出する。また、算出部233は、特定の参加者が、今回のオンラインの会食の際中に摂取した飲食物の摂取量の合計値を算出する。また、算出部233は、算出した摂取量の合計値と、取得した摂取予定量から特定の参加者の満腹度を算出する。
【0027】
推薦部234は、オンライン会議システム100を介したオンライン会議に参加する端末から飲食物の注文候補の推薦要求を受け付け、後述する推薦処理により特定された注文候補の飲食物のメニューを要求元の端末へ返信する。つまり、推薦部234は、参加者に対して注文候補のメニュー情報を推薦する。尚、推薦部234は、参加者に対して注文候補のメニュー情報と提供施設の組を推薦するともいえる。
【0028】
注文処理部235は、注文候補の飲食物のメニューに対して特定の参加者により選択されたメニューを受け付け、受け付けたメニューを提供する施設の端末に対して注文処理を行う。
【0029】
図3及び
図4は、本実施形態1にかかる推薦処理の流れを示すフローチャートである。例えば、参加者U4がオンライン会食の主催者とする。参加者U4は端末304を用いてオンライン会議システム100の機能を用いてオンライン会議を開始しており、終了予定時刻も設定済みとする。また、参加者U1からU3のそれぞれも、端末301から303を用いて、参加者U4が開始したオンライン会議に参加済みとする。また、参加者U1からU4は、居場所A1~A4を示す情報を推薦装置200へ登録済みとする。また、参加者U1からU4は、各自で飲食物を準備していてもよい。また、参加者U1からU4のそれぞれは、会食開始までに、自身の摂取所要時間の調整値や摂取予定量を、端末301等を用いて推薦装置200へ登録していてもよい。つまり、調整値は参加者により入力された値であってもよい。また、調整値は、メニューごとに異なっていても良い。または、推薦装置200は、過去の会食で注文したメニューについて摂取するために実際に要した時間である摂取実測値を特定し、摂取実測値を記憶する手段を有していても良い。その場合、推薦装置200は、施設DB210内の該当するメニュー情報の摂取所要時間と、上記記憶された摂取実測値との比率を算出する。そして、推薦装置200は、特定のメニューについて、摂取所要時間と、記憶されている分の摂取実測値との比率を算出し、比率に基づいて、摂取実測値の平均値又は中央値等を算出し、算出した値を調整値としてもよい。例えば、特定のメニューについて、過去に、施設DB210内の摂取所要時間の半分程度の時間で摂取されていた場合、推薦装置200は、摂取実測値の平均値等に応じて、摂取所要時間を半分に更新する。
【0030】
そこで、参加者U4は、端末301を用いてオンラインの会食を開始する(S101)。次に、推薦部234は、参加者の端末301から304のいずれかから、注文候補の推薦要求を受け付けたか否かを判定する(S102)。推薦要求を受け付けていない場合、推薦部234は、所定時間待機した後、再度ステップS102を実行する。また、例えば、端末301は、参加者U1の操作に応じて、飲食物の注文候補の推薦要求を通信網Nを介して推薦装置200へ送信する。尚、推薦要求には、端末301の現在位置や参加者U1の識別情報等が含まれていても良い。
【0031】
ステップS102で推薦要求を受け付けた場合、取得部231は、推薦要求を受け付けた端末の現在位置を取得する(S103)。例えば、取得部231は、端末301から現在位置を取得する。そして、特定部232は、現在位置から所定範囲に位置する1以上の施設を特定する(S104)。具体的には、特定部232は、施設DB210内の施設情報211から21nのそれぞれの位置情報2110を参照し、位置情報が、端末301の現在位置から所定範囲内である施設情報を特定する。例えば、特定部232は、提供施設F1及びF2を特定する。
【0032】
そして、算出部233は、特定した各施設の位置から参加者の現在位置までの配送所要時間を算出する(S105)。具体的には、算出部233は、端末301の現在位置つまり居場所A1と提供施設F1の位置情報との距離、配送経路、経路上の渋滞情報等から、提供施設F1から居場所A1までの配送所要時間を算出する。同様に、算出部233は、提供施設F2から居場所A1までの配送所要時間を算出する。尚、算出部233は、直近の渋滞情報や調理時間経過後の渋滞予測情報、配送手段等を加味して、配送所要時間を算出してもよい。
【0033】
そして、特定部232は、特定した各施設で提供可能な各飲食物のメニューにおける調理時間と摂取所要時間を特定する(S106)。具体的には、特定部232は、施設DB210の中から、提供施設F1及びF2の施設情報に含まれる飲食物情報2111等を読み出す。尚、特定部232は、推薦要求に含まれる参加者U1の識別情報に対応する上述した調整値を特定し、特定した調整値に応じて、読み出した摂取所要時間を増減させてもよい。つまり、特定部232は、参加者U1向けに調整された摂取所要時間を特定してもよい。また、特定部232は、各施設の注文の重なり度合いを考慮して調理時間を増減させてもよい。例えば、提供施設が実店舗でも飲食物を提供している場合、特定部232は、店舗の入店客の込み具合を考慮して、調理時間を算出してもよい。
【0034】
そして、算出部233は、調理時間、配送所要時間及び摂取所要時間から、各飲食物のメニューについて、参加者の飲食完了所要時間を算出する(S107)。例えば、算出部233は、以下の式1により飲食完了所要時間を算出するとよい。
飲食完了所要時間=調理時間+摂取所要時間+配送所要時間・・・(式1)
【0035】
ここで、
図5は、本実施形態1にかかる時間に基づくメニューの絞り込みの例を示す図である。この例では、提供施設F1の飲食物情報として、メニュー情報に「唐揚げ」、「刺身」及び「サラダ」が登録され、各メニューに調理時間及び摂取所要時間の組が対応付けられている。また、提供施設F2の飲食物情報として、メニュー情報に「焼き鳥」、「だし巻き」及び「枝豆」が登録され、各メニューに調理時間及び摂取所要時間の組が対応付けられている。そして、上述したステップS105により、提供施設F1から参加者U1への配送所要時間が「10分」、提供施設F2から参加者U1への配送所要時間が「20分」と算出されたとする。そして、算出部233は、ステップS106により特定された調理時間及び摂取所要時間を用いて、ステップS107により、施設及びメニューの組ごとに、飲食完了所要時間を算出する。例えば、提供施設F1の「唐揚げ」の飲食完了所要時間は、15分+10分+20分=45分と算出される。
【0036】
また、取得部231は、オンラインでの会食の残り時間を取得する(S108)。例えば、取得部231は、通信網Nを介してオンライン会議システム100から、参加者U4が開始したオンライン会議の終了予定時刻を取得し、終了予定時刻から現在時刻を減算することにより、残り時間を取得してもよい。または、取得部231は、通信網Nを介してオンライン会議システム100から、直接、残り時間を取得してもよい。尚、ステップS108と、上述したステップS103からS107とは、独立して実行されてもよい。
【0037】
その後、特定部232は、会食の残り時間から飲食完了所要時間を減算した値が0以上となる飲食物のメニューを特定する(S109)。具体的には、まず、特定部232は、ステップS104で特定した各施設情報に含まれる各飲食物情報について、ステップS108で取得した会食の残り時間から、ステップS107で算出した飲食完了所要時間を減算する。そして、特定部232は、各飲食物情報について、減算して算出された時間が0以上か否かを判定する。そして、特定部232は、0以上となる飲食物情報、つまりメニュー情報を特定する。例えば、
図5では、ステップS108により会食の残り時間が42分と算出されたことを示す。そして、ステップS109により、例えば、残り時間「42分」から提供施設F1の「唐揚げ」の飲食完了所要時間「45分」を減算し、「-3分」と算出される。そのため、特定部232は、提供施設F1の「唐揚げ」を「×」と判定する。一方、残り時間「42分」から提供施設F1の「刺身」の飲食完了所要時間「35分」を減算し、「+7分」と算出される。そこで、特定部232は、提供施設F1の「刺身」を「〇」と判定する。以下同様に処理する。そのため、
図5の例では、特定部232は、提供施設F1の「刺身」及び「サラダ」、並びに、提供施設F2の「だし巻き」及び「枝豆」を、注文候補の飲食物のメニュー情報として特定する。言い換えると、推薦装置200は、会食の残り時間と配送所要時間に基づき、参加者U1の居場所に応じた注文候補のメニューを絞り込む。より具体的には、推薦装置200は、参加者の居場所と飲食物の提供施設との距離や交通事情等に基づく配送所要時間を算出し、配送所要時間と各飲食物の調理時間や参加者における摂取所要時間とに基づく飲食完了所要時間を算出し、会食の残り時間と飲食完了所要時間を用いてメニューを絞り込む。
【0038】
さらに、推薦装置200は、満腹度に基づき注文候補のメニューを絞り込むと良い。具体的には、算出部233は、参加者U1が会食の際中に摂取した飲食物の摂取量の合計値を算出する(S110)。例えば、算出部233は、今回の会食の開始以降に特定の参加者が推薦装置200を介して注文した飲食物のメニュー情報の履歴から、特定の参加者が今回の会食中に摂取した飲食物の摂取量を算出する。ここで、摂取量は、特定の参加者が摂取した飲食物の重量やカロリー数等の数値の指標値とする。尚、摂取量は、特定の参加者が注文済みで摂取前、摂取中の飲食物の上記指標値を含んでも良い。また、摂取量は、特定の参加者が推薦装置200を介さずに準備や調達した飲食物の指標値を含んでも良い。例えば、推薦装置200は、特定の参加者の周辺に配置された飲食物についてオンライン会議に用いられる端末の撮影機能により撮影された画像を解析することにより、特定の参加者が摂取前又は摂取中の飲食物を推定してもよい。または、推薦装置200は、各参加者が推薦装置200を介さずに準備や調達した飲食物の情報を、各参加者の端末から受け付けて、受け付けた情報を用いて摂取量を算出しても良い。
【0039】
そして、取得部231は、参加者U1における会食中の摂取予定量を取得する(S111)。例えば、取得部231は、参加者U1が予め登録した摂取予定量を取得してもよい。摂取予定量は、特定の参加者が摂取を希望する、又は、予定する飲食物の指標値であり、上述した摂取量と同じ単位の指標値とする。そして、算出部233は、摂取量の合計値と摂取予定量から参加者U1の満腹度を算出する(S112)。例えば、算出部233は、以下の式2により満腹度を算出するとよい。
満腹度=摂取量の合計値/摂取予定量・・・(式2)
【0040】
そして、特定部232は、満腹度に応じた飲食物のメニューを注文候補として特定する(S113)。具体的には、特定部232は、満腹度DB220の中から、ステップS112で算出した満腹度以上の満腹度に対応付けられたメニュー情報を選出する。そして、特定部232は、ステップS109で特定した注文候補のメニュー情報の中から、選出したメニュー情報に該当するものを特定する。これにより、特定部232は、ステップS109までに絞り込まれた注文候補をさらに絞り込むことができ、参加者の現在の摂取状況に即したより適切な注文候補の推薦を行うことができる。
【0041】
図6は、本実施形態1にかかる満腹度に基づくメニューの絞り込みの例を示す図である。上述した
図5で示したようにステップS109により、第1段階の注文候補として、提供施設F1の「刺身」及び「サラダ」、並びに、提供施設F2の「だし巻き」及び「枝豆」が絞り込まれている。ステップS110により参加者U1の摂取量の合計値が「300g」と算出され、ステップS111により参加者U1における会食中の摂取予定量が「500g」と取得されたものとする。この場合、ステップS112により参加者U1の満腹度が「0.6」と算出される。そこで、ステップS113により、特定部232は、満腹度DB220から満腹度「0.6」以上のメニュー情報と、第1段階の注文候補とで共通するものを選出する。この例では、第2段階の注文候補として、提供施設F1の「サラダ」、並びに、提供施設F2の「だし巻き」及び「枝豆」が絞り込まれたことを示す。または、特定部232は、満腹度「0.6」以上かつ「0.9」未満のメニュー情報として、提供施設F2の「だし巻き」に絞り込んでも良い。
【0042】
その後、推薦部234は、参加者U1への推薦として、ステップS113で特定した注文候補を、端末301へ送信する(S114)。これに応じて、端末301は、受信した注文候補を画面に表示する。そのため、参加者U1は、推薦装置200から推薦された注文候補が、提供施設F1の「サラダ」、並びに、提供施設F2の「だし巻き」及び「枝豆」であると認識し易くなる。このとき、注文候補には、各飲食物の金額、調理時間及び配送所要時間の合計時間、つまり、居場所A1への配送見込時刻が含まれても良い。また、推薦部234は、注文候補と共に、会食の残り時間、参加者U1の会食中の摂取予定量、摂取量、注文品目の累計額等を、端末301へ送信してもよい。
【0043】
これに応じて、端末301は、注文候補の中から参加者U1による選択操作を受け付け、選択されたメニュー情報を、通信網Nを介して推薦装置200へ送信する。このとき、端末301は、参加者U1から任意のメニュー情報の注文を受け付けても良い。例えば、注文候補が食品である場合、参加者U1が自身の好みの飲料を注文しても良い。
【0044】
そして、注文処理部235は、端末301から参加者U1により選択された飲食物のメニュー情報を取得する(S115)。そして、注文処理部235は、参加者U1により選択された飲食物を提供する施設に対して注文処理を行う(S116)。具体的には、注文処理部235は、選択された飲食物のメニュー情報に対応する提供施設を特定する。また、注文処理部235は、参加者U1の居場所A1を示す情報を特定する。そして、注文処理部235は、選択された飲食物のメニュー情報と配送先の住所を含めた注文要求を、特定した提供施設の端末に対して通信網Nを介して送信する。例えば、提供施設F2の「だし巻き」が選択された場合、注文処理部235は、提供施設F2を特定する。そして、注文処理部235は、通信網Nを介して施設端末402へ、「だし巻き」と居場所A1を示す情報を含めた注文要求を送信する。これにより、提供施設F2のスタッフは、施設端末402が受信した注文要求に応じて「だし巻き」を調理し、居場所A1への配送の手配を行う。そして、居場所A1に「だし巻き」が到着し、参加者U1は、会食の残り時間の範囲で「だし巻き」を摂取し易くなる。
【0045】
また、本実施形態では、参加者の居場所と提供施設の位置等により変動する配送所要時間を含む飲食所要時間を考慮するため、参加者U1には、会食の残り時間から飲食が完了しない可能性の高い飲食物については推薦されない。つまり、本実施形態により、オンラインでの会食中に、各参加者に対して適切な飲食物を推薦することができる。
【0046】
さらに、本実施形態では、参加者ごとの会食中における飲食物の摂取量を考慮して、注文候補の飲食物を特定し、推薦する。そのため、たとえ会食の残り時間が十分だとしても、参加者にとっては満腹状態によっては摂取が困難な飲食物については注文候補から除外することができる。
【0047】
また、満腹度を考慮して注文候補の飲食物を特定し、推薦することで以下の効果を奏する。例えば、空腹時には肉類などの腹に溜まるものを推薦し、満腹時には野菜類などの腹に溜まりにくいメニューを推薦できる。また、アルコールの摂取量が該当する参加者における基準値を超えている場合、アルコールの影響により満腹中枢が麻痺してしまうことによる食べ過ぎを防ぐことができる。また、各飲食物の重量を施設DB210内のメニュー情報に登録しておくことで、正確に摂取量を算出できる。
【0048】
さらに、本実施形態では、飲食物の提供施設における飲食物の調理時間と、飲食物の摂取所要時間を考慮して、注文候補の飲食物を特定し、推薦する。そのため、飲食完了所要時間をより正確に算出でき、より適切な飲食物を推薦できる。
【0049】
尚、推薦装置200は、参加者により選択された飲食物及び提供施設の組、注文者である参加者の識別情報、居場所や個人情報、注文日時等を注文履歴に登録してもよい。また、推薦装置200は、注文履歴から参加者ごとの会食単位の摂取量の平均値や中央値を算出し、参加者の摂取予定量として用いても良い。
【0050】
尚、推薦装置200は、ステップS106において、所定時間内に特定の提供施設に複数の飲食物が注文された場合を考慮して調理時間を算出してもよい。例えば、特定の提供施設においてセットで注文されることが多いメニューについては、調理時間を合計して飲食完了所要時間を算出してもよい。また、提供施設の調理スタッフの人数、調理設備等により、並行して調理可能な飲食物の数や組合せを考慮して、調理時間や飲食完了所要時間を算出してもよい。また、特定の提供施設において調理中の飲食物の調理完了見込時刻を考慮して、調理時間や飲食完了所要時間を算出してもよい。
【0051】
また、注文候補のメニューの絞り込み方としては、上述した満腹度以外に以下の方法が可能である。例えば、推薦装置200は、過去の参加者が会食の開始から各メニューの飲食を開始するまでの所要時間を履歴に記録し、メニューごとの所要時間の平均値や中央値を、飲食開始所要時間として算出する。そして、推薦要求の受付時における会食の開始からの経過時間が、上記飲食開始所要時間と所定範囲内である場合、該当するメニューを優先的に注文候補として特定するとよい。例えば、唐揚げは多くの参加者が会食の早い段階で注文しているため、推薦要求した参加者に対しても早い段階で推薦することでより効果的となる。
【0052】
また、飲食物情報にメニュー情報の食品と相性の良い飲料を対応付けて登録してもよい。その場合、例えば、参加者が好みの飲料を注文し、食品の推薦要求を行った場合、推薦装置200は、注文された飲料に対応付けられた食品のメニュー情報を優先的に注文候補として特定するとよい。例えば、日本酒と刺身を対応付けておき、参加者が会食の開始時に好みの日本酒が入力された場合、刺身を注文候補として推薦する。これにより、より適切な食品を推薦できる。
【0053】
また、メニュー情報に分類情報を加えても良い。例えば、食品の場合、メニュー情報に肉類、魚介類、野菜類等を分類情報として含めても良い。そして、この場合、参加者が直前に注文又は摂取していた食品の分類情報とは異なるメニュー情報を優先的に注文候補として特定するとよい。例えば、推薦要求の前に参加者が野菜類を摂取していた場合、推薦要求に応じた注文候補からサラダや枝豆を除外する。これにより、注文前に食べていた食品とは分類が被らない食品を推薦でき、参加者の満足度が向上し、より適切な推薦を実現できる。
【0054】
図7は、本実施形態1にかかる推薦装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。推薦装置200は、記憶部21、メモリ22、IF(InterFace)部23及び制御部24を備える。記憶部21は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の記憶装置の一例である。記憶部21は、推薦プログラム25を記憶する。推薦プログラム25は、上述した実施形態にかかる推薦処理等が実装されたコンピュータプログラムである。尚、記憶部21は、上述した施設DB210及び満腹度DB220のデータを記憶してもよい。
【0055】
メモリ22は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部24の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。IF部23は、推薦装置200の内部構成と、通信網Nとの通信インタフェース回路である。
【0056】
制御部24は、推薦装置200の各構成を制御するプロセッサつまり制御装置である。制御部24は、記憶部21から推薦プログラム25をメモリ22へ読み込ませ、推薦プログラム25を実行する。これにより、制御部24は、上述した取得部231、特定部232、算出部233、推薦部234及び注文処理部235等の機能を実現する。
【0057】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【0058】
尚、上述の実施形態では、ハードウェアの構成として説明したが、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0059】
上述の例において、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0060】
1000 オンライン会食支援システム
N 通信網
100 オンライン会議システム
200 推薦装置
210 施設DB
220 満腹度DB
231 取得部
232 特定部
233 算出部
234 推薦部
235 注文処理部
A1~A4 居場所
U1~U4 参加者
301~304 端末
F1~F4 提供施設
401~404 施設端末