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特開2023-173672広告提供装置、広告提供方法、及び広告提供プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173672
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】広告提供装置、広告提供方法、及び広告提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20231130BHJP
【FI】
G06Q30/02 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086098
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 朗浩
(72)【発明者】
【氏名】安藤 公彰
(72)【発明者】
【氏名】西井 佑太
(72)【発明者】
【氏名】池田 友里圭
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】車両の運行情報を報知しながら乗客に対して効果的に広告を報知できるようにした広告提供装置、広告提供方法、及び広告提供プログラムを提供する。
【解決手段】電子制御装置10は、停留所間の移動時間を取得する取得部41と、移動時間に基づいて停留所間で広告を再生可能な広告再生可能時間を設定する時間設定部42と、広告再生可能時間と広告毎に設定された広告時間とに基づいて広告の再生数を算出する再生数算出部43と、広告の再生数に応じた広告を再生する再生部44と、を備える。再生数算出部43は、走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、広告再生可能時間の残り時間と割込み発生の時間とに基づいて広告の再生数を改めて算出する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
停留所間の移動時間を取得する取得部(41)と、
移動時間に基づいて広告を再生可能な広告再生可能時間を設定する時間設定部(42)と、
前記広告再生可能時間と広告毎に設定された広告時間とに基づいて広告の再生数を算出する再生数算出部(43)と、
前記広告の再生数に応じた前記広告を再生する再生部(44)と、を備え、
前記再生数算出部は、走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、前記広告再生可能時間の残り時間と割込み発生の時間とに基づいて前記広告の再生数を改めて算出する広告提供装置。
【請求項2】
前記広告には優先順位が設定されており、
前記再生数算出部により前記広告の再生数が算出されると、前記再生部は、前記優先順位の高い順に前記広告を再生する請求項1記載の広告提供装置。
【請求項3】
前記広告には、少なくとも停留所又は停留所間、便、走行経路、又は、地域に紐付いて何れか一つが割当てられており、
優先順位の高い順で、停留所又は停留所間、便、走行経路、又は、地域に紐づく広告となっている請求項2記載の広告提供装置。
【請求項4】
前記広告の再生中に前記走行運行に伴う割込みが発生した場合、前記再生中の広告に代わって前記走行運行に伴う割込み処理を実行するよう構成され、
前記再生部は、前記割込み処理を終了した後に、前記再生中であった前記広告を再度再生する請求項1記載の広告提供装置。
【請求項5】
前記割込みが発生した場合に前記再生中の広告が所定時間未満しか再生されていない場合には、
前記再生部は、前記割込み処理を終了した後に、前記再生中であった前記広告を続きから再生する請求項4記載の広告提供装置。
【請求項6】
前記割込みが発生した場合に前記再生中の広告が所定時間以上再生されている場合には、
前記再生部は、前記割込み処理を終了した後に、前記再生中であった前記広告ではなく新たな広告を再生する請求項4記載の広告提供装置。
【請求項7】
停留所間の移動時間を取得する取得過程と、
移動時間から各停留所に対応して設定された所定時間を差し引いた広告再生可能時間を設定する時間設定過程と、
前記広告再生可能時間と広告毎に設定された広告時間とに基づいて広告の再生数を算出する再生数算出過程と、
前記広告の再生数に応じた前記広告を再生する再生過程と、を備え、
前記再生数算出過程では、走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、前記広告再生可能時間の残り時間と割込み発生の時間とに基づいて前記広告の再生数を改めて算出する広告提供方法。
【請求項8】
広告提供装置に、
停留所間の移動時間を取得する取得手順と、
移動時間から各停留所に対応して設定された所定時間を差し引いた広告再生可能時間を設定する時間設定手順と、
前記広告再生可能時間と広告毎に設定された広告時間とに基づいて広告の再生数を算出する再生数算出手順と、
前記広告の再生数に応じた前記広告を再生する再生手順と、を実行させ、
前記再生数算出手順では、走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、前記広告再生可能時間の残り時間と割込み発生の時間とに基づいて前記広告の再生数を改めて算出する広告提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告提供装置、広告提供方法、及び広告提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、公共の路線バスの車内では、当該路線バスの運行情報やその他の交通機関への乗り替え情報などを乗客に報知することで乗客の利便性を図っている。また、路線バスにおいては、当該路線バスが通行する位置情報を取得し、路線バスが通行する地域に密着する店舗の映像音声広告を車内に報知することで乗客に必要な情報を提供できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、この種の車両には、映像音声広告を報知する広告報知システムと、バス車両の走行運行情報を報知する運行情報報知システムとが分割して搭載されており、例えば走行運行情報と広告情報を表示する表示装置をそれぞれ用意する必要がある。すると、システムを余分に設ける必要がありコストが高くなる。また、走行運行情報を知りたい乗客は、当該走行運行情報を表示する表示装置に視線を向けるものの、広告を表示する表示装置に視線を向けないため、広告効果が低くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-154756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、車両の走行運行情報を報知しながら乗客に対して効果的に広告を報知できるようにした広告提供装置、広告提供方法、及び広告提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、停留所間の移動時間を取得する取得部と、移動時間に基づいて停留所間で広告を再生可能な広告再生可能時間を設定する時間設定部と、広告再生可能時間と広告毎に設定された広告時間とに基づいて広告の再生数を算出する再生数算出部と、広告の再生数に応じた広告を再生する再生部と、を備える。
【0007】
再生数算出部は、走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、広告再生可能時間の残り時間と割込み発生の時間とに基づいて広告の再生数を改めて算出する。再生部は、当該算出された再生数により広告を提供するため、車両の走行運行情報と共に当該走行運行により変更された再生数により広告を再生でき、乗客に対して効果的に広告を報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の広告提供システムのブロック構成図
図2】広告提供装置の機能ブロック図
図3】処理動作を概略的に説明するフローチャートその1
図4】通常時における広告再生方法の説明図
図5】広告の報知方法と広告間間隔を示すタイムチャート
図6】運転席から操作可能な操作パネル面を模式的に表す図
図7】割込み発生したときの広告再生方法の説明図
図8】処理動作を概略的に説明するフローチャートその2
図9】第2実施形態の処理動作を概略的に説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、広告提供装置に係る幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に共通する部位には同一の符号を付して説明する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図8を参照しながら説明する。
図1に示す車両用の広告提供システム1は、公共の路線バスに搭載されるもので、路線バスの内部の各所に設置された乗客用の複数の表示装置2、3、4を接続して構成される。これらの表示装置2~4は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等により乗客用に設置され、当該表示装置2~4に接続される電子制御装置10の制御に基づいてコンテンツをモノクロ又はフルグラフィックで表示可能な構成となっている。電子制御装置10は、Electronics Control Unit(ECU)と称される。
【0011】
路線バス内には、図1に示すように、多数の電子制御装置10、11が構成されており、互いに車内ネットワーク12に接続されている。電子制御装置10、11は、乗客や運転手に情報を報知するための表示系のECU、自車両の周辺を監視する周辺監視系のECU、自車両の走行を制御する走行制御系のECUに分類して構成されたり、これらのECUの一部を統合した統合型のECUなどにより構成される場合もある。
【0012】
走行制御系のECUには、ガソリンエンジン又はディーゼルエンジンなどを用いて運転制御する電子制御装置、又は、各種段階の自動運転レベルに応じた自動運転モードを実現する電子制御装置を含んでいる。これにより、手動運転、又は、自動運転の各運転モードで走行制御を実行できる。電子制御装置10、11は、車両外部と通信接続するDCMを接続しており、車両外部の通信網を通じた通信処理を可能にしている。DCMは、Data Communication Moduleの略である。
【0013】
ここでは、本願に関する走行運行情報や広告を表示制御するための電子制御装置10に対して他の電子制御装置11とは異なる符号10を付して説明する。電子制御装置10は、本開示に係る広告提供装置として構成される。
【0014】
電子制御装置10は、プロセッサと、キャッシュメモリ、RAM、ROMなどの各種の記憶部26と、I/O25と、これらを接続するバスを備えたマイクロコンピュータを備えて構成される。記憶部26は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体を示す。非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリなどにより実現される。電子制御装置10は、車両内に設けられる他の電子制御装置11と通信制御部27及び車内ネットワーク12を通じて通信可能に接続されている。
【0015】
電子制御装置10は、制御装置21、演算装置22、表示処理部23、音声処理部24、I/O25、記憶部26、及び、通信制御部27としての機能を備えたECUによる。制御装置21は、前述のプロセッサを主体に構成され記憶部26に記憶されたプログラムを実行することで所定の制御機能を実現する。電子制御装置10は一つのECUにより構成される形態を示すが、複数のECUがその内部の物理リソースの処理能力を分担して処理するようにしても良い。
【0016】
演算装置22は、制御装置21の制御に基づいて、記憶部26に記憶された画像、文章、文字、又は記号などからなる各種の情報について、表示装置2、3、4の表示画面に表示させる表示領域を演算し、画像等のコンテンツを表示装置2、3、4の表示画面の何れの領域に表示させるか演算し、画像等のコンテンツを制御装置21を通じて表示処理部23に出力する。
【0017】
表示処理部23は、制御装置21の制御に基づいて、表示装置2~5の表示画面の中の前述の表示領域に画像等のコンテンツを表示処理する。これにより表示装置2~5の表示画面には、表示レイヤ毎に画像等のコンテンツを重ね合わせて表示できる。
【0018】
乗客用の表示装置2~4に表示されるコンテンツは、GTFSデータに基づく走行運行情報、及び、停留所間を走行する間に報知する広告などである。GTFSは、General Transit Feed Specificationの略であり、GTFSデータは、国内で一般に公開されているバス情報フォーマットに沿って構成されたデータを示す。GTFSデータは、静的データ、及び動的データを含んでいる。
【0019】
静的データは、主に停留所や路線や便に関する情報、時刻表、運賃等の情報を示す。具体的に静的データは、バス事業者を営業する事業者情報、停留所や標柱を示す停留所標柱情報、バスの運行経路を示す経路情報、バスが運行する便を示す便情報、便を運行する営業所の営業所情報を含む。さらに、便ごとの停留所の通過時刻を設定する通過時刻情報、平日や休日といった運行区分を示す運行区分情報、バスの運行日を示す運行日情報、距離や乗り継ぎ割引などの運賃に関する情報を示す運賃属性情報、運賃定義情報、標柱以外の通過ポイントを指定するための描画情報、定められた時刻表がない場合に一定間隔でバスを運行する場合の運行間隔を示す運行間隔情報、バスの乗り換え情報を示す乗換情報、データを公開する組織の情報や作成したデータの有効期間を示す提供情報、日本語表記をその他の言語に変換する際に設定する翻訳情報、などを示す。
【0020】
通過時刻情報には到着時刻や出発時刻なども含む。また動的データは、静的データと併せて利用されるもので、走行経路のルートの最新情報、車両の位置情報、運行情報を示しており、GTFSリアルタイムと称されるリアルタイム情報を示している。本実施形態では、記憶部26に少なくとも静的データを記憶している形態を説明するが、動的データをリアルタイム情報として、車両の外部から入手して記憶部26に逐次更新して記憶させながら、この情報を利用するようにしても良い。なお、本実施形態の技術的意義は、静的データの一部又は全部のみでも達成し得るものであり、動的データは必ずしも必要となるデータではない。
【0021】
表示装置2~4は、路線バスに乗車する乗客の目を引く箇所に設置されており、乗客は、路線バスの走行運行情報を確認しやすくなっている。このため、一般に、広告を表示装置2~4に表示させることでその広告効果が高くなる。
【0022】
運転手用の表示装置5は、運転席から視認しやすいセンタコンソール付近に設けられており、電子制御装置10の制御に基づいて路線バスの走行運行情報を表示する。また、路線バスには、車室内向けのスピーカ7が設置されている。
【0023】
音声処理部24は、制御装置21の制御に基づいて、運転手が話した音声を入力するとスピーカ7から送話音声を出力できる。また、音声処理部24は、制御装置21の制御に基づいて、運転手により指定された案内情報をスピーカ7から出力する。また、運転手用の表示装置5には操作パネル9が構成されている。操作パネル9は、表示装置5の表面上に構成されたタッチパネルであり、I/O25は操作パネル9に操作入力があると操作入力を受け付け操作信号を制御装置21に出力する。制御装置21は、操作パネル9の操作信号に基づいた制御を実行する。
【0024】
操作パネル面を図6に例示しているが、運転手が操作パネル9を操作することで、表示装置2~4に表示させる走行運行情報、案内情報を選択できる。また、運転手は情報を乗客へ案内するタイミングを決定できる。これにより、運転手は車内に向けて案内情報を報知できる。
【0025】
次に、記憶部26に記憶されたアプリケーションプログラムの機能について説明する。電子制御装置10は、記憶部26に記憶されたアプリケーションプログラムを実行することで、図2に示すように、取得部41、時間設定部42、再生数算出部43、再生部44としての機能を実現する。
【0026】
図3にプログラムに基づく広告の再生処理の通常の流れを示す。制御装置21は、S11においてGTFSデータによる走行運行情報に基づき、広告再生可能時間Frを算出する。ここでは、取得部41が、GTFSデータから停留所にて停車する時刻情報を取得し、路線バスの走行する停留所間の移動時間を取得する。そして時間設定部42が、移動時間から停留所間に対応して設定された所定時間、例えば図4中の時間X+時間Y、を差し引いた広告再生可能時間Frを設定する。取得部41は、停留所間の移動時間を分単位で取得できるが、分単位で取得した結果、隣接する停留所間の分単位時間の差分がゼロとなることもある。このような場合、時間設定部42は、広告再生可能時間Frをゼロと算出する。
【0027】
図4中に示した時間Xは、停留所Aを出発した直後に案内するために必要な時間を示しており、この時間Xは、「ご乗車ありがとうございます。ドア閉まります。足元にお気を付けください。次は「(停留所)B」です。」など、定型的な走行運行情報や注意喚起を表す案内を表示装置2~4を通じて行うために設けられる。また時間Yは、次の停留所に到着間近に案内するために必要な時間を示しており、この時間Yは「まもなく「(停留所)B」に到着します。急停車にご注意ください。」などの定型的な走行運行情報や注意喚起を表す案内を表示装置2~4を通じて行うために設けられる。時間X、Y中に案内する情報としては「乗車中はお静かに願います。」などのようなマナー案内も含んでいても良い。
【0028】
再生数算出部43は、S12において、広告再生可能時間Frと広告C1、C2、C3毎に設定された広告時間Trとに基づいて広告の再生数nを算出する。例えば図5に示すように、広告時間Trは、各広告C1、C2、…の時間Tc[1]、Tc[2]、…(例えば、15秒)に間隔Ti(例えば、5秒)を加算することで求められる。この例に示したように、乗客の違和感を緩和するため、広告C1と次の広告C2との間に所定の間隔Ti[n]を設けると良い。広告再生可能時間Frの中で再生する広告の再生数をnとすると、時間はn×(Tc[1…n]+Ti)+Tiにより求めることができる。このため、Fr>n×(Tc[1…n]+Ti)+Tiを満たす再生数nを求めることで広告の再生数nを算出できる。
【0029】
そして再生部44は、S13において広告の再生数nに応じた広告を再生する。制御装置21は、再生数nをCMカウンタに設定し、一つの広告、例えば広告C1、…を再生する度にCMカウンタを減算する。再生数nの最後の広告C3が放送されると、CMカウンタがゼロとなる。これにより、停留所A-Bの間で広告を効率良く再生できる。
通常、停留所A、B又はその停留所A-B間を走行中には、上記のように広告を再生するものの、例えば、運転手が乗客への注意喚起や乗車マナーの案内を行うことがある。このとき、運転手は、図6に示す操作パネル9の操作ボタンB0~B7の何れか一つ以上を操作することで走行運行に伴う割込みを発生させ、予め記憶部26に記憶されている案内情報を車内の表示装置2~4及びスピーカ7から報知する。
【0030】
運転手が操作ボタンB0を操作すると、車内へのスピーカ7からの報知出力をアクティブにできる。記憶部26には各種の案内情報が記憶されており、この各種の案内情報は図9に示す操作ボタンB1~B7に紐付けられている。操作ボタンB1~B7には、それぞれ異なる案内情報が紐付けられている。また操作ボタンB7には、停留所A-B間を運行中に次の停留所Bにまもなく到着する旨の案内情報が紐付けられる。制御装置21は、運転手により操作ボタンB1~B7の操作入力を受け付けることで当該操作ボタンB1~B7に紐付けられた案内情報を記憶部26から読み出し、表示装置2~4及びスピーカ7から報知させる。
【0031】
制御装置21は、操作パネル9の操作入力を受け付けると、図3のS14において割込みが発生したと判定する。走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、再生数算出部43は、S15において広告再生可能時間Frの残り時間と割込み発生の時間とに基づいて広告の再生数nを改めて算出する。
【0032】
例えば、図7に示すように、表示装置2~4が広告C1を再生中に割込みを発生した場合、制御装置21は、運転手が操作した案内情報の識別番号を参照し、当該識別番号に対応した割込み案内時間を差し引いた上で、広告C2、C3を再生できるか判定し、例えば広告C3を再生する時間がないと判定した場合、広告C3の再生予定を削除する。
【0033】
また、図7に示すように、表示装置2~4が広告C2を再生途中に割込みを発生した場合、制御装置21は、運転手が操作した案内情報の識別番号を参照し、当該識別番号に対応した割込み案内時間を差し引いた上で、広告C3を再生できるか判定し、例えば広告C3を再生する時間がないと判定した場合、広告C3の再生予定を削除する。これにより、停留所A-Bの間で適切な広告C1~C3を選択的に再生できる。
【0034】
次に、広告の再生優先順位について図8を参照しながら説明する。図8には優先順位に基づき広告Ca~Cdを再生する方法を示している。記憶部26には広告Ca~Cdが記憶されている。これらの広告Ca~Cdには、それぞれ、停留所A、B又は停留所A-B間、路線バスの便、走行経路、若しくは、地域に紐付いた広告が割当てられている。ここで、広告Ca~Cdには優先順位が設定されていることが望ましく、特に、前述した割込みが発生した後において、再生数算出部43により広告の再生数nが更新されると、再生部44は優先順位の高い順に広告を再生することが望ましい。
【0035】
このとき、優先順位の高い順に、停留所又は停留所間に紐づく広告Ca、便に紐づく広告Cb、走行経路に紐づく広告Cc、地域に紐づく広告Cd、に設定されていることが望ましい。図8のS31において、取得部41によりGTFSデータに基づく走行運行情報を取得すると、制御装置21は、停留所A、B又は停留所A-B間に紐づく広告Ca、便に紐づく広告Cb、走行経路に紐づく広告Cc、若しくは、地域に紐づく広告Cdのデータが記憶部26に登録されているか否かを判定する。
【0036】
広告Ca~Cdの何れも記憶部26に登録されていなければ、制御装置21は、S32又はS36においてNOと判定し、S41において表示装置2~4にデフォルトの広告、例えば運行中の路線バス事業者の広告などを表示すると良い。逆に、広告Ca~Cdの何れかが記憶部26に登録されていれば、制御装置21は、S33、S34、S35、S36において、それぞれ停留所A、B又は停留所A-B間に紐づく広告Ca、便に紐づく広告Cb、走行経路に紐づく広告Cc、地域に紐づく広告Cd、が記憶部26に記憶されているか順に判定し、この優先順位に沿ってS37、S38、S39、S40において、優先順位の高い順に広告Ca、Cb、Cc、Cdを再生すると良い。この優先順位は、路線バスが運行する走行中の場所などに基づいて設定される。
【0037】
例えば、停留所A、B又は停留所A-B間に紐づく広告Caとしては、現在走行中の道路に近い停留所A、Bの近隣に位置する店舗、例えば医者、歯医者、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの宣伝広告を挙げることができる。また例えば、便に紐づく広告Cbは、その施設の存在場所が停留所の最初から最後の停留所の全体に至る範囲の条件を満たす施設の広告などを挙げることができる。この広告Cbは、時間帯別の広告、例えば通勤通学時間帯や昼間帯、夜間帯などで需要が異なる広告を再生することが望ましい。
【0038】
また例えば、走行経路に紐づく広告Ccとしては、路線バスの運行始点から終点にかけて走行途中において特定の経路を迂回する場合など特定の迂回経路に隣接する施設の広告などを挙げることができる。例えば、地域に紐づく広告Cdとしては、ある特定の路線バスの運行始点から終点までの区間に限らず、例えば路線バスの事業者が運行する全範囲内の施設の広告を挙げることができる。また、県内、市内、町内、村内などの区域内の施設の広告を対象としても良い。
【0039】
制御装置21が、このように広告Ca~Cdを表示装置2~4に再生することで、各停留所又は停留所間や時間帯別、地域に合わせた広告Ca~Cdを適切に再生できるようになり、広告収益の増加が期待できる。広告Ca~Cdを乗客へ効果的にアピールできる。また、注意喚起、マナー案内などのように乗客に対して優先的に注視させるべき内容については、前述した広告Ca~Cdよりも優先順位を高くしても良い。
【0040】
本実施形態によれば、走行運行に伴う割込み発生が生じた場合に、再生数算出部43により広告再生可能時間Frの残り時間と割込み発生の時間とに基づいて広告の再生数nを改めて算出するようにした。これにより、路線バスの走行運行情報を活用しながら、広告の再生タイミング、再生数nの最適化を図ることができ、広告C1~C3、Ca~Cdと走行運行情報の再生タイミングの干渉を防ぐことができる。また停留所A-B間の広告再生可能時間Frを算出し、割込みが発生したときに再生数nを更新しているため広告の再生数nを調整できる。
【0041】
また、本実施形態によれば、走行運行情報、注意喚起や広告を一つの情報伝達媒体、例えば表示装置2~4の何れか一つ以上、に表示できるため、初期費用とメンテナンス費用を削減できコスト低減できる。
【0042】
(第2実施形態)
第2実施形態について図9を参照しながら説明する。本実施形態では、広告C1の再生中に割込みが発生した場合のその後の広告の再生方法について他の形態を説明する。
例えば、図9に示すように、S51において広告C1の再生中に走行運行に伴う割込みが発生した場合、制御装置21は、S52において再生中の広告報知に代えて、走行運行に伴う割込み処理を実行することで、表示装置2~4に走行運行情報を表示すると共にスピーカ7から走行運行情報の音声を再生する。
【0043】
このとき、再生部44は、割込み処理を終了した後に、強制的に再生中であった広告C1を再度再生しても良い。しかし再生部44は、S53において広告C1を所定時間(例えば、所定秒)以上再生したか否かを判定し、所定時間以上再生されていなければ、S54において広告C1の続きを再生する。
【0044】
すなわち、広告C1の再生中に走行運行に伴う割込みが発生した場合であっても、再生中の広告C1が所定時間未満しか再生されていない場合には、割込み処理を終了した後に、再生部44は再生中であった広告C1を続きから再生すると良い。
【0045】
逆に、制御装置21は、S53において、所定時間以上再生していないと判定した場合、S55において次に優先順位の高い広告C2を再生する。すなわち、広告C1の再生中に走行運行に伴う割込みが発生した場合に、再生中の広告C1が所定時間以上再生されている場合には、割込み処理を終了した後に、再生部44は再生中であった広告C1ではなく新たな広告C2を再生すると良い。本実施形態によれば、広告C1、C2を適切な再生できるようになり、広告効果を向上できる。
【0046】
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
前述実施形態では、時間設定部42が移動時間から停留所間に対応して設定された所定時間(時間X+時間Y)を差し引いて広告再生可能時間Frを設定した形態を説明したが、これらの時間X、時間Yは必要に応じて考慮しなくても良い。特に時間Yは、路線バスが自動運転しているときなど停留所間の移動時間が確定している場合に設けられる時間であることから、手動運転時には時間Yを考慮しなくても良い。
【0047】
制御装置21が、外部からGTFSデータの動的データのリアルタイム情報を取得することで位置情報を取得し、この位置情報に基づいて、取得した位置情報の近隣施設の広告を表示装置2~4などに報知するようにしても良い。例えば、路線バスの車内に周知のナビゲーションシステムが構成されていれば、ナビゲーションシステムから位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて当該位置の近隣施設の広告を報知するようにしても良い。
【0048】
本開示に記載の制御装置21による手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御装置21、表示処理部23及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御装置21及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【0049】
本発明は、前述した実施形態に準拠して記述したが、本発明は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本発明は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本発明の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0050】
図面中、2、3、4は表示装置、41は取得部、42は時間設定部、43は再生数算出部、44は再生部を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9