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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173690
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】イメージセンサ
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086121
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA05
4M118CB06
4M118CB11
4M118CB14
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
4M118FB16
4M118FB24
4M118HA26
4M118HA30
(57)【要約】
【課題】イメージセンサのノイズを低減する。
【解決手段】イメージセンサは、基板上に配列された画素と、画素から読み出された信号を伝送するデータ線とを含む。画素は、フォトディテクタと、フォトディテクタとデータ線との間のN型のスイッチ薄膜トランジスタとを含む。スイッチ薄膜トランジスタは、酸化物半導体部と、ゲート電極と、データ線側のドレイン電極と、フォトディテクタ側のソース電極とを含む。ゲート電極とドレイン電極との間の平面視における重なり領域は、ゲート電極とソース電極との間の平面視における重なり領域より小さい。
【選択図】図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサであって、
基板上に配列された画素と、
前記画素から読み出された信号を伝送するデータ線と、
を含み、
前記画素は、
フォトディテクタと、
前記フォトディテクタと前記データ線との間の、N型のスイッチ薄膜トランジスタと、を含み、
前記スイッチ薄膜トランジスタは、
酸化物半導体部と、
ゲート電極と、
前記データ線側のドレイン電極と、
前記フォトディテクタ側のソース電極と、
を含み、
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間の平面視における重なり領域は、前記ゲート電極と前記ソース電極との間の平面視における重なり領域より小さい、
イメージセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のイメージセンサであって、
前記ゲート電極は、前記ドレイン電極と平面視において重なっておらず、
前記ゲート電極の一部は、前記ソース電極と平面視において重なっている、
イメージセンサ。
【請求項3】
請求項2に記載のイメージセンサであって、
前記ゲート電極のドレイン電極側端は、前記ドレイン電極のソース電極側端と、前記ソース電極のドレイン電極側端との間の領域内にある、
イメージセンサ。
【請求項4】
請求項2に記載のイメージセンサであって、
前記ゲート電極のドレイン電極側端は、前記ソース電極のドレイン電極側端と一致する、
イメージセンサ。
【請求項5】
請求項4に記載のイメージセンサであって、
前記ゲート電極のドレイン電極側端は、前記酸化物半導体部のチャネル幅方向において直線状であり、
前記ソース電極のドレイン電極側端は、前記酸化物半導体部のチャネル幅方向において直線状である、
イメージセンサ。
【請求項6】
請求項1に記載のイメージセンサであって、
前記スイッチ薄膜トランジスタは、前記フォトディテクタのカソード端子と前記データ線との間に接続されている、
イメージセンサ。
【請求項7】
請求項1に記載のイメージセンサであって、
前記ゲート電極は、前記酸化物半導体部と前記基板との間に位置する、
イメージセンサ。
【請求項8】
請求項7に記載のイメージセンサであって、
前記酸化物半導体部の前記ソース電極と前記ドレイン電極間の領域は、エッチストップにより覆われている、
イメージセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
X線の透過像により検体の内部を非破壊で検査する技術は、医療、工業用非破壊検査の分野などにおいて、欠くことのできない技術となっている。特にX線の透過像を電子データとして直接取り込むDR(Digital Radiography)は、読影の迅速性、画像処理による読影補助などの理由から、広く用いられるようになった。このDRで用いられているのは、FPD(Flat Panel Detector)と呼ばれるイメージセンサで、光電変換素子とスイッチング素子を有する画素がアレイ状に配置された構造を有している。
【0003】
X線センサ等に用いられるFlat Panel Detector(FPD)の高精細化が進展している。X線センサに利用されるFPDは、一般に、直接変換型と間接変換型に分類される。直接変換型のFPDは、アモルファスセレンやCdTe等によりX線を直接電気信号に変換する光電変換素子を使用する。間接変換型のFPDは、X線検出パネルにX線を光、例えば可視光や紫外光に変換する蛍光体(シンチレータ)と、光を電気信号に変換するフォトダイオードアレイを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0357475号
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0052083号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
イメージセンサの感度特性の指標として、SN比が用いられる。高SN比を実現するためには、高感度化やノイズの低減が求められる。イメージセンサのノイズには、画素で生じるノイズや、データ線で生じるラインノイズなどがある。データ線で生じるラインノイズには、データ線容量Cdataをパラメータとするジョンソンノイズや、アンプの熱ノイズ等がある。データ線容量Cdataを低減させることで、ラインノイズを低減させることができる。
【0006】
データ線容量は、主に以下の要素で構成される。それらは、データ線に接続されている画素内のスイッチ薄膜トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間で作られる容量、データ線とゲート線の交差部で作られる容量、そして、データ線とバイアス線との間で作られる容量である。一般的な画素構成において、薄膜トランジスタの容量Ctftは、データ線容量全体Cdataの30~40%を占める。Ctftを低減する方法として、薄膜トランジスタのチャネル幅を小さくする、層間絶縁膜の膜厚変更又は誘電率の変更、等が有効である。しかし、これらは、薄膜トランジスタの特性に大きく影響し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のイメージセンサは、基板上に配列された画素と、前記画素から読み出された信号を伝送するデータ線とを含む。前記画素は、フォトディテクタと、前記フォトディテクタと前記データ線との間の、N型のスイッチ薄膜トランジスタとを含む。前記スイッチ薄膜トランジスタは、酸化物半導体部と、ゲート電極と、前記データ線側のドレイン電極と、前記フォトディテクタ側のソース電極とを含む。前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間の平面視における重なり領域は、前記ゲート電極と前記ソース電極との間の平面視における重なり領域より小さい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、イメージセンサのデータ線で生じるラインノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態のイメージセンサの構成を示したブロック図である。
図2】実施形態のイメージセンサの画素の等価回路を示した回路図である。
図3A】画素、ゲート線及びデータ線の構造を模式的に示す平面図である
図3B図3AのIIIB-IIIB´切断線における断面図を示す。
図4A】薄膜トランジスタの構造例を模式的に示す平面図であり、
図4B図4AにおけるIVB-IVB´切断線での断面構造例を模式的に示す断面図である。
図5A】オフセットが0の薄膜トランジスタの断面構造を模式的に示す断面図である。
図5B】オフセットがAの薄膜トランジスタの断面構造を模式的に示す断面図である。
図6】異なるオフセット値での、薄膜トランジスタ122のゲート電圧Vgとドレイン電流Idとの間の関係(Id-Vg特性)のシミュレーション結果を示す。
図7】ゲート電圧が15Vでのオフセットとドレイン電流Idとの間の関係のシミュレーション結果を示す。
図8】薄膜トランジスタのオフセットと、ゲート電極とドレイン電極との間のTFT容量Ctftとの間の関係のシミュレーション結果を示す。
図9】TFT容量Ctftとデータ線容量Cdataとの間の関係のシミュレーション結果を示す。
図10】データ線容量とデータ線のノイズ(ラインノイズ)との間の関係のシミュレーション結果を示す。
図11】エッチストップ型薄膜トランジスタとチャネルエッチ型薄膜トランジスタの、オフセットとTFT容量Ctftとの間の関係のシミュレーション結果を示す。
図12】ソース電極側とドレイン電極側とで非対称の形状を有するゲート電極を含む薄膜トランジスタの構造例を示す。
図13】ソース電極側とドレイン電極側とで非対称の形状を有するゲート電極を含む薄膜トランジスタの構造例を示す。
図14】ソース電極側とドレイン電極側とで非対称の形状を有するゲート電極を含む薄膜トランジスタの構造例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本開示の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。各図面における各構成要素の大きさや縮尺は、図の視認性を確保するために適宜変更して記載している。また、各図面におけるハッチングは、各構成要素を区別するためのものであり、必ずしも切断面を意味するものではない。また、スイッチング素子あるいは増幅素子として用いられる非線形素子についてトランジスタという呼称を用いるが、トランジスタはThin Film Transistor(TFT)を含む。
【0011】
本明細書の一実施形態は、イメージセンサである。本開示のイメージセンサは、例えば、医療、産業用非破壊検査分野における放射線撮影装置に利用可能である。イメージセンサにより検出される光は、任意の周波数を有する電磁波であり、赤外線や可視光のほか、X線を含む。
【0012】
イメージセンサの感度特性の指標として、SN比が用いられる。高SN比を実現するためには、高感度化やノイズの低減が求められる。イメージセンサのノイズには、画素で生じるノイズや、データ線で生じるラインノイズなどがある。データ線で生じるラインノイズには、データ線容量Cdataをパラメータとするジョンソンノイズや、アンプの熱ノイズ等がある。データ線容量Cdataを低減させることで、ラインノイズを低減させることができる。
【0013】
データ線容量は、主に以下の要素で構成される。それらは、データ線に接続されている画素内のスイッチ薄膜トランジスタのゲート電極とドレイン電極との間で作られる容量、データ線とゲート線の交差部で作られる容量、そして、データ線とバイアス線との間で作られる容量である。一般的な画素構成において、薄膜トランジスタの容量(TFT容量Ctft)は、データ線容量全体Cdataの30~40%を占める。Ctftを低減する方法として、薄膜トランジスタのチャネル幅を小さくする、層間絶縁膜の膜厚変更又は誘電率の変更、等が有効である。しかし、これらは、薄膜トランジスタの特性に大きく影響し得る。
【0014】
本明細書の一実施形態に係るイメージセンサは、画素と、画素からの読み取り信号を伝送するデータ線とを含む。画素は、フォトディテクタと、フォトディテクタとデータ線との間に接続された、N型のスイッチ薄膜トランジスタとを含む。画素からの信号読み取りにおいて、スイッチ薄膜トランジスタのデータ線側の電極がドレイン電極であり、フォトディテクタ側の電極がソース電極である。ゲート電極とドレイン電極との間の平面視における重なり領域は、ゲート電極とソース電極との間の平面視における重なり領域より小さい。これにより、薄膜トランジスタの特性変化を抑制しつつデータ線容量を小さくすることで、イメージセンサのSNを向上させることができる。
【0015】
[イメージセンサの構成]
図1は、本明細書の一実施形態に係るイメージセンサの構成例を示したブロック図である。イメージセンサ10は、センサ基板11と制御回路を含む。制御回路は、駆動回路14、信号検出回路16、主制御回路18を含む。
【0016】
センサ基板11は、絶縁基板(たとえばガラス基板)と、絶縁基板上に画素13が縦横のマトリクス状に配置された画素領域12を含む。画素13は、フォトディテクタを含む基板上の素子である。なお、画素13のレイアウトは図1に示すマトリクスレイアウトに限定されない。X線イメージセンサの例において、画素領域12には、検出光である放射線を受けて蛍光を発するシンチレータが配置される。
【0017】
画素13は、図1における縦方向に延び横方向に配列された複数のデータ線106と、横方向に延び縦方向に配列された複数のゲート線(走査線)105との各交点に配置されている。画素13は、それぞれ、図1の縦方向に延び横方向に配列されたバイアス線107に接続されている。図1において、一つの画素、一つのデータ線、一つのゲート線及び一つのバイアス線のみが、それぞれ、符号13、106、105及び107で指示されている。
【0018】
データ線106は、それぞれ、異なる画素列に接続されている。ゲート線105は、それぞれ、異なる画素行に接続されている。データ線106は信号検出回路16に接続され、ゲート線は駆動回路14に接続される。バイアス線107は、共通バイアス線108に接続されている。共通バイアス線108のパッド109にバイアス電位が与えられる。駆動回路14は、画素13による光検出のため、画素13のゲート線105を駆動する。信号検出回路16は、データ線それぞれからの信号を検出する。主制御回路18は、駆動回路14及び信号検出回路16を制御する。
【0019】
[画素の回路構成]
図2は一つの画素13の等価回路を示した回路図である。画素13は、光電変換素子であるフォトダイオード121と、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT)122とを含む。薄膜トランジスタ122のゲート端子は、ゲート線105に接続され、ドレイン端子はデータ線106に接続され、ソース端子はフォトダイオード121のカソード端子に接続されている。図2の例において、フォトダイオード121のアノード端子は、バイアス線107に接続されている。
【0020】
薄膜トランジスタ122は、例えば、酸化物半導体薄膜トランジスタである。酸化物半導体の例は、IGZO(InGaZnO)やZnOである。本明細書の一実施形態において、薄膜トランジスタ122の導電型はN型である。
【0021】
画素13は、さらに、フォトダイオード121の接合容量125及び容量素子126を含む。接合容量125及び容量素子126は、スイッチTFT122とバイアス線107との間において、フォトダイオード121と並列に接続されている。
【0022】
X線の撮像装置として用いられるイメージセンサ10は、フォトダイオード121への光の照射量に対応する信号電荷を、接合容量125及び容量素子126に蓄積する。画素13が、フォトダイオード121の接合容量125に加えて、容量素子126を含むことで、フォトダイオードの製造条件をほとんど変えることなく飽和信号量を向上できる。なお、容量素子126は省略されてもよい。
【0023】
主制御回路18は、画素13に配置された薄膜トランジスタ122を導通させ、接合容量125及び容量素子126に蓄積された電荷を外部に取り出すことにより、信号を読み出す。
【0024】
具体的には、駆動回路14は、ゲート線105を順次選択し、薄膜トランジスタ122を導通状態とするパルスを印加する。フォトダイオード121のアノード端子はバイアス線107に接続されており、データ線106には、信号検出回路16によりリファレンス電位が印加される。そのため、フォトダイオード121にはバイアス線107のバイアス電位とリファレンス電位との差分電圧が充電される。一般に、この差分電圧は、アノード電位に対しカソード電位の方が高くなる逆バイアス電圧に設定される。
【0025】
フォトダイオード121を、この逆バイアス電圧にまで再充電するために必要な電荷は、フォトダイオード121に照射された光量に依存する。信号検出回路16は、フォトダイオード121が逆バイアスまで再充電される際に流れる電流を積分することで、信号電荷を読み出す。
【0026】
信号電荷の読出しにおいて、薄膜トランジスタ122のデータ線106に接続される端子の電圧は、フォトダイオード121に接続されている端子の電圧以上である。つまり、信号電荷の検出において、薄膜トランジスタ122のデータ線106に接続される端子がドレインであり、フォトダイオード121に接続されている端子がソースである。なお、画素13は、図2に示す構成要素に不図示の追加構成要素、例えば追加の薄膜トランジスタを含んでもよい。
【0027】
[画素構造例]
以下において、画素13のデバイス構造のいくつかの例を説明する。画素13に含まれる、フォトダイオード121、薄膜トランジスタ122及び容量素子126は、それぞれ、絶縁基板上で、積層構造を有している。
【0028】
図3Aは、画素13、ゲート線105及びデータ線106の構造を模式的に示す平面図である。図3Aにおいて、データ線106は縦方向に延び、ゲート線105は横方向に延びており、その交差位置に薄膜トランジスタ122が配置されている。
【0029】
画素13は、下部電極301及び上部電極305を含む。図3Aの構成例において、上部電極305の全域が、平面視において、下部電極301と重なっている。つまり、平面視において、上部電極305の全域が、下部電極301の領域内に含まれている。後述するように、フォトダイオード121は、下部電極301及び上部電極305に挟まれている。
【0030】
画素13は、さらに、薄膜トランジスタ122、及びバイアス線321を含む。薄膜トランジスタ122は、ゲート電極251、島状の半導体部252、ソース電極253及びドレイン電極254を含む。ゲート電極251、ソース電極253及びドレイン電極254は、それぞれ、導体膜の半導体部252と対向している領域である。
【0031】
バイアス線321は、図3Aの縦方向において延びている。バイアス線321は、上部電極305より上層であり、複数の画素13の上部電極305それぞれに、コンタクト部323を介して接続されている。バイアス線321は、上部電極305の上を、上部電極305の端から反対側の端まで通過している。バイアス線321は、バイアス電位を伝送する。
【0032】
図3Aの構成例において、下部電極301及び上部電極305は、平面視において、ゲート線105及びデータ線106と重なることなく、それらから離間している。下部電極301及び上部電極305も、平面視において、半導体部252と重なることなく、それから離間している。
【0033】
次に、図3Aに示す画素13の断面構造を説明する。図3Bは、図3AのIIIB-IIIB´切断線における断面図を示す。なお、以下において、図面において一部要素の符号が省略されていることがある。
【0034】
図3Bを参照して、薄膜トランジスタ122は、絶縁性の基板271上に形成されているゲート電極251、ゲート電極251上のゲート絶縁層272、ゲート絶縁層272上の半導体部252を含む。二つの層の関係は、基板271に近い層が下層、基板271から遠い層を上層と呼ぶ。
【0035】
図3Aに示すように、ゲート電極251は、横方向に延びるゲート線105から上方向に突出する部分において、半導体部252と積層方向において見て重なる領域である。ゲート電極251及びゲート線105は絶縁基板(絶縁層)271上に形成され、それらは同一の導体層に含まれる。なお、絶縁基板271とゲート電極251及びゲート線105との間に、シリコン絶縁層が存在してもよい。
【0036】
同一導体層に含まれている連続する又は分離された導体部は、同一絶縁層上に、当該絶縁層と直接接触して、同一材料で構成されている。製造において、同一導体層の導体部は同一工程において形成される。導体層は、単一層構造又は積層構造を有し得る。
【0037】
本構成例において、薄膜トランジスタ122は、ボトムゲート構造を有しており、ゲート電極251は、半導体部252の下側、つまり、基板271により近い位置に存在する。薄膜トランジスタ122は、さらに、ゲート絶縁層272上のソース電極253及びドレイン電極254を含む。ソース電極253及びドレイン電極254は、同一の導体層に含まれる。
【0038】
フォトダイオード121の電荷の検出におけるキャリアの流れに応じて、電極253はソース電極となり、電極254はドレイン電極となる。ソース電極253及びドレイン電極254は、それぞれ、導体膜の半導体部252と平面視において重なる領域である。ソース電極253及びドレイン電極254は、それぞれ、半導体部252に直接接触している。島状の半導体部252の側面、及び、上面の一部に接するようにソース電極253及びドレイン電極254が形成されている。
【0039】
ゲート絶縁層272は、ゲート電極251の全面を覆うように形成されている。ゲート絶縁層272は、ゲート電極251と半導体部252との間に形成されている。第1層間絶縁層273は、薄膜トランジスタ122の全体を覆う。具体的には、第1層間絶縁層273は、半導体部252の上面、及び、ソース電極253及びドレイン電極254の上面を覆っている。
【0040】
基板271は、例えば、ガラス又は樹脂で形成されている。ゲート電極251は導体であり、Mo、Cr等の金属、それらの合金、又はそれらの積層体で形成することができる。ゲート絶縁層272は、例えば、シリコン熱酸化物で形成される。半導体部252を構成する半導体は、例えば、酸化物半導体である。酸化物半導体は、例えば、In、Ga、およびZnの少なくともいずれかを含み、その例は、アモルファスInGaZnO(a-InGaZnO)や微結晶InGaZnOである。
【0041】
ソース電極253及びドレイン電極254は、それぞれ導体であり、例えば、Ti、Al等の金属、それらの合金、又はそれらの積層体で形成することができる。第1層間絶縁層273は、無機又は有機絶縁体である。
【0042】
下部電極301は、第1層間絶縁層273のビアホール内のコンタクト部227を介して、薄膜トランジスタ122のソース電極253を含む導体膜に接続されている。下部電極301は、導体であり、例えば、Cr、Mo、Al等の金属、それらの合金、又はそれらの積層体で形成することができる。
【0043】
フォトダイオード121は、下部電極301及び上部電極305の間の光電変換部と、当該光電変換部と接触している下部電極301及び上部電極305の部分で構成されている。図3Bに示すフォトダイオード121の例は、PINダイオードである。PINダイオードは、膜厚方向に広い空乏層が形成されることにより、効率的に光を検出することができる。上部電極305はシンチレータからの光に対して透明な電極であり、例えば、ITOである。
【0044】
フォトダイオード121の光電変換部は、下部電極301上のn型アモルファスシリコン層(膜)202、N型アモルファスシリコン層202上の真性アモルファスシリコン層(膜)203、真性アモルファスシリコン層203上のP型アモルファスシリコン層(膜)204を含む。本構成例において、N型アモルファスシリコン層202は、下部電極301に直接接触している。
【0045】
上部電極305はP型アモルファスシリコン層204上に形成されている。本構成例において、上部電極205はP型アモルファスシリコン層204に直接接触している。検出する光は、上部電極305側からフォトダイオード121に入射する。なお、N型アモルファスシリコン層202とP型アモルファスシリコン層204の位置が逆でもよく、真性アモルファスシリコン層203が省略されてもよい。
【0046】
第2層間絶縁層275が、下部電極301、シリコン層202-204、及び上部電極305を覆うように形成されている。第2層間絶縁層275は、無機又は有機絶縁体である。バイアス線321及びデータ線106が、第2層間絶縁層275上に形成されている。本例において、バイアス線321及びデータ線106は、第2層間絶縁層275に直接接触している。データ線106は、第2層間絶縁層275及び第1層間絶縁層273のビアホール内のコンタクト部228を介して、薄膜トランジスタ122のドレイン電極254を含む導体膜に接続されている。
【0047】
バイアス線321は、第2層間絶縁層275のビアホールに形成されているコンタクト部323によって、上部電極305に接続されている。バイアス線321は、導体であり、例えば、Ti、Al等の金属、それらの合金、又はそれらの積層体で形成することができる。
【0048】
データ線106、バイアス線321及び第2層間絶縁層275を覆うようにパッシベーション層276が形成されている。パッシベーション層276は、画素領域12の全域を覆う。パッシベーション層276は、無機又は有機絶縁体である。パッシベーション層276上に不図示のシンチレータが配置される。
【0049】
不図示のシンチレータは、画素領域12の全域を覆う。シンチレータは、放射線に励起されることにより発光する。具体的には、シンチレータは、入射したX線をフォトダイオード121が検出する波長の光に変換する。フォトダイオード121は、シンチレータからの光に応じて、信号電荷を生成し、接合容量125及び容量素子126(図2参照)に蓄積する。
【0050】
[TFT構造]
以下において、画素内の薄膜トランジスタ122の構造例を説明する。本明細書の一実施形態の薄膜トランジスタ122において、ゲート電極とドレイン電極との間の容量値は、ゲート電極とソース電極との間の容量値より小さい。これにより、薄膜トランジスタ122の特性への影響を小さくしつつ、データ線容量を小さくすることができる。上述のように、ゲート電極とドレイン電極との間の容量は、データ線容量に含まれる。
【0051】
図4Aは、薄膜トランジスタ122の構造例を模式的に示す平面図であり、図4Bは、図4AにおけるIVB-IVB´切断線での断面構造例を模式的に示す断面図である。図4Aにおいて、一つの構成要素の他構成要素に覆われている部分は、破線で示されている。
【0052】
図4Aに示すように、本構造例は、矩形状のソース電極253及びドレイン電極254を含む。これらの形状は共通であるが、異なっていてもよい。図示の容易のため、符号253及び254は、それぞれ、ソース電極及びドレイン電極を含む導体膜を指示している。矩形のゲート電極251についても同様である。半導体部252は矩形である。なお、薄膜トランジスタ122の構成要素の形状は、図4A及び4Bに示す例と異なっていてもよい。
【0053】
チャネルは、半導体部252において、ソース電極253とドレイン電極254との間にある。チャネル長は、ソース電極253とドレイン電極254との間の長さであり、チャネル幅はチャネル長に垂直な方向のサイズである。図4Aにおいて、半導体部252のチャネル長は、左右方向のチャネルサイズであり、チャネル幅は上下方向のチャネルサイズである。
【0054】
図4A及び4Bに示す薄膜トランジスタ122は、チャネル保護型である。ソース電極253とドレイン電極254との間の空間から露出する半導体部252を覆うように、エッチストップ255が存在している。エッチストップ255は、例えば、シリコン酸化物又はシリコン窒化物で形成することができる。エッチストップ255は、ソース電極253及びドレイン電極254のエッチングにおいて、ソース電極253及びドレイン電極254から露出した半導体部252の部分がエッチングされることを防ぐ。
【0055】
図4A及び4Bに示す薄膜トランジスタ122は、オフセットゲート構造を有する。オフセットゲート構造は、ゲート電極251の位置が、ソース電極253又はドレイン電極254の一方にずれている構造である。図4A及び4Bに示す構造例において、ゲート電極251は、ソース電極側にずれている。
【0056】
以下の説明において、ドレイン電極254のソース電極側端と、ゲート電極251のドレイン電極側端との間で、オフセットの大きさを表す。ゲート電極251のソース電極側端は固定されているものとする。ゲート電極251のドレイン電極側端と、ドレイン電極254のソース電極側端とが一致する場合、オフセットは0とする。
【0057】
ゲート電極251のドレイン電極側端がドレイン電極254から離れるにつれて、オフセットは増加する。ゲート電極251のドレイン電極側端と、ソース電極253のドレイン電極側端とが一致する場合、オフセットはAとする。Aは正の値である。オフセットの単位は、例えば、μmである。図4Aに示す構造例において、オフセットはA-kである。kは正の値である。
【0058】
図4A及び4Bに示す構造例において、ドレイン電極254のソース電極側端、ゲート電極251のドレイン電極側端及びソース電極253のドレイン電極側端は平行である。これらは、チャネル幅方向において直線状であり、図4Aにおいて上下方向に延びている。これらは平行でなくてもよい。ドレイン電極254とゲート電極251との間のオフセットは、それらの間の最短距離で表してよい。
【0059】
図4A及び4Bに示すオフセット0において、ドレイン電極254とゲート電極251との間の、平面視における重なり面積は0である。ゲート電極251とソース電極253との間の、平面視における重なり面積は0より大きい。つまり、ゲート電極251の少なくとも一部は、ソース電極253と平面視において重なっている。さらに、ゲート電極251の少なくとも一部は、ソース電極253及び半導体部252と重なる。
【0060】
図4A及び4Bに示す例において、オフセット0からオフセットAの領域において、ゲート電極251は、半導体部252と重なり、ソース電極253及びドレイン電極254とは重ならない。オフセットAからゲート電極251のソース電極側端までの範囲おいて、ゲート電極251は、半導体部252及びソース電極253と重なる。
【0061】
図4A及び4Bに示す例において、半導体部252のソース電極側端は、ゲート電極251のソース電極側端より、ドレイン電極254から遠い。半導体部252は、ゲート電極251より、フォトダイオード側に延びている。これらの関係は、逆であってもよい。
【0062】
図4Bに示すように、ゲート絶縁層272は、ゲート電極251を含む導体膜を覆う。半導体部252は、ゲート絶縁層272上に形成されている。エッチストップ255は、半導体部252上に形成されている。図4Aに示すように、エッチストップ255の下面の一部は半導体部252に接触し、一部はゲート絶縁層272に接触している。
【0063】
ゲート電極251及びゲート絶縁層272が形成された後、半導体部252が形成される。その後、エッチストップ255が形成され、さらに、ソース電極253及びドレイン電極254が形成される。
【0064】
ソース電極253を含む導体膜及びドレイン電極254を含む導体膜は、半導体部252上に形成されている。それらの下面の一部は半導体部252と接触し、一部はエッチストップ255と接触し、一部はゲート絶縁層272と接触している。第1層間絶縁層273は、薄膜トランジスタ122のこれら構成要素を覆うように形成されている。
【0065】
図3A及び3Bに示すように、ソース電極253を含む導体膜はフォトダイオードの下部電極301と、第1層間絶縁層273を貫通するコンタクト部を介して接続されている。ドレイン電極254を含む導体膜は、データ線106と、第1層間絶縁層273を貫通するコンタクト部を介して接続されている。
【0066】
図5Aは、オフセットが0の薄膜トランジスタ122の断面構造を模式的に示す断面図である。上述のように、オフセットは、ドレイン電極254のソース電極側端(フォトダイオード側端)を基準に定義されている。オフセットが0の構造において、ゲート電極251のドレイン電極側端とドレイン電極254のソース電極側端は面一である。
【0067】
図5Bは、オフセットがAの薄膜トランジスタ122の断面構造を模式的に示す断面図である。上述のように、オフセットは、ドレイン電極254からソース電極253に向かって増加する。オフセットがAの構造において、ゲート電極251のドレイン電極側端とソース電極253のドレイン電極側端(データ線側端)は面一である。
【0068】
図6は、図4Aから図5Bを参照して説明した構造例における、異なるオフセット値での、薄膜トランジスタ122のゲート電圧Vgとドレイン電流Idとの間の関係(Id-Vg特性)のシミュレーション結果を示す。横軸はゲート電圧を示し、縦軸はドレイン電流を示す。線401は、オフセットが0におけるId-Vg特性を示す。線402は、オフセットがA(μm)におけるId-Vg特性を示す。線403は、オフセットがA+3(μm)におけるId-Vg特性を示す。
【0069】
図6に示すように、オフセットが0及びオフセットがAの構造は、略同様のId-Vg特性を示す。図には示していないが、オフセットが負の値からAまでの範囲において、薄膜トランジスタ122は略同様のId-Vg特性を示した。オフセットが負であることは、ゲート電極251のドレイン電極側の端部が、ドレイン電極254と平面視において重なっていることを意味する。線403が示すように、オフセットがAより大きくなると、正のゲート電圧においてIdが徐々に減少する。
【0070】
図7は、ゲート電圧が15Vでのオフセットとドレイン電流Idとの間の関係のシミュレーション結果を示す。横軸はオフセットを示し、縦軸はドレイン電流Idを示す。オフセットは、右から左に向かって増加する。破線412は、オフセット0からオフセットAの範囲を示す。図7に示すように、オフセットがA以下の範囲において、ドレイン電流は略同様である。
【0071】
図7に示すように、オフセットがAでのドレイン電流は、オフセットが負でのドレイン電流と略同様である。例えば、点411は、ゲート電極251とソース電極253及びドレイン電極254との重なり領域が同様の場合(一般的な従来構造)のドレイン電流を示す。オフセットがAより大きくなると、ドレイン電流Idは徐々に減少する。
【0072】
不図示の他のシミュレーション結果は、ゲートオフセット構造のドレイン側とソース側での特性が大きく異なることを示した。具体的には、ゲート電極251とソース電極253の重なり面積に対して、Id-Vg特性が大きな変化を示した。シミュレーションは、ゲート電極251のドレイン電極側端の位置を固定し、ソース電極側端をドレイン電極側に移動させて、ゲート電極を短くした。
【0073】
ゲート電極251のソース電極側端がエッチストップ255のソース電極側端と一致する構造において、Id-Vg特性が大きな変化を見せ始めた。具体的にはIdが低下した。さらに、ゲート電極251のソース電極側端が、ソース電極253のドレイン電極側端とドレイン電極254との間に位置する構造、つまり、ゲート電極251とソース電極253が重ならない構造において、Id-Vg特性はさらに大きな変化を見せた。
【0074】
上述のように、ゲート電極251とソース電極253との間の重なり領域の大きさが、薄膜トランジスタ122の特性に大きく影響を及ぼす。一方、ゲート電極251とドレイン電極254との間の重なり領域は、薄膜トランジスタ122の特性に実質的に影響を及ぼすことがない。
【0075】
したがって、ゲート電極251とソース電極253との重なり領域を所望に特性に応じて設定し、ゲート電極251とドレイン電極254との重なり領域を小さくすることで、薄膜トランジスタ122の特性変化を抑制しつつ、ゲート電極251とドレイン電極254との間の容量(TFT容量Ctft)を小さくすることができる。TFT容量Ctftは、データ線容量Cdataの一部であるので、TFT容量Ctftを小さくすることで、データ線で発生するノイズを低減することができる。
【0076】
上述のように、薄膜トランジスタゲート電極とドレイン電極をオフセットにしてもId-Vg特性が変化しない特性を持つ。イメージセンサの動作では、データ配線側がドレイン、フォトディテクタ側がソースであり、ソースとドレインが反転することがない。そのため、ゲート電極がソース電極と重なり、それらが十分な重なり領域を有することで、薄膜トランジスタ及びフォトディテクタの必要な特性を得ることができる。
【0077】
また、ゲート電極が、ドレイン電極と重ならず、ドレイン電極から離れていていても、ドレイン電流Idはほとんど変化しない。そのため、ゲート電極とドレイン電極との間の重なり領域を小さくする、さらには、それらが重ならない配置することで、データ線容量のパラメータであるTFT容量Ctftを低減することができる。これにより、イメージセンサにおいて、データ線容量をパラメータに持つノイズ成分を低減する効果がある。
【0078】
図5Bに示すように、ゲート電極のドレイン電極側端とソース電極のドレイン電極側端とが一致する構造(オフセットA)は、薄膜トランジスタの特性に対する影響を効果的に抑制することができると共に、ゲート電極とドレイン電極との間の容量を効果的に低減できる。
【0079】
図8は、薄膜トランジスタ122のオフセットと、ゲート電極とドレイン電極との間のTFT容量Ctftとの間の関係のシミュレーション結果を示す。横軸はオフセットを示し、縦軸はTFT容量Ctftを示す。破線の矩形421は、オフセット0からオフセットAの範囲を示す。TFT容量Ctftは、ゲート電極とドレイン電極の重なり領域が小さくなると低減し、オフセット0からオフセットAの範囲で、飽和傾向を示す。さらに、オフセットがAより大きくなると、TFT容量Ctftは略一定となる。
【0080】
図9は、TFT容量Ctftとデータ線容量Cdataとの間の関係のシミュレーション結果を示す。横軸はTFT容量を示し、縦軸はデータ線容量Cdataを示す。破線の矩形422は、オフセット0からオフセットAに対応する範囲を示す。例えば、オフセットAにおいて、TFT容量Ctftは、従来の25%程に低減することができる。
【0081】
図10は、データ線容量とデータ線のノイズ(ラインノイズ)との間の関係のシミュレーション結果を示す。TFT容量Ctftがデータ線容量Cdataの40%を占めるとすると、データ線容量Cdataは、破線矩形423で示す、従来の値の60~70%程度になる。データ線容量Cdataをパラメータにもつラインノイズは、従来の約80%に低減することが可能である。
【0082】
上記シミュレーション結果は、図4A及び4Bに示すように、エッチストップ型薄膜トランジスタについてのものである。エッチストップを含まないチャネルエッチ型薄膜トランジスタについても、同様のオフセット範囲において、薄膜トランジスタの特性変化を抑制しつつ、TFT容量Ctftを低減することができる。
【0083】
図11は、エッチストップ型薄膜トランジスタとチャネルエッチ型薄膜トランジスタの、オフセットとTFT容量Ctftとの間の関係のシミュレーション結果を示す。黒丸は、チャネルエッチ型薄膜トランジスタのシミュレーション結果を示す。白丸は、エッチストップ型薄膜トランジスタのシミュレーション結果を示す。破線矩形421は、オフセット0からオフセットAの範囲を示す。
【0084】
図11に示すように、二つの薄膜トランジスタの間において、オフセットとTFT容量Ctftとの間の関係は大きな違いを示さず、特に、オフセット0以上において、略同一である。したがって、これらの間においてId-Vgのオフセット特性は実質的に変わらない。チャネルエッチ型薄膜トランジスタにおいても、TFT特性を変化させず、TFT容量Ctftを低減させることができる。
【0085】
以下において、ゲート電極形状の他の例を説明する。以下に説明する例において、上記他の構造例と同様に、ゲート電極の一部は、ソース電極の一部と平面視において重なっている。上記他の構造例と異なり、ゲート電極の一部は、ドレイン電極の一部と平面視において重なっている。ドレイン電極のソース電極側端とゲート電極のドレイン電極側端のとの間で定義されるオフセットは負の値である。
【0086】
ゲート電極とドレイン電極との重なり領域の面積は、ゲート電極とソース電極との重なり領域の面積より小さい。これにより、TFT特性を変化させず、TFT容量Ctftを低減させることができる。以下に説明するゲート電極形状例のドレイン電極が端は、ドレイン電極と平面視において重なっている。それらは、ドレイン電極側に、凹部又は凸部を有する。これにより、ゲート電極とドレイン電極との重なり領域の面積が低減される。
【0087】
図12は、ソース電極側とドレイン電極側とで非対称の形状を有するゲート電極を含む薄膜トランジスタの構造例を示す。図4Aと同様に、各要素の他の要素により覆われている部分は破線で示されている。なお、図4Aに示す構造例と比較して、形状の異同に関わらず、同一種類の構成要素は同一の符号で指示されている。図4Aに示す構造例と比較して、ゲート電極251以外の構成要素は同一の形状及び位置関係を有する。これらの点は、図13及び14について同様である。
【0088】
図12の構造例において、ゲート電極251のドレイン電極側端とドレイン電極254のソース電極側端のチャネル長方向における距離は、ゲート電極251のソース電極側端とソース電極253のドレイン電極側端のチャネル長方向における距離と同一である。ゲート電極251のソース電極側端は、チャネル幅方向に延びる直線である。一方、ゲート電極251のドレイン電極側端部は、中央に凹部を有する。これにより、ゲート電極とドレイン電極との重なり領域の面積が低減されている。
【0089】
図13は、ソース電極側とドレイン電極側とで非対称の形状を有するゲート電極を含む薄膜トランジスタの構造例を示す。図13の構造例において、ゲート電極251のドレイン電極側端とドレイン電極254のソース電極側端のチャネル長方向における距離は、ゲート電極251のソース電極側端とソース電極253のドレイン電極側端のチャネル長方向における距離と同一である。ゲート電極251のソース電極側端は、チャネル幅方向に延びる直線である。一方、ゲート電極251のドレイン電極側端部は、片側に凹部を有する。これにより、ゲート電極とドレイン電極との重なり領域の面積が低減されている。
【0090】
図14は、ソース電極側とドレイン電極側とで非対称の形状を有するゲート電極を含む薄膜トランジスタの構造例を示す。図14の構造例において、ゲート電極251のドレイン電極側端とドレイン電極254のソース電極側端のチャネル長方向における距離は、ゲート電極251のソース電極側端とソース電極253のドレイン電極側端のチャネル長方向における距離と同一である。ゲート電極251のソース電極側端は、チャネル幅方向に延びる直線である。一方、ゲート電極251のドレイン電極側端部は、両側に凹部を有し、それらの間に凸部を有する。これにより、ゲート電極とドレイン電極との重なり領域の面積が低減されている。
【0091】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0092】
10 イメージセンサ
11 センサ基板
13 画素
14 駆動回路
16 信号検出回路
18 主制御回路
105 ゲート線
106 データ線
107 バイアス線
121 フォトダイオード
122 薄膜トランジスタ
251 ゲート電極
252 半導体部
253 ソース電極
254 ドレイン電極
271 絶縁基板
272-276 絶縁層
321 バイアス線
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14