(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173693
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】診断支援装置、診断支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20231130BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20231130BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G01N33/48 Z
G16H10/40
A61B6/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086128
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敦子
【テーマコード(参考)】
2G045
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA25
2G045JA01
2G045JA07
4C093AA01
4C093DA06
4C093ED21
4C093FF17
4C093FF28
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】リキッドバイオプシーによる診断を適切に支援すること。
【解決手段】実施形態に係る診断支援装置は、取得部と、判定部とを備える。前記取得部は、物理刺激を加える前に被検体から採取された第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記物理刺激を加えた後に前記被検体から採取された第2の液体試料における前記バイオマーカの第2の測定値とを取得する。前記判定部は、前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理刺激を加える前に被検体から採取された第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記物理刺激を加えた後に前記被検体から採取された第2の液体試料における前記バイオマーカの第2の測定値とを取得する取得部と、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う判定部と
を備える診断支援装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1の測定値に対する前記第2の測定値についての増加量及び増加率のうち少なくとも一方である判定指標を算出し、前記算出された判定指標に基づいて前記判定を行う、請求項1に記載の診断支援装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいとき、前記判定に係る判定条件を変更する、請求項2に記載の診断支援装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記物理刺激の強度に関する情報を取得し、
前記判定部は、前記物理刺激の強度が予め定められたしきい値より大きいとき、前記判定指標を算出する、
請求項2又は請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項5】
前記物理刺激は、マンモグラフィ撮影における乳房の圧迫である、請求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の診断支援装置。
【請求項6】
前記物理刺激は、前記被検体への超音波照射である、請求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の診断支援装置。
【請求項7】
前記被検体を撮影して得られた医用画像に基づいて、前記病変の有無及び性質のうち少なくとも一方の検出を行う検出部をさらに備え、
前記取得部は、前記医用画像をさらに取得し、
前記判定部は、前記検出の結果にさらに基づいて前記判定を行う、
請求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の診断支援装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記第1の測定値に対する前記第2の測定値についての増加量及び増加率のうち少なくとも一方である判定指標を算出し、前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいとき、前記検出に係る検出条件を変更する、請求項7に記載の診断支援装置。
【請求項9】
前記検出条件の変更は、前記医用画像から病変の有無及び性質のうち少なくとも一方を検出する検出アルゴリズムを、前記物理刺激の後に増加したバイオマーカの種類に対応する検出アルゴリズムに変更することである、請求項8に記載の診断支援装置。
【請求項10】
前記病変は、乳がん、肝がん、腎臓がん、前立腺がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、大腸がん、胃がん、食道がん、子宮がん、皮膚がん又は肺がんを含む、請求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の診断支援装置。
【請求項11】
前記判定は、
前記第1の測定値又は前記第2の測定値が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第1の判定と、
前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第2の判定と
を含み、
前記判定部は、前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、前記判定指標を算出し、前記判定指標に基づく前記第2の判定を行う、
請求項2又は請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項12】
前記判定は、
前記第1の測定値又は前記第2の測定値が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第1の判定と、
前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変の性質として悪性度が高いと判定される第2の判定と
を含み、
前記判定部は、前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、前記判定指標を算出し、前記判定指標に基づく前記第2の判定を行う、
請求項2又は請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項13】
前記判定は、前記第1の測定値が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第1の判定を含み、
前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、
前記取得部は、前記第2の測定値を取得し、
前記判定部は、前記判定指標を算出し、算出された前記判定指標に基づいて前記病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る第2の判定を行う、
請求項2又は請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項14】
物理刺激を加える前に被検体から第1の液体試料を採取することと、
前記物理刺激を加えた後に前記被検体から第2の液体試料を採取することと、
前記第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記第2の液体試料におけるバイオマーカの第2の測定値とを取得することと、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行うことと
を含む、診断支援方法。
【請求項15】
物理刺激を加える前に被検体から採取された第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記物理刺激を加えた後に前記被検体から採取された第2の液体試料における前記バイオマーカの第2の測定値とを取得することと、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行うことと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、診断支援装置、診断支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、乳がん検診などのがん検診においては、マンモグラフィ検査や超音波検査などの画像診断とともにリキッドバイオプシーが行われる場合がある。血中のバイオマーカ量については、超音波照射やマンモグラフィ撮影における乳房圧迫など、病変を含む部位への物理刺激に伴い増加することが知られている。
【0003】
このような中、リキッドバイオプシーにおいては、バイオマーカ量の測定値が判別ボーダーライン付近の場合には判別精度が担保できないという問題があった。判別精度が担保できない場合には、病変について適切に診断できないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Perez, A.B. Di Stefano, M. Castiglia, M. Sorrentino, D. Matranga, F. Grisafi, C. Corso, G. Scoarughi, G. Barbato, N. Barraco, V. Calo, F. Di Piazza, D. Massihnia, A. Listi, L. Castellana, A.A. Guarini, L. Insalaco, E. Bronte, A. Russo, E26 - The effects of LIPUS on ctDNA release in the medium of NSCLC cell lines, Annals of Oncology, Volume 28, Supplement 6, 2017, Page vi62, ISSN 0923-7534, https://doi.org/10.1093/annonc/mdx426.025.
【非特許文献2】Fornvik, D., Aaltonen, K.E., Chen, Y. et al. Detection of circulating tumor cells and circulating tumor DNA before and after mammographic breast compression in a cohort of breast cancer patients scheduled for neoadjuvant treatment. Breast Cancer Res Treat 177, 447-455 (2019). https://doi.org/10.1007/s10549-019-05326-5.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、リキッドバイオプシーによる診断を適切に支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る診断支援装置は、取得部と、判定部とを備える。前記取得部は、物理刺激を加える前に被検体から採取された第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記物理刺激を加えた後に前記被検体から採取された第2の液体試料における前記バイオマーカの第2の測定値とを取得する。前記判定部は、前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る診断支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る診断支援装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る診断支援のワークフローの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態に係る診断支援装置において実行される支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る支援処理の一次判定の判定条件の一例について説明するための図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る支援処理の二次判定の判定条件の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係る診断支援装置、診断支援方法及びプログラムを説明する。なお、以下の説明において、既出の図に関して前述したものと同一又は略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表されている場合もある。また、例えば図面の視認性を確保する観点から、各図面の説明において主要な構成要素だけに参照符号を付し、同一又は略同一の機能を有する構成要素であっても参照符号を付していない場合もある。
【0010】
近年、乳がん検診などのがん検診においては、マンモグラフィ検査や超音波検査などの画像診断とともにリキッドバイオプシーが行われる場合がある。血中のバイオマーカ量については、超音波照射やマンモグラフィ撮影における乳房圧迫など、病変を含む部位への物理刺激に伴い増加することが知られている。例えば、乳房圧迫前後で血中のCTC及びctDNAの濃度が変化することが知られている。また、例えば、低出力パルス波超音波(Low intensity pulsed ultrasound:LIPUS)照射で血中の肺がん細胞株からのctDNA放出が増加することが知られている。
【0011】
このような中、リキッドバイオプシーにおいては、物理刺激に伴いバイオマーカ量が増加した場合であっても、その測定値が判別ボーダーライン付近の場合には判別精度が担保できないという問題があった。判別精度が担保できない場合には、病変について適切に診断できないおそれがあった。
【0012】
そこで、本開示は、リキッドバイオプシーによる診断を適切に支援することができる診断支援システム1を開示する。具体的には、本開示は、リキッドバイオプシーによる病変の有無及び性質のうち少なくとも一方の判定精度を向上することができる診断支援システム1を開示する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る診断支援システム1の構成の一例を示す図である。診断支援システム1は、
図1に示すように、診断支援装置10、医用画像診断装置30、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)50、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)70及び医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)90を有する。診断支援システム1の各装置は、例えば病院などに設置され、院内LAN(Local Area Network)などのネットワーク9によって他の装置と通信可能である。なお、HIS50は、院内LANに加え、外部のネットワークに接続されてもよい。
【0014】
HIS50は、病院内で発生する情報を管理するシステムである。病院内で発生する情報は、患者情報及び検査オーダ情報などの情報を含む。患者情報に含まれる各レコードは、項目として、患者ID、患者名(氏名)、年齢(生年月日)、性別、身長、体重及び血液型などを有する。検査オーダ情報に含まれる各レコードは、項目として、検査を識別可能な検査ID、患者ID、入院又は外来を表す情報、検査コード、診療科目、検査種類、検査部位及び検査予定日時などを有する。
【0015】
検査IDは、検査オーダ情報が入力される際に発行され、例えば1つの病院内で検査オーダ情報を一意に特定するための識別子である。患者IDは、患者毎に付与され、例えば1つの病院内で患者を一意に特定するための識別子である。検査コードは、例えば1つの病院内で規定される、検査を一意に特定するための識別子である。診療科目は、例えば医療において診療の専門分野区分を示すものである。具体的には、診療科目は、内科及び外科などである。検査種類は、医用画像を用いた検査を示す。例えば、検査種類は、X線検査、CT(Computed Tomography)検査及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)検査などを含む。検査部位は、脳、腎臓、肺及び肝臓などを含む。
【0016】
HIS50は、例えば検査依頼医により検査オーダ情報が入力された場合、入力された検査オーダ情報と、当該検査オーダ情報により特定される患者情報とをRIS70に送信する。また、この場合、HIS50は、当該患者情報をPACS90に送信する。
【0017】
RIS70は、放射線検査業務に係る検査予約情報を管理するシステムである。例えば、RIS70は、HIS50から送信される検査オーダ情報を受信し、受信した検査オーダ情報に各種設定情報を付加して集積し、集積した情報を検査予約情報として管理する。具体的には、RIS70は、HIS50から送信される患者情報及び検査オーダ情報を受信した場合、受信した患者情報及び検査オーダ情報に基づいて、医用画像診断装置30を動作させるために必要な検査予約情報を生成する。検査予約情報は、例えば、検査ID、患者ID、検査種類及び検査部位などの検査の実施に必要な情報を含む。RIS70は、生成した検査予約情報を医用画像診断装置30に送信する。
【0018】
医用画像診断装置30は、被検体(患者)から収集したデータに基づいて医用画像データを生成する装置である。医用画像診断装置30としては、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置などの種々の医用画像診断装置が適宜利用可能である。
【0019】
医用画像診断装置30は、例えばRIS70から送信される検査予約情報に基づいて検査を実施する。医用画像診断装置30は、検査の実施を表す検査実施情報を生成し、RIS70に送信する。この場合、RIS70は、医用画像診断装置30から検査実施情報を受信し、受信した検査実施情報を最新の検査実施情報としてHIS50などに出力する。例えば、HIS50は、最新の検査実施情報を受信し、受信した検査実施情報を管理する。検査実施情報は、検査ID、患者ID、検査種類及び検査部位などの検査予約情報と、検査の実施日時とを含む。
【0020】
医用画像診断装置30は、生成した医用画像データを例えばDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した形式に変換する。すなわち、医用画像診断装置30は、付帯情報としてDICOMタグが付加された医用画像データを生成する。
【0021】
付帯情報は、例えば、患者ID、検査ID、装置ID及び画像シリーズIDなどを含み、DICOM規格に従って規格化されている。装置IDは、医用画像診断装置30を識別するための情報である。画像シリーズIDは、医用画像診断装置30による1回の撮影を識別するための情報であり、例えば、撮影された被検体の部位、画像生成時刻、スライス厚、スライス位置などを含む。例えば、CT検査やMRI検査を行うことにより、複数のスライス位置の各々における断層画像が医用画像データとして得られる。
【0022】
医用画像診断装置30は、生成した医用画像データをPACS90に送信する。PACS90は、種々の医用画像データを管理するシステムである。
【0023】
PACS90は、例えば、HIS50から送信された患者情報を受信し、受信した患者情報を管理する。PACS90は、患者情報を管理するための記憶回路を備えている。PACS90は、例えば、医用画像診断装置30から送信された医用画像データを受信し、受信した医用画像データを患者情報に対応付けて、自身の記憶回路に格納する。なお、PACS90に保存された医用画像データには、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズIDなどの付帯情報が付加されている。このため、操作者は、患者IDなどを用いた検索を行うことで、必要な患者情報をPACS90から取得することができる。また、操作者は、患者ID、検査ID、装置ID、画像シリーズIDなどを用いた検索を行うことで、必要な医用画像データをPACS90から取得することができる。
【0024】
ここで、HIS50は、例えば検査依頼医である臨床医により作成された電子カルテと、当該電子カルテに対応する検査実施情報とを受信し、受信した電子カルテと検査実施情報とを対応付けて、自身の記憶回路に格納する。なお、上述のように、検査実施情報には、検査ID、患者ID、検査種類、検査部位及び検査の実施日時などが含まれているため、操作者は、患者ID、検査IDなどを用いた検索を行うことで、必要な電子カルテをHIS50から取得することができる。ここで、本実施形態では、電子カルテは、HIS50の記憶回路に格納されているが、IDによる検索が可能であれば、診断支援システム1内の他の装置の記憶回路に格納されてもよい。
【0025】
また、RIS70は、例えば読影医の入力に応じて作成された読影レポートと、当該読影レポートに対応する検査実施情報とを受信し、受信した読影レポートと検査実施情報とを対応付けて、自身の記憶回路に格納する。なお、上述のように、検査実施情報には、検査ID、患者ID、検査種類、検査部位及び検査の実施日時などが含まれているため、操作者は、患者ID、検査IDなどを用いた検索を行うことで、必要な読影レポートをRIS70から取得することができる。ここで、本実施形態では、読影レポートは、RIS70の記憶回路に格納されているが、IDによる検索が可能であれば、診断支援システム1内の他の装置の記憶回路に格納されてもよい。
【0026】
診断支援装置10は、支援処理を実行する。診断支援装置10は、ネットワーク9を介して、医用画像診断装置30、HIS50、RIS70及びPACS90から各種の診療データを取得し、取得した診療データを用いて各種の情報処理を行う。例えば、診断支援装置10は、プロセッサと、ROMやRAMなどのメモリとをハードウェア資源として有するワークステーションなどのコンピュータによって実現される。診断支援装置10には、例えば統合ビューアが実装されている。統合ビューアは、医療情報を統合的にユーザに提示するアプリケーションである。統合ビューアは、Webアプリケーション、ファットクライアントアプリケーション又はシンクライアントアプリケーションなど、いずれの実装形態を採用してもよい。
【0027】
診療データは、診療の過程で、患者の身体状況、病状及び治療などについて、医療従事者が知り得た診療記録を示す情報である。診療データは、例えば、異なる製造元の装置、異なるバージョンの装置及び同じ装置であっても異なる設定など様々な環境下で取得されたデータを含む。診療データは、数値などの客観データに限定されず、非数値、例えば文字で表される主観データなどあってもよい。診療データは、例えば、検査履歴情報、画像情報、心電図情報、バイタルサイン情報、薬歴情報、レポート情報、カルテ記載情報、看護記録情報、紹介状及び退院サマリなどを含む。検査履歴情報は、例えば、患者に対して検体検査及び細菌検査などが行われた結果取得される検査結果の履歴を表す情報である。画像情報は、例えば、患者を撮影などすることにより取得された医用画像の所在を表す情報である。画像情報には、例えば、検査が実施された結果医用画像診断装置により生成される医用画像ファイルの所在を表す情報が含まれる。心電図情報は、例えば、患者から計測された心電図波形に関する情報である。バイタルサイン情報は、例えば、患者の生命に関わる基本的な情報である。バイタルサイン情報には、例えば、脈拍数、呼吸数、体温、血圧及び意識レベルなどが含まれる。薬歴情報は、例えば、患者に投与された薬剤の量の履歴を示す情報である。レポート情報は、例えば、診療科の診療医からの検査依頼に対して、放射線科の読影医がX線画像、CT画像、MRI画像及び超音波画像などの医用画像を読影し、患者の状態及び疾患についてまとめた情報である。レポート情報には、例えば、読影医がPACS90に記憶された医用画像ファイルを参照して作成された読影レポートを表す読影レポート情報が含まれる。レポート情報には、例えば、読影対象となる医用画像ファイルに対応する患者の患者ID、患者氏名及び生年月日を表す情報が含まれる。カルテ記載情報は、例えば、診療医などにより電子カルテに入力された情報である。カルテ記載情報には、例えば、入院時の診療記録、患者の病歴及び薬の処方履歴などが含まれる。看護記録情報は、例えば、看護師などにより電子カルテに入力された情報である。看護記録情報には、入院時の看護記録などが含まれる。看護記録情報には、入院時の給食記録が含まれていてもよい。また、診療データは、会計に関する情報をさらに含んでいてもよい。
【0028】
なお、診断支援システム1は、HIS50、RIS70及びPACS90に代えて、VNA(Vendor Neutral Archive)システムを有していても構わない。VNAシステムは、異なるメーカー製のPACS90と、各臨床部門システム(HIS50,RIS70)で管理されている多様な診療データとを一元的に管理する統合アーカイブシステムである。VNAシステムは、例えば、HIS50、RIS70及びPACS90と、LANなどの病院内ネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。なお、VNAシステムにより管理及び保管される種々の情報は、必ずしも異なるメーカー製のシステムから取得されたものに限らず、単一のメーカー製のシステムから取得されたものであってもよい。
【0029】
図2は、実施形態に係る診断支援装置10の構成の一例を示す図である。診断支援装置10は、
図2に示すように、処理回路11、記憶回路13、通信インターフェース15、入力インターフェース17及びディスプレイ19を有する。処理回路11、記憶回路13、通信インターフェース15、入力インターフェース17及びディスプレイ19は、バスなどを介して通信可能に接続されている。
【0030】
記憶回路13は、各種データを記憶する。例えば、記憶回路13は、医用画像診断装置30、HIS50、RIS70、PACS90から受信した画像データや診療データを記憶する。また、例えば記憶回路13は、後述する支援処理を実現するための各種のしきい値などのパラメータやプログラムなどを記憶する。記憶回路13は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。なお、記憶回路13の保存領域は、診断支援装置10内にあってもよいし、ネットワークなどで接続された外部記憶装置内にあってもよい。ここで、記憶回路13は、記憶部の一例である。
【0031】
通信インターフェース15は、医用画像診断装置30、HIS50、RIS70及びPACS90との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、通信インターフェース15は、医用画像診断装置30、HIS50、RIS70又はPACS90から画像データや診療データを受信し、受信したデータを処理回路11に出力する。通信インターフェース15は、例えば、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)などによって実現される。
【0032】
入力インターフェース17は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路11に出力する。入力インターフェース17は、例えば、支援処理に係る各種の操作画面に対する操作者からの各種の入力操作を受け付ける。一例として、入力インターフェース17は、操作者によるリキッドバイオプシーの測定値の入力操作を受け付ける。ここで、入力インターフェース17は、入力部の一例である。
【0033】
入力インターフェース17としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイなどが適宜、使用可能となっている。なお、本実施形態において、入力インターフェース17は、これらの物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路11へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース17の例に含まれる。また、入力インターフェース17は、診断支援装置10の本体と無線通信可能なタブレット端末などで構成されることにしても構わない。
【0034】
ディスプレイ19は、各種の情報を表示する。ディスプレイ19は、例えば、処理回路11によって生成された、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを出力する。操作者からの各種操作を受け付けるためのGUIは、支援処理に係る各種の操作画面を含む。例えば、ディスプレイ19は、処理回路11によって生成された支援処理に係る表示画面を出力する。一例として、ディスプレイ19は、各判定における判定結果を含む表示画面を出力する。ディスプレイ19としては、種々の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。例えばディスプレイ19として、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)、Cathode Ray Tube(CRT)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Electro Luminescence Display:OELD)又はプラズマディスプレイが使用可能である。ここで、ディスプレイ19は、表示部の一例である。
【0035】
なお、ディスプレイ19は、デスクトップ型でもよいし、診断支援装置10の本体と無線通信可能なタブレット端末などで構成されることにしても構わない。また、ディスプレイ19として、1又は2以上のプロジェクタが用いられてもよい。
【0036】
処理回路11は、診断支援装置10の全体の動作を制御する。処理回路11は、ハードウェア資源として、プロセッサと、ROMやRAMなどのメモリとを有する。処理回路11は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、取得機能111、検出機能113、判定機能115及び表示制御機能117などを実行する。
【0037】
ここで、処理回路11は、処理部の一例である。また、取得機能111を実現する処理回路11は、取得部の一例である。また、検出機能113を実現する処理回路11は、検出部の一例である。また、判定機能115を実現する処理回路11は、判定部の一例である。また、表示制御機能117を実現する処理回路11は、表示制御部の一例である。
【0038】
取得機能111において処理回路11は、ネットワーク9を介して、医用画像診断装置30、HIS50、RIS70又はPACS90から医用画像データ及び診療データを取得する。また、処理回路11は、入力インターフェース17が受け付けた操作者による操作入力の結果を取得する。
【0039】
一例として、取得機能111において処理回路11は、被検体(患者)の対象部位に物理刺激を加える前後で採取された各液体試料におけるバイオマーカの各測定値を含む診療データを取得する。当該液体試料は、リキッドバイオプシーで用いられる試料であれば特に限定されないが、被検体から採血する血液試料であってもよいし、被検体から採取するリンパ液試料であってもよいし、被検体から採取する尿検体や涙液検体であってもよい。なお、以下の説明では、バイオマーカの測定値を単にマーカ値と記載する場合もある。
【0040】
ここで、物理刺激を加える前に被検体から採取された液体試料及び当該液体試料におけるバイオマーカの測定値は、それぞれ、第1の液体試料及び第1の測定値の一例である。また、物理刺激を加えた後に被検体から採取された液体試料及び当該液体試料におけるバイオマーカの測定値は、それぞれ、第2の液体試料及び第2の測定値の一例である。
【0041】
物理刺激を加える被検体の対象部位は、診断対象に応じて適宜設定され得る。例えば、乳がん検診などの乳がんを診断対象とする場合、対象部位は、被検体の乳房である。診断対象としては、乳がんに限らず、肝がん、腎臓がん、前立腺がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、大腸がん、胃がん、食道がん、子宮がん、皮膚がん、肺がんなどであってもよい。
【0042】
物理刺激は、例えば乳がんを診断対象とする場合、X線診断装置としての医用画像診断装置30によるマンモグラフィ撮影における、被検体の乳房の圧迫である。あるいは、物理刺激は、被検体の対象部位への超音波照射であってもよい。なお、物理刺激としては、がんなどの病変から血中にバイオマーカが漏れ出す要因となる外的刺激であればよく、マンモグラフィ撮影での圧迫や超音波照射の他の方法が利用されても構わない。
【0043】
バイオマーカとしては、例えば乳がんを診断対象とする場合、がん由来の細胞であるCTC(Circulating Tumor Cells)やがん由来のDNAであるctDNA(Circulating Tumor DNA)が利用され得る。例えば肺がんを診断対象とする場合、バイオマーカとしては、ctDNAが利用され得る。なお、バイオマーカとしては、血液の中に存在するがん由来のタンパク質やDNA、RNA、エクソソームその他の細胞外小胞、腫瘍細胞そのものが、診断対象に応じて適宜選択されればよい。
【0044】
一例として、取得機能111において処理回路11は、被検体(患者)の対象部位に加えられた物理刺激の強度に関する情報を含む診療データを取得する。
【0045】
なお、マーカ値や物理刺激の強度に関する情報は、診療データとして取得される場合に限らず、医師や技師などの検査者による入力インターフェース17の操作入力に基づいて取得されてもよい。また、マーカ値については、血液試料からバイオマーカ量を測定する測定装置から取得されてもよい。
【0046】
検出機能113において処理回路11は、被検体を撮影して得られた医用画像に基づいて、病変の検出を行う。具体的には、処理回路11は、当該医用画像に基づく画像診断として、コンピュータ支援画像診断(CAD)を実施する。本実施形態に係るCADは、予め定められた検出条件に基づいて医用画像上の病変の有無や病変の位置を自動検出するものであるとする。
【0047】
なお、CADは、予め定められた検出条件に基づいて医用画像上の病変候補の有無を自動検出するものであってもよい。この場合、表示制御機能117は、医用画像及び病変候補をディスプレイ19により表示する。また、医師や技師などの検査者は、入力インターフェース17を介して、医用画像上の病変の有無を入力する。また、検出機能113は、検査者の入力に基づいて医用画像上の病変の有無や病変の位置を検出する。
【0048】
なお、CADは、必須の構成ではない。例えば、医師や技師などの検査者により医用画像の読影が行われ、その読影結果を含む診療データが取得機能111により取得されたり、読影結果が入力インターフェース17により入力されたりする態様もあり得る。また、診断支援装置10の外部で実施されたCADの結果を含む診療データが取得機能111により取得される態様もあり得る。
【0049】
判定機能115において処理回路11は、物理刺激を加える前後のマーカ値に基づいて、病変の有無に係る判定を行う。処理回路11は、CADなどの画像診断の結果にさらに基づいて病変の有無に係る判定を行う。
【0050】
一例として、判定機能115において処理回路11は、物理刺激後のマーカ値が予め定められたしきい値より大きいときに病変が有ると判定する一次判定を行う。ここで、一次判定は、第1の判定の一例である。なお、一次判定においては、物理刺激後のマーカ値に限らず、物理刺激前のマーカ値や、これらの平均などの統計値が用いられてもよい。
【0051】
一例として、判定機能115において処理回路11は、一次判定において陽性と判定されなかった場合、物理刺激前後のマーカ値に関する判定指標を算出し、算出された判定指標に基づいて、病変の有無に係る二次判定を行う。
【0052】
一例として、判定機能115において処理回路11は、一次判定において陽性と判定されなかった場合であって、物理刺激の強度が予め定められたしきい値より大きいときに判定指標を算出する。後述するように、乳房圧迫でバイオマーカが血中に漏れ出す浸潤性の高いがんは、悪性度が高い。したがって、撮影時の乳房圧迫圧力が一定以上の時にのみ適用することで、圧迫によるマーカ値の増加であることを判別し、悪性度の高いがんについての検出精度を向上させることができる。
【0053】
二次判定においては、判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに病変が有ると判定される。つまり、二次判定においては、一次判定とは異なる判定条件が用いられる。換言すれば、判定機能115において処理回路11は、判定指標が予め定められたしきい値より大きいとき、病変の有無の判定に係る判定の判定条件を変更する。
【0054】
ここで、判定指標とは、例えば物理刺激前後のマーカ値の増加量であるとする。なお、判定指標としては、マンモグラフィ撮影の前後におけるマーカ値の増加率であってもよい。また、判定指標としては、増加量及び増加率の両方が利用されても構わない。増加量及び増加率の両方を利用する場合、それぞれ別個にしきい値と比較されてもよいし、増加量及び増加率に基づく統計値などを判定指標としてしきい値と比較されても構わない。
【0055】
また、処理回路11は、CADなどの画像診断の結果にさらに基づいて病変の有無に係る二次判定を行う。なお、処理回路11は、判定指標が予め定められたしきい値より大きいとき、すなわち物理刺激後にマーカ値が増加したとき、当該画像診断に先立って、CADの検出条件を変更する。
【0056】
一例として、CADの検出条件の変更とは、医用画像から病変の有無を検出する検出アルゴリズムを、マンモグラフィ撮影の前後で判定指標が増加したバイオマーカの種類に応じて変更することである。例えば新生血管が多く活発な増殖をするがん、すなわち浸潤性の高いがんは、転移リスクが高く、悪性度が高いがんである。このような浸潤性の高い浸潤がんは、血管やリンパ管に近く、物理刺激によってバイオマーカが漏れ出し易い。このように、上昇するバイオマーカの種類は、がんの微小環境に相関があると推定できる。このことから、検出アルゴリズムは、例えば浸潤がんに関する判定指標が増加した場合には、リンパ管周辺の検出に適したアルゴリズムに変更される。
【0057】
一例として、CADの検出条件の変更とは、医用画像から病変の有無を検出する検出アルゴリズムのパラメータを調整して検出感度を増加させたり、コントラストの付け方を変更させたりすることである。
【0058】
一例として、CADの検出条件の変更とは、医用画像から病変の有無を検出する検出アルゴリズムを、マンモグラフィ撮影の前後で判定指標が増加した場合の医用画像を用いてパラメータが決定(学習)されたアルゴリズムに変更することである。好ましくは、変更後の検出アルゴリズムは、S207の処理において判定指標が増加したと判定されたバイオマーカの種類が増加した場合の医用画像だけを用いてパラメータが決定(学習)されたアルゴリズムである。
【0059】
表示制御機能117において処理回路11は、一次判定及び二次判定を含む各種判定の結果を含む表示画面をディスプレイ19により表示する。なお、処理回路11は、画像診断に供する医用画像や、CADにより検出された病変候補や病変を示す検出結果を含む表示場面をディスプレイ19により表示してもよい。
【0060】
なお、実施形態に係る診断支援装置10がリキッドバイオプシーにおいて液体試料におけるバイオマーカ量を測定する測定装置に搭載される場合もあり得る。あるいは、診断支援装置10は、例えば測定装置に有線、無線、あるいは外部記憶装置を介して、当該測定装置から出力されたバイオマーカの測定値を取得可能に構成されていてもよい。
【0061】
なお、各機能111,113,115,117は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路11を構成し、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各機能111,113,115,117を実現するものとしても構わない。ここで、各機能111,113,115,117は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0062】
なお、単一のコンピュータにて複数の機能を実行する診断支援装置10を例示するが、これに限らない。診断支援装置10の複数の機能を別々のコンピュータが実行することにしても構わない。例えば、検出機能113及び判定機能115などの処理回路11の機能を少なくとも2のコンピュータが分散して実行する構成としても構わない。
【0063】
以下、実施形態に係る診断支援システム1による支援処理について、図面を参照しつつ説明する。
【0064】
図3は、実施形態に係る診断支援のワークフローの一例を示すフローチャートである。ここでは、乳がんを診断対象とする乳がん検査であって、液体試料として血液試料を用いる場合を例示する。また、乳がんに応じた検査部位である乳房に対する物理刺激としてマンモグラフィ撮影が利用される場合を例示する。
【0065】
まず、患者(被検体)が病院などの診断場所に来院(S101)する。そして、看護師や医師などの検査者は、来院した患者に対して採血を実施し、マンモグラフィ撮影により乳房が圧迫される前の血液試料を得る。また、技師や医師などの検査者は、採血された血液試料に対するリキッドバイオプシーを実施し、マンモグラフィ撮影により乳房が圧迫される前の血液試料におけるバイオマーカ量の測定を行う(S102)。バイオマーカの測定値(マーカ値)は、例えば、測定装置から院内ネットワークや記録媒体を介してHIS50に登録される。あるいは、マーカ値は、入力インターフェース17を用いて検査者や補助者により診断支援装置10に入力されてもよい。
【0066】
技師や医師などの検査者は、採血後の患者に対してマンモグラフィ撮影を実施する(S103)。つまり、採血後の乳がん検査の患者の乳房に対して物理刺激を与える。
【0067】
看護師や医師などの検査者は、マンモグラフィ撮影により乳房が圧迫された後の患者に対して採血を実施し、血液試料を得る。また、技師や医師などの検査者は、採血された血液試料に対するリキッドバイオプシーを実施し、マンモグラフィ撮影により乳房が圧迫された後の血液試料におけるバイオマーカ量の測定を行う(S104)。マーカ値は、S102のステップと同様にHIS50に登録されたり、診断支援装置10に入力されたりし得る。
【0068】
技師や医師などの検査者は、診断支援装置10を用いて、マンモグラフィ撮影により乳房を圧迫する前後の血液試料に対するリキッドバイオプシーの結果に基づく支援処理を実施する(S105)。支援処理については、後述する。
【0069】
医師などの検査者は、支援処理の結果を参照して乳がん検査の診断を確定する(S106)。支援処理の結果は、後述するように、検査部位における病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に関する情報である。その後、
図3の流れは終了する。
【0070】
図4は、実施形態に係る診断支援装置10において実行される支援処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0071】
取得機能111は、マンモグラフィ撮影の前後で実施された各リキッドバイオプシーの結果を含む診療データを取得する(S201)。また、取得機能111は、マンモグラフィ撮影で得られた医用画像を取得する。そして、検出機能113は、当該医用画像に基づく画像診断として、コンピュータ支援画像診断(CAD)を実施する(S202)。
【0072】
判定機能115は、リキッドバイオプシーにおけるマーカ値と、画像診断の結果とに基づく一次判定を実施する(S203)。判定機能115は、例えば予め定められて記憶回路13に記憶された判定条件を参照して一次判定を実施する。なお、S201~S203又はS202~S203の処理を二次判定と総称してもよい。
【0073】
図5は、実施形態に係る支援処理の一次判定の判定条件の一例について説明するための図である。
図5において、「LB+」は、リキッドバイオプシーにおけるマーカ値が予め定められたしきい値(カットオフ値,判別ボーダ―ライン)より大きい場合、すなわちリキッドバイオプシー判定が陽性であることを示す。また、「LB-」は、当該測定値が予め定められたしきい値より小さい場合、すなわちリキッドバイオプシー判定が陰性であることを示す。また、「LB-/+」は、当該測定値が予め定められたしきい値の近傍である場合、すなわちリキッドバイオプシー判定がボーダーライン付近であることを示す。また、「MG+」は、マンモグラフィ撮影で得られた医用画像に基づく画像診断により病変が検出された場合、すなわち画像診断が陽性であることを示す。また、「MG-」は、当該画像診断により病変が検出されなかった場合、すなわち画像診断が陰性であることを示す。また、「MG-/+」は、当該画像診断において予め定められた検出基準の近傍の病変又は病変候補が検出された場合、すなわち画像診断がボーダーライン付近であることを示す。
【0074】
判定機能115は、
図5に示すように、リキッドバイオプシー及び画像診断の少なくとも一方が陽性であるとき、一次判定において陽性(+)と判定する。また、判定機能115は、リキッドバイオプシー及び画像診断の一方が陰性であり、かつ、他方がボーダであるとき、一次判定において陰性(-)と判定する。また、判定機能115は、リキッドバイオプシー及び画像診断のいずれもボーダーライン付近であるとき、一次判定においてボーダーライン付近(-/+)と判定する。
【0075】
判定機能115は、一次判定において陽性判定であったか否かを判定する(S204)。一次判定において陽性であった場合(S204:Yes)、判定機能115により判定結果が出力(S210)され、
図4の流れは終了する。
【0076】
一方で、一次判定において陽性ではなかった場合(S204:No)、判定機能115は、マンモグラフィ撮影時の圧迫圧力が所定のしきい値以上であったか否かを判定する(S205)。具体的には、取得機能111は、マンモグラフィ撮影時の圧迫圧力を示す情報を含む診療データを取得する。マンモグラフィ撮影時の圧迫圧力は、撮影プロトコルごとに定められていてもよいし、撮影時に計測されることにより取得されてもよい。ここで、マンモグラフィ撮影時の圧迫圧力を示す情報は、物理刺激の強度を示す情報である。また、所定のしきい値は、例えば予め定められて記憶回路13などに記憶されているとする。マンモグラフィ撮影時の圧迫圧力が所定のしきい値以上であったと判定されなかった場合(S205:No)、判定機能115により判定結果が出力(S210)され、
図4の流れは終了する。なお、S205の処理は必須ではなく、実施されない態様もあり得る。
【0077】
一方で、マンモグラフィ撮影時の圧迫圧力が所定のしきい値以上であったと判定された場合(S205:Yes)、判定機能115は、マンモグラフィ撮影により乳房を圧迫する前後の血液試料におけるマーカ値を比較解析する(S206)。具体的には、判定機能115は、マンモグラフィ撮影の前後におけるマーカ値についての判定指標を算出する。そして、判定機能115は、マンモグラフィ撮影の後にマーカ値が増加したか否かを判定する(S207)。具体的には、判定機能115は、マンモグラフィ撮影の前後における判定指標が予め定められたしきい値より大きいか否かを判定する。当該しきい値は、例えば予め定められて記憶回路13などに記憶されているとする。
【0078】
マンモグラフィ撮影の後にマーカ値が増加したと判定されたとき(S207:Yes)、判定機能115は、CADの検出条件を変更する。検出機能113は、変更された検出条件に基づいて医用画像上の病変の有無や病変の位置を自動検出する(S208)。
【0079】
判定機能115は、リキッドバイオプシーにおけるマーカ値と、判定指標と、画像診断の結果とに基づく二次判定を実施する(S209)。判定機能115は、例えば予め定められて記憶回路13に記憶された判定条件を参照して二次判定を実施する。なお、S205~S209、S206~S209又はS207~S209の処理を二次判定と総称してもよい。
【0080】
図6は、実施形態に係る支援処理の二次判定の判定条件の一例について説明するための図である。
図6において、「LB+」、「LB-」、「LB-/+」、「MG+」、「MG-」及び「MG-/+」は、それぞれ、
図5に示す例と同様である。
図6において、「ΔLB+」は、物理刺激後にマーカ値が増加した場合、すなわち判定指標が予め定められたしきい値より大きい場合であることを示す。「ΔLB-」は、物理刺激後にマーカ値が増加しなかった場合、すなわち判定指標が予め定められたしきい値以下の場合であることを示す。
【0081】
判定機能115は、
図6に示すように、物理刺激後にマーカ値が増加した場合、一次判定においてボーダーライン付近である場合であっても、二次判定において陽性(+)と判定する。その後、判定機能115により判定結果が出力(S210)され、
図4の流れは終了する。
【0082】
このように、本実施形態に係る診断支援は、一次判定において陽性ではなかった場合には、マンモグラフィ撮影の前後のリキッドバイオプシーにおけるマーカ値の判定指標に応じた二次判定を実施する。
【0083】
この構成によれば、一次判定でリキッドバイオプシーに偽陰性の可能性がある場合であっても、物理刺激に伴い判定指標が増加すれば陽性と判定することができる。このため、早期がんのように血中バイオマーカ量が小さい場合やバイオマーカ量の測定値が判別ボーダーライン付近の場合であっても判別精度を担保し、偽陰性のリスクを低減することができる。これにより、小さな病変の見逃しリスクを低減し、物理刺激に伴いマーカ値が増加しやすい悪性腫瘍に対する早期検出を実現することができる。また、判定指標が増加した場合に得られるリキッドバイオプシーの結果は、物理刺激を与えた対象部位の病変に関する情報である。このため、例えばマンモグラフィ撮影時の圧迫圧力を用いる場合には、乳がん以外のがんとの判別にも寄与する。したがって、本実施形態に係る診断支援によれば、リキッドバイオプシーによる診断を適切に支援することができる。
【0084】
また、一次判定において陽性であった場合や物理刺激の強度が低い場合には二次判定が実施されないため、二次判定に係るコストを低減することができる。なお、診療データに患者の家族に関する病歴などが含まれる場合には、当該家族の病歴に基づいて高リスク患者であると判断された場合に二次判定を実施する態様もあり得る。
【0085】
(第2の実施形態)
なお、上述の実施形態に係る診断支援において、判定機能115は、物理刺激後にマーカ値が増加した場合、一次判定において陰性である場合であっても、二次判定において陽性(+)と判定してもよい。つまり、本実施形態に係る診断支援においては、リキッドバイオプシーが基準値以下の場合でも、物理刺激後にマーカ値の顕著な増加あった場合には陽性と判定される。この構成によれば、病変が小さいなど検出されるバイオマーカの絶対量は少ないものの、圧迫などの物理刺激によりマーカ値が増加する浸潤性の高い、すなわち悪性度の高いがんに対する検出感度を向上させることができる。
【0086】
(第3の実施形態)
なお、上述の各実施形態に係る診断支援において、医用画像に基づく画像診断は実施されなくてもよい。具体的には、一次判定及び二次判定は、それぞれ、リキッドバイオプシーの結果だけに基づいて実施されてもよい。より具体的には、本実施形態に係る診断支援は、一次判定においてリキッドバイオプシーの結果が陽性ではなかった場合には、マンモグラフィ撮影の前後のリキッドバイオプシーにおけるマーカ値の判定指標に応じた二次判定を実施する。この構成であっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
(第4の実施形態)
なお、上述の各実施形態に係る診断支援において、判定機能115は、画像診断において陽性(+)と判定された場合であっても、リキッドバイオプシーにおいて陰性(-)と判定された場合には、二次判定を行ってもよい。例えば、判定機能115は、
図4のS204の処理において、リキッドバイオプシーが陽性か否かを判定する。この構成によれば、画像診断及びリキッドバイオプシーを併用する検査において、画像診断の偽陽性を低減することができる。
【0088】
(第5の実施形態)
なお、上述の各実施形態では、病変の有無に係る判定を行う診断支援を例示したが、これに限らない。上述の各実施形態に係る診断支援において、病変の有無に係る判定に代えて、あるいは加えて、病変の性質に係る判定が行われてもよい。ここで、病変の性質とは、例えば病変の浸潤性や悪性度である。
【0089】
一例として、検出機能113において処理回路11は、被検体を撮影して得られた医用画像に基づいて、前記病変の有無及び性質のうち少なくとも一方の検出を行う。本実施形態に係るCADは、予め定められた検出条件に基づいて医用画像上の病変の有無や病変の位置を自動検出するもの、あるいは自動検出された病変についての診断基準に基づく質的診断に関する情報を生成するものであるとする。診断基準は、病院や学会などで定められたガイドラインなどに準拠して予め定められて記憶回路13などに記憶されているとする。なお、CADは、医師などの検査者により手動で入力された病変に関する処理を実行してもよい。
【0090】
一例として、判定機能115において処理回路11は、物理刺激を加える前後のマーカ値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う。処理回路11は、CADなどの画像診断の結果にさらに基づいて病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う。
【0091】
一例として、判定機能115において処理回路11は、一次判定において陽性と判定されなかった場合、物理刺激前後のマーカ値に関する判定指標を算出し、算出された判定指標に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る二次判定を行う。例えば、処理回路11は、二次判定において、判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに病変が有ると判定する。例えば、処理回路11は、二次判定において、判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに病変の性質として悪性度が高いと判定する。これは、乳房圧迫でバイオマーカが血中に漏れ出し易いがんは、血管やリンパ管に近いなど、血管やリンパ管に多く漏れ出す浸潤性が高いがんや新生血管が多い活発な増殖をするがんであり、転移リスクが高く、悪性度が高いことに基づく。例えば、処理回路11は、二次判定において、判定指標が予め定められたしきい値以下のときに病変の性質として悪性度が低いと判定する。これは、バイオマーカの漏れ出しが少ない石灰化病変は、多くの場合乳管の中に留まる浸潤性の低い非浸潤がんであり、悪性度が低いことに基づく。
【0092】
このように、本実施形態に係る診断支援は、物理刺激を加える前後のマーカ値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う。この構成によれば、物理刺激に伴うマーカ値の増加に基づいて、病変の悪性度や浸潤性、すなわち病変の性質について判定することができる。また、物理刺激に伴うマーカ値の増加に基づいて、病変が血管やリンパ管に近いといった病変の微小環境(性質)に関する情報を得ることができる。
【0093】
(第6の実施形態)
なお、上述の各実施形態に係る診断支援において、物理刺激後の液体試料の採取及びリキッドバイオプシーは、実施されない場合もあり得る。
【0094】
一例として、物理刺激後の液体試料の採取及びリキッドバイオプシーは、一次判定において陽性と判定されなかった場合、あるいは物理刺激の強度が予め定められたしきい値より大きかった場合に実施される。つまり、取得機能111において処理回路11は、一次判定において陽性と判定されなかった場合、あるいは物理刺激の強度が予め定められたしきい値より大きかった場合に、物理刺激後に実施されたリキッドバイオプシーの結果を取得する。そして、判定機能115において処理回路11は、物理刺激後に実施されたリキッドバイオプシーの結果が取得された段階で判定指標を算出し、算出された判定指標に基づく二次判定を実施する。
【0095】
この構成によれば、一次判定において陽性であった場合や物理刺激の強度が低い場合には、二次判定に限らず物理刺激後の液体試料の採取及びリキッドバイオプシーも実施されないため、検査に係るコストや患者への負担を低減することができる。
【0096】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU、ASIC、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)などの回路を意味する。PLDは、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)を含む。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムが保存された記憶回路は、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体である。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、プログラムを実行するのではなく、論理回路の組合せにより当該プログラムに対応する機能を実現してもよい。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0097】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、リキッドバイオプシーによる診断を適切に支援することができる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0099】
以上の実施形態に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0100】
(付記1-1)
物理刺激を加える前に被検体から採取された第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記物理刺激を加えた後に前記被検体から採取された第2の液体試料における前記バイオマーカの第2の測定値とを取得する取得部と、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行う判定部と
を備える診断支援装置。
【0101】
(付記1-2)
前記診断支援装置と、
前記第1の液体試料における前記バイオマーカの量を測定して前記第1の測定値を得るとともに、前記第2の液体試料における前記バイオマーカの量を測定して前記第2の測定値を得る測定装置と
を含む診断支援システム。
【0102】
(付記1-3)
物理刺激を加える前に被検体から第1の液体試料を採取することと、
前記物理刺激を加えた後に前記被検体から第2の液体試料を採取することと、
前記第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記第2の液体試料におけるバイオマーカの第2の測定値とを取得することと、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行うことと
を含む、診断支援方法。
【0103】
(付記1-4)
物理刺激を加える前に被検体から採取された第1の液体試料におけるバイオマーカの第1の測定値と、前記物理刺激を加えた後に前記被検体から採取された第2の液体試料における前記バイオマーカの第2の測定値とを取得することと、
前記第1の測定値及び前記第2の測定値に基づいて、病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る判定を行うことと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0104】
(付記2)
前記第1の測定値に対する前記第2の測定値についての増加量及び増加率のうち少なくとも一方である判定指標を算出し、前記算出された判定指標に基づいて前記判定を行ってもよい。
【0105】
(付記3)
前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいとき、前記判定に係る判定条件を変更してもよい。
【0106】
(付記4)
前記物理刺激の強度に関する情報を取得してもよい。
前記物理刺激の強度が予め定められたしきい値より大きいとき、前記判定指標を算出してもよい。
【0107】
(付記5)
前記物理刺激は、マンモグラフィ撮影における乳房の圧迫であってもよい。
【0108】
(付記6)
前記物理刺激は、前記被検体への超音波照射であってもよい。
【0109】
(付記7)
前記被検体を撮影して得られた医用画像に基づいて、前記病変の有無及び性質のうち少なくとも一方の検出を行ってもよい。
前記医用画像をさらに取得してもよい。
前記検出の結果にさらに基づいて前記判定を行ってもよい。
【0110】
(付記8)
前記第1の測定値に対する前記第2の測定値についての増加量及び増加率のうち少なくとも一方である判定指標を算出し、前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいとき、前記検出に係る検出条件を変更してもよい。
【0111】
(付記9)
前記検出条件の変更は、前記医用画像から病変の有無及び性質のうち少なくとも一方を検出する検出アルゴリズムを、前記物理刺激の後に増加したバイオマーカの種類に対応する検出アルゴリズムに変更することであってもよい。
【0112】
(付記10)
前記病変は、乳がん、肝がん、腎臓がん、前立腺がん、肝臓がん、膵臓がん、膀胱がん、大腸がん、胃がん、食道がん、子宮がん、皮膚がん又は肺がんを含んでいてもよい。
【0113】
(付記11)
前記判定は、
前記第1の測定値又は前記第2の測定値が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第1の判定と、
前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第2の判定と
を含んでいてもよい。
前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、前記判定指標を算出し、前記判定指標に基づく前記第2の判定を行ってもよい。
【0114】
(付記12)
前記判定は、
前記第1の測定値又は前記第2の測定値が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第1の判定と、
前記判定指標が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変の性質として悪性度が高いと判定される第2の判定と
を含んでいてもよい。
前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、前記判定指標を算出し、前記判定指標に基づく前記第2の判定を行ってもよい。
【0115】
(付記13)
前記判定は、前記第1の測定値が予め定められたしきい値より大きいときに前記病変が有ると判定される第1の判定を含んでいてもよい。
前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、前記第2の測定値を取得してもよい。
前記第1の判定において前記病変が有ると判定されなかった場合に、前記判定指標を算出し、算出された前記判定指標に基づいて前記病変の有無及び性質のうち少なくとも一方に係る第2の判定を行ってもよい。
【符号の説明】
【0116】
1 診断支援システム
9 ネットワーク
10 診断支援装置(医用情報処理装置)
11 処理回路
13 記憶回路
15 通信インターフェース
17 入力インターフェース(入力部)
19 ディスプレイ(表示部)
30 医用画像診断装置
50 HIS
70 RIS
90 PACS
111 取得機能(取得部)
113 検出機能(検出部)
115 判定機能(判定部)
117 表示制御機能(表示制御部)