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  • 特開-部品供給装置 図1
  • 特開-部品供給装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173707
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20231130BHJP
   B65G 65/44 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B65G47/14 B
B65G65/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086147
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
【テーマコード(参考)】
3F075
3F080
【Fターム(参考)】
3F075AA01
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA03
3F075CA08
3F075CC06
3F075CC07
3F080AA24
3F080BA01
3F080BA05
3F080BC01
3F080BF20
3F080CA01
3F080CB03
3F080CF08
3F080CG15
3F080DA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】締結部品を円滑に供給可能に構成された部品供給装置を提供する。
【解決手段】締結部品を吊下、搬送するすくい板30およびシュートレール40の表面に硬質皮膜層が形成されている部品供給装置10にて、硬質皮膜層が形成されていることにより、締結部品を搬送した際にすくい板30およびシュートレール40の表面が傷つかず、摩擦抵抗が増大することを防止でき、長期間使用しても供給不良になり難く、円滑に供給可能となる。また、超硬皮膜層の硬度は、ねじの表面硬度の2倍以上に設定されていることが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結部品を多数貯留可能なホッパと、 前記ホッパ内で昇降し、前記締結部品を吊下可能に構成されたすくい板とを備えた部品供給装置において、 前記すくい板の表面に硬質皮膜層が形成されていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
締結部品を吊下した状態で整列搬送するシュートレールを備えた部品供給装置において、 前記シュートレールの表面に硬質皮膜層が形成されていることを特徴とする部品供給装置。
【請求項3】
前記前記硬質皮膜層は、その硬度が締結部品の硬度の2倍以上に設定されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1または、請求項2に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記硬質皮膜層がビッカース硬度において1800HV以上の硬度を有するダイヤモンドライクカーボンから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記硬質皮膜層が撥油性を有することを特徴とすることを特徴とする請求項1または、請求項2に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ等頭付き棒状部品を整列搬送する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品供給装置として特許文献1に示されたものが知られている。この部品供給装置は、ねじを多数貯留可能なホッパとこのホッパ内で上下に往復揺動可能に設けられたすくい板と、このすくい板に連続可能なシュートレールとを備えており、すくい板およびシュートレールには、ねじを吊下する吊下溝が形成されている。このため、ホッパ内に貯留されたねじは、揺動するすくい板が下降した際に前記吊下溝に吊下される一方、すくい板が上昇した際にシュートレールまで滑落する。これにより、ホッパ内に貯留されたねじをシュートレールに沿って整列搬送することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56―51714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の部品供給装置は、吊下されたねじの頭部座面が擦れることにより、すくい板やシュートレールの上面に傷が生じるという問題があった。また、このように傷が発生するとすくい板やシュートレールとねじとの間で生じる摩擦が増大し、ねじの供給速度が低下するため、供給不良を引き起こすという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて創成されたものであり、安定して供給可能な部品供給装置の提供をする。その目的を達成するため、締結部品を多数貯留可能なホッパと、前記ホッパ内で昇降し、前記締結部品を吊下可能に構成されたすくい板とを備えた部品供給装置において、前記すくい板の表面に硬質皮膜層が形成されていることを特徴とする。また、締結部品を吊下した状態で整列搬送するシュートレールを備えた部品供給装置において、前記シュートレールの表面に硬質皮膜層が形成されていることを特徴としていてもよい。なお、前記前記硬質皮膜層は、その硬度が締結部品の硬度の2倍以上に設定されていることが好ましい。さらに、前記硬質皮膜層がビッカース硬度において1800HV以上の硬度を有するダイヤモンドライクカーボンから構成されていることが好ましい。しかも、前記硬質皮膜層が撥油性を有することを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の部品供給装置によれば、すくい板あるいは、シュートレールの表面に硬質皮膜層が形成されているため、締結部品を搬送した際に締結部品との接触部分に傷が生じ難く、摩擦が増大し難い。結果、長期間使用しても締結部品を円滑に供給することが可能となる等の利点がある。また、硬質皮膜層の硬度が、締結部品の硬度より十分高く設定されているため、締結部品と衝突しても傷が付き付きにくくなる等の利点がある。なお、硬質皮膜層がダイヤモンドライクカーボンから構成されており、摩擦が小さくなるため、円滑に下流工程に供給可能となる等も利点がある。また、硬質皮膜層が撥油性を有しており、締結部品に付着しているさび止め油等がすくい板やシュートレールに付着し難くなるため、より摩擦が悪化し難くなる等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る部品供給装置の構造を示す側面図である。
図2図1から次の状態に移行する動作を示す側面図である。
図3】本発明に係る部品供給装置の要部構造を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。 図1ないし図3において10は、ねじS等の頭付き棒状部品を前方の下流工程に整列搬送する部品供給装置10であり、本発明に係る部品供給装置10のほとんどは、前記先行技術文献1に記載の部品供給装置10と同様に構成されている。すなわち、本発明の部品供給装置10は、ねじSを多数貯留可能に構成されたホッパ20とこのホッパ20内で上下に往復揺動可能に構成されたすくい板30と、このすくい板30に連続するシュートレール40とを有している。なお、本実施形態において、ねじSは、焼き入れ加工されており、その表面硬度がビッカース硬さ500HVから850HVの間で構成されている。
【0009】
このホッパ20は、上部が開口した中空漏斗状に構成されており、その底部には、前記すくい板30が通過する矩形孔が形成されている。また、この矩形孔の前後は、すくい板30の揺動軸34を中心とした弧状面を有する仕切り板21a,21bが固定されており、前側の仕切り板21a上には、若干の隙間を空けて前記シュートレール40の後端部が配置されている。
【0010】
前記すくい板30は、所定の揺動駆動源33の駆動を受けて、前記揺動軸34を中心に揺動可能に構成された旋回アーム35の先端に連結されており、常時前記ホッパ20内に介在するよう設けられている。このすくい板30は、前記揺動軸34を中心とした扇形形状に構成されており、その前後面は、それぞれ前記仕切り板21a、21bとほぼ同じ曲率に構成されている。このすくい板30の上面31には、図3に示すように前記ねじSの頭部外径より狭くなおかつ、ねじSの脚部外径より広く構成されたすくい溝32が形成されている。なお、前記揺動駆動部は、すくい板30の上面31が前記ホッパ20の底部とほぼ同じ高さに位置する下側停止高さと、すくい板30の上面31の前側端部がシュートレール40の上面41よりも僅かに上方に位置する上側停止高さの間で往復するように設定されている。
【0011】
上記構造により、図1に示すように前記すくい板30が下降すると、前記ホッパ20内に貯留されたねじSがすくい板30上に転落するとともに、当該転落したねじSの脚部が前記すくい溝32に嵌合して吊下される。また、このように吊下されたねじSは、図2に示すようにすくい板30が上昇した際に、すくい板30の上面31の傾斜に従ってシュートレール40まで滑落することとなる。
【0012】
前記シュートレール40は、その後端部が前記ホッパ20に侵入する2本の板材から構成されており、この板材は、前記すくい溝32を同様にねじSの軸部外径より若干広く、なおかつ頭部外径より狭い所定の隙間を開けて設置されている。このため、シュートレール40は、その上面41にねじSの頭部座面を当接させた状態にて吊り下げ支持可能となる。また、このシュートレール40には、振動駆動源42が接続されており、この振動駆動源42の振動により吊り下げ支持したねじSを前方に搬送するように構成されている。
【0013】
なお、前記すくい板30およびシュートレール40の表面には、すくい板30およびシュートレール40の基材より高硬度な材料からなる硬質皮膜層が形成されている。この硬質皮膜層は、ねじSの頭部と擦れても傷が生じないよう、その硬度がねじSの表面硬度の2倍以上で設定されることが好ましい。なお、本実施形態において、硬質皮膜層は、ビッカース硬さ2000HVから3000HVでなおかつ低摩擦性および撥油性を有するダイヤモンドライクカーボンから構成されており、1.0μmから3.0μmの厚さで構成されている。
【0014】
さらに、前記シュートレール40の前方には、搬送部50が設けられている。この搬送部50は、シュートレール40上のねじSを先頭から一本ずつ所定のねじ締め機(図示せず)に圧送するように構成されている。
【0015】
次に、上記のように構成された部品供給装置10の作用を説明する。 図示しない制御部が前記揺動駆動源33および振動駆動源42に起動信号を出力することで、揺動駆動源33によるすくい板30の昇降駆動およびシュートレール40の振動駆動が開始する。このように、すくい板30が下降すると、前記ホッパ20内に貯留されたねじSがすくい板30上に転落し、当該転落したねじSの一部が前記すくい溝32に吊下される。なお、この時、すくい板30の表面に形成された硬質皮膜層がねじの表面より十分硬く構成されているため、滑落してきたねじと衝突しても傷が付き難い。その後、揺動駆動源33の駆動に従い揺動駆動源33が上昇すると、前記すくい溝32に吊下されたねじSは、すくい板30の傾斜に沿って滑落して、シュートレール40に吊下される。
【0016】
上述のようにねじSがすくい板30の傾斜に沿って滑落する際、すくい板30の表面に硬質皮膜層が形成されているため、吊下されたねじSによって、すくい板30の上面31およびすくい溝32の内面に傷が生じることを防止する。同時に前記硬質皮膜層が低摩擦性を有するダイヤモンドライクカーボンから構成されているため、ねじSの表面に付着しているメッキかす、埃等の不純物並びにねじ山部分に塗布されるゆるみ止め接着剤等がすくい板30に付着し難くなる。特に本実施形態のように撥油性を備えている場合、ねじの表面に塗布されているさび止め油や、製造過程で除去されなかった残留油等もすくい板30に付着し難くなる。これらにより、すくい板30の表面が滑らかに維持され、長期間使用しても摩擦が増大し難い。結果、ねじSがすくい板30に沿って滑落しやすい状態を維持でき、ねじSの供給不良が発生し難いため、メンテナンスの頻度を低減させることが可能となり、作業性が向上する。
【0017】
上述のようにシュートレール40に吊下されたねじSは、前記振動駆動源42の駆動によって、前方に搬送される。この時、すくい板30と同様にシュートレール40の表面に硬質皮膜層が形成されているため、ねじSを円滑に搬送することが可能となり、供給不良が発生し難い。その後、シュートレール40上のねじSは、前方に位置する前記搬送部50まで搬送され、搬送部50によって所定のねじ締め機に一本ずつ供給される。
【0018】
また、上述のようにすくい板30がホッパ20内で昇降する際、前記すくい板30の側面にもダイヤモンドライクカーボンから成る硬質皮膜層が形成されていることで、すくい板30とホッパ20内に貯留されたねじSとが当接した際に傷が付きにくく成る。また、硬質皮膜層が低摩擦性を有しているため、ねじSの先端がすくい板30とホッパ20の底面との間に噛み込むことが防止される等の利点もある。同様にすくい板30の前後面にも硬質皮膜層が形成されていることにより、すくい板30と仕切り板21a、21bとの間で生じる摩擦が増大し難く、メンテナンスの頻度を低減させることが可能となる。
【0019】
なお、本発明に係る部品供給装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、実施形態においては、すくい板30およびシュートレール40の両方を備えた部品供給装置10を例示しているが、どちらか一方のみを備えた部品供給装置10であっても何ら問題ない。もちろん、超硬皮膜層は、ダイヤモンドライクカーボンのみに限定されず、その他の硬質材料から構成されても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0020】
10 … 部品供給装置 20 … ホッパ 30 … すくい板 40 … シュートレール S … ねじ
図1
図2
図3