(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173728
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】目地プレートの支持構造及び床用目地装置並びに摺動支持部材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086177
(22)【出願日】2022-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DH31
2E001FA11
2E001FA51
2E001FA71
2E001GA12
2E001GA53
2E001GA55
2E001LA13
2E001LA18
2E001PA05
2E001PA08
(57)【要約】
【課題】スライドレールや目地プレート支持台等を破損することなく、目地プレートを支持することができる目地プレートの支持構造及び床用目地装置並びに摺動支持部材を提供すること。
【解決手段】一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、
前記一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられ、前記目地プレートの他端部側を支持する第2の目地プレート支持部とで構成され、前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、
前記一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられ、前記目地プレートの他端部側を支持する第2の目地プレート支持部とで構成され、
前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとを保持手段を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないようにする目地プレートの支持構造。
【請求項2】
前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする請求項1に記載の目地プレートの支持構造。
【請求項3】
前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする請求項2に記載の目地プレートの支持構造。
【請求項4】
前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする請求項2又は請求項3のいずれかに記載の目地プレートの支持構造。
【請求項5】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、
前記一方の躯体に設けられ、上部に目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された目地プレートとで構成され、
前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとを保持手段を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないようにする床用目地装置。
【請求項6】
前記保持手段は、少なくとも前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする請求項5に記載の床用目地装置。
【請求項7】
前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする請求項6に記載の床用目地装置。
【請求項8】
前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の床用目地装置。
【請求項9】
目地プレートを前後方向にスライド可能に支持する摺動支持部材であって、
躯体に固定されるガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、前記目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとを保持手段を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないようにする摺動支持部材。
【請求項10】
前記保持手段は、少なくとも前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする請求項9に記載の摺動支持部材。
【請求項11】
前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする請求項10に記載の摺動支持部材。
【請求項12】
前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする請求項11又は請求項12のいずれかに記載の摺動支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に躯体の間の目地部を塞ぐ床用の目地プレートを支持する目地プレートの支持構造及びその支持構造を用いた床用目地装置並びに目地プレートを支持する摺動支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の躯体と他方の躯体の主に床面間の目地部を塞ぐ目地プレートを前後方向にスライド可能に支持する目地プレートの支持構造としては、例えば「目地部を介して設けられた左右の床躯体の一方の目地部側の側壁を有する床躯体に形成された目地プレート支持凹部あるいは水平方向に設けられたガイドレールと、この目地プレート支持凹部あるいはガイドレールと対応する他方の目地部側の側壁を有する床躯体床面上にあるいは反目地部側が傾斜面に形成された目地プレートスライド支持凹部と、この床面上あるいは目地プレートスライド支持凹部および前記目地プレート支持凹部あるいはガイドレールに支持され、目地部が狭くなるように一方の床躯体と他方の床躯体とが左右方向に揺れ動いた場合、先端部が床面上をスライド移動あるいは該目地プレートスライド支持凹部上をスライド移動して上方へ回動できるように複数個、隙間なく並列状態で取付けられた目地プレートを用いた床用目地装置で、目地プレートに前記ガイドレールに複数個のローラーを介してスライド移動可能に支持される角棒状の支持部材を備えるもの」が知られている(特許文献1)。
【0003】
この床用目地装置に用いられている摺動支持部の他には、例えばクランク状のスライドレールに支持された角棒又は角パイプ状の目地プレート用支持台に係止杭を設けた構造が知られている。
【0004】
このような支持構造で目地プレートを指示した場合、地震によって目地部が広くなった場合には、目地プレートの底部が目地プレート支持部との摩擦により他方の躯体側へ引っ張られ、それに伴い係止杭を備える支持部材も他方の躯体側に引っ張られ、ガイドレールの他方の躯体側の壁面に支持部材が当接し、それでもさらに係止杭に他方の躯体側へ引っ張られるような荷重が加わることで、支持部材自体が他方の躯体側に傾く作用が発生する。これにより、ガイドレールの上端部側に大きな曲げ力が加わり、スライドレールが変形してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、スライドレールや目地プレート支持台等を破損することなく、目地プレートを支持することができる目地プレートの支持構造及び床用目地装置並びに摺動支持部材を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の目地プレートの支持構造は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、前記一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられ、前記目地プレートの他端部側を支持する第2の目地プレート支持部とで構成され、前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとを保持手段を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないようにすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の目地プレートの支持構造の前記保持手段は、少なくとも前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の目地プレートの支持構造の前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の目地プレートの支持構造の前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の当接部材を更に備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された目地プレートとで構成され、前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとを保持手段を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないようにすることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の本発明の床用目地装置の前記保持手段は、少なくとも前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする請求項5に記載の床用目地装置。
【0014】
請求項7に記載の本発明の床用目地装置の前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の本発明の床用目地装置の前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の当接部材を更に備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の本発明の摺動支持部材は、目地プレートを前後方向にスライド可能に支持する摺動支持部材であって、躯体に固定されるガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、前記目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとを保持手段を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないようにすることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の本発明の摺動支持部材の前記保持手段は、少なくとも前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の本発明の摺動支持部材の前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の本発明の摺動支持部材の前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1、請求項2、請求項5、請求項6、請求項9及び請求項10に記載の各発明においては、ガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールとスライドレールとの係合構造を介して該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段で摺動支持部材を構成しているので、スライドレールが他方の躯体側へ移動又は回動することを防止することができ、スライドレールやガイドレールが変形することを防止することができる。
(2)請求項3、請求項7及び請求項11に記載の各発明においても、前記(1)と同様の作用効果を得られるとともに、目地プレートを支持する際に係る荷重や、スライドレールにかかる左右方向の荷重を効率よく分散して支持することができる。
(3)請求項4、請求項8及び請求項12に記載の各発明においても、前記(1)~(2)と同様の作用効果を得られるとともに、スライドレールにかかる左右方向の荷重をより分散することができ、スライドレールやガイドレールが変形することをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1乃至
図8は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図9乃至
図13は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1の実施形態の目地プレート支持構造の平面図。
【
図8】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の説明図。
【
図9】第2の実施形態の目地プレート支持構造の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0023】
図1乃至
図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と他方の躯体4との間の目地部2を塞ぐ床用の目地プレート5を支持する目地プレート支持構造である。
【0024】
なお、左右方向とは
図1における左右方向であり、前後方向とは
図1における上(後)下(前)方向をいい、上下方向とは
図2における上下方向をいう。また正面視は、
図2を基準とする。
【0025】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0026】
この目地プレート支持構造1は、例えば
図1及び
図2に示すように、前記一方の躯体3に設けられ、上部に前記目地プレート5の一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部6を備える摺動支持部材7と、前記他方の躯体4に設けられ、前記目地プレート5の他端部側を支持する第2の目地プレート支持部8とで構成されている。
【0027】
一方の躯体3には、目地部2側の壁面に摺動支持部材7が設けられており、この摺動支持部材7の第1の目地プレート支持部6により、目地プレート5の一端部側を支持する。
【0028】
この摺動支持部材7は、いずれかの躯体、本実施形態では、前記一方の躯体3の目地部側の壁面3aに固定されたガイドレール9と、前記ガイドレール9に複数の滑動部材10を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部6が形成されたスライドレール11と、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合(直接又は間接的な係合構造)を介して該スライドレール11が前記他方の躯体4側へ移動しないように保持する保持手段12とで構成されている。
【0029】
前記ガイドレール9は、一方の躯体3の壁面3aに固定される断面略コ字状に形成されたレール状の部材で、前後方向(
図1における上下方向)に延在するように設けられている。このガイドレール9の上部には滑動部材10と、前記保持手段12を構成する当接部材13を備えている。滑動部材10はローラー、ベアリング、滑り材等を含むもので、スライドレール11を前後方向にスライド可能に支持できる部材であればよく、本実施形態では、ローラーを滑動部材10として用いている。
【0030】
前記スライドレール11は、上端部側が保持手段12を構成する断面視略下向きコ字状に形成されるとともに下端部側が略クランク状に形成されたレール状の部材で、上端部の断面視略下向きコ字状の部位が前記ガイドレール9の滑動部材10に支持された状態で、前後方向(
図1における上下方向)に延在するように設けられる。上端部の前記水平部が第1の目地プレート支持部6を形成しており、この第1の目地プレート支持部6には、本実施形態では、目地プレート5の一端部側に設けられた1対の杭ケース14に挿入される係止杭15が設けられている。
【0031】
このスライドレール11の前後方向の長さは、ガイドレール9と略同一としてもよいが、目地プレート5を支持できるだけの長さがあればよい。この場合、ガイドレール9の長さはスライドレール11よりも地震時に目地プレート5の前後方向への揺れ動き幅以上に長くすることが望ましい。
【0032】
前記保持手段12は、前記スライドレール11の上部に形成された略下向きコ字状の被係合部(一方側の係合構造)16と、前記ガイドレール9に設けられ、前記被係合部16の前記一方の躯体側の内側面16aに略当接する複数の当接部材(一方側の係合構造)13と、さらに、スライドレール11の下部に形成された略クランク状の第2の被係合部(他方側の係合構造)18と、前記ガイドレール9に設けられ、前記第2の被係合部18の前記一方の躯体側の内側面18aに略当接する複数個の第2の当接部材(他方側の係合構造)17で構成されている。
【0033】
この当接部材13、17は、主に滑動部材10と同様のものを用いることができ、本実施形態ではローラーを用いているが、スライドレール11に当接してスライドレール11が他方の躯体4側へ移動しないように保持でき、かつ、スライドレール11の前後方向のスライドを阻害しないものであれば、どのような部材を用いてもよい。
【0034】
ところで、本実施形態ではガイドレールの上部に複数個の滑動部材10と複数個の当接部材13が前後方向に交互に設けられており、このように設けることで、荷重が偏ることなくスライドレール11やスライドレール11に支持される目地プレート5を支持することができるとともに、スライドレール11に対して他方の躯体4側へ移動するような荷重が生じた際に、この荷重を偏ることなく当接部材13で受けることができる。本実施形態では、第2の被係合部18の前記一方の躯体側の内側面18aに略当接する複数個の第2の当接部材17をさらに設けることにより、より分散して荷重を受けることができる。
【0035】
他方の躯体4の床面には、目地プレート5の他端部側を左右方向にスライド可能に支持する第2の目地プレート支持部8が設けられている。この第2の目地プレート支持部8の目地部2と反対側の端部には、地震によって目地部2が狭くなった場合に、目地プレート5の他端部側が乗り上げる乗り上げ傾斜面19が形成されている。また、本実施形態では、少なくとも第2の目地プレート支持部8が形成されている部位には、前後方向の端部に位置する目地プレート5の側面に略当接するように側壁4aが形成されている。
【0036】
本発明の床用目地装置20は、
図4及び
図5に示すように、一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された目地プレートとで構成されている。
【0037】
目地プレート5は、公知の目地プレート5を使用することができ、本実施形態では、浅皿状の目地プレート本体21と、目地プレート本体21の一端部側に設けられた1対の杭ケース14と、前記目地プレート本体21に充填されたセメントやモルタル等の充填部材22と、前記充填部材22の上部を覆うように設けられた化粧部材23と、目地プレート本体21の両端部にヒンジ部材24を介して設けられたカバープレート25とで構成されている。
【0038】
本実施形態では、浅皿状の目地プレート本体21に充填部材22を充填した目地プレート5を用いているが、平板状の金属板等を目地プレート5として用いてもよく、このような場合には、乗り上げ傾斜面19を有さない第2の目地プレート支持部8とするとともに、第1の目地プレート支持部6に溶接、リベット等で固定してもよい。
【0039】
地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図6に示すように、目地プレート5の他端部が第2の目地プレート支持部8の乗り上げ傾斜面19により、上方に回動して地震による揺れ動きを吸収する。
【0040】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図7に示すように、目地プレート5の他端部が第2の目地プレート支持部8を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0041】
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合、
図8に示すように、目地プレート5が他方の躯体4の側壁4aにより前後方向に押圧されると、スライドレール11がガイドレール9に対して前後方向にスライド移動し、目地プレート5も前後方向にスライド移動して揺れ動きを吸収する。
【0042】
なお、図示しないが目地部が開口することを防止するために、目地プレート5の両側部には前後方向に延在するように袖壁等や目地プレート5の両端部側に左右方向に延在する側壁や手すり等を設けることが望ましい。
【0043】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図9乃至
図13に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
図9乃至
図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、第2の被係合部18及びこの第2の被係合部18に当接する第2の当接部材17を用いない保持手段12Aを備える摺動支持部材7Aを用いた点で、このような摺動支持部材7Aを用いた目地プレートの支持構造1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0045】
また、この目地プレート支持構造1Aを用い、平板状の目地プレート5Aを支持する床用目地装置20Aにした点で、このような床用目地装置20Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0046】
なお、本発明の実施形態では、当接部材と滑動部材を交互に配置するものについて説明したが、これらの部材は適宜配置することができる。
【0047】
本発明の実施形態では、摺動支持部材を床用の目地プレートを支持する目地プレート支持構造や床用目地装置に用いるものについて説明したが、例えば、摺動支持部材のスライドレールの垂直方向の側面に天井用の目地プレートを固定することで、この側面を目地プレート支持部とし、天井用の目地プレートを支持する際にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は目地プレートを支持する構造物を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0049】
1、1A:目地プレートの支持構造、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5、5A:目地プレート、 6:第1の目地プレート支持部、
7、7A:摺動支持部材、 8:第2の目地プレート支持部、
9:ガイドレール、 10:滑動部材、
11:スライドレール、 12、12A:保持手段、
13:当接部材、 14:杭ケース、
15:係止杭、 16:被係合部、
17:第2の当接部材、 18:第2の被係合部、
19:乗り上げ傾斜面、 20、20A:床用目地装置、
21:目地プレート本体、 22:充填部材、
23:化粧部材、 24:ヒンジ部材、
25:カバープレート。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、
前記一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられ、前記目地プレートの他端部側を支持する第2の目地プレート支持部とで構成され、
前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成され、
前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成される目地プレートの支持構造。
【請求項2】
前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の目地プレートの支持構造。
【請求項3】
前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の目地プレートの支持構造。
【請求項4】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、
前記一方の躯体に設けられ、上部に目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された目地プレートとで構成され、
前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成され、
前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成される床用目地装置。
【請求項5】
前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする請求項4に記載の床用目地装置。
【請求項6】
前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする請求項4又は請求項5のいずれかに記載の床用目地装置。
【請求項7】
一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを前後方向にスライド可能に支持する摺動支持部材であって、
前記一方の躯体に固定されるガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成され、
前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成される摺動支持部材。
【請求項8】
前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする請求項7に記載の摺動支持部材。
【請求項9】
前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする請求項7又は請求項8のいずれかに記載の摺動支持部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に躯体の間の目地部を塞ぐ床用の目地プレートを支持する目地プレートの支持構造及びその支持構造を用いた床用目地装置並びに目地プレートを支持する摺動支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方の躯体と他方の躯体の主に床面間の目地部を塞ぐ目地プレートを前後方向にスライド可能に支持する目地プレートの支持構造としては、例えば「目地部を介して設けられた左右の床躯体の一方の目地部側の側壁を有する床躯体に形成された目地プレート支持凹部あるいは水平方向に設けられたガイドレールと、この目地プレート支持凹部あるいはガイドレールと対応する他方の目地部側の側壁を有する床躯体床面上にあるいは反目地部側が傾斜面に形成された目地プレートスライド支持凹部と、この床面上あるいは目地プレートスライド支持凹部および前記目地プレート支持凹部あるいはガイドレールに支持され、目地部が狭くなるように一方の床躯体と他方の床躯体とが左右方向に揺れ動いた場合、先端部が床面上をスライド移動あるいは該目地プレートスライド支持凹部上をスライド移動して上方へ回動できるように複数個、隙間なく並列状態で取付けられた目地プレートを用いた床用目地装置で、目地プレートに前記ガイドレールに複数個のローラーを介してスライド移動可能に支持される角棒状の支持部材を備えるもの」が知られている(特許文献1)。
【0003】
この床用目地装置に用いられている摺動支持部の他には、例えばクランク状のスライドレールに支持された角棒又は角パイプ状の目地プレート用支持台に係止杭を設けた構造が知られている。
【0004】
このような支持構造で目地プレートを指示した場合、地震によって目地部が広くなった場合には、目地プレートの底部が目地プレート支持部との摩擦により他方の躯体側へ引っ張られ、それに伴い係止杭を備える支持部材も他方の躯体側に引っ張られ、ガイドレールの他方の躯体側の壁面に支持部材が当接し、それでもさらに係止杭に他方の躯体側へ引っ張られるような荷重が加わることで、支持部材自体が他方の躯体側に傾く作用が発生する。これにより、ガイドレールの上端部側に大きな曲げ力が加わり、スライドレールが変形してしまうおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の問題点に鑑み、スライドレールや目地プレート支持台等を破損することなく、目地プレートを支持することができる目地プレートの支持構造及び床用目地装置並びに摺動支持部材を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の目地プレートの支持構造は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを支持する目地プレートの支持構造であって、前記一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられ、前記目地プレートの他端部側を支持する第2の目地プレート支持部とで構成され、前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成され、前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の目地プレートの支持構造は、前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の目地プレートの支持構造の前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の本発明の床用目地装置は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ床用目地装置であって、前記一方の躯体に設けられ、上部に目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された目地プレートとで構成され、前記摺動支持部材は、前記一方の躯体に固定されたガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成され、前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の本発明の床用目地装置は、前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の本発明の床用目地装置の前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の本発明の摺動支持部材は、一方の躯体と他方の躯体との間の目地部を塞ぐ目地プレートを前後方向にスライド可能に支持する摺動支持部材であって、前記一方の躯体に固定されるガイドレールと、前記ガイドレールに滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合を介して、該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段とで構成され、前記保持手段は、前記スライドレールの上部に形成された略下向きコ字状の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数の当接部材とで構成されることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の本発明の摺動支持部材は、前記ガイドレールの上部に前記滑動部材と前記当接部材が交互に配置されることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の本発明の摺動支持部材の前記保持手段は、前記スライドレールの下部に形成された略クランク状の第2の被係合部と、前記ガイドレールに設けられ、前記第2の被係合部の前記一方の躯体側の内側面に略当接する複数個の第2の当接部材を更に備えることを特徴とする。
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の効果】
【0020】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1、請求項4及び請求項7に記載の各発明においては、ガイドレールと、前記ガイドレールに複数の滑動部材を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部が形成されたスライドレールと、前記ガイドレールとスライドレールとの係合構造を介して該スライドレールが前記他方の躯体側へ移動しないように保持する保持手段で摺動支持部材を構成しているので、スライドレールが他方の躯体側へ移動又は回動することを防止することができ、スライドレールやガイドレールが変形することを防止することができる。
(2)請求項2、請求項5及び請求項8に記載の各発明においても、前記(1)と同様の作用効果を得られるとともに、目地プレートを支持する際に係る荷重や、スライドレールにかかる左右方向の荷重を効率よく分散して支持することができる。
(3)請求項3、請求項6及び請求項9に記載の各発明においても、前記(1)~(2)と同様の作用効果を得られるとともに、スライドレールにかかる左右方向の荷重をより分散することができ、スライドレールやガイドレールが変形することをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1乃至
図8は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図9乃至
図13は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
【
図1】第1の実施形態の目地プレート支持構造の平面図。
【
図8】地震で左右の躯体が異なる前後方向に揺れ動いた状態の説明図。
【
図9】第2の実施形態の目地プレート支持構造の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0023】
図1乃至
図8に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は一方の躯体3と他方の躯体4との間の目地部2を塞ぐ床用の目地プレート5を支持する目地プレート支持構造である。
【0024】
なお、左右方向とは
図1における左右方向であり、前後方向とは
図1における上(後)下(前)方向をいい、上下方向とは
図2における上下方向をいう。また正面視は、
図2を基準とする。
【0025】
また、本発明において躯体とは、建物、道路、スラブ、エレベーターシャフト等の目地プレートを設置可能な建造物をいい、出入口とはドアや扉の設けられた出入口だけではなく、人や車両等が通行できる通路も含むものである。
【0026】
この目地プレート支持構造1は、例えば
図1及び
図2に示すように、前記一方の躯体3に設けられ、上部に前記目地プレート5の一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部6を備える摺動支持部材7と、前記他方の躯体4に設けられ、前記目地プレート5の他端部側を支持する第2の目地プレート支持部8とで構成されている。
【0027】
一方の躯体3には、目地部2側の壁面に摺動支持部材7が設けられており、この摺動支持部材7の第1の目地プレート支持部6により、目地プレート5の一端部側を支持する。
【0028】
この摺動支持部材7は、いずれかの躯体、本実施形態では、前記一方の躯体3の目地部側の壁面3aに固定されたガイドレール9と、前記ガイドレール9に複数の滑動部材10を介して前後方向にスライド可能に設けられ、上部に前記第1の目地プレート支持部6が形成されたスライドレール11と、前記ガイドレールと前記スライドレールとの係合(直接又は間接的な係合構造)を介して該スライドレール11が前記他方の躯体4側へ移動しないように保持する保持手段12とで構成されている。
【0029】
前記ガイドレール9は、一方の躯体3の壁面3aに固定される断面略コ字状に形成されたレール状の部材で、前後方向(
図1における上下方向)に延在するように設けられている。このガイドレール9の上部には滑動部材10と、前記保持手段12を構成する当接部材13を備えている。滑動部材10はローラー、ベアリング、滑り材等を含むもので、スライドレール11を前後方向にスライド可能に支持できる部材であればよく、本実施形態では、ローラーを滑動部材10として用いている。
【0030】
前記スライドレール11は、上端部側が保持手段12を構成する断面視略下向きコ字状に形成されるとともに下端部側が略クランク状に形成されたレール状の部材で、上端部の断面視略下向きコ字状の部位が前記ガイドレール9の滑動部材10に支持された状態で、前後方向(
図1における上下方向)に延在するように設けられる。上端部の前記水平部が第1の目地プレート支持部6を形成しており、この第1の目地プレート支持部6には、本実施形態では、目地プレート5の一端部側に設けられた1対の杭ケース14に挿入される係止杭15が設けられている。
【0031】
このスライドレール11の前後方向の長さは、ガイドレール9と略同一としてもよいが、目地プレート5を支持できるだけの長さがあればよい。この場合、ガイドレール9の長さはスライドレール11よりも地震時に目地プレート5の前後方向への揺れ動き幅以上に長くすることが望ましい。
【0032】
前記保持手段12は、前記スライドレール11の上部に形成された略下向きコ字状の被係合部(一方側の係合構造)16と、前記ガイドレール9に設けられ、前記被係合部16の前記一方の躯体側の内側面16aに略当接する複数の当接部材(一方側の係合構造)13と、さらに、スライドレール11の下部に形成された略クランク状の第2の被係合部(他方側の係合構造)18と、前記ガイドレール9に設けられ、前記第2の被係合部18の前記一方の躯体側の内側面18aに略当接する複数個の第2の当接部材(他方側の係合構造)17で構成されている。
【0033】
この当接部材13、17は、主に滑動部材10と同様のものを用いることができ、本実施形態ではローラーを用いているが、スライドレール11に当接してスライドレール11が他方の躯体4側へ移動しないように保持でき、かつ、スライドレール11の前後方向のスライドを阻害しないものであれば、どのような部材を用いてもよい。
【0034】
ところで、本実施形態ではガイドレールの上部に複数個の滑動部材10と複数個の当接部材13が前後方向に交互に設けられており、このように設けることで、荷重が偏ることなくスライドレール11やスライドレール11に支持される目地プレート5を支持することができるとともに、スライドレール11に対して他方の躯体4側へ移動するような荷重が生じた際に、この荷重を偏ることなく当接部材13で受けることができる。本実施形態では、第2の被係合部18の前記一方の躯体側の内側面18aに略当接する複数個の第2の当接部材17をさらに設けることにより、より分散して荷重を受けることができる。
【0035】
他方の躯体4の床面には、目地プレート5の他端部側を左右方向にスライド可能に支持する第2の目地プレート支持部8が設けられている。この第2の目地プレート支持部8の目地部2と反対側の端部には、地震によって目地部2が狭くなった場合に、目地プレート5の他端部側が乗り上げる乗り上げ傾斜面19が形成されている。また、本実施形態では、少なくとも第2の目地プレート支持部8が形成されている部位には、前後方向の端部に位置する目地プレート5の側面に略当接するように側壁4aが形成されている。
【0036】
本発明の床用目地装置20は、
図4及び
図5に示すように、一方の躯体に設けられ、上部に前記目地プレートの一端部側を前後方向にスライド可能に支持する第1の目地プレート支持部を備える摺動支持部材と、前記他方の躯体に設けられた第2の目地プレート支持部と、前記第1の目地プレート支持部に一端部が支持され、前記第2の目地プレート支持部に他端部が支持された目地プレートとで構成されている。
【0037】
目地プレート5は、公知の目地プレート5を使用することができ、本実施形態では、浅皿状の目地プレート本体21と、目地プレート本体21の一端部側に設けられた1対の杭ケース14と、前記目地プレート本体21に充填されたセメントやモルタル等の充填部材22と、前記充填部材22の上部を覆うように設けられた化粧部材23と、目地プレート本体21の両端部にヒンジ部材24を介して設けられたカバープレート25とで構成されている。
【0038】
本実施形態では、浅皿状の目地プレート本体21に充填部材22を充填した目地プレート5を用いているが、平板状の金属板等を目地プレート5として用いてもよく、このような場合には、乗り上げ傾斜面19を有さない第2の目地プレート支持部8とするとともに、第1の目地プレート支持部6に溶接、リベット等で固定してもよい。
【0039】
地震で左右の躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が狭くなると、
図6に示すように、目地プレート5の他端部が第2の目地プレート支持部8の乗り上げ傾斜面19により、上方に回動して地震による揺れ動きを吸収する。
【0040】
地震で躯体3、4が左右方向に揺れ動き目地部2が広くなると、
図7に示すように、目地プレート5の他端部が第2の目地プレート支持部8を左右方向にスライド移動し、地震による揺れ動きを吸収する。
【0041】
地震で左右の躯体3、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合、
図8に示すように、目地プレート5が他方の躯体4の側壁4aにより前後方向に押圧されると、スライドレール11がガイドレール9に対して前後方向にスライド移動し、目地プレート5も前後方向にスライド移動して揺れ動きを吸収する。
【0042】
なお、図示しないが目地部が開口することを防止するために、目地プレート5の両側部には前後方向に延在するように袖壁等や目地プレート5の両端部側に左右方向に延在する側壁や手すり等を設けることが望ましい。
【0043】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図9乃至
図13に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0044】
図9乃至
図13に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、第2の被係合部18及びこの第2の被係合部18に当接する第2の当接部材17を用いない保持手段12Aを備える摺動支持部材7Aを用いた点で、このような摺動支持部材7Aを用いた目地プレートの支持構造1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0045】
また、この目地プレート支持構造1Aを用い、平板状の目地プレート5Aを支持する床用目地装置20Aにした点で、このような床用目地装置20Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0046】
なお、本発明の実施形態では、当接部材と滑動部材を交互に配置するものについて説明したが、これらの部材は適宜配置することができる。
【0047】
本発明の実施形態では、摺動支持部材を床用の目地プレートを支持する目地プレート支持構造や床用目地装置に用いるものについて説明したが、例えば、摺動支持部材のスライドレールの垂直方向の側面に天井用の目地プレートを固定することで、この側面を目地プレート支持部とし、天井用の目地プレートを支持する際にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は目地プレートを支持する構造物を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0049】
1、1A:目地プレートの支持構造、 2:目地部、
3:一方の躯体、 4:他方の躯体、
5、5A:目地プレート、 6:第1の目地プレート支持部、
7、7A:摺動支持部材、 8:第2の目地プレート支持部、
9:ガイドレール、 10:滑動部材、
11:スライドレール、 12、12A:保持手段、
13:当接部材、 14:杭ケース、
15:係止杭、 16:被係合部、
17:第2の当接部材、 18:第2の被係合部、
19:乗り上げ傾斜面、 20、20A:床用目地装置、
21:目地プレート本体、 22:充填部材、
23:化粧部材、 24:ヒンジ部材、
25:カバープレート。