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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173732
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】通気部材、および、建築物の外壁
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20231130BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E04B1/00 501J
E04B1/70 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086183
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安永 龍一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 仁
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001FA04
2E001ND11
2E001ND17
(57)【要約】
【課題】雨または雪の侵入を少なくできる、通気部材および外壁を提供する。
【解決手段】通気部材20は、通路部と、第1遮蔽部31と、第2遮蔽部32とを備える。第1遮蔽部31は、通路部内の一区画である第1空間S1を、第1開口部26を含む第1室R1と第2開口部27を含む第2室R2とに仕切るように構成される。第2遮蔽部32は、第1空間S1に隣接する第2空間を、第1開口部26を含む第3室と第2開口部27を含む第4室とに仕切るように構成される。第1遮蔽部31の第1部分は、側面視において、第2遮蔽部32の第3部分よりも第1開口部26の近くに配置される。第1遮蔽部31の第2部分は、側面視において、第2遮蔽部32の第4部分よりも第1開口部26の遠くに配置される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の外壁に設けられる通気部材であって、
前記外壁の横方向に沿うように設けられる通路部と、第1遮蔽部と、前記第1遮蔽部に接続される第2遮蔽部とを備え、
前記通路部は、前記通路部の長手方向に延びる第1開口部と、前記長手方向に延びる第2開口部とを有し、
前記第1遮蔽部は、前記通路部内の内部空間において前記長手方向の一区画である第1空間を、前記第1開口部を含む第1室と前記第2開口部を含む第2室とに仕切るように構成され、
前記第2遮蔽部は、前記通路部内の前記内部空間において前記長手方向において前記第1空間に隣接する区画の第2空間を、前記第1開口部を含む第3室と前記第2開口部を含む第4室とに仕切るように構成され、
前記第1遮蔽部の第1部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第2遮蔽部の第3部分よりも前記第1開口部の近くに配置され、
前記第1遮蔽部の第2部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第2遮蔽部の第4部分よりも前記第1開口部の遠くに配置される、
通気部材。
【請求項2】
さらに、第3遮蔽部と、第4遮蔽部とを備え、
前記第3遮蔽部は、前記第2室を、前記第2開口部を含む第5室と、前記第2開口部を含まない第6室と、に仕切るように構成され、
前記第4遮蔽部は、前記第4室を、前記第2開口部を含まない第7室と、前記第2開口部を含む第8室と、に仕切るように構成され、
前記第3遮蔽部の第5部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第4遮蔽部の第7部分よりも前記第2開口部の近くに配置され、
前記第3遮蔽部の第6部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第4遮蔽部の第8部分よりも前記第2開口部の遠くに配置される、
請求項1に記載の通気部材。
【請求項3】
前記第2遮蔽部の端部は、前記第1遮蔽部とオーバラップし、
前記第4遮蔽部の端部は、前記第3遮蔽部とオーバラップする、
請求項2に記載の通気部材。
【請求項4】
前記通路部は、前記外壁の外面に取り付けられる第1部材と、前記内部空間を構成するように前記第1部材に接続される第2部材とを備える、
請求項1に記載の通気部材。
【請求項5】
前記通気部材は一体に構成される、
請求項1に記載の通気部材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の通気部材を有する、建築物の外壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通気部材、および、建築物の外壁に関する。
【背景技術】
【0002】
通気部を有する外壁が知られている(例えば特許文献1)。特許文献1に記載の外壁は、外壁本体と、笠木とを備える。外壁の上端部の外面には、外空間と外壁内の換気隙間とを連通させる通気部が設けられる。通気部には、水返し片が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-201742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、天候に起因する風または自動車が外壁近くを通り過ぎるときの乱流によって、雪が通気部内に舞いこんだり、または、雨が通気部の奥に侵入したりする虞がある。通気部内に雪または雨が入ると、外壁の劣化に繋がる。このような観点で、通気部材、および、外壁には建築物に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する通気部材は、建築物の外壁に設けられる通気部材であって、前記外壁の横方向に沿うように設けられる通路部と、第1遮蔽部と、前記第1遮蔽部に接続される第2遮蔽部とを備え、前記通路部は、前記通路部の長手方向に延びる第1開口部と、前記長手方向に延びる第2開口部とを有し、前記第1遮蔽部は、前記通路部内の内部空間において前記長手方向の一区画である第1空間を、前記第1開口部を含む第1室と前記第2開口部を含む第2室とに仕切るように構成され、前記第2遮蔽部は、前記通路部内の前記内部空間において前記長手方向において前記第1空間に隣接する区画の第2空間を、前記第1開口部を含む第3室と前記第2開口部を含む第4室とに仕切るように構成され、前記第1遮蔽部の第1部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第2遮蔽部の第3部分よりも前記第1開口部の近くに配置され、前記第1遮蔽部の第2部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第2遮蔽部の第4部分よりも前記第1開口部の遠くに配置される。この構成によれば、空気の流れを確保しつつ、第1遮蔽部および第2遮蔽部によって、通気部材内への雨または雪の侵入を少なくできる。
【0006】
(2)上記(1)に記載の通気部材において、さらに、第3遮蔽部と、第4遮蔽部とを備え、前記第3遮蔽部は、前記第2室を、前記第2開口部を含む第5室と、前記第2開口部を含まない第6室と、に仕切るように構成され、前記第4遮蔽部は、前記第4室を、前記第2開口部を含まない第7室と、前記第2開口部を含む第8室と、に仕切るように構成され、前記第3遮蔽部の第5部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第4遮蔽部の第7部分よりも前記第2開口部の近くに配置され、前記第3遮蔽部の第6部分は、前記長手方向に沿う側面視において、前記第4遮蔽部の第8部分よりも前記第2開口部の遠くに配置される。この構成によれば、通気部材は、さらに、第3遮蔽部および第4遮蔽部を備える。このため、通気部材内への雨または雪の侵入をさらに少なくできる。
【0007】
(3)上記(2)に記載の通気部材において、前記第2遮蔽部の端部は、前記第1遮蔽部とオーバラップし、前記第4遮蔽部の端部は、前記第3遮蔽部とオーバラップする。この構成によれば、雨または雪の侵入をさらに少なくできる。
【0008】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の通気部材において、前記通路部は、前記外壁の外面に取り付けられる第1部材と、前記内部空間を構成するように前記第1部材に接続される第2部材とを備える。この構成によれば、通路部の内部に遮蔽部を設け易い。このため、生産性が向上する。
【0009】
(5)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の通気部材において、前記通気部材は一体に構成される。この構成によれば、部品を組み立てる工程を省略できる。
【0010】
(6)課題を解決する建築物の外壁は、上記(1)~(5)のいずれか1つの通気部材を有する。この構成によれば、外壁内への雨または雪の侵入を少なくでき、または、外壁によって仕切られる内空間への雨または雪の侵入を少なくできる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の通気部材、および外壁は、雨または雪の侵入を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】外壁の正面図である。
図2図1の2-2線に沿う外壁の断面図である。
図3】通気部材の斜視図である。
図4図3の4-4線に沿う通気部材の断面図である。
図5】通気部材の透視図である。
図6図3の6-6線に沿う通気部材の断面図である。
図7図3の7-7線に沿う通気部材の断面図である。
図8】通気部材の第1変形例の断面図である。
図9】通気部材の第2変形例の断面図である。
図10】通気部材の第3変形例の断面図である。
図11】通気部材の第4変形例の断面図である。
図12】通気部材の第5変形例の断面図である。
図13】通気部材の第6変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<外壁>
図1図7を参照して、建築物の外壁1を説明する。本実施形態において、外方DAは、水平方向において建築物に対して外に向く方向と定義される。
【0014】
図1および図2に示されるように、外壁1は、外壁本体2と、笠木10と、通気部材20と、を有する。このような外壁1の例として、陸屋根のパラペット、ベランダの壁、テラスの壁、および、バルコニーの壁、が挙げられる。
【0015】
外壁本体2は、フレーム3と、フレーム3の外方DAに設けられる外装材4とを備える。フレーム3は、外壁本体2の骨格を構成する。フレーム3は、木材または鋼材によって構成される。外壁本体2のフレーム3の内面には、内装材5が設けられる。外壁本体2の上面2Bには、防水材6が配置される。防水材6は、胴縁を介してフレーム3の上に設けられる。
【0016】
笠木10は、防水材6を介して外壁本体2の上に設けられる。笠木10は、外壁本体2の外面2Aから外方DAに突出する突出部11Aと、突出部11Aの外端付近から下に垂れる下垂部12とを有する。例えば、突出部11Aは、外壁本体2の上に配置される上面部11の延長として構成される。下垂部12は、外壁本体2の外面2Aから間隔をあけて外面2Aに対向するように設けられる。
【0017】
外壁1には、通気通路15が設けられる。通気通路15は、外壁1内の換気のために設けられる。また、通気通路15は、外壁1によって外空間から隔てられる内空間の換気のために設けられる。例えば、パラペットは、外空間と陸屋根の下の内空間(例えば、屋根裏空間)とを隔てる。また、ベランダは、サンルームにリフォームされる場合がある。この場合、ベランダの外壁1は、外空間とベランダ内の内空間とを隔てる。このような外壁1において、通気通路15は、外空間と内空間とを繋ぐ空気の通路を構成する。
【0018】
本実施形態では、通気通路15は、吸排気口16と、吸排気口16に繋がる中間通路17と、中間通路17に繋がる内部通路18とを備える。吸排気口16は、外壁1の外側の空気が入り、または、外壁1内の空気が出される部分である。吸排気口16は、外壁本体2の外面2Aに設けられる。通気通路15の吸排気口16は、通気部材20によって構成される。中間通路17は、外装材4と防水材6との間に設けられる。中間通路17は水平に延びる。内部通路18は、フレーム3と外装材4との間に設けられる。内部通路18は、フレーム3に沿って上下に延びる。外壁1には、内部通路18から分岐する分岐路が設けられてもよい。分岐路は、内空間に繋がる。
【0019】
<通気部材の構造>
通気部材20は、建築物の外壁1に設けられる。通気部材20は、外壁本体2と、笠木10との間に設けられる。通気部材20は、外壁1の横方向DHに沿うように設けられる。具体的には、通気部材20は、外壁本体2の外面2Aにおける上部に設けられる。通気部材20は、笠木10の突出部11Aおよび下垂部12によって覆われる。通気部材20は、笠木10の突出部11Aの下に流れ込む空気を取り入れる。
【0020】
通気部材20は、通気部材20の下部が外壁本体2の外面2Aに接触するように取り付けられる。通気部材20の上部は、外壁本体2の上面2Bよりも上に配置される。通気部材20の上部は、中間通路17に繋がる。
【0021】
図3および図4に示されるように、通気部材20は、通路部21と、第1遮蔽部31と、第2遮蔽部32とを備える。通路部21は、第1面部22と、第2面部23と、上面部24と、下面部25と、を有する。第1面部22は、外壁本体2に接続される部分を含む。第2面部23は、間隔をあけて第1面部22に対向するように設けられる。上面部24は、通気部材20が外壁1に取り付けられた状態において、上に位置する。下面部25は、通気部材20が外壁1に取り付けられた状態において、下に位置する。
【0022】
通路部21は、第1開口部26と、第2開口部27とを有する。本実施形態では、第1開口部26は、通路部21の下面部25に設けられる。第1開口部26は、通路部21の長手方向DLに延びる。第2開口部27は、通路部21の第1面部22の上部に設けられる。第2開口部27は、通気部材20が外壁本体2に取り付けられた状態において、外壁本体2の上面2Bより上に位置する。第2開口部27は中間通路17内に位置する。第2開口部27は、通路部21の長手方向DLに延びる。
【0023】
通路部21は、第1部材21Aと、第2部材21Bとを備える。一例では、第1部材21Aは、第1面部22を含む部材として構成される。第2部材21Bは、第2面部23を含む部材として構成される。第2部材21Bは、内部空間SAを構成するように第1部材21Aに接続される。第1部材21Aおよび第2部材21Bは、板金または樹脂で構成される。
【0024】
通気部材20は一体に構成されてもよい。一例では、通路部21と、第1遮蔽部31と、第2遮蔽部32とが一体に構成される。通気部材20は、3Dプリンタ装置によって形成される。
【0025】
通路部21は、板金のプレス加工によって構成されてもよい。通路部21のプレス加工によって、第1面部22、第2面部23、上面部24、第1開口部26、および、第2開口部27が形成される。この場合、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32は、通路部21の端から通路部21内に挿入される。
【0026】
通路部21内の内部空間SAは、長手方向DLにおいて幾つかの空間に区画される。各空間に、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32のいずれか一つが配置される。第1遮蔽部31および第2遮蔽部32は、長手方向DLにおいて交互に配置される。
【0027】
一例では、図3に示されるように、内部空間SAは、第1空間S1と、第2空間S2とを含む。第1空間S1は、通路部21内の内部空間SAにおいて長手方向DLの一区画である。第2空間S2は、通路部21内の内部空間SAにおいて第1空間S1に隣接する区画の空間である。第1空間S1と第2空間S2とは交互に配置される。第1空間S1には第1遮蔽部31が配置される。第2空間S2には第2遮蔽部32が配置される。
【0028】
図6に示されるように、第1遮蔽部31は、第1空間S1を、第1室R1と第2室R2とに仕切るように構成される。第1室R1は、第1空間S1において第1開口部26を含む区画室である。第2室R2は、第1空間S1において第2開口部27を含む区画室である。第1空間S1において、第2室R2は第1室R1から隔離される。第1遮蔽部31の横に第2遮蔽部32が接続される。
【0029】
図7に示されるように、第2遮蔽部32は、第2空間S2を、第3室R3と第4室R4とに仕切るように構成される。第3室R3は、第2空間S2において第1開口部26を含む区画室である。第4室R4は、第2空間S2において第2開口部27を含む区画室である。第2空間S2において、第4室R4は第3室R3から隔離される。第2遮蔽部32の端部の中間部分は、第1遮蔽部31の端部の中間部分に接続される。第2遮蔽部32の端部は、長手方向DLに直交する方向から見て、第1遮蔽部31とオーバラップしてもよい(図5参照)。
【0030】
図4に示されるように、第1遮蔽部31は、第1遮蔽部31の長手方向に交差する方向において、第1部分41と第2部分42とに区分される。第2遮蔽部32は、第2遮蔽部32の長手方向に交差する方向において、第3部分43と第4部分44とに区分される。
【0031】
第1遮蔽部31の第1部分41は、長手方向DLに沿う側面視において、第2遮蔽部32の第3部分43よりも第1開口部26の近くに配置される。第1部分41および第3部分43は、第1面部22に接続される部分である。これを逆に言うと、第2遮蔽部32の第3部分43は、長手方向DLに沿う側面視において、第1遮蔽部31の第1部分41よりも第1開口部26の遠くに配置される。この構成によって、第2空間S2に入る空気は、第2遮蔽部32の第3部分43に至ると、横方向DHに流れることによって隣接の第1空間S1に入る。このように、第1空間S1と第2空間S2とは横方向DHに繋がる。
【0032】
第1遮蔽部31の第2部分42は、長手方向DLに沿う側面視において、第2遮蔽部32の第4部分44よりも第1開口部26の遠くに配置される。第2部分42および第4部分44は、第2面部23に接続される部分である。この構成によって、第1空間S1に入る空気は、第1遮蔽部31の第2部分42に至ると、横方向DHに流れることによって隣接の第2空間S2に入る。このように、第1空間S1と第2空間S2とは横方向DHに繋がる。
【0033】
一例では、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32は、板部材によって構成される。第1遮蔽部31および第2遮蔽部32は、長手方向に沿う側面視において、交差するように配置される。
【0034】
通気部材20は、さらに、第3遮蔽部33と、第4遮蔽部34とを備えてもよい。第3遮蔽部33は、第3遮蔽部33の長手方向に交差する方向において、第5部分45と第6部分46とに区分される(図4参照)。第4遮蔽部34は、第4遮蔽部34の長手方向に交差する方向において、第7部分47と第8部分48とに区分される(図4参照)。
【0035】
図6に示されるように、第3遮蔽部33は、第2室R2を第5室R5と第6室R6と、に仕切るように構成される。第5室R5は、第2開口部27を含む区画室である。第6室R6は、第2開口部27を含まない区画室である。
【0036】
図7に示されるように、第4遮蔽部34は、第4室R4を第7室R7と第8室R8とに仕切るように構成される。第7室R7は、第2開口部27を含まない区画室である。第8室R8は、第2開口部27を含む区画室である。第4遮蔽部34の端部の中間部分は、第3遮蔽部33の端部の中間部分に接続される。第4遮蔽部34の端部は、長手方向DLに直交する方向から見て、第3遮蔽部33とオーバラップしてもよい(図5参照)。
【0037】
図4に示されるように、第3遮蔽部33の第5部分45は、長手方向DLに沿う側面視において、第4遮蔽部34の第7部分47よりも第2開口部27の近くに配置される。第5部分45および第7部分47は、上面部24に近い部分である。
【0038】
第3遮蔽部33の第6部分46は、長手方向DLに沿う側面視において、第4遮蔽部34の第8部分48よりも第2開口部27の遠くに配置される。第6部分46および第8部分48は、上面部24から遠い部分である。
【0039】
<実施形態の作用>
図5図6および図7を参照して、本実施形態の作用を説明する。
外壁1に沿って上昇する空気は通気部材20に入る。雨または雪が降っているとき、雨または雪は上昇気流とともに通気部材20に入る。第1開口部26に入る雨または雪は、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32にあたって落ちる。または、雨または雪は、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32に付着し、その後、流れ落ちる。空気は、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32に沿って流れる。
【0040】
具体的には、図6に示されるように、第1開口部26から第1空間S1の第1室R1に入る空気は第1遮蔽部31に遮られて、横方向DHに流れる。そうすると、空気の一部は、第2空間S2において第2遮蔽部32よりも上の空間すなわち第7室R7に入る(図7参照)。第7室R7では、第2遮蔽部32および第4遮蔽部34によって上下方向の空気の移動が妨げられる。第7室R7は、横方向DHに第1空間S1の第5室R5に繋がる(図6参照)。このため、空気は、第7室R7から第5室R5へと流れ、そして、第3遮蔽部33に案内されるようにして第2開口部27から出る。
【0041】
また、図7に示されるように、第1開口部26から第2空間S2の第3室R3に入る空気は第2遮蔽部32に遮られて、横方向DHに流れる。そうすると、空気の一部は、第1空間S1において第1遮蔽部31よりも上の空間すなわち第5室R5に入り(図6参照)、その後、第3遮蔽部33に案内されるようにして第2開口部27から出る。
【0042】
このように、空気の流れは、通気部材20内で横方向DHに蛇行する。このとき、雨または空気が第1遮蔽部31、および、第2遮蔽部32に当たるため、雨または空気の通気通路15の奥への侵入を抑制できる。
【0043】
<空気の流れ>
本実施形態では、第1遮蔽部31と第2遮蔽部32とは、長手方向DLに沿う側面視においてクロスする。この構成によって、第1空間S1と第2空間S2とが互いに横方向DHに繋がる。具体的には、第1空間S1の各室は、第2空間S2の2つの室に横方向DHに繋がる。また、第2空間S2の各室は、第1空間S1の2つの室に横方向DHに繋がる。これによって、空気は、横方向DHに蛇行しながら通気部材20の奥に進むことができる。
【0044】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)通気部材20は、通路部21と、第1遮蔽部31と、第2遮蔽部32とを備える。第1遮蔽部31は、第1空間S1を、第1室R1と第2室R2とに仕切る。第2遮蔽部32は、第2空間S2を第3室R3と第4室R4とに仕切る。そして、第1遮蔽部31の第1部分41は、長手方向DLに沿う側面視において、第2遮蔽部32の第3部分43よりも第1開口部26の近くに配置される。第1遮蔽部31の第2部分42は、長手方向DLに沿う側面視において、第2遮蔽部32の第4部分44よりも第1開口部26の遠くに配置される。この構成によれば、空気の流れを確保しつつ、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32によって、通気部材20内への雨または雪の侵入を少なくできる。
【0045】
従来、通気部材に入る雪が奥に侵入しないように、通気部材内に防雪たわしを設ける場合がある。この場合、通気部材が大きくなる。この点で、通気部材20は、防雪たわしを収容することなく雪の侵入を抑制できる。このため、防雪たわしを収容する通気部材に比べて、厚みを抑えることができる。このように通気部材20を薄くできるため、笠木10と外壁1との間のスペース内において様々な位置に配置できる。この結果、笠木10の形状の設計自由度が高まる。これによって、笠木10のバリエーションを増大できる。例えば、外壁本体2の外面2Aに通気部材20を配置する場合において笠木10の意匠性向上を図れる。
【0046】
(2)通気部材20は、さらに、第3遮蔽部33と、第4遮蔽部34とを備えてもよい。第3遮蔽部33は、第2室R2を第5室R5と第6室R6とに仕切る。第4遮蔽部34は、第4室R4を第7室R7と第8室R8とに仕切る。第3遮蔽部33の第5部分45は、長手方向DLに沿う側面視において、第4遮蔽部34の第7部分47よりも第2開口部27の近くに配置される。第3遮蔽部33の第6部分46は、長手方向DLに沿う側面視において、第4遮蔽部34の第8部分48よりも第2開口部27の遠くに配置される。この構成によれば、通気部材内20への雨または雪の侵入をさらに少なくできる。
【0047】
(3)第2遮蔽部32の端部は、第1遮蔽部31とオーバラップしてもよい。第4遮蔽部34の端部は、第3遮蔽部33とオーバラップしてもよい。この構成によれば、雨または雪の侵入をさらに少なくできる。
【0048】
(4)通路部21は、第1部材21Aと、内部空間SAを構成するように第1部材21Aに接続される第2部材21Bとを備えてもよい。この構成によれば、通路部21の内部に遮蔽部を設け易い。このため、生産性が向上する。
【0049】
(5)通気部材20は一体に構成される。この構成によれば、部品を組み立てる工程を省略できる。
【0050】
(6)外壁1は、上記のいずれか1つの通気部材20を有する。この構成によれば、外壁1内への雨または雪の侵入を少なくできる。または、外壁1によって仕切られる内空間への雨または雪の侵入を少なくできる。
【0051】
<変形例>
上記実施形態は、通気部材20および外壁1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。通気部材20および外壁1は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0052】
図8に示されるように、第1開口部26は第2面部23の下部に設けられてもよい。この場合でも、第1遮蔽部31の第1部分41および第2部分42と、第2遮蔽部32の第3部分43および第4部分44とは、第1開口部26との関係で定義される。これによって、第1変形例の通気部材20および外壁1は、実施形態に準じた効果を奏する。
【0053】
図9に示されるように、第1開口部26は第2面部23の下部に設けられ、かつ、第2開口部27は第2面部23の上部に設けられてもよい。この場合でも、第1遮蔽部31の第1部分41および第2部分42と、第2遮蔽部32の第3部分43および第4部分44とは、第1開口部26との関係で定義される。また、第3遮蔽部33の第5部分45および第6部分46と、第4遮蔽部34の第7部分47および第8部分48とは、第2開口部27との関係で定義される。これによって、第2変形例の通気部材20および外壁1は、実施形態に準じた効果を奏する。
【0054】
図10に示されるように、第1開口部26は下面部25に設けられ、かつ、第2開口部27は上面部24に設けられてもよい。この場合でも、第1遮蔽部31の第1部分41および第2部分42と、第2遮蔽部32の第3部分43および第4部分44とは、第1開口部26との関係で定義される。また、第3遮蔽部33の第5部分45および第6部分46と、第4遮蔽部34の第7部分47および第8部分48とは、第2開口部27との関係で定義される。これによって、第3変形例の通気部材20および外壁1は、実施形態に準じた効果を奏する。
【0055】
図11に示されるように、第1遮蔽部31および第2遮蔽部32は、長手方向DLに沿う側面視において、V字形状に構成されてもよい。この場合、第1遮蔽部31と第2遮蔽部32とは2箇所でクロスするように配置される。この場合でも、第1遮蔽部31の第1部分41および第2部分42と、第2遮蔽部32の第3部分43および第4部分44とは、第1開口部26との関係で定義される。これによって、第4変形例の通気部材20および外壁1は、実施形態に準じた効果を奏する。
【0056】
図12に示されるように、第3遮蔽部33は、第1遮蔽部31と平行に配置されてもよい。第4遮蔽部34は、第2遮蔽部32と平行に配置されてもよい。この場合でも、第1遮蔽部31の第1部分41および第2部分42と、第2遮蔽部32の第3部分43および第4部分44とは、第1開口部26との関係で定義される。また、第3遮蔽部33の第5部分45および第6部分46と、第4遮蔽部34の第7部分47および第8部分48とは、第2開口部27との関係で定義される。これによって、実施形態に準じた効果を奏する。第5変形例の通気部材20および外壁1は、実施形態に準じた効果を奏する。
【0057】
図13に示されるように、第3遮蔽部33および第4遮蔽部34は省略されてもよい。この場合でも、第6変形例の通気部材20および外壁1は、実施形態に準じた効果を奏する。また、第3遮蔽部33および第4遮蔽部34に替えて別構造の遮蔽部が通路部21に設けられてもよい。例えば、別構造の遮蔽部として、網目構造体が設けられてもよい。
【0058】
以上のように、通気部材20において、第1開口部26および第2開口部27を様々な位置に配置できる。これによって、笠木10と外壁1との間のスペース内において様々な位置に配置できる。例えば、外壁本体2の外面2Aに通気部材20を配置してもよいし、外壁本体2の上面2Bに通気部材20を配置することもできる。また、通気部材20を含む通気通路15の設計自由度も高まる。通気部材20の配置の自由度および通気通路15の設計自由度から、笠木10の形状の設計自由度が高まり、これによって、笠木10のバリエーションを増大できる。
【符号の説明】
【0059】
DH…横方向、DL…長手方向、R1…第1室、R2…第2室、R3…第3室、R4…第4室、R5…第5室、R6…第6室、R7…第7室、R8…第8室、S1…第1空間、S2…第2空間、SA…内部空間、1…外壁、2A…外面、20…通気部材、21…通路部、21A…第1部材、21B…第2部材、26…第1開口部、27…第2開口部、31…第1遮蔽部、32…第2遮蔽部、33…第3遮蔽部、34…第4遮蔽部、41…第1部分、42…第2部分、43…第3部分、44…第4部分、45…第5部分、46…第6部分、47…第7部分、48…第8部分。
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図13