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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173741
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】害獣捕獲具
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/24 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A01M23/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086195
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】515027439
【氏名又は名称】工藤 まほ
(71)【出願人】
【識別番号】515027048
【氏名又は名称】河野 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三重野 丈一
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BA25
2B121BA58
2B121EA21
2B121FA01
(57)【要約】
【課題】ワイヤガイドの立ち上げ付勢力を調整可能とし、装着セット時における作業者の危険性を可及的に低減することのできる害獣捕獲具を提供する。
【解決手段】水平フランジ12を有する略方形の外形基枠体10と、水平フランジ12に垂直に螺合挿貫した調整ピン13と、を有する捕獲機構本体1と、ワイヤガイド支持フランジ21を立設した踏板20と、ワイヤガイド支持フランジ21に枢支部23を介して枢支したワイヤガイド22と、左右のワイヤガイド22の先端部に架設した跳ね上げ付勢バネ24と、を有するワイヤガイド機構2と、より構成し、ワイヤガイド22の先端部を外形基枠体10に当接担持するとともに、外形基枠体10に収納した踏板20の上下位置を調整ピン13で調整可能とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右辺フレームに水平フランジを内側に向けて突設した略方形の外形基枠体と、
前記水平フランジに垂直に螺合挿貫した調整ピンと、
により構成した捕獲機構本体と、
踏板の前後中央部にワイヤガイド支持フランジを立設し、前記ワイヤガイド支持フランジに左右脚体の自由端基部を枢支した左右側の略コ字状又は略半円弧状のワイヤガイドと、
縮径作動する捕縛ワイヤを外囲面に囲繞した左右二個の前記ワイヤガイドの先端部同士を連結した跳ね上げ付勢バネとより構成し、
しかも、前記捕獲機構本体内に前記踏板と共に一体の左右側ワイヤガイドを収納すると共にワイヤガイドの先端部側頂部が前記捕獲機構本体における前記外形基枠体の左右辺フレームに当接担持されるように構成し、
前記調整ピン下端は前記踏板端縁部に当接して前記外形基枠体に対する前記踏板の上下位置の調整を自在とすることにより、前記外形基枠体の前記左右辺フレームに担持したワイヤガイド担持部を中心に前記踏板と共にワイヤガイド基部の枢支部を上下位置調整可能に構成し、
ワイヤガイド基部の枢支部の上下位置調整にともなってワイヤガイドの担持脚体の対踏板傾斜角度を調整可能に構成し、
ワイヤガイドの担持傾斜角度が大なるほど前記跳ね上げ跳ね上げ付勢バネを介した前記ワイヤガイドの跳ね上げ応力が高くなるように構成したことを特徴とする害獣捕獲具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、害獣脚体が踏板を押圧した際に踏板の作動をトリガーとして害獣脚体の可及的上位部を捕獲ワイヤが捕縛可能に構成した害獣捕獲具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、害獣捕獲具は、特開2019-037218号公報に示すように踏板の上位方に踏板作動をトリガーとして踏板周辺に張り巡らした円環状捕縛ワイヤの円環部を収縮して害獣脚体を捕縛するように構成されている。そして、捕縛ワイヤは左右半円弧状のワイヤガイドの周面を囲繞するように装着され、踏板作動をトリガーとして連動機構を介し、左右半円弧状のワイヤガイドが円環状捕縛ワイヤを持ち上げて害獣脚体を円環状に囲繞収縮して捕縛するように構成されている。
【0003】
ここで肝要なことは、付勢スプリングが左右半円弧状(あるいは略コ字状)の左右ワイヤガイドを立上げ付勢してワイヤガイド周面に囲繞した円環状捕縛ワイヤで害獣脚体を円環収縮して捕縛することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-037218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半円弧状ワイヤガイドの立ち上げ付勢のタイミングと立ち上がりの応力が最強状態にあるように調整するためには、ワイヤガイドの跳ね上げ付勢バネを強力にすればよい。しかし、跳ね上げ付勢バネのばね付勢力を強力にすると、捕獲具のセット時に跳ね上げ付勢バネが不用意に作動して作業者に危害を及ぼすおそれがあった。
【0006】
しかも、ワイヤガイドの立ち上げに必要な跳ね上げ付勢バネのばね付勢力は、バネ係数によって固定されたものであり、このばね付勢力を調整することは困難であった。
【0007】
この発明は、ワイヤガイドの立ち上げ付勢力を調整可能とし、装着セット時における作業者の危険性を可及的に低減することのできる害獣捕獲具を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の第1の態様は、左右辺フレームに水平フランジを内側に向けて突設した略方形の外形基枠体と、前記水平フランジに垂直に螺合挿貫した調整ピンと、により構成した捕獲機構本体と、踏板の前後中央部にワイヤガイド支持フランジを立設し、前記ワイヤガイド支持フランジに左右脚体の自由端基部を枢支した左右側の略コ字状又は略半円弧状のワイヤガイドと、環状に縮径作動する捕縛ワイヤを外囲面に囲繞した左右二個の前記ワイヤガイドの先端部同士を連結した跳ね上げ付勢バネとより構成し、しかも、前記捕獲機構本体内に前記踏板と共に一体構成の左右側ワイヤガイドを収納すると共にワイヤガイドの先端部側頂部が捕獲機構本体における外形基枠体の左右辺フレームに当接担持されるように構成し、前記調整ピン下端は前記踏板端縁部に当接して前記外形基枠体に対する前記踏板の上下位置の調整を自在とすることにより、前記外形基枠体の前記左右辺フレームに担持したワイヤガイド担持部を中心に前記踏板と共にワイヤガイド基部の枢支部を上下位置調整可能に構成し、ワイヤガイド基部の枢支部の上下位置調整にともなってワイヤガイドの担持脚体の対踏板傾斜角度を調整可能に構成し、ワイヤガイドの担持傾斜角度が大なるほど前記跳ね上げ付勢バネを介した前記ワイヤガイドの跳ね上げ応力が高くなるように構成した害獣捕獲具である。
【発明の効果】
【0009】
この発明の要旨は、左右辺フレームに水平フランジを内側に向けて突設した略方形の外形基枠体と、前記水平フランジに垂直に螺合挿貫した調整ピンと、により構成した捕獲機構本体と、踏板の前後中央部にワイヤガイド支持フランジを立設し、前記ワイヤガイド支持フランジに左右脚体の自由端基部を枢支した左右側の略コ字状又は略半円弧状のワイヤガイドと、環状に縮径作動する捕縛ワイヤを外囲面に囲繞した左右二個の前記ワイヤガイドの先端部同士を連結した跳ね上げ付勢バネとより構成し、しかも、前記捕獲機構本体内に前記踏板と共に一体構成の左右側ワイヤガイドを収納すると共にワイヤガイドの先端部側頂部が捕獲機構本体における外形基枠体の左右辺フレームに当接担持されるように構成し、前記調整ピン下端は前記踏板端縁部に当接して前記外形基枠体に対する前記踏板の上下位置の調整を自在とすることにより、前記外形基枠体の前記左右辺フレームに担持したワイヤガイド担持部を中心に前記踏板と共にワイヤガイド基部の枢支部を上下位置調整可能に構成し、ワイヤガイド基部の枢支部の上下位置調整にともなってワイヤガイドの担持脚体の対踏板傾斜角度を調整可能に構成し、ワイヤガイドの担持傾斜角度が大なるほど前記跳ね上げ付勢バネを介した前記ワイヤガイドの跳ね上げ応力が高くなるように構成した害獣捕獲具にある。
【0010】
この発明の第1の態様によれば、方形状の外形基枠体よりなる捕獲機構本体と、その外形基枠体内に装着する踏板を有するワイヤガイド機構との二部材構成の組合せよりなり、全体を簡潔な構造としながらも強力なワイヤ捕縛機能を果たすことができる。捕獲機構本体は、外形基枠体の左右両側の辺フレームに突設した水平フランジに垂直に調整ピンを螺合挿貫しており、この調整ピン先端はワイヤガイド機構の踏板端縁部に当接させており、踏板と共に踏板に枢支連結したワイヤガイドの上下位置及びワイヤガイドの傾斜角度を調整可能としているため、調整ピンの操作という簡便な操作により踏板及びワイヤガイドの傾斜角度の調整が可能となり、しかも、左右側のワイヤガイドのそれぞれの先端部には跳ね上げ付勢バネを介設しているためにワイヤガイドの跳ね上げ応力の調整が簡単な操作で行える効果がある。
【0011】
この跳ね上げ付勢バネは、左右側の半円弧状のワイヤガイド同士を結んでいるために左右側のワイヤガイドは、自由端基部の枢支部を中心として左右側のワイヤガイドの形態を山型にしたり(図4(a)に示す)、谷型にしたり(図4(b)に示す)と自在に変形することにより跳ね上げ付勢バネの上下方位置における張力超えの変化を作ることができ、同時に踏板におけるそれぞれの枢支部の上下の位置変動と相俟ってワイヤガイドの傾斜角度の調整操作も行えるという効果がある。
【0012】
すなわち、図4(a)に示すように、ワイヤガイドを山型形態とした場合には、跳ね上げ付勢バネは、ワイヤガイドの枢支部より下方位置にあってワイヤガイドの先端部を外形基枠体の谷底部に向かった折畳方向に付勢するが、図4(b)に示すように、ワイヤガイドを谷型形態とした場合には、張力越えにより跳ね上げ付勢バネはワイヤガイドの枢支部より上方位置にあってワイヤガイドの先端部を上方に向かった折り畳み方向に付勢する。
このように左右のワイヤガイドの山型や谷型の形態変化に対応して、跳ね上げ付勢バネは左右のワイヤガイドの枢支部より上方位置か下方位置に変位することになるため、跳ね上げ付勢バネの張力越え作用によりワイヤガイドによるワイヤ捕縛機能を最大限に発揮することができる。
【0013】
このように跳ね上げ付勢バネの上下位置変化は、略コ字状又は略半円弧状のワイヤガイドの山型、谷型の形態変化に対応する。
なお、ワイヤガイドは、略コ字状(又は、略半円弧状)のワイヤガイド先端折返し部分が捕獲機構本体の外形基枠体内の外方に突出しているため、ワイヤガイド先端折返し部分が外形基枠体の立ち上げ枠壁体上縁に担持されていることになる。
従って、ワイヤガイドの左右脚体は、踏板のワイヤガイド支持フランジと連結する枢支部と、外形基枠体の立ち上げ枠壁体との二箇所で支持されることになる。
このように山型形態及び谷型形態にそれぞれ変化した各左右側ワイヤガイドは、山型、谷型の形態の変化はあるもののいずれも踏板との連結枢支部と外形基枠体の立ち上げ枠壁体上縁部の二か所で支持されて跳ね上げ付勢バネの上下位置変化によって山型、谷型に変化することができる。
【0014】
かかる捕獲機構本体と、ワイヤガイドや跳ね上げ付勢バネなどからなるワイヤガイド機構との相乗作用によって、外形基枠体に設けた調整ピンの昇降操作によって踏板の上下位置の調整が行われる。
すなわち、調整ピンによる踏板の上下位置調整によって左右側のワイヤガイドの山型傾斜角度が変化し、跳ね上げ付勢バネによるワイヤガイドを跳ね上げる付勢力を調整することができる。
【0015】
このように踏板作動をトリガーとしてワイヤガイドの形態は山型から谷型へと変化するが調整ピンによる踏板の上下位置調整によりワイヤガイドの山型傾斜角度を調整することになる。そして、図4(a),(b)に示すように、左右側のワイヤガイドが跳ね上げ付勢バネを介して自由端基部の枢支部を中心とする跳ね上げ回動して起立する際にワイヤガイドの跳ね上げ運動量は大となりその分だけ跳ね上げ付勢バネのばね付勢力が強く影響して捕縛運動応力はより大となり、ワイヤガイド周面を囲繞した捕縛ワイヤが環状形態を維持しつつ収縮して上方に跳ね上がり、害獣脚体の可及的上方位置で捕縛することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態にかかる害獣捕獲具を示す分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる害獣捕獲具を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる害獣捕獲具の設置手順を示す模式図であり、(a)は外形基枠体内に踏板を収納した状態を示す正面図であり、(b)は調整ピンで踏板の上昇を規制しつつ左右のワイヤガイドを開き、ワイヤガイドの枢支部よりも下方に跳ね上げ付勢バネが位置するように調整した状態を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる害獣捕獲具の動作を示す図であり、(a)は害獣捕獲具を地面に設置した状態におけるワイヤガイド機構を示す正面図であり、(b)はワイヤガイド機構の踏板が外形基枠体の底面部に沈降した状態を示す正面図である。
図5】本発明の実施形態にかかる害獣捕獲具の動作を示す模式図であり、(a)は罠が作動する前の状態を示す図であり、(b)は踏板が外形基枠体の底部に落下した状態を示す図であり、(c)は左右ワイヤガイドが跳ね上げ付勢された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の要旨は、左右辺フレームに水平フランジを内側に向けて突設した略方形の外形基枠体と、前記水平フランジに垂直に螺合挿貫した調整ピンと、により構成した捕獲機構本体と、踏板の前後中央部にワイヤガイド支持フランジを立設し、前記ワイヤガイド支持フランジに左右脚体の自由端基部を枢支した左右側の略コ字状又は略半円弧状のワイヤガイドと、環状に縮径作動するワイヤを外囲面に囲繞した左右二個の前記ワイヤガイドの先端部同士を連結した跳ね上げ付勢バネとより構成し、しかも、前記捕獲機構本体内に前記踏板と共に一体構成の左右側ワイヤガイドを収納すると共にワイヤガイドの先端部側頂部が捕獲機構本体における外形基枠体の左右辺フレームに当接担持されるように構成し、前記調整ピン下端は前記踏板端縁部に当接して前記外形基枠体に対する前記踏板の上下位置の調整を自在とすることにより、前記外形基枠体の前記左右辺フレームに担持したワイヤガイド担持部を中心に前記踏板と共にワイヤガイド基部の枢支部を上下位置調整可能に構成し、ワイヤガイド基部の枢支部の上下位置調整にともなってワイヤガイドの担持脚体の対踏板傾斜角度を調整可能に構成し、ワイヤガイドの担持傾斜角度が大なるほど前記跳ね上げ付勢バネを介した前記ワイヤガイドの跳ね上げ応力が高くなるように構成した害獣捕獲具である。
【0018】
本発明の実施例を図1から図5を参照して詳細に説明する。
図1は、捕獲機構本体1を示す分解斜視図であり、図2はその平面図であり、外形基枠体10を方形枠状に形成しており、外形基枠体10の左右辺フレームである立ち上げ枠壁体11,11の上縁中央部には水平フランジ12を連設している。
【0019】
水平フランジ12の中央部には調整ピン13が上下垂設して螺合されており、調整ピン13の下端はその下方に位置する踏板20の左右端縁部20a,20bの近傍に当接している。
【0020】
かかる捕獲機構本体1と別体に図1に示すようなワイヤガイド機構2が構成されており、該機構は外形基枠体10より小さな方形の面積を有し、踏板20の前後縁の左右方向における中央部にワイヤガイド支持フランジ21を立設している。ワイヤガイド支持フランジ21は、一枚の鋼板からなる踏板20の一部を上方に屈曲して形成している。
【0021】
ワイヤガイド支持フランジ21、21には、左右側の略コ字状(又は略半円弧状)のワイヤガイド22の前後の自由端基部22a,22bを枢支している。すなわち、ワイヤガイド22は略コ字形状や略半円弧形状としており、その開放部である左右脚体の自由端基部22a,22bをワイヤガイド支持フランジ21,21に前後して枢支している。
【0022】
また、左右側のワイヤガイド22の周面には、環状に縮径作動する捕獲ワイヤWを左右側に共通して囲繞している。すなわち、一本の捕獲ワイヤWは、図4(a),(b)に示すように、左右のワイヤガイド22,22の周面に掛け回し、捕獲ワイヤWの両端部を引張りバネS等からなる公知のワイヤ緊張機構Uに連結して、バネケースCに収納した引張りバネSによって常時引張り付勢している。
【0023】
従って、捕獲ワイヤWは、ワイヤガイド22が自由端基部22a,22bの枢支部23を中心として先端部22cが立ち上がると、ワイヤガイド22から離脱して引張りバネSの付勢力により縮径して踏板20を踏んだ害獣の脚体周囲を囲繞捕縛する。
【0024】
このように本実施形態に記載の害獣捕獲具Tはワイヤガイド22の先端部22cの立ち上げ作動を介してワイヤガイド22に掛け回した捕獲ワイヤWを引張りバネSの付勢力により縮径して踏板20を踏んだ害獣の脚体周囲を囲繞捕縛することを基本的な技術としている。
【0025】
その中にあって本件発明の害獣捕獲具Tは、後述するように捕獲ワイヤWの引張りバネSの付勢力により縮径する力を調整できるようにするために、ワイヤガイド22の傾斜角度を調整可能とする操作と、跳ね上げ付勢バネ24の上下位置の変動調整操作との相互のバランスを調整するように構成したことにある。
【0026】
また、左右一対のワイヤガイド22,22のコ字状折曲部間には、跳ね上げ付勢バネ24を介在して一対のワイヤガイド22,22を互いに中央部方向に引張り付勢している。しかも、捕獲機構本体1の外形基枠体10内に踏板20を収納すると共に踏板20と一体構成の左右のワイヤガイド22,22の先端部22cが捕獲機構本体1における外形基枠体10の左右辺フレームとしての立ち上げ枠壁体11の上縁部に当接担持されるように構成している。図3(a),(b)は、外形基枠体10の左右辺フレームの立ち上げ枠壁体11,11を示す。
【0027】
本発明の害獣捕獲具Tは、上記のように構成されており、その機能と作用について以下に説明する。
基本的に本発明の害獣捕獲具Tは、捕獲機構本体1と、その方形枠内に収納する踏板20を有するワイヤガイド機構2との二部材構成の組合せよりなるものである。
【0028】
まず、外形基枠体10の左右両側の水平フランジ12,12にそれぞれ垂直に螺合挿貫した調整ピン13,13先端を踏板20に当接させ、踏板20と共にワイヤガイド支持フランジ21に枢支連結したワイヤガイド22の枢支部23の上下位置及びワイヤガイド22の傾斜角度を調整可能とする。
【0029】
踏板20は、水平フランジ12への調整ピン13の締め付け操作により上下位置を変更できる。これに伴い、ワイヤガイド22の踏板20に対する傾斜角度(約2度から約6度の間)を調整可能としている。しかも、左右側のワイヤガイド22のそれぞれの先端部22c近傍には跳ね上げ付勢バネ24が介設されているため、跳ね上げ付勢バネ24によるワイヤガイド22の跳ね上げ応力の調整も踏板20の上下位置調整により可能としている。
【0030】
この跳ね上げ付勢バネ24は、左右側の略コ字状(又は、略半円弧状)のワイヤガイド22,22同士を結んでいるために左右側のワイヤガイド22,22は自由端基部22a,22bの枢支部23,23を中心として左右側のワイヤガイド22の形態を山型にしたり(図4(a)または図5(a)に示す)、谷型にしたり(図4(b)、図5(b)または図5(c)に示す)と自在に変形することで跳ね上げ付勢バネ24の上下方位置における張力超えの変化を作ることができ、同時にワイヤガイド支持フランジ21におけるそれぞれの枢支部23の上下位置の変動と相俟ってワイヤガイド22の傾斜角度の調整操作が行われる。
【0031】
すなわち、図5(a)に示すように、略コ字状(又は略半円弧状)のワイヤガイド22を山型形態とした場合には、跳ね上げ付勢バネ24は、ワイヤガイド22の枢支部23より下方位置にある。かかる状態において、ワイヤガイド22は、跳ね上げ付勢バネ24により先端部22cが外形基枠体10の谷底部に向かう折り畳み方向に付勢されている。しかし、図5(b)または図5(c)に示すように、略コ字状(又は略半円弧状)のワイヤガイド22を谷型形態とした場合には、張力越えにより跳ね上げ付勢バネ24はワイヤガイド支持フランジ21の枢支部23より上方位置にあって、谷型のワイヤガイド22の先端部22cを上方に回動させる方向に付勢する。
【0032】
このように跳ね上げ付勢バネ24の上下位置変動は、略コ字状(又は、略半円弧状)のワイヤガイド22,22の山型、谷型の形態変化に対応する。
なお、当然であるがワイヤガイド22は、捕獲機構本体1の外形基枠体10の左右立ち上げ枠壁体11,11の外方に先端部22cが突出しているため、捕獲機構本体1にワイヤガイド機構2を装着した際、略コ字状(又は、略半円弧状)の先端部22c近傍が左右立ち上げ枠壁体11,11の上縁に担持される。
【0033】
従って、略コ字状(又は、略半円弧状)のワイヤガイド22は、自由端基部22a,22bの近傍に設けた枢支部23と、外形基枠体10の立ち上げ枠壁体11上縁の二箇所で支持されることになる。
このように山型形態及び谷型形態にそれぞれ変化させた左右のワイヤガイド22,22は、山型、谷型の形態の変化はあるものの、いずれも自由端基部22a,22b近傍の枢支部23と外形基枠体10の立ち上げ枠壁体11上縁の二箇所で支持され、枢支部23に対する跳ね上げ付勢バネ24の上下位置変動によって山型、谷型に変化する。
【0034】
枢支部23に対する跳ね上げ付勢バネ24の上下位置変動は、ワイヤガイド22,22の山型と谷型に対応して変動するものである。ワイヤガイド22,22が山型の場合は、自由端基部22a,22bの枢支部23よりも下方位置に跳ね上げ付勢バネ24が配置されていることになる。反対にワイヤガイド22が谷型の場合は、自由端基部22a,22bの枢支部23よりも上方位置に跳ね上げ付勢バネ24が配置されることになる。
【0035】
害獣捕獲具Tのセット時の状態は、ワイヤガイド22が山型の形態で自由端基部22a,22bの枢支部23よりも下方位置に跳ね上げ付勢バネ24が配置されており、害獣脚体により踏板20が押圧されてセット時から降下した場合はワイヤガイド22の形態が谷型に変態して自由端基部22a,22bの枢支部23よりも上方位置に跳ね上げ付勢バネ24が配置された状態となる。
【0036】
かかる捕獲機構本体1と、ワイヤガイド22や跳ね上げ付勢バネ24などからなるワイヤガイド機構2との相乗作用によって、ワイヤガイド22に生起される跳ね上げ付勢バネ24による付勢方向を容易に変更できる。また、跳ね上げ付勢バネ24による付勢力は、捕獲機構本体1の外形基枠体10に設けた調整ピン13の昇降操作によって捕獲機構本体1における踏板20の上下位置を調整することで調整される。
すなわち、調整ピン13による踏板20の上下位置調整によって左右側のワイヤガイド22,22の山型傾斜角度が変化して跳ね上げ付勢バネ24によるワイヤガイド22の跳ね上げ付勢力が調整される。
【0037】
このように調整ピン13下端を踏板20の左右端縁部20a,20bに当接して外形基枠体10に対する踏板20の上下位置の調整を行う。ワイヤガイド22は、踏板20の上下位置変動と共に枢支部23の上下位置が変動される。枢支部23の上下位置変動において、ワイヤガイド22の先端部22cは、立ち上げ枠壁体11に接触担持された状態であるため、上下位置変動することはない。すなわち、ワイヤガイド22は、踏板20の上下位置変動において、枢支部23が立ち上げ枠壁体11と先端部22cとの接触部分を中心とする円運動を生起することにより山型状態、谷型状態を変化している。
また、ワイヤガイド22の自由端基部22a,22bの枢支部23の上下位置変動にともないワイヤガイド22の担持脚体の踏板20に対する傾斜角度が調整されワイヤガイド22の担持傾斜角度が大なるほど跳ね上げ付勢バネ24を介したワイヤガイド22の跳ね上げ応力が高くなる。
【0038】
このようにワイヤガイド22は、調整ピン13による踏板20の昇降調整をすることにより傾斜角度が調整される。そして、図4(a)に示すように、ワイヤガイド22が山型形態でセットされた場合、左右側のワイヤガイド22は、跳ね上げ付勢バネ24を介して自由端基部22a,22b近傍の枢支部23を中心として起立する際のワイヤガイド22の跳ね上げ起立運動量を大とし、その分だけ跳ね上げ付勢バネ24のバネ力が強く影響して捕縛運動応力がより大となり、ワイヤガイド周面を囲繞した捕獲ワイヤWが環状形態のまま収縮しつつ上方へと跳ね上がり害獣脚体の可及的上方位置を捕縛することになる。
【0039】
以上述べたように、本実施形態に係る害獣捕獲具Tにおけるワイヤガイド22の跳ね上げ機構であれば、ワイヤガイド22の立ち上げ付勢力を調整ピン13で調整可能として、ワイヤガイド22の跳ね上げ起立運動量を制御しつつ、害獣捕獲具Tのセット時において、ワイヤガイド22が枢支部23と外形基枠体10との担持部で支持された構成により、跳ね上げ付勢バネ24の付勢力により生起されるワイヤガイド22の先端部22cの下方への回動力を、踏板20を介して調整ピン13で規制でき、不用意な罠の作動が規制されて罠のセット作業者の危険性を可及的に低減することができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したリ組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0041】
1 捕獲機構本体
2 ワイヤガイド機構
10 外形基枠体
11 立ち上げ枠壁体
12 水平フランジ
13 調整ピン
20 踏板
20a,20b踏板端縁部
21 ワイヤガイド支持フランジ
22 ワイヤガイド
22a,22b 自由端基部
22c 先端部
23 枢支部
24 跳ね上げ付勢バネ
C バネケース
S 引張りバネ
T 害獣捕獲具
U ワイヤ緊張機構
W 捕獲ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5