(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173744
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20231130BHJP
H02M 1/00 20070101ALI20231130BHJP
【FI】
G05F1/56 320H
H02M1/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086200
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小倉 暁生
【テーマコード(参考)】
5H430
5H740
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430BB20
5H430CC05
5H430CC07
5H430EE04
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG08
5H430HH03
5H430LA10
5H430LA11
5H430LB02
5H430LB03
5H740BA12
5H740BB01
5H740BB07
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH01
5H740KK01
5H740MM08
(57)【要約】
【課題】電力供給を制御するための電圧の高さが制限されることを抑制しつつ、チップサイズの増加を抑制する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1端子と、第2端子と、第3端子と、温度が条件を満たす場合に第1レベルの信号を出力する第1回路と、上記第1端子を介して供給される電圧によって駆動され、上記第1回路が上記第1レベルの上記信号を出力する場合、上記第2端子と上記第3端子との間を電気的に絶縁する第2回路と、を備え、上記第1回路は、第1配線と上記第1端子との間に設けられた素子を含み、上記第1配線に第1電圧が供給される場合、上記温度に関わらず、上記第1レベルの上記信号を出力する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
第2端子と、
第3端子と、
温度が条件を満たす場合に第1レベルの信号を出力する第1回路と、
前記第1端子を介して供給される電圧によって駆動され、前記第1回路が前記第1レベルの前記信号を出力する場合、前記第2端子と前記第3端子との間を電気的に絶縁する第2回路と、
を備え、
前記第1回路は、
第1配線と前記第1端子との間に設けられた素子を含み、
前記第1配線に第1電圧が供給される場合、前記温度に関わらず、前記第1レベルの前記信号を出力する、
半導体装置。
【請求項2】
前記温度が第1温度以上である場合に、前記第1回路は、前記第1レベルの前記信号を出力する、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記素子は、前記第1配線と前記第1端子との間を電気的に接続する導電状態から、前記第1配線と前記第1端子との間を電気的に絶縁する絶縁状態に変化するように構成された、
請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記素子は、前記素子に対してレーザー光が照射されることで溶断する導電体である、
請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記素子は、前記素子に流れる電流の電流値が、第1電流値以上になることで溶断する導電体である、
請求項3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1回路は、電圧が供給される第1端と、前記素子に接続される第2端と、を有するアンチヒューズ素子をさらに含み、
前記アンチヒューズ素子は、前記第1端に第2電圧が供給されることで、前記第1端と前記第2端との間を電気的に接続し、
前記素子は、前記第1端及び前記第2端を介して供給される前記第2電圧に基づいて前記絶縁状態になる、
請求項3記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1回路は、データを記憶可能な記憶素子をさらに含み、
前記素子は、前記データに基づいて前記絶縁状態になる、
請求項3記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1回路は、
前記第1配線に接続された非反転入力端子と、第3電圧が供給される反転入力端子と、出力端子とを有するオペアンプと、
前記非反転入力端子に接続される負荷と、
を備え、
前記非反転入力端子の電圧が、前記第3電圧より高い場合に、前記出力端子の出力に基づいて、前記第1レベルの前記信号を出力するように構成された、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1回路は、
第3電圧が供給される非反転入力端子と、前記第1配線に接続された反転入力端子と、出力端子とを有するオペアンプと、
前記非反転入力端子に接続される負荷と、
を備え、
前記反転入力端子の電圧が、前記第3電圧より低い場合に、前記出力端子の出力に基づいて、前記第1レベルの前記信号を出力するように構成された、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の供給を停止することで、周囲の機器を過剰な温度上昇から保護する半導体装置が知られている。このような半導体装置は、電力の供給が正常に停止されるか否かを判定するためのテスト回路を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-204985号公報
【特許文献2】特開2016-206040号公報
【特許文献3】特開2015-076510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力供給を制御するための電圧の高さが制限されることを抑制しつつ、チップサイズの増加を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1端子と、第2端子と、第3端子と、温度が条件を満たす場合に第1レベルの信号を出力する第1回路と、上記第1端子を介して供給される電圧によって駆動され、上記第1回路が上記第1レベルの上記信号を出力する場合、上記第2端子と上記第3端子との間を電気的に絶縁する第2回路と、を備え、上記第1回路は、第1配線と上記第1端子との間に設けられた素子を含み、上記第1配線に第1電圧が供給される場合、上記温度に関わらず、上記第1レベルの上記信号を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係る電力供給回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図3】実施形態に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図4】実施形態の第1動作例におけるテスト動作を説明するための過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図5】実施形態の第1動作例における通常動作を説明するための過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図6】実施形態の第1動作例における通常動作の際の、半導体装置の温度に対する電圧、及び過温度検知回路から供給される信号の変化の例を説明するためのグラフ。
【
図7】実施形態の第2動作例における通常動作を説明するための過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図8】第1変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図9】第2変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図10】第3変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図11】第4変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図12】第5変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図13】第6変形例に係る電力供給回路の構成の一例を説明するための回路図。
【
図14】第7変形例に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図15】第7変形例に係る電力供給回路及びフィルタ回路の構成の一例を説明するための回路図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、共通する参照符号を付す。
【0008】
1. 実施形態
実施形態に係る半導体装置について説明する。
【0009】
1.1 構成
1.1.1 電力供給システム
実施形態に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成の一例を示すブロック図である。電力供給システムは、半導体装置1、電力源2、駆動回路3、及び負荷4を備える。
【0010】
半導体装置1は、例えばIC(Integrated Circuit)チップである。半導体装置1は、電力源2から供給される電圧VINに基づき、電圧VOUTを負荷4に出力する。
【0011】
半導体装置1は、端子PGND、PVIN、PVOUT、及びPVSHAREを含む。
【0012】
端子PGNDは、接地端子である。端子PGNDには電圧VSSが供給される。電圧VSSは接地電圧である。電圧VSSは、例えば、0Vである。
【0013】
端子PVINは、電力源2に接続される。端子PVINには、電力源2から、電圧VINが供給される。電圧VINは、電圧VSSより高い電圧である。
【0014】
端子PVSHAREは、駆動回路3に接続される。駆動回路3は、半導体装置1を駆動するために用いられる外部の回路や、半導体装置1の温度が過剰に上昇した場合に電力の供給が正常に停止されるか否かを判定するために用いられるテスタである。端子PVSHAREには、駆動回路3から電圧VSHAREが供給される。電圧VSHAREは、半導体装置1を駆動するために用いられる電圧、及び電力の供給が正常に停止されるか否かを判定するために用いられる電圧である。
【0015】
端子PVOUTは、負荷4に接続される。端子PVOUTからは、負荷4に、電圧VOUTが供給される。
【0016】
1.1.2 半導体装置
実施形態に係る半導体装置1の構成について、引き続き
図1を用いて説明する。
【0017】
半導体装置1は、電力供給回路101、過温度検知回路102、及びテスト回路103を含む。
【0018】
電力供給回路101は、過温度検知回路102、並びに端子PVIN、PVSHARE、PVOUT、及びPGNDに接続される。電力供給回路101には、過温度検知回路102から信号OVTが供給される。電力供給回路101には、端子PVSHAREを介して、電圧VSHAREが供給される。電力供給回路101は、電圧VSHAREが“H(High)”レベルである間、イネーブル(Enable)状態になる。“H”レベルの電圧VSHAREは、例えば電圧V1以上である。イネーブル状態である電力供給回路101は、過温度検知回路102からの信号OVTに基づいて、電圧VINに基づく電圧VOUTを供給する。また、電力供給回路101は、電圧VSHAREが“L(Low)”レベルである間、ディセーブル(Disable)状態になる。“L”レベルの電圧VSHAREは、例えば電圧V1未満である。ディセーブル状態である電力供給回路101は、過温度検知回路102からの信号OVTに関わらず、電圧VINに基づく電圧VOUTの供給を停止する。
【0019】
過温度検知回路102は、半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であるか否かを検知する。閾値温度T1は、例えば200℃程度の温度である。過温度検知回路102は、当該検知結果に基づいて電力供給回路101に信号OVTを供給する。より具体的には、過温度検知回路102は、例えば半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であると検知した場合に、電圧VINに基づく電圧VOUTの供給を停止するよう、電力供給回路101に、信号OVTを供給する。また、過温度検知回路102は、例えば半導体装置1の温度が閾値温度T1未満であると検知した場合に、電圧VINに基づく電圧VOUTを供給するよう、電力供給回路101に、信号OVTを供給する。
【0020】
テスト回路103は、端子PVSHAREに接続される。テスト回路103は、電圧VSHAREに基づいて、過温度検知回路102が正常に動作するか否かを判定するよう、過温度検知回路102を制御する。以下では、過温度検知回路102が正常に動作するか否かを判定する動作を、テスト動作と呼ぶ。テスト動作の詳細については後述する。
【0021】
1.1.2.1 電力供給回路の構成
実施形態に係る電力供給回路101の構成の一例について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施形態に係る電力供給回路の構成の一例を説明するための回路図である。実施形態における電力供給回路101はLDO(Low Dropout)レギュレータである。
【0022】
電力供給回路101は、スイッチ素子Q1、抵抗R1及びR2、エラーアンプAMP1、定電圧源VS1、並びに制御回路CNTを有する。スイッチ素子Q1は、P型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0023】
スイッチ素子Q1の第1端は、端子PVINに接続される。スイッチ素子Q1のゲートはエラーアンプAMP1に接続される。スイッチ素子Q1の第2端は、端子PVOUTに接続される。
【0024】
抵抗R1の第1端は端子PVOUTに接続される。抵抗R1の第2端はノードN1に接続される。
【0025】
抵抗R2の第1端はノードN1に接続される。抵抗R2の第2端は端子PGNDに接続される。
【0026】
このような抵抗R1及びR2の構成により、ノードN1の電圧VN1は、抵抗R1及びR2の抵抗値の比に基づく電圧VOUTの分圧となる。
【0027】
定電圧源VS1の第1端は、エラーアンプAMP1に接続される。定電圧源VS1の第1端からは、エラーアンプAMP1に電圧V2が供給される。定電圧源VS1の第2端は、端子PGNDに接続される。
【0028】
制御回路CNTは、第1端、第2端、及び第3端を有する。第1端は端子PVSHAREに接続される。第2端はエラーアンプAMP1に接続される。第3端は端子PGNDに接続される。制御回路CNTの第2端からは、エラーアンプAMP1に、電圧VSHAREに基づく信号STが供給される。より具体的には、制御回路CNTは、電圧VSHAREが“H”レベルである間、電力供給回路101がイネーブル状態になるよう、エラーアンプAMP1に“H”レベルの信号STを供給する。また、制御回路CNTは、電圧VSHAREが“L”レベルである間、電力供給回路101がディセーブル状態になるよう、エラーアンプAMP1に“L”レベルの信号STを供給する。
【0029】
エラーアンプAMP1は、非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)、出力端子、第1制御端子、及び第2制御端子を有する。非反転入力端子(+)は、ノードN1に接続される。反転入力端子(-)は、定電圧源VS1の第1端に接続される。出力端子は、スイッチ素子Q1のゲートに接続される。第1制御端子は、過温度検知回路102に接続される。第2制御端子は、制御回路CNTの第2端に接続される。エラーアンプAMP1は、過温度検知回路102の信号OVT、及び制御回路CNTの信号STに基づいて、スイッチ素子Q1をオン状態又はオフ状態にする。
【0030】
より具体的には、電圧VSHARE及び信号STが“H”レベルである間(電力供給回路101がイネーブル状態とされる間)、信号OVTが“L”レベルである場合に、エラーアンプAMP1は、電圧VINに基づいて、電圧VSSより高い電圧VOUTを供給するよう、スイッチ素子Q1をオン状態にする。電力供給回路101がイネーブル状態とされる間、信号OVTが“H”レベルである場合に、エラーアンプAMP1は、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。また、電圧VSHARE及び信号STが“L”レベルである間(電力供給回路101がディセーブル状態とされる間)、エラーアンプAMP1は、信号OVTに依らず、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。
【0031】
以上のような構成により、電力供給回路101は、電圧VSHARE及び信号OVTに基づいて、負荷4に、電圧VOUTを供給する。
【0032】
1.1.2.2 過温度検知回路及びテスト回路の構成
実施形態に係る過温度検知回路102及びテスト回路103の構成について、
図3を用いて説明する。
図3は、実施形態に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0033】
過温度検知回路102の構成について説明する。
【0034】
過温度検知回路102は、定電流源I1、ダイオードD1、オペアンプAMP2、抵抗R3、及び定電圧源VS2を有する。ダイオードD1はPN接合ダイオードである。
【0035】
定電流源I1はノードN2に電流を供給する。定電流源I1は、例えば電圧VINによって駆動される。定電流源I1が供給する電流の電流値は、半導体装置1の温度変化に対してほとんど変化しない。
【0036】
ダイオードD1のアノードはノードN2に接続される。ダイオードD1のカソードは接地される。ダイオードD1は、例えば、温度の上昇に伴って順方向電圧が減少する負の温度特性を有する。
【0037】
定電圧源VS2の第1端は抵抗R3に接続される。定電圧源VS2の第1端からは、抵抗R3に電圧V3が供給される。定電圧源VS2の第2端は接地される。電圧V3は、半導体装置1の温度変化に対してほとんど変化しない電圧である。電圧V3は、電圧VSSより高い。
【0038】
抵抗R3の第1端は定電圧源VS2の第1端に接続される。抵抗R3の第2端はノードN3に接続される。抵抗R3の抵抗値は、温度変化に対してほとんど変化しない。
【0039】
オペアンプAMP2は、非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)、及び出力端子を有する。非反転入力端子(+)は、ノードN3に接続される。反転入力端子(-)は、ノードN2に接続される。出力端子は電力供給回路101のエラーアンプAMP1の第1制御端子に接続される。出力端子からは信号OVTが供給される。オペアンプAMP2は、ノードN2の電圧VN2(反転入力端子(-)の電圧)と、ノードN3の電圧VN3(非反転入力端子(-)の電圧)との大小関係を比較する。電圧VN3が電圧VN2より高い場合、オペアンプAMP2の出力端子からは、“H”レベルの信号OVTが供給される。電圧VN3が電圧VN2以下である場合、オペアンプAMP2の出力端子からは、“L”レベルの信号OVTが供給される。
【0040】
以上の構成により、過温度検知回路102は、電圧VN2及びVN3の比較結果に基づく信号OVTを、電力供給回路101に供給する。
【0041】
なお、過温度検知回路102は、後述するように、過温度検知回路102とテスト回路103とが電気的に絶縁される場合において、半導体装置1の温度が閾値温度T1であるときの電圧VN2と電圧V3とが同等になるように構成される。
【0042】
テスト回路103の構成について説明する。
【0043】
テスト回路103は、スイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1を有する。スイッチ素子Q2及びQ3は、例えばN型のMOSFETである。
【0044】
素子E1は、端子PVSHARE及びノードN4に接続される。ノードN4は、例えばテスト回路103内の配線である。素子E1は、端子PVSHAREとノードN4との間を電気的に接続する導電状態、及び端子PVSHAREとノードN4との間を電気的に絶縁する絶縁状態を有し得る。
【0045】
より具体的には、素子E1は、例えば半導体チップ上に設けられた導電体の配線パターンである。当該導電体は、例えばポリシリコンを含む。導電状態である素子E1は、端子PVSHAREとノードN4との間を電気的に接続する導電路を形成する。素子E1は、素子E1に対するレーザー光の照射によって、溶断するように構成される。これにより、端子PVSHAREとノードN4との間の導電路は物理的に切断される。すなわち、導電状態である素子E1は、レーザー光の照射によって配線パターンが溶断することにより、絶縁状態である素子E1に不可逆的に変化する。
【0046】
なお、実施形態では、素子E1は、例えば導電状態から絶縁状態へ不可逆的に変化する。しかしながら、これに限られない。素子E1は、導電状態と絶縁状態との間において、可逆的に変化するものであってもよい。
【0047】
定電圧源VS3の第1端は抵抗R4に接続される。定電圧源VS3の第1端からは、抵抗R4に電圧V4が供給される。定電圧源VS3の第2端は接地される。
【0048】
抵抗R4の第1端は定電圧源VS3の第1端に接続される。抵抗R4の第2端はノードN4に接続される。抵抗R4の抵抗値は、素子E1が導電状態である場合に、ノードN4の電圧VN4が電圧VSHAREと同等になるように設定される。
【0049】
定電圧源VS4の第1端はオペアンプAMP3に接続される。定電圧源VS4の第1端からは、オペアンプAMP3に電圧V5が供給される。定電圧源VS4の第2端は接地される。電圧V5は、電圧V4より高い電圧である。
【0050】
オペアンプAMP3は、非反転入力端子(+)、反転入力端子(-)、及び出力端子を有する。反転入力端子(-)は、定電圧源VS4の第1端に接続される。非反転入力端子(+)は、ノードN4に接続される。出力端子はスイッチ素子Q2及びQ3に接続される。オペアンプAMP3は、定電圧源VS4から供給される電圧V5(反転入力端子(-)の電圧)と、ノードN4の電圧VN4(非反転入力端子(-)の電圧)との大小関係を比較する。電圧VN4が電圧V5より高い場合、オペアンプAMP3の出力端子からは、“H”レベルの信号が供給される。電圧VN4が電圧V5以下である場合、オペアンプAMP3の出力端子からは、“L”レベルの信号が供給される。
【0051】
スイッチ素子Q2の第1端は、ノードN2に接続される。スイッチ素子Q2のゲートは、オペアンプAMP3の出力端子に接続される。スイッチ素子Q2の第2端は接地される。
【0052】
スイッチ素子Q3の第1端には、例えば端子PVINを介して電圧VINが供給される。スイッチ素子Q3のゲートは、オペアンプAMP3の出力端子に接続される。スイッチ素子Q3の第2端はノードN3に接続される。
【0053】
以上のような構成により、テスト回路103は、オペアンプAMP3の非反転入力端子(+)の電圧VN4と、オペアンプAMP3の反転入力端子(-)の電圧V5との比較結果に基づいて、スイッチ素子Q2及びQ3を、オン状態又はオフ状態にする。スイッチ素子Q2がオン状態である場合、電圧VN2は電圧VSSになる。スイッチ素子Q3がオン状態である場合、電圧VN3は電圧VINになる。スイッチ素子Q2及びQ3がオフ状態である場合、過温度検知回路102とテスト回路103とは電気的に絶縁される。これにより、電圧VN2は、定電流源I1及びダイオードD1に依存する。また、電圧VN3は定電圧源VS2及び抵抗R3に依存する。
【0054】
1.2 動作
実施形態に係る半導体装置1の動作について説明する。実施形態に係る半導体装置1の動作は、テスト動作、及びテスト動作の後の半導体装置1の動作を含む。以下の説明では、テスト動作の後の半導体装置1の動作を、単に通常動作と呼ぶ。
【0055】
以下では、通常動作において絶縁状態である素子E1を含む半導体装置1が用いられる第1動作例、及び通常動作において導電状態である素子E1を含む半導体装置1が用いられる第2動作例について説明する。
【0056】
なお、第1動作例及び第2動作例において、テスト動作は、導電状態である素子E1を含む半導体装置1を用いて実行される。
【0057】
1.2.1 第1動作例
第1動作例について説明する。
【0058】
第1動作例では、テスト動作が実行された後、通常動作の前に、素子E1の状態は、導電状態から絶縁状態になる。そして、絶縁状態である素子E1を含む半導体装置1を用いて、通常動作が実行される。
【0059】
1.2.1.1 テスト動作
テスト動作について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係るテスト動作を説明するための過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0060】
テスト動作は、例えば半導体装置1の温度が室温と同等である環境において、実行される。実施形態における室温は、閾値温度T1未満である。実施形態における室温は、例えば25℃程度の温度である。
【0061】
テスト動作において、テスト回路103は、過温度検知回路102が、半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であると疑似的に検知するよう、電圧VN2及びVN3に電圧を供給する。過温度検知回路102が、半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であると疑似的に検知した場合に、過温度検知回路102が正常に動作すると判定される。過温度検知回路102が、半導体装置1の温度が閾値温度T1未満であると検知した場合に、過温度検知回路102が故障していると判定される。
【0062】
テスト動作において、素子E1は導電状態である。
図4において、導電状態である素子E1に“○”印が付される。これにより、ノードN4と、端子PVSHAREとは、電気的に接続される。
【0063】
テスト動作において、端子PVINには、電圧VINが供給される。
【0064】
端子PVSHAREには、電圧VSHAREが供給される。テスト動作において、電圧VSHAREは、電圧V1及びV5より高い“H”レベルの電圧である。
【0065】
テスト回路103において、素子E1が導電状態であるため、電圧VN4は電圧VSHAREと同等になる。これにより、オペアンプAMP3の非反転入力端子(+)の電圧VN4は、オペアンプAMP3の反転入力端子(-)の電圧V5より高くなる。このため、オペアンプAMP3の働きにより、スイッチ素子Q2及びQ3はオン状態になる。
図4において、オン状態であるスイッチ素子Q2及びQ3に“○”印が付される。したがって、ノードN2(オペアンプAMP2の反転入力端子(-))は、スイッチ素子Q2を介して接地される。また、ノードN3(オペアンプAMP2の非反転入力端子(+))には、スイッチ素子Q3を介して、電圧VINが供給される。
【0066】
以上のことから、過温度検知回路102が正常に動作する場合、エラーアンプAMP1の第1制御端子には、オペアンプAMP2の出力端子から“H”レベルの信号OVTが供給される。すなわち、過温度検知回路102は、半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であることを、擬似的に検知する。
【0067】
電力供給回路101は、端子PVSHAREを介して供給される“H”レベルの電圧VSHAREに基づいて、イネーブル状態とされる。電力供給回路101がイネーブル状態とされる間、エラーアンプAMP1は、“H”レベルの信号OVTに基づいて、出力端子から、例えば電圧VINと同等の電圧を出力する。これにより、スイッチ素子Q1はオフ状態になる。したがって、電圧VOUTは電圧VSSと同等になる。
【0068】
一方、過温度検知回路102が故障している場合、エラーアンプAMP1の第1制御端子には、オペアンプAMP2の出力端子から“L”レベルの信号OVTが供給されることがある。この場合、過温度検知回路102は、半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であることを、擬似的に検知することができない。
【0069】
イネーブル状態の電力供給回路101において、エラーアンプAMP1は、故障した過温度検知回路102から供給される“L”レベルの信号OVTに基づいて、スイッチ素子Q1をオン状態にする。これにより、スイッチ素子Q1の第2端からは、電圧VINに基づいて、電圧VSSより高い電圧VOUTが供給される。
【0070】
以上のことから、テスト動作において、電圧VOUTが電圧VSSと同等である場合に、過温度検知回路102が正常に動作すると判定される。また、テスト動作において、電圧VOUTが、例えば電圧VSSより高い場合に、過温度検知回路102が故障していると判定される。
【0071】
以上の動作により、テスト動作が終了する。
【0072】
1.2.1.2 通常動作
通常動作について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、実施形態の第1動作例における通常動作を説明するための過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
図6は、実施形態の第1動作例における通常動作の際の、半導体装置1の温度に対する電圧VN2及びVN3、並びに過温度検知回路102から供給される信号OVTの変化の例を説明するためのグラフである。
【0073】
テスト動作において正常に動作する半導体装置であると判定された場合、上述のように、通常動作の前に、素子E1の状態は導電状態から絶縁状態とされる。より具体的には、半導体チップ上の素子E1に対するレーザー光の照射によって、素子E1は溶断する。なお、
図5において、絶縁状態である素子E1に“×”印が付される。
【0074】
素子E1が溶断することにより、テスト回路103において、電圧VN4は電圧V4と同等になる。これにより、オペアンプAMP3は、電圧VSHAREに依らず、スイッチ素子Q2及びQ3をオフ状態にする。
図5において、オフ状態であるスイッチ素子Q2及びQ3に“×”印が付される。
【0075】
スイッチ素子Q2がオフ状態であることにより、過温度検知回路102において、電圧VN2は、ダイオードD1及び定電流源I1に基づいて決定される。これにより、
図6に示すように、電圧VN2は、ダイオードD1の負の温度特性によって、半導体装置1の温度の上昇とともに低下する。また、スイッチ素子Q3がオフ状態であることにより、電圧VN3は電圧V3と同等になる。
【0076】
まず、電力供給回路101がイネーブル状態とされる場合の動作について説明する。
【0077】
電力供給回路101がイネーブル状態とされる場合、端子PVSHAREには“H”レベルの電圧が供給される。
【0078】
図6に示すように、半導体装置1の温度が閾値温度T1未満であるとき、電圧VN2は電圧VN3より高い。このため、信号OVTは“L”レベルである。イネーブル状態である電力供給回路101において、信号OVTが“L”レベルである場合に、エラーアンプAMP1は、エラーアンプAMP1の非反転入力端子(+)の電圧VN1、及びエラーアンプAMP1の反転入力端子(-)のV2が同等になるようにスイッチ素子Q1のゲートに電圧を供給する。すなわち、エラーアンプAMP1は、電圧VOUTが目標電圧VTARGと同等になるようにスイッチ素子Q1のゲートに電圧を供給する。より具体的には、エラーアンプAMP1の出力端子から供給される電圧は、電圧VN1から電圧V2を減算した電圧の上昇に伴って高くなる。これにより、電圧VN1から電圧V2を減算した電圧の上昇に伴って、スイッチ素子Q1のオン抵抗は高くなる。このため、エラーアンプAMP1は、電圧VOUTが目標電圧VTARGより高い場合に、出力端子から、電圧VOUTが目標電圧VTARGと同等である場合に出力する電圧よりも高い電圧を出力するように、構成される。また、エラーアンプAMP1は、電圧VOUTが目標電圧VTARG未満である場合に、出力端子から、電圧VOUTが目標電圧VTARGと同等である場合に出力する電圧よりも低い電圧を出力するように、構成される。以上のようにして、エラーアンプAMP1は、負荷4に、目標電圧VTARGと同等の電圧VOUTを供給するよう、スイッチ素子Q1のゲートに電圧を供給する。
【0079】
また、半導体装置1の温度が閾値温度T1以上であるとき、電圧VN2は電圧VN3以下である。これにより、信号OVTは“H”レベルである。イネーブル状態である電力供給回路101において、信号OVTが“H”レベルである場合に、エラーアンプAMP1は、テスト動作と同等に、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。したがって、電圧VINに基づく電圧VOUTの供給は停止される。すなわち、電圧VOUTは、電圧VSSと同等になる。
【0080】
次に、電力供給回路101がディセーブル状態とされる場合の動作が説明される。
【0081】
電力供給回路101がディセーブル状態とされる場合、端子PVSHAREには“L”レベルの電圧が供給される。ディセーブル状態である電力供給回路101において、エラーアンプAMP1は、信号OVTに依らず、テスト動作と同等に、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。したがって、半導体装置1の温度に依らず、電圧VINに基づく電圧VOUTの供給は停止される。
【0082】
以上のようにして、通常動作が実行される。
【0083】
1.2.2 第2動作例
次に、第2動作例における半導体装置1の動作について、
図7を用いて説明する。
図7は、実施形態の第2動作例における通常動作を説明するための過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。第2動作例におけるテスト動作は、第1動作例におけるテスト動作と同等であるため、その説明を省略する。以下では、第2動作例における通常動作について、第1動作例における通常動作と異なる点が主に説明される。なお、第2動作例において、電圧V5は電圧V1より高い。
【0084】
第2動作例における通常動作は、上述のように、導電状態である素子E1を含む半導体装置を用いて実行される。すなわち、テスト動作が実行された後、通常動作が実行される前に、素子E1は溶断しない。
【0085】
端子PVSHAREには電圧VSHAREが印加される。第2動作例における通常動作において、電圧VSHAREは、電圧V1以上であり、かつ電圧V5未満である。これにより、テスト回路103において、電圧VN4は、電圧V5未満になる。したがって、オペアンプAMP3の働きにより、
図7に示すように、スイッチ素子Q2及びQ3は常にオフ状態になる。
【0086】
第2動作例の通常動作における電力供給回路101及び過温度検知回路102の動作は、第1動作例の通常動作における電力供給回路101及び過温度検知回路102の動作と実質的に同等であるため、それらの説明を省略する。
【0087】
以上のような通常動作によっても、半導体装置1は、半導体装置1の温度に基づいて、負荷4に電圧VOUTを供給することができる。
【0088】
1.3 実施形態に係る効果
実施形態に係る半導体装置1によれば、電力供給を制御するための電圧の高さが制限されることを抑制しつつ、チップサイズの増加を抑制することができる。
【0089】
実施形態の半導体装置1は、端子PVSHARE、PVIN、及びPVOUT、並びに電力供給回路101、過温度検知回路102、及びテスト回路103を備える。電力供給回路101は、端子PVSHAREを介して供給される電圧VSHAREに基づいて駆動される。過温度検知回路102は、半導体装置1の温度が過剰に上昇しているか否かを判定する。テスト回路103において、端子PVSHAREとノードN4との間には、素子E1が設けられる。素子E1は、導電状態及び絶縁状態を有し得る、導電体の配線パターンである。テスト回路103は、ノードN4の電圧VN4が電圧V5以上になる場合に、半導体装置1の温度が過剰に上昇していると、過温度検知回路102に擬似的に判定させるように構成される。電力供給回路101は、過温度検知回路102が半導体装置1の温度が過剰に上昇していると判定する場合、端子PVIN及びPVOUTの間を電気的に絶縁する。
【0090】
実施形態の半導体装置1において、電力供給回路101及びテスト回路103は端子PVSHAREを共有する。これにより、半導体装置1のチップサイズの増加を抑制することができる。また、実施形態の第1動作例では、テスト動作が実行された後、レーザー光の照射によって、素子E1は溶断する。これにより、端子PVSHAREとノードN4とは電気的に絶縁される。このため、通常動作において、テスト回路103の構成によって、電圧VSHAREの高さが制限されることを抑制することができる。これらのことから、実施形態に係る半導体装置1であれば、通常動作において供給される電圧VSHAREの高さが制限されることを抑制しつつ、チップサイズの増加を抑制することができる。
【0091】
補足すると、通常動作を実行するための電圧が供給される端子と、テスト動作を実行するための電圧が供給される端子とが異なる場合、半導体チップ上に設けられるパッドの数が増加してしまう。これにより、半導体チップの面積が増大してしまう問題がある。半導体チップ上に設けられるパッドの数の増加を抑制するため、通常動作を実行するための電圧が供給される端子と、テスト動作を実行するための電圧が供給される端子とを共有することが望ましい。
【0092】
しかしながら、通常動作を実行するための電圧が供給される端子と、テスト動作を実行するための電圧が供給される端子とを共有する場合、通常動作において当該端子に供給される電圧の高さが制限されてしまうことがある。より具体的には、テスト回路と上記端子との間を電気的に絶縁可能な構成を含まない場合、通常動作を実行するための電圧は、テスト回路にも供給される。これにより、通常動作中にテスト動作が実行されてしまうことを抑制するために、テスト動作において上記端子に供給される電圧の範囲と、通常動作において上記端子に供給される電圧の範囲とは、互いに重ならないように設定される。
【0093】
実施形態によれば、テスト回路103は、端子PVSHAREとノードN4との間に素子E1を含む。実施形態の第1動作例において、テスト動作の後、通常動作を実行する前に、素子E1が溶断することで、テスト回路103と過温度検知回路102とを電気的に絶縁することができる。これにより、通常動作を実行するための電圧が供給される端子と、テスト動作を実行するための電圧が供給される端子とを共有しても、通常動作中にテスト動作が実行されることを抑制することができる。したがって、通常動作における電圧VSHAREの高さが制限されることを抑制しつつ、チップサイズの増加を抑制することができる。
【0094】
また、実施形態に係る半導体装置1であれば、実施形態の第2動作例のように、素子E1が端子PVSHAREとノードN4との間を電気的に絶縁しない場合であっても、通常動作を実行することができる。
【0095】
2. 変形例
次に、変形例に係る半導体装置について説明する。以下では、実施形態と同等の構成及び動作についてはその説明を省略し、実施形態と異なる構成及び動作について主に説明する。
【0096】
2.1 第1変形例
上述の実施形態では、レーザー光を照射することで、素子E1が溶断するように構成される例を示したが、これに限られない。素子E1は、例えば素子E1に流れる電流に基づいて溶断するように構成されてもよい。以下では、第1変形例に係る半導体装置1の構成及び動作について、実施形態と異なる点が主に説明される。
【0097】
第1変形例に係る半導体装置1の構成について、
図8を用いて説明する。
図8は、第1変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0098】
第1変形例のテスト回路103は、スイッチ素子Q2、Q3、Q4、Q5、及びQ6、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1を含む。スイッチ素子Q4、Q5、及びQ6は、例えばN型のMOSFETである。スイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、並びにオペアンプAMP3の構成は、実施形態におけるスイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、並びにオペアンプAMP3の構成と同等である。
【0099】
スイッチ素子Q4の第1端は端子PVSHAREに接続される。スイッチ素子Q4の第2端は、ノードN5に接続される。スイッチ素子Q4のゲートには、信号Sが供給される。信号Sは、“H”レベル又は“L”レベルの信号である。スイッチ素子Q4のオン電圧は、“L”レベルの信号Sより高い、かつ“H”レベルの信号S以下の電圧である。
【0100】
スイッチ素子Q5の第1端は端子PVINに接続される。スイッチ素子Q5の第2端は、ノードN5に接続される。スイッチ素子Q5のゲートには、信号/Sが供給される。信号/Sは、信号Sの反転信号である。スイッチ素子Q5のオン電圧は、例えばスイッチ素子Q4のオン電圧と同等である。
【0101】
スイッチ素子Q6の第1端は接地される。スイッチ素子Q6の第2端は、ノードN4に接続される。スイッチ素子Q6のゲートには、信号/Sが供給される。スイッチ素子Q6のオン電圧は、例えばスイッチ素子Q4のオン電圧、及びスイッチ素子Q5のオン電圧と同等である。
【0102】
素子E1は、ノードN4及びN5に接続される。素子E1は、ノードN4及びN5の間を電気的に接続する導電状態、及びノードN4及びN5の間を電気的に絶縁する絶縁状態を有し得る。素子E1の配線パターンは、配線パターンに流れる電流に基づいて、溶断するように構成される。より具体的には、素子E1は、例えば素子E1に流れる電流が、予め定められる第1期間にわたって第1電流値以上である場合に、溶断するように構成される。ここで、第1電流値は、例えばテスト動作において配線パターンに流れる電流の電流値よりも大きくなるように設定される。このような構成により、素子E1は、ノードN4及びN5の間の配線パターンを物理的に切断することにより、状態が導電状態から絶縁状態に不可逆的に変化するように構成される。
【0103】
第1変形例における電力供給回路101及び過温度検知回路102の構成は、実施形態における電力供給回路101及び過温度検知回路102の構成と同等である。
【0104】
第1変形例に係る半導体装置1の動作について説明する。
【0105】
第1変形例の第1動作例のテスト動作において、信号Sは“H”レベルとされる。これにより、スイッチ素子Q4はオン状態となる。また、信号/Sは“L”レベルとされる。これにより、スイッチ素子Q5及びQ6はオフ状態となる。第1変形例の第1動作例のテスト動作は、スイッチ素子Q4、Q5、及び6の動作を除き、実施形態の第1動作例のテスト動作と実質的に同等である。
【0106】
第1変形例の第1動作例では、テスト動作及び通常動作の間において、信号Sは“L”レベルとされる。これにより、スイッチ素子Q4はオフ状態となる。また、信号/Sは“H”レベルとされる。これにより、スイッチ素子Q5及びQ6はオン状態となる。そして、素子E1には、端子PVINを介して、第1期間にわたって、第1電流値以上の電流が流れる。これにより、素子E1が溶断する。
【0107】
なお、素子E1は、例えば半導体装置1が絶縁体により封止されない半導体チップにおいて溶断するが、これに限られない。素子E1は、半導体装置1が絶縁体により封止されたパッケージにおいて、溶断してもよい。
【0108】
第1変形例の第1動作例の通常動作において、信号Sは“H”レベルとされる。また、信号/Sは“L”レベルとされる。第1変形例の第1動作例の通常動作は、スイッチ素子Q4、Q5、及び6の動作を除き、実施形態の第1動作例の通常動作と実質的に同等である。
【0109】
第1変形例の第2動作例のテスト動作は、第1変形例の第1動作例のテスト動作と同等である。
【0110】
第1変形例の第2動作例の通常動作において供給される信号S及び/Sは、第1変形例の第1動作例の通常動作において供給される信号S及び/Sと同等である。第1変形例の第2動作例の通常動作は、スイッチ素子Q4、Q5、及び6の動作を除き、実施形態の第2動作例の通常動作と実質的に同等である。
【0111】
第1変形例においても、実施形態と同等の効果が奏される。
【0112】
なお、上述の第1変形例では、第1変形例の第1動作例のテスト動作及び通常動作の間において、端子PVINを介して素子E1に流れる電流によって、素子E1が溶断する例を示した。しかしながら、これに限られない。素子E1は、端子PVSHAREを介して素子E1に流れる電流によって、溶断するように構成されてもよい。この場合、スイッチ素子Q6のゲートには、例えば信号Sが供給される。
【0113】
2.2 第2変形例
上述の実施形態では、テスト回路103がスイッチ素子Q2及びQ3を含む場合を示したが、これに限られない。テスト回路103は、スイッチ素子Q2及びQ3のうちいずれか1つのスイッチ素子のみを含むものであってもよい。以下では、第2変形例に係る半導体装置の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置の構成及び動作と異なる点が主に説明される。
【0114】
第2変形例に係る半導体装置1の構成について
図9を用いて説明する。
図9は、第2変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0115】
図9に示されるテスト回路103は、スイッチ素子Q3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1を含む。すなわち、テスト回路103は、実施形態におけるスイッチ素子Q2及びQ3のうち、スイッチ素子Q3のみを含む。スイッチ素子Q3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1の構成は、実施形態におけるテスト回路103のスイッチ素子Q3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1の構成と同等である。
【0116】
第2変形例における電力供給回路101及び過温度検知回路102の構成は、実施形態における電力供給回路101及び過温度検知回路102の構成と同等である。
【0117】
なお、
図9では、テスト回路103がスイッチ素子Q3を含む例を示したが、これに限られない。第2変形例におけるテスト回路103は、スイッチ素子Q2及びQ3のうちスイッチ素子Q2のみを含むものであってもよい。この場合、テスト回路103は、スイッチ素子Q2、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1を含む。スイッチ素子Q2、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1の構成は、実施形態におけるテスト回路103のスイッチ素子Q2、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1の構成と同等である。
【0118】
第2変形例における半導体装置1の動作は、実施形態における半導体装置1の動作と実質的に同等であるため、この説明を省略する。
【0119】
第2変形例によっても、実施形態と同等の効果が奏される。
【0120】
2.3 第3変形例
上記実施形態、第1変形例、及び第2変形例では、素子E1として、溶断する配線パターンが用いられる場合を示したが、これに限られない。素子E1として、スイッチ素子が用いられてもよい。以下では、第3変形例に係る半導体装置の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置1の構成及び動作と異なる点が主に説明される。
【0121】
第3変形例に係る半導体装置1の構成について
図10を用いて説明する。
図10は、第3変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0122】
第3変形例のテスト回路103は、スイッチ素子Q2、Q3、及びQ7、抵抗R4及びR5、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びにアンチヒューズ素子E2を含む。スイッチ素子Q7は、例えばP型のMOSFETである。スイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3の構成は、実施形態におけるテスト回路103のスイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3の構成と同等である。
【0123】
アンチヒューズ素子E2は、例えば端子PVINに接続される第1端、及びノードN6に接続される第2端を含む。アンチヒューズ素子E2は、第1端と第2端との間を電気的に絶縁する絶縁状態から、第1端と第2端との間を電気的に接続する導電状態へ、変化する。より具体的には、絶縁状態におけるアンチヒューズ素子E2は、第1端と第2端との間を電気的に絶縁する絶縁膜を含む。アンチヒューズ素子E2は、第1端と第2端との間の電圧が高くなることによって絶縁膜が破壊されることで、絶縁状態から導電状態に不可逆的に変化するように構成される。絶縁膜は、例えばアンチヒューズ素子E2の第1端に、予め定められた高さ以上の電圧が供給された場合に破壊される。当該電圧は、通常動作における電圧VINより高い。
【0124】
抵抗R5の第1端は、ノードN6に接続される。抵抗R5の第2端は、接地される。
【0125】
スイッチ素子Q7の第1端はPVSHAREに接続される。スイッチ素子Q7のゲートはノードN6に接続される。スイッチ素子Q7の第2端はノードN4に接続される。スイッチ素子Q7のオン状態は、端子PVSHAREとノードN4とが電気的に接続された導電状態である。スイッチ素子Q7のオフ状態は、端子PVSHAREとノードN4とが電気的に絶縁された絶縁状態である。すなわち、スイッチ素子Q7は、導電状態と絶縁状態との間において、状態が可逆的に変化し得る素子である。スイッチ素子Q7のオン電圧は、例えば通常動作における電圧VINより低い電圧である。
【0126】
以上のような構成により、アンチヒューズ素子E2の絶縁膜が破壊されない場合に、スイッチ素子Q7のゲートには、電圧VSSが供給される。これにより、スイッチ素子Q7はオン状態になる。また、アンチヒューズ素子E2の絶縁膜が破壊された場合に、スイッチ素子Q7のゲートには、アンチヒューズ素子E2を介して、電圧VINが供給される。これにより、スイッチ素子Q7のゲートに、通常動作における電圧VINが供給された場合に、スイッチ素子Q7はオフ状態になる。
【0127】
第3変形例における電力供給回路101及び過温度検知回路102の構成は、実施形態における電力供給回路101及び過温度検知回路102の構成と同等である。
【0128】
第3変形例に係る半導体装置1の動作について説明する。
【0129】
第3変形例の第1動作例のテスト動作において、電圧VINは、アンチヒューズ素子E2の絶縁膜が破壊されない高さに設定される。これにより、スイッチ素子Q7はオン状態とされる。第3変形例の第1動作例のテスト動作は、スイッチ素子Q7がオン状態であることを除き、実施形態の第1動作例のテスト動作と実質的に同等である。
【0130】
第3変形例の第1動作例では、テスト動作及び通常動作の間において、端子PVINを介した電圧VINの供給によって、アンチヒューズ素子E2の絶縁膜は破壊される。これにより、アンチヒューズ素子E2を介してスイッチ素子Q7のゲートに、電圧VINが供給される。
【0131】
なお、アンチヒューズ素子E2の絶縁膜は、例えば半導体装置1が絶縁体により封止されない半導体チップにおいて破壊されるが、これに限られない。アンチヒューズ素子E2の絶縁膜は、半導体装置1が絶縁体により封止されたパッケージにおいて、破壊されてもよい。
【0132】
第3変形例の第1動作例の通常動作において、スイッチ素子Q7のゲートへの電圧VINの供給により、スイッチ素子Q7はオフ状態になる。通常動作は、スイッチ素子Q7がオフ状態であることを除き、実施形態の第1動作例の通常動作と実質的に同等である。
【0133】
第3変形例の第2動作例のテスト動作は、第3変形例の第1動作例のテスト動作と同等である。
【0134】
第3変形例の第2動作例の通常動作は、スイッチ素子Q7がオン状態であることを除き、実施形態の第2動作例の通常動作と実質的に同等である。
【0135】
第3変形例によっても、実施形態、第1変形例、及び第2変形例と同等の効果が奏される。
【0136】
2.4 第4変形例
第3変形例では、スイッチ素子Q7が、絶縁膜破壊型のヒューズ素子によってオン状態又はオフ状態とされる場合を示したが、これに限られない。スイッチ素子Q7の状態は、不揮発性メモリによってオン状態又はオフ状態とされるように構成されてもよい。以下では、第4変形例に係る半導体装置の構成及び動作について、第3変形例に係る半導体装置1の構成及び動作と異なる点が主に説明される。
【0137】
第4変形例に係る半導体装置1の構成について、
図11を用いて説明する。
図11は、第4変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0138】
第4変形例のテスト回路103は、スイッチ素子Q2、Q3、及びQ7、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに記憶回路Mを含む。第4変形例におけるスイッチ素子Q2、Q3、及びQ7、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3の構成は、第3変形例におけるテスト回路103のスイッチ素子Q2、Q3、及びQ7、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3の構成と同等である。
【0139】
第4変形例において、記憶回路Mは、第1メモリセルを有する。第1メモリセルは、例えばEEPROM
TM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、OTP(One Time Programmable)メモリ、及びフラッシュメモリに含まれる素子である。第1メモリセルは、“0”データ(
図11中、「“0”」で示される)及び“1”データ(
図11中、「“1”」で示される)を記憶する。記憶回路Mは、例えば半導体装置1の内部又は外部の回路によって、第1メモリセルのデータを書き換え可能に構成される。記憶回路Mは、第1メモリセルが“0”データを記憶する場合、スイッチ素子Q7のゲートに電圧Vonを供給するように構成される(
図11中、「“0”:Von」で示される)。電圧Vonは、スイッチ素子Q7のオン電圧以下の電圧である。また、記憶回路Mは、第1メモリ素子が“1”データを記憶している場合、スイッチ素子Q7のゲートに電圧Voffを供給するように構成される(
図11中、「“1”:Voff」で示される)。電圧Voffは、スイッチ素子Q7のオン電圧より高い電圧である。
【0140】
第4変形例に係る半導体装置1の動作について説明する。
【0141】
第4変形例の第1動作例のテスト動作において、第1メモリ素子は“0”データを記憶する。これにより、スイッチ素子Q7のゲートには電圧Vonが供給される。これにより、スイッチ素子Q7はオン状態とされる。第4変形例の第1動作例のテスト動作は、第3変形例の第1動作例のテスト動作と実質的に同等である。
【0142】
第4変形例の第1動作例において、テスト動作の後、通常動作の前に、第1メモリ素子のデータが、“0”データから“1”データに書き換えられる。これにより、スイッチ素子Q7のゲートには電圧Voffが供給される。したがって、通常動作においてスイッチ素子Q7はオフ状態となる。
【0143】
第4変形例の第1動作例の通常動作は、第1メモリ素子が第2データを記憶することを除き、第3変形例の第1動作例の通常動作と同等である。
【0144】
第4変形例の第2動作例のテスト動作は、第4変形例の第1動作例のテスト動作と同等である。
【0145】
第4変形例の第2動作例の通常動作は、第1メモリ素子が“0”データを記憶することを除き、第3変形例の第2動作例のテスト動作と同等である。
【0146】
第4変形例によっても、実施形態、及び第1変形例~第3変形例と同等の効果が奏される。
【0147】
2.5 第5変形例
上述の実施形態、及び第1変形例~第4変形例では、電力供給回路101が、“H”レベルの電圧VSHAREに基づいてイネーブル状態とされ、“L”レベルの電圧VSHAREに基づいてディセーブル状態とされる場合を示したが、これに限られない。電力供給回路101は、“L”レベルの電圧VSHAREに基づいてイネーブル状態とされ、“H”レベルの電圧VSHAREに基づいてディセーブル状態とされてもよい。以下では、第5変形例に係る半導体装置の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置の構成及び動作と異なる点が主に説明される。
【0148】
2.5.1 構成
第5変形例に係る電力供給回路101は、スイッチ素子Q1、抵抗R1及びR2、エラーアンプAMP1、定電圧源VS1、並びに制御回路CNTを含む。スイッチ素子Q1、抵抗R1及びR2、エラーアンプAMP1、並びに定電圧源VS1の構成は、実施形態に係るスイッチ素子Q1、抵抗R1及びR2、エラーアンプAMP1、並びに定電圧源VS1の構成と同等である。
【0149】
第5変形例において、制御回路CNTは、電圧VSHAREが“L”レベルである間(電圧VSHAREが電圧V1未満である間)、電力供給回路101がイネーブル状態になるよう、エラーアンプAMP1に“H”レベルの信号STを供給する。また、制御回路CNTは、電圧VSHAREが“H”レベルである間、電力供給回路101がディセーブル状態になるよう、エラーアンプAMP1に“L”レベルの信号STを供給する。
【0150】
第5変形例に係る過温度検知回路102及びテスト回路103の構成について
図12を用いて説明する。
図12は、第5変形例に係る過温度検知回路及びテスト回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0151】
テスト回路103は、スイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、オペアンプAMP3、並びに素子E1を有する。スイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、並びに素子E1の構成は、実施形態におけるスイッチ素子Q2及びQ3、抵抗R4、定電圧源VS3及びVS4、並びに素子E1の構成と同等である。
【0152】
第5変形例において、オペアンプAMP3の反転入力端子(-)は、ノードN4に接続される。オペアンプAMP3の非反転入力端子(+)は、定電圧源VS4の第1端に接続される。
【0153】
なお、第5変形例において、定電圧源VS3から供給される電圧V4は、定電圧源VS4から供給される電圧V5より高い。
【0154】
第5変形例における過温度検知回路102の構成は、実施形態における過温度検知回路102の構成と同等である。
【0155】
2.5.2 動作
第5変形例の第1動作例及び第2動作例についてそれぞれ、実施形態の第1動作例及び第2動作例と異なる点が主に説明される。
【0156】
2.5.2.1 第1動作例
第5変形例における第1動作例のテスト動作及び通常動作について、実施形態における第1動作例のテスト動作及び通常動作と異なる点について説明する。
【0157】
テスト動作において、電圧VSHAREは電圧V1及びV5未満である。これにより、テスト回路103において、オペアンプAMP3の働きにより、スイッチ素子Q2及びQ3はオン状態になる。
【0158】
また、電力供給回路101は、“L”レベルの電圧VSHAREに基づいて、イネーブル状態とされる。
【0159】
第5変形例の第1動作例のテスト動作におけるその他の動作は、実施形態の第1動作例のテスト動作と、実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0160】
通常動作において、電力供給回路101がイネーブル状態とされる場合、端子PVSHAREには、“L”レベルの電圧VSHAREが供給される。
【0161】
また、電力供給回路101がディセーブル状態とされる場合、端子PVSHAREには“H”レベルの電圧VSHAREが供給される。
【0162】
第5変形例の第1動作例の通常動作におけるその他の動作は、実施形態の第1動作例の通常動作における動作と、実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0163】
2.5.2.2 第2動作例
第5変形例における第2動作例のテスト動作及び通常動作について、実施形態における第2動作例のテスト動作及び通常動作と異なる点について説明する。なお、第2動作例において、電圧V1は電圧V5より高い電圧である。
【0164】
第5変形例の第2動作例におけるテスト動作は、第5変形例の第1動作例におけるテスト動作と同等であるため、その説明を省略する。
【0165】
通常動作において、実施形態の第2動作例の通常動作と同等に、素子E1は導電状態である。
【0166】
端子PVSHAREに供給される電圧VSHAREは、電圧V5より高い、かつ電圧V1未満である。これにより、オペアンプAMP3の非反転入力端子(+)の電圧VN4は、オペアンプAMP3の反転入力端子(-)の電圧V5より高くなる。このため、オペアンプAMP3の働きにより、スイッチ素子Q2及びQ3はオフ状態になる。
【0167】
第5変形例の第2動作例の通常動作におけるその他の動作は、実施形態の第2動作例の通常動作における動作と、実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0168】
第5変形例によっても、実施形態、及び第1変形例~第4変形例と同等の効果が奏される。
【0169】
2.6 第6変形例
上述の実施形態、及び第1変形例~第5変形例では、電力供給回路101がLDOレギュレータである場合を示したが、これに限られない。電力供給回路101は、ロードスイッチであってもよい。以下では、第6変形例に係る半導体装置の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置の構成及び動作と異なる点が主に説明される。
【0170】
電力供給回路101の構成について
図13を用いて説明する。
図13は、第6変形例に係る電力供給回路の構成の一例を説明するための回路図である。
【0171】
電力供給回路101は、スイッチ素子Q1、ドライバDRV、及び制御回路CNTを有する。上述のように、電力供給回路101は、ロードスイッチである。
【0172】
スイッチ素子Q1のゲートはドライバDRVに接続される。
【0173】
制御回路CNTの第2端はドライバDRVに接続される。第2端からは、ドライバDRVに、電圧VSHAREに基づく信号STが供給される。
【0174】
ドライバDRVは、第1制御端子、第2制御端子、及び出力端子を有する。第1制御端子は、過温度検知回路102に接続される。第2制御端子は、制御回路CNTの第2端に接続される。出力端子は、スイッチ素子Q1のゲートに接続される。ドライバDRVは、過温度検知回路102の信号OVT、及び制御回路CNTの信号STに基づいて、スイッチ素子Q1をオン状態又はオフ状態にする。
【0175】
より具体的には、電圧VSHARE及び信号STが“H”レベルである間(電力供給回路101がイネーブル状態とされる間)、信号OVTが“L”レベルである場合に、ドライバDRVは、電圧VINに基づいて、電圧VSSより高い電圧VOUTを供給するよう、スイッチ素子Q1をオン状態にする。電力供給回路101がイネーブル状態とされる間、信号OVTが“H”レベルである場合に、ドライバDRVは、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。また、電圧VSHARE及び信号STが“L”レベルである間(電力供給回路101がディセーブル状態とされる間)、ドライバDRVは、信号OVTに依らず、スイッチ素子Q1をオフ状態にする。
【0176】
以上のような構成により、電力供給回路101は、電圧VSHARE及び信号OVTに基づいて、負荷4に、電圧VOUTを供給する。
【0177】
第6変形例に係る半導体装置1の動作は、実施形態に係る半導体装置の動作と実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0178】
第6変形例によっても、実施形態、及び第1変形例~第5変形例と同等の効果が奏される。
【0179】
2.7 第7変形例
上述の実施形態、及び第1変形例~第6変形例では、電力供給回路101がLDOレギュレータ、及びロードスイッチである場合を示したが、これに限られない。電力供給回路101は、DC-DCコンバータに含まれる構成であってもよい。以下では、第7変形例に係る半導体装置の構成及び動作について、実施形態に係る半導体装置の構成及び動作と異なる点が主に説明される。
【0180】
2.7.1 電力供給システム
実施形態に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成について、
図14を用いて説明する。
図14は、第7変形例に係る半導体装置を含む電力供給システムの構成の一例を示すブロック図である。電力供給システムは、半導体装置1、電力源2、駆動回路3、負荷4、及びフィルタ回路5を備える。
【0181】
半導体装置1は、端子PGND、PVIN、PVSHARE、PVSW、及びPFBを含む。
【0182】
端子PVSWは、フィルタ回路5に接続される。端子PVSWからは、フィルタ回路5に、電圧VSWが供給される。電圧VSWは、電圧VOUTを生成するために用いられる電圧である。フィルタ回路5は、半導体装置1から供給される電圧VSWの平滑化処理を行う。フィルタ回路5は、平滑化処理により生成された電圧VOUTを負荷4に供給する。
【0183】
端子PFBは、フィルタ回路5に接続される。端子PFBには、フィルタ回路5から、電圧VOUTが供給される。
【0184】
2.7.2 半導体装置
第7変形例に係る半導体装置1の構成について、引き続き
図14を用いて説明する。
【0185】
電力供給回路101は、過温度検知回路102、並びに端子PVIN、PVSHARE、PVSW、PFB、及びPGNDに接続される。電力供給回路101には、過温度検知回路102から信号OVTが供給される。電力供給回路101には、端子PVSHAREを介して、電圧VSHAREが供給される。電力供給回路101は、電圧VSHAREが“H”レベルである間、イネーブル状態になる。“H”レベルの電圧VSHAREは、例えば電圧V1以上である。電力供給回路101には、端子PFBを介して、電圧VOUTが供給される。イネーブル状態である電力供給回路101は、過温度検知回路102からの信号OVT、及びフィルタ回路5からの電圧VOUTに基づいて、電圧VINに基づく電圧VSWをフィルタ回路5に供給する。また、電力供給回路101は、電圧VSHAREが“L”レベルである間、ディセーブル状態になる。ディセーブル状態である電力供給回路101は、過温度検知回路102からの信号OVT、及びフィルタ回路5からの電圧VOUTに関わらず、電圧VINに基づく電圧VSWの供給を停止する。
【0186】
なお、過温度検知回路102及びテスト回路103の構成は、実施形態に係る過温度検知回路102及びテスト回路103の構成と同等である。以下では、電力供給回路101の構成が主に説明される。
【0187】
2.7.3 電力供給回路
電力供給回路101及びフィルタ回路5の構成について
図15を用いて説明する。
図15は、第7変形例に係る電力供給回路及びフィルタ回路の構成の一例を説明するための回路図である。第7変形例において、電力供給回路101及びフィルタ回路5はDC-DCコンバータを構成する。
【0188】
電力供給回路101は、スイッチ素子Q1及びQ8、ドライバDRV、及び制御回路CNTを有する。スイッチ素子Q8は、N型のMOSFETである。
【0189】
スイッチ素子Q1のゲートはドライバDRVに接続される。スイッチ素子Q1の第2端は端子PVSWに接続される。
【0190】
スイッチ素子Q8の第1端は、端子PVSWに接続される。スイッチ素子Q8のゲートは、ドライバDRVに接続される。スイッチ素子Q8の第2端は、端子PGNDに接続される。
【0191】
制御回路CNTの第2端はドライバDRVに接続される。第2端からは、ドライバDRVに、電圧VSHAREに基づく信号STが供給される。
【0192】
ドライバDRVは、第1制御端子、第2制御端子、第3制御端子、第1出力端子、及び第2出力端子を有する。第1制御端子は、過温度検知回路102に接続される。第2制御端子は、制御回路CNTの第2端に接続される。第3制御端子は、端子PFBに接続される。第1出力端子は、スイッチ素子Q1のゲートに接続される。第2出力端子は、スイッチ素子Q8のゲートに接続される。ドライバDRVは、過温度検知回路102の信号OVT、制御回路CNTの信号ST、及び電圧VOUTに基づいて、スイッチ素子Q1及びスイッチ素子Q8を、それぞれオン状態又はオフ状態にする。
【0193】
より具体的には、電力供給回路101がイネーブル状態とされる間、信号OVTが“L”レベルである場合に、ドライバDRVは、第2期間において、スイッチ素子Q1をオン状態にし、かつスイッチ素子Q8をオフ状態にする。これにより、第2期間において、電圧VSWは、電圧VINに基づく電圧になる。ドライバDRVは、第3期間において、スイッチ素子Q1をオフ状態にし、かつスイッチ素子Q8をオン状態にする。これにより、端子PVSWは接地される。ドライバDRVは、第2期間、第3期間、第2期間、・・・がこの順に連続するように、スイッチ素子Q1のゲート及びスイッチ素子Q8のゲートのそれぞれに電圧を供給する。ドライバDRVは、例えば電圧VOUTが目標電圧VTARGより低い場合に、第3期間に対する第2期間の割合を大きくする。ドライバDRVは、例えば電圧VOUTが目標電圧VTARGと同等である場合に、第3期間に対する第2期間の割合を維持する。ドライバDRVは、例えば電圧VOUTが目標電圧VTARGより高い場合に、第3期間に対する第2期間の割合を小さくする。これにより、電圧VSWの波形を変化させる。電力供給回路101がイネーブル状態とされる間、信号OVTが“H”レベルである場合に、ドライバDRVは、スイッチ素子Q1をオフ状態にし、スイッチ素子Q8をオン状態にする。また、電力供給回路101がディセーブル状態とされる間、ドライバDRVは、信号OVTに依らず、スイッチ素子Q1をオフ状態にし、スイッチ素子Q8をオン状態にする。
【0194】
以上のような構成により、電力供給回路101は、電圧VSHARE及びVOUT、並びに信号OVTに基づいて、フィルタ回路5に、電圧VSWを供給する。
【0195】
フィルタ回路5は、インダクタL及びキャパシタCを含む。
【0196】
インダクタLの第1端は、端子PVSWに接続される。インダクタLの第2端は、端子PFBに接続される。端子PFBは、負荷4に接続される。
【0197】
キャパシタCの第1端は、端子PFBに接続される。キャパシタCの第2端は、接地される。
【0198】
以上のような構成により、フィルタ回路5は、半導体装置1から供給される電圧VSWの波形を平滑化する。これにより、フィルタ回路5は、電圧VSWを用いて、目標電圧VTARGと同等の電圧VOUTを生成する。
【0199】
第7変形例に係る半導体装置1の動作は、実施形態に係る半導体装置の動作と実質的に同等であるため、その説明を省略する。
【0200】
第7変形例によっても、実施形態、及び第1変形例~第6変形例と同等の効果が奏される。
【0201】
3. その他
なお、上記実施形態及び変形例では、半導体装置1が、過温度検知回路102及びテスト回路103をそれぞれ異なる回路として含む場合を示したが、これに限られない。半導体装置1において、例えば過温度検知回路102の構成、及びテスト回路103の構成は、1つの回路に含まれてもよい。
【0202】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0203】
1…半導体装置、2…電力源、3…駆動回路、4…負荷、5…フィルタ回路、101…電力供給回路、102…過温度検知回路、103…テスト回路、AMP1…エラーアンプ、AMP2、AMP3…オペアンプ、Q1~Q8…スイッチ素子、R1、R2、R3、R4、R5…抵抗、VS1、VS2、VS3、VS4…定電圧源、I1…定電流源、E1…素子、E2…アンチヒューズ素子、D1…ダイオード、PVIN、PVOUT、PVSHARE、PGND、PVSW、PFB…端子、M…記憶回路、DRV…ドライバ、L…インダクタ、C…キャパシタ。