IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特開2023-173754導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
<>
  • 特開-導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 図1
  • 特開-導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 図2
  • 特開-導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 図3
  • 特開-導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 図4
  • 特開-導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173754
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20231130BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/00 551
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086217
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】六反 実
(72)【発明者】
【氏名】林 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】星尾 拓郎
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA15
2H171FA24
2H171FA25
2H171FA26
2H171FA27
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB03
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA22
2H171SA26
2H171TA07
2H171TA17
2H171TB13
2H171UA02
2H171UA03
2H171UA04
2H171UA05
2H171UA06
2H171UA07
2H171UA08
2H171UA10
2H171UA12
2H171UA22
2H171VA02
2H171VA04
2H171VA06
2H171XA02
2H171XA12
2H200GA12
2H200GA23
2H200HB12
2H200HB22
2H200JA02
2H200JA25
2H200JA26
2H200JA27
2H200JB10
2H200JC03
2H200MA01
2H200MA03
2H200MA04
2H200MA08
2H200MA12
2H200MA13
2H200MA14
2H200MA17
2H200MB01
2H200MB04
2H200MC01
2H200MC11
2H200MC20
(57)【要約】
【課題】得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる導電性ロール導電性ロールの提供。
【解決手段】支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である導電性ロール。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、
前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、
前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、
前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である
導電性ロール。
【請求項2】
前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、1質量%以下である請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項3】
前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、0.1質量%以下である請求項2に記載の導電性ロール。
【請求項4】
前記弾性発泡体の密度が、80kg/m以下である請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項5】
前記弾性発泡体の密度が、30kg/m以上75kg/m以下である請求項4に記載の導電性ロール。
【請求項6】
前記弾性発泡体のセル数が、20個/25mm以上80個/25mm以下である請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項7】
前記弾性発泡体のセル数が、40個/25mm以上65個/25mm以下である請求項6に記載の導電性ロール。
【請求項8】
前記弾性層のヒステリシスロスが、40%以下である請求項1に記載の導電性ロール。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の導電性ロールからなる転写ロールと、
前記転写ロールに当接した清掃部材を有する転写装置。
【請求項10】
前記清掃部材が、板状の清掃部材である請求項9に記載の転写装置。
【請求項11】
像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、請求項9に記載の転写装置と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項12】
像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する請求項9に記載の転写装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導電性ロール、転写装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下記一般式(1)で表されるアルカリ金属塩を表面層中に含有する半導電性部材が開示されている。
(M)・X・・・(1)
但し、nはXのアニオン価数に等しい。
M:Na、K、Li
X:Cl,Br,I,F,CHCOO,CFCOO,CH(COOH)CHCOO,(CHCOO,CH(COOH)CHCOO,(CHCOO,(HOOC)Ar(COO),Ar(COO,(HOOC)Ar(COO),(HOOC)Ar(COO,Ar(COO,(HOOC)Ar(COO),(HOOC)Ar(COO,(HOOC)Ar(COO,Ar(COO,Ar-SO ,Ar(SO 、アクリル酸アニオンユニットを有するオリゴマーまたはポリマー、メタクリル酸アニオンユニットを有するオリゴマーまたはポリマー
Arはベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-139832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%超である場合に比べて、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる導電性ロールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> 支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である導電性ロール。
<2> 前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、1質量%以下である<1>に記載の導電性ロール。
<3> 前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、0.1質量%以下である<2>に記載の導電性ロール。
<4> 前記弾性発泡体の密度が、80kg/m以下である<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の導電性ロール。
<5> 前記弾性発泡体の密度が、30kg/m以上75kg/m以下である<4>に記載の導電性ロール。
<6> 前記弾性発泡体のセル数が、20個/25mm以上80個/25mm以下である<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の導電性ロール。
<7> 前記弾性発泡体のセル数が、40個/25mm以上65個/25mm以下である<6>に記載の導電性ロール。
<8> 前記弾性層のヒステリシスロスが、40%以下である<1>乃至<7>のいずれか1つに記載の導電性ロール。
<9> <1>乃至<8>のいずれか1つに記載の導電性ロールからなる転写ロールと、前記転写ロールに当接した清掃部材を有する転写装置。
<10> 前記清掃部材が、板状の清掃部材である<9>に記載の転写装置。
<11> 像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、<9>又は<10>に記載の転写装置と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<12> 像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する<9>又は<10>に記載の転写装置と、を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
<1>に係る発明によれば、支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%超である場合に比べて、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる導電性ロールが提供される。
<2>に係る発明によれば、前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、1質量%超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<3>に係る発明によれば、前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、0.1質量%超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<4>に係る発明によれば、前記弾性発泡体の密度が、80kg/m超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<5>に係る発明によれば、前記弾性発泡体の密度が、30kg/m未満又は75kg/m超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<6>に係る発明によれば、前記弾性発泡体のセル数が、20個/25mm未満又は80個/25mm超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<7>に係る発明によれば、前記弾性発泡体のセル数が、40個/25mm未満又は65個/25mm超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<8>に係る発明によれば、前記弾性層のヒステリシスロスが、40%超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
<9>、<10>、<11>又は<12>に係る発明によれば、転写部材として、支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%超である導電性ロールを用いる場合に比べて、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる転写装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】記録媒体に転写された画像の平行度を説明するための概略図である。
図2】本実施形態に係る導電性ロールの一例を示す概略斜視図である。
図3】本実施形態に係る導電性ロールの一例を示す概略断面図であり、図2のA-A断面図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図5】本実施形態に係る画像形成装置の別の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0009】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0010】
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0012】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0013】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0014】
<導電性ロール>
本実施形態に係る導電性ロールは、支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である。
【0015】
従来の導電性ロールは、クリーニング性が十分でなく、転写部材等に用いた場合、導電性ロールに付着したトナーや付着物に起因し、印刷物の裏面に汚れが発生する場合がある場合があった。
本実施形態に係る導電性ロールにおいては、弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下であることにより、導電性ロールと清掃部材との接触性が向上し、前記製清掃部材による十分なクリーニング性能が発揮され、導電性ロールへの付着物が抑制され、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる。
【0016】
また、本実施形態に係る導電性ロールは、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下であることにより、後述するように、導電性ロールの対向ロールへの押し込み量が容易に調整され、得られる画像の平行度を容易に高めることができる。
導電性ロールの外周面を対向ロールに対し押し当て、記録媒体を挿通させる挿通部を形成し、挿通部にて画像を記録媒体へと転写する場合、記録媒体に転写された画像の平行度が低下することがある。
ここで、転写された画像の平行度は、挿通部における記録媒体Pの搬送方向(図1(a)及び(b)中の矢印Y方向)と直交する方向(図1(a)及び(b)中の矢印X方向)に対する画像の平行度合いを意味する。具体的には、転写された画像の平行度は、例えば、図1(a)に示すように、記録媒体Pに対し、記録媒体Pの各辺とそれぞれ平行な辺にて構成される長方形の画像G1を形成しようとする場合に、実際に記録媒体P上に転写された画像G2にて生じた、図1(b)に示すような、矢印X方向一端側(図1中、Frontと表記)でのライン画像長LFrontと他端側(図1中、Rearと表記)でのライン画像長LRearとの差ΔL(=LFront-LRear)で示される。
上記ΔLの補正方法としては、導電性ロールの対向ロールへの押し込み量を、導電性ロールの軸方向の両端にて調整し、記録媒体の搬送方向と直交する方向で記録媒体の搬送量に差をつける方法が挙げられる。
【0017】
本実施形態に係る導電性ロールは、特に、用途は制限されない。
本実施形態に係る導電性ロールは、例えば、電子写真方式の画像形成装置における、転写ロールに好適に使用される。なお、本実施形態に係る導電性ロールの用途は、上記に限られるものではなく、帯電ロール、現像ロール、紙送りロール等が挙げられる。
【0018】
〔弾性層のヒステリシスロス〕
実施形態に係る導電性ロールは、支持部材の外周面上に配置された弾性層を有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である。
本実施形態におけるヒステリシスロスとは、弾性層に特定の荷重を特定の時間負荷しひずみを生じさせ、前記荷重の負荷を除いた後、ある特定の時間経過後においても前記弾性層における前記ひずみが回復しなかった分を表す。
【0019】
前記弾性層のヒステリシスロスは、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性(以下、単に「裏面汚れ抑制性」ともいう。)、及び、得られる画像の平行度の高めやすさ(以下、「平行度調整容易性」ともいう。)の観点から、40%以下であることが好ましく、1%以上35%以下であることがより好ましく、1%以上30%以下であることが特に好ましい。
【0020】
本実施形態における弾性層のヒステリシスロスは、JIS K6400-2(2004)のB法に従い算出した。ただし、測定サンプルとしては、支持部材の外周面上に弾性層を配置した導電性ロールを用いるものとする。
【0021】
弾性層のヒステリシスロスを上記範囲に調整する方法としては、特に制限はないが、弾性発泡体中の導電性粒子の含有率、弾性発泡体の密度、弾性発泡体のセル数等を調整する方法が好適に挙げられる。
【0022】
〔弾性発泡体中の導電性粒子の含有率〕
前記弾性発泡体は、導電性粒子を含んでいてもよいし、含んでいなくともよい。
前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率は、裏面汚れ抑制性、及び、平行度調整容易性の観点から、前記弾性発泡体の全質量に対して、1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましく、0質量%であることが特に好ましい。
なお、前記導電性粒子の含有率の下限値は、0質量%、すなわち、導電性粒子を含まない場合である。
なお、弾性発泡体及び導電性粒子の詳細については、後述する。
【0023】
〔弾性発泡体の密度〕
前記弾性発泡体の密度は、裏面汚れ抑制性、及び、平行度調整容易性の観点から、80kg/m以下であることが好ましく、30kg/m以上75kg/m以下であることがより好ましく、35kg/m以上70kg/m以下であることが特に好ましい。
【0024】
〔弾性発泡体のセル数〕
前記弾性発泡体のセル数は、裏面汚れ抑制性、及び、平行度調整容易性の観点から、20個/25mm以上80個/25mm以下であることが好ましく、30個/25mm以上75個/25mm以下であることがより好ましく、40個/25mm以上65個/25mm以下であることが特に好ましい。
【0025】
ここで、弾性発泡体における、セル径(気泡径)、密度、及び、後述する独立気泡率、は、以下のようにして求める。
まず、弾性層(弾性層中の弾性発泡体)の厚さ方向の断面を、剃刀を用いて作製する。断面は、導電性ロールの軸方向に平行に且つ周方向に90°刻みで、合計4つ作製する。 断面の軸方向中央部をレーザ顕微鏡(キーエンス社、VK-X200)で撮影し画像を取得する。画像を画像解析ソフト(メディアサイバネティクス社、Image-Pro Plus)で解析し、セル(気泡)の最大径及び面積を測定する。
なお、弾性発泡層が連続気泡構造を有する場合、連続気泡の形状からセル(気泡)の連続(連結)状態を推測し、連続(連結)している各々のセルを疑似的に分離し、分離したセルの最大径を求める。すなわち、連続気泡が例えば5個の気泡が連続(連結)した形状であると推測されれば、5つのセルを疑似的に5つに分離し、分離した5つのセルの最大径を測定する。
セル径は、解析した断面画像中にて、無作為に選択した100個のセルの最大径の算術平均を算出し、得られた値をもとに4断面の算術平均を算出し、得られた値とする。
独立気泡率は、(解析した断面画像中の独立気泡の面積の総計)/(解析した断面画像中の気泡の総面積×100)で求められる。
ここで、独立気泡は、断面画像中、全てが壁面に囲まれている気泡とする。
密度は、以下のようにして測定する。
弾性層(弾性層中の弾性発泡体)を、剃刀を用いて切断し、立方体を作製する。発泡体は、可能な限り大きく作製した方が、正確に測定できる。次に、立方体の縦、横、高さを測定し、体積を算出、質量を測定し、質量/体積より密度を求める。
【0026】
本実施形態に係る導電性ロールを、図面を参照しながら説明する。
図2は、本実施形態に係る導電性ロールの一例を示す概略斜視図である。図3は、図2のA-A断面図であり、図2に図示する導電性ロールを径方向に切断した断面図である。
【0027】
図2に示すように、導電性ロール100は、円柱状の支持部材110と、支持部材110の外周面上に配置された、弾性層及び表面層を含む層状物120と、を含んで構成されるロール部材である。また、図3に示すように、導電性ロール100の層構成は、円柱状の支持部材110の外周面上に配置された弾性層122と、弾性層122の外周面上に配置された中間層124と、中間層124の外周面上に配置された表面層126と、を有する。本実施形態に係る導電性ロールにおいては、中間層124と表面層126とで表面層が構成される。
本実施形態に係る導電性ロールは、図2及び図3に示す構成に限られず、例えば、支持部材110と弾性層122との間、弾性層122と中間層124との間、中間層124と表面層126との間には、適宜、接着層を有していてもよい。
【0028】
以下、本実施形態に係る導電性ロールを構成する各層の材料などを説明する。
【0029】
〔支持部材〕
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、支持部材は、導電性ロールの支持部材として機能する部材であればよい。
支持部材は、中空部材(即ち、円筒状部材)であってもよいし、中実部材(即ち、円柱状部材)であってもよい。
なお、導電性ロールと対向ロールとの間の電界を形成する際には、支持部材は、導電性支持部材であることが好ましい。
【0030】
導電性支持部材としては、例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属部材;外側の面にメッキ処理を施した、樹脂部材又はセラミックス部材;導電剤を含有する、樹脂部材又はセラミックス部材;が挙げられる。
【0031】
支持部材の外径は、導電性ロールの用途に応じて決定されればよい。
例えば、本実施形態に係る導電性ロールが二次転写ロールであれば、支持部材の外径は、3mm以上30mm以下が一例として挙げられる。
【0032】
〔弾性層〕
本実施形態に係る導電性ロールは、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層を有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である。
【0033】
(弾性発泡体)
弾性層を構成する弾性発泡体は、弾性材料(ゴム材料ともいう)を含有する発泡体である。
【0034】
弾性材料としては、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム、及びこれらを混合したゴム等が挙げられる。
中でも、裏面汚れ抑制性、及び、平行度調整容易性の観点から、ポリウレタンが好ましく、ポリエーテルポリウレタン又はポリエステルポリウレタンがより好ましく、ポリエーテルポリウレタンが特に好ましい。
【0035】
弾性発泡体を得るための発泡剤としては、水;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド等のベンゼンスルホニルヒドラジド類;熱分解により炭酸ガスを発生する炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩;窒素ガスを発生するNaNOとNHClの混合物;酸素を発生する過酸化物;などが挙げられる。
発泡弾性層を得るためには、必要に応じて、発泡助剤、整泡剤、触媒などを使用してもよい。
【0036】
導電性発泡体中の導電性粒子としては、電子導電剤が挙げられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫-酸化アンチモン固溶体、酸化錫-酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物質;などの粉末が挙げられる。
電子導電剤は、上記含有率の範囲であれば、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
その他の添加剤としては、例えば、イオン導電剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)などの、弾性体に添加され得る公知の材料が挙げられる。
なお、弾性発泡体中に、上記の導電性粒子、充填剤等の粒状物が含まれていると、弾性層の硬度が高まり、記録媒体に転写された画像の平行度を高める効果が低減する傾向にある。そのため、弾性発泡体中の粒状物は少ないほど好ましく、仮に、弾性発泡体に粒状物が含まれている場合であっても、粒状物の総含有率が、弾性発泡体の全質量に対して1質量%以下であることが好ましい。
【0038】
弾性発泡体における気泡構造は、導電性被覆層の形成性の観点、及び、記録媒体に転写された画像の平行度を高めやすい観点からは、連続気泡構造であることがより好ましい。
ここで、連続気泡構造とは、隣接するセル(即ち気泡)が連通しており、連通したセルの一部が表面に露出(開放)している構造を意味する。
また、弾性発泡体は、独立気泡率が少ないほど好ましく、独立気泡率は、例えば、50%以下(より好ましくは30%以下)であることが好ましい。
【0039】
-弾性発泡体の形成-
円筒状の弾性発泡体の形成方法は、特に制限はなく、公知の方法が用いられる。
例えば、弾性材料、発泡剤、及び必要に応じて用いるその他の成分(例えば加硫剤等)を含む組成物を調製し、この組成物を円筒形状の押出成形した後、成形物を加熱して加硫及び発泡をさせる方法、巨大な発泡体から、円筒形状に切り出す方法が挙げられる。
また、円柱状の弾性発泡体を形成した後、支持部材を挿入するための中心孔を形成して円筒状の弾性発泡体を得てもよい。
なお、円筒状の弾性発泡体が得られた後、必要に応じて、更に形状を整えてもよいし、表面を研磨するなどの後処理を行ってもよい。
【0040】
(導電性被覆層)
弾性層を構成する導電性被覆層は、弾性発泡体の露出面(即ち、弾性発泡体の大気との接触面であって、円筒状の弾性発泡体の外周面、及び、セル壁面が例示される。)を被覆する導電性の層である。
弾性発泡体の露出面は、その全てが導電性被覆層にて、被覆されていてもよいし、一部が被覆されていてもよい。
【0041】
導電性被覆層の形成は、導電剤及び樹脂を含む処理液が用いられる。
ここで、処理液に用いられる導電剤としては、例えば、電子導電剤、又はイオン導電剤が挙げられ、中でも、電子導電剤が好ましい。
処理液に含まれる導電剤は、1種でもよく、2種以上であってもよい。
ここで、電子導電剤の例としては、弾性発泡体中に含まれる電子導電剤と同様であり、好ましい態様も同様である。
【0042】
処理液に用いられる樹脂としては、弾性発泡体の露出面に対して被覆層を形成し得る樹脂であれば特に制限はなく、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、ラテックスとして用いられることが好ましい。
ラテックスの例としては、上記の樹脂のラテックスの他、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンゴムラテックス、アクリルゴムラテックス、ポリウレタンゴムラテックス、フッ素ゴムラテックス、シリコーンゴムラテックスなどが挙げられる。
【0043】
処理液は、導電剤、樹脂、及び水を含む、即ち、導電剤及び樹脂を含む水分散液であることが好ましい。
処理液における導電剤及び樹脂の濃度は、導電性被覆層の形成性、弾性層に求められる抵抗値等に応じて、決定されればよい。
【0044】
-導電性被覆層の形成-
導電性被覆層の形成は、弾性発泡体に対し処理液を付与し、加熱乾燥させることで行われる。
弾性発泡体に対して処理液を付与する方法としては、弾性発泡体に対し、スプレー塗布等にて処理液を塗布する方法、処理液に弾性発泡体を浸漬する方法等が挙げられる。
これらの方法により、処理液が弾性発泡体の表面及び気泡内部にまで含浸する。次いで、付着した処理液を加熱等により乾燥させることで、導電性被膜層が形成される。
【0045】
導電性被覆層としては、例えば、特開2009-244824号公報等に記載の被覆層、及びその形成方法を適用してもよい。
【0046】
上記のようにして、弾性発泡体の露出面に導電性被覆層が形成されることで、本実施形態に係る導電性ロールの弾性層が形成される。
【0047】
(弾性層の体積抵抗値)
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、弾性層の10Vの電圧印加時の体積抵抗値が10Ω以下であり、1Ω以上10Ω以下であることが好ましく、10Ω以上10Ω
以下であることが更に好ましい。
【0048】
ここで、弾性層の体積抵抗値は、以下のようにして測定する。
まず、導電性支持部材の外周上に、測定対象である弾性層を備えたロール部材を作製し、得られたロール部材を用いて弾性層の体積抵抗値を測定する。なお、本実施形態に係る導電性ロールが導電性支持部材を備える場合、かかる導電性ロールから表面層を剥離したロール部材を測定してもよい。
ロール部材を、銅板などの金属板上に、ロール部材の両端部に各500gの荷重をかけて載せ、微小電流測定器(Advantest社製R8320)を用い、ロール部材の導電性支持部材と金属板との間に10Vの電圧(V)を印加して、5秒後の電流値I(A)を読み取り、以下の式により計算することにより求められる。
式 : 体積抵抗値Rv(Ω)=V/I
なお、測定は、温度22℃、湿度55%RH環境下で行う。
【0049】
(弾性層のヤング率)
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、記録媒体に転写された画像の平行度を高めやすい観点からは、弾性層が柔らかいことが好ましい。
具体的には、弾性層のヤング率は、150kPa以下であることが好ましく、35kPa以上150kPa以下であることがより好ましい。
【0050】
ここで、弾性層のヤング率は、以下のようにして測定する。
各層のヤング率の測定方法は、基本的にISO527に準拠する。
中間層及び弾性層は、標線間距離50mm、厚み5mmのダンベル型引張試験片を作製し、卓上形精密万能試験機(AGS-X;島津製作所製)で引張速度5mm/minのときの応力(σ)歪(ε)曲線を求め、0.05%~0.25%歪み時の応力を測定し、Δσ/Δεよりヤング率を求める。
表面層のヤング率の場合は、厚みを0.2mmとしたダンベル型引張試験片を作製し、これを用いた以外は、中間層及び弾性層のヤング率の測定方法をと同様の方法で求められる。
【0051】
(弾性層の厚み)
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、弾性層の厚みは、導電性ロールの用途に応じて決定されればよい。
例えば、本実施形態に係る導電性ロールが二次転写ロールであれば、弾性層の厚みは、1mm以上10mm以下が一例として挙げられる。
【0052】
また、本実施形態に係る導電性ロールにおいて、記録媒体に転写された画像の平行度を高めやすい観点からは、弾性層が厚い方が好ましく、具体的には、弾性層及び表面層の総厚みXに対する弾性層の厚みYの割合(Y/X)は、0.66以上0.95以下であることが好ましく、0.75以上0.92以下であることがより好ましい。
【0053】
〔表面層〕
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、弾性層の外周面上には表面層が配置される。
表面層は、導電性ロールの最表面を構成する層であって、1層又は複数の層で構成されている。
特に、本実施形態に係る導電性ロールでは、表面層が、弾性層の外周面上に配置された中間層と、中間層の外周面に配置された表面層と、を含んで構成されることが好ましい。
【0054】
(中間層)
中間層は、弾性層の外周面上に配置される層である。
中間層は、導電性ロールの抵抗調整に寄与する層であって、弾性層外周面上に配置された中間層の100Vの電圧印加時の体積抵抗値が10Ω以上1010Ω以下(より好ましくは10Ω以上10Ω以下)であることが好ましい。
なお、中間層の体積抵抗値は、弾性層の体積抵抗値と同様の方法で測定される。
【0055】
中間層は、上記の体積抵抗値を達成するために、導電剤を含むことが好ましい。
導電剤としては、電子導電剤及びイオン導電剤のいずれもが用いられるが、中でも、帯電維持性を高める観点から、イオン導電剤を用いることが好ましい。
即ち、中間層は、イオン導電剤を含むことが好ましい。
イオン導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
ここで、中間層に含まれるイオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム又は変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩又は塩化ベンジル塩)、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩、ベタイン、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0057】
また、イオン導電剤としては、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴム等のように、イオン導電能を有する高分子材料であってもよい。
また、イオン導電剤としては、樹脂などの高分子材料の末端にイオン導電剤が結合した化合物であってもよい。
【0058】
イオン導電剤の含有量は、上述の体積抵抗値が達成し得る範囲であればよい。
なお、中間層が結着材料を含む場合、イオン導電剤の含有量は、結着材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下がより好ましい。
【0059】
中間層は、イオン導電剤の他、結着材料を含んでいてもよい。
結着材料としては、特に制限はなく、中間層を形成し得る樹脂、弾性材料等が挙げられる。中間層に用いられる樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0060】
中間層は、中間層に求められる物性等に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。
【0061】
(中間層のヤング率)
中間層のヤング率は、5MPa以上であることが好ましく、5MPa以上10MPa以下であることがより好ましい。
なお、中間層のヤング率は、弾性層のヤング率と同様の方法で測定される。
【0062】
(中間層の厚み)
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、中間層の厚みは、導電性ロールの用途に応じて決定されればよく、記録媒体に転写された画像の平行度を高めやすい観点からは、弾性層よりも薄いことが好ましい。具体的には、中間層の厚みは、弾性層の厚みに対して、1/20以上1/2以下であることが好ましく、1/10以上1/3以下であることがより好ましい。
例えば、本実施形態に係る導電性ロールが二次転写ロールであれば、中間層の厚みは、0.5mm以上5mm以下が一例として挙げられる。
【0063】
中間層の形成方法については特に制限はなく、例えば、弾性層上に、中間層形成用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させる方法が挙げられる。
【0064】
(表面層)
表面層は、中間層の外周面上に配置される層であって、導電性ロールの最表面を構成する層である。
表面層は、媒体と接触することから、離型性を有することが好ましい。
【0065】
表面層は、樹脂を含む層であることが好ましい。
表面層に含まれる樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。
【0066】
表面層は、導電剤を含むことが好ましい。
表面層に含まれる導電剤としては、電子導電剤及びイオン導電剤が挙げられる。
表面層に含まれる電子導電剤としては、導電性被覆層に用いられる電子導電剤と同様のものが用いられる。また、表面層に含まれるイオン導電剤としては、中間層に用いられるイオン導電剤と同様のものが用いられる。
【0067】
表面層は、表面層に求められる物性等に応じて、その他の添加剤を含んでもよい。
【0068】
(表面層のヤング率)
表面層のヤング率は、10MPa以上であることが好ましく、10MPa以上400MPa以下が好ましく、50MPa以上400MPa以下であることがより好ましい。
なお、表面層のヤング率は、弾性層のヤング率と同様の方法で測定される。ただし、厚みを0.2mmとしたダンベル型引張試験片を使用する。このダンベル試験片は、対象の導電性ロールの表面層の組成を分析し、分析にて得られた組成と同組成の表面層形成用材料をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など離型性の高い樹脂型内に入れ、熱硬化させた後、脱型することで得られる。
【0069】
(表面層の厚み)
本実施形態に係る導電性ロールにおいて、表面層の厚みは、導電性ロールの用途に応じて決定されればよい。
例えば、本実施形態に係る導電性ロールが二次転写ロールであれば、表面層の厚みは、0.01mm以上0.05mm以下が一例として挙げられる。
【0070】
(表面層の体積抵抗値)
表面層の10Vの電圧印加時の体積抵抗値は、10Ω以上1014Ω以下であることが好ましく、10Ω以上1011Ω以下であることがより好ましい。
【0071】
表面層の体積抵抗値は、JIS K 6911:1995に基づき、以下のようにして測定する。
まず、表面層材料を使用した単層シートを作製し、得られた単層シート部材を用いて体積抵抗率を測定する。単層シート厚みは0.2mm厚が適切である。単層シート部材を円形電極間で、微小電流測定器(Advantest社製R8320)を用い、表面電極と裏面電極との間に10Vの電圧(V)を印加して、5秒後の電流値I(A)を読み取り、以下の式により計算することにより求められる。
式 : 体積抵抗値Rv(Ω)=V/I
なお、測定は、温度22℃、湿度55%RH環境下で行う。
【0072】
表面層の形成方法については特に制限はなく、例えば、中間層上に、表面層形成用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させる方法が挙げられる。
【0073】
〔導電性ロールの体積抵抗値〕
本実施形態に係る導電性ロールは、1000Vの電圧印加時の体積抵抗値が、10Ω以上1012Ω以下であることが好ましく、10Ω以上1011Ω以下であることがより好ましく、10Ω以上1010Ω以下であることが更に好ましい。
導電性ロールの体積抵抗値は、弾性層の体積抵抗値と同様の方法で測定される。
【0074】
<画像形成装置、転写装置、プロセスカートリッジ>
本実施形態に係る転写装置は、本実施形態に係る導電性ロールからなる転写ロールを備える転写装置であり、本実施形態に係る導電性ロールからなる転写ロールと、前記転写ロールに当接した清掃部材を有する転写装置であることが好ましい。
また、前記清掃部材は、板状の清掃部材であることが好ましく、クリーニングブレードであることがより好ましい。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る導電性ロールを備えるプロセスカートリッジであり、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、本実施形態に係る転写装置と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジであることが好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置は、本実施形態に係る導電性ロールを備える画像形成装置であり、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する本実施形態に係る転写装置と、を備える画像形成装置であることが好ましい。
【0075】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の一例である、直接転写方式の画像形成装置を示す概略構成図である。
【0076】
図4に示す画像形成装置200は、感光体207(像保持体の一例)と、感光体207の表面を帯電させる帯電ロール208(帯電手段の一例)と、帯電した感光体207の表面に静電荷像を形成する露光装置206(静電荷像形成手段の一例)と、トナーを含む現像剤により、感光体207の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像装置211(現像手段の一例)と、感光体207の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写ロール212(転写手段の一例、本実施形態に係る転写装置の一例)と、を備える。
ここで、対向ロールに該当する感光体207に対し外周面を押し当て、記録紙500を挿通させる挿通部を形成する転写ロール212に、本実施形態に係る導電性ロールが適用される。
【0077】
図4に示す画像形成装置200は、さらに、感光体207の表面に残留したトナーを除去するクリーニング装置213と、感光体207の表面を除電する除電装置214と、トナー像を記録媒体に定着させる定着装置215(定着手段の一例)と、を備える。
【0078】
帯電ロール208は、接触帯電方式でもよく非接触帯電方式でもよい。帯電ロール208には電源209から電圧が印加される。
【0079】
露光装置206としては、半導体レーザ、LED(light emitting diode)等の光源を備える光学装置が挙げられる。
【0080】
現像装置211は、トナーを感光体207に供給する装置である。現像装置211は、例えば、ロール状の現像剤保持体を感光体207に接触又は近接させて、感光体207上の静電荷像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0081】
転写ロール212は、記録媒体の表面に直に接する転写ロールであり、感光体207に対向した位置に配置されている。記録紙500(記録媒体の一例)が供給機構を介して転写ロール212と感光体207とが接触した隙間に供給される。転写バイアスが転写ロール212に印加されると、感光体207から記録紙500に向う静電気力がトナー像に作用し、感光体207上のトナー像が記録紙500上に転写される。
【0082】
定着装置215としては、例えば、加熱ロールと、該加熱ロールに押圧する加圧ロールとを備える加熱定着装置が挙げられる。
【0083】
クリーニング装置213としては、クリーニング部材としてブレード、ブラシ、ロール等を備える装置が挙げられる。
【0084】
除電装置214は、例えば、転写後の感光体207の表面に光を照射して、感光体207の残留電位を除電する装置である。
【0085】
感光体207と転写ロール212とは、例えば一つの筐体により一体化され、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(本実施形態に係るプロセスカートリッジ)であってもよい。当該カートリッジ構造(本実施形態に係るプロセスカートリッジ)には、帯電ロール208、露光装置206、現像装置211及びクリーニング装置213からなる群から選択される少なくとも1つがさらに含まれていてもよい。
【0086】
画像形成装置は、感光体207、帯電ロール208、露光装置206、現像装置211、転写ロール212及びクリーニング装置213を1つの画像形成ユニットとし、この画像形成ユニットが複数個並んで搭載されたタンデム方式の画像形成装置であってもよい。
【0087】
図5は、本実施形態に係る画像形成装置の一例である、中間転写方式の画像形成装置を示す概略構成図である。図5に示す画像形成装置は、4つの画像形成ユニットを並列配置したタンデム方式の画像形成装置である。
【0088】
図5に示す画像形成装置において、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段は、中間転写体と一次転写手段と二次転写手段とを備える転写ユニット(本実施形態に係る転写装置の一例)として構成される。転写ユニットは、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造であってもよい。
【0089】
図5に示す画像形成装置は、感光体1(像保持体の一例)と、感光体1の表面を帯電させる帯電ロール2(帯電手段の一例)と、帯電した感光体1の表面に静電荷像を形成する露光装置3(静電荷像形成手段の一例)と、トナーを含む現像剤により、感光体1の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像装置4(現像手段の一例)と、中間転写ベルト20(中間転写体の一例)と、感光体1の表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト20の表面に転写する一次転写ロール5(一次転写手段の一例)と、中間転写ベルト20の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に転写する二次転写ロール26(二次転写手段の一例)と、を備える。
ここで、対向ロールに該当する支持ロール27に対して外周面を押し当て、記録紙Pを挿通させる挿通部を形成する二次転写ロール26に、本実施形態に係る導電性ロールが適用される。
【0090】
図5に示す画像形成装置は、さらに、トナー像を記録媒体に定着させる定着装置28(定着手段の一例)と、感光体1の表面に残留したトナーを除去する感光体クリーニング装置6と、中間転写ベルト20の表面に残留したトナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置30と、を備える。
【0091】
図5に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kを備えている。これらの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に離間して並設されている。画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kはそれぞれ、画像形成装置に対して着脱されるプロセスカートリッジであってもよい。
【0092】
各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各画像形成ユニットを通して中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1の画像形成ユニット10Yから第4の画像形成ユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写ベルトクリーニング装置30が備えられている。
【0093】
各画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
【0094】
第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているので、以下において、画像形成ユニットについて説明する場合は、第1の画像形成ユニット10Yについて代表して説明する。
【0095】
第1の画像形成ユニット10Yは、感光体1Yと、感光体1Yの表面を帯電させる帯電ロール2Yと、トナーを含む現像剤により、感光体1Yの表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像装置4Yと、感光体1Yの表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト20の表面に転写する一次転写ロール5Yと、一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Yと、を備える。
【0096】
帯電ロール2Yは、感光体1Yの表面を帯電させる。帯電ロール2Yは、接触帯電方式でもよく非接触帯電方式でもよい。
【0097】
帯電した感光体1Yの表面には、露光装置3からレーザ光線3Yが照射される。これにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0098】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電している。感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y上に形成された静電荷像がトナー像として現像される。
【0099】
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に配置されている。一次転写ロール5Yには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)が接続されている。一次転写ロール5Yは、静電気力により、感光体1Y上のトナー像を中間転写ベルト20上に転写する。
【0100】
中間転写ベルト20上には、第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kから順に各色のトナー像が多重転写される。第1乃至第4の画像形成ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、支持ロール24と二次転写ロール26とから構成された二次転写手段へと至る。
【0101】
二次転写ロール26は、記録媒体の表面に直に接する転写ロールであり、中間転写ベルト20の外側において支持ロール24に対向した位置に配置されている。記録紙P(記録媒体の一例)が供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に供給される。二次転写バイアスが二次転写ロール26に印加されると、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。
【0102】
トナー像が転写された記録紙Pは、一対のロールからなる定着装置28の圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー像が記録紙P上へ定着される。
【0103】
本実施形態に係る画像形成装置において使用するトナー及び現像剤は特に限定されず、公知の電子写真用トナー及び現像剤をいずれも使用することができる。
本実施形態に係る画像形成装置において使用する記録媒体は特に限定されず、例えば、電子写真方式の複写機やプリンターに使用される紙;OHPシート;等が挙げられる。
【実施例0104】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実
施例に何ら限定されるものではない。
【0105】
<実施例1>
〔弾性層の形成〕
弾性発泡体として、EP70((株)イノアックコーポレーション製)を用い、これを外径28mm且つ内径15mm、長さ350mmの円筒形状に研磨及び成形し、円筒状の弾性発泡体を得た。
処理液として、カーボンブラックが36質量%含有され、かつ分散された水分散体と、アクリル系エマルジョン(日本ゼオン株式会社製、商品名「Nipol LX852」)とを質量で1:1に混合した導電処理液に20℃で10分間浸漬した。上記の方法で得られた弾性発泡体を、20℃で10分間浸漬した。
その後、処理液が付着した弾性発泡体を、100℃に設定されたキュア炉中で60分間加熱して乾燥し、水分を除去すると共にアクリル樹脂を架橋させた。架橋により硬化したアクリル樹脂によって、弾性発泡体の露出面に、カーボンブラックを含む導電性被覆層を形成した。
以上のようにして、弾性発泡体と、弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層と、から構成される弾性層を得た。
次いで、得られた弾性層に、表面に接着剤を付与した導電性支持部材(SUS製、直径15mm)を差し込み、ロール部材を形成した。
また、弾性層のヒステリシスロスは27%であった
【0106】
〔中間層の形成〕
ウレタンオリゴマー(日本合成化学(株)製、ウレタンアクリレートUV3700B)70質量部、ウレタンモノマー(共栄社化学(株)製、イソミリスチルアクリレート)30部、重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製,1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン Irgacure 184)0.5質量部、及び、アルキルトリメチルアンモニウムパークロレート(商品名「LXN-30」ダイソー社製)3質量部を混合して、中間層形成用塗布液を得た。得られた中間層形成用塗布液を、弾性層上に、ダイコーターを用いて塗布し、回転させながらUV照射強度700mW/cmで塗膜に対し5秒間UV照射した。この作業にて、厚さ1mmの中間層を形成した。
【0107】
〔表面層の形成〕
ウレタン樹脂塗料(EMRALON T-862A、ヘンケルジャパン(株)製)に、硬化剤(WH-1、ヘンケルジャパン(株)製)を5質量%添加し、混合して表面層形成用塗布液を得た。得られた表面層形成用塗布液を、スプレー塗布にて中間層上に塗布し、塗膜を120℃20分で加熱硬化し、厚さ20μmの表面層を形成した。
【0108】
以上のようにして、ヒステリシスロスは27%弾性層を用いた導電性ロール1を得た。
【0109】
<実施例2>
弾性発泡体として、RR80((株)イノアックコーポレーション製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性ロール2を得た。
弾性層のヒステリシスロスは43%であった。
【0110】
<実施例3>
弾性発泡体として、RR26((株)イノアックコーポレーション製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性ロール3を得た。
弾性層のヒステリシスロスは28%であった。
【0111】
<実施例4>
弾性発泡体として、SP80((株)イノアックコーポレーション製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性ロール4を得た。
弾性層のヒステリシスロスは37%であった。
【0112】
<実施例5>
カーボンブラックを含有するEndure((株)イノアックコーポレーション製)を用いて円筒状の弾性発泡体を得、導電性被覆層の形成を行わなかった以外は、実施例5と同様にして導電性ロール2を得た。
弾性層のヒステリシスロスは22%であった。
【0113】
<実施例6>
弾性層の形成において、導電処理液を得る際に、カーボンブラックの量が15質量%である水分散体を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ロール6を得た。
弾性層のヒステリシスロスは27%であった。
【0114】
<実施例7>
中間層の形成において、イオン導電剤としてテトラエチルアンモニウムクロリド(東京化成工業(株)製)に変えた以外は、実施例1と同様にして導電性ロール7を得た。
弾性層のヒステリシスロスは27%であった。
【0115】
<実施例8>
表面層の形成において、ウレタン樹脂塗料としてウレタンディスパージョンUW-5002E(宇部興産製)に変えた以外は、実施例1と同様にして導電性ロール8を得た。
弾性層のヒステリシスロスは27%であった。
【0116】
<比較例1>
弾性発泡体として、RR90((株)イノアックコーポレーション製)を用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性ロール3を得た。
弾性層のヒステリシスロスは45%であった。
【0117】
〔評価〕
(記録媒体に転写された画像の平行度の高めやすさ(平行度調整容易性))
富士ゼロックス(株)製ApeosPort VII C6688を用い、二次転写ロールの対抗する中間転写ベルトに対する押込み量をRear0.2mm、Front0.8mmとし、押込み量(Rear)-(Front)を0.6mmの差をつけて二次転写ロールを設置した。A3サイズで280mm×400mmの長方形の線を中間転写ベルト上に作像し、二次転写部で転写、定着装置で定着させた後、出力画像のRear側とFront側の画像線長さ(LRear、LFront)を測定し元の画像長さ400mmに対する画像長さ差(LFront)-(LRear)を計算し、ΔLを算出した。ΔLの値が大きいほど、記録媒体に転写された画像の平行度が高い値に容易に調整される。
評価基準を以下に示す。
S:ΔL>2.0mm
A:1.5mm<ΔL≦2.0mm
B:0.5mm<ΔL≦1.5mm
C:0.5mm≧ΔL
【0118】
(裏面汚れ抑制性)
富士ゼロックス(株)製ApeosPort VII C6688を用い、10℃15%RH環境下に24時間放置した後、濃度100%(YMCK各色25%)のベタ画像をBTRに直接転写させたのち、A3用紙を走行させ裏面汚れの有無を評価した。
評価基準を以下に示す。
S:裏面汚れが未発生
A:極軽微に裏面汚れ発生(ほぼ問題ない)
B:軽微な裏面汚れ発生(許容できる)
C:許容できない裏面汚れ発生
【0119】
【表1】
【0120】
表1によれば、本実施例の導電性ロールは、比較例の導電性ロールに比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れることが分かる。
また、表1によれば、本実施例の導電性ロールは、得られる画像の平行度の高めやすさにも優れる。
【0121】
(((1))) 支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%以下である導電性ロール。
(((2))) 前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、1質量%以下である(((1)))に記載の導電性ロール。
(((3))) 前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、0.1質量%以下である(((2)))に記載の導電性ロール。
(((4))) 前記弾性発泡体の密度が、80kg/m以下である(((1)))乃至(((3)))のいずれか1つに記載の導電性ロール。
(((5))) 前記弾性発泡体の密度が、30kg/m以上75kg/m以下である(((4)))に記載の導電性ロール。
(((6))) 前記弾性発泡体のセル数が、20個/25mm以上80個/25mm以下である(((1)))乃至(((5)))のいずれか1つに記載の導電性ロール。
(((7))) 前記弾性発泡体のセル数が、40個/25mm以上65個/25mm以下である(((6)))に記載の導電性ロール。
(((8))) 前記弾性層のヒステリシスロスが、40%以下である(((1)))乃至(((7)))のいずれか1つに記載の導電性ロール。
(((9))) (((1)))乃至(((8)))のいずれか1つに記載の導電性ロールからなる転写ロールと、前記転写ロールに当接した清掃部材を有する転写装置。
(((10))) 前記清掃部材が、板状の清掃部材である(((9)))に記載の転写装置。
(((11))) 像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、(((9)))又は(((10)))に記載の転写装置と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
(((12))) 像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する(((9)))又は(((10)))に記載の転写装置と、を備える画像形成装置。
【0122】
(((1)))に係る発明によれば、支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%超である場合に比べて、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる導電性ロールが提供される。
(((2)))に係る発明によれば、前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、1質量%超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、前記弾性発泡体中の導電性粒子の含有率が、前記弾性発泡体の全質量に対して、0.1質量%超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((4)))に係る発明によれば、前記弾性発泡体の密度が、80kg/m超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、前記弾性発泡体の密度が、30kg/m未満又は75kg/m超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((6)))に係る発明によれば、前記弾性発泡体のセル数が、20個/25mm未満又は80個/25mm超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((7)))に係る発明によれば、前記弾性発泡体のセル数が、40個/25mm未満又は65個/25mm超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、前記弾性層のヒステリシスロスが、40%超である場合に比べ、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性により優れ、得られる画像の平行度の高めやすい導電性ロールが提供される。
(((9)))、(((10)))、(((11)))又は(((12)))に係る発明によれば、転写部材として、支持部材と、前記支持部材の外周面上に配置された弾性層と、前記弾性層の外周面上に配置された表面層とを有し、前記弾性層が、円筒状の弾性発泡体、及び、前記弾性発泡体の露出面を被覆する導電性被覆層を含んで構成され、前記弾性層のヒステリシスロスが、44%超である導電性ロールを用いる場合に比べて、得られる印刷物の裏面汚れ抑制性に優れる転写装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0123】
100 導電性ロール、110 支持部材、122 弾性層、124 中間層、126 表面層、200 画像形成装置、206 露光装置、207 感光体、208 帯電ロール、209 電源、211 現像装置、212 転写ロール、213 クリーニング装置、214 除電装置、215 定着装置、500 記録紙 1Y,1M,1C,1K 感光体、2Y,2M,2C,2K 帯電ロール、3 露光装置、3Y,3M,3C,3K レーザ光線、4Y,4M,4C,4K 現像装置、5Y,5M,5C,5K 一次転写ロール、6Y,6M,6C,6K 感光体クリーニング装置、8Y,8M,8C,8K トナーカートリッジ、10Y,10M,10C,10K 画像形成ユニット、20 中間転写ベルト、22 駆動ロール、24 支持ロール、26 二次転写ロール、28 定着装置、30 中間転写ベルトクリーニング装置、P 記録紙
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本実施形態における弾性層のヒステリシスロスは、JIS K6400-2(2012)のE法に従い算出した。ただし、測定サンプルとしては、支持部材の外周面上に弾性層を配置した導電性ロールを用いるものとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
<実施例6>
弾性層の形成において、導電処理液を得る際に、カーボンブラックの量が15質量%である水分散体を用いた以外は、実施例1と同様にして導電性ロール6を得た。
弾性層のヒステリシスロスは30%であった。