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特開2023-173755動力伝達部材、転写装置、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173755
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】動力伝達部材、転写装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/18 20060101AFI20231130BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G03G21/18 160
G03G15/16 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086218
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橘 康平
(72)【発明者】
【氏名】塩川 裕也
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA04
2H171LA04
2H171LA08
2H171LA13
2H171LA17
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QA25
2H171QB03
2H171QB18
2H171QB32
2H171QC03
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H200GA12
2H200GA33
2H200HA03
2H200HB12
2H200JA02
2H200JB13
2H200JC03
(57)【要約】
【課題】一の係合歯の径方向の厚さと他の係合歯の径方向の厚さが異なる場合と比して、係合歯と被係合部との間に生じる周方向のガタ量を少なくすることができる構成を得る。
【解決手段】樹脂材料で形成され、軸方向から見て周方向に同様の間隔で並ぶと共に径方向の厚さが同様とされた複数の係合歯を有する雄部材と、雄部材に対して軸方向に相対移動することで係合歯が係合する被係合部を有する雌部材と、雄部材及び雌部材に設けられ、雄部材と雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で係合歯を被係合部に係合させ、雄部材と雌部材とを嵌合させる嵌合手段と、を備える
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料で形成され、軸方向から見て周方向に同様の間隔で並ぶと共に径方向の厚さが同様とされた複数の係合歯を有する雄部材と、
前記雄部材に対して軸方向に相対移動することで前記係合歯が係合する被係合部を有する雌部材と、
前記雄部材及び前記雌部材に設けられ、前記雄部材と前記雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で前記係合歯を前記被係合部に係合させ、前記雄部材と前記雌部材とを嵌合させる嵌合手段と、
を備える動力伝達部材。
【請求項2】
前記嵌合手段は、前記雄部材に設けられ、前記係合歯の基端側に配置されると共に切欠き部が形成された軸部と、前記雌部材に設けられ、前記雄部材と前記雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で、前記切欠き部に差し込まれる差込部と、を備える、
請求項1に記載の動力伝達部材。
【請求項3】
前記軸部は、前記係合歯の基端部に接続されている、
請求項2に記載の動力伝達部材。
【請求項4】
前記軸部は、前記軸方向から見て一端と他端との間が前記切欠き部とされた円弧状で、
前記軸部の径方向の厚さは、周方向で同様とされている、
請求項3に記載の動力伝達部材。
【請求項5】
前記雄部材と前記雌部材とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置では、前記軸方向で前記差込部と前記軸部の端部とが接触した状態で、前記係合歯と前記被係合部とが前記軸方向で離間している、
請求項2に記載の動力伝達部材。
【請求項6】
前記軸部の端部には、前記軸方向を向くと共に前記差込部が接触する端面が形成されている、
請求項5に記載の動力伝達部材。
【請求項7】
周回する無端状の無端部材と、
前記無端部材の周回方向に並ぶ複数の像保持体に対して前記無端部材を挟んで反対側に夫々配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端部材に転写する一次転写部材と、
前記無端部材に転写された画像を記録媒体に転写する二次転写部材と、
請求項1~6の何れか1項に記載の動力伝達部材を通して伝達された回転力によって、複数の前記一次転写部材の内少なくとも一部を移動させて前記無端部材と前記像保持体とを接離させる接離部材と、
を備える転写装置。
【請求項8】
画像を保持する複数の像保持体と、
前記像保持体が保持した画像を、記録媒体に転写する請求項7に記載の転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力伝達部材、転写装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置に用いられる着脱可能なプロセスカートリッジの感光体ドラムユニット、感光体ドラムユニット一端から突出した軸に設けられたカップリング、カップリングは画像形成装置の駆動軸から回転力を感光体ドラムに伝達し、カップリングは本体駆動軸と一義的に結合される形状を持ち、カップリングは感光体ドラムの突出した軸に対して任意の回転方向に結合可能な構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-091793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駆動軸と従動軸を繋ぐ動力伝達部材は、樹脂材料で形成された雄部材と、雄部材と嵌合する雌部材とを備えている。雄部材には、複数の係合歯が形成され、雌部材には、雄部材と雌部材とを軸方向に相対移動させることで、雄部材の係合歯が係合する被係合部が形成されている。
【0005】
従来、周方向における予め決められた位置で雄部材と雌部材とが嵌合する動力伝達部材においては、軸方向から見て、複数の係合歯が異形とされていた。具体的には、一の係合歯の径方向の厚さと他の係合歯の径方向の厚さとが異なっていた。そこで、成形時の成形収縮のばらつきに起因して、係合歯の形状が製品間でばらついていた。このため、係合歯と被係合部との間に設ける周方向の隙間を大きくする必要があった。換言すると、係合歯と被係合部との間に生じる周方向のガタ量が多くなっていた。
【0006】
本開示の課題は、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた位置で嵌合する動力伝達部材において、一の係合歯の径方向の厚さと他の係合歯の径方向の厚さとが異なる場合と比して、係合歯と被係合部との間に生じる周方向のガタ量を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1態様に係る動力伝達部材は、樹脂材料で形成され、軸方向から見て周方向に同様の間隔で並ぶと共に径方向の厚さが同様とされた複数の係合歯を有する雄部材と、前記雄部材に対して軸方向に相対移動することで前記係合歯が係合する被係合部を有する雌部材と、前記雄部材及び前記雌部材に設けられ、前記雄部材と前記雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で前記係合歯を前記被係合部に係合させ、前記雄部材と前記雌部材とを嵌合させる嵌合手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の第2態様に係る動力伝達部材は、第1態様に記載の動力伝達部材において、前記嵌合手段は、前記雄部材に設けられ、前記係合歯の基端側に配置されると共に切欠き部が形成された軸部と、前記雌部材に設けられ、前記雄部材と前記雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で、前記切欠き部に差し込まれる差込部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本開示の第3態様に係る動力伝達部材は、第2態様に記載の動力伝達部材において、前記軸部は、前記係合歯の基端部に接続されていることを特徴とする。
【0010】
本開示の第4態様に係る動力伝達部材は、第3態様に記載の動力伝達部材において、前記軸部は、前記軸方向から見て一端と他端との間が前記切欠き部とされた円弧状で、前記軸部の径方向の厚さは、周方向で同様とされていることを特徴とする。
【0011】
本開示の第5態様に係る動力伝達部材は、第2態様に記載の動力伝達部材において、前記雄部材と前記雌部材とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置では、前記軸方向で前記差込部と前記軸部の端部とが接触した状態で、前記係合歯と前記被係合部とが前記軸方向で離間していることを特徴とする。
【0012】
本開示の第6態様に係る動力伝達部材は、第5態様に記載の動力伝達部材において、前記軸部の端部には、前記軸方向を向くと共に前記差込部が接触する端面が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本開示の第7態様に係る転写装置は、周回する無端状の無端部材と、前記無端部材の周回方向に並ぶ複数の像保持体に対して前記無端部材を挟んで反対側に夫々配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端部材に転写する一次転写部材と、前記無端部材に転写された画像を記録媒体に転写する二次転写部材と、請求項1~6の何れか1項に記載の動力伝達部材を通して伝達された回転力によって、複数の前記一次転写部材の内少なくとも一部を移動させて前記無端部材と前記像保持体とを接離させる接離部材と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本開示の第8態様に係る画像形成装置は、画像を保持する複数の像保持体と、前記像保持体が保持した画像を、記録媒体に転写する請求項7に記載の転写装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本開示の第1態様に係る動力伝達部材によれば、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた位置で嵌合する動力伝達部材において、一の係合歯の径方向の厚さと他の係合歯の径方向の厚さとが異なる場合と比して、係合歯と被係合部との間に生じる周方向のガタ量を少なくすることができる。
【0016】
本開示の第2態様に係る動力伝達部材によれば、軸部が係合歯の先端側に配置される場合と比して、雄部材を小型化することができる。
【0017】
本開示の第3態様に係る動力伝達部材は、軸部と係合歯とが離間している場合と比して、係合歯の剛性が向上する。
【0018】
本開示の第4態様に係る動力伝達部材によれば、軸部の径方向の厚さが周方向でばらついている場合と比して、軸部の成形収縮に起因して生じる係合歯の形状ばらつきを小さくすることができる。
【0019】
本開示の第5態様に係る動力伝達部材によれば、軸方向で差込部と軸部の端部とが接触した状態で、係合歯と被係合部とが軸方向で接触する場合と比して、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置で、係合歯が被係合部に係合するのを抑制することができる。
【0020】
本開示の第6態様に係る動力伝達部材によれば、差込部が軸部に対して点で接触する場合と比して、軸部の端部が変形するのを抑制することができる。
【0021】
本開示の第7態様に係る転写装置は、一の係合歯の径方向の厚さと他の係合歯の径方向の厚さとが異なる動力伝達部材によって回転力が伝達される場合と比して、無端部材と像保持体とを接離させるときに生じる異音の発生を抑制することができる。
【0022】
本開示の第8態様に係る画像形成装置によれば、一の係合歯の径方向の厚さと他の係合歯の径方向の厚さが異なる動力伝達部材によって回転力が伝達される転写装置を備えている場合と比して、画像形成時に生じる異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置を示した概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係る画像形成装置のトナー画像形成部を示した構成図である。
図3】本開示の実施形態に係る転写装置であって、カラーモードの状態を示した正面図である。
図4】本開示の実施形態に係る転写装置であって、カラーモードから単色モードへ変更している状態を示した正面図である。
図5】本開示の実施形態に係る転写装置であって、単色モードの状態を示した正面図である。
図6】(A)(B)本開示の実施形態に係る動力伝達部材であって、雌部材及び雄部材を示した斜視図である。
図7】本開示の実施形態に係る動力伝達部材であって、雌部材と雄部材とが嵌合した状態を示した正面図である。
図8】(A)(B)本開示の実施形態に係る動力伝達部材であって、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置における、雌部材及び雄部材を示した正面図及び斜視図である。
図9】(A)(B)本開示の実施形態に係る動力伝達部材であって、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた相対位置における、雌部材及び雄部材を示した正面図及び斜視図である。
図10】(A)(B)本開示の実施形態に対する比較形態に係る動力伝達部材であって、雌部材及び雄部材を示した斜視図である。
図11】本開示の実施形態に対する比較形態に係る動力伝達部材であって、雌部材と雄部材とが嵌合した状態を示した正面図である。
図12】(A)(B)本開示の実施形態に対する比較形態に係る動力伝達部材であって、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置における、雌部材及び雄部材を示した正面図及び斜視図である。
図13】(A)(B)本開示の実施形態に対する比較形態に係る動力伝達部材であって、雄部材と雌部材とが周方向における予め決められた相対位置における、雌部材及び雄部材を示した正面図及び斜視図である。
図14】(A)(B)(C)本開示の実施形態に対する比較形態に係る動力伝達部材であって、雄部材が雌部材に回転力を伝達している状態を示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施形態に係る動力伝達部材、転写装置、及び画像形成装置の一例を図1図14に従って説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0025】
(画像形成装置10の全体構成)
画像形成装置10は、図1に示されるように、電子写真方式によりトナー画像を形成する画像形成部12と、搬送経路16に沿って記録媒体としてのシート部材Pを搬送する搬送部14とを備えている。また、画像形成装置10は、シート部材Pを収容する収容部材18と、装置全体を制御する制御部28とを備えている。
【0026】
この画像形成装置10では、搬送部14によって収容部材18に収容されたシート部材Pが、搬送経路16に沿って搬送される。さらに、画像形成部12によって形成されたトナー画像が、搬送されるシート部材Pに形成され、トナー画像が形成されたシート部材Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0027】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、図1に示されるように、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によってシート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置34を備えている。
【0028】
-トナー画像形成部30-
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数設けられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30Y、30M、30C、30Kが設けられている。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0029】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されており、図2に示されるように、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、トナーを含んだ現像剤Zで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。これにより、各色のトナー画像形成部30は、各色の画像を、各色のトナーを用いて形成するようになっている。
【0030】
また、各色の像保持体40は、図1に示されるように、周回移動する転写ベルト50(詳細は後述)に接触している。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番に並んで配置されている。
【0031】
-転写部32-
転写部32は、トナー画像形成部30によって形成されたトナー画像をシート部材Pに転写する機能の有する。なお、転写部32については、詳細を後述する。
【0032】
-定着装置34-
定着装置34は、図1に示されるように、シート部材Pの搬送方向において転写ニップNTの下流側に配置されている。定着装置34は、シート部材Pに転写されたトナー画像を加熱、加圧してシート部材Pに定着させるようになっている。
【0033】
〔搬送部14〕
搬送部14は、図1に示されるように、収容部材18に収容されたシート部材Pを搬送経路16へ送り出す送出ロール20と、送出ロール20によって送り出されたシート部材Pの重送を防止する防止ロール22とを備えている。さらに、搬送部14は、転写ニップNTへ送り出すシート部材Pのタイミングを調整する調整ロール24と、定着装置34によってトナー画像が定着されたシート部材Pを装置本体10aの外部へ排出する排出ロール26とを備えている。
【0034】
(要部構成)
次に、転写部32について説明する。転写部32は、転写装置の一例である。
【0035】
転写部32は、図3に示されるように、転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の像保持体40の反対側に夫々配置され、各色の像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写する一次転写ロール52とを備えている。また、転写部32は、複数の一次転写ロール52の内少なくとも一部の一次転写ロール52を移動させて転写ベルト50と像保持体40とを接離させる接離ユニット60を備えている。接離ユニット60は、接離部材の一例である。
【0036】
さらに、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられた巻掛ロール56と、転写ベルト50が巻き掛けられ、転写ベルト50に回転力を伝達する駆動ロール58と、転写ベルト50においてトナー画像が転写される部分の位置出しをする位置出しロール64とを備えている。また、転写部32は、転写ベルト50に張力を付与する付与ロール70を備えている。
【0037】
さらに、転写部32は、転写ベルト50を挟んで巻掛ロール56の反対側に配置され、転写ベルト50に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール54を備えている。そして、二次転写ロール54と転写ベルト50との間には、シート部材Pにトナー画像を転写する転写ニップNTが形成されている。
【0038】
〔転写ベルト50、巻掛ロール56、駆動ロール58〕
転写ベルト50は、図3に示されるように、無端状で、装置幅方向の一端(図中左端)が他端に対して下方となる姿勢で配置されている。転写ベルト50は、無端部材の一例である。
【0039】
巻掛ロール56は、軸方向を装置奥行方向とし、巻掛ロール56には、転写ベルト50の装置幅方向の一端部分が巻き掛けられている。駆動ロール58は、軸方向を装置奥行方向とし、駆動ロール58には、転写ベルト50の装置幅方向の他端部分が巻き掛けられている。
【0040】
この構成において、図示せぬ駆動源から駆動力が伝達された駆動ロール58が回転することで、転写ベルト50が図中矢印方向(時計回り方向)に周回する。
【0041】
〔一次転写ロール52、二次転写ロール54〕
各色の一次転写ロール52は、図3に示されるように、転写ベルト50の周回方向(以下「ベルト周回方向」)において、駆動ロール58の下流側で、かつ、巻掛ロール56の上流側に配置されている。そして、各色の一次転写ロール52は、各色の像保持体40に対して転写ベルト50を挟んで反対側で、転写ベルト50の内周面に接触している。また、二次転写ロール54は、転写ベルト50を挟んで巻掛ロール56の反対側に配置されている。一次転写ロール52は、一次転写部材の一例であって、二次転写ロール54は、二次転写部材の一例である。
【0042】
この構成において、各色の一次転写ロール52は、各色の像保持体40との間で転写ベルト50を挟み込んだ状態で、各色の像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写する。さらに、二次転写ロール54は、一次転写ロール52によって転写ベルト50に転写されたトナー画像を転写ニップNTで搬送されるシート部材Pに転写する。
【0043】
〔付与ロール70、位置出しロール64〕
付与ロール70は、図3に示されるように、ベルト周回方向において、一次転写ロール52Kの下流側で、かつ、二次転写ロール54の上流側に配置されている。そして、付与ロール70は、転写ベルト50の内周面に接触して転写ベルト50を押圧している。これにより、転写ベルト50に張力が付与されるようになっている。
【0044】
位置出しロール64は、図3に示されるように、ベルト周回方向において、全ての一次転写ロール52を間において、一対設けられている。具体的には、ベルト周回方向において、全ての一次転写ロール52の上流側に配置されている位置出しロール64aと、全ての一次転写ロール52の下流側に配置されている位置出しロール64bとが設けられている。
【0045】
〔接離ユニット60〕
接離ユニット60は、図3に示されるように、装置奥行方向から見て、転写ベルト50に囲まれるように配置されている。そして、接離ユニット60は、一次転写ロール52Cを一端で回転可能に支持するL字状のL字アーム72Cと、一次転写ロール52Mを一端で回転可能に支持するL字状のL字アーム72Mとを備えている。さらに、接離ユニット60は、一次転写ロール52Yを一端で回転可能に支持するL字状のL字アーム72Yと、位置出しロール64aを一端で回転可能に支持するL字状のL字アーム74とを備えている。そして、これらのL字状のL字アーム72C、72M、72Y、74は、装置奥行方向に離間して夫々一対設けられている。
【0046】
また、接離ユニット60は、一端がL字アーム72Cの他端に回転可能に連結され、駆動ロール58側へ延びる直線状のアーム76と、アーム76の他端と接するカム面が形成された偏心カム80とを備えている。さらに、接離ユニット60は、アーム76の他端を偏心カム80のカム面に向けて付勢する付勢部材(図示省略)を備えている。
【0047】
また、接離ユニット60は、アーム76の移動をL字アーム72M、72Y、74の他端に伝達する複数のアーム78を備えている。
【0048】
この構成において、回転軸80aを中心に偏心カム80を半回転させることで、図3図4図5に示されるように、L字アーム72C、72M、72Y、74が屈曲部を中心に回転し、一次転写ロール52C、52M、52Yが転写ベルト50の内周面から離間する。そして、付与ロール70によって張力が付与される転写ベルト50は、姿勢が変化して、像保持体40C、40M、40Yから離間する。
【0049】
このように、回転軸80aを中心に偏心カム80を半回転させることで、全ての像保持体40が転写ベルト50に接触するカラーモードから、像保持体40Kのみが転写ベルト50に接触する単色モードへ移行する。
【0050】
ここで、回転軸80aには、図示せぬシャフトを介して装置本体10a側から回転力が伝達されている。また、このシャフトの中間部分には、シャフトを一方側と他方向とに分離可能とする動力伝達部材100が設けられている。これより、転写部32が、装置本体10aから着脱可能とされる。
以下、動力伝達部材100について詳細に説明する。
【0051】
〔動力伝達部材100〕
動力伝達部材100は、所謂カップリングであって、図6(A)(B)に示されるように、雄部材102と、雌部材132とを備えている。雄部材102は、装置本体10a(図1参照)側のシャフトの端部に取り付けられ、雌部材132は、偏心カム80の回転軸80a(図3参照)を構成するシャフトの端部に取り付けられている。
【0052】
-雄部材102-
雄部材102は、樹脂材料を用いて一体的に形成されており、図6(B)に示されるように、軸方向を向いた基端面104aを有する基部104と、基端面104aから軸方向へ突出する複数の係合歯106とを備えている。さらに、雄部材102は、基端面104aから軸方向に突出すると共に軸方向から見て円弧状の円弧部112を備えている。円弧部112は、軸部の一例である。
【0053】
本実施形態では、雄部材102は、一例としてポリアセタール樹脂(POM)を用いて射出成形によって形成されている。また、本実施形態では、軸方向は、装置奥行方向と同様の方向である。
【0054】
係合歯106は、複数設けられ、周方向に同様の間隔で並んでいる。また、係合歯106は、径方向に延びており、係合歯106の基端は、軸方向から見て、軸中心に対して離間している。ここで、係合歯106の基端とは、係合歯106において軸中心側の端部である。
【0055】
さらに、複数の係合歯106の径方向の厚さは同様とされている。また、周方向に同様の間隔で並んだ係合歯106において一端部の係合歯106と他端部の係合歯106との間の隙間は、周方向に並んだ複数の係合歯106の間隔と比して広くされている。
【0056】
ここで、係合歯106の径方向の厚さとは、図7に示されるように、係合歯106の径方向における基端から先端までの厚さ(図中のT01参照)である。また、係合歯106の径方向の厚さが同様とされているとは、最も厚い厚さTmaxと、最も薄い厚さTminとの差が、Tmaxの10〔%〕以下のことである。さらに、同様の間隔とは、軸方向から見て、隣り合う係合歯106の中心線の間隔(図中のK01参照)において、最も広い間隔Kmaxと、最も狭い間隔Kminの差が、Kmaxの10〔%〕以下のことである。
【0057】
一方、円弧部112は、図6(B)に示されるように、係合歯106の基端側に配置されており、円弧部112の径方向の外側を向いた外周面112aに係合歯106の基端部が接続されている。そして、周方向に延びる円弧部112の一端側から他端側へ向けて、複数の係合歯106が同様の間隔で並んでいる。さらに、円弧部112の径方向の厚さは、周方向で同様とされている。
【0058】
ここで、図7に示されるように、円弧部112の径方向の厚さ(図中のT02)が同様とされているとは、最も厚い厚さTmaxと、最も薄い厚さTminとの差が、Tmaxの10〔%〕以下のことである。
【0059】
さらに、周方向に延びる円弧部112の一端部には、図6(B)に示されるように、周方向を向いた一端面112bが形成されており、円弧部112の他端部には、周方向を向いた他端面112cが形成されている。そして、一端面112bと他端面112cとは、周方向で対向しており、一端面112bと他端面112cとの間が、切欠き部114とされている。
【0060】
さらに、円弧部112には、軸方向を向いた天面112dが形成されており、天面112dは、係合歯106に対して軸方向の外側へ突出している。ここで、雄部材102において、軸方向の外側とは、雌部材132に近接する側である。
【0061】
-雌部材132-
雌部材132は、樹脂材料を用いて一体的に形成されており、図6(A)に示されるように、内周面134aを有する円筒部134と、雄部材102に対して軸方向に相対移動することで係合歯106(図6(B)参照)が係合する被係合部136と、を備えている。さらに、雌部材132は、雄部材102の切欠き部114に差し込まれる差込部142を備えている。本実施形態では、雌部材132は、一例としてポリアセタール樹脂(POM)を用いて射出成形によって形成されている。
【0062】
被係合部136は、円筒部134の内部に複数設けられ、内周面134aに沿って周方向に同様の間隔で並んでいる。この被係合部136は、周方向に同様の間隔で複数並んだ隣り合う突起部138の間に形成されている。突起部138は、内周面134aから径方向の内側へ突出しており、周方向に同様の間隔で並んでいる。
【0063】
さらに、周方向に同様の間隔で並んだ被係合部136において一端部の被係合部136と他端部の被係合部136との間の隙間は、周方向に並んだ複数の被係合部136の間隔と比して広くされている。この広くされた空間に、円筒部134の内周面134aが径方向の外側から内側に突出している。
【0064】
差込部142は、突出した部分の内周面134aから径方向の内側に延びている。具体的には、差込部142は、板厚方向を周方向とした板状である。また、軸方向における差込部142の外側の端部は、軸方向における突起部138の外側の端部と同様の位置とされている。ここで、雌部材132において軸方向の外側とは、雄部材102に近接する側である。
【0065】
そして、雄部材102と雌部材132とが周方向において予め決められた相対位置となると、図7に示されるように、差込部142が切欠き部114に差し込まれ、係合歯106と被係合部136とが係合する。これにより、雄部材102と雌部材132とが周方向において予め決められた相対位置で、雄部材102と雌部材132とが嵌合するようになっている。
【0066】
このように、差込部142と、切欠き部114が形成された円弧部112とを含んで雄部材102と雌部材132とを嵌合させる嵌合部120が構成されている。嵌合部120は、嵌合手段の一例である。
【0067】
そして、雄部材102と雌部材132とが嵌合した状態で、周方向における差込部142と一端面112bとの隙間(図中のS1)、及び周方向における差込部142と他端面112cとの隙間(図中のS1)は、周方向における係合歯106と突起部138との隙間(図中のS2)と比して広くされている。
【0068】
(作用)
次に、動力伝達部材100の作用について、比較形態に係る動力伝達部材300と比較しつつ説明する。先ず、比較形態に係る動力伝達部材300の構成について説明する。なお、動力伝達部材300については、動力伝達部材100と異なる部分を主に説明する。
【0069】
〔比較形態に係る動力伝達部材300の構成〕
動力伝達部材300は、図10(A)(B)に示されるように、雄部材302と、雌部材332とを備えている。
【0070】
-雄部材302-
雄部材302は、図10(B)に示されるように、軸方向を向いた基端面304aを有する基部304と、基端面304aから軸方向へ突出する複数の係合歯306とを備えている。
【0071】
具体的には、基端面304aから軸方向に突出すると共に軸方向から見て矢印状の矢印部308が形成されており、この矢印部308には、軸方向を向いた天面308aが形成されている。そして、この矢印部308において径方向の外側に突出した3個の部分が、係合歯306とされている。なお、以下の説明では、矢印部308の先端に形成された係合歯306を係合歯306aと称し、矢印部308の基端に形成された一対の係合歯306を係合歯306bと称する。なお、係合歯306aと係合歯306bとを区別しない場合は、末尾のアルファベットを省略する。
【0072】
そして、図11に示されるように、係合歯306aの径方向の厚さ(図中のT11)と、係合歯306bの径方向の厚さ(図中のT12)とは、異なっている。換言すれば、厚さT11と厚さT12とは、同様とされていない。
【0073】
-雌部材332-
雌部材332は、図10(A)に示されるように、矢印状の凹部である被係合部336を有する本体部334を備えている。具体的には、本体部334には、軸方向を向いた本体面334aが形成されており、係合歯306と係合する被係合部336は、本体面334aに対して凹んでいる。
【0074】
〔比較形態に係る動力伝達部材300の作用〕
動力伝達部材300において、雄部材302と雌部材332とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置では、図12(A)(B)に示されるように、雄部材302の矢印部308の天面308aと、雌部材332の本体部334の本体面334aとが、図示せぬ付勢部材の付勢力によって軸方向で接触する。
【0075】
また、雄部材302と雌部材332とが周方向における予め決められた相対位置となると、図13(A)(B)に示されるように、図示せぬ付勢部材の付勢力によって矢印部308に形成された3個の係合歯306が形成された矢印部308と被係合部336とが軸方向に相対移動する。そして、係合歯306と被係合部336とが係合し、雄部材302と雌部材332とが嵌合する。雄部材302と雌部材332とが嵌合した状態で、雄部材302と雌部材332との間で回転力が伝達可能される。
【0076】
ここで、図11に示されるように、雄部材302の係合歯306aの径方向の厚さT11と、係合歯306bの径方向の厚さT12とは異なっている。このため、成形時の成形収縮のばらつきに起因して、係合歯306の形状が製品間でばらついてしまう。
【0077】
このため、比較形態に係る動力伝達部材300では、周方向における係合歯306と被係合部336との隙間を大きく設定しなければならない。換言すれば、係合歯306と被係合部336との間に生じる周方向のガタ量を大きくしなければならない。
【0078】
次に、比較形態に係る動力伝達部材300を用いて装置本体10a側から偏心カム80の回転軸80a(図3参照)へ回転力を伝達するときの作用について図14を用いて説明する。
【0079】
矢印部308の係合歯306が被係合部336に係合した状態で、装置本体10a側の矢印部308が時計方向に回転すると、図14(A)に示されるように、夫々の係合歯306が、被係合部336の周面336aに周方向で接触する。なお、この状態で、図3に示すアーム76が偏心カム80に向けて付勢されることで、偏心カム80には、反時計回り回転する回転力が負荷されている。換言すれば、被係合部336を有する雌部材332には、反時計回り回転する回転力が負荷されている。
【0080】
そして、図14(B)、図14(C)に示されるように、雄部材302の矢印部308が時計方向に回転すると、被係合部336を有する雌部材332が雄部材302によって周方向へ押されて時計方向に回転する。そして、雌部材332が半回転することで、転写部32は、カラーモードから単色モードへ移行する。
【0081】
ここで、雌部材332が半回転する過程で、図3に示すアーム76が偏心カム80に向けて付勢されることで、反時計回りに回転しようとする偏心カム80が、時計回りに回転しようとする。所謂、不起動点(デットポイント)を超えることで、反時計回りに回転しようとする偏心カム80が、時計回りに回転しようとする。
【0082】
このときに、図14(B)、図14(C)に示されるように、夫々の係合歯306が、被係合部336の周面336aに周方向で接触する位置が、周方向で一方から他方へと変化する。この接触位置の変化によって、衝撃音が発生する。ここで、前述したように、比較形態に係る動力伝達部材300では、係合歯306と被係合部336を構成する周面336aとの周方向における隙間を大きく設定しなければならない。このため、衝撃音も大きくなってしまう。
【0083】
〔本実施形態に係る動力伝達部材100の作用〕
動力伝達部材100において、雄部材102と雌部材132とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置では、図8(A)(B)に示されるように、雄部材102の円弧部112の天面112dと、雌部材132の差込部142とが、図示せぬ付勢部材の付勢力によって軸方向で接触する。この状態では、係合歯106と被係合部136とは、軸方向で離間している。
【0084】
また、雄部材102と雌部材132とが周方向における予め決められた相対位置となると、図9(A)(B)に示されるように、図示せぬ付勢部材の付勢力によって差込部142が切欠き部114に差し込まれることで、係合歯106と被係合部136とが軸方向に相対移動して係合し、雄部材102と雌部材132とが嵌合する。
【0085】
そして、雄部材102と雌部材132とが嵌合した状態で、雄部材102と雌部材132との間で回転力が伝達可能される。
【0086】
ここで、複数設けられた係合歯106は、周方向に同様の間隔で並んでいる。また、複数の係合歯106の径方向の厚さは同様とされている。このため、成形時の成形収縮のばらつきに起因して、係合歯106の形状における製品間のばらつきが、比較形態に係る動力伝達部材300と比して小さくなる。
【0087】
これにより、本実施形態に係る動力伝達部材100では、比較形態に係る動力伝達部材300と比して係合歯306と被係合部336との隙間が小さくなる。換言すれば、係合歯106と被係合部136との間に生じる周方向のガタ量が、動力伝達部材300と比して、少なくなる。
【0088】
(まとめ)
以上説明したように、雄部材102と雌部材132とが周方向における予め決められた位置で嵌合する動力伝達部材において、動力伝達部材100は、動力伝達部材300と比して、係合歯106と被係合部136との間に生じる周方向のガタ量が少なくなる。
【0089】
また、動力伝達部材100においては、係合歯106と被係合部136との間に生じる周方向のガタ量が少なくなることで、ガタ量に起因して生じる衝撃音が、動力伝達部材300と比して、小さくなる。
【0090】
また、動力伝達部材100においては、円弧部112は、係合歯106の基端側(中心側)に配置されている。このため、円弧部が係合歯の先端側に配置される場合と比して、雄部材102が小型化される。
【0091】
また、動力伝達部材100においては、円弧部112は、係合歯106の基端部に接続されている。このため、円弧部と係合歯とが離間している場合と比して、係合歯106の剛性が向上する。
【0092】
また、動力伝達部材100においては、円弧部112の径方向の厚さは、周方向で同様とされている。このため、円弧部112の径方向の厚さが周方向でばらついている場合と比して、円弧部112の成形収縮に起因して生じる係合歯106の形状ばらつきが抑制される。
【0093】
また、動力伝達部材100においては、雄部材102と雌部材132とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置では、雌部材132の差込部142が雄部材102の円弧部112の天面112dと接触した状態で、係合歯106と被係合部136とが軸方向で離間している。このため、差込部が円弧部の天面と接触した状態で、係合歯と被係合部とが軸方向で接触している場合と比して、雄部材102と雌部材132とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置で、係合歯106と被係合部136との係合が抑制される。
【0094】
また、動力伝達部材100においては、円弧部112には差込部142が接触する天面112dが形成されている。このため、差込部が円弧部に対して点で接触する場合と比して、円弧部112の端部の変形が抑制される。
【0095】
また、転写部32においては、動力伝達部材100を介して回転力が偏心カム80に伝達されてカラーモードと単色モードとが切り替えられる。このため、カラーモードと単色モードとが切り替えるときに、動力伝達部材300を介して回転力が伝達される場合と比して、ガタ量に起因する衝撃音の発生が抑制される。
【0096】
また、画像形成装置10においては、動力伝達部材100を介して回転力が伝達される転写部32を備えている。このため、動力伝達部材300を介して回転力が伝達される転写部を備えている場合と比して、異音の発生が抑制される。
【0097】
なお、本開示を特定の実施形態について詳細に説明したが、本開示は係る実施形態に限定されるものではなく、本開示は本開示の範囲にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、円弧部112は、係合歯106の基端側に配置されていたが、円弧部が係合歯の先端側に配置されていてもよい。この場合には、円弧部112が、係合歯106の基端側に配置されることで奏する作用は奏しない。
【0098】
また、上記実施形態では、円弧部112は、係合歯106の基端部に接続されていたが、円弧部が係合歯と離間していてもよい。この場合には、円弧部112が係合歯106の基端部と接続されることで奏する作用は奏しない。
【0099】
また、上記実施形態では、円弧部112の径方向の厚さは、周方向で同様とされたが、同様とされていなくてもよい。この場合には、円弧部112の径方向の厚さは、周方向で同様とされることで奏する作用は奏しない。
【0100】
また、上記実施形態では、円弧部112は、円弧状とされたが、円柱状であってもよい。この場合には、円弧状とされることで奏する作用は奏しない。
【0101】
また、上記実施形態では、嵌合部120が、周方向に1個設けられたが、複数個設けられてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、動力伝達部材100は、画像形成装置10の転写部32の偏心カム80に回転力を伝達するのに用いたが、画像形成装置10の像保持体、現像装置、及び定着装置等の他の部材に回転力を伝達するのに用いてもよい。
【0103】
(((1)))
樹脂材料で形成され、軸方向から見て周方向に同様の間隔で並ぶと共に径方向の厚さが同様とされた複数の係合歯を有する雄部材と、
前記雄部材に対して軸方向に相対移動することで前記係合歯が係合する被係合部を有する雌部材と、
前記雄部材及び前記雌部材に設けられ、前記雄部材と前記雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で前記係合歯を前記被係合部に係合させ、前記雄部材と前記雌部材とを嵌合させる嵌合手段と、
を備える動力伝達部材。
【0104】
(((2)))
前記軸方向から見て、前記係合歯の基端は、軸中心に対して離間しており、
前記嵌合手段は、前記雄部材に設けられ、前記係合歯の基端側に配置されると共に切欠き部が形成された軸部と、前記雌部材に設けられ、前記雄部材と前記雌部材とが周方向において予め決められた相対位置になった状態で、前記切欠き部に差し込まれる差込部と、を備える、
(((1)))に記載の動力伝達部材。
【0105】
(((3)))
前記軸部は、前記係合歯の基端部に接続されている、
(((2)))に記載の動力伝達部材。
【0106】
(((4)))
前記軸部は、一端と他端と間が前記切欠き部とされた円弧状で、
前記軸部の径方向の厚さは、周方向で同様とされている、
(((3)))に記載の動力伝達部材。
【0107】
(((5)))
前記雄部材と前記雌部材とが周方向における予め決められた相対位置とは異なる位置では、前記係合歯と前記被係合部とが前記軸方向で離間した状態で、前記差込部と前記軸部の端部とが接触する、
(((2)))~(((4)))の何れか1に記載の動力伝達部材。
【0108】
(((6)))
前記軸部の端部には、前記軸方向を向いた端面が形成されている、
(((5)))に記載の動力伝達部材。
【0109】
(((7)))
周回する無端状の無端部材と、
前記無端部材の周回方向に並ぶ複数の像保持体に対して前記無端部材を挟んで反対側に夫々配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端部材に転写する一次転写部材と、
前記無端部材に転写された画像を記録媒体に転写する二次転写部材と、
(((1)))~(((6)))の何れか1に記載の動力伝達部材を通して伝達された回転力によって、複数の前記一次転写部材の内少なくとも一部を移動させて前記無端部材と前記像保持体とを接離させる接離部材と、
を備える転写装置。
【0110】
(((8)))
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された画像を、記録媒体に転写する(((7)))に記載の転写装置と、
を備える画像形成装置。
【符号の説明】
【0111】
10 画像形成装置
32 転写部(転写装置の一例)
40 像保持体
50 転写ベルト(無端部材の一例)
52 一次転写ロール(一次転写部材の一例)
54 二次転写ロール(二次転写部材の一例)
60 接離ユニット(接離部材の一例)
100 動力伝達部材
102 雄部材
106 係合歯
112 円弧部(軸部の一例)
112d 天面(端面の一例)
114 切欠き部
120 嵌合部(嵌合手段の一例)
132 雌部材
136 被係合部
142 差込部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14