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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173798
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】放熱構造および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20231130BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20231130BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 B
G06F1/16 312E
H05K7/20 H
H05K7/20 G
H05K7/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086292
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 健志
(72)【発明者】
【氏名】亀崎 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】高岡 宏之
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB02
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA05
5E322BB03
5E322BC01
5E322CA06
5E322DB10
5E322FA02
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】筐体への伝熱を抑制する。
【解決手段】本開示の放熱構造は、筐体の内部に配設される熱源からの熱を伝える伝熱器と、前記伝熱器の端部が接続されて前記熱源からの前記熱を放出する放熱器と、ファンおよび送風ダクトを有する送風器と、前記送風ダクトから分岐されて前記放熱器に送風する第1送風路と、前記送風ダクトから分岐されて前記筐体と前記伝熱器との間に送風する第2送風路と、を備え、前記送風ダクトは、前記第1送風路に接続される第1開口と、前記第2送風路に接続される第2開口と、を有し、前記第2開口は、前記第1開口よりも前記ファンの側に位置する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に配設される熱源からの熱を伝える伝熱器と、
前記伝熱器の端部が接続されて前記熱源からの前記熱を放出する放熱器と、
ファンおよび送風ダクトを有する送風器と、
前記送風ダクトから分岐されて前記放熱器に送風する第1送風路と、
前記送風ダクトから分岐されて前記筐体と前記伝熱器との間に送風する第2送風路と、を備え、
前記送風ダクトは、前記第1送風路に接続される第1開口と、前記第2送風路に接続される第2開口と、を有し、
前記第2開口は、前記第1開口よりも前記ファンの側に位置する、放熱構造。
【請求項2】
前記筐体には、前記送風ダクトの送風方向と交差する方向に開口する集塵開口が設けられており、
前記筐体は、前記集塵開口に着脱可能に取り付けられる蓋カバーを有し、
前記第2開口は、前記集塵開口に対面するように位置する、請求項1に記載の放熱構造。
【請求項3】
前記第2送風路における前記伝熱器に対面する対面部分では、前記第2送風路の下流側において前記伝熱器と前記筐体との間に形成される出口間隙が、前記出口間隙よりも上流側において前記伝熱器と前記筐体との間に形成される対面間隙よりも狭くなっている、請求項1に記載の放熱構造。
【請求項4】
前記筐体は、前記出口間隙よりもさらに下流側において前記第2送風路の下流側を画定するとともに、丸く湾曲した下流湾曲部を有する、請求項3に記載の放熱構造。
【請求項5】
前記第2送風路において前記第2開口よりも下流側であり且つ前記送風器と前記筐体との間に形成される途中間隙の断面積は、前記第1開口の開口面積よりも小さい、請求項1に記載の放熱構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の前記放熱構造を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放熱構造および該放熱構造を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ファンユニットと放熱フィンとの間に第1ダクト部材を設け、第1ダクト部材の位置を蓋部材の動きに連動して変化させることによって、送風の流れを切り替える電子機器を開示する。特許文献2は、ファンユニットと放熱フィン部材との間に配設される集塵部材が、筐体の開口に対して着脱可能に構成される電子機器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-53330号公報
【特許文献2】特開2007-189183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、筐体への伝熱を抑制する放熱構造及びその放熱構造を備える電子機器を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の放熱構造は、
筐体の内部に配設される熱源からの熱を伝える伝熱器と、
前記伝熱器の端部が接続されて前記熱源からの前記熱を放出する放熱器と、
ファンおよび送風ダクトを有する送風器と、
前記送風ダクトから分岐されて前記放熱器に送風する第1送風路と、
前記送風ダクトから分岐されて前記筐体と前記伝熱器との間に送風する第2送風路と、を備え、
前記送風ダクトは、前記第1送風路に接続される第1開口と、前記第2送風路に接続される第2開口と、を有し、
前記第2開口は、前記第1開口よりも前記ファンの側に位置する。
【0006】
本開示の一態様の電子機器は、上記の放熱構造を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、筐体への伝熱を抑制する放熱構造及びその放熱構造を備える電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る実施の形態の電子機器の一例を示す概略斜視図
図2図1に示した電子機器の底面図
図3図1に示した電子機器に配設される放熱構造の斜視図
図4図3に示した放熱構造を反対方向から見た斜視図
図5図3に示した放熱構造の正面図
図6図3に示した放熱構造の底面図
図7図5に示した放熱構造をVII-VII線で切断した断面斜視図
図8図5に示した放熱構造をVIII-VIII線で切断した要部断面図
図9図6に示した放熱構造をIX-IX線で切断した要部断面図
図10図6に示した放熱構造から第2下筐体を取り除いた状態を示す底面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至った経緯)
電子機器として、例えば、ノートブック型コンピュータ(ラップトップPC)が挙げられる。ノートブック型コンピュータは、表示部を有する第1筐体と、入力部を有する第2筐体と、第1筐体および第2筐体を回動可能に接続するヒンジ部と、を備える。また、ノートブック型コンピュータでは、第1筐体および第2筐体が回動し、表示部および入力部が対面する位置に配置される。
【0010】
ノートブック型コンピュータなどの電子機器では、種々の電子部品が筐体内に収容される。近年、電子機器の高性能化に伴って、電子部品の負荷が増大して、電子部品からの発熱量が増大する傾向にある。このため、電子部品からの発熱をできるだけ速やかに筐体の外に放出するための放熱構造が、筐体の内部に組み込まれる。放熱構造では、例えば、電子部品からの発熱が伝熱器を介して放熱器に伝わり、送風器からのエアを放熱器に送風することによって熱交換を行い、昇温したエアを筐体の排気口から排出する。発熱量が増大するとともに筐体が小型化される電子機器においては、筐体と伝熱部との間の隙間が小さくなって、伝熱器からの熱が、昇温したエアを介して筐体に伝達しやすくなるため、筐体が高温になることがある。
【0011】
そこで、本発明者らは、筐体への伝熱を抑制する放熱構造を見出し、以下の発明に至った。
【0012】
本開示の第1態様の放熱構造は、
筐体の内部に配設される熱源からの熱を伝える伝熱器と、
前記伝熱器の端部が接続されて前記熱源からの前記熱を放出する放熱器と、
ファンおよび送風ダクトを有する送風器と、
前記送風ダクトから分岐されて前記放熱器に送風する第1送風路と、
前記送風ダクトから分岐されて前記筐体と前記伝熱器との間に送風する第2送風路と、を備え、
前記送風ダクトは、前記第1送風路に接続される第1開口と、前記第2送風路に接続される第2開口と、を有し、
前記第2開口は、前記第1開口よりも前記ファンの側に位置する。
【0013】
このような構成により、筐体への伝熱を抑制できる。
【0014】
本開示の第2態様の放熱構造は、上記の第1態様において、
前記筐体には、前記送風ダクトの送風方向と交差する方向に開口する集塵開口が設けられており、
前記筐体は、前記集塵開口に着脱可能に取り付けられる蓋カバーを有し、
前記第2開口は、前記集塵開口に対面するように位置してもよい。
【0015】
このような構成により、第2開口および集塵開口を通じて、埃が付着しやすい放熱器の上流側に容易にアクセスでき、放熱器の上流側に付着した埃を掃除できる。
【0016】
本開示の第3態様の放熱構造は、上記の第1態様または第2態様において、
前記第2送風路における前記伝熱器に対面する対面部分では、前記第2送風路の下流側において前記伝熱器と前記筐体との間に形成される出口間隙が、前記出口間隙よりも上流側において前記伝熱器と前記筐体との間に形成される対面間隙よりも狭くなっていてもよい。
【0017】
このような構成により、排気口を通じた第2送風路への異物混入防止と、第2送風路での流速向上とを可能にする。
【0018】
本開示の第4態様の放熱構造は、上記の第3態様において、
前記筐体は、前記出口間隙よりもさらに下流側において前記第2送風路の下流側を画定するとともに、丸く湾曲した下流湾曲部を有していてもよい。
【0019】
このような構成により、第2送風路から流出するときの通風抵抗が低減することによって、第2送風路における流速が向上するので、筐体への伝熱を抑制できる。
【0020】
本開示の第5態様の放熱構造は、上記の第1態様から第4態様のいずれかにおいて、
前記第2送風路において前記第2開口よりも下流側であり且つ前記送風器と前記筐体との間に形成される途中間隙の断面積は、前記第1開口の開口面積よりも小さくてもよい。
【0021】
このような構成により、伝熱器が接続される放熱器を効果的に冷却できる。
【0022】
本開示の第6態様の電子機器は、
上記の第1態様から第5態様の放熱構造を備える。
【0023】
このような構成により、電子機器において、筐体への伝熱を抑制できる。
【0024】
以下、本開示の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。また、各図においては、説明を容易にするため、各要素を誇張して示している。なお、図中でのX方向、Y方向およびZ方向は、それぞれ、電子機器1の幅方向、奥行き方向および高さ方向を示す。
【0025】
(実施の形態)
[電子機器]
図1は、本開示に係る実施の形態の電子機器1の一例の概略斜視図である。
【0026】
図1に示すように、電子機器1は、例えば、ノートブック型コンピュータ(ラップトップPC)である。電子機器1は、第1筐体2および第2筐体3を備える。第1筐体2および第2筐体3のそれぞれは、薄い箱型の外郭を有し、平面視で、矩形状を有する。
【0027】
第1筐体2には、表示部としての表示パネル4が収納される。表示パネル4は、例えば、液晶パネルや有機ELパネルである。表示パネル4の外周は、第1筐体2の第1枠2aによって覆われる。第1枠2aは、少なくとも表示パネル4の両側端を覆っていればよい。
【0028】
第2筐体3は、第2上筐体3aおよび第2下筐体3bを有する。第2筐体3は、入力部として働く、キーボード5およびタッチパッド6を収納する。キーボード5の外周は、第2筐体3の第2上筐体3aによって覆われる。ユーザから見てキーボード5の手前側にはタッチパッド6が設けられる。ユーザは、タッチパッド6を指でなぞることによって、表示パネル4でのカーソルの移動やスクロールなどを行うことができる。
【0029】
例えば、第2筐体3の内部には、いずれも図示しない、二次電池、主記録デバイスであるハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)、および、その他のデバイスなどが配設される。なお、電子機器1は、例えば、無線LAN通信のためのアンテナモジュール、ブルーレイディスクやDVDディスクに対応したディスクドライブ、ウェブカメラ素子、音声マイク、スピーカ、および、その他各種の入出力端子などを備えることができる。しかしながら、これらの部材や機能は従来から周知であるので、これらの図示および詳細な説明を省略する。
【0030】
第1筐体2および第2筐体3は、ヒンジ部7を介して回動可能に接続されて、電子機器1がオープン状態またはクローズ状態になる。なお、「オープン状態」とは、第1筐体2および第2筐体3が離間して、表示パネル4、キーボード5およびタッチパッド6が露出する状態を意味する。「クローズ状態」とは、第1筐体2および第2筐体3が対向する位置にあり、表示パネル4がキーボード5およびタッチパッド6に対面して、表示パネル4、キーボード5およびタッチパッド6が露出していない状態を意味する。
【0031】
図2は、図1に示した電子機器1の底面図である。図2に示すように、第2筐体3は、第2上筐体3aと、第2下筐体3bと、排気カバー3cとを有する。排気カバー3cは、ヒンジ部7の側に位置して、第2下筐体3bに取り付けられる。第2下筐体3bの側部および底部には、複数の開口が設けられる。複数の開口のうち、第2下筐体3bの後側部に設けられる開口は、排気カバー3cの側部に形成される排気口8と連通する。第2下筐体3b(筐体)には、後述する送風ダクト60の送風方向と交差する方向(例えば、直交する方向)に開口する集塵開口13が設けられる13(図6から図9に図示)。集塵開口13に対して、蓋カバー9が着脱可能に設けられる。言い換えると、集塵開口13は、蓋カバー9の脱着によって開閉可能である。
【0032】
図3は、図1に示した電子機器1に配設される放熱構造10の斜視図である。図4は、図3に示した放熱構造10を反対方向から見た斜視図である。図5は、図3に示した放熱構造10の正面図である。図6は、図3に示した放熱構造10の底面図である。図7は、図5に示した放熱構造10をVII-VII線で切断した断面斜視図である。図8は、図5に示した放熱構造10をVIII-VIII線で切断した要部断面図である。図9は、図6に示した放熱構造10をIX-IX線で切断した要部断面図である。図10は、図6に示した放熱構造10から第2下筐体3bを取り除いた状態を示す底面図である。
【0033】
図3から図8に示すように、第2筐体(筐体)3の内部に配設される放熱構造10は、伝熱器15と、放熱器20と、送風器40と、を備える。放熱構造10は、筐体3の内部に配置される熱源11が発する熱を外部に排出する。
【0034】
熱源11は、動作によって多量の熱を発するデバイスである。熱源11は、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)である。
【0035】
伝熱器15は、熱源11から発せられる熱を放熱器20に伝える働きを有する。図7および図8に示すように、伝熱器15は、放熱器20の下面部に配設されるとともに、熱的に接続される。伝熱器15は、例えば、銅やアルミニウムなどの高い熱伝導性を有する金属からなり、中が空洞である(中空状である)かまたは中身が詰まった(中実状である)ヒートパイプである。伝熱器15は、図8のY-Z断面において、例えば、扁平したトラック形状を有し、伝熱器上面15aおよび伝熱器下面15bを有する。
【0036】
図3図5図6および図10に示すように、伝熱器15の一側は、熱源11に密着して配設されるかまたは他の熱伝導部材を介して配設されるとともに、押付部材(図示せず)によって熱源11に圧接されることで熱的に接続される。伝熱器15の他側は、放熱器20に密着して配設されるか、または他の熱伝導部材を介して配設される。伝熱器15の他側における伝熱器上面15aは、放熱器20に対して、例えばロウ付けや半田付けなどによる固着によって熱的に接続される。
【0037】
放熱器20は、送風器40から送風されるエアと熱交換することによって熱を放出する働きを有する。放熱器20は、例えば、銅やアルミニウムなどの高い熱伝導性を有する金属からなる薄板状のフィンまたは針状体が複数個配列されるヒートシンクである。図7に例示した放熱器20では、例えば、Y-Z面に沿って延在する複数のフィン21が、X軸方向に所定のフィン間隔で離間して配列される。
【0038】
送風器40は、放熱器20に向けてエアを送風する働きを有する。送風器40は、例えば、エアを遠心方向に送り出す遠心型のファンである。図3から図6に示すように、送風器40は、ファンケース41と、回転軸42と、モータ43と、吸込口と、ファン45と、送風口47と、分岐部48と、を有する。
【0039】
送風器40のファンケース41は、上ケース41aおよび下ケース41bを有する。ファンケース41において、ファン45と反対側(下流側)に位置する部分は、送風ダクト60として働く。送風器40では、ファンケース41の内部に収容されたファン45が、モータ43によって回転軸42を中心に回転する。これにより、ファン45は、上ケース41aおよび/または下ケース41bに形成される吸込口から周囲のエアを取り込み、送風ダクト60を通じて送風口47からエアを吹き出す。送風口47から吹き出されたエアは、分岐部48を介して、放熱器20に供給される。
【0040】
放熱器20と送風器40とをつなぐ位置には、分岐部48が配設される。図8に示す態様では、ファンケース41は、送風口47の下流側において、分岐部48を有する。分岐部48は、上ケース41aと下ケース41bとによって形成される矩形状の分岐ダクトとして働く。分岐部48の内部には、分岐路49が形成される。分岐部48の分岐路49によって、送風ダクト60が第1送風路36と第2送風路38とに分岐される。送風ダクト60は、第1送風路36に接続される第1開口66と、第2送風路38に接続される第2開口67と、を有する。言い換えると、送風ダクト60の分岐部48には、第1開口66と第2開口67とが形成される。第2開口67は、第1開口66よりも大きく開口している。
【0041】
第1開口66は、分岐部48の下流側に形成されて、放熱器20を介して排気口8に対面する位置にある。第1開口66は、ファンケース41(分岐部48)の上ケース内面63と下ケース内面64とによって形成される。第1開口66は、フィン21の上流端部を装着して保持できるように構成される。第2開口67は、ファンケース41(分岐部48)の下ケース41bに形成され、第2下筐体3bの集塵開口13に対面するように位置する。第2開口67は、第1開口66よりもファン45の側に位置する。
【0042】
第2開口67は、Z軸方向において集塵開口13と連通する。そして、上述したように、集塵開口13は、蓋カバー9の脱着によって開閉可能である。これにより、第2開口67および集塵開口13を通じて、埃が付着しやすい放熱器20のフィン21の上流側に容易にアクセスでき、放熱器20のフィン21の上流側に付着した埃を掃除できる。
【0043】
図7および図8に示すように、第2上筐体3aと放熱器20との間隙、および、第2上筐体3aと分岐部48との間隙には、それぞれ、上断熱材50が配設される。言い換えると、放熱器20の上面は、上断熱材50を介して、第2上筐体3aの上側内面61に対して離間している。上断熱材50は、第2上筐体3aと放熱器20との間で断熱離間構造を提供する。上断熱材50は、遮蔽性および断熱性(低い熱伝導性)を有する有機材料の発泡体である。上断熱材50は、例えば、メラニン樹脂製のスポンジである。
【0044】
図10に示すように、伝熱器15と分岐部48と下ケース41bとの上には、下断熱材51が配設される。言い換えると、第2下筐体3bと伝熱器15との間隙、第2下筐体3bと分岐部48との間隙、および、第2下筐体3bと下ケース41bとの間隙には、それぞれ、下断熱材51が配設される。下断熱材51は、U字形状を有し、U字形状の底部が第2開口67と重ならないように、下ケース41bの上に配設される。下断熱材51は、第2下筐体3bと伝熱器15の間隙を流れるエア、第2下筐体3bと分岐部48との間隙を流れるエア、および、第2下筐体3bと下ケース41bとの間隙を流れるエアをそれぞれ規制する働きを有する。下断熱材51は、遮蔽性および断熱性(低い熱伝導性)を有する有機材料の発泡体である。下断熱材51は、例えば、メラニン樹脂製のスポンジである。
【0045】
図8を参照しながら、放熱構造10とエアの流れとを詳細に説明する。図8における矢印は、放熱構造10におけるエアの流れ(第1送風F1から第9送風F9)を模式的に示している。
【0046】
送風器40において、ファン45から吹き出されるエアは、第1送風F1として送風ダクト60を流れる。送風口47を通過した第1送風F1は、分岐部48の分岐路49において、第2送風F2と第3送風F3とに分岐する。
【0047】
放熱器20は、複数の隣り合うフィン21によって形成される第1送風路36を有する。第1送風路36は、分岐部48の第1開口66を第1送風路36の開始部分とするとともに、後述する合流ダクト39までY軸方向に延在する。
【0048】
第1送風路36では、第2送風F2が第1開口66から導入され、第4送風F4が複数の隣り合うフィン21の間を流れる。フィン21の間を流れるエアによって、昇温したフィン21の熱が奪われて(すなわち、昇温したフィン21が冷却されて)、フィン21の温度が低下する。そして、第4送風F4は、合流ダクト39において第5送風F5として流れる。第5送風F5は、後述する第8送風F8と合流して第9送風F9になる。第9送風F9は、排気カバー3cの排気口8から流出する。
【0049】
第2下筐体3bと伝熱器15との間隙および第2下筐体3bと分岐部48との間隙には、第2送風路38が形成される。第2送風路38は、分岐部48の第2開口67を第2送風路38の開始部分とするとともに、合流ダクト39までY軸方向に延在する。
【0050】
第2送風路38では、第3送風F3が第2開口67から導入され、第6送風F6が下ケース41bと第2下筐体3b(蓋カバー9)との間隙を流れ、第7送風F7が伝熱器15と第2下筐体3bとの間隙を流れる。すなわち、第7送風F7は、第2下筐体3bの下側内面62と、伝熱器15の伝熱器下面15bとによって形成される間隙を流れる。そして、第7送風F7は、出口間隙G2を通じて合流ダクト39に流出し、合流ダクト39においては第8送風F8として流れる。このように、伝熱器15と第2下筐体3bとの間隙で昇温したエアが合流ダクト39に流出することによって、第2下筐体3bの昇温が抑制される。第8送風F8は、前述した第5送風F5と合流して第9送風F9になる。第9送風F9は、排気カバー3cの排気口8から流出する。
【0051】
図7および図8に示すように、第2送風路38において第2開口67よりも下流側であり且つ第1開口66に対応するZ軸方向の位置においては、途中間隙68が形成される。途中間隙68は、送風器40の下ケース41bの下ケース外面65(図9に図示)と、集塵開口13を画定する第2下筐体3bの周縁部との間で形成される。集塵開口13を画定する第2下筐体3bの周縁部は、蓋カバー9を装着するために、伝熱器15の伝熱器下面15bに対面する第2下筐体3bの部分よりもZ軸方向に盛り上がっている。
【0052】
第1開口66の開口面積は、途中間隙68の断面積よりも大きいように構成される。言い換えると、途中間隙68の断面積は、第1開口66の開口面積よりも小さい。そして、第1開口66のZ軸方向における第1高さH1は、途中間隙68のZ軸方向における第2高さH2よりも高くなるように構成される。これにより、伝熱器15が接続される放熱器20を効果的に冷却できる。また、Z軸方向における第1高さH1と第2高さH2との比は、例えば、3:1~7:1であり、好ましくは4:1~6:1であり、より好ましくは5:1である。
【0053】
前述したように、第2開口67は、第1開口66よりも大きく開口している。第2開口67は、集塵開口13を通じてフィン21の上流側を掃除するために、ある程度大きな開口にする必要がある。しかしながら、第2開口67を大きくしすぎると、送風器40からのエアが、第1送風路36よりも第2送風路38に流れやすくなってしまう。そこで、途中間隙68の断面積を第1開口66の開口面積よりも小さくすることによって、エアが第1送風路36よりも第2送風路38に流れにくくしている。すなわち、第1送風路36の流量が、第2送風路38の流量よりも多くなる。これにより、第1送風路36を通じた放熱と、第2送風路38を通じた放熱とをバランスさせることができ、排気口8から排出される第9送風F9の温度を効果的に低下させることができる。
【0054】
第2送風路38における伝熱器15に対面する対面部分では、対面間隙G1および出口間隙G2が形成される。対面間隙G1は、第2送風路38において、出口間隙G2よりも上流側に位置する。対面間隙G1は、第2送風路38における、伝熱器15の伝熱器下面15bの平坦部分と、第2下筐体3bの下側内面62の平坦部分とによって画定される。出口間隙G2は、第2送風路38における、伝熱器15の伝熱器下面15bの下流縁部と、第2下筐体3bの下側内面62とによって画定される。第2送風路38における伝熱器15に対面する対面部分では、出口間隙G2が対面間隙G1よりも狭くなっている。これにより、排気口8を通じた第2送風路38への異物混入防止と、第2送風路38での流速向上とを可能にする。
【0055】
また、第2下筐体3bは、出口間隙G2よりもさらに下流側において第2送風路38の下流側を画定する下流湾曲部3fを有する。下流湾曲部3fは、第2下筐体3bの最も下流側に位置するとともに、排気カバー3cよりも上流側に位置する。下流湾曲部3fの下側内面62は、排気口8に向けて上方に延在するとともに、丸く湾曲している。これにより、第2送風路38から流出するときの通風抵抗が低減することによって、第2送風路38における流速が向上するので、第2下筐体3bへの伝熱を抑制できる。
【0056】
構造格子系汎用3次元熱流体解析システム(株式会社ソフトウェアクレイドル製のSTREAM(登録商標)、熱設計PAC V2020)を用いて、上記放熱構造10の効果をシミュレーションした。比較の態様として、下断熱材51の形状変更によって第2送風路38を閉鎖した態様のものを用いた。
【0057】
解析条件は、熱源11の電力を28W、室温を25℃、同一PQテーブルによるファン設定とした。室温25℃を基準温度にして、第2下筐体3bにおいて伝熱器15に対面する対面部分の発熱温度をシミュレーションし、熱源11を発熱させた場合の発熱温度から基準温度を差し引いた昇温温度を算出した。
【0058】
シミュレーションの結果、この開示の態様に係る第2下筐体(筐体)3bの昇温度合いは、比較の態様に対して約11%低下することが分かった。したがって、上記実施の形態に係る放熱構造10によれば、第2下筐体3b(筐体)への伝熱を抑制できる。なお、第2下筐体(筐体)3bの材質を金属材料として上記シミュレーションを行ったが、第2下筐体(筐体)3bにおける昇温抑制効果が第2下筐体(筐体)3bの材質に依存することは言うまでもない。
【0059】
[効果]
本実施の形態の放熱構造10によれば、以下の効果を奏することができる。
【0060】
放熱構造10は、伝熱器15と、放熱器20と、送風器40と、第1送風路36と、第2送風路38と、を備える。伝熱器15は、筐体3bの内部に配設される熱源11からの熱を伝える。放熱器20は、伝熱器15の端部が接続されて熱源11からの熱を放出する。送風器40は、ファン45および送風ダクト60を有する。第1送風路36は、送風ダクト60から分岐されて放熱器20に送風する。第2送風路38は、送風ダクト60から分岐されて筐体3bと伝熱器15との間に送風する。送風ダクト60は、第1送風路36に接続される第1開口66と、第2送風路38に接続される第2開口67と、を有する。第2開口67は、第1開口66よりもファン45の側に位置する。
【0061】
このような構成により、筐体3bへの伝熱を抑制できる。
【0062】
本実施の形態の放熱構造10において、筐体3bには、送風ダクト60の送風方向と交差する方向に開口する集塵開口13が設けられている。筐体3bは、集塵開口13に着脱可能に取り付けられる蓋カバー9を有する。第2開口67は、集塵開口13に対面するように位置する。
【0063】
このような構成により、第2開口67および集塵開口13を通じて、埃が付着しやすい放熱器20の上流側に容易にアクセスでき、放熱器20の上流側に付着した埃を掃除できる。
【0064】
本実施の形態の放熱構造10において、第2送風路38における伝熱器15に対面する対面部分では、第2送風路38の下流側において伝熱器15と筐体3bとの間に形成される出口間隙G2が、出口間隙G2よりも上流側において伝熱器15と筐体3bとの間に形成される対面間隙G1よりも狭くなっている。
【0065】
このような構成により、排気口8を通じた第2送風路38への異物混入防止と、第2送風路38での流速向上とを可能にする。
【0066】
本実施の形態の放熱構造10において、筐体3bは、出口間隙G2よりもさらに下流側において前記第2送風路38の下流側を画定するとともに、丸く湾曲した下流湾曲部3fを有する。
【0067】
このような構成により、第2送風路38から流出するときの通風抵抗が低減することによって、第2送風路38における流速が向上するので、筐体3bへの伝熱を抑制できる。
【0068】
本実施の形態の放熱構造10において、第2送風路38において第2開口67よりも下流側であり且つ送風器40と筐体3bとの間に形成される途中間隙68の断面積は、第1開口66の開口面積よりも小さい。
【0069】
このような構成により、伝熱器15が接続される放熱器20を効果的に冷却できる。
【0070】
本実施の形態の電子機器1は、上記の放熱構造10を備える。
【0071】
このような構成により、電子機器1において、筐体3bへの伝熱を抑制できる。
【0072】
上記の実施の形態では、動作中に発熱する熱源11としてCPUを例示して説明した。しかしながら、熱源11は、CPUには限られず、発生した熱を筐体2,3の外に放出すべき各種のデバイスが該当して、例えば、画像処理装置(GPU:Graphics Processing Unit)や二次電池などであってもよい。
【0073】
上記実施の形態では、電子機器1として、ノートブック型コンピュータ(ラップトップPC)を例示して説明した。しかしながら、電子機器1は、このようなノートブック型コンピュータ(ラップトップPC)に限られず、例えば、タブレット型のパソコンや、携帯電話、携帯用ゲーム機、小型テレビジョン受像器やディスクドライブ、ナビゲーションシステムなどの各種の携帯型機器、さらには、デスクトップパソコンや液晶プロジェクタなどの据え置き型機器などであってもよい。
【0074】
上記実施の形態では、分岐部48は、送風器40(ファンケース41)の一部分として構成されているが、送風器40(ファンケース41)とは別体の部材とする態様であってもよい。
【0075】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示は、例えばノートブック型コンピュータ(ラップトップPC)などの電子機器の内部に配設される放熱構造に有用である。
【符号の説明】
【0077】
1…電子機器
2…第1筐体(筐体)
2a…第1枠
3…第2筐体(筐体)
3a…第2上筐体
3b…第2下筐体(筐体)
3c…排気カバー
3f…下流湾曲部
4…表示パネル
5…キーボード
6…タッチパッド
7…ヒンジ部
8…排気口
9…蓋カバー
10…放熱構造
11…熱源
13…集塵開口
15…伝熱器
15a…伝熱器上面
15b…伝熱器下面
20…放熱器
21…フィン
36…第1送風路
38…第2送風路
39…合流ダクト
40…送風器
41…ファンケース
41a…上ケース
41b…下ケース
42…回転軸
43…モータ
44…吸込口
45…ファン
47…送風口
48…分岐部
49…分岐路
50…上断熱材
51…下断熱材
60…送風ダクト
61…上側内面
62…下側内面
63…上ケース内面
64…下ケース内面
65…下ケース外面
66…第1開口
67…第2開口
68…途中間隙
F1…第1送風
F2…第2送風
F3…第3送風
F4…第4送風
F5…第5送風
F6…第6送風
F7…第7送風
F8…第8送風
F9…第9送風
H1…第1高さ
H2…第2高さ
G1…対面間隙
G2…出口間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10