(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173799
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231130BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20231130BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20231130BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G08B25/00 510M
G08B25/04 E
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086294
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】519043143
【氏名又は名称】株式会社シーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】伊東 久雄
【テーマコード(参考)】
5C054
5C087
5L096
【Fターム(参考)】
5C054FC12
5C054FF06
5C054HA18
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087DD05
5C087DD27
5C087EE05
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG09
5C087GG83
5L096BA02
5L096CA02
5L096JA03
5L096JA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】複数のカメラからのデータをより好適に処理するシステムを提供すること。
【解決手段】入力データを用いる所定の処理を実行するサーバ1と、入力データの少なくとも一部をサーバ1に提供する1以上の入力セル2-pとを含む情報処理システムにおいて、サーバ1の処理実行部51は、入力言語データを入力データとして取得して、入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す出力言語データを出力データとして出力する。入力セル2-pの言語変換AI73は、対象領域を撮像した画像のデータを入力して、前記言語データに変換して出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記中央装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行手段、
を備え、
1以上の第1種周辺装置の夫々は、
所定の画像のデータを入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段と、
対象領域を撮像するカメラから出力された、当該対象領域を撮像した画像のデータを取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換手段と、
を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記情報処理システムは、所定の制御対象を制御する1以上の第2種周辺装置をさらに含み、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記知覚表現データを入力して、所定の物理量に変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段と、
前記中央装置から出力された出力データを構成する前記1以上の知覚表現データの少なくとも一部を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記所定の物理量を示す信号を、指示信号として前記所定の制御対象に入力させることで、当該所定の制御対象を制御する制御手段と、
を備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記1以上の第1種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第1種再学習実行手段、
をさらに備え、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第2種再学習実行手段、
をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1種周辺装置は、
前記変換手段から出力された、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部を、ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる第1種周辺記憶制御手段、
をさらに備え、
前記中央装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記入力データを取得して前記処理実行手段に提供する入力データ取得手段と、
前記処理実行手段から出力された前記出力データを、前記ブロックチェーン又は前記分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる中央記憶制御手段、
をさらに備え、
前記第2種周辺装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記出力データを取得して前記制御手段に提供する出力データ取得手段、
をさらに備える、
請求項2又は3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第1種周辺装置の前記モデル管理手段は、
前記所定の画像のデータを取得し、当該所定の画像のデータに応じて、複数の知覚表現データに変換して出力するモデルのうち、何れのモデルを採用するかを判断する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記中央装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムが実行する情報処理方法において、
前記中央装置が実行するステップとして、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行ステップ、
を含む、
1以上の第1種周辺装置の夫々が実行するステップとして、
所定の画像のデータを入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理ステップと、
対象領域を撮像するカメラから出力された、当該対象領域をっ撮像した画像のデータを取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換ステップと、
を含む、
情報処理方法。
【請求項7】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記中央装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムを制御するコンピュータのうち、
前記中央装置を制御するコンピュータに、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行ステップ、
を含む制御処理を実行させ、
1以上の第1種周辺装置の夫々を制御するコンピュータに、
所定の画像のデータを入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理ステップと、
対象領域を撮像するカメラから出力された、当該対象領域を撮像した画像のデータを取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換ステップと、
を含む制御処理を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、監視区域内において撮像された画像データに基づいて、火災などを検知して報知する監視システムに関する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
また、近年、人工知能(Artificial Intelligence、以下、「AI」と呼ぶ)に関する技術が発達している。具体的には例えば、画像に含まれるものを判別するAI技術や、チャットボット等に用いられる自然言語処理が可能なAI技術も発達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、従来の構内(工場、病院、マンション等)の無人監視、即ち、当該構内に人が滞在しない形での監視として、構内の防犯上の監視や構内で使われている各種装置の監視が行われている。具体的には、撮像された画像をレコーダに記録すると共に人間が監視することで、不審者の検出、故障検出、故障予測が行われていた。
そのため、突発的な事件や事故といった瞬時の判断が求められる場合においても、人間が介在するために、対処が遅れ大災害に繋がることがあった。
【0005】
また例えば、従来、不審者がうろついている、一度危険な行為をした人が同様の行為を再度行っているといった人に関する検出には、担当者(人間)が監視カメラの画像を見て判断したり、レコーダに記録された画像を確認するといった方法が用いられている。
また、関係者以外立ち入り禁止であるにもかかわらず怪しい人がうろついている、一度危険な行為をした人が同様の行為を再度行っているといった事象の検出は、そのときにこれまでの経緯を把握した担当者が監視カメラの画像を見て判断するか、不審者がいたといった事後の報告等の後に録画をみて確認することが行われていた。
このように、担当者が判断するにあたり各監視カメラの画像の確認等により対処が遅れ、事故の被害の程度が増大する可能性が有った。
【0006】
また、熱センサや煙センサ等を利用した火災の自動検出装置は、従来存在する。しかしながら、このような従来の火災の自動検出装置は、火災が発生した後における検出を行うものである。即ち、従来の火災の自動検出装置は、火災が発生する前の異常検出を行うことは出来ず、火災発生の予測に基づく事前の処置を行う事はできなかった。
即ち例えば、火災といった事故においては、熱センサや煙センサ等を利用した自動検出装置はあるが、出火した後の検出は可能でも事前の異常検出は出来ず、予測を前提とした事前の処置を行う事は不可能であった。
【0007】
そこで、対処をより短時間で開始したり、大きな中央集権システムを構築せずとも利用可能なシステムが望まれていた。
【0008】
本発明は、複数のカメラにより撮像された画像のデータをより好適に処理するシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置と、前記入力データの少なくとも一部を前記中央装置に提供する1以上の第1種周辺装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、
1以上の知覚表現データを入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行手段、
を備え、
1以上の第1種周辺装置の夫々は、
所定の画像のデータを入力して、前記知覚表現データに変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段と、
対象領域を撮像するカメラから出力された、当該対象領域を撮像した画像のデータを取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換手段と、
を備える。
【0010】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムは、上述の本発明の一態様の情報処理システムに対応する情報処理方法及びプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のカメラにより撮像された画像のデータをより好適に処理するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるサービスの概要の一例を説明する模式図である。
【
図2】
図1に示すサービスを提供する際に適用される本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図2に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のハードウェア構成のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図1に示すサービスを構内に配置された装置の管理に用いる例を示す図である。
【
図6】
図5の構内における高速な対処を行う情報処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
なお、以下において、単に「画像」と呼ぶ場合には、「動画像」と「静止画像」との両方を含むものとする。
また、「動画像」には、次の第1処理乃至第3処理の夫々により表示される画像を含むものとする。
第1処理とは、平面画像(2D画像)におけるオブジェクト(例えば撮像の対象となる人や物の像)の夫々の動作に対して、複数枚からなる一連の静止画像を時間経過と共に連続的に切り替えて表示させる処理をいう。具体的には例えば、2次元アニメーション、いわゆるパラパラ漫画的な処理が第1処理に該当する。
第2処理とは、立体画像(3Dモデルの画像)におけるオブジェクト(例えば撮像の対象となる人や物の像)の夫々の動作に対応するモーションを設定しておき、時間経過と共に当該モーションを変化させて表示させる処理をいう。具体的には例えば、3次元アニメーションが第2処理に該当する。
第3処理とは、オブジェクト(例えば自然人の像)の夫々の動作に対応した映像(即ち動画像)を準備しておき、時間経過と共に当該映像を流していく処理をいう。
ここで、「映像(即ち動画像)」は、複数のフレームやフィールド等の画像(以下、「単位画像」と呼ぶ)から構成される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムが適用されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要の一例を説明する模式図である。
本サービスは、
図1に示す情報処理システムが適用されることで、複数のカメラにより撮像された画像のデータの入力に基づいて、制御装置を動作させるという出力を行うためのシステムを提供するものである。
【0016】
図1に示す本サービスの情報処理システムは、サーバ1と、入力セル2-1及び2-2、出力セル3-1、確認端末4、ブロックチェーンフルノード5-1乃至5-4(以下、
図1に示すように「BCフルノード」と呼ぶ)が含まれて構成されている。
また、詳しくは後述するが、入力セル2-1及び2-2、並びに出力セル3-1には、ブロックチェーンウルトラライトノード(以下、
図1に示すように「BCウルトラライトノード」と呼ぶ)としての機能が備えられている。
【0017】
サーバ1は、中央AI61を備える情報処理装置である。詳しくは後述するが、サーバ1は、入力セル2-1及び2-2におけるカメラCAM-1及びCAM-2の夫々により撮像された画像のデータを知覚表現されたデータに変換したものを入力データとして取得し、入力データに基づいて出力セル3-1における制御指示について知覚表現されたものを出力データとして出力する。
【0018】
入力セル2-1及び2-2は、カメラCAM-1及びCAM-2、並びに、自律分散チップCPを夫々備え、カメラにより撮像された画像のデータを、自律分散チップCPにおいて知覚表現されたデータに変換してブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。
【0019】
出力セル3-1は、自律分散チップCP及びアクチュエータ(制御装置の一例)を備え、自律分散チップCPにおいてサーバ1により出力された制御指示をブロックチェーンネットワークBCNから取得し、制御指示に基づいて制御装置(アクチュエータ)を制御する。
【0020】
確認端末4は、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された情報を確認するための情報処理装置である。設備(工場等)の管理担当者は、確認端末4を用いて、改竄等のされていない入力や出力の経緯を確認することができる。
【0021】
ここで、「知覚表現されたデータ」について説明する。
複数のカメラにより撮像された画像のデータ(生データ)は、例えば、静止画像においては2次元に配置された画素の夫々における色の数値データである。これに対して、人間は、そのような画像を解釈した結果を、言語等を用いて表現することができる。
具体的には例えば、第1地点が撮像されている画像において、ある男性の像が、第1時刻まで(例えば数か月の間に渡り)に含まれたことが無いにもかかわらず、その第1時刻において初めて含まれた場合、その画像を閲覧(視聴)した人間は、第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいると知覚(認識、解釈)し言語化することができる。このように、画像のデータ(生データ)ではなく、知覚(認識、解釈)された表現を、「知覚表現」と呼ぶ。
なお、「言語」の形態は、知覚表現の形態の一例である。即ち例えば、「火事」という文字列のデータは、日本語という言語の形態で知覚表現されたデータである。また例えば、情報処理装置において識別子が予め対応付けられている場合、「第1地点」や「火事」に対応する識別子のデータも情報処理装置内で利用可能な知覚表現されたデータの一例である。更に言えば、例えば炎のアイコンの静止画像のデータも、「火事」に対応するアイコンの形態で知覚表現されたデータであるということができる。
以下、説明を容易とするため、「知覚表現」は「言語」であるものとして、説明をする。
【0022】
また、上述したように、本サービスにはブロックチェーン技術が用いられている。一般に、ブロックチェーンという単語は、分散型台帳技術や分散型ネットワークを意味し得る。即ち、ブロックチェーンの単語は、ブロックと呼ばれるデータがチェーンのように連結した一連のデータそのものや、それに関する技術及びネットワークを含んだ多義的な単語である。
そこで、以下、ブロックチェーンを管理する分散型ネットワークを「ブロックチェーンネットワーク」と呼び、ブロックがチェーンのように連結した一連のデータである「ブロックチェーン」と区別して呼ぶ。
即ち、「ブロックチェーン」とは、本サービスを利用して管理される1以上のデータ(例えばカメラにより撮像された画像のデータや当該データを加工したデータ、装置の制御の指示のデータ)に関する各種情報(データそのものやメタデータ、ハッシュ値といった健全性の検証に係るデータ等)が含まれた「ブロック」がチェーンのように連結した一連のデータである。
【0023】
まず、本サービスにおけるブロックチェーンネットワークBCNにおける各種ノードの機能について説明する。
【0024】
ブロックチェーンネットワークBCNは、複数のノードにより構成され、少なくとも1つのノードはクラウド上に存在する。
図1の例において、4台のBCフルノード5-1乃至5-4の夫々が、クラウド上のフルノードとして夫々機能する。ここで、「フルノード」とは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能といったブロックチェーンにおけるノードとしての全機能を提供する情報処理装置(ノード)である。
BCフルノード5-1乃至5-4は、相互に通信を行うブロックチェーンネットワークBCNを形成している。
【0025】
図1の例において、3台の入力セル2-1及び2-2並びに出力セル3-1に夫々備えられたBCウルトラライトノードが夫々機能する。ここで、「ウルトラライトノード」とは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能を提供せず、ブロックチェーンネットワークBCNとの間でのデータの授受機能といった極めて一部の機能を提供する情報処理装置(ノード)である。ウルトラライトノードは、実現するために必要な計算資源等が少ないため、上述の機能を提供するチップやプログラムの一部又は全部として実装される。しかしながら、ウルトラライトノードは、別個の情報処理装置として実装されてもよい。
【0026】
なお、図示はしないが、ノードには、ライトノードが含まれていてもよい。ここで、「ライトノード」とは、フルノードとしては機能しないものの、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能の一部を担うノードである。
【0027】
入力セル2-1及び2-2並びに出力セル3-1に備えられたBCウルトラライトノードは、専用線を介してクラウドに接続されることで、BCフルノード5-1乃至5-4と通信を行う。
即ち、
図1の例では、4台のBCフルノード5-1乃至5-4及び3台のBCウルトラライトノードの総計7台が、7つのノードの夫々として機能することで、ブロックチェーンネットワークBCNが構成される。
【0028】
ここで、専用線とは、特定の利用者専用の通信回線である。
例えば、専用線における通信は、信頼されていない情報処理装置等も含んで構成されたネットワーク(例えば、インターネット)から隔離される。即ち、専用線で接続された情報処理装置同士の間の通信は、悪意を持った第三者等により盗聴や傍受される可能性が低い。即ち、本サービスは、専用線を介して利用されるため、第三者等により盗聴や傍受される可能性が低い状態で提供される。なお、専用線は、物理的にインターネット等から隔離されているものでなくてもよい。即ち例えば、VPN(Virtual Private Network)の技術を用いた仮想的な専用線も、上述の専用線として採用され得る。
【0029】
以上、
図1を用いて、本サービスにおける情報処理システムの構成の一例を説明した。
以下、
図1を用いて、ステップST11乃至ST19に沿って本サービスにおける情報処理の流れの詳細について、説明する。
【0030】
ステップST11において、入力セル2-1に備えられたカメラCAM-1は第1時刻に第1地点を撮像しているとする。そして、カメラCAM-1により撮像された画像のデータとして、「ある男性の像が含まれた画像」のデータが取得される。
【0031】
ステップST12において、入力セル2-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、画像のデータ(デジタル信号)を言語に変換する。ここで例えば、画像に含まれていた男性の像は、第1時刻より前においてこれまで撮像されたことが無いものであったとする。このような場合、画像のデータ(デジタル信号)が、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」という言語データに変換される。
【0032】
ステップST13において、入力セル2-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」という言語データを、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。具体的には例えば、BCフルノード5-1に対して、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」という言語データを、ブロックチェーン技術におけるトランザクションの一部として送信することで、管理させる。このとき、入力セル2-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、暗号化された言語データを、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。
なお、この時、男性の特徴(背丈、体格、衣類の特徴等)が適宜管理されてもよい。
また、撮像された画像のデータそのものもブロックチェーンネットワークBCNを用いて適宜管理されてもよい。具体的には例えば、画像のデータのメタデータがブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理される。そして、画像のデータそのものは適宜暗号化や分割をされ、IPFS等を用いて管理される。
【0033】
また、図示はしないが、入力セル2-2においても、上述のステップST11乃至ST13と同様の処理が実行される。
具体的には例えば、入力セル2-2に備えられたカメラCAM-2は第1時刻よりも後の第2時刻に第2地点を撮像しているとする。そして、カメラCAM-2により撮像された画像のデータとして、「ある男性の像が含まれた画像」のデータが取得される。
そして、入力セル2-2の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、画像のデータ(デジタル信号)を言語に変換する。ここで例えば、画像に含まれていた男性の像は、第1時刻より前においてこれまで撮像されたことが無いものであったとする。このような場合、画像のデータ(デジタル信号)が、「第2時刻に第2地点に普段はいない男性がいる」という言語データに変換される。
そして、入力セル2-2の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、暗号化された「第2時刻に第2地点に普段はいない男性がいる」という言語データを、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。
【0034】
ステップST14において、サーバ1は、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された暗号化された言語データを復号して取得する。
ステップST15において、サーバ1は、取得した言語データに基づいて、制御指示の内容を判断した結果を、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。
具体的には例えば、サーバ1は、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」及び「第2時刻に第2地点に普段はいない男性がいる」という言語データを入力データとして自然言語処理を行うAIとして教育済みの中央AI61を用いて、「第2地点の男性に警告する」という制御指示の言語データを出力データとして生成する。サーバ1は、生成された「第2地点の男性に警告する」という制御指示を、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。このとき、サーバ1は、暗号化された制御指示を、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させる。
【0035】
ステップST16において、出力セル3-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された暗号化された制御指示を取得する。
【0036】
ステップST17において、出力セル3-1の自律分散チップCPが有するファームウェアは、暗号化された制御指示を復号する。そして、出力セル3-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、制御装置の具体的な制御内容としてデジタル信号に変換する。
具体的には例えば、出力セル3-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、「第2地点の男性に警告する」という制御指示に基づいて、第2地点周辺の「警報装置を発報」させるように制御装置(アクチュエータや警報装置の制御部等)の動作を行わせるデジタル信号に変換する。即ち例えば、出力セル3-1の自律分散チップCPが有する言語変換AIは、警報装置を発報させるためのデジタルデータの制御信号(デジタル信号)を出力する。
なお、図示はしないが、出力セル3-1の自律分散チップCPが有するBCウルトラライトノードは、「第2地点周辺の警報装置を発報させる」という制御装置の動作も、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させることができる。
【0037】
ステップST18において、アクチュエータ(制御装置の一例)は、第2地点周辺の「警報装置を発報」させるためのデジタルデータの制御信号(デジタル信号)に応じて駆動する。その結果、アクチュエータ(制御装置の一例)は、中央AI61の「第2日点の男性に警告する」という制御指示に応じた、動作をする。
これにより、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」及び「第2時刻に第2地点に普段はいない男性がいる」等のカメラにより撮像された画像のデータに基づいて、図示せぬ第2地点周辺の警報装置が発報されて男性への警告が実施される。
【0038】
ステップST19において、確認端末4は、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された情報を、設備(工場等)の管理者に提示する。即ち、設備(工場等)の管理者は、確認端末4に提示された、第1地点及び第2地点の夫々のカメラにおいて撮像された第1時刻及び第2時刻の夫々の画像のデータ、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」、「第2時刻に第2地点に普段はいない男性がいる」等の入力データ(言語データ)、「第2地点の男性に警告する」という制御指示の出力データ(言語データ)、第2地点周辺の「警報装置を発報」をさせる制御装置の動作を確認することができる。これらは、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理されているため、改竄等のされていない入力や出力の経緯として、設備(工場等)の管理者に提示される。
【0039】
上述したような構成及び動作により、本サービスは、以下のような特徴を有する。
第1に、言語で教育済みの既存のAIを、中央AI61として採用することができる。
即ち、本サービスでは、中央AI61として、言語で教育済みの既存のAIを、利用可能なため、全体として開発コストや運用コストを削減することができる。
具体的には、新たに設備にこのようなシステムを構築する場合、設備毎に、利用するセンサは異なり、前提となる環境も異なるため、カメラにより撮像された画像のデータが取るべき値も異なるため、設備に応じてAIを学習等させる必要がある。
しかしながら、所定時刻に所定地点に不審人物がいるといった入力データ(言語データ)から、警報装置を発報させるといった制御指示の出力データ(言語データ)を生成する自然言語処理が可能なAIは、多くの目的で用いられるため、様々な開発が進んでいる。そのため、このような自然言語処理が可能なAIは、精度が向上するとともにコストが低くなってきているのが現状である。
そのため、本サービスでは、全体として開発コストや運用コストを削減することができる。
【0040】
第2に、エッジ側でAI処理をするため、中央AI61を用いた処理の負担が軽減される。
即ち、本サービスでは、入力セル2-1及び2-2(エッジ側)において、カメラにより撮像された画像のデータを言語データ(知覚表現の一例)に変換する処理が行われ、出力セル3-1(エッジ側)において、言語データ(制御指示の出力データ)を制御装置の具体的な制御内容としてデジタル信号に変換する処理が行われる。
換言すれば、中央AI61は、これらの処理を行う必要がないため、負担が軽減されている。即ち、AI処理の分散処理が実現されているといえる。また、この分散処理の効果は、エッジ側の入力セルや出力セルの数が増加するほど顕著なものとなる。
【0041】
第3に、本サービスでは、ブロックチェーンネットワークBCNを用いてデータを保証するため、安全なAIシステムが実現される。
即ち例えば、ブロックチェーンネットワークBCNを用いないシステムにおいては、入力セル2-2に成りすまして「第2時刻に第2地点には誰もいない」という言語データを中央AI61に入力することにより、誤った制御指示が出力される可能性がある。
本サービスでは、ブロックチェーンネットワークBCNを用いてデータを保証するため、このような入力セル2-1への成りすましが不可能となり、安全なAIシステムが実現される。
【0042】
なお、上述の例では、言語AIはある時刻にある地点に普段はいない男性がいたという出力を行う例を用いて説明したが、言語AIは、各種各様な出力を行うことができる。具体的には例えば、「第1地点に(設置された装置から)火花が散っている」「第1地点に煙が発生している」、「第1地点に火災が発生している」、といった旨の知覚表現が出力されてもよい。
【0043】
以上、
図1を用いて、本サービスの概要を説明した。
以下、
図2乃至
図4を用いて、本サービスの
図1に示すサービスを提供する際に適用される情報処理システムについて説明する。
図2は、
図1に示すサービスを提供する際に適用される本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0044】
即ち、
図2に示す情報処理システムの構成例は、
図1の本サービスの情報処理装置のより一般的なシステム構成である。
【0045】
サーバ1は、サービス提供者Sにより管理される情報処理装置である。サーバ1は、入力セル2-1乃至2-N(Nは1以上の整数値)、出力セル3-1乃至3-M(MはNとは独立した1以上の整数値)、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-L(LはN及びMとは独立した1以上の整数値)と適宜通信をしながら、本サービスを実現するための各種処理を実行する。
【0046】
入力セル2-1乃至2-Nは、1以上のセンサと自律分散チップCPとを備える情報処理装置である。また、N個の入力セル2-1乃至2-Nのうち1つを図示して説明するとき、「入力セル2-p」(pは1以上N以下の整数値)を用いる。
【0047】
出力セル3-1乃至3-Mは、1以上の制御装置と自律分散チップCPとを備える情報処理装置である。また、M個の出力セル3-1乃至3-Mのうち1つを図示して説明するとき、「出力セル3-q」(qは1以上M以下の整数値)を用いる。
【0048】
確認端末4は、施設(工場等)の管理担当者が、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理された情報を確認するために操作する情報処理装置である。なお、
図2において1台の確認端末4が図示されているが、確認端末4の台数は任意である。
【0049】
BCフルノード5-1乃至5-Lは、ブロックの生成に係る計算処理機能や、ブロックチェーンのデータそのものの記憶機能といったブロックチェーンにおけるノードとしての全機能を提供する情報処理装置(ノード)である。
図2の例のBCフルノード5-1乃至5-Lは、クラウドC上に存在する。
【0050】
図3は、
図2に示す情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0051】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0052】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0053】
CPU11、ROM12、及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0054】
入力部16は、例えばキーボード等により構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイやスピーカ等により構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置(例えば
図2の入力セル2-1乃至2-N、出力セル3-1乃至3-M、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-L)との間で通信を行う。
【0055】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0056】
なお、図示はしないが、
図2の入力セル2-1乃至2-N、出力セル3-1乃至3-M、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-Lも、
図3に示すハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。したがって、入力セル2-1乃至2-N、出力セル3-1乃至3-M、確認端末4、BCフルノード5-1乃至5-Lのハードウェア構成についての説明は省略する。
ただし、入力セル2-1乃至2-Nは、
図1に示すように、入力部として、カメラを備えている。また、入力セル2-1乃至2-Nは、CPU、ROM、RAM等の一部又は全部を、自律分散チップCPとして有している。
同様に、出力セル3-1乃至3-Mは、
図1に示すように、出力部として、制御装置(例えばアクチュエータ)を備えている。また、出力セル3-1乃至3-Mは、CPU、ROM、RAM等の一部又は全部を、自律分散チップCPとして有している。
【0057】
このような
図3のサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、各種処理の実行が可能になる。その結果、上述の本サービスを提供することができる。
以下、
図2の情報処理システムのうち
図3のサーバ1を含む情報処理システムの機能的構成について説明する。
【0058】
図4は、
図3のハードウェア構成のサーバを含む情報処理システムの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0059】
図4に示すように、サーバ1のCPU11においては、処理実行部51が機能する。また、記憶部18には、中央AI61のモデルが記憶されている。
【0060】
入力セル2-pにおいては、自律分散チップCPとして、モデル管理部71と、言語変換AI72と、再学習実行部73とが機能する。入力セル2-pは、入力部として、カメラCAM-pを有している。また、入力セル2-pの記憶部には、言語変換AIモデル75が記憶されている。
【0061】
出力セル3-qにおいては、自律分散チップCPとして、モデル管理部81と、逆言語変換AI82と、制御部83と、再学習実行部84とが機能する。出力セル3-1は、出力部として、アクチュエータ85を有している。また、出力セル3-qの記憶部には、言語変換AIモデル86が記憶されている。
【0062】
処理実行部51は、1以上の入力セル2-pから入力言語データを入力データとして取得して、入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の出力言語データを出力データとして出力する。
処理実行部51は、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて記憶されている入力データを取得する。
【0063】
モデル管理部71は、カメラCAM-pにより撮像された画像のデータを入力して、言語データに変換して出力する言語変換AIモデル75を記憶部に記憶させて管理する。
具体的には例えば、モデル管理部71は、これまで撮像されたことのない男性の像が含まれる場合、「第1時刻に第1地点に普段はいない男性がいる」等の言語データに変換して出力する。
【0064】
言語変換AI72は、対象領域を撮像するカメラCAM-pから出力された、当該対象領域の画像のデータを取得して言語変換AIモデル75に入力させ、当該モデルから出力された言語データを、サーバ1の入力言語データの少なくとも一部として出力する。
【0065】
再学習実行部73は、モデルを更新するための再学習を実行する。
【0066】
入力セル2-pのBCウルトラライトノードは、言語変換AI72から出力された、入力言語後データの少なくとも一部を、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて記憶させる。
【0067】
モデル管理部81、言語データを入力して、所定の物理量に変換して出力する逆言語変換AIモデル86を所定の記憶媒体に記憶させて管理する。
【0068】
出力セル3-qのBCウルトラライトノードは、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて記憶されている出力言語データを取得して、逆言語変換AI82に提供する。
逆言語変換AI82は、サーバ1から出力された出力データを構成する1以上の言語表現データの少なくとも一部を取得して逆言語変換AIモデル86に入力させ、当該モデルから物理量を示す信号出力させる。
【0069】
指示制御部83は、当該モデルから出力された物理量を示す信号を、指示信号としてアクチュエータ85に入力させることで、アクチュエータ85を制御する。
【0070】
再学習実行部84は、モデルを更新するための再学習を実行する。
【0071】
なお、再学習実行部73及び再学習実行部84による再学習の例は、後述する。
このような機能的構成により、本サービスの情報処理システムは、
図1等を用いて説明した各処理を実行することができる。
【0072】
さらに、本実施形態の情報処理システムは、以下に示すように活用することができる。
以下、
図5及び
図6を用いて、本情報処理システムの適用し、構内に配置された複数の装置の監視に用い例について説明する。
図5は、
図1に示すサービスを構内に配置された装置の管理に用いる例を示す図である。
図5の例において、構内には、2つの装置A1及びA2が配置されている。即ち例えば、装置A1及びA2は、工場の構内に配置された、製造ラインの各装置である。
【0073】
そして、装置A1には、入力セル2-1が配置されている。これは、例えば、製造ラインの装置A1やその周囲等を対象領域として入力セル2-1のカメラCAM-1で撮像している様子を示している。具体的には例えば、センサは、装置A1の外観や所定のメータ、装置A1の周囲の状況等が把握される画像として、装置A1が撮像される。
【0074】
また、装置A2には、入力セル2-2及び2-3が配置されている。これは、2つの入力セル2-2及び2-3のカメラCAM-2及び赤外線カメラCAM-3により、1つの装置A2を2つのカメラで撮像している様子を示している。即ち、装置A1では、1つの入力セル2-1が配置されていたが、1つの装置A2に対して複数の入力セルが配置されている。
ここで、入力セル2-3は、対象領域を赤外線カメラCAM-3により撮像している。これにより、入力セル2-3により、例えば、装置A2の内部で異常な発熱が起こっているといった事象を把握可能な画像等が取得され得る。
【0075】
そして、各入力セル2-1乃至2-3は、センサにより測定されたデータを言語データに変換して、エッジサーバEDSに送信する。このようにして、構内の複数の各装置A1及びA2のデータが収集される。
【0076】
これにより、構内で使われる各種装置(例えば、製造ロボット(ライン)・室温制御・照明制御など)の稼働状況から故障検出・故障予測等が可能となる。更に言えば、
図5に示す構内(例えば、工場・病院・マンションなど)の無人監視が可能となる。
上述したように、従来の監視システムでは、事故等が発生し、多くのセンサから一度にデータ(異常値)が送信された場合、中央監視装置では順次処理を行うためにユーザ(例えば監視員)への警報出力や非常設備の稼働(例えばスプリンクラーによる消火)などの対処までにかなりの時間を有することがあった。
【0077】
これに対し、本情報処理システムでは、各入力セルが言語データに変換するため、処理の分散が行われ、全体として高速に対応することができる。
【0078】
更に言えば、中央AI61による制御指示を介さずに処理することにより、更に高速に対処をすることもできる。
図6は、
図5の構内におけるより高速な対処を行う際の情報処理の流れの例を示す図である。
図6に示す例では、入力セル2-pから出力セル3-qに対して言語データが提供されている。即ち、入力セル2-pからの言語データは、中央AI61を介さず、出力セル3-qに提供されてもよい。
入力セル2-pや出力セル3-q等は、以下に示す基本ロジックを有すると好適である。
【0079】
第1に、入力セル2-pは、「自律異常検出ロジック」を有すると好適である。
即ち、「自律異常検出ロジック」とは、入力セル2-p毎に、カメラ画像を自律的に分析し警報を促す処理を行うロジックである。
入力セル2-pは、上述したように、画像に普段はいない男性の像が含まれた場合を異常(通常でない)状態として検知することができる。また例えば、入力セル2-pは、装置の過熱、火災、異常行動(暴れている、助けを求めている、追われている等)、出入り禁止区域への侵入、危険動物の侵入等を検出するとよい。
また、
図5を用いて上述したように、図に1に示すように可視光線を撮像可能な通常のカメラに加えて、赤外線カメラを用いることにより、装置内外の異常過熱や壁の向こう側等の見えない高温火災など、通常のカメラでは検出できない現象も検出可能となる。
また、入力セル2-pは、入力部として更にマイクを有していると好適である。これにより、例えば、人の声や事故等により発生した音声を画像と合わせて用いることができるようになり、検出の制度の向上が可能となる。
【0080】
第2に、入力セル2-pは、「過去比較学習(自己学習)ロジック」を有すると好適である。
即ち、「過去比較学習(自己学習)ロジック」とは、入力セル2-pの再学習実行部73を機能させ、入力セル2-p自身や他の入力セルにおいて過去に得られた情報に基づいて、検出を行うように学習するロジックである。
具体的には例えば、再学習実行部73は、上位のサーバ(例えば、
図5におけるエッジサーバEDS)から、所定の対象人物の画像や、対象人物の特徴に関する情報を受付け、その対象人物の像が実際に画像に含まれていることを検知するように再学習(自己学習)を行う。なお、入力セル2-pは、再学習(自己学習)中において検出した場合においても、
図6のように出力セル3-qを動作させて警報を鳴動させることもできる。
【0081】
第3に、本システムは「自動追尾ロジック」を有すると好適である。
自動追尾ロジックとは、複数の入力セル2-pの夫々において、各入力セルにおいて所定対象が検出された旨の情報を用いて、当該所定対象を自動追尾するロジックである。
具体的には例えば、上位のサーバ(例えば、
図5のエッジサーバEDS)は、複数の入力セル2-pの夫々が、対象人物等を検出した情報を収集する。そして、上位のサーバは、各入力セル2-pにより撮像される所定領域の夫々の位置において、当該対象人物等が検出された旨の情報に基づいて、当該対象人物の移動の経路や将来の位置を推定することで、自動追尾する。
【0082】
第4に、本システムは、「意識・意思伝達ロジック」を有すると好適である。
意識・意思伝達ロジックとは、複数の入力セル2-pの夫々において、デジタル画像データに加えて、人間の言葉による意識や意思といった言葉を同時に出力するロジックである。
即ち、
図1に示したように、入力セル2-pは、撮像した画像(静止画や動画像を含む)のデータを、ブロックチェーンネットワークBCNを用いて管理させるとともに、加えて、人間の言葉による意識や意思に対応した言語表現を同時に出力する。
具体的には例えば、「異常な温度を検出しました」や「激しく動いている人を検出しました」等の言語表現が入力セル2-pから出力される。このように言語表現で出力されることにより、上述したように、既存の言語入力が可能な中央AIに直結させ思考や判断をさせることができるようになるのである。
ここで、
図5及び
図6等におけるエッジサーバEDSと、中央AI61の違いについて説明する。即ち、上述したように、中央AI61が基本的な判断を行うのが通常である。しかしながら、エッジサーバEDSは、中央AI61による判断を待つ必要が無い場合等には、エッジサーバEDSを介して出力セル3-qを動作させることができる。
【0083】
第5に、本システムは「自己対処ロジック」を有すると好適である。
自己対処ロジックとは、複数の入力セル3-qの夫々において、中央AI61やエッジサーバEDSを介さずに動作が実行されるロジックである。
具体的には、単なる監視カメラ等と異なり、出力セル3-qは、
図6を用いて説明したように、中央AI61の判断を仰ぐまでもなく至急対処しなければ危険な場合は、警報出力や局部的なスプリンクラーなどでの消火などを行うことができる。
即ち、これにより、高速な対処を行う際の情報処理が実現される。
【0084】
このように、本情報処理システムの入力セル2-pや出力セル3-qは、カメラやマイクといった視聴覚を備え、アイデンティティの概念をITで実現するものであり、「自律分散型AIブロックチェーン視聴覚セル」とも呼べるものとなっているのである。
【0085】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0086】
上述の実施形態では、入力セル2-pは、カメラにより撮像された画像のデータから言語データを生成するものとしたが、特にこれに限定されない。
即ち例えば、入力セル2-pは対人間用の「言語」から対機械用の「言語」に入れ替える機能を有していてもよい。具体的には例えば、入力セル2-pは、人間から、人間の言語による「不審者がいる」という旨取得し、情報処理装置において予め対応付けられている「不審者がいる」旨を示す識別子への変換をするものであってもよい。
これにより、本情報処理システムに、人間の目などによるチェックの結果も入力言語データとして採用可能となる。
【0087】
上述のように、「自律分散型AIブロックチェーン視聴覚セル」は、ブロックチェーンに関する処理を実行可能な情報処理装置の単位である。なお、情報処理装置としたが、パーソナルコンピュータやサーバ装置に限定されず、電子部品であるチップとして実現することができる。これにより、従来の各種デバイスに容易に組み込むことが可能となる。
即ち、
図1の自律分散チップCPは、チップとして実現され、カメラに内蔵することで入力セルとして動作するものとしてもよい。
【0088】
例えば、
図2に示すシステム構成、及び
図3に示すサーバ1のハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0089】
また、
図4に示す機能ブロック図は、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が
図2の情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図4の例に限定されない。
【0090】
また、機能ブロックの存在場所も、
図5に限定されず、任意でよい。
例えばサーバ1側に配置された機能ブロックの少なくとも一部を、他の情報処理装置が備える構成としてもよい。
【0091】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0092】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0093】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0094】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0095】
以上をまとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
【0096】
入力データを用いる所定の処理を実行する中央装置(サーバ1)と、前記入力データの少なくとも一部を前記中央装置に提供する1以上の第1種周辺装置(入力セル2)とを含む情報処理システムにおいて、
前記中央装置は、
1以上の知覚表現データ(
図4の入力言語データ)を入力データとして取得して、当該入力データを用いる所定の処理を実行して、その処理の実行結果を示す1以上の知覚表現データを出力データとして出力する処理実行手段(処理実行部51)、
を備え、
1以上の第1種周辺装置の夫々は、
所定の画像のデータ(例えば、監視カメラにより撮像された画像のデータ)を入力して、前記知覚表現データ(例えば、明細書における「第1時刻に第1地点に普段いない男性がいる」)に変換して出力するモデル(例えば、言語変換AIモデル86)を所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段(モデル管理部71)と、
対象領域を撮像するカメラ(例えば、
図4のカメラ)から出力された、当該対象領域を撮像した画像のデータを取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記知覚表現データを、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部として出力する変換手段(言語変換AI73)と、
を備えれば足りる。
これにより、複数のカメラからのデータをより好適に処理するシステムを提供することが実現される。
【0097】
前記情報処理システムは、所定の制御対象を制御する1以上の第2種周辺装置(出力セル3)をさらに含み、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記知覚表現データを入力して、所定の物理量に変換して出力するモデルを所定の記憶媒体に記憶させて管理するモデル管理手段(モデル管理部81)と、
前記中央装置から出力された出力データを構成する前記1以上の知覚表現データの少なくとも一部を取得して前記モデルに入力させ、当該モデルから出力された前記所定の物理量を示す信号を、指示信号として前記所定の制御対象に入力させることで、当該所定の制御対象を制御する制御手段(逆言語変換AI82及び指示制御部83)と、
を備える、ことができる。
【0098】
前記1以上の第1種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第1種再学習実行手段(例えば
図4の再学習実行部73)、
をさらに備え、
前記1以上の第2種周辺装置の夫々は、
前記モデルを更新するための再学習を実行する第2種再学習実行手段(例えば
図4の再学習実行部84)、
をさらに備える、ことができる。
【0099】
前記第1種周辺装置は、
前記変換手段から出力された、前記中央装置の前記入力データの少なくとも一部を、ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる第1種周辺記憶制御手段(例えば
図1のBCウルトラライトノード)、
をさらに備え、
前記中央装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記入力データを取得して前記処理実行手段に提供する入力データ取得手段(例えば
図4の処理実行部51)と、
前記処理実行手段から出力された前記出力データを、前記ブロックチェーン又は前記分散型管理台帳の技術を用いて記憶させる中央記憶制御手段(例えば
図1のBCウルトラライトノード)、
をさらに備え、
前記第2種周辺装置は、
前記ブロックチェーン又は分散型管理台帳の技術を用いて記憶されている前記出力データを取得して前記制御手段に提供する出力データ取得手段、
をさらに備える、ことができる。
【符号の説明】
【0100】
11・・・サーバ、2・・・入力セル、3・・・出力セル、4・・・確認端末、5・・・ブロックチェーンフルノード、11・・・CPU、20・・・ドライブ、31・・・リムーバブルメディア、51・・・処理実行部、61・・・中央AI、71・・・モデル管理部、72・・・言語変換AI、73・・・再学習実行部、75・・・言語変換AIモデル、CAM・・・カメラ、81・・・モデル管理部、82・・・逆言語変換AI、83・・・制御部、84・・・再学習実行部、85・・・アクチュエータ、86・・・逆言語変換AIモデル