IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジャパンディスプレイの特許一覧

<>
  • 特開-検出装置 図1
  • 特開-検出装置 図2
  • 特開-検出装置 図3
  • 特開-検出装置 図4
  • 特開-検出装置 図5
  • 特開-検出装置 図6
  • 特開-検出装置 図7
  • 特開-検出装置 図8
  • 特開-検出装置 図9
  • 特開-検出装置 図10
  • 特開-検出装置 図11
  • 特開-検出装置 図12
  • 特開-検出装置 図13
  • 特開-検出装置 図14
  • 特開-検出装置 図15
  • 特開-検出装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173804
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1171 20160101AFI20231130BHJP
   A61B 5/1172 20160101ALI20231130BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20231130BHJP
   A61B 5/026 20060101ALI20231130BHJP
   G06V 40/13 20220101ALI20231130BHJP
【FI】
A61B5/1171 100
A61B5/1172
A61B5/1455
A61B5/026 120
G06V40/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086300
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 正浩
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
【Fターム(参考)】
4C017AA11
4C017AA12
4C017AB03
4C017AC01
4C017AC26
4C017BC11
4C038FF01
4C038FF05
4C038FG01
4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KM00
4C038KX02
4C038KY04
4C038VA07
4C038VB13
4C038VC02
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】常時装着することが可能かつ異なる複数種類の画像を検出することができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、生体に装着可能なリング状の筐体と、前記筐体の内側に設けられ、近赤外光を照射する第1光源61と、近赤外光を検出可能な光センサ10と、第1光源61の点灯を制御する制御回路140と、を備える。制御回路140は、近赤外光を照射したときに光センサ10が取得した画像データに基づいて血流の灌流指標を測定し、該灌流指標が所定値以上のときに画像データを静脈画像D10と判断し、灌流指標が所定値よりも小さいときに画像データを生体表面の皮膚紋理画像D20と判断する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に装着可能なリング状の筐体と、
前記筐体の内側に設けられ、近赤外光を照射する第1光源と、
前記近赤外光を検出可能な光センサと、
前記第1光源の点灯を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記近赤外光を照射したときに前記光センサが取得した画像データに基づいて血流の灌流指標を測定し、前記灌流指標が所定値以上のときに前記画像データを静脈画像と判断し、前記灌流指標が前記所定値よりも小さいときに前記画像データを生体表面の皮膚紋理画像と判断する
検出装置。
【請求項2】
生体に装着可能なリング状の筐体と、
前記筐体の内側に設けられ、近赤外光を照射する第1光源と、
前記近赤外光を検出可能な光センサと、
前記筐体の貫通孔に挿入された物体の異なる状態の圧力を検出可能な圧力センサと、
前記第1光源の点灯を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記近赤外光を照射した場合、前記光センサが取得した画像データを、前記圧力センサの値が圧力閾値以下のときに静脈画像と判断し、前記圧力閾値よりも大きいときに生体表面の皮膚紋理画像と判断する
検出装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記光センサで前記近赤外光を照射したときに、前記光センサが取得した画像データに基づいて血流の灌流指標を測定し、当該灌流指標が所定値以上のときに当該画像データを静脈画像と判断し、当該灌流指標が前記所定値よりも小さいときに当該画像データを生体表面の皮膚紋理画像と判断する
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
赤色光を照射する第2光源をさらに備え、
前記制御回路は、前記赤色光及び前記近赤外光を交互に照射したときに前記光センサが検出した画像データに基づいて前記灌流指標を測定し、当該灌流指標が所定値以上のときに当該画像データを静脈画像と判断し、当該灌流指標が前記所定値よりも小さいときに当該画像データを生体表面の皮膚紋理画像と判断する
請求項1または3に記載の検出装置。
【請求項5】
複数の前記第1光源及び前記第2光源は、交互に配置されている
請求項4に記載の検出装置。
【請求項6】
前記所定値は、1%から50%の範囲で設定されている
請求項1または3に記載の検出装置。
【請求項7】
前記筐体は、指輪である
請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記静脈画像と前記皮膚紋理画像とをマッピングした合成画像を記憶回路に記憶させる
請求項1または2に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
個人の認証には、生体の特徴を用いて個人認証する認証装置が知られている。特許文献1には、撮像された画像から生体との距離及び生体の姿勢を判断し、該判断に基づき生体との距離及び生体の姿勢の修正を指示し、画像から抽出した特徴情報と格納された特徴情報との類似度を比較することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-91186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、脈拍や血中酸素飽和度(SpO)などの生体情報を検出する指輪型の生体センサにおいて、センサと装着者の紐づけのための生体認証機能を計算する装置は大型で重くなる。このため、従来の認証装置は、日常生活で常時装着することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、常時装着することが可能かつ異なる複数種類の画像を検出することができる検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の検出装置は、生体に装着可能なリング状の筐体と、前記筐体の内側に設けられ、近赤外光を照射する第1光源と、前記近赤外光を検出可能な光センサと、前記第1光源の点灯を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記近赤外光を照射したときに前記光センサが取得した画像データに基づいて血流の灌流指標を測定し、前記灌流指標が所定値以上のときに前記画像データを静脈画像と判断し、前記灌流指標が前記所定値よりも小さいときに前記画像データを生体表面の皮膚紋理画像と判断する。
【0007】
本発明の一態様の検出装置は、生体に装着可能なリング状の筐体と、前記筐体の内側に設けられ、近赤外光を照射する第1光源と、前記近赤外光を検出可能な光センサと、前記筐体の貫通孔に挿入された物体の異なる状態の圧力を検出可能な圧力センサと、前記第1光源の点灯を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記近赤外光を照射した場合、前記光センサが取得した画像データを、前記圧力センサの値が圧力閾値以下のときに静脈画像と判断し、前記圧力閾値よりも大きいときに生体表面の皮膚紋理画像と判断する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る検出装置の内側に指を収めた状態を筐体の一端側から見た場合の構成配置例を示す模式図である。
図2図2は、図1に示すA-A断面における断面模式図である。
図3図3は、図1に示す検出装置の未装着時の外観図である。
図4図4は、実施形態1に係る検出装置の光源及び光センサの一例を示す構成図である。
図5図5は、実施形態1に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、検出装置を示す回路図である。
図7図7は、複数の部分検出領域を示す回路図である。
図8図8は、受電素子及びバッテリーの構成の一例を示す構成図である。
図9図9は、実施形態1に係る検出装置の機能構成の一例を示す構成図である。
図10図10は、指が伸長状態の検出装置の検出例を説明するための図である。
図11図11は、指が屈曲状態の検出装置の検出例を説明するための図である。
図12図12は、実施形態1に係る検出装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、静脈画像と皮膚紋理画像と合成画像の一例を説明するための図である。
図14図14は、実施形態2に係る検出装置の機能構成の一例を示す構成図である。
図15図15は、実施形態2に係る検出装置の断面模式図である。
図16図16は、実施形態2に係る検出装置が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(実施形態1)
[検出装置]
図1は、実施形態1に係る検出装置の内側に指を収めた状態を筐体の一端側から見た場合の構成配置例を示す模式図である。図2は、図1に示すA-A断面における断面模式図である。図3は、図1に示す検出装置の未装着時の外観図である。
【0012】
図1及び図2に示す検出装置1は、被認証者に着脱自在な指輪型のデバイスであり、被認証者の指Fgに装着される。指Fgは、拇指、示指、中指、薬指、小指等を含み、生体の一例である。被認証者は、検出装置1が本人確認を行う人であり、生体の一例である。検出装置1は、筐体200と、光源60と、光センサ10と、バッテリー300と、ワイヤレスの受電素子410と、を備える。検出装置1は、バッテリー300から供給される電力によって動作する。検出装置1は、受電素子410を介してワイヤレスで受電し、バッテリー300を充電する構成になっている。なお、検出装置1は、リストバンドを含んでもよい。
【0013】
図3に示すように、筐体200は、被認証者の指Fgに装着可能なリング状に形成されており、内径が装着される指Fgのサイズに応じたサイズになっている。筐体200は、例えば、セラミックス、合成樹脂、金属、合金等の材料によってリング状(環状)に形成されている。本実施形態では、筐体200は、セラミックスによって形成することで、金属で形成した金属筐体よりも電力の送電効率を向上させている。筐体200は、内周面210と、外周面220と、を有する。図2に示すように、筐体200は、指Fgに対する着脱方向V1に移動可能なサイズに形成されている。内周面210は、筐体200の内側に位置付けられた指Fgと接触、対向する面である。外周面220は、装着された指Fgの移動に応じて他の物体に接近または接触する面である。
【0014】
図1及び図2に示すように、筐体200は、複数の光源60、光センサ10、バッテリー300及び受電素子410が内部に設けられている。筐体200は、指Fgに装着された場合、指腹Fg-1が接近する第1領域230に、光センサ10、バッテリー300及び受電素子410を設けている。指腹Fg-1は、手を閉じた場合の指Fgの内側である。第1領域230は、筐体200の下方に設定された領域である。筐体200は、内周面210側から光センサ10、バッテリー300及び受電素子410の順序で配置している。すなわち、筐体200は、受電素子410が外周面220の近傍になるように配置している。光センサ10、バッテリー300及び受電素子410は、それぞれの間に筐体200の部材、絶縁部材等を設けることができる。
【0015】
筐体200は、指Fgに装着された状態では、指腹Fg-1側の外周面220寄りに受電素子410が配置される。筐体200の第1領域230は、指腹Fg-1と対向する範囲に基づいて設定されている。筐体200は、光センサ10を内周面210から露出させる構成としてもよいし、内周面210の近傍に収容する構成としてもよい。筐体200は、受電素子410を外周面220の近傍に収容し、筐体200を磁界が通る構成になっている。受電素子410は、バッテリー300から給電可能なように筐体200に設けられている。これにより、検出装置1は、被認証者が操作対象物1000を操作すると、筐体200が接近方向V2に移動して操作対象物1000の給電装置500に接近させることができる。給電装置500は、ワイヤレスの給電を行う装置であり、操作対象物1000に組み込まれている。
【0016】
また、筐体200は、指Fgに装着された場合、指背Fg-2が接近する第2領域240に、複数の光源60を設けている。指背Fg-2は、手を閉じた場合の指Fgの外側である。第2領域240は、筐体200の上方に設定された領域かつ第1領域230と対向する領域である。筐体200は、第1領域230と、第1領域230の上方に位置付けられる第2領域24と、を有する。第2領域240は、複数の光源60が光線を光センサ10に向けて照射可能なように設けている。
【0017】
図4は、実施形態1に係る検出装置1の光源60及び光センサ10の一例を示す構成図である。図4に示す一例では、光センサ10は、センサ基板21を有する。光源60は、複数の第1光源61及び第2光源62を有する。なお、上述した図1及び図2では、説明を簡単化するために、光源60の数を少なく記載している。
【0018】
センサ基板21には、フレキシブルプリント基板71を介して制御基板121が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板71には、検出回路48が設けられている。制御基板121には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、光センサ10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に制御信号を供給して、光センサ10の検出動作を制御する。また、制御回路122は、第1光源61及び第2光源62に制御信号を供給して、第1光源61及び第2光源62の点灯又は非点灯を制御する。電源回路123は、センサ電源信号VDDSNS(図7参照)等の電圧信号を光センサ10、ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16に供給する。また、電源回路123は、電源電圧を第1光源61及び第2光源62に供給する。
【0019】
センサ基板21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、光センサ10が有する複数のフォトダイオードPDが設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、センサ基板21の端部との間の領域であり、フォトダイオードPDと重ならない領域である。
【0020】
矩形状の検出領域AAと周辺領域GAとの境界を形成する検出領域AAの四辺のうち一辺CP1が第1領域230の一端になる。また、検出領域AAの四辺のうち検出領域AAを挟んで当該一辺と対向する位置の他の一辺CP2が第1領域230の他端になる。
【0021】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16は、周辺領域GAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、光センサ10と検出回路48との間に設けられる。
【0022】
なお、第1方向Dxは、センサ基板21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、センサ基板21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、センサ基板21の法線方向である。
【0023】
複数の第1光源61は、第1光源基材51に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。複数の第2光源62は、第2光源基材52に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。第1光源基材51及び第2光源基材52は、それぞれ、制御基板121に設けられた端子124,125を介して、制御回路122及び電源回路123と電気的に接続される。複数の第1光源61及び複数の第2光源62は、着脱方向V1において、指Fgに沿って設けられており(図2参照)、光センサ10と対向するように配置されている。
【0024】
複数の第1光源61及び複数の第2光源62は、例えば、無機LED(Light Emitting Diode)や、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。複数の第1光源61及び複数の第2光源62は、それぞれ異なる波長の第1の光及び第2の光を照射する。本実施形態では、第1光源61は、波長が880nmの近赤外光を照射する。第2光源62は、波長が665nmの赤色光を照射する。また、検出時、第1光源61と第2光源62は、交互に点灯する。よって、フォトダイオードPDは、赤色光と近赤外光の反射光を交互に受光する。
【0025】
近赤外光の反射光は、血管パターンを検出するための情報を含む。血液に含まれている赤血球は、ヘモグロビンを有する。第1光源61から照射される近赤外光は、ヘモグロビンにより吸光され易い。言い換えると、ヘモグロビンよる近赤外光の吸光係数は、体の内部の他の部分よりも吸光係数が高い。よって、複数のフォトダイオードPDの受光量を読み込み、赤外光の受光量が相対的に少ない箇所を特定することで、静脈などの血管パターンを検出できる。
【0026】
また、近赤外光と赤色光の反射光は、血液中の酸素飽和度(以下、血中酸素飽和度(SpO)と称する)を測定するための情報を含む。なお、血中酸素飽和度(SpO)は、血液中のヘモグロビンの全てに酸素が結合したと仮定した場合の総酸素量に対し、実際にヘモグロビンに結合している酸素量の比である。
【0027】
近赤外光は、ヘモグロビンにより吸光され易い。ヘモグロビンの量が多くなると、吸光される近赤外光の光量も多くなり、フォトダイオードPDの受光量も低減する。つまり、近赤外光の反射光の受光量により、ヘモグロビンの全体量が把握される。
【0028】
一方で、ヘモグロビンは、酸素と結合していない状態で赤黒い色であり、酸素と結合すると鮮やかな赤色となる。このため、ヘモグロビンは、酸素と結合した状態と、酸素と結合していない状態とで、赤色光を吸収する吸光係数が異なる。よって、血液中に酸素と結合した状態のヘモグロビンが多いと、赤色光の反射光が多くなる。他方で、血液中に酸素と結合していない状態のヘモグロビンが多いと、赤色光の反射光が少なくなる。以上から、赤色光の反射光の受光量に基づき、酸素と結合した状態のヘモグロビンの量が相対的に把握される。
【0029】
そして、把握されたヘモグロビンの全体量と、酸素と結合した状態のヘモグロビンの量と、を対比することで、実際にヘモグロビンに結合している酸素量の比(血中酸素飽和度(SpO))が把握される。これにより、検出装置1は、第1光源61及び複数の第2光源62を有しているので、第1の光に基づいた検出と、第2の光に基づいた検出とを行うことで、指Fg等の内部の生体に関する情報を検出することができる。検出装置1は、検出した血中酸素飽和度、脈拍等を含む生体に関する情報を、フレキシブルプリント基板71を介して制御基板121に供給できる。
【0030】
なお、本開示において、第1光源61と第2光源62から照射される光の波長は上記に限定されない。第1光源61は、波長が800以上1000nm未満の近赤外光を照射できればよい。第2光源62は、波長が600nm以上800nm未満の赤色光を照射できればよい。
【0031】
なお、図4に示す第1光源61及び第2光源62の配置は、あくまで一例であり適宜変更することができる。例えば、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、複数の第1光源61及び複数の第2光源62が配置されていてもよい。この場合、複数の第1光源61を含むグループと、複数の第2光源62を含むグループとが、第2方向Dyに並んで配置されていてもよいし、第1光源61と第2光源62とが交互に第2方向Dyに配置されていてもよい。また、第1光源61及び第2光源62が設けられる光源基材は1つ又は3つ以上であってもよい。検出装置1は、第1光源61及び第2光源62をそれぞれ1つとしてもよい。
【0032】
図5は、実施形態1に係る検出装置1の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、検出装置1は、さらに検出制御回路11と検出回路40と、有する。検出制御回路11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出回路40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0033】
光センサ10は、光電変換素子であるフォトダイオードPDを有する光センサである。光センサ10が有するフォトダイオードPDは、照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。また、光センサ10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号Vgclにしたがって検出を行う。
【0034】
検出制御回路11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出回路40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御回路11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御回路11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。また、検出制御回路11は、各種制御信号を第1光源61及び第2光源62に供給して、それぞれの点灯及び非点灯を制御する。
【0035】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(図6参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数のフォトダイオードPDを選択する。
【0036】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(図7参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御回路11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路48とを接続する。これにより、信号線選択回路16は、フォトダイオードPDの検出信号Vdetを検出回路40に出力する。
【0037】
検出回路40は、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、記憶回路46と、検出タイミング制御回路47と、画像処理回路49と、を備える。検出タイミング制御回路47は、検出制御回路11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理回路44と、座標抽出回路45と、画像処理回路49と、が同期して動作するように制御する。
【0038】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅回路42及びA/D変換回路43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅回路42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換回路43は、検出信号増幅回路42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0039】
信号処理回路44は、検出回路48の出力信号に基づいて、光センサ10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理回路44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指Fgや掌の生体表面の凹凸を検出できる。また、信号処理回路44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指Fgの脈拍、血中酸素飽和度等である。
【0040】
また、信号処理回路44は、複数のフォトダイオードPDにより同時に検出された検出信号Vdet(生体に関する情報)を取得し、これらを平均化する処理を実行してもよい。この場合、検出回路40は、ノイズや、指Fg等の被検出体と光センサ10との相対的な位置ずれに起因する測定誤差を抑制して、安定した検出が可能となる。
【0041】
記憶回路46は、信号処理回路44で演算された信号を一時的に保存する。記憶回路46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0042】
座標抽出回路45は、信号処理回路44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の生体表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出回路45は、指Fgや掌の血管の検出座標を求める論理回路である。画像処理回路49は、光センサ10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の生体表面の凹凸の形状を示す二次元情報及び指Fgや掌の血管の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出回路45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。また、座標抽出回路45及び画像処理回路49は、検出回路40に含まれていない場合であってもよい。
【0043】
検出制御回路11は、検出した生体に関する情報と予め記憶している認証情報とを比較し、比較結果に基づいて被認証者の認証を行う機能を有する。検出制御回路11は、図示しない通信装置を介して、外部の装置に検出した生体に関する情報を送信する制御を行う機能を有する。
【0044】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。図6は、検出装置1を示す回路図である。図7は、複数の部分検出領域を示す回路図である。なお、図7では、検出回路48の回路構成も併せて示している。
【0045】
図6に示すように、光センサ10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。複数の部分検出領域PAAには、それぞれフォトダイオードPDが設けられている。
【0046】
ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。また、図7では説明を分かりやすくするために、8本のゲート線GCLを示しているが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、M本(Mは8以上、例えばM=256)配列されていてもよい。
【0047】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAのフォトダイオードPDに接続される。また、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。なお、以下の説明において、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)を区別して説明する必要がない場合には、単に信号線SGLと表す。
【0048】
また、説明を分かりやすくするために、12本の信号線SGLを示しているが、あくまで一例であり、信号線SGLは、N本(Nは12以上、例えばN=252)配列されていてもよい。また、図6では、信号線選択回路16とリセット回路17との間に光センサ10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0049】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、制御回路122(図4参照)から受け取る。ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線GCLに接続された複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号Vgclが供給され、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0050】
なお、ゲート線駆動回路15は、指紋の検出及び異なる複数の生体に関する情報(例えば、脈拍、血中酸素飽和度等)のそれぞれの検出モードごとに、異なる駆動を実行してもよい。例えば、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを束ねて駆動してもよい。
【0051】
具体的には、ゲート線駆動回路15は、制御信号に基づいて、ゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)のうち、所定数のゲート線GCLを同時に選択する。例えば、ゲート線駆動回路15は、6本のゲート線GCL(1)からゲート線GCL(6)を同時に選択し、ゲート駆動信号Vgclを供給する。ゲート線駆動回路15は、選択された6本のゲート線GCLを介して、複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、第1方向Dx及び第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAを含む検出領域グループPAG1、PAG2が、それぞれ検出対象として選択される。ゲート線駆動回路15は、所定数のゲート線GCLを束ねて駆動し、所定数のゲート線GCLごとに順次ゲート駆動信号Vgclを供給する。
【0052】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれ検出回路48に接続される。
【0053】
ここで、信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)を第1信号線ブロックとし、信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。
【0054】
具体的には、選択信号線Lsel1、Lsel2、…、Lsel6は、それぞれ信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)に対応する第3スイッチング素子TrSと接続される。また、選択信号線Lsel1は、信号線SGL(1)に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL(7)に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。選択信号線Lsel2は、信号線SGL(2)に対応する第3スイッチング素子TrSと、信号線SGL(8)に対応する第3スイッチング素子TrSと、に接続される。
【0055】
制御回路122(図4参照)は、選択信号ASWを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックでそれぞれ1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置1は、検出回路48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。
【0056】
なお、信号線選択回路16は、複数の信号線SGLを束ねて検出回路48に接続してもよい。具体的には、制御回路122(図4参照)は、選択信号ASWを同時に選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて複数の信号線SGL(例えば6本の信号線SGL)を選択し、複数の信号線SGLと検出回路48とを接続する。これにより、検出領域グループPAG1、PAG2で検出された信号が検出回路48に出力される。この場合、検出領域グループPAG1、PAG2に含まれる複数の部分検出領域PAA(フォトダイオードPD)からの信号が統合されて検出回路48に出力される。
【0057】
ゲート線駆動回路15及び信号線選択回路16の動作により、検出領域グループPAG1、PAG2ごとに検出を行うことで、1回の検出で得られる検出信号Vdetの強度が向上するのでセンサ感度を向上させることができる。また、検出に要する時間を短縮することができる。このため、検出装置1は、検出を短時間で繰り返し実行することができるので、S/N比を向上させることができ、又、脈波等の生体に関する情報の時間的な変化を精度よく検出することができる。
【0058】
図6に示すように、リセット回路17は、基準信号線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準信号線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0059】
制御回路122は、リセット信号RST2をリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準信号線Lvrと電気的に接続される。電源回路123は、基準信号COMを基準信号線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Ca(図7参照)に基準信号COMが供給される。
【0060】
図7に示すように、部分検出領域PAAは、フォトダイオードPDと、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。図7では、複数のゲート線GCLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GCL(m)、GCL(m+1)を示す。また、複数の信号線SGLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SGL(n)、SGL(n+1)を示す。部分検出領域PAAは、ゲート線GCLと信号線SGLとで囲まれた領域である。第1スイッチング素子Trは、フォトダイオードPDに対応して設けられる。第1スイッチング素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0061】
第1方向Dxに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第2方向Dyに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、フォトダイオードPDのカソード及び容量素子Caに接続される。
【0062】
フォトダイオードPDのアノードには、電源回路123からセンサ電源信号VDDSNSが供給される。また、信号線SGL及び容量素子Caには、電源回路123から、信号線SGL及び容量素子Caの初期電位となる基準信号COMが供給される。
【0063】
部分検出領域PAAに光が照射されると、フォトダイオードPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、又は検出領域グループPAG1、PAG2ごとにフォトダイオードPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0064】
検出回路48は、読み出し期間にスイッチSSWがオンになり、信号線SGLと接続される。検出回路48の検出信号増幅回路42は、信号線SGLから供給された電流の変動を電圧の変動に変換して増幅する。検出信号増幅回路42の非反転入力端子(+)には、固定された電位を有する基準電圧Vrefが入力され、反転入力端子(-)には、信号線SGLが接続される。本実施形態では、基準電圧Vrefとして基準信号COMと同じ信号が入力される。また、検出信号増幅回路42は、容量素子Cb及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間において、リセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Cbの電荷がリセットされる。
【0065】
このような構成により、検出装置1は、複数のフォトダイオードPDを有することで、指Fgの静脈パターン、皮膚紋理、血中酸素飽和度、脈拍等の生体に関する情報を検出し、検出した情報を含む生体情報を装置の外部に供給することができる。
【0066】
次に、受電素子410及びバッテリー300について説明する。図8は、受電素子410及びバッテリー300の構成の一例を示す構成図である。図8に示すように、検出装置1は、受電素子410と、整流回路420と、変換回路430と、を有する。受電素子410は、平面のコイル411を有する。コイル411は、受電用コイルであり、整流回路420と電気的に接続されている。コイル411は、筐体200の第1領域230における外周面220寄りに設けられている。コイル411は、給電装置500の送電コイル511に接近した際に磁気結合させ、送電コイル511からの電磁界を受けて、電流に変換する。なお、コイル411は、NFC(Near Field Communication)アンテナと共有化し、空間の電磁波を捉えてエネルギーを吸収してもよい。
【0067】
また、給電装置500は、検出装置1のワイヤレスの受電素子410に電力を供給可能な給電素子510と、給電素子510に電力を供給可能な電源520と、を備える。給電素子510は、バッテリー300を充電するための送電用の送電コイル511を備える。送電コイル511と電源520とは、電気的に接続されている。送電コイル511は、共振型のコイルであり、電源520からの駆動電圧により動作する。電源520は、交流電源である。給電装置500は、送電コイル511と受電側の接近した受電素子410とを磁気結合させることで、ワイヤレスで電力を供給する装置である。
【0068】
検出装置1のコイル411は、整流回路420と電気的に接続されている。整流回路420は、例えば、整流回路であり、コイル411で受電した電流を整流する。整流回路420は、変換回路430と電気的に接続されている。変換回路430は、バッテリー300と電気的に接続されており、整流回路420が整流した直流電流に変換する。検出装置1は、送電側の送電コイル511に交流電流が流れると、送電コイル511に交流磁場が発生し、交流磁場により近接したコイル411に交流電流が発生する。検出装置1は、発生した交流電流を直流電流に変換してバッテリー300を充電する。このように、検出装置1は、磁気結合することにより、ワイヤレス給電が成立する。
【0069】
バッテリー300は、二次電池である。バッテリー300は、充電と放電を繰り返して使用可能な化学電池である。バッテリー300は、例えば、蓄電池、充電池等を含む。バッテリー300は、例えば、Qi(ワイヤレス給電の国際標準規格)に対応している。バッテリー300は、蓄電された電力を検出装置30において電力を必要とする各部等に供給できる。バッテリー300は、複数の光源60及び光センサ10と電気的に接続されており、光源60及び光センサ10等に電力を供給する。
【0070】
次に、検出装置1の機能構成について説明する。図9は、実施形態1に係る検出装置1の機能構成の一例を示す構成図である。図9に示すように、検出装置1は、上述した光センサ10と、上述した複数の光源60と、通信回路120と、記憶回路130と、制御回路140と、を備える。制御回路140は、光センサ10、複数の光源60、通信回路120及び記憶回路130と電気的に接続されている。制御回路140は、上述した検出制御回路11、検出回路40等を有する。
【0071】
光センサ10は、検出領域AAにおいて、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有し、複数の部分検出領域PAAのそれぞれにフォトダイオードPDが設けられている。光センサ10は、複数のフォトダイオードPDの受光量を識別可能な検出情報を制御回路140に供給する。検出情報は、例えば、複数のフォトダイオードPDの受光量が検出領域AAの画像を示す情報を含む。
【0072】
光源60は、複数の第1光源61及び複数の第2光源62を有する。光源60は、指Fgを挟んで対向する筐体200の内周面210側に設けられている。光源60は、近赤外光を照射する第1光源61と赤色光を照射する第2光源62とを交互に配置されており、制御回路140の制御によって交互に点灯される。なお、光源60は、近赤外光のみを配置し、近赤外光のみで灌流指標を測定してもよい。
【0073】
通信回路120は、無線により通信する。通信回路120は、無線通信規格をサポートする。通信規格は、例えば、3G、4G、5G等のセルラーフォンの通信規格と、近距離無線の通信規格と、を含む。通信回路120は、受信した情報を制御回路140に供給する。通信回路120は、制御回路140の要求された各種情報を送信先に送信する。
【0074】
記憶回路130は、プログラム及びデータを記憶する。記憶回路130は、制御回路140の処理結果を一時的に記憶する。記憶回路130は、記憶媒体を含む。記憶媒体は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等を含む。記憶回路130は、光センサ10が検出した検出結果等を識別可能な情報を記憶する。
【0075】
記憶回路130は、例えば、閾値情報131、灌流指標情報132、静脈画像D10、皮膚紋理画像D20、合成画像D30等を記憶する。閾値情報131は、取得した画像が静脈画像D10であるか皮膚紋理画像D20であるかを、灌流指標に基づいて判定するための判定閾値等の情報を含む。判定閾値は、所定値の一例である。灌流指標は、指Fgを挟んで第1光源61及び第2光源62を交互に点灯して脈波を取得し、光応答脈波から得られるAC成分/DC成分である。灌流指標は、赤色/近赤外の比から血中酸素飽和度を求めることができる。灌流指標情報132は、制御回路140が算出した灌流指標を示す情報である。静脈画像D10は、筐体200の貫通孔に挿入された指Fg(生体)の静脈パターンを識別可能な画像データであり、検出領域AAに対応した画像データである。皮膚紋理画像D20は、皮膚紋理を識別可能な画像データであり、検出領域AAに対応した画像データである。皮膚紋理は、指Fg、掌等にみられる皮膚隆線がつくる紋理である。本実施形態では、皮膚紋理画像D20は、指Fgの生体表面にある模様や筋を示す画像データになっている。合成画像D30は、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20とを合成(マッピング)した画像データである。静脈画像D10、皮膚紋理画像D20及び合成画像D30は、画像データの一例である。
【0076】
制御回路140は、例えば、MCU(Micro Control Unit)、CPU(Central Processing Unit)等を含む。制御回路140は、検出装置1の動作を統括的に制御する。制御回路140は、例えば、光源60の点灯を制御する機能、光センサ10が検出した画像を取得する機能、取得した画像を判断する機能等を有する。制御回路140の各種機能は、プログラムを実行することによって実現される。
【0077】
制御回路140は、光センサ10で近赤外光を照射したときに光センサ10が取得した画像データに基づいて指Fgの灌流指標を測定する。制御回路140は、測定した灌流指標が判定閾値(所定値)以上のときに静脈画像D10と判断し、灌流指標が判定閾値よりも小さいときに生体表面の皮膚紋理画像D20と判断する。制御回路140は、判断した画像を判断結果に関連付けて記憶回路130に記憶する。制御回路140は、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20とをマッピングして合成画像D30を作成する。制御回路140は、作成した合成画像D30を記憶回路130に記憶する。制御回路140は、通信回路120を介して、静脈画像D10、皮膚紋理画像D20及び合成画像D30の少なくとの1つを外部の装置に提供する。
【0078】
以上、本実施形態に係る検出装置1の機能構成例について説明した。なお、図1乃至図9を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る検出装置1の機能構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る検出装置1の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0079】
[検出装置を装着時の指の状態例]
次に、検出装置1が指Fgに装着されたときの状態例について説明する。図10は、指Fgが伸長状態の検出装置1の検出例を説明するための図である。図11は、指Fgが屈曲状態の検出装置1の検出例を説明するための図である。
【0080】
指Fgの伸長状態ST1は、図10に示すように、指Fgを伸ばした状態である。指Fgの屈曲状態ST2は、図11に示すように、指Fgを45°以上に曲げた状態である。本願の発明者は、以下の現象を発見したことにより、本実施形態の検出装置1を実現している。
【0081】
まず、指Fgは、伸長状態ST1の場合、指先まで血液の流れた状態になり、屈曲状態ST2の場合、血液の流れが滞る状態になる。そして、屈曲状態ST2で、指Fgの血液の流れが滞ると、画像の脈波の成分が低下し、皮膚紋理を識別可能な指Fgの画像を得ることが判明した。また、指Fgの血液の流れが滞ると、脈波から得られる光センサ10のAC成分/DC成分である灌流指標が低下することを実験により判明した。すなわち、指Fgが伸長状態ST1の場合、検出装置1は、第1光源61及び第2光源62を交互に点灯することで、図10のグラフG-1に示す脈波を光センサ10によって検出することができる。指Fgが屈曲状態ST2の場合、検出装置1は、第1光源61及び第2光源62を交互に点灯することで、図11のグラフG-2に示す脈波を光センサ10によって検出することができる。グラフG-2は、グラフG-1よりも小さな波形である。このため、検出装置1は、検出した脈波から灌流指標を算出することで、該灌流指標の大きさによって指Fgが伸長状態ST1であるか屈曲状態ST2であるかの判定を行う機能を有している。これにより、検出装置1は、指Fgが伸長状態ST1の場合、指FGにおける血液が流れているため、静脈を識別可能な指Fgの画像を得ることができる。そして、検出装置1は、指Fgが屈曲状態ST2の場合、指FGにおける血液の流れが滞るため、皮膚紋理を識別可能な指Fgの画像を得ることができる。なお、第1光源61及び第2光源62は、近赤外光のみを配置し、近赤外光のみで灌流指標を測定してもよい。
【0082】
また、動脈血酸素飽和度を測定する場合、灌流指標は、1.0%以上であることが望ましいとされている。また、指先での灌流指標の平均値は、2.0%から10%ほどといわれており、血液量や循環状態によっても変動する。灌流指標が1.0%を下回る場合、抹消血流の状態が通常よりもよくない状態である。すなわち、灌流指標が1.0%を下回る場合、指Fgは屈曲状態ST2であるといえる。本実施形態では、検出装置1は、灌流指標の判定閾値として1.0%が閾値情報131に設定されているが、これに限定されない。灌流指標の判定閾値は、例えば、機械学習、実験等で得られた閾値を設定可能であり、1.0%から50%の間で設定することができる。
【0083】
また、検出装置1は、装着している指Fgが伸長状態ST1と屈曲状態ST2とに切り替え可能なように、筐体200の貫通孔201の内径が指Fgの径(サイズ)よりも数ミリメートル大きくなっている。検出装置1は、図10に示すように、指Fgが伸長状態ST1である場合、指Fgと筐体200との間に隙間が生じる状態になることが好ましい。検出装置1は、図11に示すように、指Fgが屈曲状態ST2である場合、指Fgと筐体200とが接触した状態になることが好ましい。
【0084】
[実施形態1に係る検出装置の処理手順例]
次に、指Fgに装着された検出装置1の処理手順について説明する。図12は、実施形態1に係る検出装置1が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図13は、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20と合成画像D30の一例を説明するための図である。図12に示す処理手順は、検出装置1の制御回路140がプログラムを実行することより実現される。検出装置1は、例えば、指Fgに装着されている検出タイミングで、図12に示す処理手順を繰り返し実行する。検出タイミングは、例えば、認証時、予め設定されている日時、時間帯、指Fgに装着されているとき等のタイミングを含む。また、被認証者は、検出タイミングで指Fgを伸長状態ST1と屈曲状態ST2とに変化させることを前提としている。
【0085】
図12に示すように、検出装置1は、第1光源61及び第2光源62を交互に点灯させ、光センサ10から脈波を取得する(ステップS101)。例えば、検出装置1は、第1光源61及び第2光源62を交互に点灯させたときの脈波のAC成分及びDC成分を取得する。検出装置1は、ステップS101の処理が終了すると、処理をステップS102に進める。
【0086】
検出装置1は、取得した脈波に基づいて灌流指標を算出する(ステップS102)。例えば、検出装置1は、取得した脈波のAC成分/DC成分を算出し、算出結果を灌流指標として記憶回路130の灌流指標情報132に記憶する。検出装置1は、ステップS102の処理が終了すると、処理をステップS103に進める。
【0087】
検出装置1は、灌流指標が判定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。例えば、検出装置1は、灌流指標と閾値情報131の判定閾値とを比較し、比較結果に基づいて判定を行う。検出装置1は、灌流指標が判定閾値以上であると判定した場合(ステップS103でYes)、指Fgが伸長状態ST1であるとみなし、処理をステップS104に進める。
【0088】
検出装置1は、光センサ10で検出した画像を静脈画像D10と判断する(ステップS104)。例えば、検出装置1は、光センサ10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて画像処理回路49によって生成した二次元情報を示す画像を、静脈画像D10と判断する。そして、検出装置1は、2値化した静脈画像D10を記憶回路130に記憶する(ステップS105)。これにより、検出装置1は、図13に示すように、検出した静脈Fg10を識別可能な静脈画像D10を記憶回路130に記憶することができる。図12に戻り、検出装置1は、ステップS105の処理が終了すると、処理を後述するステップS108に進める。
【0089】
また、検出装置1は、灌流指標が判定閾値以上ではない、すなわち、灌流指標が判定閾値よりも小さいと判定した場合(ステップS103でNo)、指Fgが屈曲状態ST2であるとみなし、処理をステップS106に進める。検出装置1は、光センサ10で検出結果した画像を皮膚紋理画像D20と判断する(ステップS106)。例えば、検出装置1は、光センサ10の各フォトダイオードPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて画像処理回路49によって生成した二次元情報を示す画像を、皮膚紋理画像D20と判断する。そして、検出装置1は、2値化した皮膚紋理画像D20を記憶回路130に記憶する(ステップS107)。これにより、検出装置1は、図13に示すように、検出した皮膚紋理Fg20を識別可能な皮膚紋理画像D20を記憶回路130に記憶することができる。図12に戻り、検出装置1は、ステップS107の処理が終了すると、処理をステップS108に進める。
【0090】
検出装置1は、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得したか否かを判定する(ステップS108)。例えば、検出装置1は、関連付けが可能な静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を記憶回路130に記憶している場合に、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得したと判断する。検出装置1は、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得していないと判定した場合(ステップS108でNo)、不足している画像を取得するために、処理を既に説明したステップS101に戻り、処理を継続する。また、検出装置1は、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得したと判定した場合(ステップS108でYes)、処理をステップS109に進める。
【0091】
検出装置1は、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20をマッピングする(ステップS109)。例えば、検出装置1は、検出領域AAにおいて、静脈画像D10が示す静脈FG10と皮膚紋理画像D20が示す皮膚紋理Fg20とを関連付ける作業を行う。そして、検出装置1は、マッピングした合成画像D30を記憶回路130に記憶する(ステップS110)。例えば、検出装置1は、合成画像D30を静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20に関連付けて記憶回路130に記憶する。これにより、検出装置1は、図13に示すように、静脈Fg10及び皮膚紋理Fg20を識別可能な合成画像D30を記憶回路130に記憶することができる。図12に戻り、検出装置1は、ステップS110の処理が終了すると、図12に示す処理手順を終了させる。
【0092】
図12に示す処理手順は、画像を2値化するステップS105及びステップS107の処理を有しているが、これに限定されない。図12に示す処理手順は、画像を2値化せずに記憶回路130に記憶するようにステップS105及びステップS107を変更してもよい。
【0093】
以上により、検出装置1は、近赤外光を照射したときに光センサ10が取得した画像に基づいて血流の灌流指標を測定し、灌流指標が判定閾値以上のときに画像を静脈画像D10と判断し、灌流指標が判定閾値よりも小さいときに画像を皮膚紋理画像D20と判断する。これにより、検出装置1は、指Fgに装着された状態で、該指Fgの状態を変化させるだけで、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20を区別して検出することができる。その結果、検出装置1は、リング状(指輪型)の筐体200で小型・軽量を実現することで、常時装着することが可能かつ異なる複数種類の画像を検出することができる。また、検出装置1は、指Fgを伸長状態ST1と屈曲状態ST2に変化させるだけで、生体に関する複数種類の画像を検出することができるので、被認証者を煩わせることもない。また、検出装置1は、マッピング例で静脈画像D10と皮膚紋理画像D20の関係は個体ごとに異なるため、各々の信号が不明確な点があっても、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20との位置関係から特定できる。
【0094】
また、検出装置1は、赤色光を照射する第2光源62をさらに備える。検出装置1は、制御回路140が光センサ10で赤色光及び近赤外光を交互に照射したときに光センサ10が検出した画像に基づいて灌流指標を測定し、灌流指標が判定閾値以上のときに静脈画像D10と判断し、灌流指標が判定閾値よりも小さいときに生体表面の皮膚紋理画像D20と判断する。これにより、検出装置1は、赤色光及び近赤外光の照射に応じた画像を取得できるので、異なる画像を検出するとともに、近赤外光と赤色光との比から血中酸素飽和度を求めることができる。
【0095】
また、検出装置1は、装着した状態でワイヤレス充電が可能なので、検出した画像等を外部の装置に送信しても、バッテリー300の電力不足を抑制することができる。これにより、検出装置1は、筐体200を長時間にわたって装着することが可能になり、利便性を向上させることができる。
【0096】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る検出装置1Aの機能構成について説明する。図14は、実施形態2に係る検出装置1Aの機能構成の一例を示す構成図である。図15は、実施形態2に係る検出装置1Aの断面模式図である。
【0097】
図14に示すように、検出装置1Aは、上述した光センサ10、複数の光源60、通信回路120、記憶回路130及び制御回路140と、圧力センサ150と、を備える。すなわち、検出装置1Aは、実施形態1に係る検出装置1に圧力センサ150を追加した構成になっている。圧力センサ150は、制御回路140と電気的に接続されている。検出装置1Aは、基本構成が検出装置1と同一であるため、以下の説明では異なる構成についてのみ説明する。
【0098】
圧力センサ150は、図15に示すように、筐体200を装着した指Fgが少なくとも屈曲状態ST2の時に接触するように、筐体200に設けられている。本実施形態では、検出装置1Aは、指Fgの指腹Fg-1が接触する筐体200の光センサ10の近傍に圧力センサ150を設ける場合について説明するが、これに限定されない。検出装置1Aは、指Fgが屈曲状態ST2の時に接触する箇所に圧力センサ150を設けてもよいし、指Fgの伸長状態ST1と屈曲状態ST2とで圧力の値が変化する箇所に圧力センサ150を設けてもよい。圧力センサ150は、指Fgとの接触状態に応じた圧力を示す圧力情報を制御回路140に供給する。圧力は、屈曲状態ST2の指Fgが接触したときに、伸長状態ST1のときよりも大きな値に変化する。なお、圧力センサ150は、例えば、センサと電子器式スイッチとで構成される圧力スイッチとしてもよい。
【0099】
図14に戻り、記憶回路130の閾値情報131は、指Fgが伸長状態ST1であるか屈曲状態ST2であるかを判定するための圧力閾値等の情報を含む。圧力閾値は、例えば、筐体200に装着する指Fgを用いたキャリブレーションによって求めた値を設定してもよいし、機械学習、シミュレーション等を用いて指Fgのサイズに応じて求めた値を設定してもよい。圧力閾値は、例えば、圧力閾値以下のときに指Fgが伸長状態ST1であり、圧力閾値よりも大きいときに指Fgが屈曲状態ST2である。
【0100】
制御回路140は、近赤外光を照射した場合、圧力センサ150の圧力の値が圧力閾値以下のときに静脈画像D10と判断し、圧力閾値よりも大きいときに生体表面の皮膚紋理画像D20と判断する。制御回路140は、判断した画像を判断結果、圧力情報等に関連付けて記憶回路130に記憶する。
【0101】
以上、本実施形態に係る検出装置1Aの機能構成例について説明した。なお、図14及び図15を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る検出装置1Aの機能構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る検出装置1Aの機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0102】
[実施形態2に係る検出装置の処理手順例]
次に、指Fgに装着された検出装置1Aの処理手順について説明する。図16は、実施形態2に係る検出装置1Aが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図16に示す処理手順は、検出装置1Aの制御回路140がプログラムを実行することより実現される。検出装置1Aは、例えば、指Fgに装着されている検出タイミングで、図16に示す処理手順を繰り返し実行する。なお、以下のステップS101、ステップS104からステップS110の処理手順は、図12に示したステップS101、ステップS104からステップS110の処理手順と同一であるため、説明を簡単化する。
【0103】
図16に示すように、検出装置1Aは、第1光源61及び第2光源62を交互に点灯させ、光センサ10から脈波を取得する(ステップS101)。なお、検出装置1Aは、赤外線光のみを点灯させてもよい。検出装置1Aは、ステップS101の処理が終了すると、処理をステップS111に進める。
【0104】
検出装置1Aは、圧力センサ150から圧力情報を取得する(ステップS111)。そして、検出装置1Aは、圧力センサ150の値(圧力)が圧力閾値以下であるか否かを判定する(ステップS112)。例えば、検出装置1Aは、圧力の値と閾値情報131の圧力閾値とを比較し、比較結果に基づいて判定を行う。検出装置1Aは、圧力センサ150の値が圧力閾値以下であると判定した場合(ステップS112でYes)、指Fgが伸長状態ST1であるとみなし、処理をステップS104に進める。
【0105】
検出装置1Aは、光センサ10で検出結果した画像を静脈画像D10と判断する(ステップS104)。そして、検出装置1Aは、2値化した静脈画像D10を記憶回路130に記憶する(ステップS105)。これにより、検出装置1Aは、検出した静脈Fg10を識別可能な静脈画像D10を記憶回路130に記憶することができる。検出装置1Aは、ステップS105の処理が終了すると、処理を後述するステップS108に進める。
【0106】
また、検出装置1Aは、圧力センサ150の値が圧力閾値以下ではない、すなわち、圧力センサ150の値が圧力閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS112でNo)、指Fgが屈曲状態ST2であるとみなし、処理をステップS106に進める。検出装置1Aは、光センサ10で検出結果した画像を皮膚紋理画像D20と判断する(ステップS106)。そして、検出装置1Aは、2値化した皮膚紋理画像D20を記憶回路130に記憶する(ステップS107)。これにより、検出装置1Aは、検出した皮膚紋理Fg20を識別可能な皮膚紋理画像D20を記憶回路130に記憶することができる。検出装置1Aは、ステップS107の処理が終了すると、処理をステップS108に進める。
【0107】
検出装置1Aは、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得したか否かを判定する(ステップS108)。検出装置1Aは、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得していないと判定した場合(ステップS108でNo)、不足している画像を取得するために、処理を既に説明したステップS101に戻り、処理を継続する。また、検出装置1Aは、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20を取得したと判定した場合(ステップS108でYes)、処理をステップS109に進める。
【0108】
検出装置1Aは、静脈画像D10及び皮膚紋理画像D20をマッピングする(ステップS109)。そして、検出装置1Aは、マッピングした合成画像D30を記憶回路130に記憶する(ステップS110)。これにより、検出装置1Aは、静脈Fg10及び皮膚紋理Fg20を識別可能な合成画像D30を記憶回路130に記憶することができる。検出装置1Aは、ステップS110の処理が終了すると、図16に示す処理手順を終了させる。
【0109】
以上により、検出装置1Aは、近赤外光を照射した場合、光センサ10が取得した画像を、圧力センサ150の圧力の値が圧力閾値以下のときに静脈画像D10と判断し、圧力の値が圧力閾値よりも大きいときに皮膚紋理画像D20と判断する。これにより、検出装置1Aは、指Fgに装着された状態で、該指Fgの状態を変化させるだけで、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20を区別して検出することができる。また、検出装置1Aは、装着した状態でワイヤレス充電が可能なので、検出した画像等を外部の装置に送信しても、バッテリー300の電力不足を抑制することができる。その結果、検出装置1Aは、常時装着することが可能かつ異なる複数種類の画像を検出することができる。また、検出装置1Aは、指Fgを伸長状態ST1と屈曲状態ST2に変化させるだけで、生体に関する複数種類の画像を検出することができるので、被認証者を煩わせることもない。また、検出装置1Aは、マッピング例で静脈画像D10と皮膚紋理画像D20の関係は個体ごとに異なるため、各々の信号が不明確な点があっても、静脈画像D10と皮膚紋理画像D20との位置関係から特定できる。
【0110】
また、検出装置1Aは、上述した灌流指標と圧力の値とを組み合わせて、指Fgの伸長状態ST1と屈曲状態ST2とを判定することができる。例えば、検出装置1Aは、還流指標が判定閾値以上、かつ圧力の値が圧力閾値以下のときに、指Fgが伸長状態ST1と判定し、そのときの画像を静脈画像D10と判断する。そして、検出装置1Aは、還流指標が判定閾値よりも小さく、かつ圧力の値が圧力閾値よりも大きいときに、指Fgが屈曲状態ST2と判定し、そのときの画像を皮膚紋理画像D20と判断する。これにより、検出装置1は、灌流指標と圧力センサ150の圧力の値とに基づいて画像を判別することで、判別する精度を向上させることができる。
【0111】
上述した各実施形態では、検出装置1,1Aは、第1光源61及び第2光源62を備える構成について説明したが、第1光源61のみを備える構成としてもよい。検出装置1,1Aは、リストバンドとしてもよい。この場合、検出装置1,1Aは、手首を伸ばした状態と曲げた状態とで画像を判別するように構成すればよい。
【0112】
上述した各実施形態は、各構成要素を適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0113】
1,1A 検出装置
10 光センサ
21 センサ基板
60 光源
61 第1光源
62 第2光源
120 通信回路
130 記憶回路
131 閾値情報
132 灌流指標情報
140 制御回路
150 圧力センサ
200 筐体
201 貫通孔
210 内周面
220 外周面
230 第1領域
240 第2領域
300 バッテリー
410 受電素子
411 コイル
420 整流回路
430 変換回路
500 給電装置
510 給電素子
511 送電コイル
520 電源
D10 静脈画像
D20 皮膚紋理画像
D30 合成画像
Fg 指
Fg10 静脈
Fg20 皮膚紋理
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16