IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173824
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/32 20060101AFI20231130BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20231130BHJP
   E05B 65/08 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E06B3/32 Z
E06B3/46
E05B65/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086324
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128392
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 能啓
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014CA01
2E014FB11
(57)【要約】
【課題】第一、第二ドア体1、2の戸先側端縁部同士が90度のコーナー部になるよう配されたドア装置の第一、第二上枠5、15を、第一上枠5の戸先側端縁部5sが第二上枠15の戸先側端縁部に延出形成した延出部15sに突き当て状に対向することで戸先側縦枠のないドア枠として構成したものにおいて、第一ドア体1の戸先側端部に設けた錠装置16の係止部16bが出没自在に係止して施錠する錠受け部23を簡単に設ける。
【解決手段】錠受け部23が、第一上枠5のコーナー部Xの戸先側部位に設けられたものとして、戸先側縦枠のないドア枠であっても、確実に錠受け部23が設けられることになる。
【選択図】図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一、第二の二組のドア体同士が、所定の角度を存するコーナー部を介して併設されるよう配されたドア装置において、
該ドア装置のドア枠を、第一上枠の戸先側端縁部が第二上枠の戸先側端縁部に延出形成した延出部に突き当て状に対向することで戸先側縦枠のないドア枠として構成し、
第一ドア体の戸先側端部に設けた錠装置の係止部が出没自在に係止して施錠する錠受け部をドア枠に設けるにあたり、
該錠受け部を、第一上枠の戸先側部位に設けたことを特徴とするドア装置。
【請求項2】
第一、第二上枠は、内外に間隙を存して対向する内外側板面部が設けられ、
錠受け部は、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだに配設される状態で、第一上枠外側板面部の戸先側部位に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のドア装置。
【請求項3】
第一、第二上枠の内外側板面部間のスペースに、第一、第二ドア体の開閉機構が内装され、第一、第二ドア体が共に引き戸、第一、第二上枠の内側板面部が共に開閉自在な点検カバーである場合に、
錠受け部は、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだの第一上枠外側板面部に取り付けられたものとなって、第二上枠の点検カバーとなる内側板面部を開放した状態で着脱できるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のドア装置。
【請求項4】
第一ドア体が引き戸、第二ドア体が開き戸であり、
第一上枠の内側板面部が、該第一上枠の内外側板面部間のスペースに内装される第一ドア体の開閉機構用の点検カバーであって開閉自在に構成され、第二上枠の内側板面部は固定されたものである場合に、
錠受け部は、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだに第一上枠外側板面部に取り付けられたものとなって、第一上枠側の点検カバーとなる内側板面部を開放した状態で着脱できるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のドア装置。
【請求項5】
第一、第二上枠の下側板面部同士が略同面に設定され、第二上枠の下側板面部には、開き戸である第二ドア体の戸当り部が垂下形成されていることを特徴とする請求項4記載のドア装置。
【請求項6】
第二上枠に形成される戸当り部には、閉鎖した第二ドア体に当接する緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項5記載のドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出入り口部の開閉をする二組のドア体同士が、例えば直角(90度)の突き当て状態(突き合わせ状態、折曲状態)で併設するよう配されたドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、開閉作動するドア体が設けられたドア装置のなかには、各別に開閉操作可能な二組のドア体を、直角等の所定(適宜)の角度を存したコーナー部において突き当て状態で隣接(併設)するよう配設し、そして該二組のドア体が閉鎖したときの戸先側端縁部同士が、前記コーナー部(角部)で対向するよう突き当てた構造にしたものがある。
そしてこのようなドア装置において、前記コーナー部に、閉鎖したときのドア体の戸先側端縁部が当接する戸当りとなる縦枠を設けた場合、両ドア体を開放したときに、該縦枠が出入り口部において単独で立設する中柱状態となって邪魔になり、そこでコーナー部に縦枠がない構造とし、これによって両ドア体を開放したときの出入り口部を、コーナー部に邪魔な縦枠がない広い開口部空間として移動性の向上を図ることができるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-127373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来のドア装置では、主たるドア体の戸先側端縁部にも錠装置を設ける必要があるが、この様に錠装置を設けた場合に、施錠操作をしたときに錠装置側の係止部が出没自在に係止して施錠するための錠受け部をコーナー部に配する必要があるが、この錠受け部をどのようにコーナー部に配するかについて、前記何れの特許文献にも全く示唆がない等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、第一、第二の二組のドア体同士が、所定の角度を存したコーナー部を介して併設されるよう配されたドア装置において、該ドア装置のドア枠を、第一上枠の戸先側端縁部が第二上枠の戸先側端縁部に延出形成した延出部に突き当て状に対向することで戸先側縦枠のないドア枠として構成し、第一ドア体の戸先側端部に設けた錠装置の係止部が出没自在に係止して施錠する錠受け部をドア枠に設けるにあたり、該錠受け部を、第一上枠の戸先側部位に設けたことを特徴とするドア装置である。
請求項2の発明は、第一、第二上枠は、内外に間隙を存して対向する内外側板面部が設けられ、錠受け部は、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだに配設される状態で、第一上枠外側板面部の戸先側部位に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のドア装置である。
請求項3の発明は、第一、第二上枠の内外側板面部間のスペースに、第一、第二ドア体の開閉機構が内装され、第一、第二ドア体が共に引き戸、第一、第二上枠の内側板面部が共に開閉自在な点検カバーである場合に、錠受け部は、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだの第一上枠外側板面部に取り付けられたものとなって、第二上枠の点検カバーとなる内側板面部を開放した状態で着脱できるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のドア装置である。
請求項4の発明は、第一ドア体が引き戸、第二ドア体が開き戸であり、第一上枠の内側板面部が、該第一上枠の内外側板面部間のスペースに内装される第一ドア体の開閉機構用の点検カバーであって開閉自在に構成され、第二上枠の内側板面部は固定されたものである場合に、錠受け部は、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだに第一上枠外側板面部に取り付けられたものとなって、第一上枠側の点検カバーとなる内側板面部を開放した状態で着脱できるように構成されていることを特徴とする請求項2記載のドア装置である。
請求項5の発明は、第一、第二上枠の下側板面部同士が略同面に設定され、第二上枠の下側板面部には、開き戸である第二ドア体の戸当り部が垂下形成されていることを特徴とする請求項4記載のドア装置である。
請求項6の発明は、第二上枠に形成される戸当り部には、閉鎖した第二ドア体に当接する緩衝材が設けられていることを特徴とする請求項5記載のドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、第一、第二ドア体の戸先側端縁部を所定角度のコーナー部になるよう配されたドア装置のドア枠が、第一上枠の戸先側端縁部を、第二上枠の戸先側端縁部に延出形成した延出部に突き当て状に対向せしめることで戸先側縦枠のないドア枠として構成したものにおいて、第一ドア体の戸先側端部に設けた錠装置の係止部が出没自在に係止して施錠する錠受け部が、第一上枠の戸先側部位に設けられたものとなり、この結果、第一ドア体に設けられる錠装置が、コーナー部において無理なく設けられることになって構造の簡略化が図れることになる。
請求項2の発明とすることにより、第一、第二上枠が、内外に間隙を存して対向する内外側板面部が設けられたものである場合に、錠受け部が、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだに配設される状態で、第一上枠外側板面部の戸先側部位に取り付けられるものとなり、この結果、第一ドア体に設けられる錠装置が、コーナー部において無理なく設けられることになって構造の簡略化が図れることになる。
請求項3の発明とすることにより、第一、第二上枠の内外側板面部間のスペースに、第一、第二ドア体の開閉機構が内装され、第一、第二ドア体が共に引き戸、第一、第二上枠の内側板面部が共に開閉自在な点検カバーである場合に、錠受け部が、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだの第一上枠外側板面部に取り付けられたものとなって、第二上枠の点検カバーとなる内側板面部を開放した状態で着脱できるように構成される結果、錠受け部は、錠装置の係止部が出没する部位の近傍においてコンパクトなものとして取り付けられることになる。
請求項4の発明とすることにより、第一、第二上枠の内外側板面部間のスペースに、第一、第二ドア体の開閉機構が内装され、第一ドア体が引き戸、第二ドア体が開き戸であって、第一上枠の内側板面部が、該第一上枠の内外側板面部間のスペースに内装される第一ドア体の開閉機構用の点検カバーであって開閉自在に構成され、第二上枠の内側板面部は固定されたものである場合に、錠受け部が、第一上枠の戸先側端縁部部位と第二上枠内側板面部の延長線上部位とのあいだに第一上枠外側板面部に取り付けられたものとなって、第一上枠側の点検カバーとなる内側板面部を開放した状態で着脱できるように構成される結果、錠受け部は、第二上枠の内側板面部が固定されていて開放しないものであっても容易に取り付けることができる。
請求項5の発明とすることにより、第二ドア体が開き戸である場合に、第一、第二上枠の下側板面部同士が略同面に設定される第二上枠の下側板面部に、第二ドア体の戸当り部が垂下形成されたものとなって、戸先側縦枠がないものであっても、第二ドア体の閉鎖時の戸当りが確実にできることになる。
請求項6の発明とすることにより、第二上枠に形成される戸当り部には、閉鎖した第二ドア体に当接する緩衝材が設けられたものとなるが、該緩衝材は、戸先側縦枠がないものにおいて、第二上枠を有効に利用して取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ドア装置の斜視図である。
図2】第一ドア体部位の正面図である。
図3】第一ドア体部位の背面図である。
図4】第二ドア体部位の外側側面図である。
図5】第二ドア体部位の内側側面図である。
図6】第一、第二ドア体部位の平面図である。
図7】第一、第二上枠部位の平面図である。
図8】第一ドア体の第一開閉機構部位の点検カバーを取り外した状態の背面図である。
図9】第一開閉機構の戸先側部位の点検カバーを取り外した状態の拡大背面図である。
図10】第一ドア体の戸尻側ドア部部位の縦断面側面図である。
図11】第一ドア体の戸先側ドア部部位の縦断面側面図である。
図12】第二ドア体の点検カバーを取り外した状態の内側側面図である。
図13】点検カバーを取り外した状態の第二開閉機構の戸先側部位の拡大内側側面図である。
図14】第二ドア体の縦断面側面図である。
図15】(A)(B)は第一点検カバーを取り外した状態の第一上枠の戸尻側部位の縦断面側面図、戸先側部位の側面図である。
図16】(A)(B)(C)は第一ドア枠の突出片部の平面図、(A)の[a]-[a]部位の縦断面図、[b]-[b]部位の縦断面図である。
図17】第一、第二上枠同士を組み付ける前の離間状態を示す平面図である。
図18】上側板面部が省略された第一、第二上枠同士を組み付ける前の離間状態を示す平面図である。
図19】(A)(B)は図10の[c]-[c]部位の断面図、同[d]-[d]部位の断面図である。
図20】コーナー部における錠受け部部位の拡大水平断面図である。
図21】以降は第二の実施の形態を示すものであって、ドア装置の斜視図である。
図22】第一ドア体部位の正面図である。
図23】第二ドア体部位の外側側面図である。
図24】第二ドア体部位の内側側面図である。
図25】第一、第二ドア体部位の平面図である。
図26】第一、第二上枠部位の平面断面図である。
図27】第一開閉機構の戸先側部位の点検カバーを取り外した状態の拡大背面図である。
図28】第一開閉機構を省略した第二上枠部位の拡大側面図である。
図29】第二上枠部位の縦断面図である。
図30】第一、第二上枠同士を組み付ける前の離間状態を示す平面図である。
図31】(A)(B)はコーナー部における突出片部位の水平断面図、点検カバー取り付け部位の水平断面図である。
図32】コーナー部における錠受け部部位の拡大水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、Tは病院の個室等の屋内(室内)に設けられるトイレブースであって、該トイレブースTは、直角状のコーナー部(角部)Xを戸先側端部として直角状に配された正面側の第一ドア体1と側面側の第二ドア体2との二組のドア体1、2が各別に開閉操作ができ、これによって正面側の第一出入り口部E1と側面側の第二出入り口部E2との各別の開閉ができるよう構成されたものとなっている。
尚、本実施の形態においては、第一、第二ドア体1、2は直角(90度)のコーナー部Xを存して配されたものとなっているが、コーナー部Xの角度としては直角に限定されず、例えば80度、100度、120度等の適宜の角度を存したものであって、平面(180度)でない所要の角度を存して第一、第二ドア体1、2が折曲状に配されたものであれば本発明を実施できることは言うまでもない。
【0009】
そして本発明の実施の形態として、第一ドア体1を二連の引き戸方式、第二ドア体2を一枚の引き戸方式としたものを第一の実施の形態、第一ドア体1を二連の引き戸方式、第二ドア体2を一枚の開き戸方式としたものを第二の実施の形態として説明するが、各ドア体が引き戸である場合にはその枚数は特に限定されるものでなく、また開閉方式としては、第一、第二ドア体1、2について引き戸、開き戸の何れを採用しても良いことは言うまでもない。
因みに本実施の形態において、第一ドア体1の開閉方向を左右方向、第二ドア体2の開閉方向を前後方向、トイレブースTのブース内、外を内側(メンテナンス側)、外側と定義して説明するが、これは実施の形態の理解を助けるため便宜上の定義付けをしたものであって、本発明は、本実施の形態に記載される方向付けに限定されないものであることも勿論である。
【0010】
<第一の実施の形態>
まず前述したように、第一ドア体1を二連の引き戸方式、第二ドア体2を一枚の引き戸方式とした第一の実施の形態のドア装置を、便器Bが内装されたトイレブースTの内外の仕切り板として設けた場合について説明する。
前記第一ドア体1は、第一出入り口部E1を主たる出入り口としてトイレブースTの内外の出入り(通常の出入り)ができるようにするため左右方向に開閉操作されるものであって、前記主たる出入りの場合、第二ドア体2は、第二出入り口部E2を閉鎖したままであって例えばフランス落とし式錠等の錠装置によって施錠される。これに対し、車椅子に坐した人が出入りするように幅広な出入り口空間を要する場合、第一、第二ドア体1、2を共に開放することで、第一、第二出入り口部E1、E2の両出入り口が開放された広い開口幅での出入りができるように構成されたものであり、これらの点は後述する第二の実施の形態も同様である。
【0011】
<第一ドア体1の構造>
前記第一ドア体1は、戸尻側ドア部3と戸先側ドア部4とを備えた二連式のものであって、戸尻側ドア部3と戸先側ドア部4とは、戸尻側ドア部3の表裏面板3a、3a間に、戸先側ドア部4が戸尻側から出没自在に内嵌する所謂「入子継手」構造になっており、そして斯かる構成の第一ドア体1は、第一上枠5に内嵌する状態で配される主ハンガーレール(主吊りレール)6に走行案内されることで左右方向の開閉移動をする構成になっている。
具体的に説明すると、前記戸尻側ドア部3の上端縁部には、上フレーム(上框)3bが戸先方向に延出する状態で設けられ、該上フレーム3bの左右両端縁部に、左右一対の主ハンガーローラ(主吊りローラ)7が上方に延出するブラケット7aを介して設けられている。そして該主ハンガーローラ7が前記主ハンガーレール6に走行案内されることで第一ドア体1の左右開閉移動がなされる構成になっている。
【0012】
さらに前記上フレーム3bの下端部には、前記上フレーム3bよりは下側に配される状態で副ハンガーレール(副吊りレール)8が形成されるが、該副ハンガーレール8には、戸先側ドア部4の上端縁部にブラケット9aを介して取り付けられた左右一対の副ハンガーローラ(副吊りローラ)9が左右方向転動自在に走行案内され、かかる構成とすることにより、第一ドア体1は、戸先側ドア部4が戸尻側ドア部3に対して左右方向相対移動自在に構成され、戸先側に移動した戸尻側ドア部3から戸先側ドア部4が戸先側に延出して一連状に展開された両ドア部3、4によって第一出入り口部E1を閉鎖する閉鎖姿勢と、戸先側ドア部4が戸尻側ドア部3に入子継手状に没入する状態で戸尻側に移動して第一出入り口部E1を開放(開口)する開放姿勢とに変姿できるよう構成されている。
【0013】
<第一ドア体1の開閉構造>
次に、前記構成された第一ドア体1において、戸尻側ドア部3と戸先側ドア部4との開閉機構K1について説明するが、該第一ドア体1の開閉機構K1は、第一上枠5に内装されたものとなっている。
前記上フレーム3bの左右両端縁部には、縦軸を軸心として回転(回動)する戸尻側、戸先側のプーリ10a、10bが設けられ、該戸尻側、戸先側プーリ10a、10b間に連結ベルト10が懸回されている。該連結ベルト10は、戸先側ドア部4に設けられる戸先側の副ハンガーローラ9を該戸先側ドア部4に連結するためのブラケット9aに設けた連結金具10cに連結されている。
また前記第一上枠5の戸先側端部には自閉装置11が内装されており、該自閉装置11から延出する連結ワイヤ11aが前記戸先側ドア部4に設けた連結金具10cに連結されている。
【0014】
そしてかかる構成とすることにより第一ドア体1は、第一出入り口部E1を全閉した状態において戸先側ドア部4を開放操作した場合に、該戸先側ドア部4は、副ハンガーローラ9が副ハンガーレール8を転動して開放方向に移動することになる。この場合に戸先側ドア部4は、連結金具10cを介して上フレーム3bおよび連結ベルト10に連結されたものになっており、これによって前記戸先側ドア部4を開放操作したことに連繋(連動)して、上フレーム3bと一体の戸尻側ドア部3が開放方向に移動すると共に、該開放移動する戸尻側ドア部3に対し、戸先側ドア部4が連結ベルト10の移動を伴う移動をして戸尻側ドア部3に内嵌する相対的な開放移動をすることになり、これによって第一ドア体1は、戸先側ドア部4が戸尻側ドア部3に内嵌しながら開放作動をする移動がなされる連繋構成になっている。
しかもこの第一ドア体1の開放作動は、自閉装置11に設けられる連結ワイヤ11aの引き出しを伴う作動となり、前記開放された第一ドア体1は、自閉装置11による連結ワイヤ11aの自動的な引き戻し作動によって、前記開放作動とは逆の作動を伴う状態で自動的な閉鎖作動(自閉作動)を行なうことになって第一出入り口部E1の自閉ができるように構成されている。
尚、図中、12は第一ドア体1の戸袋である。また第一ドア体1が全閉したときに、戸尻側ドア部3に設けた上フレーム3bの戸先側端縁が当接する戸当り具10dが第一上枠5側に設けられたものとなっている。
【0015】
<第二ドア体2の構造>
一方、第二ドア体2は、前後方向に開閉移動して側面側の第二出入り口部E2の開閉をする一枚のドア体によって構成されるが、該第二ドア体2は、上端縁部に設けた前後方向一対のハンガーローラ13が、ハンガーレール14に転動案内されることで前後方向に移動して第二出入り口部E2の開閉する構成になっており、かかる第二ドア体2の開閉機構K2は後述する第二上枠15に内装されている。この場合に、ハンガーレール14は、戸先側が低くなった傾斜状に設けられていることで自閉する構造になっている。
そして第二ドア体2は、戸先側端縁部にフランス落とし式の錠装置16が設けられ、開閉操作しない常時は該ロッド錠式の錠装置16を施錠状態にすることで開閉操作ができない構成になっている。
この様に構成される第一、第二ドア体1、2は、閉鎖したときに第一ドア体1の戸先側ドア部4の戸先側端縁部4aと第二ドア体2の戸先側端縁部2aとが段差状態(相決り状態)で突き合せ対向(近接対向)する構成になっており、このように構成することによって両ドア体1、2同士が閉鎖姿勢になったときに戸先側端縁部4a、2a同士が当接しない(隙間がある)ものであってもトイレブースTの内部を外側から覗き見できないように配慮されている。
尚、図中、17は第二ドア体2の戸袋、17aは第二ドア体2の戸先側部位に設けられたロッド錠式の錠装置である。そして、該錠装置17aの係止部17bが施錠状態で係止する係止部30a、ならびに、第二ドア体2が閉鎖したときに、該第二ドア体2の戸先側上端縁部に設けた戸当り具2bが突き当たる戸当り受け部30bが共に形成された金具30が後述する第二上枠15側に設けられたものとなっている。
【0016】
<第一、第二上枠5、15の概要>
前記第一、第二上枠5、15は、前述したように各対応する第一、第二ドア体1、2の開閉機構K1、K2を内装するものとなっており、そのため天井側部材(天井側の躯体部材)18に取り付けられる上側板面部5a、15a、トイレブースTの上枠における内面、外面を構成する内側板面部5b、15b、外側板面部5c、15c、第一、第二ドア体1、2の上端部が遊嵌状に嵌入する下側板面部5d、15dとを備えて構成される。そして第一、第二上枠5、15は、内外側板面部5b、5c同士、15b、15c同士の各あいだが適間隙を存して対向した箱形状に構成され、これらによって囲繞される第一、第二スペースS1、S2に前述した第一、第二ドア体1、2の開閉機構K1、K2が内装される。
そして第一、第二上枠5、15同士は、上側板面部5a、15a同士、下側板面部5d、15d同士、突出片部下側片5q、15q同士がそれぞれ略面一状に設けられたものとなっている。さらにまた、第一ドア体1は、第一上枠5の下側板面部5dと後述する突出片部下側片5qとのあいだの空隙、第二ドア体2は、第二上枠15の下側板面部15dと後述する突出片部下側片5qとのあいだの空隙にそれぞれ遊嵌状の納まる状態で配されて開閉移動する構成になっている。
【0017】
<第一上枠5の構造>
前記第一上枠5は、前述したように上側板面部5a、内外側板面部5b、5c、そして下側板面部5dを存して構成されるが、上側板面部5aは、内外方向から突き合せられ、溶着や締結等の固定手段により一体化された上内側板片部5eと上外側板片部5fとを備えて構成される。上内側板片部5eは、内外側端縁が下方に向けて折曲されて支持片部5gが形成され、該支持片部5gに、内側板面部5bの上端縁部5hが内外方向揺動自在かつ着脱自在に支持されたものとなっており、これによって内側板面部5bは、トイレブースTのブース内側から開閉および着脱操作自在な第一点検カバー5bを構成していて、トイレブースTの内部側から第一上枠5内に配される第一開閉機構K1のメンテナンスができるように構成されている。
該第一点検カバーに構成される内側板面部5bの下端縁からは、下側板面部5dを構成する下内側板片部5iが外側に向けて折曲形成されていて内側板面部5bと一体の開閉および着脱がなされる構成になっている。
【0018】
一方、外側板面部5cは、内外二重板構造となっているが、該外側板面部5cの外側板となる外側板片部5jは、前記上外側板片部5fの外側端縁から下方に向けて折曲形成されたものになっている。これに対し、外側板面部5cの内側板となる内側板片部5kは、外側板片部5jに対して間隙を存する状態で設けられているが、該内側板片部5kの上端縁部は外側に向けて折り返し状に折曲されていて、上外側板片部5fと外側板片部5jとのコーナー面部に当接する構成になっていて補強されている。
これに対し、内側板片部5kの下端縁部は、外側が開口するコ字形の下内側板材5lの上端部が溶着されたものとなっており、該下内側板材5lの下側脚片に、外側板片部5jの下端縁から内側に向けて折曲した折曲片5mが下側から積層(重合)する状態で設けられている。
【0019】
さらに外側板面部5cの下端縁部には、該外側板面部5cの外側板片部5jよりも外側に庇状になって突出する突出片部5nが設けられる。該突出片部5nは、ビス5oを介して下内側板材5lの下端部に固定される内側片5pを備え、該内側片5pの下端縁から外側に向けて折曲される下側片5qが、外側板片部5jの下端縁部を折曲した折曲片5mに対して下側から重合する状態で外側に向けて延出し、該下側片5qの延出端縁から上側に向けて折曲された逆L字形の起立片5rを備えた構成になっており、このようにして外側板面部5cの下側部位が補強された構成になっている。因みに起立片5rの先端縁と外側板片部5jとの対向間には隙間Mが設けられたものとなっている。
この場合に、突出片部5nの内側端縁部に形成される前記内側片5pと、前述した内側板面部5bの下内側板片部5iの外側端縁部に起立形成される外側片5uとが第一ドア体1の配設スペースを存する状態で対向するよう構成されている。
そしてこのものでは、内側板片部5kに前記主ハンガーレール6がビス6aを介して締結されたものとなっている。
【0020】
しかも第一上枠突出片部5nとしては、第一ドア体1が、前述したように二連の入子継手構造になっている結果、内外の内側片5pのあいだの間隔が、戸尻側ドア部3に対応して幅広になるものと戸先側ドア部4に対応して幅狭になるもの、換言すれば突出片部5nにおいて、内側片5pと起立片5rとの対向間隔が、戸尻側ドア部3部位においては幅狭になる一方、戸先側ドア部4部位においては幅広となっており、この戸先側の幅広部位に、凵字形をした補強金具5zが設けられたものとなっていて、第一上枠5の戸先側部位の補強を、突出片部5nの戸先側部位を幅広にすることを有効に利用して実行したものになっている。
尚、第一上枠5の戸尻側端縁部には方立5yが設けられたものとなっている。
【0021】
<第二上枠の構造>
一方、第二上枠15であるが、該第二上枠15についても前述したように上側板面部15a、内外側板面部15b、15c、そして下側板面部15dを存して構成され、基本的には第一上枠5と殆ど同様の構造となっており、そこでその詳細説明については第一上枠5の詳細説明を援用するものとして省略し、引き出し符号「15e」~「15r」までの各部位の名称、引き出し符号については、第一上枠5の引き出し符号「5e」~「5r」までの各部位の名称、引き出し符号に対応させたものとする。
因みに本実施の形態の第二上枠15についても、第一上枠5の場合と同様、内側板面部15bがトイレブースTのブース内側から開閉および着脱操作自在な第二点検カバー15bを構成していて、トイレブースTの内部側から第二上枠15内に配される第二開閉機構K2のメンテナンスができるように構成されている。
そしてこの場合に、第二上枠15が第一上枠5と相違する主な構造としては、第一上枠5の外側板面部5cを構成する内側板片部5kについて、下端部に下内側板材5lが設けられた二部材で形成されていて補強されたものとなっていたのに対し、第二上枠15では下内側板材5lに相当するものがなく、内側板片部15kのみの一部材で構成されたものとなっている点、第二ドア体2が一枚のドア部により構成されていることにより、突出片部15nの下側片15qが同一幅である点が挙げられる。
また第二上枠15に形成される突出片部15nについても、逆L字形の起立片15rが形成されるが、該起立片15rの先端縁と外側板片部15jとの対向間にも、第一上枠5と同様、隙間Mが設けられたものとなっている。
さらに突出片部15nの内側端縁部に形成される内側片15pと、内側板面部15bの下内側板片部15iの外側端縁部に起立形成される外側片15vとが第二ドア体2の配設スペースを存する状態で対向するよう構成されている。
因みに第二上枠15では、内側板片部15kにビス14aを介してハンガーレール14が締結されたものとなっている。また第二上枠15の戸尻側端縁部には方立15yが設けられたものとなっている。
【0022】
<第一、第二上枠同士の連結構造>
次に第一上枠5、第二上枠15のコーナー部Xにおける連結構造について説明する。本実施の形態のものは、第二上枠15の戸先側端縁部に、戸先側に延出する延出部15sを形成し、該延出部15sに、第一上枠5の戸先側端縁部5sを突き当て状に対向させ、該対向部同士15s、5sを緊締具となるビス19を介して連結したものとなっている。
【0023】
具体的には、第二上枠15の戸先側端縁部に延出部15sが戸先側に向けて延出形成されるが、該延出部15sを構成するものとしては、外側板片部15jが延出された外側板片部延出部15js、内側板片部15kが延出された内側板片部延出部15ks、突出片部15nが延出された突出片部延出部15nsである。
そしてこの場合に、外側板片部延出部15jsは、第一上枠5の外側板片部5jに対応する部位まで延出したものとなっており、これによって第一、第二上枠5、15同士を突き当て対向せしめた場合に、該外側板片部延出部15jsと外側板片部5jの戸先側端縁部5ksとが突き当て状に対向することになり、これによって外側板片部延出部15jsが、第一上枠5の開口する戸先側端縁部を覆う覆い面となり、これによってコーナー部Xの外面(トイレブースTの外面)側が、外側板片部5jの戸先側部位と外側板片部延出部15jsとによって90度の角度で折曲した突き当て状態のコーナーとなって覆蓋された連結構造になっている。
【0024】
これに対し内側板片部延出部15ksは、第一上枠5の内側板片部5kの内側面部まで延出されたものとなっており、これによって前述したように第一、第二上枠5、15同士を突き当て対向せしめた場合に、第一上枠内側板片部(下内側板材5lも含める)5kの戸先側端縁部5ksは、内側板片部延出部15ksに邪魔されることなく外側板片部延出部15jsに突き当て状に対向することになる。しかも第一上枠内側板片部5kの戸先側端縁部5ksの戸先側端縁に位置するよう連結金具5tが設けられている。
そして外側板片部延出部15jsの戸先側部位にはビス孔19aが上下方向に複数形成され、前記対向する第一上枠5の内側板片部戸先側端縁部5ksと外側板片部延出部15jsとを、外側板片部延出部15jsのビス孔19a側から連結金具5tに挿入するビス19を介して前記連結金具5tに螺入締結することで、第一、第二上枠5、15の戸先側端縁部同士の一体的な連結ができるように構成され、この様に構成することで、第一、第二上枠5、15の戸先側端縁部同士の戸先側縦枠がない状態での連結ができる構成になっている。
【0025】
この場合にさらに本実施の形態においては、突出片部15nの延出部15nsは、内側片15pの戸先側に延出した内側片延出部15psが、外側板片部15jの延出部15jsを越えて第一上枠突出片部5nの外側面部にまで延出形成されたものとなっているが、該延出端縁は被覆板15uによって覆蓋されている。
そして第一、第二上枠5、15同士を突き当て対向せしめた場合に、突出片部延出部15nsの内側片延出部15psに、第一上枠突出片部5nの戸先側端縁部5nsが突き当て状に対向するように構成されると共に、第二上枠突出片延出部15nsの延出端縁となる被覆板15uと、第一上枠突出片5nの起立片5rとが、本実施の形態では被覆板15uが起立片5rよりも僅かに突出する状態ではあるが、略面一状に連続する構成になっている。
また第一、第二上枠5、15同士を連結した場合に、第一上枠5の下内側板片部5iの戸先側端縁部が第二上枠15の内側板面部15bに突き当て対向することになるが、この場合に、第一上枠5の下内側板片部5iに形成の外側片5uと、第二上枠15の下内側板片部15iの戸先側先端縁15isとが略面一状に連結(連続)するように構成される。
【0026】
一方、第一、第二上枠5、15は、上側板面部5a、15a同士がコーナー部Xにおいて面一状に連結される構成になっている。
具体的には、第一上枠上側板面部5aの戸先側端縁部5asが、第二上枠延出部15sにおける外側板片部延出部15jsの上端縁部に突き当て状に対向する一方、第二上枠上側板面部15aの戸先側端縁部15asが、第一上枠上側板面部5aの内部側端縁に突き当て状に対向する構成になっており、これによって前記上側板面部5a、15a同士は、コーナー部Xにおいて略面一状に連結したものとなっている。
さらにこのような略面一状の連結は、突出片部5n、15nにおける起立片5r、15rの上面同士についてもなされるように構成されている。
そしてこのように第一、第二上枠5、15の戸先側端縁部同士が突き当て状に対向連結されることで、ドア装置の上枠の戸先側のコーナー部X部位は、第一上枠上側板面部5aの戸先側部位が上板面、第二上枠15の外側板片部延出部15jsが第二上枠15側の板面、第一上枠5の外側板片部5jの戸先側部位が第一上枠5側の板面となった三角コーナー面となった状態で連結される。
【0027】
そしてこのように構成される第一、第二上枠5、15を現場にて組み付ける場合に、その組み付け方法として、第一、第二点検カバー5b、15bを取り外した状態で、
・第一、第二上枠5、15同士を、第一上枠5の戸先側端縁部5sに、第二上枠15の延出部15sが突き当て状に対向するよう配する工程、
・該突き当て状に対向配設された状態で、第二上枠15の延出部15sと、第一上枠5の内側板片部戸先側端縁部5ksに設けた連結金具5tとを、延出部側から挿入するビス19を介して緊締する工程、
とを順次実行することで、戸先側縦枠がない状態での第一、第二上枠5、15の戸先側部位の連結ができるように構成され、しかる後、第一、第二点検カバー5b、15bを取り付けることで第一、第二上枠5、15の連結組み付けができることになる。
この場合に、第一、第二上枠5、15は、例えば躯体側部材である天井側部材18に仮止め状に取り付けた状態で実行できるものである。
【0028】
<点検カバーの構成>
前述したように本実施の形態では、第一、第二上枠5、15は、内外側板面部5b、5c間、15b、15c間に形成される第一、第二スペースS1、S2に、第一、第二開閉機構K1、K2が内装されたものとなっており、このため第一、第二上枠5、15の内側板面部5b、15bを、開閉および着脱自在にした第一、第二点検カバー5b、15bに構成しているが、本実施の形態においては、第一ドア体1が常時開閉するドア体であり、かつ二連式のドア体が採用され、かつ自閉装置11も備えたものであるため、第一開閉機構K1は、この様でない第二開閉機構K2に対してメンテナンス頻度が高いものとなり、そこで第一、第二上枠5、15の内側板面部5b、15bを第一、第二の点検カバー5b、15bとした場合に、次のような配慮がなされている。
因みに、第一、第二点検カバー5b、15bは、前述したように、共に上端縁部5h、15hが上側板面部5a、15aに形成の支持片部5g、15gに開閉揺動自在かつ着脱自在に取り付けられたものとなっている。
【0029】
そしてこの場合に、第二点検カバー15bは、戸先側、戸尻側の両下端縁部が第二上枠15の内側板片部15kの戸先側部位と方立15yとに基端部が取り付けられた第二取り付け金具20、20aの先端部に着脱ビス20b、20cを介して着脱自在に設けられている。
これに対し第一点検カバー5bの戸先側端縁部は、第二点検カバー15bの戸先側端縁よりも戸尻側部位において近接対向したものとなっていて、第一点検カバー5bを取り外した状態でなければ第二点検カバー15bの取り外しができないものとなっており、これによって規制部を構成しているが、さらに第一点検カバー5bの戸先側端縁部と第二点検カバー15bの戸尻側面部とのあいだには隙間Yを存したものとなっていて、第一点検カバー5bを開閉する際に、第一点検カバー5bの戸先側端縁部が第二点検カバー15bに当接して傷つけてしまうような不具合を回避できるように配慮されている。
【0030】
そして第一点検カバー5bは、戸尻側端縁部が第一ドア体1側の方立5yに取り付けた第一戸尻側取り付け金具21に着脱ビス21aを介して着脱自在に構成されるが、戸先側端縁部については、第二点検カバー15bの戸先側部位に設けた第一戸先側取り付け金具22に着脱ビス22aを介して着脱自在に取り付けられる構成になっており、このようにすることにより、戸先側縦枠がない構造のドア枠において、第一点検カバー5bは、第二点検カバー15bを利用して取付けられる構成になっている。
また第一点検カバー5bは、前述したように第二点検カバー15bの開放規制する規制部を構成しているが、該第一点検カバー5bは、戸尻側の下端縁部が、第一上枠5の方立5yに基端部が取り付けられた第一戸尻側の取り付け金具21の先端部に着脱ビス21aを介して着脱自在に設けられている。そして戸先側の下端縁部については、第二点検カバー15bの戸先側部位に基端部が取り付けられた第一戸先側の取り付け金具22の先端部に着脱ビス22aを介して着脱自在に取り付けられたものとなっている。
尚、これらの点検カバー5b、15bを着脱自在に取り付けるための取り付け金具20、20a、21、22の形状については、断面ハット型、Z型、L型等、必要において適宜の形状とすることができ、本実施の形態(後述する第二の実施の形態の場合についても同様)の形状に限定されるものでない。
【0031】
<第一ドア体1の錠構造>
さらに前記第一ドア体1には、戸先側部位にフランス落とし式(ロッド錠式)の錠装置16が設けられたものとなっているが、この場合に錠装置16は、ロッド棒16aが上方に向けて出没する構成とし、そして上枠側に設けられる錠受け部23に、ロッド棒先端部の係止部16bが係脱自在に係止することで施錠されたものとなるが、該錠受け部23は、第一上枠5の外側板面部5cの構成部材である内側板片部5kに取り付けた固定金具23bに組み付けられている。
【0032】
前述したように第一ドア体1、第二ドア体2が閉鎖した状態では、該第一ドア体の戸先側ドア部4の戸先側端縁部4aと第二ドア体2の戸先側端縁部2aとがコーナー部Xにおいて相決り状に対向して閉鎖することになる。
このため錠受け部23は、閉鎖状態の戸先側ドア部4の戸先側端部に対応すべく、第二上枠延出部15sの第一上枠5側部位と、第二点検カバー15bの延長線H上の第一上枠5の戸先側部位とのあいだのコーナー部スペースS3に配することが好ましい。
そこで本実施の形態においては、錠受け部23は、第一、第二点検カバー5b、15bを取り外した状態での取り付けができるよう構成されている。
つまりこのものでは錠受け部23を、前記コーナー部スペースS3内の内側板片部下内側板材5lにビス23aを介して取り付けられたものとなっており、このようにすることで、後述する第二の実施の形態の錠受け部27よりも短い小型のものとなるよう配慮されている。
【0033】
叙述の如く構成された本実施の形態において、第一、第二ドア体1、2同士が、戸先側端縁部を90度のコーナー部Xになるよう配され、該第一、第二ドア体1、2に対応する第一、第二上枠5、15のうちの第一上枠5の戸先側端縁部5sを、第二上枠15の戸先側端縁部に延出形成した延出部15sに突き当て状に対向せしめることにより、戸先側縦枠のないドア枠として構成したものとしたものにおいて、第一ドア体1の戸先側端部に設けた錠装置16の係止部16bが出没自在に係止して施錠する錠受け部23が戸先側部位に配されることになり、この結果、戸先側縦枠のないドア枠であっても、確実に錠受け部23が設けられることになる。
【0034】
この場合に第一、第二上枠5、15が、内外に間隙を存して対向する内外側板面部5b、5c、15b、15cが設けられていて、第一、第二開閉機構K1、K2を内装する第一、第二スペースS1、S2が設けられたものである場合に、錠受け部23として、第一上枠5の戸先側端縁部5s部位と第二上枠内側板面部15bの延長線H上部位とのあいだのコーナー部スペースS3に配設される状態で、第一上枠外側板面部5cの戸先側部位に取り付けられるものとなり、この結果、戸先側縦枠のないドア枠であっても、錠受け部23をコーナー部スペースS3に確実に取り付けることができる。
しかもこのものでは、第一、第二上枠5、15の内側板面部5b、15bが共に開閉自在な第一、第二点検カバーとなるが、この場合に、錠受け部23が、第一上枠5の戸先側端縁部5s部位と第二上枠内側板面部15bの延長線H上部位とのあいだのコーナー部スペースS3において第一上枠外側板面部15cに取り付けられたものとなり、この結果、錠受け部23は、第二上枠15の点検カバーとなる内側板面部15bを開放した状態で着脱できるように構成されることになって、錠受け部23が、錠装置16の係止部16bが出没する部位の近傍においてコンパクトなものとして取り付けられることになる。
【0035】
<第二の実施の形態>
次に本発明の第二の実施の形態について、図21以降の図面に基づいて説明する。このものでは、第一ドア体1は、前記第一の実施の形態のものと同様、二連式の引き戸となっており、このためその詳細は前記第一の実施の形態の記載をそのまま援用する。
これに対し第二ドア体24は、戸尻側端縁部が蝶番(軸支具)24aを介して方立15yに開閉自在に軸支される開き戸式のものであって、閉鎖状態の第二ドア体24の戸先側端縁部24bに、戸先側ドア部4の戸先側端縁部4aが段差状態(相決り状態)で突き合わせ対向(近接対向)する構成になっており、このように構成することによって両ドア体1、24同士が閉鎖姿勢になったときに、戸先側端縁部4a、24b同士が当接しない(隙間がある)ものであってもトイレブースTの内部を外側から覗き見できないように配慮されている。
そして第二上枠25については、上側板面部25a、内側板面部25b、外側板面部25c、下側板面部25dを用いて構成されることは前記第一の実施の形態のものと同様であるが、第二ドア体24が開き戸である結果、引き戸式である第一の実施の形態の第二ドア体2のように第二開閉機構K2がない構成となり、そこで内側板面部25bは固定式のものとなっていて開閉できないものとなっており、この点、第一の実施の形態のものと相違している。
【0036】
そして本実施の形態においても、第一上枠下側板面部5dと第二上枠下側板面部25dとが略面一状に形成され、また90度の角度を存して突き当て対向する第一上枠突出片部5nの下側片5qと第二上枠突出片部25nの下側片25qとについても略面一状になっていることは前記第一の実施の形態のものと同様である。
因みに本実施の形態の第二上枠25には、内側板面部25bの下部に第一上枠5の内側板面部である第一点検カバー5bの戸先側端部の着脱を、着脱ビス22aを介して行うための取り付け金具22が取り付けられたものとなっている。尚、第一点検カバー5bの戸尻側部位の着脱構成は、前記第一の実施の形態のものと同様であるので詳細説明は省略する。
また第二ドア体24にも閉鎖状態で施錠するため、ロッド錠方式の錠装置17aが第一の実施の形態の場合と同様設けられている。そして該錠装置17aの係止部17bは、突出片部25nの下側片25qに設けた係止孔25wに出没自在に係止することになって施錠される構成になっている。
【0037】
さらに第二ドア体24を開き戸としたことにより、第二上枠25の下側板面部25dを、外側に第二ドア体24が閉鎖姿勢になったときに戸当りとなって納まるよう相決り構造とする必要があり、そのため第二上枠下側板面部25dに、第二ドア体24の戸当り部25zが垂下形成されたものとなっていて、戸先側縦枠がない構成のものにおいて、第二ドア体24を閉鎖した場合に該第二ドア体24が閉鎖姿勢になったときの戸当りがなされるように構成される。そしてこの場合の衝撃を解消するため、前記戸当り部25zにはゴム質弾性材から構成される緩衝材26が設けられたものとなっていて、第二ドア体24が閉鎖時に戸当り部25zに戸当りしたときの衝撃吸収および衝撃音発生の防止を図るよう構成されている。
【0038】
そしてこのものでも第一上枠5と第二上枠25とは、第一の実施の形態の場合と同様、戸先側端縁部を突き当て状に対向した状態で締結具であるビス28を介して締結することでコーナー部Xを存した連結がなされる構成になっている。
具体的には、第二上枠25にも延出部25sが戸先側に向けて延出形成され、該延出部25sに第一上枠5の戸先側端縁部5sが突き当て状に対向する状態で、第二上枠外側板面部延出部25csと、外側板面部5cの戸先側端縁部(具体的には内側板片部5k)の戸先側端縁部5ksに設けた連結金具5tとを、前記第二上枠外側板面部延出部25csに設けたビス孔28aから挿通したビス28を介して締結することで第一、第二上枠5、25の先端縁部同士の連結ができるように構成されている。
さらに具体的には、第二上枠延出部25sは、第一の実施の形態と同様、外側板面部25cの下端部位に突出片部25nが形成されたものとなっているが、該突出片部25nに、戸先側に延出された突出片部延出部25nsが、外側板面部25cの戸先側に延出された延出部25csと共に形成されたものとなっている。
【0039】
そして、第一、第二上枠5、25同士を突き当て対向状に組み付けた場合に、第一上枠5の戸先側端縁部5sが、第二上枠25の外側板面部延出部25csに突き当て状に対向することになる。
具体的には、前述したように第一、第二上枠5、25同士を突き当て対向状に組み付けた場合、次のような構成になってコーナー部Xが形成される。
まず第二上枠上側板面部25aの戸先側先端縁部25asについては、上側板面部5aの内側端縁部に板面部5a、25a同士が略面一状になる状態で突き当て対向する。
第一上枠下内側板片部5iに形成の外側片5vについては、第二上枠下側板面部25dの戸先側端縁縁部25dsとが略面一状に連結(連続)する。
第一上枠外側板面部5cの戸先側端縁部5sとなる突出片部5nの戸先側端縁部5nsについては、第二上枠外側板面部25cの延出部25csに突き当て状に対向することになり、この場合に、第一上枠外側板面部5cにおける突出片部5nの起立片5rは、第二上枠外側板面部25cの延出部25csの戸先側端縁を被覆する被覆板25uに対して僅かに段差状にはなるが略面一状の状態で連結する。そしてこのような略面一状の連結は、突出片部5n、25nにおける起立片5r、25rの上面同士についても同様になされるよう構成されている。
【0040】
さらに本実施の形態においては、第一ドア体1に設けられる錠装置16の係止部16bが係止するべく錠受け部27をコーナー部スペースS3に設けることになるが、この場合の錠受け部27は、第一の実施の形態のように第二上枠内側板面部25bを開放した状態での取り付けができず、第一点検カバー5bだけを開放した状態での取り付けができるよう配慮する必要がある。
そのため前記錠受け部27は、ロッド棒16aの上端部に形成される係止部16bが出没自在に係止する係止受け部27aが前記コーナー部スペースS3に配設される状態で、第一ドア体1の戸尻方向に向けて長く延長された延長部27bが、第二上枠内側板面部25bの延長線Hよりも戸尻側の第一上枠外側板面部5cの下内側板材5lにビス27cを介して取り付けられるようになっており、この様に構成することで、錠受け部27は第一点検カバー5bだけを開放した状態での着脱ができるように構成されたものになっている。
そしてこのように構成された第二の実施の形態のものについても、第一の実施の形態のものと同様の作用効果を呈したものとなる。
【0041】
この場合に、第一、第二上枠5、25を組み付ける場合に、このものでは第二上枠25の内側板面部25bは固定式になっており、このため第一上枠5の点検カバーとなる内側板面部5bを取り外した状態で第一、第二上枠5、25の前述した取り付け工程を実行した後、内側板面部5bの取り付けをすることで第一、第二上枠5、25の組み込み施工ができることになる。
さらに第二の実施の形態のものでは、第二上枠25の内側板面部25bが固定されたものであるため、第一上枠5の点検カバーである内側板面部5bが開閉および着脱自在に構成されるが、該内側板面部5bの戸先側部位は、第二上枠内側板面部25bに設けた取り付け金具22に着脱ビス22aを介して着脱自在に取り付けられたものとなっている。
この場合に内側板面部である点検カバー5bは、取り付けられた状態で、第一の実施の形態の場合と同様、第二上枠内側板面部25bとのあいだに隙間Yが形成されたものとなっていて、点検カバー5bの開閉操作時に、該点検カバー5bが第二上枠内側板面部25bに当接して傷つけてしまうような不具合を回避できるように配慮されている。
【0042】
このように実施された本発明の第二の実施の形態のものでは、第一、第二上枠5、25の内外側板面部5b、25c、5b、25c間の第一、第二スペースS1、S2に、第一、第二ドア体1、24の開閉機構K1、K2が内装され、そして第一ドア体1が引き戸、第二ドア体24が開き戸となっているが、このものにおいて、第一上枠5の内側板面部5bが、該第一上枠5の内外側板面部5b、5c間の第一スペースS1に内装される第一ドア体1の第一開閉機構K1用の第一点検カバー5bであって開閉自在に構成されるのに対し、第二上枠25の内側板面部25bは固定されたものとなっているが、この場合に、錠受け部27が、第一上枠5の戸先側端縁部5s部位と第二上枠内側板面部15bの延長線H上部位とのあいだのコーナー部スペースS3の第一上枠外側板面部5cに取り付けられたものとなって、第一上枠5の第一点検カバーとなる内側板面部5bを開放した状態で着脱できるように構成される結果、錠受け部27は、第二上枠25の内側板面部25bが固定されていて開放しない構成のものであっても容易に取り付けることができる。
【0043】
しかもこのように第二ドア体2が開き戸である場合に、第一、第二上枠5、25の下側板面部5d、25d同士が略同面に設定されるものであるが、この場合の第二上枠25の下側板面部25dに、第二ドア体2の戸当り部25zが垂下形成されたものとなって、戸先側縦枠がないものであっても、第二ドア体24の閉鎖時の戸当りが確実にできることになる。
しかもこのものでは、第二上枠25に形成される戸当り部25zに、閉鎖した第二ドア体24に当接する緩衝材26が設けられている結果、第二ドア体2の閉鎖時の衝撃が緩衝されることになって不快な衝突音の発生を回避できる。そしてこの場合の緩衝材26は、第二上枠25の下側板面部25dに取り付けられているため、戸先側縦枠がないものにおいても確実に取り付けることができる。
因みに緩衝材26としては、蝶番24aが取り付けられている戸尻側縦枠31に設けたものとしても勿論よい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、出入り口部の開閉をする二組のドア体同士が、例えば直角(90度)の角度を存したコーナー部を介して併設するよう配されたドア装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 第一ドア体
2 第二ドア体
5 第一上枠
5a 上側板面部
5b 内側板面部
5c 外側板面部
5ks 内側板片部の戸先側端縁部
5n 突出片部
5s 戸先側端縁部
5t 連結金具
15 第二上枠
15a 上側板面部
15b 内側板面部
15c 外側板面部
15n 突出片部
15s 延出部
15as 上側板面部の戸先側端縁部
15js 外側板片部延出部
15ks 内側板片部延出部
16 錠装置
16b 係止部
19 ビス
20 取り付け金具
20a 着脱ビス
22 取り付け金具
22a 着脱ビス
23 錠受け部
24 第二ドア体
24a 蝶番
25 第二上枠
25a 上側板面部
25b 内側板面部
25c 外側板面部
25s 延出部
25as 上側板面部の戸先側端縁部
25z 戸先側端縁部
26 緩衝材
27 錠受け部
E1 第一出入り口部
E2 第二出入り口部
H 第二点検カバーの延長線
K1 第一開閉機構
K2 第二開閉機構
X コーナー部
Y 点検カバーの隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32