(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173831
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/395 20220101AFI20231130BHJP
F24H 15/296 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/176 20220101ALI20231130BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/429 20220101ALI20231130BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20231130BHJP
F24H 15/164 20220101ALI20231130BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20231130BHJP
【FI】
F24H15/395
F24H15/296
F24H15/176
F24H1/18 A
F24H15/429
G06Q50/06
F24H15/164
F24H15/457
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086333
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】藤江 勝
(72)【発明者】
【氏名】山田 美季
【テーマコード(参考)】
3L122
5L049
【Fターム(参考)】
3L122AA23
3L122AA33
3L122AA54
3L122BA42
3L122FA26
5L049AA22
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】給湯システムの利用性を向上する、給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】給湯システムは、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機と、給湯機に関連付けられた端末装置と、給湯機を管理するサーバと、を含む。サーバは、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得し、取得した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を判定する。そして、サーバは、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を端末装置に表示させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機と、
前記給湯機に関連付けられた端末装置と、
前記給湯機を管理するサーバと、
を含み、
前記サーバは、
当該給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得し、
取得した契約情報に基づいて、前記電力契約によって制限された前記給湯機の機能を判定し、
前記制限された機能と、制限の理由になる前記電力契約と、に関連する第1通知を前記端末装置に表示させる、
給湯システム。
【請求項2】
前記サーバは、さらに、前記制限された機能を実行させようとする指令を前記端末装置から受信する前に、前記第1通知を前記端末装置に表示させる、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
前記サーバは、さらに、前記給湯機に適用される電力契約が変更されたことを示す契約変更通知を受信する場合、第2通知を前記端末装置に表示させ、
前記第2通知は、前記変更された電力契約に関連する情報を含む、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記第2通知は、前記変更された電力契約に起因して、制限が解除される機能、または制限される機能に関連する情報をさらに含む、
請求項3に記載の給湯システム。
【請求項5】
前記電力契約は、高圧電力を変圧して複数のユーザに配電するために高圧電力を一括して受電する高圧一括受電の電力契約である、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項6】
前記電力契約は、複数の時間帯に対して異なる電気料金が設定される時間帯別料金制の電力契約である、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項7】
前記制限された機能は、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能である、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項8】
前記サーバは、さらに、
前記電力契約に基づいて、少なくとも1つの推奨時間帯を判定し、
即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を実行する前に、現在の時間帯を前記推奨時間帯と照合し、
前記現在の時間帯が前記推奨時間帯に含まれていない場合、前記推奨時間帯に関連する情報を示す第3通知を前記端末装置に表示させ、
前記推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定される、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項9】
前記給湯システムは複数の給湯機を含み、
前記サーバは、さらに、
前記電力契約に基づいて、少なくとも1つの推奨時間帯を判定し、
即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を実行する前に、それぞれの前記給湯機に対して、前記推奨時間帯のうちの少なくとも一部を指定時間帯として指定し、
それぞれの前記給湯機に、前記指定時間帯に湯を沸き上げさせ、
前記推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定され、
少なくとも2つの前記給湯機の前記指定時間帯は異なる時間帯である、
請求項1に記載の給湯システム。
【請求項10】
給湯システムを制御する方法であって、
前記給湯システムは、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機と、前記給湯機に関連付けられた端末装置と、前記給湯機を管理するサーバと、を含み、
前記給湯システムを制御する方法は、
前記サーバが、当該給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得するステップと、
前記サーバが、取得した契約情報に基づいて、前記電力契約によって制限された前記給湯機の機能を判定するステップと、
前記サーバが、前記制限された機能と、制限の理由になる前記電力契約と、に関連する第1通知を前記端末装置に表示させるステップと、
を含む、
給湯システムを制御する方法。
【請求項11】
給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置であって、
端末表示部と、
前記給湯機を管理するためのサーバと通信可能な端末通信部と、
前記端末表示部および前記端末通信部を管理する端末制御部と、
を含み、
前記端末制御部は、
前記給湯機を管理するための管理プログラムを起動し、
前記端末通信部を介して、前記給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を受信し、
受信した前記契約情報に基づいて、前記電力契約によって制限された前記給湯機の機能を取得し、
前記端末表示部を介して、前記制限された機能と、制限の理由になる前記電力契約と、に関連する第1通知を前記管理プログラムに表示させる、
端末装置。
【請求項12】
前記端末制御部は、さらに、前記制限された機能を実行させようとする指令を前記管理プログラムから受信する前に、前記第1通知を前記管理プログラムに表示させる、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項13】
前記端末制御部は、さらに、前記給湯機に適用される電力契約が変更されたことを示す契約変更通知を前記サーバから受信する場合、第2通知を前記管理プログラムに表示させ、
前記第2通知は、前記変更された電力契約に関連する情報を含む、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項14】
前記第2通知は、前記変更された電力契約に起因して、制限が解除される機能、または制限される機能に関連する情報をさらに含む、
請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記電力契約は、高圧電力を変圧して複数のユーザに配電するために高圧電力を一括して受電する高圧一括受電の電力契約である、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項16】
前記電力契約は、複数の時間帯に対して異なる電気料金が設定される時間帯別料金制の電力契約である、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項17】
前記制限された機能は、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能である、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項18】
少なくとも1つの推奨時間帯は、前記電力契約に基づいて規定され、
前記推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定され、
前記端末制御部は、さらに、即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を実行させようとする指令を前記管理プログラムから受信するとき、前記推奨時間帯に関連する情報を示す第3通知を前記管理プログラムに表示させる、
請求項11に記載の端末装置。
【請求項19】
少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置を制御する方法であって、
前記給湯機は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有し、
前記端末装置を制御する方法は、
前記給湯機を管理するための管理プログラムを起動するステップと、
前記給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を、前記給湯機を管理するためのサーバから受信するステップと、
受信した前記契約情報に基づいて、前記電力契約によって制限された前記給湯機の機能を取得するステップと、
前記制限された機能および前記電力契約に関連する第1通知を前記管理プログラムに表示させるステップと、
を含む、
端末装置を制御する方法。
【請求項20】
コンピュータプログラムであって、
請求項10に記載の給湯システムを制御する方法を、給湯システムのサーバに実行させるためのコンピュータプログラム、または
請求項19に記載の端末装置を制御する方法を、少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置に実行させるためのコンピュータプログラムである、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯式給湯機を有する給湯システムがある。貯湯式給湯機は、ユーザが湯を利用する前に、「沸き上げ」という、湯を沸き上げて貯湯タンクに貯めておく機能を有する。この機能を用いて、さらに様々な拡張機能が開発されている。例えば、特許文献1の給湯システムは、気象サーバから警報情報を取得したときには、断水や停電の発生に備えて、貯湯タンク内の湯を貯めておく機能を有する。また、比較的安い夜間電力を用いて、深夜に湯を沸き上げて貯湯タンクに貯めておく機能も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した沸き上げを用いた拡張機能の利用が制限されるときがある。そのため、給湯システムの利用性が低下する恐れがある。
【0005】
本開示の目的は、給湯システムの利用性を向上する、給湯システム、給湯システムを制御する方法、コンピュータプログラム、および記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した課題を解決するために、本開示は、給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムを提供するものである。
【0007】
本開示に係る一態様の給湯システムは、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機と、給湯機に関連付けられた端末装置と、給湯機を管理するサーバと、を含む。サーバは、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得し、取得した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を判定する。そして、サーバは、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を端末装置に表示させる。
【0008】
また、本開示に係る他の態様の給湯システムを制御する方法は、少なくとも1つの給湯機と、給湯機に関連付けられた端末装置と、給湯機を管理するサーバとを含む給湯システムを制御する。給湯機は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する。サーバが、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得するステップと、サーバが、取得した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を判定するステップと、サーバが、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を端末装置に表示させるステップと、を含む。
【0009】
また、本開示に係る他の態様の端末装置は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機に関連付けられている。端末装置は、端末表示部と、給湯機を管理するためのサーバと通信可能な端末通信部と、端末表示部および端末通信部を管理する端末制御部と、を含む。端末制御部は、給湯機を管理するための管理プログラムを起動し、端末通信部を介して、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を受信する。端末制御部は、受信した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を取得する。そして、端末制御部は、端末表示部を介して、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を管理プログラムに表示させる。
【0010】
また、本開示に係る他の態様の端末装置を制御する方法は、少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置を制御する。給湯機は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する。端末装置を制御する方法は、給湯機を管理するための管理プログラムを起動するステップと、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を、給湯機を管理するためのサーバから受信するステップと、受信した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を取得するステップと、制限された機能および電力契約に関連する第1通知を管理プログラムに表示させるステップと、を含む。
【0011】
また、本開示に係る他の態様のコンピュータプログラムは、前述した給湯システムを制御する方法を、給湯システムのサーバに実行させるためのコンピュータプログラムである。あるいは、コンピュータプログラムは、前述した端末装置を制御する方法を、少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置に実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示においては、給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムによれば、給湯システムの利用性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1にかかる給湯システムの構成を示すブロック図
【
図2】実施の形態1における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャート
【
図3A】実施の形態1における給湯機の機能一覧表の一例
【
図3B】実施の形態1における給湯機の機能一覧表のもう一例
【
図5】実施の形態1における端末装置を制御する方法の一例のフローチャート
【
図6】実施の形態2における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャート
【
図8】実施の形態3における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャート
【
図11】実施の形態3にかかる給湯システムの構成を示すブロック図
【
図12】実施の形態4における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本開示に至った経緯)
上述したように、沸き上げを用いた拡張機能の利用が制限されるときがある。例えば、高圧電力を変圧して複数のユーザに配電するために高圧電力を一括して受電する高圧一括受電の電力契約を結んでいる集合住宅等の場合、全体の負荷平準化のために、特定の時間帯における当該機能の使用が制限され得る。
【0015】
また、給湯システムに適用される電力契約が変更されるとき、電力契約の料金設定等によって、特定の機能が制限されたり制限解除されたりすることがある。従来の給湯システムは、機能が制限されているとき、ユーザに通知せず、自動で当該機能を起動しないようにする。ユーザは、当該機能を利用しようとするときに初めて制限を気づくが、なぜ機能を使えないか分からない。
【0016】
このように、従来の給湯システムにおいては、ユーザに対して何ら通知せずに、機能の制限又は制限解除が行われており、ユーザがなぜ機能が制限されているかを知ることができなかった。このため、従来の給湯システムは、ユーザにとって給湯システムの利用性が低いものとなっていた。
【0017】
そこで、本発明者らは、給湯システムの利用性を向上させるため、機能の制限又は制限解除をユーザに対して、その理由と共に通知することを検討し、本開示に至った。
【0018】
先ず始めに、給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムの各種態様について説明する。
【0019】
本開示に係る第1の態様の給湯システムは、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機と、給湯機に関連付けられた端末装置と、給湯機を管理するサーバと、を含む。サーバは、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得し、取得した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を判定する。そして、サーバは、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を端末装置に表示させる。
【0020】
このような構成によれば、サーバは端末装置を介して、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知する。よって、給湯システムの利用性を向上することができる。
【0021】
本開示に係る第2の態様の給湯システムは、第1の態様において、サーバは、さらに、制限された機能を実行させようとする指令を端末装置から受信する前に、第1通知を端末装置に表示させてもよい。
【0022】
このような構成によれば、ユーザが制限された機能を実際にする前に、制限に関連する情報を予めユーザに通知する。よって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0023】
本開示に係る第3の態様の給湯システムは、第1の態様または第2の態様において、サーバは、さらに、給湯機に適用される電力契約が変更されたことを示す契約変更通知を受信する場合、第2通知を端末装置に表示させてもよい。第2通知は、変更された電力契約に関連する情報を含んでもよい。
【0024】
このような構成によれば、電力契約の変更をユーザに通知するため、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0025】
本開示に係る第4の態様の給湯システムは、第3の態様において、第2通知は、変更された電力契約に起因して、制限が解除される機能、または制限される機能に関連する情報をさらに含んでもよい。
【0026】
このような構成によれば、電力契約の変更による影響をユーザに通知するため、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0027】
本開示に係る第5の態様の給湯システムは、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、電力契約は、高圧電力を変圧して複数のユーザに配電するために高圧電力を一括して受電する高圧一括受電の電力契約であってもよい。
【0028】
このような構成によれば、高圧一括受電の電力契約が適用される給湯システムに対して、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0029】
本開示に係る第6の態様の給湯システムは、第1の態様から第4の態様のいずれか1つにおいて、電力契約は、複数の時間帯に対して異なる電気料金が設定される時間帯別料金制の電力契約であってもよい。
【0030】
このような構成によれば、時間帯別料金制の電力契約が適用される給湯システムに対して、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0031】
本開示に係る第7の態様の給湯システムは、第1の態様から第6の態様のいずれか1つにおいて、制限された機能は、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能であってもよい。
【0032】
このような構成によれば、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を有する給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0033】
本開示に係る第8の態様の給湯システムは、第1の態様から第7の態様のいずれか1つにおいて、サーバはさらに以下のことを行ってもよい。すなわち、サーバは、電力契約に基づいて、少なくとも1つの推奨時間帯を判定する。サーバは、即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を実行する前に、現在の時間帯を推奨時間帯と照合する。現在の時間帯が推奨時間帯に含まれていない場合、サーバは、推奨時間帯に関連する情報を示す第3通知を端末装置に表示させてもよい。推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定され得る。
【0034】
このような構成によれば、給湯機の特定の機能に対して、電力契約に応じて電気料金が安くなる提案を提供することができる。電気料金が節約可能な提案の提供によって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0035】
本開示に係る第9の態様の給湯システムは、第1の態様から第7の態様のいずれか1つにおいて、給湯システムは複数の給湯機を含んでもよい。サーバはさらに以下のことを行ってもよい。すなわち、サーバは、電力契約に基づいて、少なくとも1つの推奨時間帯を判定する。即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を実行する前に、サーバは、それぞれの給湯機に対して、推奨時間帯のうちの少なくとも一部を指定時間帯として指定する。サーバは、それぞれの給湯機に、指定時間帯に湯を沸き上げさせてもよい。推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定され得る。少なくとも2つの給湯機の指定時間帯は異なる時間帯であってもよい。
【0036】
このような構成によれば、電力契約に基づいて、給湯システムの特定の機能の実行によって発生する電気料金が安くなるように、当該機能を実行することができる。よって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0037】
本開示に係る第10の態様の給湯システムを制御する方法は、少なくとも1つの給湯機と、給湯機に関連付けられた端末装置と、給湯機を管理するサーバとを含む給湯システムを制御する。給湯機は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する。サーバが、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得するステップと、サーバが、取得した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を判定するステップと、サーバが、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を端末装置に表示させるステップと、を含む。
【0038】
このような制御によれば、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知するため、給湯システムの利用性を向上することができる。
【0039】
本開示に係る第11の態様の端末装置は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する少なくとも1つの給湯機に関連付けられている。端末装置は、端末表示部と、給湯機を管理するためのサーバと通信可能な端末通信部と、端末表示部および端末通信部を管理する端末制御部と、を含む。端末制御部は、給湯機を管理するための管理プログラムを起動し、端末通信部を介して、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を受信する。端末制御部は、受信した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を取得する。そして、端末制御部は、端末表示部を介して、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を管理プログラムに表示させる。
【0040】
このような構成によれば、端末装置は、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知する。よって、給湯システムの利用性を向上することができる。
【0041】
本開示に係る第12の態様の端末装置は、第11の態様において、端末制御部は、さらに、制限された機能を実行させようとする指令を管理プログラムから受信する前に、第1通知を管理プログラムに表示させてもよい。
【0042】
このような構成によれば、ユーザが制限された機能を実際にする前に、制限に関連する情報を予めユーザに通知する。よって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0043】
本開示に係る第13の態様の端末装置は、第11の態様または第12の態様において、端末制御部はさらに、給湯機に適用される電力契約が変更されたことを示す契約変更通知をサーバから受信する場合、第2通知を管理プログラムに表示させてもよい。第2通知は、変更された電力契約に関連する情報を含んでもよい。
【0044】
このような構成によれば、電力契約の変更をユーザに通知するため、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0045】
本開示に係る第14の態様の端末装置は、第13の態様において、第2通知は、変更された電力契約に起因して、制限が解除される機能、または制限される機能に関連する情報をさらに含んでもよい。
【0046】
このような構成によれば、電力契約の変更による影響をユーザに通知するため、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0047】
本開示に係る第15の態様の端末装置は、第11の態様から第14の態様のいずれか1つにおいて、電力契約は、高圧電力を変圧して複数のユーザに配電するために高圧電力を一括して受電する高圧一括受電の電力契約であってもよい。
【0048】
このような構成によれば、高圧一括受電の電力契約が適用される給湯システムに対して、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0049】
本開示に係る第16の態様の端末装置は、第11の態様から第14の態様のいずれか1つにおいて、電力契約は、複数の時間帯に対して異なる電気料金が設定される時間帯別料金制の電力契約であってもよい。
【0050】
このような構成によれば、時間帯別料金制の電力契約が適用される給湯システムに対して、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0051】
本開示に係る第17の態様の端末装置は、第11の態様から第16の態様のいずれか1つにおいて、制限された機能は、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能であってもよい。
【0052】
このような構成によれば、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を有する給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0053】
本開示に係る第18の態様の端末装置は、第11の態様から第17の態様のいずれか1つにおいて、少なくとも1つの推奨時間帯は、電力契約に基づいて規定され得る。推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定され得る。端末制御部は、さらに、給湯機の特定の機能を実行させようとする指令を管理プログラムから受信するとき、推奨時間帯に関連する情報を示す第3通知を管理プログラムに表示させてもよい。当該給湯器の特定の機能は、即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能であってもよい。
【0054】
このような構成によれば、給湯機の特定の機能に対して、電力契約に応じて電気料金が安くなる提案を提供することができる。電気料金が節約可能な提案の提供によって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0055】
本開示に係る第19の態様の端末装置を制御する方法は、少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置を制御する。給湯機は、給湯のために湯を沸き上げる少なくとも1つの機能を有する。端末装置を制御する方法は、給湯機を管理するための管理プログラムを起動するステップと、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を、給湯機を管理するためのサーバから受信するステップと、受信した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機の機能を取得するステップと、制限された機能および電力契約に関連する第1通知を管理プログラムに表示させるステップと、を含む。
【0056】
このような制御によれば、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知するため、給湯システムの利用性を向上することができる。
【0057】
本開示に係る第20の態様のコンピュータプログラムは、第11の態様の給湯システムを制御する方法を、給湯システムのサーバに実行させるためのコンピュータプログラムである。あるいは、コンピュータプログラムは、第19の態様の端末装置を制御する方法を、少なくとも1つの給湯機に関連付けられた端末装置に実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0058】
このようなコンピュータプログラムによれば、給湯システムのサーバまたは端末装置を制御し、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知する。よって、給湯システムの利用性を向上することができる。
【0059】
《技術的概念》
本開示に係る給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムの具体的な実施の形態を説明する前に、まず、一例を用いて、本開示に記載の技術的概念を説明する。この例において、給湯システムは、給湯機と、給湯機のユーザが所有するスマートフォンである端末装置と、給湯機を管理するサーバと、を含む。当該スマートフォンにおいて、給湯機を管理するためのアプリケーションがインストールされている。
【0060】
給湯システムのサーバは、給湯機に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得して、給湯機が有する機能のうち、電力契約によって制限された給湯機の機能を判定する。そして、サーバは、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する第1通知を、給湯機を管理するためのアプリケーションが起動される際にスマートフォンに表示させる。このようにすれば、機能が制限されていることだけではなく、制限の理由になる電力契約に関連する情報もユーザに通知する。よって、給湯システムの利用性を向上することができる。
【0061】
以下で説明する実施の形態のそれぞれは、本開示の一例を示すものである。以下の実施の形態のそれぞれにおいて示される数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本開示を限定するものではない。以下の実施の形態1における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0062】
以下に述べる実施の形態のそれぞれにおいて、特定の要素に関しては変形例を示す場合があり、その他の要素に関しては任意の構成を適宜組み合わせることを含むものであり、組み合わされた構成においてはそれぞれの効果を奏するものである。実施の形態において、それぞれの変形例の構成をそれぞれ組み合わせることにより、それぞれの変形例における効果を奏するものになる。
【0063】
以下の詳細な説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0064】
《実施の形態1》
以下、本開示に係る給湯システム、給湯システムを制御する方法、端末装置、端末装置を制御する方法、およびコンピュータプログラムの実施の形態1について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0065】
<全体構成>
図1は、実施の形態1にかかる給湯システム10の構成を示すブロック図である。
【0066】
給湯システム10は、水を湯に加熱して湯をユーザに提供するためのシステムである。
図1に示すように、本実施の形態における給湯システム10は、少なくとも1つの給湯機12と、給湯機12に関連付けられた端末装置14と、給湯機12を管理するサーバ16と、を備える。
【0067】
<給湯機12>
給湯機12は貯湯式給湯機である。給湯機12は、湯または水を貯めるためのタンクと、タンク内の湯または水を加熱するための加熱装置と、加熱装置を制御する給湯制御部とを含む。タンクを用いれば、給湯機12は、ユーザが湯を利用する前に、湯を沸き上げてタンクに貯めておくことができる。例えば、1日に利用され得る量の湯を前日の夜間に沸き上げて貯めておき、当日、貯めた湯を利用することができる。
【0068】
給湯機12の加熱装置は、電熱ヒータを用いた電気式、ヒートポンプを用いた電気式、または電気とガスとのハイブリッド式であってもよい。加熱装置は、適用される電力契約に対応する受電設定にしたがって電力を受け、受けた電力を用いて湯を沸き上げる。加熱装置は湯を低温(例えば、40℃~65℃)または高温(例えば、65℃~95℃)に沸き上げることができる。高温に沸き上げられた湯は冷水と所定温度(例えば、42℃)に混合されてから給水され得る。また、以下では住宅用の給湯機12および給湯システム10を用いて本開示を説明するが、給湯機12および給湯システム10は、商業用、宿泊施設用、または工業用などのものであってもよい。
【0069】
給湯制御部または後述するサーバ16は、沸き上げ機能、沸き上げ状態を表示する機能、または自動的に風呂を張る機能等を実現することができる。さらに、給湯制御部またはサーバ16は、沸き上げ機能を用いて、様々な拡張機能を実現することができる。拡張機能の一例として、給湯機12は、比較的安い深夜電力を利用するために、昼に沸き上げずに、深夜の特定の時間帯に湯を沸き上げてタンクに貯めておく機能がある。拡張機能の一例として、給湯機12は、地震または台風等の災害発生を検知したまたは予知した場合には、断水や停電の発生に備えて、湯を沸き上げてタンクに貯めておく機能がある。拡張機能の一例として、給湯機12は、災害についての注意報、警報、特別警報、または避難指示に関連する情報を受信した場合には、断水や停電の発生に備えて、湯を沸き上げてタンクに貯めておく機能がある。拡張機能の一例として、給湯機12は、ユーザの指示に応じて即時湯を沸き上げてタンクに貯めておく機能がある。なお、沸き上げる湯の量は、タンクが満タンになる量、タンク内の湯が一定水位になる量、または予め設定された一定量であってもよい。
【0070】
<端末装置14>
端末装置14は、給湯機12に関連付けられている。例えば、端末装置14は、給湯機12を管理するための装置である。1つの端末装置14は、1つの給湯機12に関連付けられてもよく、複数の給湯機12と関連付けられてもよい。端末装置14は、例えば、給湯機12のリモートコントローラであってもよい。または、端末装置14は、給湯システム10を含む、複数の家電製品を管理および制御することのできるコントローラであってもよい。あるいは、端末装置14は、例えば、スマートフォンまたはタブレットなどの情報端末機器であってもよい。1つの実施例において、端末装置14は、給湯システム10に含まれない外部機器である。
【0071】
端末装置14は、端末表示部142と、給湯機12を管理するためのサーバ16と通信可能な端末通信部144と、端末表示部142および端末通信部144を管理する端末制御部146と、を含む。
【0072】
端末表示部142は、給湯機12の機能の実現のための情報を表示することができる。例えば、端末表示部142は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を有し、GUIを用いて沸き上げの状態、給湯設定温度、様々な機能の起動ボタンなどを表示することができる。
【0073】
端末装置14は端末通信部144を介して給湯機12および/またはサーバ16と通信可能である。例えば、端末装置14がスマートフォンである場合、インターネットを介して給湯機12および/またはサーバ16と通信してもよい。端末装置14が給湯機12のリモートコントローラである場合、赤外線やブルートゥース(登録商標)を介して給湯機12と通信してもよい。また、端末装置14は直接的にまたは間接的に外部情報源20と通信して、給湯機12の機能の実現に利用される情報の一部を外部情報源20から取得してもよい。
【0074】
なお、外部情報源20は、給湯システム10と直接的に関わらないサービスに関する情報、例えば、気象情報や、特定の地域の災害、警報または注意報に関する情報を提供する情報源である。例えば、外部情報源20は気象庁のウェブサイトであってもよい。サーバ16は、外部情報源20から取得する情報を給湯機12または端末装置14に転送してもよい。
【0075】
端末通信部144は、サーバ16等と通信するとき、インターネットパケットを送受信することもできる。上述したように、空調制御部は、端末通信部144を介してサーバ16および/または給湯機12と協働してもよい。端末通信部144は、サーバ16と、給湯機12と、外部情報源20との間において、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.2、IEEE802.3、3G、LTE等の規格にしたがい通信を行い、データの送受信を行ってもよい。端末通信部144は、インターネットの他、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等、赤外線、ブルートゥース(登録商標)で通信してもよい。
【0076】
端末制御部146は、端末表示部142と端末通信部144とを制御する。端末制御部146は、例えば、プログラムを記憶したメモリと、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路を備える。端末制御部146の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。端末制御部146は、メモリに格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。
【0077】
また、給湯機12を管理するために、端末装置14には、GUIを有する管理プログラムがインストールされてもよい。以下では、給湯機12専用のアプリケーションを管理プログラムとして本開示を説明する。しかしながら、管理プログラムは、他の家電と共通するアプリケーションや、サーバ16が提供するオンラインプラットフォームにログインして給湯機12を管理することができるウェブブラウザであってもよい。
【0078】
<サーバ16>
サーバ16は、少なくとも1つの給湯機12を制御するサーバである。例えば、サーバ16は、インターネットを介して、給湯機12にその少なくとも1つの機能を発揮させてもよい。異なる場所に設けられた複数の給湯機12に対して、サーバ16はこれらの給湯機12を制御することができる。また、サーバ16は、インターネットを介して、端末装置14および外部情報源20と通信可能である。
【0079】
サーバ16は、後述する給湯システムを制御する方法の実行以外、他の目的に用いられてもよい。例えば、サーバ16は、少なくとも1つの給湯機12を管理するため、またはデータを収集するための給湯機12の製造会社の管理サーバであってもよい。または、サーバ16は、アプリケーションサーバであってもよい。
【0080】
<電力契約>
電力契約とは、電力の需要者と電力会社との電気需給契約であり、電気契約とも呼ばれている。電気製品や設備の利用のために、需要者は、電力契約を当該電気製品らに適用し、すなわち、電力契約に基づいて電気製品らの受電設定を行う。電気製品らは、適用される電力契約に対応する受電設定にしたがって電力を受け、各自の機能を発揮する。なお、本開示でいう電力契約は、集合住宅、複数の個人住宅を含む地域、商業施設、工場、医療施設、宿泊施設などのいかなる場所に設けられた給湯機12および給湯システム10に適用可能である。
【0081】
電力契約は様々な種類があり、例えば、定額料金制、従量料金制、高圧一括受電、時間帯別料金制、ピーク抑制型時間帯別料金制等の電力契約がある。このうち、特に給湯機12の機能を制限し得るのは以下通りの2種類がある。
【0082】
給湯機12の機能を制限し得る電力契約の1つは、高圧電力を変圧して複数のユーザに配電するために高圧電力を一括して受電する高圧一括受電の電力契約である。高圧一括受電の電力契約の適用例の1つとして、マンションの各戸が個別に電力会社と契約するのではなく、マンション全体として単一の電力契約を結び、電力を一括受電することができる。各戸ごとに低圧契約を結ぶよりも、マンション全体として高圧契約を結ぶことで、電気代の単価を下げてより安い電力を調達することができる。
【0083】
ただし、高圧一括受電の電力契約において、一般的には比較的安い深夜電力が設けられていない。また、電気代の単価は直近の一定期間内(例えば、12ヵ月内)の最大使用電力量に基づいて計算されるため、単価を安く設定してもらうには、マンション全体の最大使用電力量が制限される。最大使用電力量は、一定時間ごと(例えば、30分ごと)の平均使用電力量に基づいて計算される。高圧一括受電の電力契約が提供された施設において全体の負荷平準化のために、多くの給湯機12が同じ時間帯に一斉に沸き上げることになり得る機能は制限されることがある。すなわち、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能は電力契約によって制限され得る。
【0084】
給湯機12の機能を制限し得る電力契約のもう1つは、複数の時間帯に対して異なる電気料金が設定される時間帯別料金制の電力契約である。例えば、一日を「夜間」、「昼」、「その他」の三つの時間帯に分けて、それぞれの時間帯に対して電気料金が設定され得る。電力会社は負荷平準化のために、一般的には夜間または深夜の時間帯に対して他の時間帯より安い電気料金を設定する。本開示において、このような比較的安い電気料金が設定される時間帯を、「推奨時間帯」と呼ぶ。
【0085】
ただし、逆に言うと、推奨時間帯でない時間帯で湯を沸き上げると、電気料金が高くなることとも考えられる。例えば、晴れの天気予報に応じて昼の特定の時間帯に湯を沸き上げると、深夜電力を利用できないため電気料金が高くなる。給湯機12の機種または給湯システム10の設定によって、このような事態を避けるために、時間帯別料金制の電力契約が適用されるときに当該機能が制限され得る。
【0086】
<給湯システム10のサーバ16の制御>
図2は、実施の形態1における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャートであり、当該方法はステップS110~ステップS130を含む。以下、
図2のフローチャートを用いて、
図1の給湯システム10のサーバ16を制御し、給湯システム10の利用性を向上するために通知を表示する制御を説明する。この制御方法によれば、給湯システム10の利用性を向上することができる。
【0087】
まず、サーバ16は、給湯機12に適用されている電力契約に関連する契約情報を取得する(ステップS110)。例えば、サーバ16は、定期的に給湯機12に問い合わせることによって、給湯機12に適用された電力契約または受電設定、現在の運転状況、およびユーザから入力された設定パラメータを取得してもよい。また、給湯機12は、新しい電力契約もしくは受電設定が適用されたとき、運転状況が変化するとき、または新しい設定パラメータが入力されたとき、能動的にこれらの変化についてサーバ16に通知してもよい。
【0088】
契約情報は、電力契約の名称、電力契約の内容の少なくとも一部、および/または電力契約による受電設定を含んでもよい。1つの実施例において、電力契約が適用される際に、給湯機12は契約情報をその記憶装置に格納する。給湯機12は、サーバ16から契約情報についての問い合わせを受信するとき、または契約情報をサーバ16に通知しようとするとき、記憶装置に格納した契約情報を読み出してサーバ16に送信する。1つの実施例において、端末装置14が契約情報を格納し、サーバ16は端末装置14に問い合わせて契約情報を取得する。
【0089】
次に、サーバ16は、取得した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機12の機能を判定する(ステップS120)。1つの実施例において、サーバ16はその記憶装置またはデータベースに給湯機12の機能一覧表を維持している。上述したように、電力契約によって給湯機12の特定の機能が制限され得る。機能一覧表は、例えば、給湯機12の機能の名称または識別子、機能の概要または内容、特定の電力契約による影響のありなし、特定の電力契約による制限のありなし、影響もしくは制限の内容、注意事項、当該機能を有する機種の名称または識別子、および/または当該機能に利用される通信方式を含んでもよい。
【0090】
1つの実施例において、サーバ16は、給湯機12の機能の制限の理由になり得る電力契約ごとに、機能一覧表を記憶する。
図3Aは、実施の形態1における給湯機の機能一覧表の一例である。
図3Aの機能一覧表において、特定の電力契約(例えば、高圧一括受電)に対して、機能の名称と当該機能が電力契約による制限のありなしとの項目が設けられている。サーバ16は、契約情報から電力契約の名称等を取得し、当該電力契約に対応する機能一覧表を選択し、機能一覧表に基づいて制限された機能を判定する。
【0091】
もう1つの実施例において、サーバ16は、複数の電力契約に対応する1つの機能一覧表を記憶する。
図3Bは、実施の形態1における給湯機の機能一覧表のもう一例である。
図3Bの機能一覧表において、給湯機12の機能の名称と、当該機能が電力契約による制限のありなしと、制限の理由になる電力契約の名称との項目が設けられている。サーバ16は、契約情報から電力契約の名称を取得し、当該名称を機能一覧表と照合することによって、当該電力契約によって制限された機能を判定する。
【0092】
1つの実施例において、電力契約によって制限され得る給湯機12の機能は、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能である。例えば、給湯機12は、以下の機能を有する。
「昼停止」:夜間電力を利用すべく昼の時間帯に湯を沸き上げない機能。
「おひさまソーラーチャージ」:太陽光発電を沸き上げに利用して、晴れの天気予報に応じて昼の特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能。
「エマージェンシー沸き上げ」:災害についての注意報、警報、特別警報、または避難指示に関連する情報を受信した場合には、湯を沸き上げてタンクに貯めておく機能。
【0093】
これらの有する多くの給湯機12が全部夜間などの特定の時間帯に沸き上げると最大使用電力量が増加する恐れがあるため、これらの機能は高圧一括受電と時間帯別料金制との電力契約に対して制限対象に設定されている。サーバ16は、「高圧一括受電」で機能一覧表と照合すると、「昼停止」、「おひさまソーラーチャージ」および「エマージェンシー沸き上げ」の機能が制限されていることが分かる。
【0094】
1つの実施例において、給湯機12は、電力契約によって制限されないものの、電力契約によって影響される機能を有する。例えば、給湯機12は、ユーザの手動指示にしたがって即時湯を沸き上げる「沸き増し」という機能を有する。ユーザがすぐまたは近いうちに湯を利用したいから「沸き増し」を給湯機12に実施させたいことが考えられる。ユーザの指示に従う即時の沸き上げを制限するとかえって利用性が低下する恐れがあるため、沸き増しの機能を制限しなくてもよい。しかしながら、沸き増しを行うタイミング(時間帯)によって、電気料金が高くなる場合があるため、沸き増しの機能は電気契約によって影響されるとも言える。
図3Bのように、電力契約によって影響される機能の名称や、制限の理由になる電力契約の名称との項目も機能一覧表に設けられ得る。サーバ16は、契約情報に基づいて、電力契約によって影響される給湯機12の機能を判定することができる。
【0095】
次に、サーバ16は、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を端末装置14に表示させる(ステップS130)。1つの実施例において、第1通知は、制限された機能と制限の理由になる電力契約との名称および/または内容を含む。もう1つの実施例において、第1通知は、制限された機能の名称を含むとともに、制限の理由になる電力契約の名称の代わりに「表示された機能は電力契約の影響で制限されている」との旨の説明を含む。なお、第1通知は、電力契約によって影響される機能をさらに含んでもよい。サーバ16が第1通知を端末装置14に表示させるとき、端末装置14は、端末表示部142を介して、第1通知を管理プログラムのGUIに表示してもよい。
【0096】
これにより、給湯システム10の制御方法において第1通知を表示させる制御は完了する。このような構成および制御によれば、サーバ16は端末装置14を介して、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知する。よって、給湯システム10の利用性を向上することができる。また、高圧一括受電および/または時間帯別料金制の電力契約が適用される給湯システムに対して、給湯システム10の利用性をさらに向上することができる。また、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく、という制限されやすい機能に対応できるため、このような機能を有する給湯システム10の利用性をさらに向上することができる。
【0097】
<第1通知の表示タイミング>
サーバ16は、制限された機能を実行させようとする指令を端末装置14から受信する前に、第1通知を端末装置14に表示させてもよい。1つの実施例において、端末装置14は、給湯機12の機能に対応する実行ボタンを管理プログラムのGUIに表示し、GUIを介してユーザの指令を受けることができる。実行ボタンが押されたと検出する場合、端末装置14は、ユーザが当該実行ボタンに対応する機能を給湯機12に実行させようとすることを表す指令を、サーバ16に送信する。よって、サーバ16は、ユーザが管理プログラムのGUIに表示される特定の機能に対応する実行ボタンを押す前に、第1通知を管理プログラムに表示させることができる。
【0098】
例えば、サーバ16は、管理プログラムの起動時、起動してから一定時間内に、または、ボタンが押されそうと判定するときに、第1通知を表示させてもよい。端末表示部142が容量式のタッチパネルである場合、端末装置14は、静電容量の変化の検出に基づいて、実行ボタンが押されそうか否かを判定することができる。第1通知は、管理プログラムのトップページ上の文字および/または画像、ポップアップ表示、またはプッシュ通知であってもよい。また、第1通知は、現在の画面から、電力契約の内容の詳細を示す画面に遷移するためのアイコン、文字、または標記を含んでもよい。
【0099】
図4は、実施の形態1における第1通知の一例である。
図4の実施例において、第1通知42は、給湯機12を管理する管理プログラムの起動時に表示される。画面32に示された第1通知42は、制限された機能の名称「エマージェンシー沸き上げ」および「ソーラーチャージ」、ならびに「表示された機能は電力契約の影響で制限されている」との旨の説明を含む。
【0100】
このようなタイミングで第1通知を表示すれば、ユーザは、制限された機能を実際に実行する前に、制限に関連する情報を予め知ることができる。よって、給湯システム10の利用性をさらに向上することができる。
【0101】
<端末装置14の制御>
上述したように、端末装置14は、給湯システム10の利用性を向上するために、第1通知を表示することができる。本開示は、端末装置14を制御する方法も提供する。
【0102】
図5は、実施の形態1における端末装置14を制御する方法の一例のフローチャートであり、当該方法はステップS210~ステップS240を含む。以下、
図5のフローチャートを用いて、
図1の給湯システム10の端末装置14を制御し、給湯システム10の利用性を向上するために通知を表示する制御を説明する。この制御方法によれば、給湯システム10の利用性を向上することができる。
【0103】
端末制御部146は、給湯機12を管理するための管理プログラムを起動する(ステップS210)。端末制御部146は、端末通信部144を介して、給湯機12に適用されている電力契約に関連する契約情報を受信する(ステップS220)。契約情報は、サーバ16または給湯機12から受信可能である。
【0104】
次に、端末制御部146は、受信した契約情報に基づいて、電力契約によって制限された給湯機12の機能を取得する(ステップS230)。1つの実施例において、サーバ16は、制限された機能についてサーバ16が判定した結果を契約情報に組み込んでから、契約情報を端末装置14に送信する。すなわち、端末装置14はサーバ16から制限された機能の内容を直接的に取得する。もう1つの実施例において、端末装置14は、ステップS110に説明した契約情報をサーバ16から受信してから、端末制御部146がステップS120のように自ら制限された機能を判定する。
【0105】
そして、端末制御部146は、端末表示部142を介して、制限された機能と、制限の理由になる電力契約と、に関連する第1通知を管理プログラムに表示させる(ステップS240)。例えば、端末制御部146は、
図4のように、第1通知42をアプリケーションのGUIの画面34に表示させてもよい。これにより、端末装置14の制御方法において第1通知42を表示させる制御は完了する。
【0106】
本開示は、給湯システム10または端末装置14を制御するためのコンピュータプログラムおよび記憶媒体も提供する。
【0107】
1つの実施例において、上述した給湯システム10を制御する方法を給湯システム10のサーバ16に実行するために使用されるコンピュータプログラムが提供される。また、1つの実施例において、上述した端末装置14を制御する方法を端末装置14に実行するために使用されるコンピュータプログラムが提供される。
【0108】
1つの実施例において、上述したコンピュータプログラムは非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されている。当該コンピュータプログラムがサーバ16、または端末装置14の端末制御部146によって読み出されて実行されるときに、上述した制御する方法を実現する。
【0109】
このような給湯システム10の構成、端末装置14の構成、制御方法ら、およびコンピュータプログラムによれば、端末装置14を介して、制限された機能と制限の理由になる電力契約とに関連する情報をユーザに通知する。よって、給湯システム10の利用性を向上することができる。
【0110】
《実施の形態2》
<電力契約が変更したときの制御>
実施の形態2において、電力契約の変更したときに、変更したことおよび変更による影響についてユーザにさらに通知することができる。
【0111】
図6は、実施の形態2における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャートである。
図6におけるステップS310~ステップS330の内容は、実施の形態1の
図1におけるステップS110~ステップS130と同様なので、ここで重複する説明を割愛する。実施の形態2では、給湯システム10の制御方法がステップS340およびステップS350をさらに含む点で、実施の形態1と異なる。
【0112】
ユーザが電力会社と異なる電力契約を結ぶとき、新しい電力契約(すなわち、変更された電力契約)およびそれに対応する受電設定をユーザの電気製品や設備に適用される手順が行われる。電気製品らは、新しい受電設定にしたがって電力を受け、各自の機能を発揮する。
【0113】
サーバ16は、給湯機12に適用される電力契約が変更されたことを示す契約変更通知を受信するかを判定する(ステップS340)。1つの実施例において、新しい電力契約は端末装置14を介さずに変更される。この場合、新しい電力契約が適用される際に、給湯機12は、新しい電力契約に関連する契約情報を記憶し、契約変更通知をサーバ16に送信する。もう1つの実施例において、新しい電力契約は端末装置14のアプリケーションを介して変更される。この場合、新しい電力契約が適用される際に、新しい電力契約に関連する契約情報は端末装置14と給湯機12ともに記憶され得て、端末装置14または給湯機12が記憶した契約変更通知をサーバ16に送信する。さらにもう1つの実施例において、給湯機12は、サーバ16からの定期的な問い合わせに応答するときに、契約変更通知をサーバ16に送信する。
【0114】
サーバ16は、契約変更通知を受信する場合、変更された電力契約に関連する情報を含む第2通知を、端末装置14に表示させる(ステップS350)。1つの実施例において、第2通知は、変更された電力契約との名称および/または内容を含む。
図7は、実施の形態2における第2通知の一例である。第2通知44は、給湯機12を管理する管理プログラムのGUIに表示され、給湯機12に適用される電力契約が変更されたことをユーザに通知する。第2通知44は、現在の画面34から、変更された電力契約の内容の詳細を示す画面に遷移するためのアイコン、文字、または標記を含んでもよい。
【0115】
第2通知44を表示するタイミングは、例えば、契約変更通知を受信したとき、管理プログラムが起動するとき、または管理プログラムが起動してから一定時間内であってもよい。第2通知44は、管理プログラムのトップページ上の文字および/または画像、ポップアップ表示、またはプッシュ通知であってもよい。
【0116】
上述したサーバ16の制御に対応して、端末装置14は以下の制御を行ってもよい。例えば、端末装置14を介さずに新しい電力契約が変更された場合、端末装置14は、契約変更通知をサーバ16から受信するときに、第2通知44を管理プログラムのGUIに表示させる。一方、端末装置14を介して新しい電力契約が変更された場合、端末装置14は、契約が変更したとき、または契約変更通知をサーバ16から受信するときに、第2通知44を管理プログラムのGUIに表示させてもよい。
【0117】
これにより、第2通知44を表示させる制御は完了する。このような制御によれば、電力契約の変更をユーザに通知するため、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0118】
また、第2通知44は、変更された電力契約に起因して、制限が解除される機能、または制限される機能に関連する情報をさらに含んでもよい。前述したステップS120のように、サーバ16は、特定の電力契約に対して、当該電力契約によって制限/影響される給湯機12の機能を判定することができる。変更前後の電力契約によって制限される機能を判定し、判定結果を比較すると、変更された電力契約に起因した、制限が解除される機能と制限が新たに課される機能とも分かる。
【0119】
さらに、第2通知44は、変更された電力契約によって制限された機能と、制限が解除される機能との名称および/または内容を含んでもよく、変更された電力契約によって影響された機能をさらに含んでもよい。
【0120】
以上の説明において、サーバ16および端末装置14は、給湯機12に適用される電力契約が実際に変更された後に第2通知44を表示するが、実際に変更される前にも第2通知44を表示することができる。
【0121】
電力契約が特定できれば、機能一覧表を照合することによって、変更前後の電力契約によって制限される機能を判定することができる。よって、実際に変更する前に、変更される電力契約に起因して制限が解除される機能と制限が新たに課される機能とを判定することもできる。例えば、給湯機12の管理プログラムを介して、ユーザから入力された変更候補の電力契約に関連する情報を受信するとき、サーバ16は、変更候補の電力契約に起因した、制限が解除される機能と制限が新たに課される機能とを判定することもできる。
【0122】
仮に、現に給湯機12に提供されている電力契約が従量料金制であり、変更候補の電力契約が高圧一括受電であり、従量料金制によって制限される機能がない。高圧一括受電によって
図3Aに示すように機能が制限される場合について説明する。この場合、制限が解除される機能がない一方、「昼停止」、「おひさまソーラーチャージ」および「エマージェンシー沸き上げ」の機能が変更候補の電力契約によって制限される。サーバ16は、「電力契約を高圧一括受電に変更すると、『昼停止』、『おひさまソーラーチャージ』および『エマージェンシー沸き上げ』の機能が制限されることになります。」という説明を含む通知を表示させてもよい。
【0123】
このような制御によれば、電力契約の変更による影響を具体的にユーザに通知することができる。よって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0124】
《実施の形態3》
<電気料金を節約するための提案>
実施の形態3において、給湯システムは、電力契約によって影響され得る給湯機12の機能に対して、電力契約に応じて電気料金が安くなる提案を提供することができる。
【0125】
図8は、実施の形態3における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャートである。
図8におけるステップS410~ステップS430の内容は、実施の形態1の
図1におけるステップS110~ステップS130と同様なので、ここで重複する説明を割愛する。実施の形態3では、給湯システム10の制御方法がステップS440~ステップS470をさらに含む点で、実施の形態1と異なる。
【0126】
提案するために、サーバ16は、給湯機12に適用されている電力契約に基づいて、少なくとも1つの推奨時間帯を判定する(ステップS440)。前述したように、電力契約が時間帯別料金制の場合、複数の時間帯に対して異なる電気料金が設定される。サーバ16は、時間帯別料金制に対して、電気料金が最も安く設定される少なくとも1つの時間帯を推奨時間帯として判定する。すなわち、推奨時間帯の電気料金は、他の時間帯の電気料金より低く設定される。一方、すべての時間帯について同じ電気料金が設定される電力契約に対して、例えば、高圧一括受電または定額料金制等に対して、サーバ16は「推奨時間帯がない」と判定してもよい。
【0127】
電力契約によって影響され得る給湯機12の機能は、
図3Bに示された機能一覧表を照合することによって判定され得る。例えば、即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能は、実行するタイミング(時間帯)および推奨時間帯によって、電気料金が高くなる場合がある。即時湯を沸き上げる機能は、例えば、
図3Bに示された「沸き増し」の機能である。特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能は、例えば、
図3Bに示された「昼停止」、「おひさまソーラーチャージ」および「エマージェンシー沸き上げ」の機能を含む。
【0128】
サーバ16は、電力契約によって影響され得る機能を実行する前に、現在の時間帯を推奨時間帯と照合し(ステップS450)、現在の時間帯が推奨時間帯に含まれているかを判定する(ステップS460)。現在の時間帯は、一定の時間きざみ(例えば、0.5時間きざみ、1時間きざみ、または2時間きざみ)で定義されてもよい。例えば、仮に推奨時間帯が「23:00~07:00」であり、現在の時間帯が「22:00~23:00」である場合、現在の時間帯は推奨時間帯に含まれていないと判定される。
【0129】
現在の時間帯が推奨時間帯に含まれていない場合、サーバ16は、推奨時間帯に関連する情報を示す第3通知を端末装置14に表示させる(ステップS470)。
図9は、実施の形態3における第3通知の一例である。
図9の実施例において、管理プログラムの画面36に示された第3通知46は、推奨時間帯の名称および内容(例えば、「夜間電力:23:00~07:00」)を含む。また、第3通知46は、「特定の機能が推奨時間帯に行うと電気料金が安くなる」との旨の説明(提案)を含んでもよい。
【0130】
図10は、実施の形態3における第3通知のもう一例である。
図10の実施例において、管理プログラムの画面38に示された第3通知46は、現在の時間帯より後、かつ現在の時間帯から最も近い推奨時間帯に関連する情報を含む。サーバ16は、現在の時間帯より後、かつ現在の時間帯から最も近い推奨時間帯を、指定時間帯として判定する。第3通知46は、現在時刻から、指定時間帯の開始時刻まで、あとどのくらいの時間があるかの情報を含んでもよい。仮に現在時刻が「22:50」であり、指定時間帯が「23:00~07:00」である場合、現在時刻から指定時間帯までの時間が10分であると計算できる。サーバ16または端末制御部146は、この計算結果に基づいて、第3通知46を生成する。
【0131】
図10に示された実施例において、現在時刻から指定時間帯までの時間が10分であるという計算結果に基づいて、「お客様の電力契約では、あと10分で夜間電力料金が適応されます。」という提案を含む第3通知46を生成する。さらに、第3通知46は「今すぐ実行」のボタンと、「節約実行」のボタンとを含む。「今すぐ実行」のボタンが押されると、端末装置14は「今すぐ実行」の指示を給湯機12および/またはサーバ16に送信し、給湯機12はユーザに指定された機能を即時に実行する。他方、ユーザは、提案を取り入れて、推奨時間帯まで待ってから当該機能を実行しようとするとき、「節約実行」のボタンを押してもよい。「節約実行」のボタンが押されると、端末装置14は「節約実行」の指示を給湯機12および/またはサーバ16に送信し、給湯機12は、現在時刻が推奨時間帯になってから、ユーザに指定された機能を実行する。
【0132】
1つの実施例において、サーバ16は、施設内の負荷平準化をさらに考慮した上、推奨時間帯を判定する。
図11は、実施の形態3にかかる給湯システム10の構成を示すブロック図である。給湯システム10は、複数の給湯機12a、12b、12cを含む。複数の給湯機12a、12b、12cはそれぞれに異なるユーザに利用され、対応する端末装置14a、14b、14cによってそれぞれに管理され得る。サーバ16は、現在の時間帯より後であって消費電力条件を満たし、かつ現在の時間帯から最も近い推奨時間帯を指定時間帯として判定する。そして、サーバ16は、現在時刻から指定時間帯の開始時刻までの時間を計算し、計算結果を第3通知46に組み入れる。
【0133】
上述した消費電力条件とは、沸き上げる予定がある給湯機12の台数が台数閾値以下、沸き上げによる予想消費電力が第1消費電力閾値以下、または全施設の予想消費電力が第2消費電力閾値以下という条件である。消費電力条件を考慮して指定時間帯を判定するため、1つの推奨時間帯において複数の給湯機12が一斉に湯を沸き上げることが回避できる。
【0134】
より負荷平準化するために、サーバ16は、推奨時間帯を複数のサブ時間帯に分割し、前述した条件を満たすサブ時間帯を指定時間帯として判定してもよい。例えば、推奨時間帯「23:00~07:00」を1時間きざみで8つのサブ時間帯に分割し、それぞれのサブ時間帯は推奨時間帯のうちの一部である。仮に、サブ時間帯「23:00~24:00」およびサブ時間帯「00:00~01:00」が消費電力条件を満たしていないが、サブ時間帯「01:00~02:00」が消費電力条件を満たす場合を説明する。この場合、サーバ16はサブ時間帯「01:00~02:00」を指定時間帯として判定してもよい。
【0135】
1つの実施例において、サーバ16は、さらに指定時間帯の開始時刻を考慮した上、推奨時間帯を判定する。指定時間帯の開始時刻が、ユーザの給湯機12に機能を実行させようとするときから離れすぎると、ユーザのニーズに応じないことがある。例えば、仮にユーザが給湯機12に実行させようとする機能が「沸き増し」または「エマージェンシー沸き上げ」である場合を説明する。この場合、サーバ16は、指定時間帯の開始時刻は実行ボタンが押されてから所定時間内のみ、指定時間帯に基づいて第3通知46を介して提案する。例えば、実行させようとする機能が「おひさまソーラーチャージ」である場合、サーバ16は、指定時間帯の開始時刻は当日中であるときのみ、指定時間帯に基づいて第3通知46を介して提案する。
【0136】
これにより、第3通知46を介して、電力契約に応じて電気料金が安くなる提案を提供する制御は完了する。上述したサーバ16の制御に対応して、端末装置14は以下の制御を行ってもよい。例えば、サーバ16が指定時間帯を判定し、第3通知46の内容を生成する場合、電力契約によって影響され得る機能を実行する前に、第3通知46を管理プログラムに表示させる。また、端末装置14は、指定時間帯の判定、第3通知46の内容の生成、および第3通知46の表示を行ってもよい。
【0137】
このような構成および制御によれば、給湯システム10は、電力契約によって影響され得る機能に対して、電力契約に応じて電気料金が安くなる提案を提供することができる。電気料金が節約可能な提案の提供によって、給湯システム10の利用性をさらに向上することができる。
【0138】
《実施の形態4》
<電気料金を節約するための制御>
実施の形態4において、給湯システム10は、電力契約によって影響され得る給湯機12の機能に対して、電気料金が安くなるように、自動的に機能の実行時間を分散させることができる。
【0139】
実施の態様4は、電力契約によって影響され得る機能を、自動的に指定時間帯に実行する点で、実施の形態3と異なる。実施の形態4において、
図11に示されたように、給湯システム10は、複数の給湯機12a、12b、12cを含む。
【0140】
図12は、実施の形態4における給湯システムを制御する方法の一例のフローチャートである。
図12におけるステップS510~ステップS540の内容は、実施の形態3の
図8におけるステップS410~ステップS440と同様なので、ここで重複する説明を割愛する。実施の形態4では、給湯システム10の制御方法がステップS550およびステップS560をさらに含む点で、実施の形態3と異なる。
【0141】
サーバ16は、電力契約によって影響され得る機能を実行する前に、それぞれの給湯機12に対して、推奨時間帯のうちの少なくとも一部を指定時間帯として指定する(ステップS550)。そして、サーバ16は、それぞれの給湯機12に、指定時間帯に湯を沸き上げさせる(ステップS560)。
【0142】
電力契約によって影響され得る機能は、即時湯を沸き上げる機能、または、特定の時間帯に湯を沸き上げて貯めておく機能を含む。ステップS550において、サーバ16は実施の形態3で説明したように指定時間帯を指定してもよい。例えば、負担平準化のために、サーバ16は、現在の時間帯より後であって消費電力条件が満たされている、かつ現在の時間帯から最も近い推奨時間帯を指定時間帯として判定する。
【0143】
指定時間帯は、推奨時間帯の全体であってもよく、推奨時間帯内の少なくとも1つのサブ時間帯であってもよい。また、実行時間が1つのサブ時間帯よりも長い機能に対して、サーバ16は、複数のサブ時間帯を組み合わせて1つの指定時間帯としてもよい。また、サーバ16は、上述したように、指定時間帯の開始時刻をさらに考慮した上、推奨時間帯を判定してもよい。
【0144】
1つの実施例において、負担平準化のために、少なくとも2つの給湯機12の指定時間帯は異なる時間帯である。すなわち、複数の給湯機12に対して指定時間帯を分散させる。例えば、サーバ16は、外部情報源20から大雨警報に関する情報を受信するとき、複数の給湯機12a、12b、12cに「エマージェンシー沸き上げ」の機能を実行させることができる。負担平準化のために、警報に関する情報を受信するときにこれらの給湯機12を一斉に沸き上げさせるのではなく、互いに異なる指定時間帯を指定してから、指定時間帯に湯を沸き上げさせる。
【0145】
これにより、電力契約によって影響され得る給湯機12の機能に対して自動的に機能の実行時間を分散させてから実行する処理は完了する。このような構成によれば、電力契約に基づいて、給湯システムの特定の機能の実行によって発生する電気料金が安くなるように、当該機能を実行することができる。よって、給湯システムの利用性をさらに向上することができる。
【0146】
なお、本開示は、実施の形態2~4に対応する、給湯システム10または端末装置14を制御するためのコンピュータプログラムおよび記憶媒体も提供する。
【0147】
以上は本開示の具体的な実施の形態に過ぎず、本開示の保護範囲はこれに限定されるものではない。本開示は図面および前述した具体的な実施の形態において前述された内容を含むが、本開示がそれらの内容に限定されるものではない。本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、開示された様々の実施の形態または実施例を組み合わせることができる。本開示の機能および構造原理から逸脱しない変更は特許請求の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0148】
10 給湯システム
12、12a、12b、12c 給湯機
14、14a、14b、14c 端末装置
142 端末表示部
144 端末通信部
146 端末制御部
16 サーバ
20 外部情報源
32、34、36、38 画面
42 第1通知
44 第2通知
46 第3通知