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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173838
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】微生物検出装置及び微生物検出方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20231130BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231130BHJP
   C12Q 1/00 20060101ALI20231130BHJP
   G01N 33/569 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 A
C12Q1/00
G01N33/569
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086346
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 祐二
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
(72)【発明者】
【氏名】武内 幸生
(72)【発明者】
【氏名】藤里 淳史
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B063QQ05
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR74
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】簡単な操作で対象の微生物を検出できる。
【解決手段】検査対象物が付着した付着面を内部に保持する反応容器と、反応容器の付着面のブロッキング処理を行うブロッキング処理部と、反応容器に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給する一次抗体液供給部と、反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給する二次抗体液供給部と、反応容器から液体を排出する排出部と、反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出する検出部と、反応容器内の付着面にブロッキング処理を行った後、反応容器に、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を実行させる制御部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物が付着した付着面を内部に保持する反応容器と、
前記反応容器の付着面のブロッキング処理を行うブロッキング処理部と、
前記反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給する一次抗体液供給部と、
前記反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給する二次抗体液供給部と、
前記反応容器に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記反応容器から液体を排出する排出部と、
前記反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出する検出部と、
前記反応容器内の付着面にブロッキング処理を行った後、前記反応容器に、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を実行させる制御部と、を含む微生物検出装置。
【請求項2】
前記ブロッキング処理部は、ブロッキング液を供給するブロッキング液供給部を有する請求項1に記載の微生物検出装置。
【請求項3】
前記反応容器は、前記内部の液体を攪拌する攪拌手段を有する請求項1に記載の微生物検出装置。
【請求項4】
前記反応容器のたんぱく質濃度を計測する計測部を有し、
前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づいて、各工程の処理終了を判定する請求項1に記載の微生物検出装置。
【請求項5】
前記付着面を有し、前記反応容器に着脱可能な状態で保持される拭き取り治具を有し、
前記拭き取り治具は、前記付着面を支持する支持部材と、
前記支持部材と連結し、操作者が把持する棒状部材と、を有する請求項1に記載の微生物検出装置。
【請求項6】
前記拭き取り治具は、前記支持部材の複数の面に前記付着面を備える請求項5に記載の微生物検出装置。
【請求項7】
前記反応容器は、前記拭き取り治具を保持する保持機構を複数有し、
前記保持機構は、前記支持部材を磁力で保持する請求項5に記載の微生物検出装置。
【請求項8】
前記拭き取り治具は、前記付着面が前記支持部材に化学的接着で固定される請求項5に記載の微生物検出装置。
【請求項9】
前記拭き取り治具は、前記付着面の一部が前記支持部材の穴に挿入され、前記支持部材に固定される請求項5に記載の微生物検出装置。
【請求項10】
前記ブロッキング処理部は、前記反応容器に配置され、前記付着面を乾燥させる乾燥部を有する請求項1に記載の微生物検出装置。
【請求項11】
反応容器に保持され、検査対象物が付着した付着面に対してブロッキング処理を行うステップと、
前記洗浄液を排出し、前記反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給するステップと、
前記一次抗体液を排出し、洗浄液を供給するステップと、
前記洗浄液を排出し、前記反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給するステップと、
前記二次抗体液を排出し、洗浄液を供給するステップと、
前記反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出するステップと、を含み、
各部の液体の供給と排出を制御し、前記反応容器に、ブロッキング液、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を自動で実行する微生物検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微生物検出装置及び微生物検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物を検出する方法として、抗体抗原反応を利用して、微生物のたんぱく質を捕捉し、検出するイムノアッセイ法がある(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-99131号公報
【特許文献2】特開2015-222197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、微生物を破砕してたんぱく質を検出しやすい状態とした後、抗原抗体反応でたんぱく質を捕捉するため、処理工程が複雑となる。特許文献2に記載の方法は、簡単な操作で対象の微生物等を検出できるが、検出できる対象が限定される。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で対象の微生物を検出できる微生物検出装置及び微生物検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示の微生物検出装置は、検査対象物が付着した付着面を内部に保持する反応容器と、前記反応容器の付着面のブロッキング処理を行うブロッキング処理部と、前記反応容器に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給する一次抗体液供給部と、前記反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給する二次抗体液供給部と、前記反応容器から液体を排出する排出部と、前記反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出する検出部と、前記反応容器内の付着面にブロッキング処理を行った後、前記反応容器に、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を実行させる制御部と、を含む。
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の微生物検出方法は、反応容器に保持され、検査対象物が付着した付着面に対してブロッキング処理を行うステップと、前記洗浄液を排出し、前記反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給するステップと、前記一次抗体液を排出し、洗浄液を供給するステップと、前記洗浄液を排出し、前記反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給するステップと、前記二次抗体液を排出し、洗浄液を供給するステップと、前記反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出するステップと、を含み、各部の液体の供給と排出を制御し、前記反応容器に、ブロッキング液、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を自動で実行する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、簡単な操作で対象の微生物を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の微生物検出装置の概略構成を示す模式図である。
図2図2は、微生物検出装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、反応容器の構成の一例を示す模式図である。
図4図4は、検査対象取得ユニットの構成の一例を示す模式図である。
図5図5は、検査対象取得ユニットの構成の一例を示す模式図である。
図6図6は、検査対象取得ユニットの構成の一例を示す模式図である。
図7図7は、他の実施形態の微生物検出装置の概略構成を示す模式図である。
図8図8は、微生物検出装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、拭き取り治具の一例を示す模式図である。
図10図10は、拭き取り治具の一例を示す模式図である。
図11図11は、拭き取り治具の一例を示す模式図である。
図12図12は、反応容器の一例を示す模式図である。
図13図13は、反応容器の一例を示す模式図である。
図14図14は、他の実施形態の微生物検出装置の概略構成を示す模式図である。
図15図15は、微生物検出装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態における構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0011】
図1は、本実施形態の微生物検出装置の概略構成を示す模式図である。図1に示す微生物検出装置10は、検査対象取得ユニット12と、拭き取り治具14と、反応容器16と、ブロッキング処理部18と、一次抗体液供給部20と、二次抗体液供給部24と、排出部26と、検出部28と、制御部30と、を含む。微生物検出装置10は、拭き取り治具14に検査対象を付着させ、検査対象を反応容器16に保持して、ブロッキング処理、一次抗体処理、二次抗体処理を行った後、検出部28で、検査対象に付着している微生物の有無、微生物の量を検出する。ここで、微生物は、ウイルス、菌等である。
【0012】
検査対象取得ユニット12は、検査対象物を拭き取り治具14に付着させる処理を実行する。検査対象取得ユニット12は、検査対象物が付着した物体から拭き取り治具14で、検査対象物を拭き取る。例えば、検査対象物が人間の分泌物や組織の場合、検査対象物が付着した人間に拭き取り治具14をこすりつけて、拭き取り治具14に検査対象物を付着させる。
【0013】
拭き取り治具14は、付着面40と、支持部材42と、棒状部材44と、を有する。付着面40は、検査対象物を付着させる面である。付着面40は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)や、ニトロセルロースで形成された膜である。支持部材42は、付着面40を支持する板状の部材である。支持部材42は、付着面40よりも硬い材料で形成される。棒状部材44は、一方の端部が支持部材42の端部に接続される。棒状部材44は、拭き取り治具14の搬送時、操作時に、操作者が把持する部分である。なお、操作者は人間でも自動で駆動される機械でもよい。拭き取り治具14は、棒状部材44を把持した状態で操作され、検査対象取得ユニット12で物体に付着面40をこすり付けることで、付着面40で検査対象を拭き取り、付着面40に検査対象を付着させる。
【0014】
反応容器16は、拭き取り治具14を内部に保持できる容器である。また、反応容器16は、拭き取り治具14が配置される空間に液体が供給され、液体を充填させること、また、充填された液体を排出することができる。
【0015】
ブロッキング処理部18は、ブロッキング液タンク50と、供給路52と、開閉弁54と、を含む。ブロッキング液タンク50は、検査対象に対してブロッキング処理を行うブロッキング液を貯留する。ブロッキング液は、検査対象の物体のうち、一次抗体が付着する特異な部位以外の部分である非特異な部位に結合する物質、つまり一次抗体が、目的の部位以外と結合することを抑制する物質を含む液体である。供給路52は、ブロッキング液タンク50と反応容器16とを接続する管路である。開閉弁54は、供給路52に配置され、開くことで、ブロッキング液タンク50から反応容器16へブロッキング液を供給し、閉じることで反応容器16へのブロッキング液の供給を停止する。
【0016】
一次抗体液供給部20は、一次抗体液タンク60と、供給路62と、開閉弁64と、を含む。一次抗体液タンク60は、検査対象に対して一次抗体処理を行う一次抗体液を貯留する。一次抗体液は、検査対象の物体の特異な部位に付着する一次抗体を含む液体である。一次抗体は、複数の特異な部位に付着する特性を備えていてもよい。また、一次抗体液は、それぞれ異なる部位に付着する複数の一次抗体を含んでもよい。これにより、複数のたんぱく質を検出することができる。供給路62は、一次抗体液タンク60と反応容器16とを接続する管路である。開閉弁64は、供給路62に配置され、開くことで、一次抗体液タンク60から反応容器16へ一次抗体液を供給し、閉じることで反応容器16への一次抗体液の供給を停止する。
【0017】
二次抗体液供給部22は、二次抗体液タンク70と、供給路72と、開閉弁74と、を含む。二次抗体液タンク70は、検査対象に対して二次抗体処理を行う二次抗体液を貯留する。二次抗体液は、一次抗体に付着する二次抗体を含む液体である。二次抗体は、検出部28の検出に対して高い感度で反応する物質である。例えば、蛍光光で分析する場合、所定の波長に対して発光する光量が大きい物質である。二次抗体液は、それぞれ異なる一次抗体に付着する複数の二次抗体を含んでもよい。これにより、複数のたんぱく質を検出することができる。供給路72は、二次抗体液タンク70と反応容器17とを接続する管路である。開閉弁74は、供給路72に配置され、開くことで、二次抗体液タンク70から反応容器17へ二次抗体液を供給し、閉じることで反応容器17への二次抗体液の供給を停止する。
【0018】
洗浄液供給部24は、洗浄液タンク80と、供給路82と、開閉弁84と、を含む。洗浄液タンク80は、検査対象が配置されている反応容器16を洗浄する洗浄液を貯留する。洗浄液は、例えば純粋である。また、洗浄液は、洗浄するステップによって異なる液体を供給してもよい。供給路82は、洗浄液タンク80と反応容器16とを接続する管路である。開閉弁84は、供給路82に配置され、開くことで、洗浄液タンク80から反応容器16へ洗浄液を供給し、閉じることで反応容器16への洗浄液の供給を停止する。洗浄液供給部24は、洗浄液を反応容器16に供給することで、反応容器16を洗浄する。
【0019】
排出部26は、排出路90と、排液タンク92と、回収路94と、開閉弁96、98と、を有する。排出路90は、反応容器16と接続し、反応容器16から排出される液体が流入する。排液タンク92は、排出路90と接続される。排液タンク92は、反応容器16から排出される液体を貯留する。回収路94は、排出路90と、一次抗体液タンク60、二次抗体液タンク70とを繋げる管路である。開閉弁96は、排出路90に配置され、反応容器16と排液タンク92とを繋げる経路の開閉を切り替える。開閉弁98は、排出路90に配置され、反応容器16と一次抗体液タンク60、二次抗体液タンク70とを繋げる経路の開閉を切り替える。開閉弁98は、一次抗体液タンク60、二次抗体液タンク70のそれぞれの経路に対して設けてもよい。
【0020】
検出部28は、反応容器16で処理された検査対象を分析し、検査対象に特定のたんぱく質が含まれているかを判定する。検出部28は、例えば蛍光分析法で、二次抗体の発光を検出することで、検査対象に所定のたんぱく質が含まれているかを検出する。
【0021】
制御部30は、微生物検出装置10の各部の動作を制御する。制御部30は、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等の集積回路(プロセッサ)と、作業領域となるメモリと、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置を含み、これらのハードウェア資源を用いて各種プログラムを実行することによって各種処理を実行する。制御部30は、ブロッキング処理部18で検査対象に対して実行するブロッキング処理、一次抗体液供給部20で検査対象に対して実行する一次抗体処理、二次抗体液供給部22で検査対象に対して実行する二次抗体処理、洗浄液供給部24で検査対象に対して実行する洗浄処理を制御する。具体的には、液体の供給排出を自動で制御する。ここで、各工程の処理は予め設定した時間で制御してもよい。また、後述するが、液体の濃度等を検出して、条件を満たす場合、次の工程に進む処理としてもよい。
【0022】
次に、図2を用いて、微生物検出装置10の動作について説明する。図2は、微生物検出装置の処理の一例を示すフローチャートである。図2に示す処理は、一部をオペレータが実行してもよい。具体的には、拭き取り治具を移動させる操作はオペレータが実行してもよい。全ての処理を、機械を用いて自動で実行してもよい。以下、微生物検出装置10の動作として説明する。
【0023】
微生物検出装置10は、拭き取り治具を準備する(ステップS12)。微生物検出装置10は、拭き取り治具14の付着面40に検査対象を付着できる状態とする。例えば、付着面40の表面に検査対象が付着しやすいように加工、ウェッテイング処理と、平衡化処理を行う。
【0024】
次に、微生物検出装置10は、検査対象物を付着面に付着させる(ステップS14)。微生物検出装置10は、拭き取り治具14の棒状部材44を把持して、操作し、付着面40を検査対象物が配置されている部分に接触させ、付着面40で検査対象物を拭き取る。
【0025】
次に、微生物検出装置10は、ブロッキング処理を行う(ステップS16)。微生物検出装置10は、検査対象物を付着させた拭き取り治具14を反応容器16に設置する。微生物検出装置10は、ブロッキング処理部18の開閉弁54を開き、反応容器16にブロッキング液を供給し、反応容器16内に充填する。微生物検出装置10は、反応容器16内にブロッキング液を充填させることで、付着面40の検査対象物にブロッキング液を接触させ、検査対象物の特異ではない部分に、ブロッキング液の物質を反応させ、一次抗体が付着しない状態とする。
【0026】
次に、微生物検出装置10は、洗浄処理を行う(ステップS18)。微生物検出装置10は、排出部26の開閉弁96を開き、反応容器16のブロッキング液を排液タンク92に排出する。その後、微生物検出装置10は、洗浄液供給部24の開閉弁84を開き、反応容器16に洗浄液を流す。微生物検出装置10は、洗浄液を反応容器16に貯留し、排出する、いわゆる溜め濯ぎとしても、開閉弁96を開いた状態で洗浄液を反応容器16に供給しつつ排出する、流水濯ぎとしてもよい。微生物検出装置10は、洗浄液を反応容器16から排出して、洗浄処理を終了する。
【0027】
次に、微生物検出装置10は、一次抗体処理を行う(ステップS20)。微生物検出装置10は、一次抗体液供給部20の開閉弁64を開き、反応容器16に一次抗体液を供給し、反応容器16内に充填する。微生物検出装置10は、反応容器16内に一次抗体液を充填させることで、付着面40の検査対象物に一次抗体を接触させ、検査対象物の特異の部分と一次抗体を反応させ、一次抗体が付着した状態する。
【0028】
次に、微生物検出装置10は、洗浄処理を行う(ステップS22)。微生物検出装置10は、排出部26の開閉弁94を開き、反応容器16の一次抗体液を一次抗体液タンク60に排出する。その後、微生物検出装置10は、洗浄液供給部24の開閉弁84を開き、反応容器16に洗浄液を流す。微生物検出装置10は、洗浄液を反応容器16から排出して、洗浄処理を終了する。
【0029】
次に、微生物検出装置10は、二次抗体処理を行う(ステップS24)。微生物検出装置10は、二次抗体液供給部22の開閉弁74を開き、反応容器16に二次抗体液を供給し、反応容器16内に充填する。微生物検出装置10は、反応容器16内に二次抗体液を充填させることで、付着面40の検査対象物に付着した一次抗体に二次抗体を接触させ、検査対象物の特異の部分に付着した一次抗体に二次抗体を反応させ、二次抗体が付着した状態する。
【0030】
次に、微生物検出装置10は、洗浄処理を行う(ステップS26)。微生物検出装置10は、排出部26の開閉弁94を開き、反応容器16の二次抗体液を二次抗体液タンク70に排出する。その後、微生物検出装置10は、洗浄液供給部24の開閉弁84を開き、反応容器16に洗浄液を流す。微生物検出装置10は、洗浄液を反応容器16から排出して、洗浄処理を終了する。
【0031】
次に、微生物検出装置10は、検体対象物を検出部28で処理して、たんぱく質の検出を行う(ステップS28)。微生物検出装置10は、拭き取り治具14を反応容器16から検出部28に移動させ、付着面に対して検出処理を行う。具体的には、付着面40に付着している二次抗体の検出処理を行う。検出部28は、二次抗体の化学発光の有無、また発光強度を検出することで、検出対象物に含まれる所定のたんぱく質の有無、量を検出する。
【0032】
微生物検出装置10は、ブロッキング処理部18,一次抗体液供給部20、二次抗体液供給部22を設け、制御部30で、各部の動作を自動制御することで、拭き取り治具14の検査対象物に含まれる検出対象のたんぱく質の検出処理をより簡単に行うことができる。また、微生物検出装置10は、洗浄液供給部80を設け、洗浄処理を制御部30の制御で行うことで、液体の混合も防ぐことができる。また、オペレータの負荷を低減することができる。また、微生物検出装置10は、一次抗体液、二次抗体液を回収することで、使用する液体の量を低減することができる。微生物検出装置10は、ブロッキング液、洗浄液も回収して再利用してもよい。また、回収する場合、回収する液体に含まれる不純物を除去する処理を行うことが好ましい。
【0033】
各部の液体のタンク、反応容器は、温度調整機構を設け、液体の温度、処理温度を調整できることが好ましい。
【0034】
図3は、反応容器の構成の一例を示す模式図である。図3に示す反応容器16aは、回転部104と、攪拌機構106と、を有する。回転部104は、拭き取り治具14の棒状部材44を支持する部分に配置され、拭き取り治具14を反応容器16aに対して回転させる。回転部104は、拭き取り治具14を回転させることで、反応容器16a内の液体を攪拌させる。攪拌機構106は、反応容器16aの内部に配置された、スクリュー等である。攪拌機構106は、反応容器16a内の液体を攪拌させる。また、反応容器16aは、排出路90から排出される液体を反応容器16aに供給し、液体を循環させることで、内部の液体を攪拌してもよい。
【0035】
反応容器16aは、内部に液体を攪拌させる機構を設け、液体を攪拌することで、付着面40に付着した検査対象と液体との接触を促進することができ、各種処理の反応を促進することができる。これにより、処理の時間を短くすることができる。また、液体を攪拌する機構は、複数備える必要はなく、回転部104、攪拌機構106、液体を循環させる機構のいずれかのみを備えていてもよい。
【0036】
図4は、検査対象取得ユニットの構成の一例を示す模式図である。図4に示す検査対象取得ユニット12aの筐体は、付着面40に検査対象物を付着させた拭き取り治具14を、反応容器16に配置するまでの間、保管する容器となる。検査対象取得ユニット12は、拭き取り治具14の付着面40が他の部分に接触しない状態で、棒状部材44を支持する。これにより、付着面40が他の部分に触れることを抑制できる。検査対象取得ユニット12aの筐体は、内部に乾燥剤110が配置される。乾燥剤110は、シリカゲル等、水分を吸収する材料である。
【0037】
検査対象取得ユニット12aの筐体は、乾燥剤110を配置することで、検査対象物が付着した付着面40にカビ等が発生して汚染されることを抑制できる。また、付着面40が他の部分に触れない状態で支持することで、検査対象取得ユニット12aが汚染されること、付着面40が汚染されること、検査対象物のコンタミが発生することを抑制できる。
【0038】
図5は、検査対象取得ユニットの構成の一例を示す模式図である。図5に示す検査対象物取得ユニット12bは、乾燥空気供給部120を有する。乾燥空気供給部120は、供給管122と、排出管124と、乾燥空気供給源126と、を有する。供給管122は、乾燥空気供給源126と、検査対象物取得ユニット12bの筐体とを接続する排出管124は、検査対象物取得ユニット12bと接続し、大気に解放されている。排出管124は、大気が検査対象物取得ユニット12bの筐体に流入しないように逆止弁を設けてもよい。乾燥空気供給源126は、乾燥した空気を供給管122に供給する。乾燥空気供給部126は、送風機能と除湿機能を備える。乾燥空気供給部120は、乾燥空気供給源126から検査対象取得ユニット12bの筐体に乾燥空気を供給することで、検査対象取得ユニット12bの内部を乾燥した状態とすることができ、検査対象取得ユニット12bで保持する拭き取り治具14の表面が汚染されることを抑制できる。
【0039】
図6は、検査対象取得ユニットの構成の一例を示す模式図である。図6に示す検査対象物取得ユニット12cは、保護液供給部130を有する。保護液供給部130は、循環経路132と、液体供給源134と、を有する。循環経路132は、検査対象物取得ユニット12cの、拭き取り治具14を保管する筐体と、液体供給源134と、を接続する。液体供給源134は、付着面40の表面を保護し、カビ等の発生を抑制でき、かつ、除去しやすい液体を保護液として供給する。保護液としては、エタノール、例えば濃度70%以上のエタノールや、メタノールである。保護液供給部130は、液体供給源134から、検査対象物取得ユニット12cの筐体に保護液を供給して、付着面40の表面に保護液が接している状態とする。保護液供給部130は、拭き取り治具14を反応容器16に移動させる場合、保護液を液体供給源に回収する。このように、乾燥させることに代えて、保護液を供給して拭き取り治具14の付着面40の汚染を抑制することもできる。
【0040】
上記実施形態では、ブロッキング液を付着面40に供給してブロッキング処理を行ったが、ブロッキング液による処理に限定されない。図7は、他の実施形態の微生物検出装置の概略構成を示す模式図である。図7に示す微生物検出装置10aのうち、微生物検出装置10と同様の構成については、詳細な説明を省略し、微生物検出装置10aに特有の点を説明する。
【0041】
微生物検出装置10aは、検査対象取得ユニット12と、拭き取り治具14と、反応容器16と、ブロッキング処理部50aと、一次抗体液供給部20と、二次抗体液供給部24と、排出部26と、検出部28と、制御部30と、を含む。ブロッキング処理部50aは、ブロッキング液の供給に代えて、付着面40の表面を乾燥させる。
【0042】
ブロッキング処理部50aは、循環経路200と、開閉弁202と、乾燥空気供給源204と、を有する。循環経路200は、両端が反応容器16と接続した管路である。開閉弁202は、循環経路200に配置され、循環路200の流通を切り替える弁である。乾燥空気供給源204は、送風機能と除湿機能を備え、循環路200に乾燥した空気を供給する。
【0043】
ブロッキング処理部50aは、反応容器16に、乾燥空気供給源204から循環経路200を介して乾燥した空気を供給することで、反応容器16に配置された拭き取り治具14の付着面40の表面を乾燥させる。これにより、検査対象物を乾燥させることができる。なお、乾燥空気供給源204は、加熱した空気を供給する機構としてもよい。
【0044】
図8は、微生物検出装置の処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理のうち、図2に示す処理と同じ処理については、詳細な説明を省略する。
【0045】
微生物検出装置10aは、拭き取り治具を準備する(ステップS12)。次に、微生物検出装置10aは、検査対象物を付着面に付着させる(ステップS14)。
【0046】
次に、微生物検出装置10aは、乾燥処理を行う(ステップS42)。微生物検出装置10aは、検査対象物を付着させた拭き取り治具14を反応容器16に設置する。微生物検出装置10aは、ブロッキング処理部50aから乾燥空気を反応容器16に供給し、反応容器16内に乾燥した銃器を充填する。ブロッキング処理部50aは、乾燥した空気を循環経路202で循環させることで、反応容器16の内部の湿度を低下させる。
【0047】
次に、微生物検出装置10aは、一次抗体処理を行う(ステップS20)。次に、微生物検出装置10aは、洗浄処理を行う(ステップS22)次に、微生物検出装置10aは、二次抗体処理を行う(ステップS24)。次に、微生物検出装置10aは、洗浄処理を行う(ステップS26)。次に、微生物検出装置10aは、検体対象物を検出部28で処理して、たんぱく質の検出を行う(ステップS28)。
【0048】
微生物検出装置10aは、拭き取り治具14の付着面40を乾燥させることで、ブロッキング液を用いずに、ブロッキング処理を行うことができる。これにより、ブロッキング液の作成が不要になり、処理を簡単にすることができる。
【0049】
また、拭き取り治具14の構造は、種々の構造とすることができる。図9は、拭き取り治具の一例を示す模式図である。図9に示す拭き取り治具14aは、支持部材152の対向する2つの面のそれぞれに付着面150a、150bが設けられる。これにより、1つの拭き取り治具に2つ付着面150a、150bを設けることができる。
【0050】
図10は、拭き取り治具の一例を示す模式図である。図10に示す拭き取り治具14bは、支持部材162の棒状部材164の延在方向に直交する断面が正方形である。拭き取り治具14bは、支持部材162の4角形の4つの面に付着面160a、160bが設けられる。図10では、2面のみ示しているが、死角となる2つの面にも付着面が配置される。これにより、1つの拭き取り治具に4つの付着面160a、160bを設けることができる。なお、拭き取り治具は、棒状部材の延在方向に直交する断面を3角形にして、3面に付着面を設けても、5角形にして、5面に付着面を設けてもよい。
【0051】
拭き取り治具14a、14bに示すように、支持部材の複数の面にそれぞれ付着面を設けることで、1つの拭き取り治具14a、14bで複数のサンプルを取得することができる。拭き取り治具14a、14bの使用方法は限定されず、それぞれの付着面に別々の物体の検査対象物を付着させても、複数の付着面に同じ物体から取得した検査対象物を付着させてもよい。
【0052】
図11は、拭き取り治具の一例を示す模式図である。図11に示す拭き取り治具14cは、付着面が支持部材に対して着脱可能な構造である。拭き取り治具14cは、支持部材170と、可撓性部材172と、を有する。可撓性部材172は、表面に付着面40が形成される。可撓性部材172は、変形可能な剛性の部材である。支持部材170は、複数の孔174が形成される。
【0053】
拭き取り治具14cは、可撓性部材172の1つの面に付着面40が対面した状態で、支持部材170に巻き付け、可撓性部材172の一部を孔174に挿入することで、可撓性部材172を支持部材170に固定する。これにより、支持部材170の表面に付着面40が露出した状態とすることができる。また、可撓性部材172を孔174から取り出すことで、支持部材170から可撓性部材172を外すことができる。
【0054】
拭き取り治具14cは、支持部材170に対して、付着面40を着脱可能とすることで、支持部材170を再利用することができる。また、可撓性部材172のみを分析対象とすることもできる。
【0055】
図11では、拭き取り治具14の付着面を支持部材に対して着脱可能としたが、付着面を支持部材に形成する方法は特に限定されない。拭き取り治具は、支持部材の表面に科学的な接着、例えば接着剤を用いた接着で付着面を固定してもよい。
【0056】
反応容器16は、複数の拭き取り治具14を保持可能とすることが好ましい。図12は、反応容器の一例を示す模式図である。図12に示す反応容器16aは、断面が5角形となる支持体170を有する。また、拭き取り治具14は、付着面40と反対側の面に磁石172が配置される。反応容器16aは、支持体170の5角形のそれぞれの面に拭き取り治具14の磁石172を接触させることで、それぞれの面に拭き取り治具14を固定できる。
【0057】
図13は、反応容器の一例を示す模式図である。図13に示す反応容器16bは、断面が5角形となる支持体180を有する。反応容器16aは、支持体180の5角形のそれぞれの面に固定治具182が配置される。固定治具182は、拭き取り治具14の支持部材42の端面を挟み込む爪形状の部材である。固定治具182は、拭き取り治具14を支持する。
【0058】
図12図13に示すように、複数の拭き取り治具14を同時に処理できる構造とすることで、作業を効率化することができる。また、使用可能な期間が短い液体を用いる場合でも、一度に処理できることで、未使用で廃棄する液体を低減できる。また、本実施形態のように、磁石または機械的構造で保持する構造とすることで、接着剤等の液体に溶ける可能性がある物質を用いずに、支持体170、180に拭き取り治具を固定できる。
【0059】
図14は、他の実施形態の微生物検出装置の概略構成を示す模式図である。図14に示す微生物検出装置10bのうち、微生物検出装置10と同様の構成については、詳細な説明を省略し、微生物検出装置10bに特有の点を説明する。
【0060】
微生物検出装置10bは、検査対象取得ユニット12と、拭き取り治具14と、反応容器16と、ブロッキング処理部18と、一次抗体液供給部20と、二次抗体液供給部24と、排出部26と、検出部28と、制御部30と、計測部300と、を含む。計測部300は、サンプリングライン304と、計測装置306と、を有する。サンプリングライン304は、反応容器16の液体の一部を取得し、計測装置306に供給する。サンプリングライングライン304は、計測装置306で計測した液体を反応容器16に戻す。なお、計測装置306で計測した液体は廃棄してもよい。
【0061】
計測装置306は、サンプリングライン304から供給された液体(サンプル液)に含まれるたんぱく質濃度を計測して、反応容器16の内部の状態を検出する。計測装置306は、BCA方、ブラッドフォード法、UV法等を用いて、サンプル液の計測を行う。計測装置306の計測対象の液体は、ブロッキング処理、一次抗体処理、二次抗体処理の液体である。計測部300は、サンプル液306にクマシーブリリアントブルー、BCA(ビシンコニン酸)、硫酸銅(Cu2+)や、緩衝液を供給して攪拌し、生成した検査対象を分光光度計で計測する。
【0062】
ここで、BCA法は、BCA(ビシンコニン酸)と、硫酸銅(Cu2+)と、タンパク質との比色反応を利用する方法である。アルカリ性の条件下では、タンパク質のペプチド結合が2価の銅イオンを1価の銅イオンに還元し、一価の銅イオンはBCAによってキレートされ、安定な錯体を形成し、これが紫色の光を吸収して溶液を緑色から紫色に変える。還元反応は、タンパク質濃度に比例し、プレートリーダーまたは分光光度計による562nm(紫)での溶液の吸光度を利用してタンパク質濃度を算出することができる。タンパク質濃度が20μg/ml~2000μg/mlが測定範囲の場合に用いることができる。
【0063】
ブラッドフォード法(クマシーブリリアントブルー法)は、クマシーブリリアントブルーの反応を検出する方法である。クマシーブリリアントブルーは、トリフェニルメタン色素で、タンパク質と結合すると、カチオン性の未結合の赤色からアニオン性の青色に色が変化する。タンパク質が存在すると、赤色色素分子の負のスルホン基がリジンおよびアルギニンなどの正の側鎖に電子を供与します。これにより、タンパク質が不安定となり、ファンデルワールス相互作用を促進し、疎水性残基が色素に暴露されて、青色アニオン性の色素と安定な複合体を形成する。青色フォームの吸収ピークは595nmであり、この複合体の光学密度は、一定の範囲でタンパク質の含有量と線形関係を持っている。タンパク質濃度が10ng/ml~2000ng/mlが測定範囲の場合に用いることができる。
【0064】
UV法は、紫外線分光光度計を用いてタンパク質の濃度を測定する。タンパク質分子中の芳香族アミノ酸(トリプトファン、リジン、フェニルアラニンなど)が、紫外線を吸収できる共役二重結合を持っている点を利用する。最大吸収ピークは、波長280nmである。ビール・ランベールの法則に基づいて、紫外線吸収を利用して濃度を計算することができる。タンパク質濃度が50μg/ml~2000μg/mlが測定範囲の場合に用いることができる。
【0065】
ここで、微生物検出装置10bは、ブロッキング剤濃度が、例えば、10mg/ml以下であり、1次抗体の使用濃度が0.2μg/ml以上10μg/ml以下であり、2次抗体の使用濃度が、50ng/ml以上1000ng/ml以下である。
【0066】
図15は、微生物検出装置の処理の一例を示すフローチャートである。微生物検出装置10bは、ブロッキング処理、一次抗体処理、二次抗体処理の少なくとも1つで本処理を実行する。
【0067】
微生物検出装置10bは、サンプル液を採取する(ステップS52)。微生物検出装置10bは、反応容器16の液体の一部をサンプル液として取得する。
【0068】
微生物検出装置10bは、たんぱく質濃度を計測する(ステップS54)。微生物検出装置10bは、計測装置306でサンプル液を処理して、サンプル液のたんぱく質濃度を計測する。計測対象のサンプル液の目標濃度に応じて、使用する方法を切り替えればよい。
【0069】
次に、微生物検出装置10bは、たんぱく質濃度が閾値濃度以上であるかを判定する(ステップS56)。閾値濃度は、ブロッキング処理、一次抗体処理、二次抗体処理のそれぞれで設定する。微生物検出装置10bは、たんぱく質濃度が閾値濃度以上ではない(ステップS56でNo)と判定した場合、ステップS52に戻り、計測を行う。微生物検出装置10bは、たんぱく質濃度が閾値濃度以上である(ステップS56でYes)と判定した場合、所定時間以上経過したかを判定する(ステップS58)。つまり、閾値濃度の状態が、連続して所定時間以上経過しているかを判定する。所定時間もブロッキング処理、一次抗体処理、二次抗体処理のそれぞれで設定する。
【0070】
微生物検出装置10bは、所定時間以上経過していない(ステップS58でNo)と判定した場合、ステップS52に戻り、計測を行う。微生物検出装置10bは、所定時間以上経過した(ステップS58でYes)と判定した場合、処理工程を終了し(ステップS60)、図15の判定処理を終了する。
【0071】
微生物検出装置10bは、計測部300で計測したたんぱく質の濃度に基づいて、制御部30で各工程を終了するかを判定することで、工程の切り替えを自動で実行することができる。
【0072】
本開示は、以下の発明を開示している。なお、下記に限定されない。
(1)検査対象物が付着した付着面を内部に保持する反応容器と、
前記反応容器の付着面のブロッキング処理を行うブロッキング処理部と、
前記反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給する一次抗体液供給部と、
前記反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給する二次抗体液供給部と、
前記反応容器に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記反応容器から液体を排出する排出部と、
前記反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出する検出部と、
前記反応容器内の付着面にブロッキング処理を行った後、前記反応容器に、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を実行させる制御部と、を含む微生物検出装置。
【0073】
(2)前記ブロッキング処理部は、ブロッキング液を供給するブロッキング液供給部を有する(1)に記載の微生物検出装置。
【0074】
(3)前記反応容器は、前記内部の液体を攪拌する攪拌手段を有する(1)または(2)に記載の微生物検出装置。
【0075】
(4)前記反応容器のたんぱく質濃度を計測する計測部を有し、
前記制御部は、前記計測部の計測結果に基づいて、各工程の処理終了を判定する(1)から(3)のいずれかに記載の微生物検出装置。
【0076】
(5)前記付着面を有し、前記反応容器に着脱可能な状態で保持される拭き取り治具を有し、
前記拭き取り治具は、前記付着面を支持する支持部材と、
前記支持部材と連結し、操作者が把持する棒状部材と、を有する(1)から(4)のいずれかに記載の微生物検出装置。
【0077】
(6)前記拭き取り治具は、前記支持部材の複数の面に前記付着面を備える(5)に記載の微生物検出装置。
【0078】
(7)前記反応容器は、前記拭き取り治具を保持する保持機構を複数有し、
前記保持機構は、前記支持部材を磁力で保持する(5)または(6)に記載の微生物検出装置。
【0079】
(8)前記拭き取り治具は、前記付着面が前記支持部材に化学的接着で固定される(5)から(7)のいずれかに記載の微生物検出装置。
【0080】
(9)前記拭き取り治具は、前記付着面の一部が前記支持部材の穴に挿入され、前記支持部材に固定される(5)から(7)のいずれかに記載の微生物検出装置。
【0081】
(10)前記ブロッキング処理部は、前記反応容器に配置され、前記付着面を乾燥させる乾燥部を有する(1)から(9)のいずれかに記載の微生物検出装置。
【0082】
(11)反応容器に保持され、検査対象物が付着した付着面に対してブロッキング処理を行うステップと、
前記洗浄液を排出し、前記反応容器にたんぱく質を捕捉する一次抗体を含む一次抗体液を供給するステップと、
前記一次抗体液を排出し、洗浄液を供給するステップと、
前記洗浄液を排出し、前記反応容器に一次抗体と反応し、計測時の反応を増加させる二次抗体を含む二次抗体液を供給するステップと、
前記二次抗体液を排出し、洗浄液を供給するステップと、
前記反応容器で処理した検査対象物を計測し、検査対象物に含まれる微生物を検出するステップと、を含み、
各部の液体の供給と排出を制御し、前記反応容器に、ブロッキング液、一次抗体液、二次抗体液を順番に供給し、排出する処理を自動で実行する微生物検出方法。
【符号の説明】
【0083】
10 微生物検出装置
12 検査対象取得ユニット
14 拭き取り治具
16 反応容器
18 ブロッキング処理部(ブロッキング液供給部)
20 一次抗体液供給部
22 二次抗体液供給部
24 洗浄液供給部
26 排出部
28 検出部
30 制御部
40 付着面
42 支持部材
44 棒状部材
50 ブロッキング液タンク
52、62、72、82 供給路
54、64、74、84、96、98 開閉弁
60 一次抗体液タンク
70 二次抗体液タンク
80 洗浄液タンク
90 排出路
92 排液タンク
94 回収路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15