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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173850
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086366
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 大介
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707JU03
3C707KS11
3C707KS21
3C707KS22
3C707KS25
3C707KS35
3C707KX10
3C707LU05
3C707MS06
3C707MS08
3C707MS15
3C707MS27
3C707MS28
3C707MS29
(57)【要約】
【課題】高速又は高トルクで動作する可能性があるロボットにユーザが近付くことを抑制する。
【解決手段】ロボットシステムは、ロボト(10)と、ロボットに設けられ、複数の発光状態で発光可能な発光部と、ロボットの動作を制限する制限速度又は制限トルクの大きさに応じて、発光部の発光状態を制御する制御部(31)と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
前記ロボットに設けられ、複数の発光状態で発光可能な発光部と、
前記ロボットの動作を制限する制限速度又は制限トルクの大きさに応じて、前記発光部の前記発光状態を制御する制御部と、
を備える、ロボットシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが所定値よりも大きいか否かで、前記発光部の前記発光状態を変更する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記発光部は、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能なランプであり、
前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが、前記所定値よりも大きい場合に前記ランプを前記点灯状態に切り替え、前記所定値よりも大きくない場合に前記ランプを前記消灯状態に切り替える、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記発光部は、第1色と、前記第1色と異なる第2色で発光可能なランプであり、
前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが、前記所定値よりも大きい場合に前記ランプを前記第1色で発光させ、前記所定値よりも大きくない場合に前記ランプを前記第2色で発光させる、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記発光部は、点灯状態と点滅状態とに切り替え可能なランプであり、
前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが、前記所定値よりも大きい場合に前記ランプを前記点滅状態に切り替え、前記所定値よりも大きくない場合に前記ランプを前記点灯状態に切り替える、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクが変更された際に、変更された制限速度又は変更された制限トルクの大きさが前記所定値よりも大きいか否かで、前記発光部の前記発光状態を変更する、請求項2~5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクを含む制限パラメータの組み合わせにより構成されるシーンが切り替えられた際に、切り替えられたシーンにおける制限速度又は切り替えられたシーンにおける制限トルクの大きさが前記所定値よりも大きいか否かで、前記発光部の前記発光状態を変更する、請求項2~5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記ランプが発光させられる際に前記ランプに電流が流れているか監視し、前記ランプに電流が流れていない場合に前記ロボットを停止させる監視部を備える、請求項3~5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットの許容速度、予測最高速度、及び実速度を、教示操作盤の画面、又はロボット制御装置の画面に表示させるシステムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のシステムでは、ロボットの許容速度(制限速度)等を教示操作盤等の画面に数値表示している。このため、ロボットの許容速度が人にとって危険な速度であるか否かを、ユーザが一瞥して把握することが困難である。さらに、教示操作盤やロボット制御装置がロボットから離れた位置にある可能性があり、それらを確認せずにユーザがロボットに近付くおそれがある。このため、特許文献1に記載のシステムでは、高速で動作する可能性があるロボットにユーザが近付くおそれがあり、ユーザの安全を確保する上で未だ改善の余地がある。なお、ロボットが高トルクで動作する可能性がある場合も、こうした実情は概ね共通している。
【0005】
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、高速又は高トルクで動作する可能性があるロボットにユーザが近付くことを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、ロボットシステムであって、
ロボットと、
前記ロボットに設けられ、複数の発光状態で発光可能な発光部と、
前記ロボットの動作を制限する制限速度又は制限トルクの大きさに応じて、前記発光部の前記発光状態を制御する制御部と、
を備える。
【0007】
上記構成によれば、発光部は、前記ロボットに設けられ、複数の発光状態で発光可能である。このため、ユーザは、ロボットに近付く際には、ロボットに設けられた発光部の発光状態を容易に確認することができる。そして、制御部は、前記ロボットの動作を制限する制限速度又は制限トルクの大きさに応じて、前記発光部の前記発光状態を制御する。このため、ユーザは、発光部の発光状態を一瞥することにより、前記ロボットの制限速度又は制限トルクの大きさを把握することができる。したがって、高速又は高トルクで動作する可能性があるロボットにユーザが近付くことを抑制することができる。
【0008】
第2の手段では、前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが所定値よりも大きいか否かで、前記発光部の前記発光状態を変更する。こうした構成によれば、ユーザは、発光部の発光状態を一瞥することにより、前記ロボットの制限速度又は制限トルクの大きさが所定値よりも大きいか否かを把握することができる。したがって、ロボットの制限速度又は制限トルクの大きさが所定値よりも大きい場合に、ユーザがロボットに近付くことを抑制することができる。
【0009】
具体的には、第3の手段では、前記発光部は、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能なランプであり、前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが、前記所定値よりも大きい場合に前記ランプを前記点灯状態に切り替え、前記所定値よりも大きくない場合に前記ランプを前記消灯状態に切り替える。こうした構成によれば、ユーザは、ランプの発光状態を一瞥してランプが点灯状態であることを確認することにより、前記ロボットの制限速度又は制限トルクの大きさが所定値よりも大きいことを、容易に把握することができる。
【0010】
具体的には、第4の手段では、前記発光部は、第1色と、前記第1色と異なる第2色で発光可能なランプであり、前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが、前記所定値よりも大きい場合に前記ランプを前記第1色で発光させ、前記所定値よりも大きくない場合に前記ランプを前記第2色で発光させる。こうした構成によれば、ユーザは、ランプの発光状態を一瞥してランプが第1色で発光していることを確認することにより、前記ロボットの制限速度又は制限トルクの大きさが所定値よりも大きいことを、容易に把握することができる。
【0011】
具体的には、第5の手段では、前記発光部は、点灯状態と点滅状態とに切り替え可能なランプであり、前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクの大きさが、前記所定値よりも大きい場合に前記ランプを前記点滅状態に切り替え、前記所定値よりも大きくない場合に前記ランプを前記点灯状態に切り替える。こうした構成によれば、ユーザは、ランプの発光状態を一瞥してランプが点滅状態であることを確認することにより、前記ロボットの制限速度又は制限トルクの大きさが所定値よりも大きいことを、容易に把握することができる。
【0012】
第6の手段では、前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクが変更された際に、変更された制限速度又は変更された制限トルクの大きさが前記所定値よりも大きいか否かで、前記発光部の前記発光状態を変更する。こうした構成によれば、ロボットの制限速度又は制限トルクの変更を、発光部の発光状態に直ちに反映することができる。したがって、高速又は高トルクで動作する可能性があるロボットにユーザが近付くことを、より早い段階で抑制することができ、ロボットシステムの安全性を向上させることができる。
【0013】
第7の手段では、前記制御部は、前記制限速度又は前記制限トルクを含む制限パラメータの組み合わせにより構成されるシーンが切り替えられた際に、切り替えられたシーンにおける制限速度又は切り替えられたシーンにおける制限トルクの大きさが前記所定値よりも大きいか否かで、前記発光部の前記発光状態を変更する。こうした構成によれば、シーンの切替によるロボットの制限速度又は制限トルクの変更を、発光部の発光状態に直ちに反映することができる。したがって、高速又は高トルクで動作する可能性があるロボットにユーザが近付くことを、より早い段階で抑制することができ、ロボットシステムの安全性を向上させることができる。
【0014】
第8の手段では、前記ランプが発光させられる際に前記ランプに電流が流れているか監視し、前記ランプに電流が流れていない場合に前記ロボットを停止させる監視部を備える。こうした構成によれば、前記ランプが発光させられる際にランプに実際に電流が流れているか監視することができる。そして、前記ランプに電流が流れていない場合に前記ロボットを停止させるため、高速又は高トルクで動作する可能性があるロボットに、ランプの故障時等にユーザが万一近付くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ロボット及びロボット制御装置を示す斜視図。
図2】LED装置を示す斜視図。
図3】ロボットの変更例を示す斜視図。
図4】ロボットの他の変更例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、人との協働作業を行うロボット、及びそのロボットを制御するロボット制御装置に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に示すように、ロボット10は、例えば垂直多関節型ロボットであり、ベース11と、ベース11により回転可能に支持されたアーム12を備えている。アーム12の隣り合うリンクは、関節を介して相対回転可能に連結されている。各関節(各軸)は、各関節に対応する各モータにより駆動される。ロボット10の各関節には、各関節の回転角度を検出するエンコーダ(図示略)、各関節のトルクを検出するトルクセンサ(図示略)等がそれぞれ設けられている。なお、ロボット10は、垂直多関節型ロボットに限らず、水平多関節型ロボット等であってもよい。
【0018】
アーム12の先端には、ハンド13が取り付けられている。ハンド13(ツール)は、例えば一対の爪を備えており、一対の爪の間隔を拡大及び縮小する開閉動作を行う。ハンド13の一対の爪が開閉動作を行うことにより、ワーク等が把持される。
【0019】
ロボット制御装置30は、CPU、ROM、RAM、駆動回路、及び入出力インターフェース等を備えるコンピュータとして構成されている。ロボット制御装置30は、ロボット10に接続されている。ロボット制御装置30は、ロボット10を動作させる動作プログラム(プログラム)を実行することにより、ロボット10の動作を制御する。ロボット制御装置30は、制御部31、動作部33、及び監視部35を備えている。制御部31、動作部33、及び監視部35の機能については後述する。なお、ロボット制御装置30は、ロボット10に内蔵されていてもよい。ロボット10及びロボット制御装置30により、ロボットシステムが構成されている。
【0020】
ユーザは、ロボット10の動作を制限する制限速度及び制限トルク(制限パラメータ)を、例えばロボット制御装置30に接続されたティーチングペンダント40を用いて設定可能である。
【0021】
ティーチングペンダント40(操作器)は、表示部41及び操作部42を備えている。表示部41は、液晶パネル等により構成され、ロボット10に関する表示を行う。ティーチングペンダント40は、ロボット10の動作をシミュレーションする機能を備えている。表示部41は、ロボット10のシミュレーション画像や動作プログラムを表示する。操作部42は、ユーザにより操作されるキー、ボタン、ダイヤル等を備えている。ユーザは、操作部42を操作して制限速度及び制限トルクを入力可能である。また、ユーザは、ティーチングペンダント40を操作して、ロボット10の動作プログラムを作成(編集)することができる。なお、ロボット制御装置30から制限速度及び制限トルクを入力することもできる。
【0022】
動作部33は、設定された制限速度及び制限トルク等により制限した状態で、ロボット10を動作させる。具体的には、動作部33は、動作プログラムの実行によるロボット10の動作時において、ロボット10の速度(例えばアーム12の先端の速度)を制限速度以下に制限する。動作部33は、動作プログラムの実行によるロボット10の動作時において、ロボット10の対象関節が発生するトルクを制限トルク以下に制限する。
【0023】
ベース11及びアーム12の下部の内部には、発光部としてのLED16(発光ダイオード)を備えるLED装置15が設けられている。以下、LED装置15について図2に基づき説明する。図2は、LED装置15を示す斜視図である。なお、図2では便宜上、ロボット10を二点鎖線で示している。
【0024】
図2に示すように、LED装置15は、複数のLED16と、それら各LED16が設けられた複数のLED基板17と、各LED16を駆動する駆動回路(図示略)が設けられたLED駆動基板19とを備える。本実施形態では、LED16が4つ設けられ、LED基板17が2つ設けられている。そして、各LED基板17にそれぞれ2つのLED16が実装されている。
【0025】
各LED基板17はそれぞれ電気配線21を介してLED駆動基板19と接続されている。各電気配線21には、その両端部にコネクタ22a,23aが設けられている。コネクタ22aはLED基板17に設けられたコネクタ22bと接続され、コネクタ23aはLED駆動基板19に設けられたコネクタ23bと接続されている。これにより、電気配線21は、各コネクタ22a,22bを介してLED基板17と接続され、各コネクタ23a,23bを介してLED駆動基板19と接続されている。
【0026】
LED16(ランプ)は、発光することによりユーザにロボット10の状態を表示するものである。LED16は、互いに異なる複数色のLEDを含み、ロボット10の状態に応じて、それぞれのLEDを点灯や点滅等、複数の発光状態で発光可能である。これにより、ユーザはLED16の発光状態に基づき、ロボット10の状態を確認することが可能となっている。LED16の発光状態は、制御部31により制御される。
【0027】
ベース11とアーム12との境界部の外周部には、各LDE16から発せられる光を透過する窓部25(図1参照)が設けられている。窓部25は、ベース11の外周方向に延びる環状に形成され、光拡散性を有している。各LED16から発せられる光は窓部25を透過する際に拡散され、その拡散された光により窓部25全体がリング状に光るようになっている。
【0028】
ここで、制御部31は、上記制限速度の大きさに応じて、LED16の発光状態を制御する。具体的には、制御部31は、制限速度の大きさが、所定値よりも大きい場合にLED16のうち例えば青色(所定色)のLEDを点灯状態に切り替え、所定値よりも大きくない場合に青色のLEDを消灯状態に切り替える。すなわち、制御部31は、制限速度の大きさが所定値よりも大きいか否かで、LED16の発光状態を変更する。所定値は、例えばロボット10がユーザと衝突した場合に、ユーザを負傷させる可能性が生じる値に設定されている。なお、LED16のうち青色以外の色のLEDを点灯状態と消灯状態とに切り替えてもよいが、赤色等は緊急状態(特定状態)等を表すため、特定状態で使用されることが規格等で定められている色以外の色を用いることが望ましい。
【0029】
さらに、制御部31は、ユーザがティーチングペンダント40を操作して制限速度を変更した際に、変更された制限速度が、所定値よりも大きい場合に青色のLEDを点灯状態に切り替え、所定値よりも大きくない場合に青色のLEDを消灯状態に切り替える。すなわち、制御部31は、ロボット10が未だ動作していない状態(動作する前の状態)であっても、制限速度が所定値よりも大きい場合に青色のLEDを点灯状態に切り替える。
【0030】
監視部35は、LED16のうち青色のLEDが発光させられる際に青色のLEDに電流が流れているか監視し、青色のLEDに電流が流れていない場合にロボット10を停止させる。例えば、制御部31が青色のLEDを点灯状態に切り替えるように制御している時に、青色のLEDにおける電圧降下の検出結果に基づいて、監視部35は青色のLEDに電流が流れているか否か監視する。ロボット10の停止は、ロボット10の各関節を駆動する各モータの速度を0に制御したり、各モータに供給する電力を遮断したりことにより実行することができる。
【0031】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0032】
・LED16(発光部)は、ロボット10に設けられ、複数の発光状態で発光可能である。このため、ユーザは、ロボット10に近付く際には、ロボット10に設けられたLED16の発光状態を、窓部25を介して容易に確認することができる。そして、制御部31は、ロボット10の動作を制限する制限速度の大きさに応じて、LED16の発光状態を制御する。このため、ユーザは、LED16の発光状態を一瞥することにより、ロボット10の制限速度の大きさを把握することができる。したがって、高速で動作する可能性があるロボット10にユーザが近付くことを抑制することができる。
【0033】
・制御部31は、制限速度の大きさが所定値よりも大きいか否かで、LED16の発光状態を変更する。こうした構成によれば、ユーザは、LED16の発光状態を一瞥することにより、ロボット10の制限速度の大きさが所定値よりも大きいか否かを把握することができる。したがって、ロボット10の制限速度の大きさが所定値よりも大きい場合に、ユーザがロボット10に近付くことを抑制することができる。
【0034】
・LED16は、点灯状態と消灯状態とに切り替え可能であり、制御部31は、制限速度の大きさが、所定値よりも大きい場合に青色のLEDを点灯状態に切り替え、所定値よりも大きくない場合に青色のLEDを消灯状態に切り替える。こうした構成によれば、ユーザは、青色のLEDの発光状態を一瞥して青色のLEDが点灯状態であることを確認することにより、ロボット10の制限速度の大きさが所定値よりも大きいことを、容易に把握することができる。
【0035】
・制御部31は、制限速度が変更された際に、変更された制限速度の大きさが所定値よりも大きいか否かで、青色のLEDの発光状態を変更する。こうした構成によれば、ロボット10の制限速度の変更を、青色のLEDの発光状態に直ちに反映することができる。したがって、高速で動作する可能性があるロボット10にユーザが近付くことを、より早い段階で抑制することができ、ロボットシステムの安全性を向上させることができる。すなわち、制御部31は、ロボット10が未だ動作していない状態であっても、制限速度が所定値よりも大きくなった場合に青色のLEDを点灯状態に切り替える。これにより、ロボット10が高速で動作する可能性があることを、ユーザに未然に告知することができる。
【0036】
・監視部35は、青色のLEDが発光させられる際に青色のLEDに電流が流れているか監視し、青色のLEDに電流が流れていない場合にロボット10を停止させる。こうした構成によれば、青色のLEDが発光させられる際に青色のLEDに実際に電流が流れているか監視することができる。そして、青色のLEDに電流が流れていない場合にロボット10を停止させるため、高速で動作する可能性があるロボット10に、青色のLEDの故障時等にユーザが万一近付くことを抑制することができる。
【0037】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0038】
・監視部35を省略することもできる。
【0039】
図3に示すように、ロボット10アーム12の中間部に窓部125を設け、アーム12の内部にLED装置15を設けることもできる。この場合も、窓部125は、アーム12の外周方向に延びる環状に形成され、光拡散性を有していることが望ましい。こうした構成によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、窓部及びLED装置15を、アーム12の他の部分に設けることもできる。また、LED16をベース11やアーム12の表面に設け、ユーザがLED16を直接視認可能とすることもできる。
【0040】
・LED16は、例えば紫色(第1色)のLEDと、青色(第2色)のLEDとを含んでいてもよい。そして、制御部31は、制限速度の大きさが、所定値よりも大きい場合に紫色のLEDを点灯させ(青色のLEDを消灯)、所定値よりも大きくない場合に青色のLEDを点灯(紫色のLEDを消灯)させてもよい。こうした構成によれば、ユーザは、LED16の発光状態を一瞥して紫色のLEDが点灯(発光)していることを確認することにより、ロボット10の制限速度の大きさが所定値よりも大きいことを、容易に把握することができる。
【0041】
・制御部31は、制限速度の大きさが、所定値よりも大きい場合にLED16のうち例えば青色(所定色)のLEDを点滅状態に切り替え、所定値よりも大きくない場合に青色のLEDを点灯状態に切り替えてもよい。こうした構成によれば、ユーザは、青色のLEDの発光状態を一瞥して青色のLEDが点滅状態であることを確認することにより、ロボット10の制限速度の大きさが所定値よりも大きいことを、容易に把握することができる。
【0042】
・発光部として、LED16に限らず、ハロゲンランプや、電球、蛍光灯等のその他のランプを用いることもできる。
【0043】
図4に示すように、ロボット10のベース11にモニタ27を設け、モニタ27により表示した図形28を発光部として用いることもできる。モニタ27は、例えば液晶パネル等により構成され、ベース11の外周面に複数設けられている。図形28は、例えば円形や、四角形、多角形等であり、表示状態(点灯状態)と非表示状態(消灯状態)とに切り替え可能である。こうした構成によっても、上記実施形態に準じた作用効果を奏することができる。
【0044】
・制御部31は、上記制限速度に代えて上記制限トルクの大きさに応じて、LED16(発光部)の発光状態を制御してもよい。例えば、制御部31は、制限トルクの大きさが、所定値よりも大きい場合にLED16のうち例えば青色(所定色)のLEDを点灯状態に切り替え、所定値よりも大きくない場合に青色のLEDを消灯状態に切り替えてもよい。すなわち、制御部31は、制限トルクの大きさが所定値よりも大きいか否かで、LED16の発光状態を変更してもよい。こうした構成によれば、高トルクで動作する可能性があるロボット10にユーザが近付くことを抑制することができる。なお、制御部31は、制限速度の大きに応じてLEDの発光状態を制御すること、及び制限トルクの大きに応じてLEDの発光状態を制御することの双方を実行することもできる。
【0045】
・ロボット制御装置30は、ロボット10の動作を制限する複数の制限パラメータを含む各シーンを設定可能としてもよい。シーンは、複数の制限パラメータの組み合わせにより構成されており、制限速度(最大速度)及び制限トルク(最大トルク)は制限パラメータに含まれている。制限パラメータは、制限速度及び制限トルクの他に、例えばロボット10の可動範囲(対象関節の可動角度)、制限力(例えばハンド13がワーク等に作用させる力の制限値)等を含む。そして、ロボット制御装置30は、動作プログラム中のコマンド等により、ロボット10に適用するシーンを切り替え可能としてもよい。動作部33は、設定された制限パラメータにより制限した状態で、ロボット10を動作させる。
【0046】
この場合に、制御部31は、シーンが切り替えられた際に、切り替えられたシーンにおける制限速度又は切り替えられたシーンにおける制限トルクの大きさが所定値よりも大きいか否かで、LED16(発光部)の発光状態を変更してもよい。こうした構成によれば、シーンの切替によるロボット10の制限速度又は制限トルクの変更を、LED16の発光状態に直ちに反映することができる。したがって、高速又は高トルクで動作する可能性があるロボット10にユーザが近付くことを、より早い段階で抑制することができ、ロボット10システムの安全性を向上させることができる。なお、シーンがI/Oポートへの出力を含み、制限速度又は制限トルクの大きさとI/Oポートへの出力有無とを対応付けることにより、シーンが切り替えられた場合にI/Oポートへの出力に基づいてLED16の発光状態を制御することもできる。
【0047】
・制御部31は、動作プログラムの開始時に、制限速度又は制限トルクの大きさが所定値よりも大きいか否かで、発光部(例えばLED16)の発光状態を変更することもできる。すなわち、制御部31は、動作プログラムの開始時に、ロボット10の動作を制限する制限速度の大きさに応じて、発光部の発光状態を制御することもできる。
【0048】
・制御部31は、制限速度の大きさを各レベルに区分し、制限速度の各レベルと発光部の各発光状態とを対応付け、制限速度のレベル(大きさ)に応じて、発光部の発光状態を変更(制御)してもよい。なお、制限速度を制限トルクに代えた場合も同様である。
【0049】
・ティーチングペンダント40に代えて、ロボット制御装置30に接続されたPC(コンピュータ)、モニタ、キーボード、マウス等により、ティーチングペンダント40の機能を実現することもできる。
【符号の説明】
【0050】
10…ロボット、16…LED、25…窓部、27…モニタ、28…図形、30…ロボット制御装置、31…制御部、33…動作部、40…ティーチングペンダント、125…窓部。
図1
図2
図3
図4