(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173857
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】比例制御弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
F16K31/06 305Z
F16K31/06 340
F16K31/06 385F
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086375
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】里 宏一
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA05
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB23
3H106DB39
3H106DC02
3H106DC17
3H106EE04
3H106EE34
3H106EE35
3H106GA23
3H106KK12
(57)【要約】
【課題】上流側の圧力(一次圧力)の変化に対する下流側の圧力(二次圧力)の変化を抑制でき、駆動源の小型化、全体としての小型化、軽量化を図れる比例制御弁を提供する。
【解決手段】流体を通す上流室11b及び下流室11d,上流室と下流室の間に介在する弁座11aを含むハウジング10と、上流室の圧力P1が前面21a
1に作用しかつ下流室の圧力P2が背面21a
2に作用するようにハウジング内に配置された第1ダイヤフラム20と、下流室の圧力P2が前面31a
1に作用しかつ大気圧が背面31a
2に作用するようにハウジング内に配置された第2ダイヤフラム30と、第1ダイヤフラム及び第2ダイヤフラムと連動すると共に弁座11aに対して着座及び離脱可能に移動する弁体40と、弁体に駆動力を及ぼす駆動ユニットDuを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を通す上流室及び下流室,前記上流室と前記下流室の間に介在する弁座を含むハウジングと、
前記上流室の圧力が前面に作用しかつ前記下流室の圧力が背面に作用するように前記ハウジング内に配置された第1ダイヤフラムと、
前記下流室の圧力が前面に作用しかつ大気圧が背面に作用するように前記ハウジング内に配置された第2ダイヤフラムと、
前記第1ダイヤフラム及び前記第2ダイヤフラムと連動すると共に前記弁座に対して着座及び離脱可能に移動する弁体と、
前記弁体に駆動力を及ぼす駆動源と、
を含む、比例制御弁。
【請求項2】
前記上流室の圧力をP1、前記下流室の圧力をP2、前記第1ダイヤフラムの有効面積をAd1、前記第2ダイヤフラムの有効面積をAd2、前記弁体の有効面積をAv、前記駆動源の駆動力をFとするとき、前記弁体の移動方向における力の釣合い式は、
P2=[F+(Ad1-Av)・P1]/(Ad2+Ad1-Av)
を満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載の比例制御弁。
【請求項3】
前記第1ダイヤフラムの有効面積Ad1及び前記第2ダイヤフラムの有効面積Ad2は、Ad2/Ad1>1を満たすように形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の比例制御弁。
【請求項4】
前記弁体は、前記弁座に接触し得るべく前記下流室に向けて先細る円錐状面を含む弁部と、前記第1ダイヤフラム及び前記第2ダイヤフラムと連結されるロッド部を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の比例制御弁。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記第1ダイヤフラムの背面が面する背圧室を含み、
前記弁体は、前記下流室と前記背圧室とを連通させる連通路を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の比例制御弁。
【請求項6】
前記駆動源は、前記弁体に係合する可動鉄心及び前記可動鉄心の周りに配置された励磁コイルを含むソレノイドである、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の比例制御弁。
【請求項7】
前記弁体は、鉛直方向に移動する共に自重により前記弁座に着座するように配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の比例制御弁。
【請求項8】
前記可動鉄心を前記弁体に向けて付勢する付勢部材を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の比例制御弁。
【請求項9】
前記上流室は、前記弁座の上方に配置され、前記下流室は、前記弁座の下方に配置されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の比例制御弁。
【請求項10】
前記ハウジングは、
前記上流室,前記下流室,前記弁座,前記弁体の移動方向の両外側に向けてそれぞれ前記上流室を開口する第1開口部及び前記下流室を開口する第2開口部を画定するハウジング本体と、
前記第1開口部を塞ぐように配置された前記第1ダイヤフラムを外側から覆う第1ハウジングカバーと、
前記第2開口部を塞ぐように配置された前記第2ダイヤフラムを外側から覆う第2ハウジングカバーを含む、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の比例制御弁。
【請求項11】
前記弁体は、鉛直方向に移動する共に自重により前記弁座に着座するように配置され、
前記上流室は、前記弁座の上方に配置され、前記下流室は、前記弁座の下方に配置されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の比例制御弁。
【請求項12】
前記ハウジング本体は、前記上流室に通じる流体の入口、及び前記下流室に通じる流体の出口を含み、
前記入口と前記出口は、前記弁体の移動方向において同一高さに配置されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の比例制御弁。
【請求項13】
前記第1ハウジングカバーは、前記第1ダイヤフラムの背面が面する背圧室を画定し、
前記弁体は、前記下流室と前記背圧室とを連通させる連通路を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の比例制御弁。
【請求項14】
前記第2ハウジングカバーは、前記第2ダイヤフラムの背面を大気に開放する開放孔を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の比例制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の通路を開閉する弁体の開度を比例的に制御する比例制御弁に関し、特に、ガス給湯器のシステムに組み込まれてガス流量を調整する際に適用される比例制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の比例制御弁としては、
図12に示すように、ガス流体の入口室1a,出口室1b,入口室1aと出口室1bの間に位置する弁座1cを画定するケース1と、入口室1aの弁座1cと反対側の面を閉塞するダイヤフラム2と、ダイヤフラム2と一体的に往復動して弁座1cに着座し得る弁体3と、弁体3を往復駆動する可動鉄心4aを含むソレノイド4と、弁体3及び可動鉄心4aの自重をキャンセルするスプリング5を備えたガス比例弁が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記構成をなすガス比例弁においては、一般的に、入口室1aの圧力(一次圧力P1)に対して出口室1bの圧力(二次圧力P2)を一定に維持するべく、弁体3の有効面積Avとダイヤフラム2の有効面積Adは、設計上において同一となるように設定されるものである。
例えば、ソレノイド4が開弁方向に及ぼす力をFとすると、弁体3の移動方向における力の釣合い式は、F+Av・P1=Ad・P1+Av・P2となる。この式を整理すると、P2=[F+(Av-Ad)・P1]/Avとなる。
したがって、弁体3の有効面積Avとダイヤフラム2の有効面積Adが同一であれば、一次圧力P1に関係なく二次圧力P2を一定に維持することができる。
【0004】
しかしながら、上記構成をなすガス比例弁においては、ダイヤフラム2が弾性変形し得る柔軟性のある材料で形成され、又、ダイヤフラム2は外周縁部を二つの部材で挟み込むことにより取り付けられるため、各部品の寸法バラツキ又は組付け位置のバラツキにより、ダイヤフラム2の有効面積Adを画定する有効径が変化し、所定の有効面積Adが得られない場合がある。その結果、一次圧力P1の変化に対して二次圧力P2の変化が大きくなる虞がある。
また、従来のガス比例弁では、
図13に示すように、弁体の外径(有効径)を小径化するに連れて二次圧力P2と釣り合う荷重が小さくなるため、僅かな荷重変化でも二次圧力の大きな変化を招く。それ故に、弁体及びソレノイドの小型化、ガス比例弁全体としての小型化及び軽量化が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、従来の問題点を解消して、各部品の寸法精度や組付け精度を高めることなく、弁体の上流側の圧力(一次圧力)の変化に対する下流側の圧力(二次圧力)の変化を抑制でき、弁体の小径化、駆動源の小型化、全体としての小型化、軽量化を図れる、比例制御弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の比例制御弁は、流体を通す上流室及び下流室,上流室と下流室の間に介在する弁座を含むハウジングと、上流室の圧力が前面に作用しかつ下流室の圧力が背面に作用するようにハウジング内に配置された第1ダイヤフラムと、下流室の圧力が前面に作用しかつ大気圧が背面に作用するようにハウジング内に配置された第2ダイヤフラムと、第1ダイヤフラム及び第2ダイヤフラムと連動すると共に弁座に対して着座及び離脱可能に移動する弁体と、弁体に駆動力を及ぼす駆動源と、を含む。
【0008】
上記比例制御弁において、上流室の圧力をP1、下流室の圧力をP2、第1ダイヤフラムの有効面積をAd1、第2ダイヤフラムの有効面積をAd2、弁体の有効面積をAv、駆動源の駆動力をFとするとき、弁体の移動方向における力の釣合い式は、
P2=[F+(Ad1-Av)・P1]/(Ad2+Ad1-Av)
を満たす、構成を採用してもよい。
【0009】
上記比例制御弁において、第1ダイヤフラムの有効面積Ad1及び第2ダイヤフラムの有効面積Ad2は、Ad2/Ad1>1を満たすように形成されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記比例制御弁において、弁体は、弁座に接触し得るべく下流室に向けて先細る円環状のテーパ面を含む弁部と、第1ダイヤフラム及び第2ダイヤフラムと連結されるロッド部を含む、構成を採用してもよい。
【0011】
上記比例制御弁において、ハウジングは、第1ダイヤフラムの背面が面する背圧室を含み、弁体は、下流室と背圧室とを連通させる連通路を含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記比例制御弁において、駆動源は、弁体に係合する可動鉄心及び可動鉄心の周りに配置された励磁コイルを含むソレノイドである、構成を採用してもよい。
【0013】
上記比例制御弁において、弁体は、鉛直方向に移動する共に自重により弁座に着座するように配置されている、構成を採用してもよい。
【0014】
上記比例制御弁において、可動鉄心を弁体に向けて付勢する付勢部材を含む、構成を採用してもよい。
【0015】
上記比例制御弁において、上流室は、弁座の上方に配置され、下流室は、弁座の下方に配置されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記比例制御弁において、ハウジングは、上流室,下流室,弁座,弁体の移動方向の両外側に向けてそれぞれ上流室を開口する第1開口部及び下流室を開口する第2開口部を画定するハウジング本体と、第1開口部を塞ぐように配置された第1ダイヤフラムを外側から覆う第1ハウジングカバーと、第2開口部を塞ぐように配置された第2ダイヤフラムを外側から覆う第2ハウジングカバーを含む、構成を採用してもよい。
【0017】
上記比例制御弁において、弁体は、鉛直方向に移動する共に自重により弁座に着座するように配置され、上流室は、弁座の上方に配置され、下流室は、弁座の下方に配置されている、構成を採用してもよい。
【0018】
上記比例制御弁において、ハウジング本体は、上流室に通じる流体の入口及び下流室に通じる流体の出口を含み、入口と出口は、弁体の移動方向において同一高さに配置されている、構成を採用してもよい。
【0019】
上記比例制御弁において、第1ハウジングカバーは、第1ダイヤフラムの背面が面する背圧室を画定し、弁体は、下流室と背圧室とを連通させる連通路を含む、構成を採用してもよい。
【0020】
上記比例制御弁において、第2ハウジングカバーは、第2ダイヤフラムの背面を大気に開放する開放孔を含む、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記構成をなす比例制御弁によれば、各部品の寸法精度や組付け精度を高めることなく、弁体の上流側の圧力(一次圧力)の変化に対する下流側の圧力(二次圧力)の変化を抑制でき、弁体の小径化、駆動源の小型化、全体としての小型化、軽量化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る比例制御弁を示すものであり、上方斜めから視た外観斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る比例制御弁を下方斜めから視た外観斜視図である。
【
図3】一実施形態に係る比例制御弁に含まれる駆動ユニットの外観斜視図である。
【
図4】一実施形態に係る比例制御弁において、鉛直方向に延びる軸線と流体の入口及び出口の中心を通る直線を含む面で切断した斜視断面図である。
【
図5】一実施形態に係る比例制御弁において、鉛直方向に延びる軸線と流体の入口及び出口の中心を通る直線を含む面で切断した縦断面図である。
【
図6】一実施形態に係る比例制御弁において、流体の入口及び出口の中心を通る直線に垂直でかつ鉛直方向に延びる軸線を含む面で切断した縦断面図である。
【
図7】一実施形態に係る比例制御弁において、ハウジングを構成するハウジング本体を上方斜めから視た外観斜視図である。
【
図8】一実施形態に係る比例制御弁において、ハウジングを構成するハウジング本体を下方斜めから視た外観斜視図である。
【
図9】一実施形態に係る比例制御弁において、弁体の移動方向における力の釣合い式に関連する圧力、有効面積、駆動力等を示す模式図である。
【
図10】本発明の比例制御弁において、第1ダイヤフラムの有効面積と第2ダイヤフラムの有効面積の比(Ad
2/Ad
1)と、下流室の圧力(二次圧力)の変化(ΔP2)との関係を示すグラフである。
【
図11】本発明の比例制御弁において、上流室の圧力(一次圧力P1)と下流室の圧力(二次圧力P2)との関係を示すグラフである。
【
図12】従来の比例制御弁の構造を示す断面図である。
【
図13】従来の比例制御弁における弁体の外径(有効径)と下流側の圧力(二次圧力)の変化(ΔP2)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
一実施形態に係る比例制御弁は、例えば、ガス給湯器のシステムに組み込まれてガス流体の流量を制御するものであり、
図1ないし
図3に示すように、弁ユニットVu及び駆動源としての駆動ユニットDuにより構成されている。
【0024】
弁ユニットVuは、ハウジング10、第1ダイヤフラム20、第2ダイヤフラム30、弁体40を備えている。
駆動ユニットDuは、フレーム部材50、スリーブ60、可動鉄心70、励磁コイル80、付勢部材としてのバネ90を備えている。
そして、比例制御弁は、弁体40及び可動鉄心70の移動方向である軸線Sを鉛直方向Vdに方向付け、弁体40が上側で可動鉄心70が下側に配置されるようにして、ガス給湯器のシステムに組み込まれる。
【0025】
ハウジング10は、アルミニウム等の金属材料を用いて成形されたハウジング本体11と、ステンレス鋼板等の金属材料を用いてプレス成形された第1ハウジングカバー12及び第2ハウジングカバー13により構成されている。
【0026】
ハウジング本体11は、
図1、
図2、
図4ないし
図8に示すように、六面体の輪郭をなし、軸線Sを中心とする弁座11a、上流室11b、入口11c、下流室11d、出口11e、第1開口部11f、第1環状溝部11g、第1環状凹部11h、二つのネジ穴11i、第2開口部11j、第2環状溝部11k、第2環状凹部11m、二つのボス部11nを備えている。
【0027】
弁座11aは、流体を通す通路としての軸線Sを中心とする内径Dの円孔11a
1を画定するべく円環状に形成され、弁体40の弁部41が軸線S方向において離脱可能に着座し得るようになっている。ここで、内径Dは、
図9に示すように、弁体40の有効径を画定する。
上流室11bは、流体を通す通路であり、弁座11aの上流側でかつ鉛直方向Vdにおいて弁座11aの上方に形成されている。
入口11cは、流体をハウジング10内に流入させるべく、軸線Sに垂直な直線C上に中心をもつ円孔として形成されている。
下流室11dは、流体を通す通路であり、弁座11aの下流側でかつ鉛直方向Vdにおいて弁座11aの下方に形成されている。
出口11eは、流体をハウジング10から流出させるべく、軸線Sに垂直な直線C上に中心をもつ円孔として形成されている。
そして、入口11cと出口11eは、ガス給湯器のシステムにおいてガス供給管の途中に接続されるようになっている。
また、入口11cと出口11eは、直線C上に配列されており、すなわち、弁体40の移動方向(軸線S方向)において同一の高さに配置されている。これにより、ハウジング本体11の軸線S方向における寸法を小さくすることができ、小型化に寄与する。
【0028】
第1開口部11fは、軸線S方向すなわち弁体40の移動方向の一方側に向けて上流室11bを開口する円孔として形成されている。そして、第1開口部11fは、第1ダイヤフラム20で塞がれるようになっている。
第1環状溝部11gは、第1ダイヤフラム20の外周縁部21bが嵌め込まれるべく、第1開口部11fの周りにおいて軸線S方向の外向きに凹む円環状に形成されている。
第1環状凹部11hは、軸線S方向において第1環状溝部11gの外側に隣接して形成され、第1ハウジングカバー12の環状部12bが嵌め込まれるように形成されている。
二つのネジ穴11iは、第1ハウジングカバー12を締結固定するネジb1を捩じ込むべく形成されている。
【0029】
第2開口部11jは、軸線S方向すなわち弁体40の移動方向の他方側に向けて下流室11dを開口する円孔として形成されている。そして、第2開口部11jは、第2ダイヤフラム30で塞がれるようになっている。
第2環状溝部11kは、第2ダイヤフラム30の外周縁部31bが嵌め込まれるべく、第2開口部11jの周りにおいて軸線S方向の外向きに凹む円環状に形成されている。
第2環状凹部11mは、軸線S方向において第2環状溝部11kの外側に隣接して形成され、第2ハウジングカバー13の環状部13aが嵌め込まれるように形成されている。
二つのボス部11nは、軸線S方向の外側に突出する円柱状に形成され、駆動ユニットDuのフレーム部材50(アウターヨーク51)を締結固定するネジb2を捩じ込むべく形成されている。
【0030】
第1ハウジングカバー12は、
図1、
図4ないし
図6に示すように、フランジ部12a、環状部12b、有底円筒部12cを備えている。
フランジ部12aは、ハウジング本体11の軸線S方向における端面に接合される領域であり、ネジb1を通す二つの円孔12a
1を備えている。
環状部12bは、第1ダイヤフラム20の外周縁部21bを第1環状溝部11gに向けて押圧するべく、ハウジング本体11の第1環状凹部11hに嵌め込まれるように形成されている。
有底円筒部12cは、外向きに突出する底壁と軸線Sを中心とする円筒壁を含むように形成され、第1ダイヤフラム20の背面21a
2が面する背圧室Bc
1を画定する。
【0031】
そして、第1ハウジングカバー12は、第1ダイヤフラム20が弁体40に連結されてハウジング本体11の第1開口部11fを塞ぐように配置された状態で、第1ダイヤフラム20の外周縁部21bを押圧固定すると共に第1ダイヤフラム20を軸線S方向の外側から覆うように、ハウジング本体11に接合されてネジb1により締結固定される。
【0032】
第2ハウジングカバー13は、
図2、
図4ないし
図6に示すように、環状部13a、環状凹部13b、嵌合凹部13c、中央開口部13d、開放孔13eを備えている。
環状部13aは、第2ダイヤフラム30の外周縁部31bを第2環状溝部11kに向けて押圧するべく、ハウジング本体11の第2環状凹部11mに嵌め込まれるように形成されている。
環状凹部13bは、軸線Sを中心とする円環状の凹部として形成され、第2ダイヤフラム30の背面31a
2が面する背圧室Bc
2を画定する。また、環状凹部13bの外面は、軸線Sに垂直な平坦面として形成され、駆動ユニットDuに含まれるフレーム部材50のアウターヨーク51により軸線S方向の内側に向けて押圧されるようになっている。
嵌合凹部13cは、軸線Sを中心とする内側円筒面を画定し、OリングR1を介して駆動ユニットDuのスリーブ60が嵌合されるように形成されている。
中央開口部13dは、軸線Sを中心とする円孔として形成され、弁体40の嵌合軸部42dを非接触にて、すなわち、所定の隙間をおいて挿通させる。
開放孔13eは、第2ダイヤフラム30の背面31a
2に大気圧を作用させるべく、フレーム部材50(アウターヨーク51)の凹部51a
2を介して背圧室Bc
2を大気に開放する。
【0033】
そして、第2ハウジングカバー13は、第2ダイヤフラム30が弁体40に連結されてハウジング本体11の第2開口部11jを塞ぐように配置された状態で、第2ダイヤフラム30の外周縁部31bを押圧固定すると共に第2ダイヤフラム30を軸線S方向の外側から覆うようにハウジング本体11に接合されて、フレーム部材50のアウターヨーク51により押圧されると共にアウターヨーク51がネジb2により締結固定されることにより保持される。
【0034】
第1ダイヤフラム20は、
図4ないし
図6に示すように、弾性変形可能なゴム材料により形成されたゴム盤21、固定キャップ22を備えている。
ゴム盤21は、弾性変形可能な環状膜部21a、ハウジング本体11の第1環状溝部11gに嵌め込まれる外周縁部21b、中央部21cを備えている。
環状膜部21aは、弾性変形可能な薄膜をなすと共に軸線Sを中心とする円環状に形成され、上流室11bに面する前面21a
1、背圧室Bc
1に面する背面21a
2を備えている。
外周縁部21bは、軸線Sを中心とする円環状で、かつ、第1環状溝部11gの溝深さよりも高い寸法の肉厚をなすように形成されている。
中央部21cは、弁体40の嵌合軸部42bが嵌合されるべく、軸線Sを中心とする嵌合孔を画定すると共に外周縁部21bよりも厚い肉厚をなす円筒状に形成されている。
固定キャップ22は、ゴム盤21の中央部21cを弁体40の嵌合軸部42bに押圧して固定する共に、第1ハウジングカバー12の内壁面に当接して弁体40の全開位置を規定するように形成されている。
【0035】
すなわち、第1ダイヤフラム20は、弁座11aよりも上流側において上流室11bに臨んで第1開口部11fを塞ぐようにハウジング10内に配置され、軸線S方向に移動する弁体40に連動すると共に、前面21a1に上流室11bの圧力(一次圧力P1)が作用し、弁体40の連通路40aを介して背面21a2に下流室11dの圧力(二次圧力P2)が作用するようになっている。
そして、第1ダイヤフラム20は、上流室11bの圧力P1と下流室11dの圧力P2の変動に応じて調圧作用を及ぼす役割をなす。
【0036】
第2ダイヤフラム30は、
図4ないし
図6に示すように、弾性変形可能なゴム材料により形成されたゴム盤31、固定盤32を備えている。
ゴム盤31は、弾性変形可能な環状膜部31a、ハウジング本体11の第2環状溝部11kに嵌め込まれる外周縁部31b、中央部31cを備えている。
環状膜部31aは、弾性変形可能な薄膜をなすと共に軸線Sを中心とする円環状に形成され、下流室11dに面する前面31a
1、背圧室Bc
2に面する背面31a
2を備えている。
外周縁部31bは、軸線Sを中心とする円環状で、かつ、第2環状溝部11kの溝深さよりも高い寸法の肉厚をなすように形成されている。
中央部31cは、円板部31c
1と、弁体40の嵌合軸部42dが嵌合されるべく軸線Sを中心とする嵌合孔を画定すると共に外周縁部31bよりも厚い肉厚をなす円筒部31c
2を含むように形成されている。
固定盤32は、ゴム盤31の中央部31cの領域に隣接して配置され、円板部31c
1を保持すると共に円筒部31c
2を弁体40の嵌合軸部42dに固定するように形成されている。
【0037】
すなわち、第2ダイヤフラム30は、弁座11aよりも下流側において下流室11dに臨んで第2開口部11jを塞ぐようにハウジング10内に配置され、軸線S方向に移動する弁体40に連動すると共に、前面31a1に下流室11dの圧力(二次圧力P2)が作用し、第2ハウジングカバー13の開放孔13eを通して背面31a2に大気圧が作用するようになっている。
そして、第2ダイヤフラム30は、下流室11dの圧力P2の変動に応じて調圧作用を及ぼす役割をなす。
【0038】
弁体40は、ポペット弁として形成され、弁部41、弁部41から軸線S方向に伸長するロッド部42を備えている。
弁部41は、軸線Sを中心とする略円錐台状に形成され、外周領域において弁座11aに接触し得るべく下流室11dに向けて先細ると共に凸状に湾曲する円環状のテーパ面41aを備えている。
ロッド部42は、軸線Sを中心とする円柱状に形成され、上側軸部42a、嵌合軸部42b、下側軸部42c、嵌合軸部42dを備えている。
また、弁体40は、下流室11dに臨む領域から第1ダイヤフラム20の背面21a2が面する背圧室Bc1に臨む領域に伸長して、下流室11dと背圧室Bc1とを連通させる連通路40aを備えている。
【0039】
上側軸部42aは、上流室11b内において、弁部41から軸線S方向の外側(上向き)に伸長する円柱状に形成されている。
嵌合軸部42bは、軸線S方向において上側軸部42aに連続すると共に上側軸部42aより小さい多段の外径をなし、第1ダイヤフラム20のゴム盤21の中央部21cが嵌合されると共に固定キャップ22が嵌合されるように形成されている。尚、嵌合軸部42bは、上側軸部42aと一体的に形成されても又は別体に形成された後に上側軸部42aに連結固定されてもよい。
下側軸部42cは、上側軸部42aと同一の外径をなし、下流室11d内において、弁部41から軸線S方向の内側(下向き)に伸長する円柱状に形成されている。
嵌合軸部42dは、軸線S方向において下側軸部42cに連続すると共に下側軸部42cより小さい多段の外径をなすように下側軸部42cと一体的に形成されている。そして、嵌合軸部42dには、第2ダイヤフラム30のゴム盤31の中央部31c(円筒部31c2)が嵌合されると共に固定盤32が嵌合される。また、嵌合軸部42dは、先端側の領域が第2ハウジングカバー13の中央開口部13dを挿通して、その端部42d1が駆動ユニットDuの可動鉄心70と離脱可能に接触する。
【0040】
すなわち、弁体40は、軸線S方向において、第1ダイヤフラム20及び第2ダイヤフラム30と連動すると共に、弁座11aに対して着座及び離脱可能に移動し、又、軸線S方向において可動鉄心70の駆動力が及ぼされるようになっている。
【0041】
フレーム部材50は、軟鉄等により形成されて磁力線を通す磁路として機能するものであり、アウターヨーク51、インナーヨーク52、エンドヨーク53により構成されている。
アウターヨーク51は、略コ字状に屈曲して形成され、軸線S上に位置する嵌合孔51a1及び凹部51a2を画定する平板部51a、二つの脚部51b、平板部51aから延出すると共にネジb2を通す円孔51c1を含む二つのフランジ部51c、二つの連結部51dを備えている。
インナーヨーク52は、略矩形の平板部52a、平板部52aに連続して軸線S上に位置する嵌合孔52b1を画定すると共に外周面にボビン81が嵌合される円筒部52b、アウターヨーク51の連結部51dに連結される二つの連結部52cを備えている。
エンドヨーク53は、略矩形の平板状53a、軸線Sを中心とする二段径の有底円筒部53b、アウターヨーク51の連結部51dに連結される二つの連結部53cを備えている。
【0042】
スリーブ60は、ステンレス等の金属材料を用いて軸線Sを中心とする円筒状に形成され、可動鉄心70を軸線S方向に摺動自在にガイドする役割をなす。
そして、スリーブ60は、アウターヨーク51の嵌合孔51a1及びインナーヨーク52の嵌合孔52b1に嵌合されると共に、上端領域がOリングR1を介して第2ハウジングカバー13の嵌合凹部13cに嵌合され、下端領域がOリングR2を介してエンドヨーク53の有底円筒部53bに嵌合されて組み込まれる。
これにより、スリーブ60は、可動鉄心70を軸線S方向に摺動自在にガイドする。
【0043】
可動鉄心70は、軸線S方向に伸長する円柱状をなし、スリーブ60内に摺動自在に配置され、上端当接部71、下端バネ受け部72を備えている。
上端当接部71は、円形の平坦面として形成され、弁体40の嵌合軸部42dの端部42d1と離脱可能に当接する。
下端バネ受け部72は、環状凹部の底において平坦面として形成され、軸線S方向においてバネ90の上端部を受ける。
すなわち、可動鉄心70は、軸線S方向において、弁体40に係合して駆動力を及ぼすようになっている。
【0044】
励磁コイル80は、軸線Sを中心として、アウターヨーク51及びインナーヨーク52に挟み込まれて保持された樹脂製のボビン81の周りに巻回されている。
ボビン81には、励磁コイル80から延出する二本の端子81aがモールドにより一体的に成型されている。
【0045】
バネ90は、圧縮型のコイルバネであり、可動鉄心70を弁体40に向けて軸線S方向に付勢するべく、スリーブ60の内側において、上端部91が可動鉄心70の下端バネ受け部72に当接し、下端部92がエンドヨーク53の有底円筒部53bの底壁に当接して、軸線S方向に伸縮するように配置される。
【0046】
そして、バネ90は、軸線S方向(鉛直方向Vd)において、弁体40、第1ダイヤフラム20、第2ダイヤフラム30、及び可動鉄心70の重量を略キャンセルするように支えると共に、弁体40が自重により弁座11aに着座した休止位置に位置するように、可動鉄心70に対して鉛直方向Vdの上向きに付勢力を及ぼす役割をなす。
【0047】
上記構成をなす比例制御弁において、
図9に示すように、ハウジング10の上流室11bの圧力(一次圧力)をP1及び下流室11dの圧力(二次圧力)をP2、第1ダイヤフラム20の有効面積をAd
1、第2ダイヤフラム30の有効面積をAd
2、弁体40の有効面積をAv、駆動ユニットDu(可動鉄心70)の駆動力をFとするとき、弁体40の移動方向(軸線S方向)における力の釣合い式は、
軸線S方向において、
上向きに作用する力=下向きに作用する力
F+Av・P2+Ad
1・P1=Ad
2・P2+Av・P1+Ad
1・P2
上記の式をP1とP2について整理すると、
(Ad
2+Ad1-Av)・P2=F+(Ad
1-Av)・P1
となり、入力変数である圧力P1,出力変数である圧力P2の関数式として、
P2=[F+(Ad
1-Av)・P1]/(Ad
2+Ad
1-Av) ・・・(a)
が得られる。
ここで、有効面積Ad
1,Av,Ad
2とは、圧力P1,P2を受けて推力として有効に作用する面の有効径から算出した面積である。尚、有効径とは、圧力P1,P2を受けて推力として有効に作用する面の直径である。
また、第1ダイヤフラム20の有効面積Ad
1と弁体40の有効面積Avとは、好ましくは設計上同一の値に設定されるが、各部品の寸法バラツキや組付けのバラツキにより、両者は近似する値となる。
すなわち、上記構成をなす比例制御弁は、上記関数式(a)を満たすように形成されている。
【0048】
また、上記構成をなす比例制御弁において、第2ダイヤフラム30の有効面積Ad
2と第1ダイヤフラム20の有効面積Ad
1との比(Ad
2/Ad
1)に対する下流室11dの圧力P2の変化(変化量ΔP2)の関係は、
図10に示すグラフとして得られる。
すなわち、Ad
2/Ad
1の値の増減に対して、下流室11dの圧力(二次圧力)P2が緩やかに変化する関係が得られる。特に、Ad
2/Ad
1の値が大きくなるに連れて、下流室11dの圧力(二次圧力)P2の変化量ΔP2が小さくなる。
すなわち、
図11に示すように、従来の比例制御弁に比べて、本発明の比例制御弁では、上流室11bの圧力(一次圧力)P1の変化に対して下流室11dの圧力(二次圧力)P2の変化(ΔP2)を小さくすることができる。それ故に、下流室11dの圧力P2を所望される一定値に近づけて流量を制御することができる。
【0049】
ここで、第2ダイヤフラム30の有効面積Ad2と第1ダイヤフラム20の有効面積Ad1との比(Ad2/Ad1)について検討するに、仮に、Ad2/Ad1=1(Ad2=Ad1)した場合、上記の関係式(a)は、
P2=[F+(Ad1-Av)・P1]/(Ad1+Ad1-Av)と置き換えられ、
Ad1とAvが略同一(近似した値)であるため、以下の近似式、
P2=[F+(Ad1-Av)・P1]/Ad1として表すことができ、この近似式は、従来の比例制御弁におけるP1,P2の関係式、P2=[F+(Av-Ad)・P1]/Avと同等のものとなる。したがって、Ad2/Ad1の値は、1よりも大きくすることが好ましい。
すなわち、上記構成をなす比例制御弁においては、第1ダイヤフラム20の有効面積Ad1と第2ダイヤフラム30の有効面積Ad2との関係は、Ad2/Ad1>1を満たすように形成されることが好ましい。より好ましくは、Ad2/Ad1>2を満たすように形成される。
【0050】
次に、上記比例制御弁が、ガス給湯器のシステムに組み込まれた状態での動作について説明する。
先ず、作動停止の状態において、比例制御弁の上流側及び下流側に配置された制御弁(不図示)は閉弁し、励磁コイル80は非通電であり、弁体40は、
図5に示すように弁座11aに着座して閉弁した休止位置にある。
この停止状態から、制御機器により燃焼動作の開始信号が発せられると、制御弁が適宜開弁されると共に、励磁コイル80が通電されて、可動鉄心70の駆動力Fが作用し、弁体40は、弁座11aからリフトして開弁する。
そして、制御信号に応じて、励磁コイル80の通電がPWM制御されて、要求される弁開度に調整される。
【0051】
尚、弁体40が、最大リフトに達すると、固定キャップ22が第1ハウジングカバー12の内壁面に当接してそれ以上の移動が規制される。
一方、制御機器により燃焼停止の信号が発せられると、制御弁が適宜閉弁されると共に、励磁コイル80が非通電とされて、可動鉄心70の駆動力Fが作用しなくなり、弁体40は、自重により弁座11aに着座して閉弁する。
【0052】
以上述べたように、本発明の比例制御弁によれば、流体を通す上流室11b及び下流室11d,上流室11bと下流室11dの間に介在する弁座11aを含むハウジング10と、上流室11bの圧力が前面21a1に作用しかつ下流室11dの圧力が背面21a2に作用するようにハウジング10内に配置された第1ダイヤフラム20と、下流室11dの圧力が前面31a1に作用しかつ大気圧が背面31a2に作用するようにハウジング10内に配置された第2ダイヤフラム30と、第1ダイヤフラム20及び第2ダイヤフラム30と連動すると共に弁座11aに対して着座及び離脱可能に移動する弁体40と、弁体40に駆動力を及ぼす駆動源(駆動ユニットDu)を含む構成となっている。
特に、上流室11bの圧力をP1、下流室11dの圧力をP2、第1ダイヤフラム20の有効面積をAd1、第2ダイヤフラム30の有効面積をAd2、弁体40の有効面積をAv、駆動源(駆動ユニットDu)の駆動力をFとするとき、弁体40の移動方向(軸線S方向)における力の釣合い式は、P2=[F+(Ad1-Av)・P1]/(Ad2+Ad1-Av)を満たすように形成されている。
また、第1ダイヤフラム20の有効面積Ad1及び第2ダイヤフラム30の有効面積Ad2は、Ad2/Ad1>1を満たすように形成されている。
これによれば、各部品の寸法精度や組付け精度を高めることなく、弁体40の上流側の圧力(一次圧力)P1の変化に対する下流側の圧力(二次圧力)P2の変化を従来に比べて抑制でき、又、弁体40を小型化でき、駆動源(駆動ユニットDu)の小型化、全体としての小型化、軽量化を達成することができる。
【0053】
また、本発明の比例制御弁によれば、弁体40が、弁座11aに接触し得るべく下流室11dに向けて先細る円環状のテーパ面41aを含む弁部41と、第1ダイヤフラム20及び第2ダイヤフラム30と連結されるロッド部42を含む構成となっている。
これによれば、弁体40を鉛直方向Vdに移動させると共に鉛直方向Vdの下方から駆動力Fを及ぼす構成において、上記釣合い式を満たすように、弁体40と連動する二つのダイヤフラム(第1ダイヤフラム20、第2ダイヤフラム30)を容易に配置することができる。
また、ハウジング10は、第1ダイヤフラム20の背面21a2が面する背圧室Bc1を含み、弁体40は、下流室11dと背圧室Bc1とを連通させる連通路40aを含む。
これによれば、弁体40の軽量化及び構造の簡素化を達成することができる。
【0054】
また、本発明の比例制御弁によれば、駆動源(駆動ユニットDu)は、弁体40に係合する可動鉄心70及び可動鉄心70の周りに配置された励磁コイル80を含むソレノイドであり、弁体40が鉛直方向Vdに移動する共に自重により弁座11aに着座するように配置されている。
これによれば、所望の駆動力を容易に得ることができると共に、励磁コイル80が非通電の状態でかつ簡単な構造にて弁体40を閉弁位置に保持することができる。
また、可動鉄心70を弁体40に向けて付勢する付勢部材(バネ90)を含むため、付勢部材(バネ90)により、弁体40及び可動鉄心70等の重量をキャンセルする付勢力を及ぼすことができ、その分だけ駆動力を小さくすることができる。
【0055】
また、本発明の比例制御弁によれば、ハウジング10において、上流室11bが弁座11aの上方に配置され、下流室11dが弁座11aの下方に配置されているため、弁体40が鉛直方向Vdに移動する構成において、本発明を容易に成立させることができる。
また、本発明の比例制御弁によれば、ハウジング10が、上流室11b,下流室11d,弁座11a,弁体40の移動方向の両外側に向けてそれぞれ上流室11bを開口する第1開口部11f及び下流室11dを開口する第2開口部11jを画定するハウジング本体11と、第1開口部11fを塞ぐように配置された第1ダイヤフラム20を外側から覆う第1ハウジングカバー12と、第2開口部11jを塞ぐように配置された第2ダイヤフラム30を外側から覆う第2ハウジングカバー13を含む構成となっている。
これによれば、各部品の組付け作業が容易になり、又、必要に応じて分解作業も容易に行うことができる。
【0056】
また、本発明の比例制御弁によれば、ハウジング本体11において、入口11cと出口11eが弁体40の移動方向(軸線S方向)において同一高さに配置されているため、軸線S方向におけるハウジング本体11の薄型化を達成することができ、比例制御弁全体として小型化を達成することができる。
特に、第1ハウジングカバー12は、第1ダイヤフラム20の背面21a2が面する背圧室Bc1を画定し、第2ハウジングカバー13は、第2ダイヤフラム30の背面31a2を大気に開放する開放孔13eを含むため、ハウジング本体11の構造を簡素化することができる。
【0057】
上記実施形態においては、弁体40が鉛直方向Vdに移動すると共に自重により弁座11aに着座する構成において、可動鉄心70を鉛直方向Vdの上向きに付勢するバネ90を備えた比例制御弁を示したが、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において、上下を逆向きにした構成、すなわち、弁体40が下方から上方に向けて移動することで弁座11aに着座して閉弁すると共に可動鉄心70が弁体40の上方から下方に向けて駆動力を及ぼす構成に加えて、背圧室Bc1内に配置される弁体40の下端部を鉛直方向Vdの上方に向けて付勢する付勢部材(コイルバネ)を採用した形態においても、同様に本発明を採用することができる。
【0058】
上記実施形態においては、弁体40に駆動力を及ぼす駆動源として、弁体40に係合する可動鉄心70及び励磁コイル80を含むソレノイドを示したが、これに限定されるものではなく、例えば、弁体と固定鉄心とを非接触に配置し、固定鉄心及び励磁コイルからなるソレノイドと反発力を生じる磁石を弁体に設け、弁体に駆動力を及ぼす駆動源を採用してもよい。
【0059】
上記実施形態においては、流体の通路である上流室及び下流室並びに弁座を画定するハウジングとして、ハウジング本体11、第1ハウジングカバー12、及び第2ハウジングカバー13により構成されるハウジング10を示したが、これに限定されるものではなく、その他の形態をなすハウジングを採用してもよい。
【0060】
上記実施形態においては、第1ダイヤフラム20の背面21a2に下流室11dの圧力P2を作用させるべく、弁体40において、下流室11dと背圧室Bc1を連通させる連通路40aを設けた構成を示したが、これに限定されるものではなく、ハウジング本体に連通路を設けてもよい。
【0061】
以上述べたように、本発明の比例制御弁は、各部品の寸法精度や組付け精度を高めることなく、上流側の圧力(一次圧力)の変化に対する下流側の圧力(二次圧力)の変化を抑制でき、弁体の小径化、駆動源の小型化、全体としての小型化、軽量化を達成することができるため、ガス流体の流量を制御する比例制御弁として適用できるのは勿論のこと、その他の流体の流量を制御するシステムにおいても有用である。
【符号の説明】
【0062】
S 軸線
Vd 鉛直方向
Vu 弁ユニット
Du 駆動ユニット(駆動源)
F 駆動源の駆動力
10 ハウジング
11 ハウジング本体(ハウジング)
11a 弁座
11a1 円孔
D 弁座が画定する円孔の内径
11b 上流室
P1 上流室の圧力
11c 入口
11d 下流室
P2 下流室の圧力
11e 出口
11f 第1開口部
11j 第2開口部
12 第1ハウジングカバー(ハウジング)
Bc1 背圧室
13 第2ハウジングカバー(ハウジング)
Bc2 背圧室
13e 開放孔
20 第1ダイヤフラム
21a1 前面
21a2 背面
Ad1 第1ダイヤフラムの有効面積
30 第2ダイヤフラム
31a1 前面
31a2 背面
Ad2 第2ダイヤフラムの有効面積
40 弁体
40a 連通路
41 弁部
41a 円環状のテーパ面
Av 弁体の有効面積
42 ロッド部
42a 上側軸部(ロッド部)
42b 嵌合軸部(ロッド部)
42c 下側軸部(ロッド部)
42d 嵌合軸部(ロッド部)
50 フレーム部材(駆動源)
51 アウターヨーク(フレーム部材)
52 インナーヨーク(フレーム部材)
53 エンドヨーク(フレーム部材)
60 スリーブ(駆動源)
70 可動鉄心(ソレノイド、駆動源)
80 励磁コイル(ソレノイド、駆動源)
90 バネ(付勢部材)