(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173862
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物、印刷方法、印刷物及びラミネート積層体
(51)【国際特許分類】
C09D 11/102 20140101AFI20231130BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20231130BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
C09D11/102
B41M1/30 D
B32B27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086380
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 京平
(72)【発明者】
【氏名】波戸 陽一
(72)【発明者】
【氏名】梅林 尚史
(72)【発明者】
【氏名】篭橋 福太郎
(72)【発明者】
【氏名】原田 淳一
【テーマコード(参考)】
2H113
4F100
4J039
【Fターム(参考)】
2H113AA01
2H113AA03
2H113AA06
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4F100AK07B
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4J039AB08
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4J039FA02
(57)【要約】
【課題】保存安定性がよく、印刷適性に優れ、かつ、用途に応じて硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフが良好である軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を提供すること。
【解決手段】 A.顔料、
B.アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gのポリウレタン樹脂を含むバインダー樹脂、
C.有機溶剤、
のA~Cを含有し、
このポリウレタン樹脂は、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、ジアミン成分と、ポリアルキレンポリアミンを含有するポリアミン成分、を含有し、
このポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有し、且つ末端に水酸基を含有する、
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.顔料、
B.アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gのポリウレタン樹脂を含むバインダー樹脂、
C.有機溶剤、
のA~Cを含有し、
このポリウレタン樹脂は、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、ジアミン成分と、ポリアルキレンポリアミン成分を含有するポリアミン成分、を含有し、
このポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有し、且つ末端に水酸基を含有する、
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【請求項2】
ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂を含有する請求項1記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【請求項3】
ポリウレタン樹脂は分子内に水酸基を含有する請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【請求項4】
ジアミン成分として、水酸基を有さないジアミン成分、水酸基を有するジアミン成分を含有する請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【請求項5】
バイオマスポリウレタン樹脂は、バイオマスポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させてなるバイオマスポリウレタン樹脂を含み、前記バイオマスポリオール成分は、植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール成分と、植物由来のカルボン酸成分とを反応させたバイオポリエステルポリオールである請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【請求項6】
植物由来のカルボン酸成分は、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸から選択される1種以上である請求項5に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
【請求項7】
バイオマスポリウレタン樹脂と、下記のバイオマスではないポリウレタン樹脂を含有する請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
バイオマスではないポリウレタン樹脂は、重合成分が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分とポリエステルポリオール成分を含有する高分子ポリオール成分と、ポリアミン成分と、モノアミノアルコール成分を含有する。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を印刷する印刷方法。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を印刷してなる印刷物。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物から形成された印刷層を有するラミネート積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に関する。より詳細には、本発明は、保存安定性(顔料分散性)がよく、印刷適性に優れ、かつ、硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が良好である軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に関する。また、地球温暖化防止や環境負荷低減に貢献でき、保存安定性(顔料分散性)がよく、印刷適性に優れ、かつ、用途に応じて硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が良好である軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性などの機能から、各種プラスチックフィルムを用いた包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には消費者へアピールする意匠性、メッセージ性の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
これらの包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷される表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネート加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷としては、ポリエステル、ナイロン、アルミニウム箔等の各種フィルム上に色インキ、白インキを順次印刷を行なう。その後、該白インキの印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等により、ヒートシールを目的としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている(例えば、特許文献1参照)。
また、用途に応じて、印刷インキを2液化した印刷インキ(2液硬化型印刷インキ)も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、開示された特許では、印刷インキを2液化した場合、ポットライフ(2液安定性)及び耐熱性(熱間ピール強度)が用途により不十分である問題を有していた。
また、近年、枯渇性資源でない産業資源として「バイオマス」が注目されている。「バイオマス」は、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」である。また、環境保全を目的に、1980年代から、バイオマスを原材料とする、バイオマスポリマーが開発されている。バイオマスポリマーは、地球環境温暖化防止策として有用と考えられており、成形加工、繊維、不織布、包装、トナー、インキ、塗料、フィルム・シート、フォーム、コーティング、接着剤など、多種多様な製品の素材として期待されている。
特許文献3には、植物由来の原料利用率の高いバイオポリウレタン樹脂を含有する印刷インキが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、開示された特許でも、印刷インキを2液化した場合、ポットライフ(2液安定性)及び耐熱性(熱間ピール強度)が用途により不十分である問題を有していた。
これを解決するために、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、ポリアミン成分と、さらに、活性アミノ基活性水素を有する活性アミノ基1個と他の活性水素基を有する特定のアミン成分(アミノアルコール)を含み、末端活性アミノ基型のポリウレタン樹脂の、末端アミノ基の一部が他の活性水素基に置き換えられたポリウレタンポリウレア構造を有してなる、樹脂1分子当たりの平均アミノ基数が、1.00以上、1.90以下のものであるバイオポリウレタン樹脂とイソシアネート化合物を含むハードナーが配合されている印刷インキが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
しかし、この印刷インキを用いた場合でも、ポットライフ(2液安定性)が十分でなく、印刷適性も十分でない問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-97959号公報
【特許文献2】特開2017-025143号公報
【特許文献3】国際公開第2018/199085号
【特許文献4】特開2022-014668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のバイオポリウレタン樹脂とイソシアネート化合物を含む硬化剤が配合されている印刷インキ、特許文献4に記載のバイオポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物を含む硬化剤が配合されている印刷インキでは、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が十分でなく、印刷適性も十分でない問題を有していた。
これに対して、本発明は、保存安定性(顔料分散性)がよく、印刷適性に優れ、かつ、硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が良好である軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を提供することを課題とする。また、地球温暖化防止や環境負荷低減に貢献でき、保存安定性がよく、印刷適性に優れ、かつ、用途に応じて硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が良好である軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を提供することも課題とする。
さらに、特定のバイオマスポリウレタン樹脂とバイオマスポリウレタン樹脂以外の特定のポリウレタン樹脂を併用使用すること、又はバイオマスポリウレタン樹脂以外の特定のポリウレタン樹脂を使用することにより、高温多湿時のロール汚染、圧胴汚れ、重ね刷り時のインキ溶け出し耐性が向上する軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、下記の特定の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を発明した。
本発明は以下の通りである。
1.A.顔料、
B.アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gのポリウレタン樹脂を含むバインダー樹脂、
C.有機溶剤、
のA~Cを含有し、
このポリウレタン樹脂は、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、ジアミン成分と、ポリアルキレンポリアミン成分を含有するポリアミン成分、を含有し、
このポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有し、且つ末端に水酸基を含有する、
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
2.ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂を含有する1記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
3.ポリウレタン樹脂は分子内に水酸基を含有する1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
4.ジアミン成分として、水酸基を有さないジアミン成分、水酸基を有するジアミン成分を含有する1~3のいずれかに記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
5.バイオマスポリウレタン樹脂は、バイオマスポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させてなるバイオマスポリウレタン樹脂を含み、前記バイオマスポリオール成分は、植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール成分と、植物由来のカルボン酸成分とを反応させたバイオポリエステルポリオールである1~4のいずれかに記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
6.植物由来のカルボン酸成分は、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸から選択される1種以上である5に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
7.バイオマスポリウレタン樹脂と、下記のバイオマスではないポリウレタン樹脂を含有する1~6のいずれかに記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
バイオマスではないポリウレタン樹脂は、重合成分が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分、ポリエーテルポリオール成分とポリエステルポリオール成分を含有する高分子ポリオール成分と、ポリアミン成分と、モノアミノアルコール成分を含有する。
8.1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を印刷する印刷方法。
9.1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を印刷してなる印刷物。
10.1又は2に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物から形成された印刷層を有するラミネート積層体。
【発明の効果】
【0006】
本発明の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物によれば、保存安定性(顔料分散性)がよく、印刷適性に優れ、かつ、硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が良好である。
また、地球温暖化防止や環境負荷低減に貢献でき、保存安定性(顔料分散性)がよく、印刷適性に優れ、かつ、用途に応じて硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)が良好である。
さらに、特定のバイオマスポリウレタン樹脂と、特定のバイオマスではないポリウレタン樹脂を使用することにより、高温多湿時のロール汚染、圧胴汚れ、重ね刷り時のインキ溶け出し耐性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物>
本発明の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物(以下、場合により「インキ組成物」ともいう)は、
1.A.顔料、
B.アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gのポリウレタン樹脂を含むバインダー樹脂、
C.有機溶剤、
のA~Cを含有し、
ポリウレタン樹脂は、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、ジアミン成分と、ポリアルキレンポリアミン成分を含有するポリアミン成分、を含有し、
このポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有し、且つ末端に水酸基を含有する、
軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物である。
以下、それぞれについて説明する。
【0008】
<顔料>
顔料は、一般に有機溶剤を含有するインキ組成物で使用され得る無機、有機及び体質顔料が例示される。無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が例示される。有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が例示される。体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等が例示される。
顔料の含有量は、特に限定されず、インキ組成物により着色された印刷を行うことができる含有量であれば良い。インキ組成物中に顔料を0.5~50.0質量%となるよう含有され得る。顔料の含有量が0.5質量%未満である場合、印刷部の着色が不充分となる傾向がある。一方、顔料の含有量が50.0質量%を超える場合、印刷適性が不充分となる傾向がある。
【0009】
<アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gのポリウレタン樹脂>
本発明におけるポリウレタン樹脂としては、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、さらにジアミン成分とポリアルキレンポリアミンとを含有するポリアミン成分、を含有する。つまり、このポリウレタン樹脂は、分子の末端に、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基と、水酸基を有する。言い換えれば、このポリウレタン樹脂は、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、さらにジアミン成分とポリアルキレンポリアミン成分とを含有するポリアミン成分を、含む成分を反応してなる。
さらに、好ましくは、重合成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノアミノアルコール成分と、さらに水酸基を有さないジアミン成分及び水酸基を有するジアミン成分を含有するジアミン成分とポリアルキレンポリアミンとを含有するポリアミン成分、を含有する。つまり、このポリウレタン樹脂は、分子の末端に、第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基と、分子内及び分子の末端水酸基を有する。言い換えれば、このポリウレタン樹脂は、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、モノモノアミノアルコール成分と、さらに水酸基を有さないジアミン成分及び水酸基を有するジアミン成分を含有するジアミン成分とポリアルキレンポリアミン成分とを含有するポリアミン成分を、含む成分を反応してなる。
そして、ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂及びバイオマスではない石油由来のポリウレタン樹脂のいずれでも良い。さらに、環境面から3.0~100質量%、好ましくは10.0~100質量%がバイオマスポリウレタン樹脂であってよく、このバイオマスポリウレタン樹脂は、バイオポリエステルポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを反応させた構造の樹脂を含む。
さらに、バイオポリエステルポリオール成分は、植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール成分と、植物由来のカルボン酸成分とを反応させたバイオポリエステルポリオールを含むことを基本とすることができる。
【0010】
本発明のポリウレタン樹脂は、アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gのものである。そして、保存安定性、印刷適性及び硬化剤を配合した場合の、残肉インキ組成物のポットライフ(2液安定性)の点から、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有する。
中でもアミン価は、2.50mgKOH/g以上が好ましく、3.00mgKOH/g以上がより好ましい、また4.40mgKOH/g以下が好ましく、4.00mgKOH/g以下がより好ましい。さらに水酸基価は、5.20mgKOH/g以上が好ましく、5.50mgKOH/g以上がより好ましい。また6.30mgKOH/g以下が好ましく、6.00mgKOH/g以下がより好ましい。
【0011】
(ポリウレタン樹脂)
ポリウレタン樹脂としては、バイオマスポリウレタン樹脂及びバイオマスではない石油由来のポリウレタン樹脂のいずれでも良い。本発明では、バイオマスポリウレタン樹脂を含有する場合について詳細に説明する。バイオマスではない石油由来のポリウレタン樹脂としては、下記に記載のバイオマスポリウレタン樹脂で記載している併用可能なバイオマスポリウレタン樹脂以外の石油由来のポリウレタン樹脂が使用できる。
(バイオマスポリウレタン樹脂)
本発明における上記のポリウレタン樹脂の3.0~100質量%、好ましくは10.0~100質量%はバイオマスポリウレタン樹脂である。そして残りの0~97.0質量%、好ましくは0~90.0質量%は石油由来のポリウレタン樹脂である。なお、バイオマスポリウレタン樹脂は、環境面から、バインダー樹脂中、固形分換算で、10.0質量%以上含まれることが好ましく、40.0質量%以上含まれることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
以下に本発明におけるバイオマスポリウレタン樹脂について説明する。
本発明におけるバイオマスポリウレタン樹脂は、重合成分として、バイオポリエステルポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、下記条件のポリアミン成分と、モノアミノアルコール成分とを、反応させた樹脂である。
・バイオポリエステルポリオール成分
バイオポリエステルオール成分は、環境面から植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール成分と、植物由来カルボン酸成分とを反応させたバイオポリエステルポリオールであることが好ましい。
植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオールとしては、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等が例示できる。これらは併用されてもよい。
【0012】
上記植物由来のカルボン酸成分としては、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グルタル酸、ダイマー酸、アゼライン酸等である。これらは併用されてもよい。
好ましくは、セバシン酸、コハク酸、ダイマー酸である。
さらに、より好ましくは、セバシン酸とコハク酸とを含むことが好ましい。セバシン酸とコハク酸の質量比率は、セバシン酸/コハク酸=10/90~90/10であることが好ましい。
【0013】
・ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート成分としては特に限定されない。一例を挙げると、ポリイソシアネート成分は、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物を混合して得られたものである。また、バイオマス由来のポリイソシアネート成分も使用することができる。
また、上記ポリイソシアネート成分と上記高分子ポリオール成分の使用比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比率(イソシアネートインデックス(I.I.))が、1.2~1.8となる範囲が好ましい。
【0014】
・モノアミノアルコール成分
モノアミノアルコール成分は反応停止剤として機能し、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及び1-アミノ-2,3-プロパンジオール等が例示できる。これによりバイオマスポリウレタン樹脂の分子末端に水酸基を有することになる。
【0015】
・ポリアミン成分
ポリアミン成分としては、鎖伸長剤、反応停止剤として機能するものであり、ジアミン成分とポリアルキレンポリアミン成分を含有する。より好ましくは、水酸基を有さないジアミン成分及び水酸基を有するジアミン成分を含有するジアミン成分とポリアルキレンポリアミン成分を含有するポリアミン成分を含有する。
ジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類等の水酸基を有さないジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等のジアミン成分が例示できる。
ポリアルキレンポリアミン成分としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン類等のポリアルキレンポリアミン成分が例示できる。
本発明では、好ましくは、再溶解性を向上させるために、水酸基を有するジアミン類を、水酸基を有さないジアミン類と併用使用するが好ましい。水酸基を有さないジアミン類としては、脂環構造を有する水酸基を有さないジアミン類が好ましい。
更に本発明では、バイオマスポリウレタン樹脂の凝集力、保存安定性(顔料分散性)を向上させるために、ポリアルキレンポリアミン成分をさらに併用使用する。
本発明では、上記モノエタノールアミンと共に、ポリアルキレンポリアミン、水酸基を有するジアミン類、及び、水酸基を有さない脂環式ジアミン類を併用することがより好ましい。
【0016】
(バイオマスポリウレタン樹脂の合成時に必要に応じて添加することができる成分)
本発明中のバイオマスポリウレタン樹脂の合成時に、必要に応じて、鎖伸長剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物、グリセリン等のトリオール化合物、反応停止剤としては、メタノール、エタノール等のモノアルコール類、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類等を使用できる。グリセリン等のトリオール化合物を使用することにより側鎖に水酸基を有するバイオマスポリウレタン樹脂を得ることもできる。
バイオマスポリウレタン樹脂は、上記各成分を反応させ、保存安定性、印刷適性、用途に応じて硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)の点から、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基、より好ましくは分子内及び分子の末端水酸基を含有し、アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.00~6.70mgKOH/gとなるようにする。
【0017】
バイオマスポリウレタン樹脂の製造方法としては、例えば、下記(1)~(5)のいずれかを採用できる。
(1)バイオマスポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤としてジアミン成分を加え、鎖伸長を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、反応停止剤としてモノアミノアルコール成分を反応させ、次いで、ポリアミン成分を加え反応させ、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するバイオマスポリウレタン樹脂を得る方法。
(2)バイオマスポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤としてジアミン成分を加え、鎖伸長を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、反応停止剤であるモノアミノアルコール成分と、ポリアミン成分を同時に加えて反応させ、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するバイオマスポリウレタン樹脂を得る方法。
(3)バイオマスポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤と反応停止剤とはたらくポリアミン化合物と、反応停止剤であるモノアミノアルコール成分とを同時に加えて反応させ、鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するバイオマスポリウレタン樹脂を得る方法。
(4)バイオマスポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、反応停止剤であるモノアミノアルコール成分を加え反応させ、次いで、ポリアミン化合物を加え、鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するバイオマスポリウレタン樹脂を得る方法。
(5)バイオマスポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、一部のポリアミン化合物を加え、鎖伸長を行い、次いで、反応停止剤であるモノアミノアルコール成分を加え反応させ、その後、残りのポリアミン化合物を加え、鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するバイオマスポリウレタン樹脂を得る方法。
上記(1)~(5)のバイオマスポリウレタン樹脂を得る方法において、ポリアミン成分として水酸基を有するジアミン類を使用することにより分子内に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0018】
バイオマスポリウレタン樹脂以外の併用可能な石油由来のポリウレタン樹脂について説明する。
石油由来のポリウレタン樹脂としては、重合成分として、高分子ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、下記条件のポリアミン成分と、モノアミノアルコール成分を含有する。言い換えれば、高分子ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、下記条件のポリアミン成分と、モノアミノアルコール成分を含有する成分を反応してなる。その石油由来のポリウレタン樹脂として、下記条件(1)、(2)を満たす石油由来のポリウレタン樹脂が例示できる。
(1)末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有する。
(2)アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価が5.00~6.70mgKOH/gである。
ポリアミン成分は、ジアミン成分とポリアルキレンポリアミンとを含有する。さらに、好ましくは、下記条件(3)、(4)、(5)を満たすことが好ましい。
(3)ジアミン成分は、水酸基を有さないジアミン成分及び水酸基を有するジアミン成分を含有する。
(4)ポリウレタン樹脂は、重合成分として、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートを含むポリイソシアネート成分、高分子ポリオール成分と、ポリアミン成分と、モノアミノアルコール成分を含有する。
(5)高分子ポリオール成分は、ポリエーテルポリオール成分とポリエステル成分を含有する。
【0019】
・高分子ポリオール成分
高分子ポリオール化合物成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等アルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物と、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上また、を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等のポリエステルジオール化合物が例示できる。より好ましくは、印刷適性から併用して使用する。
さらに、上記高分子ジオール化合物成分に加えて、性能が低下しない範囲で、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物成分の単独又は2種以上を併用して使用することができる。
【0020】
・ポリイソシアネート成分
ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物を、1種又は2種以上混合して使用できる。
ポリイソシアネート成分としては、高温多湿時のロール汚染、圧胴汚れ、重ね刷り時のインキ溶け出し耐性の点からジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートとを併用使用する。ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナートとイソホロンジイソシアネートの質量比率が、ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアナート/イソホロンジイソシアネート=95/5~10/90となる範囲が好ましい。
また、上記ポリイソシアネート成分と上記高分子ポリオール成分の使用比率は、イソシアネート基/水酸基の当量比率(イソシアネートインデックス(I.I.))が、1.2~2.3となる範囲である。
【0021】
・ポリアミン成分
ポリアミン成分としては、鎖伸長剤、反応停止剤として機能するものであり、ジアミン成分とポリアルキレンポリアミン成分を含有する。より好ましくは、水酸基を有さないジアミン成分及び水酸基を有するジアミン成分を含有するジアミン成分とポリアルキレンポリアミン成分を含有するポリアミン成分を含有する。
ジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類等の水酸基を有さないジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等のジアミン成分が例示できる。
ポリアルキレンポリアミン成分としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン類等のポリアルキレンポリアミン成分が例示できる。
本発明では、好ましくは、再溶解性を向上させるために、水酸基を有するジアミン類を、水酸基を有さないジアミン類と併用使用することが好ましい。水酸基を有さないジアミン類としては、脂環構造を有する水酸基を有さないジアミン類が好ましい。
更に本発明では、バイオマスポリウレタン樹脂の凝集力、保存安定性(顔料分散性)を向上させるために、ポリアルキレンポリアミン成分をさらに併用使用する。
本発明では、上記モノエタノールアミンと共に、ポリアルキレンポリアミン、水酸基を有するジアミン類、及び、水酸基を有さない脂環式ジアミン類を併用することがより好ましい。
【0022】
・モノアミノアルコール成分
モノアミノアルコール成分としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン及び1-アミノ-2,3-プロパンジオール等が例示でき、反応停止剤として使用される。これにより石油由来のポリウレタン樹脂の分子末端に水酸基を有することになる。
【0023】
(バイオマスポリウレタン樹脂以外の石油由来のポリウレタン樹脂の合成時に必要に応じて添加することができる成分)
石油由来のポリウレタン樹脂の合成時に、必要に応じて、鎖伸長剤として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物、グリセリン等のトリオール化合物、反応停止剤としては、メタノール、エタノール等のモノアルコール類、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等のアルキルアミン類等を使用できる。グリセリン等のトリオール化合物を使用することにより側鎖に水酸基を有する石油由来のポリウレタン樹脂を得ることもできる。
石油由来のポリウレタン樹脂は、上記各成分を反応させ、保存安定性、印刷適性、用途に応じて硬化剤を配合した場合においても、残肉インキのポットライフ(2液安定性)の点から、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基、より好ましくは分子内及び末端に水酸基を含有し、アミン価が2.07~4.55mgKOH/g、水酸基価5.0~6.70mgKOH/gとなるようにする。
【0024】
石油由来の成分のみを使用したバイオマスではないポリウレタン樹脂の製造方法としては、例えば、下記(1)~(4)のいずれかを採用できる。
(1)ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤としてポリアミン成分を加え、鎖伸長を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、反応停止剤としてモノアミノアルコール成分を反応させ、次いで、ポリアミン成分を反応させ、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(2)ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤としてポリアミン成分を加え、鎖伸長を行い末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得た後、反応停止剤として、モノアミノアルコール成分とポリアミン成分を同時に加えて反応させ、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(3)ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖伸長剤と反応停止剤としてはたらくポリアミン化合物と反応停止剤であるモノアミノアルコール成分とを同時に加えて反応させ、鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(4)ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、反応停止剤であるモノアミノアルコール成分を加え反応させ、次いで、ポリアミン化合物を加え、鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(5)ポリオール成分及びポリイソシアネート成分を反応させた、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、一部のポリアミン化合物を加え、鎖伸長を行い、次いで、反応停止剤であるモノアミノアルコール成分を加え反応させ、その後、残りのポリアミン化合物を加え、鎖伸長と反応停止を同時に行い、末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、且つ末端に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得る方法。
(1)~(5)のポリウレタン樹脂を得る方法において、ポリアミン成分として水酸基を有するジアミン類を使用することにより分子内に水酸基を含有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0025】
本発明の軟包装用印刷インキ組成物は、バイオマスポリウレタン樹脂、及び、石油由来の成分のみを使用したバイオマスではないポリウレタン樹脂は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の要求される性能に応じて、それぞれの成分の分子量や化学構造、また当量比は、所望されるポリウレタン樹脂の硬さ等に基づいて適宜調整されればよい。
【0026】
<併用可能なバインダー樹脂>
本発明のポリウレタン樹脂と併用可能なバインダー樹脂としては、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、他のセルロース誘導体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ダイマー酸系樹脂、マレイン酸系樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、コーパル樹脂、酸化ポリプロピレン等の樹脂が挙げられ、上記インキ組成物の用途に応じて適宜選択することができる。
【0027】
・有機溶剤
本発明のインキ組成物に使用される有機溶剤としては、トルエン、ケトン系有機溶剤(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル系有機溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルなど)、アルコール系有機溶剤(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなど)、炭化水素系溶剤(トルエン、メチルシクロヘキサンなど)が利用できる。
なお、環境問題への対応と、インキの印刷適性や乾燥性などを考慮して、中でも印刷時のインキ組成物の有機溶剤として、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合溶剤を、エステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=50/50~95/5の範囲、好ましくはエステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=60/40~85/15の範囲となるように使用することが好ましい。
さらに、インキの印刷適性の点から、印刷時のインキ組成物中に酢酸プロピルを5.0質量%以上、好ましくは15.0質量%以上含有させることが好ましい。
【0028】
・水
水は、本発明のインキ組成物の流動性を付与するために、インキ組成物中に0.1~10.0質量%配合される。
水の含有量は、インキ組成物中、0.1質量%以上であればよく、1.0質量%以上であることが好ましい。また、水の含有量は、インキ組成物中、9.0質量%以下であることが好ましい。水の含有量が0.1質量%未満である場合、インキ組成物は、粘度が高くなる傾向がある。一方、水の含有量が10.0質量%を超える場合、インキ組成物は、インキ組成物のバランスが崩れる傾向がある。
【0029】
・必要に応じて添加される添加剤
必要に応じて添加される添加剤としては、ロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂等の密着性向上剤、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド等のブロックキング防止剤、顔料分散剤、架橋剤、滑剤、レベリング剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤等が挙げられ、上記インキ組成物の用途に応じて適宜選択することができる。
【0030】
(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体)
ポリウレタン樹脂を含むだけでは、顔料が充分に分散されない場合や、金属蒸着フィルム等の接着性やラミネート適性を向上させる場合には、軟包装ラミネート用印刷インキ組成物は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体が併用されることが好ましい。塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの共重合体であってもよい。中でも、塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの共重合体は、環境に配慮したインキの有機溶剤系においては、水酸基を有する、好ましくは、50~200の水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体が好適である。このような水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、及び酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の皮膜物性や溶解挙動が決定される。すなわち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂皮膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮したインキの有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 -CH2-CHCl-
式2 -CH2-CH(OCOCH3)-
式3 -CH2-CH(OH)-
このような水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体の具体例としては、日信化学工業社のソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL、C、CH、CN、CNL等を挙げることができる。
末端に第1級アミノ基又は第2級アミノ基を有するアミン価2.07~4.55mgKOH/gを有し、且つ末端に水酸基を含有するポリウレタン樹脂と塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体との合計の含有量は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物中に、5~20質量%であることが好ましい。
【0031】
(硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂)
本発明の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物は、耐ブロッキング性を向上させるために、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂が併用されてもよい。
硝化綿は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成中に、0.1~2.0質量%含有されることが好ましい。セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成中に、0.1~3.0質量%含有されることが好ましい。
【0032】
(硝化綿)
硝化綿は、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿が使用され得る。硝化綿は、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本発明において使用され得る硝化綿は、窒素量10~13%、平均重合度35~90のものが好ましい。具体例としては、硝化綿は、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NC RS-2、(KCNC、KOREA CNC LTD社)等である。
【0033】
(セルロースアセテートプロピオネート樹脂)
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されているセルロースアセテートプロピオネート樹脂が使用され得る。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、セルロースを酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化は0.6~2.5重量%、プロピオネート化は42.0~46.0重量%、水酸基は1.8~5.0重量%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートプロピオネート樹脂の具体例は、関東化学社のセルロースアセテートプロピオネート等である。
【0034】
(他のバインダー樹脂)
さらに、本発明のインキ組成物は、その他のバインダー樹脂として、性能が低下しない範囲、さらにコストを考慮して、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン、ロジン誘導体や粘着性樹脂等が補助的に添加されてもよい。
【0035】
(密着性向上剤)
<塩素化ポリプロピレン>
塩素化ポリプロピレンとしては、塩素化度が20~50%のものが好適に使用される。塩素化度が上記範囲内であることにより、塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤との相溶性が優れ、かつ、フィルムに対する接着性が優れる。なお、本発明において、塩素化度は、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の質量%で定義される。また、塩素化ポリプロピレンは、質量平均分子量が5000~200000の変性された、又は未変性の塩素化ポリプロピレンであることが好ましい。質量平均分子量が上記範囲内であることにより、塩素化ポリプロピレンは、接着性が優れ、かつ、有機溶剤への溶解性が優れる。また、塩素化ポリプロピレンを使用する場合は、インキ組成物の固形分質量%で、3.0質量%以下で使用することが好ましい。
【0036】
(ダンマル樹脂)
ダンマル樹脂は、ダマール、ダンマーとも表記され、植物由来の天然樹脂の一種である。詳細には、マレーシア、インドネシアなど東南アジアに生育するフタバガキ科又はカンラン科植物から得られる天然樹脂の一種である。ダンマル樹脂は、使用する際には適当な有機溶剤に溶解させてワニスとする。ダンマル樹脂は塩素を含有しないため、印刷インキ組成物に塩素化ポリオレフィン樹脂を使用する場合に比べ、塩素を排除・低減することができる。また、ダンマル樹脂を使用する場合は、インキ組成物の固形分質量%で、3.0質量%以下で使用することが好ましい。
【0037】
(ブロッキング防止剤)
(シリカ粒子)
シリカ粒子は、天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のものなどが挙げられる。シリカ粒子は、平均粒子径が1.0~5.0μmのものが好ましい(なおシリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる)。シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良く、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良い。これらの中でも、シリカ粒子は、親水性のものが好ましい。親水性シリカ粒子を含むインキ組成物は、重ね印刷時のインキの濡れ・広がりを促し、重ね印刷効果(以下「トラッピング性」と記載する場合がある)を向上させる効果も有する。シリカ粒子を使用する場合は、インキ組成物中に3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下で使用する。
【0038】
(ポリエチレンワックス)
ポリエチレンワックスとしては、平均粒子径が1.0~3.0μmの範囲のもの(なお、平均粒子径は、#1:Honeywell社 Microtrac UPAにて測定した粒径を意味する)を使用する。ポリエチレンワックスの粒子径が上記範囲内であることにより、インキ組成物は、すべり性、ブロッキング性、トラッピング性が優れる。また、ポリエチレンワックスを使用する場合は、インキ組成物中の含有量は、1.5質量%以下が好ましい。
【0039】
(脂肪酸アミド)
脂肪酸アミドとしては、脂肪酸から酸基を除いた残基とアミド基を有するものであれば特に限定されない。脂肪酸アミドとしては、たとえば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、及びエステルアミド等が挙げられ、耐ブロッキング性が向上するため、モノアミド、置換アミド、及びビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。脂肪酸アミドの使用量は、インキ組成物中に、1質量%以下の範囲であることが好ましい。
【0040】
・モノアミド:モノアミドは下記一般式(1)で表される。
一般式(1) R1-CONH2
(式中、R1は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
モノアミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
【0041】
・置換アミド:置換アミドは下記一般式(2)で表される。
一般式(2) R2-CONH-R3
(式中、R2及びR3は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良い。)
置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
【0042】
・ビスアミド:ビスアミドは下記一般式(3)あるいは一般式(4)で表される。
一般式(3) R4-CONH-R5-HNCO-R6
一般式(4) R7-NHCO-R8-CONH-R9
(式中、R4、R6、R7、及びR9は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良い。R5及びR8は炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表し、同一でも異なっていても良い。)
ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
【0043】
・メチロールアミド:メチロールアミドは下記一般式(5)で表される。
一般式(5) R10-CONHCH2OH
(式中、R10は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
メチロールアミドの具体例としては、メチロールパルミチン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールオレイン酸アミド、メチロールエルカ酸アミド等が挙げられる。
【0044】
・エステルアミド:エステルアミドは、下記一般式(6)で表される。
一般式(6) R11-CONH-R12-OCO-R13
(式中、R11及びR13は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R12は炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
エステルアミドの具体例としては、ステアリルアミドエチルステアレート、オレイルアミドエチルステアレート等が挙げられる。
【0045】
脂肪酸アミドの融点は、50℃~150℃であることが好ましい。
また、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸としてさらに好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、不飽和脂肪酸としてさらに好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
【0046】
(帯電防止剤)
帯電防止剤としては、従来、グラビア印刷インキに使用されている公知のものが使用できる。具体的な例としては、硝酸ヤシアルキルビス(ヒドロキシエチル)メチル、ヤシアルキルビス(ヒドロキシエチル)メチルクロライド、4級アンモニウム塩化合物(硫酸塩)、塩化モノアルキルトリメチルアンモニウム、塩化モノアルキルベンジルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩(塩酸塩)、チオシアン酸塩、アルキルイミダゾリン、アルキルイミダゾリウム等が例示できる。帯電防止剤を使用する場合は、帯電防止剤の含有量は、インキ組成物中に、3.0質量%以下となるように使用することが好ましい。
【0047】
<硬化剤>
硬化剤としては、従来から軟包装用ラミネート用インキ組成物に使用されているものが使用できる。具体的には、具体的には、ビウレット、イソシアヌレート、アダクト等の多官能イソシアネート化合物が利用でき、24A-100、22A-75、TPA-100、TSA-100、TSS-100、TAE-100、TKA-100、P301-75E、E402-808、E405-70B、AE700-100、D101、D201、A201H(旭化成株式会社製)、マイテックY260A(三菱ケミカル株式会社製)、コロネート CORONATE HX、コロネート CORONATE HL、コロネート CORONATE L(東ソー株式会社製)、デスモジュール N75MPA/X(バイエル社製)等が例示できる。硬化剤は、軟包装用ラミネート用インキ組成物に硬化剤を固形分で0.7~2.4%配合させることが好ましい。硬化剤の量、種類については、使用する軟包装用ラミネート用インキ組成物の種類及び用途に応じて適宜選択して配合する。
【0048】
<本発明のインキ組成物の製造方法>
本発明の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、インキ組成物は、A.顔料、B.末端に第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基を有し、かつ末端に水酸基を有するポリウレタン樹脂、C.有機溶剤及び水、等の成分を、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、パールミル等の公知の各種の分散・混練装置を使用し分散・練肉した後、水及び各種任意成分を添加し、撹拌混合することにより、調製され得る。得られた軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物は、各成分の含有量や、バインダー樹脂と有機溶剤との組み合わせなどを調整して、粘度を10~1000mPa・sとする。硬化剤は、インキ製造時、印刷直前に加えることができるが、安定性の点より、印刷直前に含有させることが好ましい。
【0049】
グラビア印刷時に使用する場合は、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物に硬化剤を含有していない場合は、硬化剤を加え撹拌し、印刷時の雰囲気温度において、印刷条件に応じて適切な粘度となるように、具体的にはザーンカップ3号の流出秒数が12~23秒/25℃、高速印刷では14~16秒/25℃程度となるまでエステル系溶剤及びアルコール系溶剤等の有機溶剤で希釈することが好ましい。
このとき、本発明のポリウレタン樹脂の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、ポリウレタン樹脂の含有量は、軟包装ラミネート用印刷インキ組成物中、1.5質量%以上であることが好ましく、6.0質量%以上がより好ましい。また、17.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましい。ポリウレタン樹脂の含有量が1.5質量%未満である場合、保存安定性が低下する傾向がある。一方、ポリウレタン樹脂の含有量が17.0質量%を超える場合、インキ組成物の粘度が高くなる傾向がある。上記含有量の範囲内でポリウレタン樹脂が含有される場合、得られる軟包装ラミネート用印刷インキ組成物は、浅版化された版胴を用いて印刷しても、従来のインキ組成物と同様な、良好な印刷濃度、印刷適性及びラミネート適性を示し得る。
本発明のバインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂のほかに、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂及びその他のバインダー樹脂が併用されてもよい。
【0050】
<本発明のインキ組成物を用いた印刷方法、印刷物>
本発明のインキ組成物を用いた印刷方法は、例えば、公知のラミネート用の基材である樹脂フィルムに、インキ組成物をグラビア印刷等の公知の方式で1回以上印刷を行う。次いで、必要により、これらの印刷により形成した印刷インキ層の表面側の任意の個所に、他のインキ組成物をグラビア印刷等の公知の方式で印刷を行い、ドライヤーにより乾燥させる方法が例示できる。またこの方法で得られた印刷物も本発明に含まれる。
このとき使用される基材の樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの延伸及び無延伸ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ビニロン、スチレン等を挙げることができる。さらにこれら樹脂フィルムについては、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込みなどの加工をして得られるフィルムも使用することが可能である。
また、それら樹脂フィルムとして、各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルム等を使用することができる。
【0051】
(軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を用いてラミネート積層体(ラミネート加工物)を得る方法)
次に、本発明のインキ組成物を用いてラミネート加工物を得る方法について説明する。
本発明におけるラミネート加工物は、たとえば、樹脂フィルムに、まず、白色以外の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で1回以上印刷を行う。次いで、これらの印刷により形成した軟包装用ラミネート用着色インキ層の表面側(最終ラミネート後において、表層からみてより下層側)に、任意に白色の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で印刷を行い、ドライヤーにより乾燥させる。
【0052】
得られた印刷物の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物による層の側に、樹脂フィルム等を各種ラミネート加工法によるラミネート加工を施して、包装袋等用のラミネート加工物を得ることができる。
このラミネート加工物を得る方法としては、印刷物の表面に、必要に応じてチタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を塗工した後、溶融ポリマーを積層させる押し出しラミネート法、印刷物の表面に有機溶剤で適当な粘度に希釈した接着剤を塗工した後、フィルム状ポリマーを貼合させるドライラミネート法、印刷物の表面に無溶剤の接着剤を塗工した後、フィルム状ポリマーを貼合させるノンソルラミネート法が利用できる。
上記押し出しラミネート法は、印刷物の表面に必要に応じて、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン等のアンカーコート剤を塗工した後、既知の押し出しラミネート機によって、溶融ポリマーを積層させる方法であり、さらに溶融樹脂を中間層として、他の材料とサンドイッチ状に積層することもできる。
【0053】
上記押し出しラミネート法で使用する溶融ポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来使用されていた樹脂が使用できる。その中でも溶融の際に酸化されてカルボニル基の発生し易い低密度ポリエチレンとの構成において本発明の効果が高くなる。
また、上記ドライラミネート法は、印刷物の表面に有機溶剤で適当な粘度に希釈したウレタン系、イソシアネート系等の接着剤を塗工し、乾燥後、既知のドライラミネート機によってフィルム状のポリマーを貼合する方法である。また、上記ノンソルラミネート法は、印刷物の表面にウレタン系、イソシアネート系等の接着剤を塗工した後、既知のドライラミネート機によってフィルム状のポリマーを貼合する方法である。ドライラミネート法、ノンソルラミネート法で使用するフィルム用の樹脂としては、ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン等が使用できる。特にレトルト用途で使用される包装材料では、基材と貼合される樹脂フィルムの間にアルミ箔をはさんでラミネートすることもできる。このようなラミネート加工物は、製袋して内容物を詰めた後、ボイル・レトルト用途に利用することもできる。
このとき使用される上記樹脂フィルムとしては、特に限定されない。樹脂フィルムは、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等のポリエステルフィルム、ナイロン、ビニロンといった各種印刷用プラスチックフィルムや、それら各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルム等を使用することができる。
【実施例0054】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0055】
<バイオマスポリウレタン樹脂ワニス>
<ポリウレタン樹脂ワニス1(バイオマスポリウレタン、アミン価5.66mgKOH/g、水酸基価4.37mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを396.10質量部、イソプロピルアルコールを169.80質量部加えた後、イソホロンジアミンを7.09質量部、モノエタノールアミンを0.31質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.44質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部、を加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス1(固形分30質量%)を得た。
【0056】
<ポリウレタン樹脂ワニス2(バイオマスポリウレタン、アミン価4.51mgKOH/g、水酸基価5.24mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを395.40質量部、イソプロピルアルコールを169.40質量部加えた後、イソホロンジアミンを6.45質量部、モノエタノールアミンを0.61質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.31質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス2(固形分30質量%)を得た。
【0057】
<ポリウレタン樹脂ワニス3(バイオマスポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを393.40質量部、イソプロピルアルコールを168.60質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス3(固形分30質量%)を得た。
【0058】
<ポリウレタン樹脂ワニス4(バイオマスポリウレタン、アミン価2.84mgKOH/g、水酸基価6.57mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを394.20質量部、イソプロピルアルコールを169.00質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.49質量部、モノエタノールアミンを1.07質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.12質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス4(固形分30質量%)を得た。
【0059】
<ポリウレタン樹脂ワニス5(バイオマスポリウレタン、アミン価2.20mgKOH/g、水酸基価7.01mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを393.80質量部、イソプロピルアルコールを168.80質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.17質量部、モノエタノールアミンを1.22質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.05質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス5(固形分30質量%)を得た。
【0060】
<ポリウレタン樹脂ワニス6(バイオマスポリウレタン、アミン価1.38mgKOH/g、水酸基価6.13mgKOH/g、ジエチレントリアミンなし)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを394.10質量部、イソプロピルアルコールを168.90質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス6(固形分30質量%)を得た。
【0061】
<ポリウレタン樹脂ワニス7(バイオマスポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g、酸成分としてダイマー酸)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ダイマー酸(植物由来)と1,3-プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを393.40質量部、イソプロピルアルコールを168.60質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス7(固形分30質量%)を得た。
【0062】
<ポリウレタン樹脂ワニス8(バイオマスポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g、グリコール成分としてジエチレングリコール)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)とジエチレングリコール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを393.40質量部、イソプロピルアルコールを168.60質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス8(固形分30質量%)を得た。
【0063】
<ポリウレタン樹脂ワニス9(バイオマスポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g、グリコール成分としてエチレングリコール)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)とエチレングリコール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを393.40質量部、イソプロピルアルコールを168.60質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス9(固形分30質量%)を得た。
【0064】
<ポリウレタン樹脂ワニス10(バイオマスポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g、グリコール成分として1,4-ブタンジオール)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,4-ブタンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールを200質量部、イソホロンジイソシアネートを33.30質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを393.40質量部、イソプロピルアルコールを168.60質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス10(固形分30質量%)を得た。
【0065】
<バイオマスポリウレタン樹脂以外のポリウレタン樹脂>
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス1(バイオマスでないポリウレタン、アミン価5.66mgKOH/g、水酸基価4.37mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコールを100質量部、イソホロンジイソシアネートを16.67質量部、水添MDIを19.67質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを406.6質量部、イソプロピルアルコールを174.26質量部加えた後、イソホロンジアミンを7.09質量部、モノエタノールアミンを0.31質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.44質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応停止させてポリウレタン樹脂ワニス1(固形分30質量%)を得た。
【0066】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス2(バイオマスでないポリウレタン、アミン価4.51mgKOH/g、水酸基価5.24mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコールを100質量部、イソホロンジイソシアネートを16.67質量部、水添MDIを19.67質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを404.80質量部、イソプロピルアルコールを173.49質量部加えた後、イソホロンジアミンを6.45質量部、モノエタノールアミンを0.61質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.31質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス2(固形分30質量%)を得た。
【0067】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス3(バイオマスでないポリウレタン、アミン価3.36mgKOH/g、水酸基価6.12mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコールを100質量部、イソホロンジイソシアネートを16.67質量部、水添MDIを9.67質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを397.91質量部、イソプロピルアルコールを170.53質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス3(固形分30質量%)を得た。
【0068】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス4(バイオマスでないポリウレタン、アミン価2.84mgKOH/g、水酸基価6.57mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコールを100質量部、イソホロンジイソシアネートを16.67質量部、水添MDIを19.67質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを397.29質量部、イソプロピルアルコールを170.27質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.49質量部、モノエタノールアミンを1.07質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.12質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス4(固形分30質量%)を得た。
【0069】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス5(バイオマスでないポリウレタン、アミン価2.20mgKOH/g、水酸基価7.01mgKOH/g)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコールを100質量部、イソホロンジイソシアネートを16.67質量部、水添MDIを19.67質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを396.41質量部、イソプロピルアルコールを170.00質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.17質量部、モノエタノールアミンを1.22質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.05質量部、ジエチレントリアミンを0.29質量部加えて、反応させてポリウレタン樹脂ワニス5(固形分30質量%)を得た。
【0070】
<バイオマスポリウレタン樹脂でないポリウレタン樹脂ワニス6(バイオマスでないポリウレタン、アミン価4.40mgKOH/g、水酸基価6.10mgKOH/g、ポリアルキレンポリアミンなし)の製造例>
撹拌機、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを100質量部、平均分子量2000のポリプロピレングリコールを100質量部、イソホロンジイソシアネートを16.67質量部、水添MDIを19.67質量部仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルを397.44質量部、イソプロピルアルコールを170.33質量部加えた後、イソホロンジアミンを5.81質量部、モノエタノールアミンを0.92質量部、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを1.18質量部加えて反応させてポリウレタン樹脂ワニス6(固形分30質量%)を得た。
【0071】
<軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の製造例>
顔料(フタロシアニンブルーC.I.Pigment Blue 15:4)、各ポリウレタン樹脂ワニス、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体(ソルバインTA-3、日信化 学工業社)を、レッドデビル社のペイントコンディショナーを用いて混練し、さ らに溶媒(該ペイントコンディショナーと溶媒を合わせて混合液とした。)を加えて、表 1、表2に示した実施例及び比較例の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物を得た。
【0072】
(塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体)
ソルバインTA-3、日信化学工業社
(ロジン及びその誘導体)
重合ロジン:酸価160mgKOH/g
(塩素化ポリプロピレン)
塩素化度40%、数平均分子量100,000の塩素化ポリプロピレン(固形分50%) 40質量部とメチルシクロヘキサン60質量部を混合撹拌し、固形分20%の塩素化ポリプロピレンを得た。
(シリカ粒子)
平均粒子径:4.5μm
(ポリエチレンワックス)
平均粒子径:2.11μm
(混合溶剤)
酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=50/30/20
(硬化剤)
硬化剤1:イソホロンジイソシアネート(IPDI)/トリメチロールプロパン(TMP)アダクト品(固形分40%)
硬化剤2:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビューレット品(固形分40%)
硬化剤3:キシレンジイソシアネート(XDI)/トリメチロールプロパン(TMP)アダクト品(固形分40%)
【0073】
(評価)
上記で得られた各実施例及び各比較例の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の性能評価 を下記方法にて行い、評価結果を表1に示す。
<インキ組成物の性能評価>
(保存安定性(顔料分散性))
上記で得られた各実施例及び各比較例の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物をガラス瓶に採取し、60℃の雰囲気温度で14日間保存した時の顔料の沈降の有無から、イ ンキの保存安定性を評価した。
〇:沈降が見られず、インキの保存安定性は良好である
△:少し沈降が見られ、インキの保存安定性がやや不良である
×:沈降が見られ、インキの保存安定性は不良である
【0074】
(2液安定性)
上記で得られた各実施例及び各比較例の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物をガラス瓶に採取し、各インキ100質量部に各硬化剤3質量部添加し、40℃で3日間保存した時のザーンカップNo.3で測定した粘度の変化から、インキの2液安定性を以下の評価基準にしたがって評価した。
(評価基準)
〇:粘度変化が、2秒未満
△:粘度変化が、2秒以上5秒未満
×:粘度変化が5秒以上
(印刷評価)
表3に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物の各々100質量部に対し、さらに表1の配合に対し硬化剤を3質量部、さらに混合溶剤50質量部を加えて希釈し、粘度を離合社ザーンカップ3号で15秒に調整した後、彫刻版(印刷刷版、ヘリオ175線/inch)を備えたグラビア印刷機にて、OPP、PET、NYの処理面に印刷速度150m/分で印刷を行った。印刷時の温度は25℃、湿度は50%であった。
【0075】
<フィルムについて>
PET:片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡績社、E-5102、厚さ12μm
OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡績社、P-2161、厚さ30μm
NY:ナイロンフィルム、東洋紡績社、N-1102、厚さ15μm
【0076】
(ガイドロール取られ)
上記の印刷評価に記載の条件での印刷後、ガイドロールにインキ組成物が付着するかどうか(ガイドロール取られ)試験を行い、印刷適性を評価した。なお、一旦、ガイドロールに付着したインキ組成物が、印刷面に再転移して汚れが発生するため、「ガイドロール取られ」が発生する場合は、美粧印刷物を得ることに対して悪影響を及ぼす。そして、グラビア印刷機のガイドロールによる印刷物インキ塗膜の脱落の有無を目視により評価した。なお、この評価だけは、印刷時の温度及び湿度を、それぞれ10℃、30%、25℃、50%と、30℃、80%にて評価を行った。
〇:無いもの
△:少しあるもの
×:あるもの
【0077】
(接着性)
上記の印刷評価に記載の条件での印刷後、得られた各印刷物の印刷面にセロファンテープを貼り付けて、剥がしたときにインキ被膜が被着体から剥がれる面積の比率から、接着性を評価した。
○:全く剥がれない
△:剥がれる面積が20%未満である
×:剥がれる面積が20%以上である
【0078】
<耐ブロッキング性>
上記の印刷評価に記載の条件での印刷後、得られた各印刷物の印刷面と、各フィルムのコロナ放電処理面とを重ね合わせ、3kg/cm2の荷重をかけて、温度45℃で24時間放置した。その後、インキ面とフィルム面を剥がし、インキ被膜のフィルム面への移行を評価した.
○:抵抗なく剥がれてインキ被膜の移行が全くないもの
△:抵抗はあるがインキ被膜の移行が全くないもの
×:50%未満のインキ被膜の移行が認められたもの
【0079】
(レトルト適性)
上記の印刷評価に記載の条件で、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びナイロン(NY)に印刷後1日経過した各印刷物に、固形分で2.0g/m2となる量のウレタン系接着剤(タケラックA-616/タケネートA-65、三井化学SKCポリウレタン社)を塗布した後、ドライラミネ ート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC-22、厚さ60μm、三井化学東セロ 社)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水90重量%、サラダ油10重量%の混合物を詰めて溶封後、PETに印刷したものは135℃の加圧熱水中に60分間浸漬した時のラミ浮きの有無からレトルト適性を評価した。NYに印刷したものは120℃にした以外は同様の試験評価を行った。この評価によって、ラミネート適性を確認して、レトルト適性を評価できる。
〇:全くラミ浮きが見られないもの
△:ピンホール状もしくは一部に細くて短いラミ浮きがみられるもの
×:長い筋状のラミ浮きが全面にみられるもの
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
表1に記載した、実施例1~11、表2に記載した実施例12~14によれば、保存安定性(顔料分散性)及び2液安定性に優れる。表1及び2に記載の、アミン価と水酸基価が本発明中の範囲外である比較例1及び4、水酸基価が本発明中の範囲外である比較例2及び5、アミン価が本発明中の範囲外である比較例3及び6、によれば、保存安定性(顔料分散性)又は2液安定性が不良であった。
また、表3に示した実施例1~3、8~9、及び12~14それらの混合物である実施例15~19によれば、表には記載していないが保存安定性(顔料分散性)及び2液安定性に優れ、各種の印刷適性に関しても優れた効果を発揮できた。特に実施例15~19によれば、ガイドロール取られ(30℃、80%)がさらに良好となる。