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特開2023-173872DNA薄膜、DNA薄膜担持基板およびDNA薄膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173872
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】DNA薄膜、DNA薄膜担持基板およびDNA薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 21/04 20060101AFI20231130BHJP
   B32B 9/02 20060101ALI20231130BHJP
   B01J 19/08 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
C07H21/04 Z
B32B9/02
B01J19/08 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086391
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】松木 伸行
(72)【発明者】
【氏名】有賀 克彦
(72)【発明者】
【氏名】鯉沼 秀臣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 知正
(72)【発明者】
【氏名】森 泰蔵
(72)【発明者】
【氏名】南 皓輔
(72)【発明者】
【氏名】村田 朋大
【テーマコード(参考)】
4C057
4F100
4G075
【Fターム(参考)】
4C057BB05
4C057CC01
4C057MM04
4F100AA04A
4F100AB11B
4F100AH02A
4F100AH03A
4F100AT00A
4F100BA01
4F100BA02
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DD07A
4F100EH66
4F100JC00A
4F100JK14A
4G075AA13
4G075AA24
4G075BB02
4G075CA02
4G075CA33
4G075CA34
4G075CA36
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB31
4G075EC25
4G075FA12
4G075FB06
4G075FC04
(57)【要約】
【課題】平坦性に優れているDNA薄膜およびDNA薄膜担持基板、ならびに制御性に優れ、高い平坦性を有するDNA薄膜を良好に薄膜化できるDNA薄膜の製造方法を提供する。
【解決手段】表面粗さ(Rms)が10.0nm以下である、DNA薄膜。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面粗さ(Rms)が10.0nm以下である、DNA薄膜。
【請求項2】
フーリエ変換赤外分光光度計で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、核酸塩基由来のピークを有する、請求項1に記載のDNA薄膜。
【請求項3】
フーリエ変換赤外分光光度計で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、核酸塩基由来のピークおよびリン酸骨格由来のピークを有する、請求項1に記載のDNA薄膜。
【請求項4】
基板と、前記基板の表面に設けられる請求項1に記載のDNA薄膜と、を備える、DNA薄膜担持基板。
【請求項5】
DNAを含むターゲット材料に連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーを照射し、前記ターゲット材料に対向配置される基板の表面にDNA薄膜を形成する、DNA薄膜の製造方法。
【請求項6】
前記ターゲット材料は、さらにマトリックス原料を含み、前記ターゲット材料に連続赤外レーザーを照射する、請求項5に記載のDNA薄膜の製造方法。
【請求項7】
前記マトリックス原料は、3-ヒドロキシプロピオン酸とアセトニトリルとクエン酸水素二アンモニウムとを含む、請求項6に記載のDNA薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNA薄膜、DNA薄膜担持基板およびDNA薄膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生物は、多様な物質の中から目的物質を少ない消費エネルギーで特異的に検出できたり、複雑な化合物を簡単に合成できたりするなど、エネルギー面、機能面で多くの長所があることが知られている。近年、このような生物の優れた機能をより幅広くより積極的に産業に活用しようとする考えが、バイオテクノロジーの発展を受けて高まっており、その対象は食料、化学品だけにとどまることなく、工業や健康・医療、更に環境・エネルギー分野まで広がっている。
【0003】
生物自体の不確定要素を除いて、生物の機能をより安定して効率的に利用する上では、生物機能を担う反応素子を電子システムや機械システムなどの非生物素材と融合させてデバイス化することが必要であり、いわゆるリビングデバイスとして、開発が進められている。
【0004】
このようなリビングデバイスにおいて中核となるものは、対象物質との生化学反応や相互作用を通じて対象物質の検出や変換を行い、生化学的なシグナル(分子立体構造変化、イオン濃度勾配など)やエネルギーを取得する、生物機能素子(以下、反応部ともいう)である。
【0005】
リビングデバイスの反応部である生体機能素子を作製する上では、一般的に、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、DNAやRNAのフラグメント、ヌクレオチド、ペプチドなどの生体分子を薄膜状に形成することが行われる。
【0006】
例えば、特許文献1では、陽極と陰極の間に少なくとも1層の有機薄膜を含有し、有機薄膜の少なくとも1層はDNAの薄膜で構成されている、情報記録素子が記載されている。特許文献1では、DNAを溶解した溶液を塗布乾燥してDNAの薄膜を作製している。
【0007】
また、特許文献2では、センシング素子として光応答性DNA薄膜を用いることが提案されている。特許文献2では、DNAの水溶液または疎水処理DNAの有機溶液を用い、スピンコート法、溶媒蒸発法、LB(Langmuir-Blodgett)法、交互吸着法などで光応答性DNA薄膜を作製している。
【0008】
しかしながら、特許文献1~2のようなDNA薄膜では、表面粗度が粗く、厚さが比較的大きくなるために、薄膜の特性、機能性が十分に発揮されないことがある。また、LB法では、薄膜化が期待できるものの、薄膜形成速度や制御性の点で課題が多い。また、色素、指示薬、薬剤などの物質をDNAなどの生体分子に侵入させる場合、湿式法では水分子の介在による静電反発力により、生体分子に侵入可能な物質は正電荷を有する分子に限られるといった制約もある。また、他の薄膜材料と多層化を行ってハイブリッド化したり、デバイスの形状に微細加工したりすることは、湿式法では極めて困難である。
【0009】
また、非特許文献1~2では、真空蒸着法、プラズマ重合法、分子線エピタキシー法のような乾式法での有機化合物の薄膜形成技術が報告されている。しかしながら、非特許文献1~2では、これらの手法によりDNAなどの生体分子の薄膜を形成することに関する検討は何らなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-73556号公報
【特許文献2】特開2003-344286号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「有機機能性分子の薄膜化技術」、志村美知子、表面技術 1994年、45巻、12号、1189-1193頁
【非特許文献2】「選択吸着を利用した蒸着重合法によるキラル分子薄膜の作製」、久保野敦史、科学研究費助成事業データベース、23651090研究成果報告書、2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、平坦性に優れているDNA薄膜およびDNA薄膜担持基板、ならびに制御性に優れ、高い平坦性を有するDNA薄膜を良好に薄膜化できるDNA薄膜の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
[1] 表面粗さ(Rms)が10.0nm以下である、DNA薄膜。
[2] フーリエ変換赤外分光光度計で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、核酸塩基由来のピークを有する、上記[1]に記載のDNA薄膜。
[3] フーリエ変換赤外分光光度計で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、核酸塩基由来のピークおよびリン酸骨格由来のピークを有する、上記[1]に記載のDNA薄膜。
[4] 基板と、前記基板の表面に設けられる上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のDNA薄膜と、を備える、DNA薄膜担持基板。
[5] DNAを含むターゲット材料に連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーを照射し、前記ターゲット材料に対向配置される基板の表面にDNA薄膜を形成する、DNA薄膜の製造方法。
[6] 前記ターゲット材料は、さらにマトリックス原料を含み、前記ターゲット材料に連続赤外レーザーを照射する、上記[5]に記載のDNA薄膜の製造方法。
[7] 前記マトリックス原料は、3-ヒドロキシプロピオン酸とアセトニトリルとクエン酸水素二アンモニウムとを含む、上記[6]に記載のDNA薄膜の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、平坦性に優れているDNA薄膜およびDNA薄膜担持基板、ならびに制御性に優れ、高い平坦性を有するDNA薄膜を良好に薄膜化できるDNA薄膜の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態のDNA薄膜の製造方法で用いられるDNA薄膜製造装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、実施例1-1で得られたDNA薄膜の表面粗度と比較例1-1で得られたDNA薄膜の表面粗度を対比するグラフである。
図3図3は、実施例1-1で得られたDNA薄膜の平均膜厚と比較例1-1で得られたDNA薄膜の平均膜厚を対比するグラフである。
図4図4は、実施例1-2で得られたコンビナトリアル膜厚傾斜DNA薄膜における膜厚制御性を示すグラフである。
図5図5は、実施例1-1で得られたDNA薄膜における膜厚と表面粗度との関係を示すグラフである。
図6図6は、実施例1-3で得られたDNA薄膜の赤外吸収スペクトルと比較例1-1で得られたDNA薄膜の赤外吸収スペクトルを対比するグラフである。
図7図7は、実施例2-1で得られたDNA薄膜を上方から光学顕微鏡で観察した画像である。
図8図8は、実施例2-1で得られたDNA薄膜を触針式表面形状測定器で測定した結果である。
図9図9は、実施例2-1で得られたDNA薄膜および比較例1-1で得られたDNA薄膜の紫外可視透過スペクトル結果である。
図10図10は、実施例2-1で得られたDNA薄膜および比較例1-1で得られたDNA薄膜をフーリエ変換赤外分光光度計で測定した赤外吸収スペクトル結果である。
図11図11は、実施例2-2で得られたDNA薄膜を上方から光学顕微鏡で観察した画像である。
図12図12は、触針式表面形状測定器を用いて、実施例2-2のDNA薄膜表面(図11の矢印部分)を走査した結果である。
図13図13は、実施例2-3で用いたセンサ特性を測定する装置を示す概略図である。
図14図14は、実施例2-3で得られたDNA薄膜のセンサ特性の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、DNAを含むターゲット材料に連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーを照射することによって、平坦性に優れ、生体機能を有するDNA薄膜を成膜化することを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
【0018】
(DNA薄膜)
まず、実施形態のDNA薄膜について説明する。
【0019】
DNA薄膜の表面粗さ(Rms)(二乗平均平方根粗さ)は、10.0nm以下であり、好ましくは9.0nm以下、より好ましくは7.0nm以下、さらに好ましくは5.0nm以下である。DNA薄膜の表面粗さ(Rms)の下限値としては、DNA薄膜を製造するときに用いる基板の表面状態に影響されることがあるが、例えば0.1nm以上である。DNA薄膜は、生体機能を有する。また、DNA薄膜には、少なくともDNAのフラグメントが含まれている。DNA薄膜の表面粗さ(Rms)が10.0nm以下であると、DNA薄膜をナノメートルオーダーで平坦化できる。そのため、リビングデバイスの反応部などに好適に用いられる。
【0020】
また、DNA薄膜の厚さは、例えば1.0×10-3μm以上1.0×10μm以下、好ましくは0.2μm以上3.0μm以下である。DNA薄膜の厚さが上記範囲内であると、リビングデバイスの反応部に好適に用いられる。ただし、DNA薄膜の厚さは、特に限定されるものではなく、用途や機能に応じて適宜選択される。
【0021】
また、DNA薄膜に対するフーリエ変換赤外分光光度計で測定される赤外吸収スペクトルにおいて、核酸塩基由来のピークを有することが好ましく、核酸塩基由来のピークおよびリン酸骨格由来のピークを有することがより好ましい。核酸塩基由来のピークおよびリン酸骨格由来のピークとは、DNAに由来するものである。具体的には、核酸塩基由来のピークとは、C=Nの伸縮振動、C=Oの伸縮振動、C=Cの伸縮振動に由来するピークであり、リン酸骨格由来のピークとは、PO の伸縮振動に由来するピークである。DNA薄膜の赤外吸収スペクトルにおいて、少なくとも核酸塩基由来のピークを有すると、DNA薄膜はDNAに基づく生体機能を十分に有する。このような上記ピークを有するDNA薄膜には、DNAの鎖長方向で切断されたDNAのフラグメントが含まれており、好ましくはDNA(切断されていないDNA)が含まれている。
【0022】
また、DNA薄膜は、DNAとDNA中に侵入した物質とを有する層間化合物をさらに含んでもよい。DNA中に侵入する物質は、着色剤、蛍光物質などが好ましい。
【0023】
また、DNA薄膜の面積は、特に限定されるものではなく、用途や機能に応じて適宜選択される。例えば、DNA薄膜の面積は、100nm(例えば10nm×10nm)以上100m(例えば10m×10m)以下である。このように、DNA薄膜は、ナノメートルオーダーの微細な薄膜から、メートルオーダーの大型の薄膜まで可能である。また、ナノメートルオーダーの微細なDNA薄膜をメートルオーダーのスケールにわたって薄膜化できる。
【0024】
上記のように、DNA薄膜は、表面の平滑性に優れている。さらには、DNA薄膜は、薄膜化に優れ、生体機能を有する。そのため、DNA薄膜は、リビングデバイスの反応部などに好適に用いられる。リビングデバイスとしては、生物化学的な反応に基づいて物質を測定するセンサ、生物化学的な反応によりエネルギーや物質の生産を行うリアクタ、生物化学的な反応を使って物質を動かすアクチュエータ、生物化学的な反応を利用して情報を処理するプロセッサなどが好適である。例えばセンサとしては、アンペア測定電気化学的バイオセンサー、カロリー測定、音響、電位差測定、放射線検知センサ、光学およびISFET基礎バイオセンサーなどが好適である。
【0025】
(DNA薄膜担持基板)
次に、実施形態のDNA薄膜担持基板について説明する。
【0026】
実施形態のDNA薄膜担持基板は、基板と、基板の表面に設けられるDNA薄膜と、を備える。
【0027】
DNA薄膜担持基板を構成するDNA薄膜は、上記実施形態のDNA薄膜である。DNA薄膜担持基板を構成する基板は、基板表面でDNA薄膜を支持できれば、特に限定されるものではなく、用途や機能に応じて適宜選択される。例えば、基板には、無機材料、有機材料、またはハイブリット材料などが好適に用いられる。また、基板は、電子デバイスや電子素子でもよいし、シリコーンオイルのような液状層やゲル状層、もしくはそれらの性状を表面に具備する支持体であってもよい。
【0028】
DNA薄膜担持基板は、上記実施形態のDNA薄膜と同様に、リビングデバイスの反応部などに好適に用いられる。
【0029】
(DNA薄膜の製造方法)
次に、実施形態のDNA薄膜の製造方法について説明する。この製造方法で製造されるDNA薄膜は、上記実施形態のDNA薄膜である。
【0030】
図1は、実施形態のDNA薄膜の製造方法で用いられるDNA薄膜製造装置の一例を示す概略図である。実施形態のDNA薄膜の製造方法は、DNAを含むターゲット材料4に連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザー(以下、両者をまとめてレーザーともいう)5を照射し、ターゲット材料4に対向配置される基板3の表面にDNA薄膜2を形成する。
【0031】
実施形態のDNA薄膜の製造方法で用いられるDNA薄膜製造装置は、実施形態のDNA薄膜の製造方法を行うことができれば特に限定されるものではないが、図1に示すDNA薄膜製造装置1であることが好ましい。
【0032】
図1に示すDNA薄膜製造装置1は、主に、基板3、ターゲット材料4、不図示のレーザー源から照射されるレーザー5(連続赤外レーザー、紫外パルスレーザー)、反応容器6、反応容器6に設けられるレーザー透過窓7、膜厚計8、およびステージ9を備える。反応容器6の内部には、基板3、ターゲット材料4、膜厚計8、およびステージ9が設けられる。
【0033】
反応容器6の下方に設置されるステージ9上には、ターゲット材料4が設けられている。例えば、ターゲット材料4は、シリコンや石英などの基板上に膜の形態で設置される。反応容器6の内部は密閉されている。
【0034】
ターゲット材料4に含まれるDNAの状態は、特に限定されるものではなく、製造されるDNA薄膜の用途、機能などに応じて適宜選択される。好適には、DNA、DNAのフラグメントであることが好ましい。また、DNAは、二重らせん構造を形成可能であればよく、リボ核酸(RNA)を含む構造でもよい。例えば、ターゲット材料4は常温で固形状である。一例として、DNAを純水に溶解して乾燥させることで、常温で固形状のターゲット材料4を得ることができる。
【0035】
ターゲット材料4に含まれるDNAとしては、天然DNAおよび合成DNAのいずれも使用することができ、製造されるDNA薄膜の用途、機能などに応じて、適宜選択される。天然DNAとしては、細菌ウイルスのλファージDNA、大腸菌染色体DNA、仔牛胸腺DNA、サケ精子DNAなどが好ましい。また、合成DNAとしては、ポリ(dA)、ポリ(dT)、ポリ(dG)、ポリ(dC)、ポリ(dA-dT)、ポリ(dG-dC)などを用いて合成装置によって合成可能な合成DNAが好ましい。また、DNAは、塩基配列の異なる種々の合成RNA、相補的塩基対を有するDNA/RNAハイブリッドを含んでもよい。
【0036】
ターゲット材料4に含まれるDNAのサイズとしては、一般的には製造方法の種類に応じて制限されるものの、実施形態のDNA薄膜の製造方法では制限されるものではない。DNAのサイズは、例えば、1bp以上150Gbp以下である。
【0037】
ターゲット材料4に連続赤外レーザーを照射する場合、ターゲット材料4は、DNAに加えて、さらにマトリックス原料を含むことが好ましい。マトリックス原料は、3-ヒドロキシプロピオン酸とアセトニトリルとクエン酸水素二アンモニウムとを含むことが好ましい。
【0038】
また、ターゲット材料4に紫外パルスレーザーを照射する場合、ターゲット材料4は常温で固形状であることが好ましい。
【0039】
また、製造されるDNA薄膜の平坦性が低下せず、およびDNA薄膜の製造方法の制御性が低下しなければ、ターゲット材料4には、DNAに加えて、レーザー吸収材料などの添加物が含まれてもよい。レーザー吸収材料は、連続赤外レーザーや紫外パルスレーザーによる加熱効率を向上できる。
【0040】
また、DNA薄膜2に層間化合物を含ませる場合、DNA薄膜を構成するDNAに侵入させる色素、指示薬、薬剤などの物質についても、ターゲット材料4に含まれてもよい。このような物質について、スピンコート法のような湿式法による成膜方法とは異なり、正電荷を有する分子に限られるといった制約はなく、負電荷を有する分子を用いることも可能である。
【0041】
なお、図1では、DNAに侵入させる物質がターゲット材料4に含まれる例について示しているが、この物質は、ターゲット材料4とは別個に反応容器6内に設けてもよい。この場合、この物質は、レーザー5ではなく、高周波誘導加熱や他のレーザーの照射などによって気化され、DNA薄膜2に混入させてもよい。
【0042】
ターゲット材料4に照射して気化させるレーザーについて、連続赤外レーザーは好ましくは750nm以上850nm以下の波長の光であり、紫外パルスレーザーは好ましくは200nm以上300nm以下の波長の光である。連続赤外レーザーおよび紫外パルスレーザーが上記範囲内の波長の光であると、DNA薄膜の製造制御性が良好であり、製造されるDNA薄膜の平坦性が向上する。また、不図示のレーザー源から照射される連続赤外レーザーおよび紫外パルスレーザーに対して、光学フィルターを用いて波長を制御して、波長を上記範囲内に調整してもよい。
【0043】
また、DNA薄膜の製造制御性およびDNA薄膜の平坦性を向上する観点から、連続赤外レーザーの出力は、1.0W以上3.0W以下であることが好ましい。同様の観点から、紫外パルスレーザーの出力は、0.2W以上1.5W以下であることが好ましい。また、紫外パルスレーザーの繰り返し周波数は、5Hz以上15Hz以下であることが好ましい。
【0044】
DNA薄膜2を表面に形成する基板3は、反応容器6内でターゲット材料4に対向配置される。図1に示すように、ターゲット材料4が反応容器6の下方に設けられる場合には、基板3は反応容器の上方に設けられる。
【0045】
基板3には、無機材料、有機材料、またはハイブリット材料などを用いることができ、DNA薄膜2の用途や機能に応じて適宜設定される。好適には、シリコン(シリコンウェハ)、石英などである。また、基板3は、電子デバイスや電子素子でもよい。基板3の形状としては、基板3の表面に良好なDNA薄膜2が形成できれば、平面状に限定されるものではなく、曲面状やメッシュ状でもよい。また、基板3としては、シリコーンオイルのような液状層やゲル状層、もしくはそれらの性状を表面に具備する支持体であってもよい。
【0046】
DNA薄膜の製造時における基板3の温度は、良好な製造制御性および成膜速度でDNA薄膜2を形成する観点から、15℃以上35℃以下であることが好ましい。例えば、反応容器6内に設けられる不図示の加熱器により、基板3の温度を所定範囲内に制御できる。
【0047】
反応容器6内の圧力は、好ましくは1×10-4Pa以下であることが好ましい。上記範囲内の圧力下でDNA薄膜の製造方法が行われると、DNA薄膜2を良好に薄膜化できる。例えば、DNA薄膜製造装置1に設けられる不図示の減圧ポンプにより、反応容器6内の圧力を所定範囲内に制御できる。
【0048】
反応容器6には、反応容器6の外側に設置される不図示のレーザー源から照射されたレーザー5を透過するレーザー透過窓7が設けられる。例えば、図1に示すように、レーザー透過窓7は、反応容器6の側壁の一部に設けられる。レーザー源から照射されたレーザー5は、反応容器6の外部からレーザー透過窓7を透過して反応容器6の内部に進入し、ステージ9上のターゲット材料4に照射される。レーザー透過窓7は、上記したレーザーの波長を制御する光学フィルターで構成されてもよい。
【0049】
レーザー5は、ターゲット材料4の表面に対して、スポット状に照射することができる。ターゲット材料4の表面におけるスポット状の照射位置は、ターゲット材料4を搭載するステージ9の回転、レーザー5の照射角度や照射位置の変更などによって、適宜変更できる。
【0050】
ターゲット材料を全体的に加熱する場合には、多量のDNAが気化されることによって、反応容器6内の圧力変動が大きくなるため、DNA薄膜の成膜速度の制御が困難になる。一方、上記のように、レーザー5をターゲット材料4の表面に対してスポット状に照射し、ターゲット材料4中のDNAを局所的に気化できる。そのため、反応容器6内の圧力変動が小さいことから、DNA薄膜2の成膜速度を容易に制御できる。
【0051】
反応容器6の内部には、膜厚計8が設けられている。膜厚計8は、DNA薄膜2の厚さを測定できる。
【0052】
また、反応容器6の内部には、マスク10が設けられてもよい。マスク10は、DNA薄膜2が形成される側の基板表面の近傍に設けられる。マスク10は、不図示のモーターによって、基板3の表面に対して移動し、基板3の表面の露出状態を制御できる。
【0053】
マスク10で覆われている基板3の表面部分には、DNA薄膜2が堆積されず、マスク10で覆われていない基板3の表面部分には、DNA薄膜2が堆積される。マスク10を基板表面に対して適宜移動することによって、基板3の表面に堆積されるDNA薄膜2の膜厚を制御できる。このような膜厚制御は、コンビナトリアル膜厚傾斜サンプルの製造に好適である。コンビナトリアル膜厚傾斜サンプルとは、1つの基板上に設けられた、任意の膜厚を連続的に変化させた薄膜を備えるサンプルである。
【0054】
また、マスク10の移動や形状、レーザー5の照射条件を適宜設定することで、ナノメートルオーダー(例えば100nm程度)の微細なDNA薄膜を形成できる。また、基板2を大きくすることで、メートルオーダー(例えば100nm程度)の大型のDNA薄膜を形成できる。さらには、ナノメートルオーダーの微細なDNA薄膜をメートルオーダーのスケールにわたって形成できる。
【0055】
また、図1では、1つのマスク10が設置されている例を示しているが、2つ以上のマスク10が設置されてもよい。
【0056】
膜厚計8で測定されるDNA薄膜2の厚さが所定範囲内に到達後、レーザー5の照射を停止して、DNA薄膜の製造を終了する。
【0057】
上記のように、実施形態のDNA薄膜の製造方法では、ターゲット材料4に連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーを照射する。連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーがターゲット材料4に照射されると、ターゲット材料4が加熱されて、ターゲット材料4に含まれるDNAおよびマトリックス原料が気化される。気化されたDNAは、反応容器6内を移動し、基板3の表面に到達する。こうして、基板3の表面にDNA薄膜2を形成できる。
【0058】
また、用途や機能に応じて、DNA薄膜2を基板3から取り外してもよい。例えば、基板3を溶解する溶液に、DNA薄膜2を備える基板3を投入することで、DNA薄膜2が基板3から取り外される。続いて、溶液中からDNA薄膜2を取り出すことで、DNA薄膜2を得ることができる。
【0059】
また、基板3の表面に設けられているDNA薄膜2を別の基板(転写基板)に転写してもよい。例えば、離型剤を表面に備える基板3を用いる。離型剤の表面にDNA薄膜2を形成した後、離型剤の表面から転写基板の表面にDNA薄膜2を転写する。基板3には、例えばメッシュ状の基板が用いられる。
【0060】
ターゲット材料4中のDNAが連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーによって気化されても、DNA薄膜2を構成するDNAは、大きく熱変性や分解を生じないことから、DNA薄膜はDNAに基づく生体機能を有する。DNAの骨格構造や機能などの特性は、DNA薄膜2においても基本的に維持される。
【0061】
以上説明した実施形態によれば、DNAを含むターゲット材料に連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザーを照射することで、平坦性に優れ、生体機能を有するDNA薄膜を制御よく製造できる。
【0062】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例0063】
次に、実施例および比較例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0064】
(実施例1-1)
図1に示すDNA薄膜製造装置を用い、以下の条件により、基板上に膜厚約2μmのDNA薄膜を作製した。また、精製サケ精子DNAを純水に溶解し乾燥させて得られた、常温で固形状のターゲット材料を用いた。
【0065】
基板:Si基板(100)(n型) (長さ42mm×幅19mm)
系内圧力:4×10-5Pa
ターゲット材料:精製サケ精子DNA(乾燥状態)
基板温度:23℃(室温)
基板とターゲット材料の距離:5~10cm
連続赤外レーザーの波長:808nm
連続赤外レーザーの出力:1.8~2.5W
堆積速度:0.48オングストローム/秒
【0066】
(実施例1-2)
図1に示すDNA薄膜製造装置を用い、以下の条件により、基板上にコンビナトリアル膜厚傾斜0~1.4μmのDNA薄膜を作製した。また、精製サケ精子DNAを純水に溶解し乾燥させて得られた、常温で固形状のターゲット材料を用いた。
【0067】
基板:Si基板(100)(n型)および溶融シリカガラス(SiO)基板 (長さ42mm×幅19mm、Si基板とSiO基板が半幅ずつで接合したもの)
系内圧力:4×10-5Pa
ターゲット材料:精製サケ精子DNA(乾燥状態)
基板温度:23℃(室温)
基板とターゲット材料の距離:5~10cm
連続赤外レーザーの波長:808nm
連続赤外レーザーの出力:1.8~2.5W
堆積速度:0.48オングストローム/秒
コンビナトリアルマスク移動速度:77.8μm/秒
【0068】
(実施例1-3)
図1に示すDNA薄膜製造装置を用い、以下の条件により、基板上にコンビナトリアル膜厚傾斜0~2.0μmのDNA薄膜を作製した。また、精製サケ精子DNAを純水に溶解し乾燥させて得られた、常温で固形状のターゲット材料を用いた。
【0069】
基板:Si基板(100)(n型) (長さ42mm×幅19mm)
系内圧力:4×10-5Pa
ターゲット材料:精製サケ精子DNA(乾燥状態)
基板温度:23℃(室温)
基板とターゲット材料の距離:5~10cm
連続赤外レーザーの波長:808nm
連続赤外レーザーの出力:1.8~2.5W
堆積速度:0.48オングストローム/秒
コンビナトリアルマスク移動速度:77.8μm/秒
【0070】
(比較例1-1)
精製サケ精子DNA20gを精製水1mlに分散させたキャスト液を調製した。続いて、実施例1-1と同じ基板上に、キャスト液をスピンコート法により塗布した後、23℃(室温)にて1atm(=1013.25hPa)で96時間乾燥させて、DNA薄膜を作製した。なお、DNA薄膜が基板表面全体を覆い且つ最小膜厚となるように、比較例1-1を行った。
【0071】
実施例1-1~1-3および比較例1-1で得られたDNA薄膜について、膜厚、表面性状(粗度)、膜厚制御性、および分子構造分析(赤外吸収スペクトル)を行った。結果を図2~6に示す。なお、膜厚、表面粗度は、白色干渉計を用いて測定した。膜厚制御性は、触針式プロファイリングシステムを用いて測定した。赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて測定した。また、実施例1-2~1-3で得られたDNA薄膜に関しては、膜厚が0μm、0.25μm、0.50μm、0.75μm、1.00μm、1.25μm、1.50μmの合計7箇所において測定を行った。
【0072】
その結果、実施例1-1~1-3で得られたDNA薄膜の表面粗さ(Rms)は全て10.0nm以下であった。また、図2に一例として実施例1-1の結果を示すように、実施例1-1~1-3で得られたDNA薄膜は、比較例1-1のキャスト法で得られたDNA薄膜と比較して、顕著にその表面粗度が小さく、表面が平滑であった。また、図3に一例として実施例1-1の結果を示すように、実施例1-1~1-3で得られたDNA薄膜は、比較例1-1で得られたDNA薄膜と比較して、膜厚の均一性が高くかつ薄膜化可能であった。また、図4に一例として実施例1-2の結果を示すように、実施例1-1~1-3で得られたDNA薄膜は、堆積時間による膜厚制御性が良好であった。また、図5に一例として実施例1-1の結果を示すように、実施例1-1~1-3で得られたDNA薄膜は、膜厚に依存せず表面粗さ(Rms)が10.0nm以下の一定範囲に収まることが明らかとなった。また、図6に一例として実施例1-3の結果を示すように、DNA薄膜の膜厚によって赤外吸収スペクトルの特性が変動することなく一定であり、比較例1-1のキャスト法で得られたDNA薄膜の赤外吸収スペクトルと相似するピークを有することから、使用した精製サケ精子DNAの分子構造が保持されていることが確認された。なお、リン酸骨格に由来する1221cm-1および1083cm-1のピークが小さくなるまたは消失していたが、これはDNAが生体分子としての分子構造は維持しつつも、その鎖長方向で切断されているものであることを示すものであった。
【0073】
(実施例2-1)
図1に示すDNA薄膜製造装置を用い、以下の条件により、基板上にDNA薄膜を作製した。また、精製サケ精子DNAを純水に溶解し乾燥させて得られた、常温で固形状のターゲット材料を用いた。
【0074】
基板:Si基板(100)(n型) (長さ42mm×幅19mm)
系内圧力:4×10-5Pa
ターゲット材料:精製サケ精子DNA(乾燥状態)
基板温度:23℃(室温)
基板とターゲット材料の距離:5~10cm
紫外パルスレーザーの波長:266nm
紫外パルスレーザーの出力:0.5~1.0W
紫外パルスレーザーの繰り返し周波数:10Hz
堆積速度:0.48オングストローム/秒
【0075】
図7は、実施例2-1で得られたDNA薄膜を上方から光学顕微鏡で観察した画像である。図7において、左側はDNA薄膜表面であり、右側は基板表面を示す。また、図8は、実施例2-1で得られたDNA薄膜を触針式表面形状測定器で測定した結果である。触針式表面形状測定器で測定した結果、DNA薄膜の平均膜厚は303.3nm、表面粗さ(Rms)は5.4nm、表面粗さ(Ra)は4.2nm、表面粗さ(Rv)は40.7nmであった。また、図9は、実施例2-1で得られたDNA薄膜および比較例1-1で得られたDNA薄膜の紫外可視透過スペクトル結果である。図9の紫外可視透過スペクトルから、核酸塩基由来のピークである波長260nm近傍にピークを確認した。また、図10は、実施例2-1で得られたDNA薄膜および比較例1-1で得られたDNA薄膜をフーリエ変換赤外分光光度計で測定した赤外吸収スペクトル結果である。図10の赤外吸収スペクトルから、核酸塩基に由来する1704cm-1と1667cm-1のピーク、およびリン酸骨格に由来する1230cm-1と1076cm-1と1015cm-1のピークを確認した。これらの結果から、実施例2-1で得られたDNA薄膜について、数mmという広いスケールにわたって、表面粗さ(Rms)が6.0nm以下の精度で平坦性に優れ、さらには、DNAの骨格構造を保持していることがわかった。
【0076】
(実施例2-2)
図1に示すDNA薄膜製造装置を用い、以下の条件により、センサ基板上にDNA薄膜を作製した。また、精製サケ精子DNAを純水に溶解し乾燥させて得られた、常温で固形状のターゲット材料を用いた。
【0077】
基板:センサ基板
系内圧力:4×10-5Pa
ターゲット材料:精製サケ精子DNA(乾燥状態)
基板温度:23℃(室温)
基板とターゲット材料の距離:5~10cm
紫外パルスレーザーの波長:266nm
紫外パルスレーザーの出力:0.5~1.0W
紫外パルスレーザーの繰り返し周波数:10Hz
堆積速度:0.48オングストローム/秒
【0078】
図11は、実施例2-2で得られたDNA薄膜を上方から光学顕微鏡で観察した画像である。また、図12は、触針式表面形状測定器を用いて、実施例2-2のDNA薄膜表面(図11の矢印部分)を走査した結果である。これらの結果から、センサ基板の表面に対しても、平坦性に優れているDNA薄膜を作製することができた。また、得られたDNA薄膜の表面性状が安定していたことから、歩留まりに優れ、センサ感度の良好なDNA薄膜であることが示唆された。
【0079】
(実施例2-3)
実施例2-2で得られたDNA薄膜を用いて、有機溶媒に対するDNA薄膜のセンサ特性を測定した。具体的には、図13に示すセンサ特性を測定する装置を用い、DNA薄膜を下方に向くように基板を設置し、表1に示すタイミングで所定の空気を2つのマスフローコントローラー(MFC1およびMFC2)から供給して、DNA薄膜のセンサ特性を測定した。
【0080】
【表1】
【0081】
図14に示すように、メタノール、エタノール、トルエン、アセトンを比較すると、DNA薄膜はメタノールに対して大きく反応した。すなわち、DNA薄膜は、極性の大きな溶媒に反応するというDNA特有の特徴を発現した。このような結果から、DNA薄膜は、メタノールの検出に応用可能であることが示唆された。
【符号の説明】
【0082】
1 DNA薄膜製造装置
2 DNA薄膜
3 基板
4 ターゲット材料
5 連続赤外レーザーまたは紫外パルスレーザー(レーザー)
6 反応容器
7 レーザー透過窓
8 膜厚計
9 ステージ
10 マスク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14