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特開2023-173879認証システム、制御装置、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173879
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】認証システム、制御装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20231130BHJP
【FI】
G06T7/00 510B
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086406
(22)【出願日】2022-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】500470264
【氏名又は名称】シミックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522210660
【氏名又は名称】渡辺 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 誠司
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA01
5B043DA05
5B043EA07
5B043EA12
5B043GA02
(57)【要約】
【課題】認証に使用されるために保存されたデータが流出しても個人が特定されることを防止する。
【解決手段】第一情報は、予め取得された被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含む。位置姿勢変更値は、少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から第二状態へ変化させた値である。第二情報は、複数のデータの各々の座標値を含む。位置姿勢変更値が設定された少なくとも一つのデータの座標値は、第二状態に関連する座標値である。制御装置は、第一情報および第二情報に基づいて作成された複数のデータの参照データと生体認証用の生体データとに基づいて認証処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被認証者の身体の一部に関する生体認証用の生体データを取得する認証用データ取得装置と、
前記被認証者により所持される情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を取得し、記憶装置から前記被認証者の生体認証に関する第二情報を取得し、前記認証用データ取得装置から取得された生体認証用の前記生体データと前記情報保存媒体から取得された前記第一情報と前記記憶装置から取得された前記第二情報とに基づいて前記被認証者を生体認証する認証処理を行う制御装置と、
を備えており、
前記第一情報は、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含み、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記第二情報は、前記複数のデータの各々の座標値を含み、
前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記座標値は、前記第二状態に関連する座標値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記第二情報に含まれる前記座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて前記複数のデータを前記第一状態で配置して参照データを作成し、
前記参照データ、および前記認証用データ取得装置により取得された前記生体認証用の前記生体データに基づいて認証処理を行う、認証システム。
【請求項2】
前記位置姿勢変更値は、シフト値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記シフト値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二座標値を含み、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記複数のデータを前記第一座標値で配置して参照データを作成する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記位置姿勢変更値は、回転反転値を含み、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記第二姿勢に変化した後の前記原点の座標値を含み、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記少なくとも一つのデータに対して回転処理および反転処理の少なくとも一つを実行し、前記複数のデータを前記第一姿勢で配置して、参照データを作成する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項4】
前記位置姿勢変更値は、シフト値および回転反転値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記第二座標値へシフトし且つ前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの前記原点の座標値を含み、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記複数のデータを前記第一座標値および前記第一姿勢で配置して参照データを作成する、請求項1に記載の認証システム。
【請求項5】
前記複数のデータは、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する前記生体データから前記被認証者の特徴を特定できないサイズに分割されて抽出されたデータである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
前記複数のデータは、前記第一状態で配置された時に前記被認証者の連続した領域を構成しないように抽出されたデータである、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項7】
前記情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を取得する第一情報取得装置をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項8】
前記記憶装置を備えており、
前記記憶装置は、前記被認証者とは異なる被認証者の生体認証に関する第二情報も記憶している、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項9】
前記第一情報は、前記複数のデータを構成する複数のセグメントの一部を含んでおり、
前記第二情報は、前記複数のセグメントの残りを含んでいる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項10】
被認証者の身体の一部に関する生体認証用の生体データを受け付け、前記被認証者により所持される情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を受け付け、記憶装置から前記被認証者の生体認証に関する第二情報を受け付ける入力部と、
生体認証用の前記生体データと、前記第一情報と、前記第二情報とに基づいて、前記被認証者を生体認証する認証処理を行うように構成されているプロセッサと、
を備えており、
前記第一情報は、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含み、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記第二情報は、前記複数のデータの各々の座標値を含み、
前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記座標値は、前記第二状態に関連する座標値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記第二情報に含まれる前記座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記プロセッサは、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて前記複数のデータを前記第一状態で配置して参照データを作成し、
前記参照データ、および前記生体認証用の前記生体データに基づいて認証処理を行う、制御装置。
【請求項11】
前記位置姿勢変更値は、シフト値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記シフト値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二座標値を含み、
前記プロセッサは、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記複数のデータを前記第一座標値で配置して参照データを作成する、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記位置姿勢変更値は、回転反転値を含み、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記第二姿勢に変化した後の前記原点の座標値を含み、
前記プロセッサは、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記少なくとも一つのデータに対して回転処理および反転処理の少なくとも一つを実行し、前記複数のデータを前記第一姿勢で配置して、参照データを作成する、請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
前記位置姿勢変更値は、シフト値および回転反転値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記第二座標値へシフトし且つ前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの前記原点の座標値を含み、
前記プロセッサは、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記複数のデータを前記第一座標値および前記第一姿勢で配置して参照データを作成する、請求項10に記載の制御装置。
【請求項14】
前記複数のデータは、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する前記生体データから前記被認証者の特徴を特定できないサイズに分割されて抽出されたデータである、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記複数のデータは、前記第一状態で配置された時に前記被認証者の連続した領域を構成しないように抽出されたデータである、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項16】
前記第一情報は、前記複数のデータを構成する複数のセグメントの一部を含んでおり、
前記第二情報は、前記複数のセグメントの残りを含んでいる、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
制御装置により実行されるコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置に、
被認証者の身体の一部に関する生体認証用の生体データを受け付けさせ、
前記被認証者により所持される情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を受け付けさせ、
記憶装置から前記被認証者の生体認証に関する第二情報を受け付けさせ、
前記第一情報は、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含み、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記第二情報は、前記複数のデータの各々の座標値を含み、
前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記座標値は、前記第二状態に関連する座標値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記第二情報に含まれる前記座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて前記複数のデータを前記第一状態で配置して参照データを作成させ、
前記参照データ、および前記生体認証用の前記生体データに基づいて認証処理を行わせる、
コンピュータプログラム。
【請求項18】
対象者の身体の一部に関する生体データを受け付ける入力部と、
前記生体データに基づいて前記対象者の生体認証に用いられる情報を生成し、前記情報を記憶装置へ出力するプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して位置姿勢変更値を設定し、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二状態に関連する座標値を含む前記複数のデータの各々の座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記プロセッサは、前記複数のデータの各々の座標値を含む前記情報を生成し、前記情報を第二情報として前記記憶装置へ出力する、制御装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された前記位置姿勢変更値を含む第一情報を生成し、前記第一情報を前記対象者が所持する情報保存媒体へ出力する、請求項18に記載の制御装置。
【請求項20】
前記位置姿勢変更値は、シフト値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記シフト値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二座標値が含まれる、請求項18または請求項19に記載の制御装置。
【請求項21】
前記位置姿勢変更値は、回転反転値を含み、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの原点の座標値が含まれる、請求項18または請求項19に記載の制御装置。
【請求項22】
前記位置姿勢変更値は、シフト値および回転反転値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記第二座標値へシフトし且つ前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの前記原点の座標値が含まれる、請求項18または請求項19に記載の制御装置。
【請求項23】
前記プロセッサは、前記複数のデータを構成する複数のセグメントの一部を前記第一情報に含め、前記複数のセグメントの残りを前記第二情報に含める、請求項19に記載の制御装置。
【請求項24】
前記プロセッサは、前記生体データを前記対象者の特徴を特定できないサイズに分割して前記複数のデータとして抽出する、請求項18または請求項19に記載の制御装置。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記複数のデータが前記第一状態で配置された時に前記対象者の連続した領域を構成しないように抽出する、請求項18または請求項19に記載の制御装置。
【請求項26】
制御装置により実行されるコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置に、
対象者の身体の一部に関する生体データを受け付けさせ、
前記生体データに基づいて前記対象者の生体認証に用いられる情報を生成し、前記情報を記憶装置へ出力させ、
前記生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して位置姿勢変更値を設定させ、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二状態に関連する座標値を含む前記複数のデータの各々の座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記複数のデータの各々の座標値を含む前記情報を生成し、前記情報を第二情報として前記記憶装置へ出力させる、コンピュータプログラム。
【請求項27】
実行されることにより、前記制御装置に、
前記複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された前記位置姿勢変更値を含む第一情報を生成し、前記第一情報を前記対象者が所持する情報保存媒体へ出力させる、請求項26に記載のコンピュータプログラム。
【請求項28】
前記位置姿勢変更値は、シフト値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記シフト値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二座標値が含まれる、請求項26または請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項29】
前記位置姿勢変更値は、回転反転値を含み、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの原点の座標値が含まれる、請求項26または請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項30】
前記位置姿勢変更値は、シフト値および回転反転値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記第二座標値へシフトし且つ前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの前記原点の座標値が含まれる、請求項26または請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項31】
実行されることにより、前記制御装置に、
前記複数のデータを構成する複数のセグメントの一部を前記第一情報に含め、前記複数のセグメントの残りを前記第二情報に含めさせる、請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項32】
実行されることにより、前記制御装置に、
前記生体データを前記対象者の特徴を特定できないサイズに分割して前記複数のデータとして抽出させる、請求項26または請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項33】
実行されることにより、前記制御装置に、
前記複数のデータが前記第一状態で配置された時に前記対象者の連続した領域を構成しないように抽出させる、請求項26または請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証システムに関連する。また、本開示は、認証システムに用いられる制御装置、および当該制御装置によって実行されるコンピュータプログラムに関連する。さらに、本開示は、認証システムによる認証に使用される認証情報を生成する制御装置、および当該制御装置によって実行されるコンピュータプログラムに関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、顔認証装置および顔認証方法を開示している。顔認証装置は、認識対象となる人物の顔領域の中から各特徴点を抽出し、予め登録されている各登録者の顔の辞書画像との類似度を計算し照合することにより人物を識別する。特許文献1の顔認証装置は、記録媒体に各人物の顔のデータが辞書画像として保存されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開平9-251534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、様々な手法から各種情報が漏洩する事件が起きており、個人情報保護の観点から、これらのデータを長期間安全に保管する様々な課題があった。
【0005】
本開示は、認証に使用されるために保存されたデータが流出しても個人が特定されることを防止する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様に係る認証システムは、
被認証者の身体の一部に関する生体認証用の生体データを取得する認証用データ取得装置と、
前記被認証者により所持される情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を取得し、記憶装置から前記被認証者の生体認証に関する第二情報を取得し、前記認証用データ取得装置から取得された生体認証用の前記生体データと前記情報保存媒体から取得された前記第一情報と前記記憶装置から取得された前記第二情報とに基づいて前記被認証者を生体認証する認証処理を行う制御装置と、
を備えており、
前記第一情報は、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含み、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記第二情報は、前記複数のデータの各々の座標値を含み、
前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記座標値は、前記第二状態に関連する座標値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記第二情報に含まれる前記座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて前記複数のデータを前記第一状態で配置して参照データを作成し、
前記参照データ、および前記認証用データ取得装置により取得された前記生体認証用の前記生体データに基づいて認証処理を行う。
【0007】
本開示の第二態様に係る制御装置は、
被認証者の身体の一部に関する生体認証用の生体データを受け付け、前記被認証者により所持される情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を受け付け、記憶装置から前記被認証者の生体認証に関する第二情報を受け付ける入力部と、
生体認証用の前記生体データと、前記第一情報と、前記第二情報とに基づいて、前記被認証者を生体認証する認証処理を行うように構成されているプロセッサと、
を備えており、
前記第一情報は、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含み、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記第二情報は、前記複数のデータの各々の座標値を含み、
前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記座標値は、前記第二状態に関連する座標値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記第二情報に含まれる前記座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記プロセッサは、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて前記複数のデータを前記第一状態で配置して参照データを作成し、
前記参照データ、および前記生体認証用の前記生体データに基づいて認証処理を行う。
【0008】
本開示の第三態様に係る制御装置により実行されるコンピュータプログラムは、
実行されることにより、前記制御装置に、
被認証者の身体の一部に関する生体認証用の生体データを受け付けさせ、
前記被認証者により所持される情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を受け付けさせ、
記憶装置から前記被認証者の生体認証に関する第二情報を受け付けさせ、
前記第一情報は、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含み、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記第二情報は、前記複数のデータの各々の座標値を含み、
前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記座標値は、前記第二状態に関連する座標値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記第二情報に含まれる前記座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて前記複数のデータを前記第一状態で配置して参照データを作成させ、
前記参照データ、および前記生体認証用の前記生体データに基づいて認証処理を行わせる。
【0009】
上記の第一態様から第三態様によれば、情報保存媒体には、第一情報として、複数のデータの少なくとも一つのデータの位置姿勢変更値が保存されているが、データの座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、データの座標値が保存されているが、位置姿勢変更値は保存されていない。これにより、情報保存媒体または記憶装置のいずれか一方に記憶された認証情報だけでは、複数のデータの第一状態は不明であり、複数のデータを元の生体データに復元できない。したがって、情報保存媒体に保存された第一情報または記憶装置に保存された第二情報のいずれか一方の情報が流出しても個人が特定されることを防止できる。
【0010】
前記位置姿勢変更値は、シフト値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記シフト値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二座標値を含み、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記複数のデータを前記第一座標値で配置して参照データを作成してもよい。
【0011】
上記のような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、シフト値が保存されているが、座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、座標値は保存されているが、シフト値は保存されていない。したがって、第一情報または第二情報が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0012】
前記位置姿勢変更値は、回転反転値を含み、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記第二姿勢に変化した後の前記原点の座標値を含み、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記少なくとも一つのデータに対して回転処理および反転処理の少なくとも一つを実行し、前記複数のデータを前記第一姿勢で配置して、参照データを作成してもよい。
【0013】
上記のような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、回転反転値が保存されているが、回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されているが、回転反転値は保存されていない。したがって、第一情報または第二情報が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0014】
前記位置姿勢変更値は、シフト値および回転反転値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記第二状態に関連する座標値は、前記第二座標値へシフトし且つ前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの前記原点の座標値を含み、
前記制御装置は、
前記第一情報および前記第二情報に基づいて、前記複数のデータを前記第一座標値および前記第一姿勢で配置して参照データを作成してもよい。
【0015】
上記のような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、シフト値と回転反転値が保存されているが、データの座標値と回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、データの座標値と回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されているが、シフト値と回転反転値は保存されていない。したがって、第一情報または第二情報が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0016】
前記複数のデータは、予め取得された前記被認証者の身体の一部に関する前記生体データから前記被認証者の特徴を特定できないサイズに分割されて抽出されたデータでもよい。これにより、複数のデータが他人に知られた場合でも、個人が特定されることを防止できる。
【0017】
また、前記複数のデータは、前記第一状態で配置された時に前記被認証者の連続した領域を構成しないように抽出されたデータでもよい。これにより、データ間の距離が不明なため、複数のデータを復元することができず、個人を特定することができない。
【0018】
前記認証システムは、前記情報保存媒体から前記被認証者の生体認証に関する第一情報を取得する第一情報取得装置をさらに備えてもよい。
【0019】
前記認証システムは、前記記憶装置を備えており、
前記記憶装置は、前記被認証者とは異なる被認証者の生体認証に関する第二情報も記憶してもよい。これにより、記憶装置の第二情報が他人に知られた場合でも、複数の人物の第二情報から被認証者の第二情報を特定することができず、他人により被認証者のデータを復元することを防ぐことができる。
【0020】
前記第一情報は、前記複数のデータを構成する複数のセグメントの一部を含んでおり、
前記第二情報は、前記複数のセグメントの残りを含んでもよい。これにより、第一情報または第二情報が流出しても個人を特定することを防止できる。
【0021】
本開示の第四態様に係る制御装置は、
対象者の身体の一部に関する生体データを受け付ける入力部と、
前記生体データに基づいて前記対象者の生体認証に用いられる情報を生成し、前記情報を記憶装置へ出力するプロセッサと、
を備えており、
前記プロセッサは、前記生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して位置姿勢変更値を設定し、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二状態に関連する座標値を含む前記複数のデータの各々の座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記プロセッサは、前記複数のデータの各々の座標値を含む前記情報を生成し、前記情報を第二情報として前記記憶装置へ出力する。
【0022】
本開示の第五態様に係る制御装置により実行されるコンピュータプログラムは、
実行されることにより、前記制御装置に、
対象者の身体の一部に関する生体データを受け付けさせ、
前記生体データに基づいて前記対象者の生体認証に用いられる情報を生成し、前記情報を記憶装置へ出力させ、
前記生体データから抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して位置姿勢変更値を設定させ、
前記位置姿勢変更値は、前記少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から前記第一状態とは異なる第二状態へ変化させた値であり、
前記位置姿勢変更値は、前記位置姿勢変更値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二状態に関連する座標値を含む前記複数のデータの各々の座標値に基づいて前記複数のデータ同士を配置した場合に前記生体データにおける前記複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されており、
前記複数のデータの各々の座標値を含む前記情報を生成し、前記情報を第二情報として前記記憶装置へ出力させる。
【0023】
上記の第四態様および第五態様によれば、記憶装置には、生体認証に用いられる認証情報として、位置姿勢変更値が設定された少なくとも一つのデータの第二状態に関連する座標値が保存されている。これにより、記憶装置に記憶された認証情報だけでは、複数のデータを元の生体データに復元できない。したがって、記憶装置に保存された認証情報が流出しても個人が特定されることを防止できる。
【0024】
また、前記プロセッサは、前記複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された前記位置姿勢変更値を含む第一情報を生成し、前記第一情報を前記対象者が所持する情報保存媒体へ出力してもよい。
【0025】
このような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、複数のデータの少なくとも一つの位置姿勢変更値が保存されているが、データの位置および姿勢の状態を示す値は保存されていない。これにより、情報保存媒体に記憶された認証情報だけでは、複数のデータを元の生体データに復元できない。したがって、情報保存媒体に保存された第一情報が流出しても個人が特定されることを防止できる。
【0026】
前記位置姿勢変更値は、シフト値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記シフト値が設定された前記少なくとも一つのデータの前記第二座標値が含まれてもよい。
【0027】
上記のような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、シフト値が保存されているが、座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、座標値は保存されているが、シフト値は保存されていない。したがって、第一情報または第二情報が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0028】
前記位置姿勢変更値は、回転反転値を含み、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの原点の座標値が含まれてもよい。
【0029】
上記のような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、回転反転値が保存されているが、回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されているが、回転反転値は保存されていない。したがって、第一情報または第二情報が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0030】
前記位置姿勢変更値は、シフト値および回転反転値を含み、
前記シフト値は、前記少なくとも一つのデータの位置を、第一座標値から前記第一座標値とは異なる第二座標値までシフトした値であり、
前記回転反転値は、前記少なくとも一つのデータの姿勢を、前記少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から前記第一姿勢とは異なる第二姿勢へ変化した値であり、
前記複数のデータの各々の座標値には、前記第二座標値へシフトし且つ前記第二姿勢に変化した後の前記少なくとも一つのデータの前記原点の座標値が含まれてもよい。
【0031】
上記のような構成によれば、情報保存媒体には、第一情報として、シフト値と回転反転値が保存されているが、データの座標値と回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されていない。また、記憶装置には、第二情報として、データの座標値と回転処理および反転処理の基軸となる原点の座標値は保存されているが、シフト値と回転反転値は保存されていない。したがって、第一情報または第二情報が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0032】
また、前記プロセッサは、前記複数のデータを構成する複数のセグメントの一部を前記第一情報に含め、前記複数のセグメントの残りを前記第二情報に含めもよい。これにより、第一情報または第二情報が流出しても個人を特定することを防止できる。
【0033】
また、前記プロセッサは、前記生体データを前記対象者の特徴を特定できないサイズに分割して前記複数のデータとして抽出してもよい。これにより、複数のデータが他人に知られた場合でも、個人が特定されることを防止できる。
【0034】
また、前記プロセッサは、前記複数のデータが前記第一状態で配置された時に前記被認証者の連続した領域を構成しないように抽出してもよい。これにより、データ間の距離が不明なため、複数のデータを復元することができず、個人を特定することができない。
【発明の効果】
【0035】
本開示によれば、認証に使用されるために保存されたデータが流出しても個人が特定されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本実施形態に係る認証システムの機能構成を例示している。
図2】撮像システムの構成を例示している。
図3】制御装置のプロセッサにおいて実行される第一情報および第二情報の生成処理の流れを例示している。
図4】対象者の顔において認証に用いる複数のデータが抽出されるエリアを例示している。
図5】対象者の顔の撮像データから抽出されたエリアに対応するデータを例示している。
図6】XYZ座標系における各データを例示している。
図7】記憶装置に記憶されるデータベースを例示している。
図8】XY座標系における2次元画像データから抽出されたデータを例示している。
図9図8の抽出されたデータがシフトおよび変換処理された状態を例示している。
図10】3次元画像データの画像データ抽出方法を説明するための図を例示している。
図11】制御装置のプロセッサにおいて実行される認証処理の流れを例示している。
図12図6のデータをXYZ座標系においてデータが第二座標値に配置されてシフトされた例を示している。
図13図6のデータをXYZ座標系においてデータが第一座標値に配置されて復元された例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
添付の図面を参照しつつ、本開示の実施形態について以下詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る認証システム10の機能構成を例示している。認証システム10は、被認証者50(図2)を所定の処理または動作を行うシステムのユーザと認証し、被認証者50の利用を許容するために使用されうる。所定の処理または動作を行うシステムの例としては、決済(支払い)システムなどが挙げられる。認証システム10が行う認証は、被認証者50の身体の一部を用いて認証を行う生体認証である。生体認証の例としては、顔認証、虹彩認証、指紋認証、または静脈認証などが挙げられる。以下の説明では、認証システム10が顔認証を行う場合について説明する。
【0038】
図1に例示されるように、認証システム10は、撮像装置11、読取装置12、および制御装置13を備えている。本例においては、撮像装置11と読取装置12は、撮像システム14に搭載されており、一体的に構成されている。なお、撮像装置11と読取装置12は、一体的に構成されずに、別体として構成されてもよい。
【0039】
撮像システム14は、図1に例示されるように、無線または有線により通信ネットワーク20に接続可能であり、通信ネットワーク20を介して制御装置13に接続されている。なお、撮像システム14は、被認証者50が認証を行う場所に適宜配置されており、制御装置13には、複数の撮像システム14(図示せず)が接続されている。
【0040】
撮像装置11は、被認証者50の顔を撮像することにより被認証者50の顔認証用の撮像データを取得するように構成されている。顔認証用の撮像データは、生体認証用の生体データの一例である。撮像装置11は、認証用データ取得装置の一例である。撮像装置11は、撮像データとして、2次元画像データ、3次元画像データ、または3次元形状データを取得するように構成される。例えば、図2に示されるように、撮像装置11は、複数の光源部111、複数のカメラ112、および投影デバイス113を有する。
【0041】
光源部111は、被認証者50に向けて光を照射するように構成されている。例えば、光源部111は、可視光線から不可視光線までの波長のうち所定の波長の光を発する一つまたは複数の光源を有する。複数のカメラ112は、赤外線カメラや赤外線以外の波長の光を認識可能なカメラであり、CCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(相補型MOS)等の撮像素子などにより構成される。投影デバイス113は、被認証者50の3次元形状データを取得するために被認証者50に向けて赤外線または可視光を照射するように構成される。例えば、投影デバイス113は、複数のドットなどで構成したパターンの赤外線または可視光を被認証者50上に投影する。
【0042】
2次元画像データまたは3次元画像データは、例えば、光源部111とカメラ112により取得される。具体的には、光源部111により光が照射された被認証者50をカメラ112により撮像することにより、被認証者50の2次元画像データが取得される。3次元画像データは、例えば、異なる位置のカメラ112から撮像した複数の2次元画像データに基づいて写真測量の手法により生成される。具体的には、3次元画像データは、異なる位置のカメラ112から撮像した被認証者50の複数の2次元画像を3次元画像に正規化する処理を行うことにより生成される。あるいは、3次元画像データは、後述する2次元画像データを3次元形状データの上に投影表示することにより生成されてもよい。
【0043】
3次元形状データは、例えば、カメラ112と投影デバイス113により取得される。具体的には、投影デバイス113により赤外線または可視光が照射された被認証者50をカメラ112により撮像することにより、被認証者50の3次元形状データが取得される。例えば、投影デバイス113により被認証者50の顔の上に投影された複数のドットなどで構成したパターンの赤外線または可視光をカメラ112により撮像することにより複数の座標値を保有する点の集合体により構成される3次元形状データが生成される。なお、3次元形状データは、カメラ112と投影デバイス113以外のセンサにより取得されてもよい。
【0044】
図1に例示されるように、読取装置12は、被認証者50により所持される情報保存媒体30から被認証者50の顔認証に関する第一情報I1を取得するように構成されている。読取装置12は、第一情報取得装置の一例である。第一情報I1は、後述する被認証者50の顔認証を行う際に用いられる。情報保存媒体30の例としては、スマートフォンやRFID(Radio Frequency IDentification)タグの一種であるNFC(Near Field Communication)タグなどが挙げられる。なお、スマートフォンが情報保存媒体30として使用される場合には、後述する記憶装置40としては、情報保存媒体30として使用されるスマートフォン以外の媒体が使用される。
【0045】
具体的には、読取装置12は、接触または非接触で情報保存媒体30から第一情報I1を読み取るように構成されている。本例においては、図2に示されるように、読取装置12は、二次元コードを読み取る二次元コードリーダ121を有する。二次元コードの例としては、QRコード(Quick Response Code)(登録商標)が挙げられる。例えば、第一情報I1は二次元コードとして被認証者50が所持するスマートフォンに保存されており、二次元コードリーダ121により第一情報I1が読み取られる。また、読取装置12は、NFCリーダ122を有する。例えば、第一情報I1は被認証者50が所持するNFCタグに保存されており、NFCリーダ122により第一情報I1が読み取られる。なお、NFCタグは、カード状やシール状、NFC対応のスマートフォンなど様々な形状や機器の形で被認証者50に所持される。あるいは、NFCタグは、NFCマイクロチップとして被認証者50に埋め込まれてもよい。
【0046】
本例においては、撮像システム14は、さらに表示部114とセンサ115を備えている。表示部114は、撮像装置11により取得した被認証者50の撮像データを表示するように構成されている。表示部114は、例えば、液晶や有機ELなどのディスプレイから構成される。表示部114は、ディスプレイの前面の全体または一部の領域に取り付けられた静電容量方式や抵抗膜方式のタッチセンサを有してもよい。表示部114には、被認証者50の顔を配置するためのガイド(枠)Gが表示されてもよい。
【0047】
センサ115は、例えば、近接センサや環境光センサである。近接センサは、被認証者50の顔が撮像システム14に対して所定の範囲に位置したことを検知する。例えば、撮像装置11は、近接センサにより被認証者50の顔が撮像システム14に対して所定の範囲内に位置したことが検知された場合に、被認証者50を撮像するように構成される。環境光センサは、撮像システム14の周囲の明るさを検知する。例えば、光源部111は、光源の輝度が環境光センサにより検知された周囲の明るさに基づいて自動的に最適な値になるように構成されてもよい。
【0048】
なお、撮像システム14は、図2に例示される構成に限定されない。例えば、スマートフォンや携帯情報端末が、撮像システム14として使用されてもよい。なお、スマートフォンが撮像システム14として使用される場合、当該スマートフォンは情報保存媒体30としても使用されてもよい。すなわち、撮像システム14と情報保存媒体30は一体化されてスマートフォンの機能として実現されてもよい。
【0049】
図1に戻り、制御装置13は、記憶装置40に接続されている。制御装置13と記憶装置40は、同じサーバ装置(図示せず)に搭載されてもよく、通信ネットワーク20を介して接続されてもよい。記憶装置40には、被認証者50の顔認証に関する第二情報I2が保存されている。第二情報I2は、後述する被認証者50の顔認証を行う際に用いられる。
【0050】
制御装置13は、入力部131、プロセッサ132、および出力部133を備えている。入力部131は、撮像装置11により取得された被認証者50の顔の撮像データおよび読取装置12により取得された被認証者50の顔認証に関する第一情報I1を取得可能なインターフェースとして構成されている。また、入力部131は、記憶装置40から被認証者50の顔認証に関する第二情報I2を取得可能なインターフェースとして構成されている。
【0051】
プロセッサ132は、撮像データ、第一情報I1および第二情報I2に基づいて被認証者50を顔認証する認証処理を行う。認証処理においては、まず、プロセッサ132は、第一情報I1と第二情報I2に基づいて、被認証者50の顔認証用の参照データを構築する。
【0052】
具体的には、第一情報I1と第二情報I2は、被認証者50の顔を撮像することにより予め取得された撮像データから抽出された被認証者50の顔の異なるエリアにそれぞれ対応する複数のデータに基づいて生成されている。第一情報I1は、撮像データを所定の座標系(例えば、XYZ座標系)に適用した場合に、抽出された複数のデータの少なくとも一つのデータに対して設定された位置姿勢変更値を含んでいる。位置姿勢変更値は、少なくとも一つのデータの位置および姿勢の少なくとも一方を第一状態から第二状態へ変化させた値である。第二情報I2は、複数のデータの各々の座標値を含んでいる。位置姿勢変更値が設定された少なくとも一つのデータの座標値は、第二状態に関連する座標値である。位置姿勢変更値が設定されていないデータの座標値は、第一状態に関連する座標値である。すべてのデータに対して位置姿勢変更値が設定されている場合には、複数のデータの各々の第二状態に関連する座標値が第二情報I2に含まれる。位置姿勢変更値は、第二情報I2に含まれる座標値に基づいて複数のデータ同士を配置した場合に生体データにおける複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定されている。
【0053】
位置姿勢変更値は、例えば、シフト値を含む。シフト値は、少なくとも一つのデータの位置を、その座標値(以下、第一座標値と称する)から、当該座標値とは異なる座標値(以下、第二座標値と称する)までシフトした値である。この場合、第二情報I2の第二状態に関連する座標値は、シフト値が設定された少なくとも一つのデータの第二座標値を含む。また、第二情報I2の第一状態に関連する座標値は、シフト値が設定されていないデータの第一座標値を含む。
【0054】
第一座標値は、第一座標値に基づいて所定の座標系(例えば、XYZ座標系)に複数の第二情報I2のデータ同士を配置した場合に、被認証者50(対象者51)の顔の撮像データとしての複数のデータ同士の相関関係を正しく再現できる値である。一方、第二座標値(またはシフト値)は、第二座標値に基づいて所定の座標系(例えば、XYZ座標系)に複数の第二情報I2のデータ同士を配置した場合に、被認証者50(対象者51)の顔の撮像データとしての複数のデータ同士の相関関係を正しく再現できない値に設定されている。
【0055】
シフト値は、第二情報I2の座標値に基づいて複数の第二情報I2のデータ同士を配置した場合に、撮像データにおける複数のデータ同士の相関関係が判別できない値に設定される。
【0056】
あるいは、位置姿勢変更値は、例えば、回転反転値を含む。回転反転値は、少なくとも一つのデータの姿勢を、少なくとも一つのデータの原点を基軸とした回転処理および反転処理の少なくとも一つの実行により、第一姿勢から第二姿勢へ変化した値である。この場合、第二情報I2の第二状態に関連する座標値は、第二姿勢に変化した後の原点の座標値を含む。なお、撮像データとして3次元形状データが取得された場合、後述するように撮像データが複数の形成点で形成した各種形状のエリアに分割されて抽出されるときは、第二状態に関連する座標値はさらに第二姿勢に変化した後のデータを形成する形成点の座標値を含む。また、第二情報I2の第一状態に関連する座標値は、第二姿勢に変化していないデータの座標値を含む。なお、撮像データとして3次元形状データが取得された場合、後述するように撮像データが複数の形成点で形成した各種形状のエリアに分割されて抽出されるときは、第二姿勢に変化していないデータの座標値は、データを形成する複数の形成点の座標値を含む。
【0057】
あるいは、位置姿勢変更値は、シフト値と回転反転値の両方を含んでもよい。この場合、第二情報I2の第二状態に関連する座標値は、第二座標値へシフトし且つ第二姿勢に変化した後の少なくとも一つのデータの原点の座標値を含む。第二情報I2の第一状態に関連する座標値は、シフトも姿勢も変化していないデータの第一座標値を含む。
【0058】
プロセッサ132は、第一情報I1と第二情報I2に基づいて、複数の第二情報I2のデータを所定の座標系(上述の予め取得された撮像データが適用される座標系、例えば、XYZ座標系)上に復元する。例えば、位置姿勢変更値がシフト値を含む場合、第一情報I1のシフト値および第二情報I2の座標値に基づいて、シフト値が設定されたデータの第一座標値を算出し、所定の座標系において複数のデータをそれぞれ第一座標値に配置する。例えば、位置姿勢変更値が回転反転値を含む場合、第一情報I1の回転反転値および第二情報I2の座標値に基づいて、少なくとも一つのデータに対して回転反転処理を実行し、所定の座標系において回転反転したデータを含む複数のデータをそれぞれ第一姿勢で配置する。あるいは、位置姿勢変更値がシフト値と回転反転値を含む場合、第一情報I1のシフト値と回転反転値および第二情報I2の座標値に基づいて、各データの第一座標値を算出し、少なくとも一つのデータに対して回転反転処理を実行して複数のデータをそれぞれ第一姿勢で配置し、所定の座標系において第一姿勢で配置した複数のデータをそれぞれ第一座標値に配置する。あるいは、複数のデータをそれぞれ第一座標値に配置して、少なくとも一つのデータに対して回転反転処理を実行して、複数のデータをそれぞれ第一姿勢で配置してもよい。これにより、顔認証する際に撮像装置11により取得された被認証者50の顔の撮像データと比較される被認証者50の顔認証用の参照データが構築される。
【0059】
そして、プロセッサ132は、構築された顔認証用のデータと被認証者50の顔の撮像データとに基づいて認証処理を行う。すなわち、プロセッサ132は、復元した複数のデータと撮像装置11により取得された被認証者50の顔の撮像データとを比較することにより認証処理を行う。
【0060】
プロセッサ132は、認証結果を出力部133から所定の処理または動作を行うシステムへ出力する。これにより、被認証者50は、例えば決済(支払い)システムによる支払い手続きを行うことができる。また、プロセッサ132は、認証結果を出力部133から撮像システム14へ出力する。例えば認証結果は表示部114に表示される。
【0061】
なお、第一情報I1および第二情報I2は、例えば、認証システム10の制御装置13により生成されて、情報保存媒体30または記憶装置40に保存される。
【0062】
図3は、制御装置13のプロセッサ132において実行される第一情報I1および第二情報I2の生成処理の流れを例示している。
【0063】
まず、プロセッサ132は、顔認証に用いる認証情報(すなわち、第一情報I1、第二情報I2)を登録する対象者51の顔を撮像することにより得られた撮像データを取得する(STEP1)。例えば、図2に示されるように、撮像装置11により対象者51の顔が撮像される。なお、撮像装置11とは異なる撮像装置により対象者51の顔が撮像されてもよい。この場合は、認証時に復元されるデータは、認証時に撮像装置11により撮像された撮像データと比較されるので、撮像装置11と同等の撮像条件で撮像されることが好ましい。
【0064】
続いて、プロセッサ132は、対象者51の顔の撮像データから認証に使用される複数のデータを抽出する(STEP2)。具体的には、プロセッサ132は、対象者51の顔の撮像データを複数のデータに分割し、分割されたデータを認証に使用されるデータとして抽出する。各データは、単体では対象者51の顔の特徴が認識できない(すなわち個人が特定できない)サイズに抽出される。
【0065】
例えば、図4は、対象者51の顔において認証に用いる複数のデータが抽出されるエリアA1~A9を示している。図5は、対象者51の顔の撮像データから抽出されたエリアA1~A9に対応するデータB1~B9を示している。なお、図5に例示されるデータB1~B9は、撮像データとして3次元形状データから抽出されたデータである。図においては、データB1~B9はそれぞれ線で囲まれた所定の形状で示されているが、実際には一つまたは複数の座標値を保有する形成点の集合体により構成されている。
【0066】
例えば、図4図5に示されるように、各データB1~B9は、撮像データから事前にプログラムされたエリアA1~A9ごとに分割されて抽出される。各エリアA1~A9のサイズは、各データB1~B9から個人が特定できないように適宜設定されている。例えば、各エリアは、図4に示されるように、エリアA1、A2、A5~A9のように隣接するエリアと非連続になるように設定されてもよく、エリアA3,A4のように隣接するエリアと連続するように設定されてもよい。エリアA3,A4については、そのサイズを小さくすることにより、エリアA3,A4から抽出されたデータB3,B4を見ても、それが顔のどの位置のどの角度のモノか識別できず、どのデータと接合するのかも分からないようにすることができる。
【0067】
なお、各エリアに対象者51の顔の特徴を特定できる要素が含まれている場合には、各エリアのサイズを当該特徴が特定できないサイズに分割して、分割された当該エリアに対応する各データを抽出してもよい。対象者51の顔の特徴を特定できる要素の例としては、ホクロまたは刺青や傷跡などの異物あるいは眼球の虹彩(2次元または3次元画像データの場合)、顔の深い傷などの異物(3次元形状データの場合)などが挙げられる。また、データB1~B9に対象者51の顔の特徴を特定できる要素が含まれる場合には、所定の画像処理(黒塗りなど)が施されてもよく、あるいは認証用のデータとして抽出されなくてもよい。また、データB1~B9の形状は図5の形状に限定されず、例えば、一つの形成点を一つのエリアとしたり、複数の形成点で形成した各種形状のエリアに分割されて抽出されるデータでもよい。
【0068】
続いて、プロセッサ132は、抽出された複数のデータB1~B9の少なくとも一つについてシフト値を設定する(STEP3)。なお、本例においては、データB1~B9の全てについてシフト値が設定される。具体的には、所定の座標系において、各データB1~B9の第一座標値とは異なる第二座標値を設定し、第一座標値から第二座標値までのシフト値を算出する。あるいは、第二座標値を設定せずに、各データB1~B9のシフト値を設定してもよい。この場合、第一座標値とシフト値から第二座標値が算出される。シフト値または第二座標値は、プログラムによりランダムで決められる。
【0069】
例えば、図6は、XYZ座標系における各データB1~B9を例示している。図においては、各データB1~B9を形成する形成点P1~P9とその第一座標値PA1~PA9が示されている。また、各データB1~B9には、後述する回転処理および反転処理の基軸となる原点が設定されている。各データB1~B9の原点の座標上の位置は、プログラムによりランダムで決められる。本例においては、形成点P1~P9が、各データB1~B9に設定された原点として設定されている。データB8は、形成点と原点の第二座標値PB8と第一座標値PA8から第二座標値PB8までのシフト値S8が図示されている。このように、データB1~B7,B9は、設定されたシフト値S1~S7,S9に基づいて、各々の形成点と原点が第一座標値PA1~PA7,PA9から第二座標値PB1~PB7,PB9へシフトされる(図示せず)。なお、各データB1~B9が二つ以上の形成点から構成されている場合には、各データB1~B9には、形成点P1~P9以外の形成点(図示せず)も含まれており、各形成点はそれぞれ第一座標値を有しており、また、第二座標値も設定されている。
【0070】
本例においては、所定の座標系として、XYZ座標系が使用されているが、暗号化座標系、極座標系などが採用されてもよい。暗号化座標系は、XY軸またはXYZ軸の座標値を意図的に不規則に配列した座標系であり、例えば座標値が作成者しか分からない不規則な配列3,1,2,5…の座標系である。極座標系には、円座標系、円筒座標系、球座標系などが含まれる。
【0071】
続いて、プロセッサ132は、データB1~B9に対して所定の変換処理を行う(STEP4)。所定の変換処理としては、例えば回転処理および反転処理の少なくとも一つが含まれる。例えば、原点P1~P9を基軸として、データB1~B9の向きを、所定の角度だけXYZ面に回転させる回転処理を行う。所定の角度は、プログラムによりランダムに設定される。
【0072】
なお、STEP4の変換処理は、STEP2とSTEP3の間で行われてもよい。
【0073】
続いて、プロセッサ132は、各データB1~B9のシフト値S1~S9と変換処理の情報(例えば、回転処理および/または反転処理の回転反転値)を、各データB1~B9の識別情報と関連付けて、第一情報I1として対象者51の情報保存媒体30へ出力する(STEP5)。これにより、情報保存媒体30には、各データB1~B9のシフト値S1~S9と変換処理の情報が各データB1~B9の識別番号に関連付けられて保存される。なお、「識別情報」は、保存された各データを識別するユニークIDであり、さらに各対象者51において、抽出される複数のデータの識別情報が連番にならないようプログラムによりランダムに生成される。
【0074】
例えば、第一情報I1は、撮像システム14を介して情報保存媒体30へ出力される。この場合、図1に示されるように、撮像システム14は、書込装置15を有している。例えば、図2に示される二次元コードリーダ121は、書込装置15として、二次元コードを読み込ませる機能も有してもよい。あるいは、NFCリーダ122は、書込装置15として、NFCデータ書き込み機能も有してもよい。プロセッサ132は、通信ネットワーク20を介して第一情報I1を撮像システム14へ出力する。撮像システム14の書込装置15は、第一情報I1を対象者51の情報保存媒体30へ出力する。
【0075】
対象者51が保持する情報保存媒体30がスマートフォンである場合、第一情報I1は、読み込ませる機能を有する二次元コードリーダ121から、近距離無線通信(図1の破線参照)により、例えば二次元コードの形態でスマートフォンに読み込ませる。あるいは、対象者51が保持する情報保存媒体30がNFCタグである場合、第一情報I1は、書き込み機能を有するNFCリーダ122から、近距離無線通信(図1の破線参照)により、対象者51が所有するNFCタグ、または対象者51に埋め込まれたNFCマイクロチップに出力される。
【0076】
例えば、情報保存媒体30に保存されたデータB8の第一情報I1は、
No.F007_SFT{X-2Y-5Z2}_FLP{YES_YZ}_TRN{YES_XY90YZ0XZ0}_END ・・・(1)
のように表される。
【0077】
一番左側に示されている番号No.F007は、データB8に割り当てられた識別番号(識別情報の一例)である。また、SFTで示された値が、データB8のシフト値S8である。本例においては、データB8に設定されたシフト値S8は、X-2、Y-5、Z2である。これは、第一座標値PA8から第二座標値PB8までのシフト値が、X軸方向に-2、Y軸方向に-5、Z軸方向に+2だけシフトさせることを表している。また、FLPとTRNで示された値が、変換処理を示す回転反転値であり、FLPは反転の有無および反転方向を示し、TRNは回転の有無および回転角度を示している。本例においては、データB8は、YZ面反転があることを示している。すなわち、データB8が原点P8を基準にYZ面反転していることを示している。また、本例においては、データB8が、原点P8を基準にXY面方向に90度、YZ面方向に0度、XZ面方向に0度に回転されていることを示している。
【0078】
続いて、プロセッサ132は、各データB1~B9を形成する形成点の座標値と回転処理の基軸となる原点P1~P9の座標値を、各データB1~B9の識別情報と関連付けて、第二情報I2として記憶装置40へ出力する(STEP6)。本例においては、データB1~B9および原点P1~P9の座標値として、データB1~B9の第二座標値PB1~PB9と原点P1~P9の第二座標値PB1~PB9が第二情報I2に含まれる。なお、データB1~B9の一部に対してシフト値が設定されない場合には、第一座標値が第二情報I2に含まれる。なお、STEP6の第二情報I2の出力処理は、STEP5の第一情報I1の出力処理の前に行われてもよい。
【0079】
図7は、記憶装置40に記憶されるデータベースを例示している。第二情報I2として、第二座標値を有する各データB1~B9が、識別番号が付与されて、一つまたは複数の形成点と原点の第二座標値が共に保存されている。例えば、データB8については、識別番号としてNo.F007が付与されて、形成点P8と原点P8の第二座標値PB8と共に保存されている。図7では、データB8の形成点P8と原点P8の第二座標値PB8のみが示されているが、他のデータB1~B7、B9も同様に形成点P1~P7、P9と原点P1~P7、P9の第二座標値PB1~PB7、PB9が保存されている。なお、図7では、各データB1~B9は、所定の形状を有して示されているが、実際には、各データB1~B9を構成する一つまたは複数の形成点と原点の第二座標値が英数字記号で表現されている。
【0080】
例えば、データB8の第二情報I2は、
No.F007_{X9.0Y5.0Z2X7.0Y2.0Z4.0X9.0Y0Z2X11.0Y-1.0Z0.5}_ ORG{X7.0Y2.0Z4.0}
・・・(2)
のように表されうる。
【0081】
識別番号No.F007に続いて記載されている数値は、データB8を構成する複数の形成点(本例においては4つの形成点)の第二座標値を示している。また、ORGで示された値が、データB8の原点であり、変換処理(本例においては回転処理および反転処理)の基軸となる原点P8の第二座標値を示している。なお、データB8は、実際にはもっと多くの形成点が存在するが、簡素化のため原点を含めて4つの形成点の第二座標値のみを示して説明する。
【0082】
なお、本例においては、図7に示されるように、データベースにはさらに、対象者51のデータB1~B9は、撮像データが取得された地域(例えば、JPN:日本国)とデータB1~B9の取得時に使用された制御装置のコンピュータプログラムのバージョンに関連付けられて保存されている。また、図7では、記憶装置40は、対象者51のデータB1~B9のみが保存されているが、他の対象者のデータも同様に保存されてもよい。更に、記憶装置40は、どの対象者にも関連付かないダミーデータ(人工的に作成した偽データ)を保存するように構成して、対象者51のみデータが保存されているのを防ぐことができる。
【0083】
なお、上述した実施形態では、プロセッサ132は、図3のSTEP3において、撮像データから抽出されたデータB1~B9に対してシフト値が設定されている。しかしながら、データB1~B9の少なくとも一つに対してシフト値が設定されてもよい。あるいは、全てのデータに対してシフト値が設定されずにSTEP4の回転処理または反転処理のみが実行されるように構成されてもよい。シフト値が設定されなかった場合、例えば、上記(1)で表される情報保存媒体30に保存される第一情報I1は、SFTの項目のシフト値がゼロとなり、FLPとTRNで示された項目の値が設定されている。上記(2)で表される記憶装置40に保存される第二情報I2については、識別番号No.F007に続いて記載されている数値は、データB8を構成する複数の形成点および原点の第二座標値を示す。
【0084】
なお、上述した実施形態では、プロセッサ132は、図3のSTEP4において、撮像データから抽出されたデータB1~B9に対して所定の変換処理が行われている。しかしながら、データB1~B9の少なくとも一つに対して所定の変換処理が行われてもよい。あるいは、全てのデータに対して変換処理は実行されずにSTEP3のシフト値の設定のみが実行されるように構成されてもよい。変換処理が実行されなかった場合、例えば、上記(1)で表される情報保存媒体30に保存される第一情報I1は、FLPとTRNの項目にはNOと示され、SFTの項目にはシフト値が設定されている。
【0085】
また、上述した実施形態において、STEP2とSTEP3の間またはSTEP4において、所定の画像処理(黒塗りなど)が施されてもよく、あるいは認証用のデータとして抽出されないような処理が適宜行われてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、3次元形状データの撮像データから認証情報を生成する場合について説明した。しかしながら、2次元画像データまたは3次元画像データに基づいて認証を行う場合には、2次元画像データまたは3次元画像データに基づいて第一情報I1および第二情報I2が生成されてもよい。
【0087】
例えば、図3のSTEP2の複数のデータの抽出処理では、プロセッサ132は、図8に例示されるように、2次元画像データ、3次元画像データ、または、3次形状データと2次元画像データにより生成される3次元画像データの画像データから、XY座標軸上にて一辺が8ピクセルの最小コーディング単位のブロックを1つのエリアとした、または一辺が8ピクセルの倍数のブロックを1つのエリアとした各データが抽出される。図8において、一つの四角で囲まれているエリアが一つのデータの領域を示している。
【0088】
各データの1番目の第一ピクセルPXの座標値は、各データが配置されている座標値として設定される。また、各データの第一ピクセルPXは、回転処理および反転処理の基軸となる原点として設定される。すなわち、第一ピクセルPXの座標値は、データの座標値であり、原点の座標値である。なお、図8では、抽出されたデータの一例として、データB17とその原点である第一ピクセルPXが拡大されて示されている。なお、データB17のように虹彩などの情報が含まれている場合で虹彩認識を使用しない時は、プログラムにより虹彩などの情報を自動的に塗潰されるように設定されてもよい。
【0089】
続いて、STEP3のシフト値設定処理では、プロセッサ132は、抽出された複数のデータの少なくとも一つについてシフト値を設定する。すなわち、複数のデータの少なくとも一つに対して、第一ピクセルPXの座標値のシフト値を設定する。シフト値は、3次元形状データと同様に、プログラムによりランダムで決められる。
【0090】
続いて、STEP4のデータ変換処理では、プロセッサ132は、データの少なくとも一つに対して所定の変換処理(回転処理や反転処理)を行う。すなわち、複数のデータの少なくとも一つに対して、第一ピクセルPXを原点とした回転処理または反転処理を行う。なお、画像データの場合は、回転処理または反転処理が行われると、原点の座標値(データの座標値)は変わらず、画像データ内で表示されるイメージの状態が変化(回転または反転)する。すなわち、回転処理または反転処理後の原点の座標値(データの座標値)は、回転処理または反転処理前の原点の座標値(データの座標値)と同じく、第一ピクセルPXの座標値となる。
【0091】
続いて、STEP5の第一情報出力処理では、プロセッサ132は、各データのシフト値と回転反転値を、各データの識別情報と関連付けて、第一情報I1として対象者51の情報保存媒体30へ出力する。
【0092】
続いて、STEP6の第二情報出力処理では、プロセッサ132は、各データの座標値(すなわち、原点の座標値)を、第二情報I2として記憶装置40へ出力する。シフト値が設定されているデータの座標値としては第二座標値(すなわち、原点の第二座標値)が、シフト値が設定されていないデータの座標値として第一座標値(すなわち、原点の第一座標値)が、データの座標値として、第二情報I2に含まれる。
【0093】
なお、STEP3において、データに対してシフト値が設定されずに、STEP4の回転処理または反転処理のみが実行されるように構成されてもよい。あるいは、STEP4において、データに対して所定の変換処理が行われずに、STEP3のシフト値設定のみが実行されるように構成されてもよい。
【0094】
図9は、シフト処理ならびに回転処理および反転処理が行われたデータB17を示している。例えば、データB17は、原点である第一ピクセルPXを基軸にY軸反転され、時計回りにXY面90度回転された後、第一ピクセルPXの座標値が、Xが-20およびYが-10シフトした座標値上に配置される。そして、第一ピクセルPXのXY座標値が、第二情報I2として記憶装置40へ出力される。なお、画像データの場合は、回転処理や反転処理が行われた後の原点の座標値は、第一ピクセルPXの座標値となる。
【0095】
具体的には、例えば、第二情報I2のデータB17に関する情報は、
No.F017_{X-20Y-10}_IMG{FFDA 000C 0301…7517}_END ・・・(3)
のように表される。なお、上記(3)に示される情報では、IMGの一部の情報が省略されている。
【0096】
一番左側に示されている番号No.F017は、データB17に割り当てられた識別番号(識別情報の一例)である。また、識別番号に続いて、データB17の第二座標値であり且つ変換処理(回転処理または反転処理)の基軸となる原点の第二座標値である第一ピクセルPXの第二座標値が示されている。さらに、IMGで示された値が、データB17のブロック(本例においては縦80ピクセル×横80ピクセルのブロック)を構成する各ピクセルの色情報などが内包されているセグメントを示している。
【0097】
例えば、データB17の第一情報I1は、
No.F017_SFT{X-10Y-12}_FLP{YES_Y}_TRN{YES_90}_IMG{FFD8 FFE0 0010…FFDB…FFC0…FFC4…
FFC4…FFC4…FFD9}_END ・・・(4)
のように表される。なお、上記(4)に示される情報では、IMGの一部の情報が省略されている。
【0098】
識別番号No.F017に続いて、データB17のシフト値、反転の有無および反転方向、回転処理(平面回転)の有無および回転角度が示されている。具体的には、データB17に設定されたシフト値は、X-10、Y-12であり、データB17の第一ピクセルPXの第一座標値から第二座標値までのシフト値が、X軸方向に-10、Y軸方向に-12だけシフトさせることを表している。また、データB17は、原点である第一ピクセルPXを基軸にY軸反転があり、さらに原点である第一ピクセルPXを基軸に時計回りにXY面90度回転していることを表している。
【0099】
なお、本例においては2次元画像データをJFIFファイルとして説明するが、JFIFファイルはセグメントと呼ばれるデータ単位から構成されており、第一情報I1には、JFIFファイルを構成する一部のセグメントの情報を含んでもよい。例えば、上記(4)で表されるように、第一情報I1において、IMGで示された値に、データB17に関する圧縮方式や縦横のピクセル数などの情報を含んだセグメントが含まれている。
【0100】
このように、画像データの座標値や、画像データ内の圧縮方式や色情報(RGBの数値)のセグメントの一部を、第一情報I1または第二情報I2として別々に保存することにより、第一情報I1だけでは、データが不完全なため、画像データを復元することができない。また、第一情報I1だけでは、画像データの原点である第一ピクセルを配置する座標位置も不明なため、画像データを正確に復元することができない。したがって、第一情報I1および第二情報I2のいずれか一方の情報が流出した場合でも個人が特定されることを防止できる。
【0101】
また、3次元画像データ用に抽出されたデータB8の第一情報I1は、例えば
No.F007_SFT{X-2Y-5Z2}_FLP{YES_YZ}_TRN{YES_XY90YZ0XZ0}_IMG{FFD8 FFE0 0010…FFDB…
FFC0…FFC4…FFC4…FFC4…FFD9}…_END ・・・(5)
のように表される。なお、上記(5)に示される情報では、IMGの一部の情報が省略されている。
【0102】
また、3次元画像データ用に抽出されたデータB8の第二情報I2は、例えば
No.F007_{X9.0Y5.0Z2X7.0Y2.0Z4.0X9.0Y0Z2X11.0Y-1.0Z0.5}_ORG{X7.0Y2.0Z4.0} _IMG{X4.5Y7.0_FFDA 001A 0101…5526}…_END ・・・(6)
のように表される。なお、上記(6)に示される情報では、IMGの一部の情報が省略されている。
【0103】
3次元画像データは、2次元画像データを3次元形状データのXY座標軸上に投影表示しているデータである。例えば、上記(5)で表されるように、第一情報I1は、3次元形状データのシフト値や回転反転値などの情報に加えて、2次元画像データに関する圧縮方式や縦横のピクセル数などを示すセグメントの情報を含んでもよい。また、上記(6)で表されるように、第二情報I2は、3次元形状データを構成する複数の形成点や原点の第二座標値の情報に加えて、XYZ座標軸の3次元形状データに投影表示する2次元画像データの原点である第一ピクセルのXY座標値の位置や各ピクセルの色情報などを示すセグメントの情報を含んでもよい。
【0104】
例えば、図10に例示されるように、識別情報No.F007のデータB8の3次元形状データのXY座標値から、3次元形状データ上に投影表示する2次元画像データの各ブロック位置を算出できる。具体的には、データB8の画像データは、例えば、太枠で示す四角形のブロックに対応する。
【0105】
太枠のブロックのXY位置(原点)と画像データの中の情報を識別情報No.F007の第一情報I1および第二情報I2に分離して情報保存媒体30および記憶装置40にそれぞれ保存する。
【0106】
具体的には、まず、3次元形状データのXY座標値を基に、画像データのブロック位置とサイズを算出する。そして、画像データのブロック内で3次元形状データのXY座標上に位置するピクセルを特定する。例えば、図10の丸で囲った数字で示されるように、30個のピクセル(あくまで説明のために簡素化した一例)が特定される。
【0107】
続いて、前記ブロックの第一ピクセルを原点としてXY座標値(X4.5、Y7.0)を第二情報I2として記憶装置40に保存する。また、シフト値、変換処理情報(回転処理や反転処理)、画像情報の各種パラメータを第一情報I1として情報保存媒体30に保存する。
【0108】
なお、本例においては、画像データは1ブロックが8×8ピクセルから構成される場合について説明したが、抽出する3次元形状データのサイズに合わせて1ブロックの大きさを変えてもよい(例えば、1ブロック=80×80ピクセル)。
【0109】
また、第二情報I2は、画像データを構成する各ピクセルの色情報などを示すセグメントの情報を含んでもよい。例えば、上記(6)で表されるように、第二情報I2において、IMGで示された値が各ピクセルの色情報などを含んでいる。なお、画像データのブロック内で3次元形状データのXY座標上に位置しないその他のピクセルは色情報をゼロ(RゼロGゼロBゼロの黒色)として抽出する。RゼロGゼロBゼロは一例であり、他の色で抽出してもよい。
【0110】
次に、図11図13を用いて、上述のように生成された認証情報(第一情報I1、第二情報I2)を用いた認証処理について説明する。図11は、制御装置13のプロセッサ132において実行される認証処理の流れを例示している。
【0111】
まず、プロセッサ132は、撮像装置11により撮像された被認証者50の撮像データを取得する(STEP11)。例えば、決済(支払い)システムなどを利用する被認証者50が撮像システム14に対して所定の範囲内に位置すると、撮像装置11により被認証者50の顔が撮像される。なお、STEP11の撮像データの取得は、後述するSTEP12またはSTEP13の後に行われてもよい。
【0112】
続いて、プロセッサ132は、読取装置12により読み取られた被認証者50が所持する情報保存媒体30に保存された第一情報I1を取得する(STEP12)。例えば、被認証者50が二次元コードを表示したスマートフォンを二次元コードリーダ121に近づけると、二次元コードリーダ121により第一情報I1が読み取られる。
【0113】
続いて、プロセッサ132は、記憶装置40から被認証者50の認証に関する第二情報I2を取得する(STEP13)。具体的には、プロセッサ132は、第一情報I1に含まれる認証用のデータの識別情報に対応するデータを記憶装置40から取得する。
【0114】
続いて、プロセッサ132は、第一情報I1と第二情報I2に基づいて、被認証者50の認証用のデータを所定の座標系上に復元する(STEP14)。所定の座標系としては、第一情報I1および第二情報I2を生成する際に用いられた座標系が使用される。座標系の情報は、第一情報I1に含まれていてもよい。
【0115】
図12図13は、図6のデータB8をXYZ座標系において復元する例を示している。まず、図12に例示されるように、プロセッサ132は、第二情報I2に含まれるデータB8の第二座標値の情報に基づいて、データB8を所定の座標系に配置する。具体的には、第二情報I2に含まれるデータB8を構成する複数の形成点の全ての第二座標値に基づいて、データB8が配置される。そして、第一情報I1に含まれるデータB8に対応するシフト値S8の情報に基づいて、座標系に配置したデータB8の位置を第一座標値まで移動させる。具体的には、データB8を構成する複数の形成点の全てを第一座標値まで移動させる。なお、図12図13においては、データB8のみを示しており、さらにデータB8を構成する複数の形成点のうち原点として設定された形成点の第一座標値PA8、第二座標値PB8およびシフト値S8のみが示されている。
【0116】
続いて、図13に例示されるように、第二情報I2に含まれる原点P8を基軸として第一情報I1に含まれる変換処理の情報(例えば、回転処理または反転処理の回転反転値)に応じて、データB8の回転と反転を調整する。これにより、図13に例示されるように、データB8は、座標系上において正しい位置かつ正しい角度(図6と同じ位置かつ同じ角度)で配置(復元)される。なお、2次元画像データも同じように、シフトおよび変換処理前の位置と角度に配置(復元)される(図示せず)。
【0117】
プロセッサ132は、全てのデータB1~B9の復元が終了する(STEP15においてYES)まで、STEP14の処理を繰り返す。これにより、全てのデータB1~B9が座標系上に再配置(復元)される(図6参照)。これにより参照データが生成される。
【0118】
続いて、プロセッサ132は、復元したデータとSTEP1で取得した撮像データとに基づいて認証処理を行う(STEP16)。具体的には、プロセッサ132は、復元した参照データと撮像データとを照合する。プロセッサ132は、両者の一致度が閾値を上回る場合に、認証を成立させる。換言すると、プロセッサ132は、両者の一致度が閾値を上回る場合に、撮像装置11により自らの顔の撮像データを取得させた被認証者50を、登録されたユーザとして認証する。
【0119】
上記したように、本実施形態に係る認証システム10によれば、制御装置13は、情報保存媒体30から第一情報I1を取得し、記憶装置40から第二情報I2を取得する。そして制御装置13は、第一情報I1と第二情報I2に基づいて、複数のデータB1~B9を所定の座標系上に復元する。
【0120】
情報保存媒体30には、第一情報I1として、複数のデータB1~B9のシフト値S1~S9が保存されており、他方、複数のデータB1~B9の座標値は保存されていない。また、記憶装置40には、第二情報I2として、複数のデータB1~B9の座標値が保存されているが、シフト値は保存されていない。これにより、情報保存媒体30または記憶装置40のいずれか一方に記憶された認証情報だけでは、複数のデータを元の撮像データに復元できない。したがって、情報保存媒体30に保存された第一情報I1または記憶装置40に保存された第二情報I2のいずれか一方の情報が流出しても個人が特定されることを防止できる。
【0121】
さらに、本実施形態においては、複数のデータB1~B9に対して、回転処理および反転処理が実行されている。情報保存媒体30には、第一情報I1として、回転処理および反転処理の回転反転値が保存されているが、回転処理および反転処理の基軸となる原点P1~P9の座標値は保存されていない。また、記憶装置40には、第二情報I2として、回転処理および反転処理の基軸となる原点P1~P9の座標値は保存されているが、回転反転値は保存されていない。したがって、第一情報I1または第二情報I2が他人に知られた場合でも、他人により複数のデータを復元することを防ぐことができる。
【0122】
また、複数のデータB1~B9は、対象者51(被認証者50)の撮像データから対象者51(被認証者50)の特徴を特定できないサイズに分割されて抽出されたデータである。そして、2次元画像データも同様に、対象者51(被認証者50)の特徴を特定できないサイズ(ブロック)に分割されて抽出されたデータである。これにより、複数のデータB1~B9が他人に知られた場合でも、個人が特定されることを防止できる。
【0123】
また、複数のデータB1、B2、B5~B9は、合成された場合に被認証者50の連続した領域を構成しないように抽出されたデータである。そして、2次元画像データも同様に、画像データが連続した領域を構成しないように抽出されたデータである。これにより、合成するデータ間の距離が不明なため、複数のデータを復元することができず、個人を特定することができない。
【0124】
また、記憶装置40は、被認証者50とは異なる被認証者の生体認証に関する第二情報I2も記憶してもよい。これにより、記憶装置40の第二情報I2が他人に知られた場合でも、複数の人物の第二情報I2から被認証者50の第二情報I2を特定することができず、他人により被認証者50のデータを復元することを防ぐことができる。
【0125】
これまで説明した様々な機能を有する制御装置13のプロセッサ132は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。コンピュータプログラムは、人工知能(AI)プログラムを含んでもよい。AIプログラムは、多層のニューラルネットワークを用いた教師有りまたは教師なし機械学習(特に、ディープラーニング)によって構築されたプログラム(学習済みモデル)である。ROMは、非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、無線通信ネットワークを介して外部サーバ装置からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。
【0126】
プロセッサ132は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0127】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0128】
上記の実施形態において、データを構成する複数の形成点のうち一つの形成点を原点として説明しているが、原点は、データを構成する形成点である必要はない。
【0129】
上記の実施形態において、認証システム10は、撮像装置11を用いて取得された被認証者50の顔の撮像データに基づいて顔認証する例について説明した。しかしながら、認証システム10は、顔認証以外の生体認証を行うように構成されうる。例えば、認証システム10は、指紋認証を行うように構成されうる。具体的には、撮像装置11により取得された被認証者50の指の指紋の撮像データに基づいて指紋認証が行われてもよい。あるいは、撮像システム14には撮像装置11の代わりに指紋センサが搭載され、レーザまたは音波を被認証者50の指に向けて照射し、指から反射されたレーザまたは音波を受信し、受信した信号を解析することにより被認証者50の指の指紋の画像データおよび形状データなどを取得してもよい。また、顔認証や指紋認証の代わりに、認証システム10は、静脈認証を行うように構成されうる。具体的には、撮像装置11を用いて被認証者50の指に近赤外線を照射してカメラにより静脈パターンを撮像し、静脈パターンの撮像データに基づいて静脈認証が行われてもよい。さらに、顔認証、指紋認証または静脈認証の代わりに、認証システム10は、虹彩認証を行うように構成されてもよい。
【0130】
上記の実施形態において、顔認証である一つの認証方法が成立した場合に、被認証者50の認証が成立したと判断している。しかしながら、認証方法は一つだけでなく、複数の認証方法に基づいて、被認証者50の認証が成立したと判断してもよい。例えば、顔認証に加えて、被認証者50のアカウント情報に基づく認証処理が行われてもよい。すなわち、プロセッサ132は、被認証者50により入力されたアカウント情報(パスワードなどを含む)が記憶装置40に保存されている予め登録されたアカウント情報と一致するかを判断する。そして、プロセッサ132は、アカウント情報による認証が成立し、且つ顔認証が成立した場合に、被認証者50の認証が成立したと判断してもよい。
【0131】
あるいは、顔認証に加えて、指紋認証または静脈認証が行われてもよい。例えば、プロセッサ132は、顔認証および指紋認証または静脈認の両方が成立した場合に、被認証者50の認証が成立したと判断してもよい。あるいは、顔認証の代わりに、指紋認証および静脈認証の両方が成立した場合に、被認証者50の認証が成立したと判断してもよい。
【0132】
上記の実施形態において、撮像システム14は、通信ネットワーク20を介して制御装置13に接続されている。しかしながら、撮像システム14と制御装置13は一体的に構成されてもよい。撮像システム14と制御装置13一体型の構成は、例えばスマートフォンにより実現され、スマートフォンにおいてデータの復元と認証処理が行われてもよい。このような構成によれば、被認証者50が保有する第一情報I1が認証時に通信ネットワーク20に送信されることなく、第二情報I2だけを記憶装置40から通信ネットワーク20を介して受信してスマートフォン内においてデータを復元および認証処理できる。これにより、第一情報I1が外部に漏洩することを防止できる。また、情報保存媒体30、撮像システム14および制御装置13が一体的に構成されてもよい。
【0133】
上記の実施形態において、第一情報I1や第二情報I2が、制御装置13から通信ネットワーク20を介して撮像システム14や記憶装置40へ出力される場合には、既知の公開鍵方式、共通鍵方式など様々な暗号化や復号化を使うことにより、データの気密性を保つように構成されてもよい。
【0134】
上記の実施形態において、生体データから抽出された全てのデータに対してシフト値が設定されている。しかしながら、例えば少なくとも一つのデータに対してシフト値が設定されるように構成されてもよい。シフト値が設定されるデータは、プログラムによりランダムで決められる。また、データB8に対してシフト値が設定されなかった場合、例えば、上記(1)で表される情報保存媒体30に保存される第一情報I1は、SFT{X0Y0Z0}のXYZの各値がゼロとなる。そして、上記(2)で表される記憶装置40に保存される第二情報I2は、原点と座標値も抽出時の第一座標値のままで保存される。また、上記(4)で表される2次元データも、シフト値が設定されなかった場合は第一情報I1のシフト値SFT{X0Y0}はゼロとなり、上記(3)で表される記憶装置40に保存される第二情報I2の原点と座標値も抽出時の第一座標値のままで保存される。
【0135】
しかし、このように構成される場合でも、記憶装置40に保存されたデータのうち、いずれのデータに対してシフト値が設定されているかを判断できないので、第一情報I1が流出しても個人が特定されることを防止できる。また、記憶装置40に保存された全てのデータに対してシフト値が設定される場合に比べて、認証処理時に処理されるデータ量が減少するので認証処理の高速化が期待できる。
【0136】
また、このように構成される場合でも、記憶装置40に保存されたデータは、回転処理または反転処理が実行されているかを判断できないので、第二情報I2が流出しても個人が特定されることを防止できる。また、記憶装置40に保存されたデータに対してシフト値の設定および回転処理や反転処理が行われている場合に比べて、認証処理時に処理されるデータ量が減少するので認証処理の高速化が期待できる。
【符号の説明】
【0137】
10 認証システム
11 撮像装置
12 読取装置
13 制御装置
14 撮像システム
15 書込装置
20 通信ネットワーク
30 情報保存媒体
40 記憶装置
50 被認証者
51 対象者
111 光源部
112 カメラ
113 投影デバイス
114 表示部
115 センサ
121 二次元コードリーダ
122 NFCリーダ
131 入力部
132 プロセッサ
133 出力部
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