(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023017389
(43)【公開日】2023-02-07
(54)【発明の名称】ヒートポンプ装置
(51)【国際特許分類】
F25B 41/26 20210101AFI20230131BHJP
【FI】
F25B41/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021121636
(22)【出願日】2021-07-26
(71)【出願人】
【識別番号】399040106
【氏名又は名称】ゼネラルヒートポンプ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180552
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 旭洋
(72)【発明者】
【氏名】柴 芳郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 澂雄
(57)【要約】
【課題】冷却運転と加熱運転との両方で対向流での熱交換を実現しつつ、設置コストを低減するヒートポンプ装置を提供する。
【解決手段】ヒートポンプ装置11Aは、第二切替部82Aと第三切替部83Aとを備えている。第二切替部82Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時とで、第一熱交換器351に流れる方向を同じにして、第一熱交換器351において第一熱媒体51と冷媒53とを対向流にする。第三切替部83Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時とで、第二熱交換器352に流れる方向を同じにして、第二熱交換器352おいて第二熱媒体52と冷媒53とを対向流にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一熱媒体を熱源として第二熱媒体を冷却する冷却運転と、前記第一熱媒体を熱源として前記第二熱媒体を加熱する加熱運転とを切り替え可能なヒートポンプ装置であって、
前記第一熱媒体と冷媒とを熱交換する第一熱交換器と、
前記冷媒と前記第二熱媒体とを熱交換する第二熱交換器と、
前記冷媒を膨張させる膨張弁と、
前記冷媒を圧縮する圧縮機と、
前記冷却運転時に、前記第二熱交換器から前記圧縮機を介して前記第一熱交換器に前記冷媒を流し、前記加熱運転時に、前記第一熱交換器から前記圧縮機を介して、前記第二熱交換器に前記冷媒を流すように、前記冷媒の流路を切り替える第一切替部と、
前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第一熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにして、前記第一熱交換器において前記第一熱媒体と前記冷媒とを対向流にする第二切替部と、
前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第二熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにして、前記第二熱交換器において前記冷媒と前記第二熱媒体とを対向流にする第三切替部と
を備えたことを特徴とするヒートポンプ装置。
【請求項2】
前記膨張弁は、一方向にのみ前記冷媒が流れる片方向膨張弁であり、
前記ヒートポンプ装置は、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで前記冷媒が流れる流路を切り替えて、前記片方向膨張弁に流れる前記冷媒の方向を前記一方向にする第四切替部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項3】
前記膨張弁は、一方向、及び、前記一方向の反対方向に前記冷媒が流れる両方向膨張弁であり、
前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記両方向膨張弁を前記冷媒が流れる方向が逆方向となることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプ装置。
【請求項4】
前記第二切替部は、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第一熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにし、且つ、前記第一熱交換器において前記冷媒を重力方向に流すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
【請求項5】
前記第三切替部は、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第二熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにし、且つ、前記第二熱交換器において前記冷媒を重力方向に流すことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
【請求項6】
前記第一熱媒体は、空気であり、
前記第一熱交換器は、前記空気と前記冷媒とを熱交換し、
前記第二切替部は、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第一熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにして、前記第一熱交換器において前記空気と前記冷媒とを対向流にすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のヒートポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換を行うヒートポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換を行うヒートポンプ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の液体供給装置は、ヒートポンプ及びファンコイルユニットを備えている。ヒートポンプは、2つの冷媒-水熱交換器(以下、第一の熱交換器、第二の熱交換器という場合がある。)、圧縮機、膨張弁、及び冷媒配管を備えている。
【0003】
ファンコイルユニットにおいて冷房が実施される場合、冷媒が、圧縮機、第一の熱交換器、膨張弁、第二の熱交換器の順に流れる。第一の熱交換器において、第一の液体と冷媒とが熱交換され、気体の冷媒が冷却されて凝縮して液体の冷媒となる。そして、第二の熱交換器において、冷媒と第二の液体とが熱交換され、気体と液体が共存する冷媒が加熱されて蒸発して全て気体となることにより、第二の液体が冷却される。冷却された第二の液体の熱は、ファンコイルユニットにおいて冷房に利用される。
【0004】
ファンコイルユニットにおいて暖房が実施される場合、冷媒が、膨張弁、第一の熱交換器、圧縮機、第二の熱交換器の順に流れる。第一の熱交換器において、第一の液体と冷媒とが熱交換され、気体と液体が共存する冷媒が加温されて蒸発して全て気体となる。そして、第二の熱交換器において、冷媒と第二の液体とが熱交換され、気体の冷媒が冷却されて凝縮して液体の冷媒となることにより、第二の液体が加温される。加温された第二の液体の熱は、ファンコイルユニットにおいて暖房に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来のヒートポンプ装置は、第二の熱交換器において第二の液体を冷却する場合と加温する場合とで、第一の熱交換器を流れる冷媒の向きは逆になる。また、第二の熱交換器を流れる冷媒の向きも逆になる。しかし、第一の液体と、第二の液体とのそれぞれが流れる向きは、変わらない。よって、第一の熱交換器において第一の液体と冷媒とが同じ方向に流れる場合がある。また、第二の熱交換器において第二の液体と冷媒とが同じ方向に流れる場合がある。このように熱交換器において液体と冷媒とが同じ方向に流れると、液体と冷媒とが逆方向に流れる対向流である場合に比べて、熱交換の効率が低下する。
【0007】
ここで、熱交換器において液体と冷媒とを対向流とするために、ヒートポンプの外側で、液体の流れる向きを、切り替えることが考えられる。しかし、ヒートポンプの外側に、液体の流れる向きを切り替える装置を設ける必要がある。ヒートポンプの外側の機器は、ヒートポンプを含むシステムが設置される現地で施工される場合が多い。液体の流れる向きを切り替える装置を現地で施工すると、ヒートポンプを含むシステムを設置する工数が増大し、設置コストが大きくなるという問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、冷却運転と加熱運転との両方で対向流での熱交換を実現しつつ、設置コストを低減するヒートポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るヒートポンプ装置は、第一熱媒体を熱源として第二熱媒体を冷却する冷却運転と、前記第一熱媒体を熱源として前記第二熱媒体を加熱する加熱運転とを切り替え可能なヒートポンプ装置であって、前記第一熱媒体と冷媒とを熱交換する第一熱交換器と、前記冷媒と前記第二熱媒体とを熱交換する第二熱交換器と、前記冷媒を膨張させる膨張弁と、前記冷媒を圧縮する圧縮機と、前記冷却運転時に、前記第二熱交換器から前記圧縮機を介して前記第一熱交換器に前記冷媒を流し、前記加熱運転時に、前記第一熱交換器から前記圧縮機を介して、前記第二熱交換器に前記冷媒を流すように、前記冷媒の流路を切り替える第一切替部と、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第一熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにして、前記第一熱交換器において前記第一熱媒体と前記冷媒とを対向流にする第二切替部と、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第二熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにして、前記第二熱交換器において前記冷媒と前記第二熱媒体とを対向流にする第三切替部とを備えている。
【0010】
この場合、第二切替部と第三切替部とによって、冷媒の流路を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時との両方で、第一熱交換器において第一熱媒体と冷媒とを対向流にし、第二熱交換器において冷媒と第二熱媒体とを対向流にすることができる。よって、第一熱交換器において第一熱媒体と冷媒とが同じ方向に流れる場合に比べて、熱交換の効率が向上する。また、第二熱交換器において第一熱媒体と冷媒とが同じ方向に流れる場合に比べて、熱交換の効率が向上する。また、冷媒の流路を切り替えて対向流にすることができるので、第一熱媒体と第二熱媒体の流路を切り替えて対向流にする必要がない。第一熱媒体と第二熱媒体の流路は、ヒートポンプ装置が設置される現地で施工される場合が多い。しかし、本発明では第一熱媒体と第二熱媒体の流路を切り替えなくても、対向流にすることができるので、第一熱媒体と第二熱媒体の流れる向きを切り替える装置を現地で施工する必要がない。よって、ヒートポンプ装置を含むシステムを設置する工数が減少する。故に、ヒートポンプ装置を含むシステムの設置コストを低減することができる。
【0011】
前記ヒートポンプ装置において、前記膨張弁は、一方向にのみ前記冷媒が流れる片方向膨張弁であり、前記ヒートポンプ装置は、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで前記冷媒が流れる流路を切り替えて、前記片方向膨張弁に流れる前記冷媒の方向を前記一方向にする第四切替部を備えてもよい。この場合、第四切替部によって、冷却運転時と前記加熱運転時とで前記冷媒が流れる流路を切り替えて、片方向膨張弁に冷媒を流すことができる。これによって、ヒートポンプ装置に片方向膨張弁を使用して、冷却運転と加熱運転とを実現できる。
【0012】
前記ヒートポンプ装置において、前記膨張弁は、一方向、及び、前記一方向の反対方向に前記冷媒が流れる両方向膨張弁であり、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記両方向膨張弁を前記冷媒が流れる方向が逆方向となってもよい。この場合、ヒートポンプ装置に両方向膨張弁を使用して、冷却運転と加熱運転とを実現できる。
【0013】
前記ヒートポンプ装置において、前記第二切替部は、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第一熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにし、且つ、前記第一熱交換器において前記冷媒を重力方向に流してもよい。冷媒には、油が含まれる場合がある。仮に、第一熱交換器において、冷媒が重力方向の反対方向に流れる場合、重力によって、冷媒に含まれる油が、重力方向の反対方向に流れにくい場合がある。これによって、第一熱交換器の冷媒の流路に油が溜まる場合がある。本発明では、第一熱交換器において冷媒が重力方向に流れるので、油も重力方向に流れ、第一熱交換器の外側に流れる。よって、第一熱交換器の冷媒の流路に油が溜まる可能性を低減できる。
【0014】
前記ヒートポンプ装置において、前記第三切替部は、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第二熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにし、且つ、前記第二熱交換器において前記冷媒を重力方向に流してもよい。仮に、第二熱交換器において、冷媒が重力方向の反対方向に流れる場合、重力によって、冷媒に含まれる油が、重力方向の反対方向に流れにくい場合がある。これによって、第二熱交換器の冷媒の流路に油が溜まる場合がある。本発明では第二熱交換器において冷媒が重力方向に流れるので、油も重力方向に流れ、第二熱交換器の外側に流れる。よって、第二熱交換器の冷媒の流路に油が溜まる可能性を低減できる。
【0015】
前記ヒートポンプ装置において、前記第一熱媒体は、空気であり、前記第一熱交換器は、前記空気と前記冷媒とを熱交換し、前記第二切替部は、前記冷媒の流路を切り替えることで、前記冷却運転時と前記加熱運転時とで、前記第一熱交換器に前記冷媒が流れる方向を同じにして、前記第一熱交換器において前記空気と前記冷媒とを対向流にしてもよい。この場合、空気と冷媒とが対向流となるので、空気が冷媒と同じ方向に流れる場合に比べて、熱交換の効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】冷却運転時のヒートポンプシステム1Aの物理的構成を示す模式図である。
【
図2】加熱運転時のヒートポンプシステム1Aの物理的構成を示す模式図である。
【
図3】冷却運転時のヒートポンプシステム1Bの物理的構成を示す模式図である。
【
図4】加熱運転時のヒートポンプシステム1Bの物理的構成を示す模式図である。
【
図5】冷却運転時のヒートポンプシステム1Cの物理的構成を示す模式図である。
【
図6】加熱運転時のヒートポンプシステム1Cの物理的構成を示す模式図である。
【
図7】冷却運転時のヒートポンプシステム1Dの物理的構成を示す模式図である。
【
図8】空気利用熱交換器60の物理的構成を示す模式図である。
【
図9】ユニット61の物理的構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具現化したヒートポンプ装置11Aを備えたヒートポンプシステム1Aについて、図面を参照して説明する。ヒートポンプ装置11Aは、第一熱媒体51を熱源として第二熱媒体52を冷却する冷却運転と、第一熱媒体51を熱源として第二熱媒体52を加熱する加熱運転とを切り替え可能である。冷却又は加熱された第二熱媒体52の熱は、例えば、負荷(図示外)で使用される。本実施形態では、一例として、第一熱媒体51と第二熱媒体52は、水であるとする。
【0018】
ヒートポンプ装置11Aは、第一熱交換器351、第二熱交換器352、圧縮機38、膨張弁34、気液分離器37、油分離器39、第一切替部36、第二切替部82A、第三切替部83A、フィルタードライヤー33、及び制御盤19を備えている。なお、ヒートポンプ装置11Aは、以下で説明する複数の流路を備えているが、該流路の一部又は全体を表す場合、流路70という場合がある。
【0019】
第一切替部36は、冷却運転時に、第二熱交換器352から圧縮機38を介して第一熱交換器351に冷媒53を流し(
図1参照)、加熱運転時に、第一熱交換器351から圧縮機38を介して、第二熱交換器352に冷媒53を流すように(
図2参照)、冷媒53の流路70を切り替える。冷媒53には、例えば、種々の冷媒を使用することができる。本実施形態では、一例として、冷媒53は、常温常圧で気体の冷媒であるR134aとする。また、本実施形態では、一例として、第一切替部36は、四方弁である。
【0020】
第二切替部82Aは、開閉弁857,858を含む。第三切替部83Aは、開閉弁853,854を含む。第四切替部84は、開閉弁851,852,855,856を含む。開閉弁851~858は、例えば、電磁弁又は電動弁である。なお、
図1及び
図2においては、開いている開閉弁を白抜きで表し、閉じている開閉弁を黒で塗りつぶして示している(
図3~
図7も同様)。制御盤19は、CPU191、その他、制御ソフトウェアを記憶する記憶媒体等の種々の回路を備えている。CPU191は、ヒートポンプ装置11Aを制御し、冷却運転及び加熱運転を行う。CPU191は、例えば、第一切替部36、第二切替部82A、及び第三切替部83Aを制御し、流路70を切り替える。CPU191は、例えば、第二熱媒体52の熱を使用する負荷(例えば、ファンコイルユニット等)からの入力によって、冷却運転と加熱運転とを切り替えてもよい。また、CPU191は、例えば、図示しない操作部を介して入力される使用者の指示を検出し、冷却運転及び加熱運転を切り替えてもよい。
【0021】
第一熱交換器351は、流路711,712を備えている。流路711,712は、重力方向に延びる。第二熱交換器352は、流路713,714を備えている。流路713,714は、重力方向に延びる。
【0022】
ヒートポンプ装置11Aの外側の流路781は、流路711の重力方向側の端部に接続されている。ヒートポンプ装置11Aの外側の流路782は、流路711の重力方向とは反対側の端部に接続されている。ヒートポンプ装置11Aの外側の流路783は、流路713の重力方向側の端部に接続されている。ヒートポンプ装置11Aの外側の流路784は、流路713の重力方向とは反対側の端部に接続されている。
【0023】
ヒートポンプ装置11Aにおいて、流路721の一端は、流路712の重力方向側の端部に接続され、他端は分岐部811に接続されている。流路722の一端は分岐部811に接続され、他端は分岐部812に接続されている。流路722には、開閉弁851が設けられている。流路723の一端は、分岐部812に接続され、他端は分岐部813に接続されている。流路723には、開閉弁852が設けられている。
【0024】
流路724の一端は分岐部813に接続され、他端は第二熱交換器352の流路714の重力方向側の端部に接続されている。流路725の一端は流路714の重力方向とは反対側の端部に接続され、他端は分岐部814に接続されている。
【0025】
流路726の一端は分岐部814に接続され、他端は分岐部815に接続されている。流路726には、開閉弁853が設けられている。流路727の一端は分岐部815に接続され、他端は分岐部813に接続されている。流路727には、開閉弁854が設けられている。
【0026】
流路728の一端は分岐部814に接続され、他端は分岐部816に接続されている。流路728には、開閉弁855が設けられている。流路729の一端は分岐部816に接続され、他端は分岐部817に接続されている。流路729には、開閉弁856が設けられている。
【0027】
流路730の一端は分岐部817に接続され、他端は、第一熱交換器351の流路712の重力方向の反対方向側の端部に接続されている。流路731の一端は分岐部817に接続され、他端は分岐部818に接続されている。流路731には、開閉弁857が設けられている。流路732の一端は分岐部818に接続され、他端は分岐部811に接続されている。流路732には開閉弁858が設けられている。
【0028】
第一切替部36は、接続口361,362,363,364を備えている。流路733の一端は分岐部818に接続され、他端は接続口361に接続されている。流路734の一端は接続口363に接続され、他端は分岐部815に接続されている。流路735の一端は接続口362に接続され、他端は気液分離器37に接続されている。
【0029】
流路736の一端は気液分離器37に接続され、他端は圧縮機38に接続されている。流路737の一端は圧縮機38に接続され、他端は油分離器39に接続されている。流路738の一端は油分離器39に接続され、他端は第一切替部36の接続口364に接続されている。
【0030】
第一切替部36は、CPU191の制御によって、冷却運転時に、接続口361と接続口364とを接続し、接続口362と接続口363とを接続する(
図1参照)。また、第一切替部36は、CPU191の制御によって、加熱運転時に、接続口361と接続口362とを接続し、接続口363と接続口364とを接続する(
図2参照)。なお、
図1及び
図2においては、接続口361~364のうち、接続される接続口を、点線で結んで示している(後述する
図3~
図7も同様)。
【0031】
流路739の一端は分岐部812に接続され、他端は、フィルタードライヤー33に接続されている。流路740の一端はフィルタードライヤー33に接続され、他端は膨張弁34に接続されている。流路741の一端は膨張弁34に接続され、他端は分岐部816に接続されている。膨張弁34は、一方向のみ冷媒53が流れる片方向膨張弁である。本実施形態では、流路740から、膨張弁34を介して、流路741に冷媒53が流れる(
図1の矢印21及び
図2の矢印22参照)
【0032】
図1を参照し、ヒートポンプ装置11Aが冷却運転をする場合について説明する。冷却運転が実行される場合、第二切替部82A、第三切替部83A、及び第四切替部84は、CPU191の制御によって、開閉弁851,854,855,857を開き、開閉弁852,853,856,858を閉じる。また、第一切替部36は、CPU191の制御によって、接続口361と接続口364とを接続し、接続口362と接続口363とを接続する。これによって、「圧縮機38→第一熱交換器351→膨張弁34→第二熱交換器352→圧縮機38」という冷媒53の通路が形成される(矢印21参照)。
【0033】
圧縮機38は、冷媒53を圧縮する。冷媒53が圧縮されることによって、冷媒53の温度が上昇する。冷媒53は、圧縮機38から、流路737を介して、油分離器39に流れる。油分離器39は、冷媒53に含まれる油を分離する。
【0034】
冷媒53は、油分離器39から、流路738、第一切替部36、流路733、流路731、及び流路730を介して、第一熱交換器351の流路712に流れる。第一熱媒体51は、流路781から、第一熱交換器351の流路711に流れる。第一熱交換器351において、第一熱媒体51と冷媒53との間で熱交換が行われる。これによって、気体の冷媒53が冷却されて凝縮して液体の冷媒となることにより、第一熱媒体51が加熱される。第一熱交換器351において、冷媒53は流路712を重力方向に流れ、第一熱媒体51は流路711を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第一熱媒体51と冷媒53とが対向流となっている。熱交換に使用された第一熱媒体51は、流路711から流路782に流れる。
【0035】
なお、第一熱媒体51は、図示しない供給源から流路781に供給され、流路782を介して、図示しない送出先に送出される。供給源は、例えば、井戸、水道、その他、種々の設備である。また、排出先は、例えば、井戸、下水道、その他、種々の設備である。また、供給源と排出先が同一の設備であり、第一熱媒体51が、該設備と第一熱交換器351との間を循環してもよい。
【0036】
第一熱交換器351において冷却された冷媒53は、流路721、流路722、及び流路739を介して、フィルタードライヤー33に流れる。フィルタードライヤー33は、例えば、冷媒53に含まれる水分及び異物等の除去を行う。
【0037】
冷媒53は、フィルタードライヤー33から、流路740を介して、膨張弁34に流れる。膨張弁34は、冷媒53を膨張させる。高温高圧液体の冷媒53が膨張することによって、冷媒53の温度が低下して低温低圧の気体と液体が共存する冷媒となる。
【0038】
冷媒53は、膨張弁34から、流路741、流路728、及び流路725を介して、第二熱交換器352の流路714に流れる。第二熱媒体52は、流路783から、第二熱交換器352の流路713に流れる。第二熱交換器352において、第二熱媒体52と冷媒53との間で熱交換が行われる。これによって、気体と液体が共存する冷媒53が加熱されて蒸発して全て気体となることにより、第二熱媒体52が冷却される。第二熱交換器352において、冷媒53は流路714を重力方向に流れ、第二熱媒体52は流路713を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第二熱媒体52と冷媒53とが対向流となっている。第二熱媒体52は、流路713から流路784に流れる。冷却された第二熱媒体52の冷熱は、例えば、建物の冷房等、種々の用途に利用可能である。
【0039】
なお、第二熱媒体52は、図示しない供給源から流路783に供給され、流路784を介して、図示しない送出先である負荷に送出される。負荷において、第二熱媒体52の熱が使用される。供給源は、例えば、井戸、水道、その他、種々の設備である。また、負荷は、例えば、空調を行うファンコイルユニット、蛇口、その他、種々の設備である。また、供給源と負荷が同一の設備であり、第二熱媒体52が、該設備と第二熱交換器352とを循環してもよい。
【0040】
冷媒53は、流路724、流路727、流路734、第一切替部36、及び流路735を介して、気液分離器37に流れる。気液分離器37においては、冷媒53に含まれる液体が、分離される。液体が分離された後の冷媒53は、流路736を介して、圧縮機38に流れる。以上のように、ヒートポンプ装置11Aにおいて、冷却運転が実行される。
【0041】
図2を参照し、第二熱媒体52を加熱する加熱運転について説明する。加熱運転が実行される場合、第二切替部82A、第三切替部83A、及び第四切替部84は、CPU191の制御によって、開閉弁852,853,856,858を開き、開閉弁851,854,855,857を閉じる。また、第一切替部36は、CPU191の制御によって、接続口361と接続口362とを接続し、接続口363と接続口364とを接続する。これによって、「膨張弁34→第一熱交換器351→圧縮機38→第二熱交換器352→膨張弁34」という冷媒53の通路が形成される(矢印22参照)。
【0042】
膨張弁34は、冷媒53を膨張させる。高温高圧の液体の冷媒53が膨張することによって低温低圧の気体と液体が共存する冷媒となり、冷媒53の温度が低下する。冷媒53は、膨張弁34から、流路741、流路729、及び流路730を介して、第一熱交換器351の流路712に流れる。第一熱媒体51は、流路781から、第一熱交換器351の流路711に流れる。第一熱交換器351において、第一熱媒体51と冷媒53との間で熱交換が行われる。これによって、気体と液体が共存する冷媒53が加熱されて蒸発して全て気体となることにより、第一熱媒体51が冷却される。第一熱交換器351において、冷媒53は流路712を重力方向に流れ、第一熱媒体51は流路711を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第一熱媒体51と冷媒53とが対向流となっている。熱交換に使用された第一熱媒体51は、流路711から流路782に流れる。
【0043】
第一熱交換器351において加熱された冷媒53は、流路721、流路732、流路733、第一切替部36、及び流路735を介して、気液分離器37に流れる。気液分離器37においては、冷媒53に含まれる液体が、分離される。液体が分離された後の冷媒53は、流路736を介して、圧縮機38に流れる。
【0044】
圧縮機38において、冷媒53が圧縮されることによって、冷媒53の温度が上昇する。冷媒53は、圧縮機38から、流路737を介して、油分離器39に流れる。油分離器39は、冷媒53に含まれる油を分離する。
【0045】
冷媒53は、油分離器39から、流路738、第一切替部36、流路734、流路726、及び流路725を介して、第二熱交換器352の流路714に流れる。第二熱媒体52は、流路783から、第二熱交換器352の流路713に流れる。第二熱交換器352において、第二熱媒体52と冷媒53との間で熱交換が行われる。これによって、気体の冷媒53が冷却されて凝縮して液体の冷媒となることにより、第二熱媒体52が加熱される。第二熱交換器352において、冷媒53は流路714を重力方向に流れ、第二熱媒体52は流路713を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第二熱媒体52と冷媒53とが対向流となっている。
【0046】
第二熱媒体52は、流路713から流路784に流れる。加熱された第二熱媒体52の熱は、例えば、建物の暖房等、種々の用途に利用可能である。
【0047】
冷媒53は、流路724、流路723、及び流路739を介して、フィルタードライヤー33に流れる。冷媒53は、フィルタードライヤー33から、流路740を介して、膨張弁34に流れる。以上のように、ヒートポンプ装置11Aにおいて、加熱運転が実行される。
【0048】
以上のように、ヒートポンプシステム1Aにおいて、冷却運転及び加熱運転が実行される。本実施形態では、第二切替部82Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時とで、第一熱交換器351に冷媒53が流れる方向を同じにして、第一熱交換器351において、第一熱媒体51と第二熱媒体52とを対向流にする(
図1及び
図2参照)。また、第三切替部83Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時とで、第二熱交換器352に冷媒53が流れる方向を同じにして、第二熱交換器352において冷媒53と第二熱媒体52とを対向流にする(
図1及び
図2参照)。よって、第一熱交換器351において第一熱媒体51と冷媒53とが同じ方向に流れる場合に比べて、熱交換の効率が向上する。第二熱交換器352において第一熱媒体51と冷媒53とが同じ方向に流れる場合に比べて、熱交換の効率が向上する。また、冷媒53の流路70を切り替えて対向流にすることができるので、第一熱媒体51と第二熱媒体52の流路を切り替えて対向流にする必要がない。第一熱媒体51と第二熱媒体52の流路は、ヒートポンプ装置11Aが設置される現地で施工される場合が多い。しかし、本実施形態では第一熱媒体51と第二熱媒体52の流路を切り替えなくても、対向流にすることができるので、第一熱媒体51と第二熱媒体52の流れる向きを切り替える装置を現地で施工する必要がない。よって、ヒートポンプ装置11Aを含むヒートポンプシステム1Aを設置する工数が減少する。故に、ヒートポンプ装置11Aを含むヒートポンプシステム1Aの設置コストを低減することができる。
【0049】
また、膨張弁34は、一方向のみ冷媒53が流れる片方向膨張弁である。また、第四切替部84は、冷却運転時と加熱運転時とで冷媒53が流れる流路70を切り替えて、膨張弁34に冷媒53を流すことができる(
図1及び
図2参照)。これによって、ヒートポンプ装置11Aに片方向膨張弁である膨張弁34を使用して、冷却運転と加熱運転とを実現できる。
【0050】
また、第二切替部82Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時とで、第一熱交換器351に冷媒53が流れる方向を同じにし、且つ、第一熱交換器351において、冷媒53を重力方向に流す。冷媒53には、油が含まれる場合がある。仮に、第一熱交換器351において、冷媒53が重力方向の反対方向に流れる場合、重力によって、冷媒53に含まれる油が、重力方向とは反対方向に流れにくい場合がある。これによって、第一熱交換器351の冷媒53の流路712に油が溜まる場合がある。本実施形態では、第一熱交換器351において冷媒53が重力方向に流れるので、油も重力方向に流れ、第一熱交換器351の外側に流れる。よって、第一熱交換器351の冷媒53の流路712に油が溜まる可能性を低減できる。油が溜まる可能性を低減できるので、第一熱交換器351に油を回収する機構を設ける必要がない。よって、ヒートポンプシステム1Aの設置コストを低減できる。
【0051】
また、冷却運転が実行される場合、第一熱交換器351においては、冷媒53が冷却される。このとき、第一熱交換器251は、冷媒53が気体から液体に変化する凝縮器となる。冷媒53は、第一熱交換器251の流路712を、液化しながら、重力に応じて下降する。よって、冷媒53が、液化しながら重力の反対方向に上昇する場合に比べて、冷媒53が移動しやすく、熱交換の効率が向上する。
【0052】
また、第三切替部83Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、冷却運転時と加熱運転時とで、第二熱交換器352に冷媒53が流れる方向を同じにし、且つ、第二熱交換器352において冷媒53を重力方向に流す。仮に、第二熱交換器352において、冷媒53が重力方向の反対方向に流れる場合、重力によって、冷媒53に含まれる油が、重力方向の反対方向に流れにくい場合がある。これによって、第二熱交換器352の冷媒53の流路714に油が溜まる場合がある。本実施形態では第二熱交換器352において冷媒53が重力方向に流れるので、油も重力方向に流れ、第二熱交換器352の外側に流れる。よって、第二熱交換器352の冷媒53の流路714に油が溜まる可能性を低減できる。油が溜まる可能性を低減できるので、第二熱交換器352に油を回収する機構を設ける必要がない。よって、ヒートポンプシステム1Aの設置コストを低減できる。
【0053】
また、暖房運転が実行される場合、第二熱交換器352においては、冷媒53が冷却される。このとき、第二熱交換器252は、冷媒53が気体から液体に変化する凝縮器となる。冷媒53は、第二熱交換器252の流路714を、液化しながら、重力に応じて下降する。よって、冷媒53が、液化しながら重力の反対方向に上昇する場合に比べて、冷媒53が移動しやすく、熱交換の効率が向上する。
【0054】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第二切替部82Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、第一熱交換器351において冷媒53を重力方向に流していたが、これに限定されない。第二切替部82Aは、第一熱交換器351において重力方向とは異なる方向に、冷媒53を流してもよい。
【0055】
また、第三切替部83Aは、冷媒53の流路70を切り替えることで、第二熱交換器352において冷媒53を重力方向に流していたが、これに限定されない。第三切替部83Aは、第二熱交換器352において重力方向とは異なる方向に、冷媒53を流してもよい。
【0056】
また、第一切替部36は、四方弁であったが、これに限定されない。例えば、第一切替部36は、複数の開閉弁を組み合わせて、冷却運転時に、第二熱交換器352から圧縮機38を介して第一熱交換器351に冷媒53を流し、加熱運転時に、第一熱交換器351から圧縮機38を介して、第二熱交換器352に冷媒53を流すように、冷媒53の流路70を切り替えてもよい。
【0057】
また、第二切替部82Aは、開閉弁857,858によって構成されていたが、これに限定されない。第三切替部83Aは、開閉弁853,854によって構成されていたが、これに限定されない。例えば、後述する
図3及び
図4に示す第二切替部82B及び第三切替部83B等、他の構成によって、第二切替部82A及び第三切替部83Aが構成されてもよい。また、第四切替部84は、開閉弁851,852,855,856によって構成されていたが、これに限定されない。第四切替部84は、他の構成によって構成されてもよい。
【0058】
また、第一熱交換器351及び第二熱交換器352には、種々の熱交換器を使用できる。例えば、第一熱交換器351及び第二熱交換器352に、プレート式熱交換器が使用されてもよい。プレート式熱交換器は、複数のプレートが組み合わされて、形成される。各プレートの面には、溝部が形成され、対向して配置されるプレート同士の溝部によって、流路が形成される。第一熱交換器351においては、個々のプレートを挟んで、第一熱媒体51と冷媒53とが流れ、熱交換される。このとき、本実施形態では、冷媒53が重力方向に流れ、第一熱媒体51が重力方向とは反対方向に流れる対向流となる。冷媒53が重力方向に流れるので、プレートによって形成される流路(本実施形態では流路712)に油が溜まりにくい。同様に、第二熱交換器352においては、個々のプレートを挟んで、第二熱媒体52と冷媒53とが流れ、熱交換される。このとき、本実施形態では、冷媒53が重力方向に流れ、第二熱媒体52が重力方向とは反対方向に流れる対向流となる。冷媒53が重力方向に流れるので、プレートによって形成される流路(本実施形態では流路714)に油が溜まりにくい。
【0059】
また、第一切替部36、第二切替部82A、第三切替部83B、及び第四切替部84は、CPU191によって制御され、流路が切り替えられていたが、これに限定されない。例えば、使用者の手動によって、流路が切り替えられてもよい。
【0060】
また、
図3及び
図4に示すヒートポンプシステム1Bのヒートポンプ装置11Bのように、片方向膨張弁である膨張弁34(
図1及び
図2参照)を、膨張弁341に変更してもよい。膨張弁341は、一方向、及び、該一方向の反対方向に冷媒53が流れる両方向膨張弁である。以下の説明においては、
図1及び
図2と同じ構成は同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0061】
図3に示すように、ヒートポンプ装置11Bは、第一熱交換器351、第二熱交換器352、圧縮機38、膨張弁341、気液分離器37、油分離器39、第一切替部36、第二切替部82B、第三切替部83B、フィルタードライヤー33、及び制御盤19を備えている。
【0062】
第二切替部82Bは、開閉弁981,982,983,984を含む。第三切替部83Bは、開閉弁991,992,993,994を含む。開閉弁981,982,983,984,991,992,993,994は、例えば、電磁弁又は電動弁である。CPU191は、第一切替部36、第二切替部82B、及び第三切替部83Bを制御し、流路70を切り替える。
【0063】
ヒートポンプ装置11Bの流路901の一端は第一切替部36の接続口361に接続され、他端は分岐部951に接続されている。流路902の一端は分岐部951に接続され、他端は分岐部952に接続されている。流路902には、開閉弁981が設けられている。流路903の一端は分岐部952に接続され、他端は、第一熱交換器351の流路712の重力方向とは反対側の端部に接続されている。
【0064】
流路904の一端は、第一熱交換器351の流路712の重力方向側の端部に接続され、他端は分岐部953に接続されている。流路905の一端は分岐部953に接続され、他端は分岐部954に接続されている。流路905には、開閉弁982が設けられている。
【0065】
流路906の一端は分岐部953に接続され、他端は分岐部951に接続されている。流路906には開閉弁983が設けられている。流路907の一端は分岐部952に接続され、他端は分岐部954に接続されている。流路907には開閉弁984が設けられている。
【0066】
流路908の一端は分岐部954に接続され、他端はフィルタードライヤー33に接続されている。流路909の一端はフィルタードライヤー33に接続され、他端は、膨張弁341に接続されている。
【0067】
流路911の一端は第一切替部36の接続口363に接続され、他端は分岐部961に接続されている。流路912の一端は分岐部961に接続され、他端は分岐部962に接続されている。流路912には、開閉弁991が設けられている。流路913の一端は分岐部962に接続され、他端は、第二熱交換器352の流路714の重力方向とは反対側の端部に接続されている。
【0068】
流路914の一端は、第二熱交換器352の流路714の重力方向側の端部に接続され、他端は分岐部963に接続されている。流路915の一端は分岐部963に接続され、他端は分岐部964に接続されている。流路915には、開閉弁992が設けられている。
【0069】
流路916の一端は分岐部963に接続され、他端は分岐部961に接続されている。流路916には開閉弁993が設けられている。流路917の一端は分岐部962に接続され、他端は分岐部964に接続されている。流路917には開閉弁994が設けられている。流路918の一端は分岐部964に接続され、他端は膨張弁341に接続されている。
【0070】
図3を参照し、ヒートポンプ装置11Bが冷却運転を実行する場合について説明する。冷却運転が実行される場合、第二切替部82B及び第三切替部83Bは、CPU191の制御によって、開閉弁981,982,993,994を開き、開閉弁983,984,991,992を閉じる。また、第一切替部36は、CPU191の制御によって、接続口361と接続口364とを接続し、接続口362と接続口363とを接続する。これによって、「圧縮機38→第一熱交換器351→膨張弁341→第二熱交換器352→圧縮機38」という冷媒53の通路が形成される(矢印23参照)。
【0071】
圧縮機38において、冷媒53が圧縮されることによって、冷媒53の温度が上昇する。冷媒53は、圧縮機38から、流路737、油分離器39、流路738、第一切替部36、流路901、流路902、及び流路903を介して、第一熱交換器351の流路712に流れる。第一熱交換器351において、気体の冷媒53が冷却されて凝縮して液体の冷媒となることにより、第一熱媒体51が加熱される。第一熱交換器351において、冷媒53は流路712を重力方向に流れ、第一熱媒体51は流路711を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第一熱媒体51と冷媒53とが対向流となっている。
【0072】
第一熱交換器351において冷却された冷媒53は、流路904、流路905、及び流路908を介して、フィルタードライヤー33に流れる。冷媒53は、フィルタードライヤー33から、流路909を介して、膨張弁341に流れる。膨張弁341において、高温高圧の液体の冷媒53が膨張することによって、低温低圧の気体と液体が共存する冷媒となり、冷媒53の温度が低下する。
【0073】
冷媒53は、膨張弁341から、流路918、流路917、及び流路913を介して、第二熱交換器352の流路714に流れる。第二熱交換器352において、気体と液体が共存する冷媒53が加熱されて蒸発して全て気体となることにより、第一熱媒体51が冷却される。第二熱交換器352において、冷媒53は流路714を重力方向に流れ、第二熱媒体52は流路713を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第二熱媒体52と冷媒53とが対向流となっている。
【0074】
第二熱媒体52は、流路713から流路784に流れる。冷却された第二熱媒体52の冷熱は、例えば、建物の冷房等、種々の用途に利用可能である。
【0075】
冷媒53は、流路914、流路916、流路911、第一切替部36、流路735、気液分離器37、及び流路736を介して、圧縮機38に流れる。以上のように、ヒートポンプ装置11Bにおいて、冷却運転が実行される。
【0076】
図4を参照し、ヒートポンプ装置11Bが加熱運転を実行する場合について説明する。加熱運転が実行される場合、第二切替部82B及び第三切替部83Bは、CPU191の制御によって、開閉弁983,984,991,992を開き、開閉弁981,982,993,994を閉じる。また、第一切替部36は、CPU191の制御によって、接続口361と接続口362とを接続し、接続口363と接続口364とを接続する。これによって、「膨張弁341→第一熱交換器351→圧縮機38→第二熱交換器352→膨張弁341」という冷媒53の通路が形成される(矢印24参照)。
【0077】
膨張弁341において、高温高圧の液体の冷媒53が膨張することによって、低温低圧の気体と液体が共存する冷媒となり、冷媒53の温度が低下する。冷媒53は、膨張弁341から、流路909、フィルタードライヤー33、流路908、流路907、及び流路903を介して、第一熱交換器351の流路712に流れる。第一熱交換器351において、冷媒53が加熱され、第一熱媒体51が冷却される。第一熱交換器351において、冷媒53は流路712を重力方向に流れ、第一熱媒体51は流路711を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第一熱媒体51と冷媒53とが対向流となっている。
【0078】
第一熱交換器351において加熱された冷媒53は、流路904、流路906、流路901、第一切替部36、流路735、気液分離器37、及び流路736を介して、圧縮機38に流れる。圧縮機38において冷媒53が圧縮されることで、冷媒53の温度は上昇する。冷媒53は、圧縮機38から、流路737、油分離器39、流路738、第一切替部36、流路911、流路912、及び流路913を介して、第二熱交換器352の流路714に流れる。第二熱交換器352において、気体の冷媒53が冷却されて凝縮して液体の冷媒となることにより、第一熱媒体51が加熱される。第二熱交換器352において、冷媒53は流路714を重力方向に流れ、第二熱媒体52は流路713を重力方向とは反対方向に流れる。すなわち、第二熱媒体52と冷媒53とが対向流となっている。
【0079】
第二熱媒体52は、流路713から流路784に流れる。加熱された第二熱媒体52の熱は、例えば、建物の暖房等、種々の用途に利用可能である。冷媒53は、流路714から、流路914、流路915、及び流路918を介して、膨張弁341に流れる。
【0080】
以上のように、ヒートポンプ装置11Bは、冷却運転及び加熱運転を行う。本変形例における膨張弁341は、一方向、及び、該一方向の反対方向に冷媒53が流れる両方向膨張弁である(
図3及び
図4参照)。冷却運転時においては、流路909から、膨張弁341を介して、流路918に冷媒53が流れる(
図3参照)。加熱運転時においては、流路918から、膨張弁341を介して、流路909に冷媒53が流れる(
図4参照)。すなわち、冷却運転時と加熱運転時とで、両方向膨張弁である膨張弁341を冷媒53が流れる方向が逆方向になる。このように、本変形例では、ヒートポンプ装置11Bに両方向膨張弁である膨張弁341を使用して、冷却運転と加熱運転とを実現できる。
【0081】
なお、一方向、及び、該一方向の反対方向に冷媒53が膨張弁を流れる機能を、片方向膨張弁を2つ使用して実現してもよい(
図5及び
図6参照)。
図5及び
図6において、
図3及び
図4と同じ構成は、同じ符号で表し、詳細の説明は省略する。
【0082】
図5に示すヒートポンプシステム1Cのヒートポンプ装置11Cは、膨張弁342,343と、逆止弁348,349を備えている。膨張弁342,343は、一方向のみ冷媒53が流れる片方向膨張弁である。流路921の一端は分岐部954に接続され、他端は分岐部931に接続されている。流路922の一端は分岐部931に接続され、他端は膨張弁342に接続されている。流路923の一端は膨張弁342に接続され、他端は分岐部932に接続されている。
【0083】
流路924の一端は分岐部932に接続され、他端はフィルタードライヤー33に接続されている。流路925の一端はフィルタードライヤー33に接続され、他端は、分岐部933に接続されている。流路926の一端は分岐部933に接続され、他端は膨張弁343に接続されている。流路927の一端は膨張弁343に接続され、他端は分岐部934に接続されている。流路928の一端は分岐部934に接続され、他端は分岐部964に接続されている。
【0084】
膨張弁342は、流路923から流路922に向けて、冷媒53を流すことが可能であり、流路922から流路923に向けて冷媒53は流れない。膨張弁343は、流路926から流路927に向けて、冷媒53を流すことが可能であり、流路927から流路926に向けて冷媒53は流れない。
【0085】
流路929の一端は分岐部931に接続され、他端は分岐部932に接続されている。流路929には、逆止弁348が設けられている。逆止弁348は、分岐部931から分岐部932に向けて、冷媒53を流すことが可能であり、分岐部932から分岐部931に向けて冷媒53は流れない。
【0086】
流路930の一端は分岐部933に接続され、他端は分岐部934に接続されている。流路930には、逆止弁349が設けられている。逆止弁349は、分岐部934から分岐部933に向けて、冷媒53を流すことが可能であり、分岐部933から分岐部934に向けて冷媒53は流れない。
【0087】
図5に示すように、冷却運転が実行される場合、冷媒53は、第一熱交換器351の流路712から、流路904、流路905、流路921、流路929、流路924、フィルタードライヤー33、流路925、流路926、膨張弁343、流路927、流路928、流路917、及び流路913を介して、第二熱交換器352の流路714に流れる(
図5参照)。
【0088】
図6に示すように、加熱運転が実行される場合、冷媒53は、第二熱交換器352の流路714から、流路914、流路915、流路928、流路930、流路925、フィルタードライヤー33、流路924、流路923、膨張弁342、流路922、流路921、流路907、及び流路903を介して、第一熱交換器351の流路712に流れる(
図6参照)。以上のように、本変形例においては、片方向膨張弁を2つ使用して、冷房運転と加熱運転を実行できる。
【0089】
図7に示すヒートポンプシステム1Dのヒートポンプ装置11Dのように、第一熱交換器351(
図1参照)を、空気利用熱交換器60としてもよい。以下の説明において、ヒートポンプ装置11A(
図1及び
図2参照)と同じ構成は、同じ符号で示し、詳細な説明は省略する。
【0090】
以下の説明においては、
図8の紙面右側、左側、上側、下側を、空気利用熱交換器60及びユニット61の前側、後側、上側、下側とする。
図9の紙面右側、左側、上側、下側を、ユニット61の右側、左側、上側、下側とする。空気利用熱交換器60は、フィンチューブ式熱交換器である。
図8に示すように、空気利用熱交換器60は、3つのユニット61(
図8及び
図9参照)を備えている。
【0091】
図9に示すように、ユニット61は、チューブ621と、フィン631とを備えている。チューブ621は、右方向に伸び、右端部の屈曲部622において下方に折れ曲がり、左方向に延び、左端部の屈曲部623において下方に折れ曲がり、右方向に延びるという形状を繰り返す。ユニット61の左上部には、冷媒53(
図7参照)が流入又は流出する開口部624が設けられている。ユニット61の右下部には、冷媒53が流入又は流出する開口部625が設けられている。フィン631は、空気55(
図8参照)と冷媒53(
図8参照)との熱交換の効率を向上させる部位であり、チューブ621の外側に配置されている。本実施形態では、一例として、チューブ621は、銅管である。また、フィン631は、一例として、アルミニウム製の板状部材が複数組み合わされて形成されており、空気55が流通する隙間が設けられている。
【0092】
図8に示すユニット61は、
図9に示すユニット61を左側から右方向に見た場合における、ユニット61に含まれる一部の部位の位置関係を示す概略図である。例えば、
図8に示すユニット61の内側の円は、チューブ621の左右方向に延びる部位を示している。
図8に示すように、ユニット61は、前後方向に3つ配置されている。以下の説明においては、最も前側のユニット61をユニット611といい、前後方向中央のユニット61をユニット612といい、最も後側のユニット61をユニット613という場合がある。
【0093】
ユニット611のチューブ621の開口部624には、流路730(
図7及び
図8参照)が接続されている。ユニット611のチューブ621の開口部625には、接続チューブ641が接続されている。接続チューブ641は後方に延び、ユニット612のチューブ621の開口部625に接続されている。
【0094】
ユニット612のチューブ621の開口部624は、接続チューブ642に接続されている。接続チューブ642は後方に延び、ユニット613のチューブ621の開口部624に接続されている。ユニット613のチューブ621の開口部625には、流路721(
図7及び
図8参照)が接続されている。ユニット611の前方には、ファン646が設けられている。ファン646は空気55を前方に送る(矢印659及び矢印660参照)。
【0095】
冷却運転が行われる場合、冷媒53は、流路730からユニット611のチューブ621に流入する(
図7の矢印21及び
図8の矢印651参照)。
図8に示すように、冷媒53は、ユニット611のチューブ621内を左右方向に流れながら、下方に移動する(矢印652参照)。冷媒53は、接続チューブ641内を後方に移動し、ユニット612のチューブ621に流入する(矢印653参照)。冷媒53は、ユニット612のチューブ621内を左右方向に流れながら、上方に移動する(矢印654参照)。
【0096】
冷媒53は、接続チューブ642内を後方に移動し、ユニット613のチューブ621に流入する(矢印655参照)。冷媒53は、ユニット613のチューブ621内を左右方向に流れながら、下方に移動する(矢印656参照)。冷媒53は、ユニット613の開口部625から、流路721に流れる(
図7の矢印21及び
図8の矢印657)。
【0097】
このように、冷媒53は、上下方向及び左右方向に移動しつつ、ユニット611、ユニット612、及びユニット613の順に、後方に移動する(矢印658参照)。一方、ファン646が回転すると、空気55は、図示しない開口から空気利用熱交換器60内に入り、図示しない開口から空気利用熱交換器60の外部に排出される。ファン646が、前方に空気55を送ると(矢印659)、空気55がユニット611,612,613のフィン631内を、前方に移動する(矢印660参照)。すなわち、空気利用熱交換器60においては、冷媒53が後方に移動しつつ、空気55が前方に移動する対向流となっている(矢印658及び矢印660参照)。これによって、冷媒53と空気55との熱交換が行われ、冷媒53が冷却される。
【0098】
なお、加熱運転の場合も、
図2の場合と同様に流路70が切り替えられる。第二切替部82Aは、冷却運転時と加熱運転時とで、空気利用熱交換器60に冷媒53が流れる方向を同じにする。冷媒53は、流路730、ユニット611,612,613を介して、流路721に流れる。これによって、加熱運転の場合も、空気利用熱交換器60においては、冷媒53が後方に移動しつつ、空気55が前方に移動する対向流となる(矢印658及び矢印660参照)。
【0099】
本変形例においては、空気利用熱交換器60は、空気55と冷媒53とを熱交換する。また、第二切替部82Aは、冷却運転時と加熱運転時とで、空気利用熱交換器60に冷媒53が流れる方向を同じにして、空気55と冷媒53とを対向流にする。空気55と冷媒53とが対向流となるので、空気55が冷媒53と同じ方向に流れる場合に比べて、熱交換の効率が向上する。本変形例において空気利用熱交換器60は本発明の「第一熱交換器」の一例である。空気55は本発明の「第一熱媒体」の一例である。
【0100】
なお、フィン631は、設けられなくてもよい。また、冷媒53と空気55とが、対向流となればよく、チューブ621とファン646との位置関係は限定されない。例えば、ファン646は、上方向に空気55を送るが、チューブ621が配置される位置では、空気55が前方向に流れ、冷媒53が後方向に流れる状態であってもよい。
【0101】
また、チューブ621の形状、数、配置位置も本実施形態に限定されない。例えば、チューブ621が、前後方向に離れて配置され、その間に、ファン646が上方向に向けて空気55を送ってもよい。この場合、ファン646によって空気55が移動し、後側のチューブ621においては、冷媒53が後方向に流れ、空気55は前方向に流れる。そして、前側のチューブ621においては冷媒53が前方向に流れ、空気55が後方向に流れる。また、複数のチューブ621が、上下方向に並べられてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1A,1B,1C,1D ヒートポンプシステム
11A,11B,11C,11D ヒートポンプ装置
19 制御盤
34,341,342,343 膨張弁
36 第一切替部
38 圧縮機
51 第一熱媒体
52 第二熱媒体
53 冷媒
55 空気
60 空気利用熱交換器
82A,82B 第二切替部
83A,83B 第三切替部
84 第四切替部
351 第一熱交換器
352 第二熱交換器