(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173896
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】折畳式陳列具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/10 20060101AFI20231130BHJP
A47F 5/11 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
A47F5/10 A
A47F5/11
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086436
(22)【出願日】2022-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-18
(71)【出願人】
【識別番号】513133077
【氏名又は名称】大王パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】横田 明彦
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA14
3B118BA19
3B118BB04
3B118DA24
3B118GA04
3B118GA27
3B118GA29
3B118GA33
3B118GA37
(57)【要約】
【課題】本発明は、容易かつ確実に組み立てることが可能な折畳式陳列具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係る折畳式陳列具は、上下方向に間隔を空けて配置される複数の棚部を有する折畳式陳列具であって、上下方向に長尺な背面板と、背面板の一対の側縁に接続されている一対の側板と、一対の側板間に架け渡され、棚部の前壁を構成する複数の前面板と、背面板の前方に配置されるスライド板と、スライド板と前面板とに接続されており、棚部の底壁を構成する複数の底面板とを備えており、背面板、スライド板、底面板及び前面板が折り重ねられた第1状態から、スライド板を背面板に対して下方にスライドさせることで、棚部が組み立てられた第2状態に変形可能であり、背面板に、スライド板を第2状態にスライドさせた際にスライド板と係合する係合部が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔を空けて配置される複数の棚部を有する折畳式陳列具であって、
上下方向に長尺な背面板と、
上記背面板の一対の側縁に接続されている一対の側板と、
上記一対の側板間に架け渡され、上記棚部の前壁を構成する複数の前面板と、
上記背面板の前方に配置されるスライド板と、
上記スライド板と上記前面板とに接続されており、上記棚部の底壁を構成する複数の底面板と
を備えており、
上記背面板、上記スライド板、上記底面板及び上記前面板が折り重ねられた第1状態から、上記スライド板を上記背面板に対して下方にスライドさせることで、上記棚部が組み立てられた第2状態に変形可能であり、
上記背面板に、上記スライド板を上記第2状態にスライドさせた際に上記スライド板と係合する係合部が設けられている折畳式陳列具。
【請求項2】
上記係合部が、上記第2状態で上記スライド板の下端縁を下方から支持する下側支持部と、上記第2状態で上記スライド板の上端縁を上方から支持する上側支持部とを有しており、
上記下側支持部及び上記上側支持部が、それぞれ上記背面板の前面に配置されており、
上記第2状態で、上記スライド板が、上記下側支持部と上記上側支持部との間にはまり込む請求項1に記載の折畳式陳列具。
【請求項3】
上記背面板に、上記第2状態において上記スライド板を上記背面板から浮き上がらせるための指挿入孔が形成されている請求項2に記載の折畳式陳列具。
【請求項4】
上記上側支持部が、上記背面板の上縁から延出する延出片を折り返して形成されたものであり、
上記延出片と上記背面板との境界部分に差込孔が形成されており、
上記差込孔に差し込まれる表示用パネルをさらに備える請求項2又は請求項3に記載の折畳式陳列具。
【請求項5】
上記スライド板に、このスライド板をスライドさせるための指穴が形成されており、
上記背面板に、この背面板側から上記指穴に指を掛けて上記スライド板をスライド可能にするための窓部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の折畳式陳列具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳式陳列具に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭に配置して商品を陳列する多段式の陳列具が知られている。この陳列具として、棚部をそれぞれ組み立てたうえで、これらの棚部をそれぞれ背枠に配置することで組み立てられるものが公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-284355号公報
【特許文献2】特開2018-7816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている陳列具は、棚部を組み立て、この棚部に商品を配置した状態で輸送される。一方で、このような陳列具にあっては、輸送コストを削減する観点等から、店頭で容易に組み立てできるものが望まれることがある。
【0005】
特許文献2には、折畳状態と組立状態とに変換可能な折畳式陳列具が記載されている。この折畳式陳列具は、各段の棚の後端部が後壁の内面に重なる内後板により連結されており、折畳状態と組立状態との変換に際し、内後板が後壁の内面に沿って枠体に対して昇降し、これに伴い、各段の棚が一斉に揺動するように構成されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載されている構成によると、陳列具を組み立てる際に、各棚の係合突起をそれぞれ内後板の係合穴に貫通させ、かつ天板の後端部の係合突起を後壁の凹所に嵌め込むことを要する。そのため、特許文献2に記載されている構成によると、組み立て作業に手間が掛かることがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、容易かつ確実に組み立てることが可能な折畳式陳列具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る折畳式陳列具は、上下方向に間隔を空けて配置される複数の棚部を有する折畳式陳列具であって、上下方向に長尺な背面板と、上記背面板の一対の側縁に接続されている一対の側板と、上記一対の側板間に架け渡され、上記棚部の前壁を構成する複数の前面板と、上記背面板の前方に配置されるスライド板と、上記スライド板と上記前面板とに接続されており、上記棚部の底壁を構成する複数の底面板とを備えており、上記背面板、上記スライド板、上記底面板及び上記前面板が折り重ねられた第1状態から、上記スライド板を上記背面板に対して下方にスライドさせることで、上記棚部が組み立てられた第2状態に変形可能であり、上記背面板に、上記スライド板を上記第2状態にスライドさせた際に上記スライド板と係合する係合部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係る折畳式陳列具は、容易かつ確実に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る折畳式陳列具を示す模式的斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の折畳式陳列具の折り畳み状態を示す模式的正面図である。
【
図4】
図4は、
図1の折畳式陳列具の組み立て途中の状態を示す模式的正面図である。
【
図6】
図6は、
図1の折畳式陳列具の背面板、前面板及び側板を構成する第1シートを示す模式的平面図(展開図)である。
【
図7】
図7は、
図1の折畳式陳列具のスライド板を構成する第2シートを示す模式的平面図(展開図)である。
【
図8】
図8は、
図1の折畳式陳列具の表示用パネルを構成する第3シートを示す模式的平面図(展開図)である。
【
図9】
図9は、
図1の折畳式陳列具の底面板を構成する第4シートを示す模式的平面図(展開図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本発明の一態様に係る折畳式陳列具は、上下方向に間隔を空けて配置される複数の棚部を有する折畳式陳列具であって、上下方向に長尺な背面板と、上記背面板の一対の側縁に接続されている一対の側板と、上記一対の側板間に架け渡され、上記棚部の前壁を構成する複数の前面板と、上記背面板の前方に配置されるスライド板と、上記スライド板と上記前面板とに接続されており、上記棚部の底壁を構成する複数の底面板とを備えており、上記背面板、上記スライド板、上記底面板及び上記前面板が折り重ねられた第1状態から、上記スライド板を上記背面板に対して下方にスライドさせることで、上記棚部が組み立てられた第2状態に変形可能であり、上記背面板に、上記スライド板を上記第2状態にスライドさせた際に上記スライド板と係合する係合部が設けられている。
【0013】
当該折畳式陳列具は、上記背面板、上記スライド板、上記底面板及び上記前面板が折り重ねられた第1状態から、上記スライド板を上記背面板に対して下方にスライドさせることで組み立てることができるので、組み立てが容易である。また、当該折畳式陳列具は、上記背面板に、上記スライド板をスライドさせた際にこのスライド板と係合する係合部が設けられているので、組立状態を容易かつ確実に維持することができる。
【0014】
上記係合部が、上記第2状態で上記スライド板の下端縁を下方から支持する下側支持部と、上記第2状態で上記スライド板の上端縁を上方から支持する上側支持部とを有しており、上記下側支持部及び上記上側支持部が、それぞれ上記背面板の前面に配置されており、上記第2状態で、上記スライド板が、上記下側支持部と上記上側支持部との間にはまり込むとよい。このように、上記係合部が、上記第2状態で上記スライド板の下端縁を下方から支持する下側支持部と、上記第2状態で上記スライド板の上端縁を上方から支持する上側支持部とを有しており、上記下側支持部及び上記上側支持部が、それぞれ上記背面板の前面に配置されており、上記第2状態で、上記スライド板が、上記下側支持部と上記上側支持部との間にはまり込むことによって、上記スライド板を上記第2状態にスライドさせることで、このスライド板を、前後方向及び上下方向の4方向から支持することができる。より詳しくは、上記スライド板を、上記底面板によって前方から、上記背面板によって後方から、上記上側支持部によって上方から、かつ上記下側支持部によって下方から支持することができる。その結果、上記スライド板を上記背面板の前面側に容易かつ確実に固定することができる。
【0015】
上記背面板に、上記第2状態において上記スライド板を上記背面板から浮き上がらせるための指挿入孔が形成されているとよい。このように、上記背面板に、上記第2状態において上記スライド板を上記背面板から浮き上がらせるための指挿入孔が形成されていることによって、組立状態(第2状態)から上記第1状態への変形を容易に行うことができる。その結果、当該折畳式陳列具の取扱性を高めることができる。
【0016】
上記上側支持部が、上記背面板の上縁から延出する延出片を折り返して形成されたものであり、上記延出片と上記背面板との境界部分に差込孔が形成されており、上記差込孔に差し込まれる表示用パネルをさらに備えるとよい。このように、上記上側支持部が、上記背面板の上縁から延出する延出片を折り返して形成されたものであり、上記延出片と上記背面板との境界部分に差込孔が形成されており、上記差込孔に差し込まれる表示用パネルをさらに備えることによって、当該折畳式陳列具の組み立ての容易化を図りつつ、組立状態における商品の表示機能を高めることができる。
【0017】
上記スライド板に、このスライド板をスライドさせるための指穴が形成されており、上記背面板に、この背面板側から上記指穴に指を掛けて上記スライド板をスライド可能にするための窓部が形成されているとよい。このように、上記スライド板に、このスライド板をスライドさせるための指穴が形成されており、上記背面板に、この背面板側から上記指穴に指を掛けて上記スライド板をスライド可能にするための窓部が形成されていることによって、上記スライド板を容易かつ確実にスライドさせることができる。
【0018】
なお、本発明において、「上」及び「下」とは、当該折畳式陳列具において想定される一般的に使用態様における上及び下を意味する。「前」とは、当該折畳式陳列具において想定される一般的な使用態様における視認者側を意味しており、「後」とは、その反対側を意味する。
【0019】
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0020】
[折畳式陳列具]
当該折畳式陳列具10は、
図1に示すように、上下方向に間隔を空けて配置される複数の棚部20を有する。当該折畳式陳列具10は、
図2及び
図3に示す平板状の第1状態から
図1に示す第2状態(組立状態)に変形可能に構成されている。なお、当該折畳式陳列具10は、
図1に示す第1状態において、店頭等で商品を陳列するために使用される。
図1に示すように、当該折畳式陳列具10は、紐部材Sによって吊り下げ可能に構成されている(
図2以降では、紐部材Sは図示していない。)。
【0021】
図1から
図3に示すように、当該折畳式陳列具10は、上下方向に長尺な背面板1と、背面板1の一対の側縁に接続されている一対の側板2と、一対の側板2間に架け渡され、棚部20の前壁を構成する複数の前面板3と、背面板1の前方に配置されるスライド板4と、スライド板4と前面板3とに接続されており、棚部20の底壁を構成する複数の底面板5とを備える。また、当該折畳式陳列具10は、棚部20に収容される商品についての表示(広告)を行う表示用パネル6を備える。
【0022】
当該折畳式陳列具10は、背面板1、スライド板4、底面板5及び前面板3が折り重ねられた第1状態(
図2及び
図3の状態)から、
図4に示すようにスライド板4を背面板1に対して下方にスライドさせることで、棚部20が組み立てられた第2状態(
図1の状態)に変形可能である。
図5に示すように、当該折畳式陳列具10は、背面板1に、スライド板4を第2状態にスライドさせた際にスライド板4と係合する係合部(上側支持部7、及び下側支持部8)が設けられている。
【0023】
(シート材)
当該折畳式陳列具10は、複数のシート材によって構成されている。具体的には、当該折畳式陳列具10は、
図6に示す第1シート30と、
図7に示す第2シート40と、
図8に示す第3シート50と、
図9に示す第4シート60とを用いて形成される。上記シート材としては、例えば段ボールシート、ボール紙等の紙製シート、合成樹脂製シート、紙製シートと合成樹脂製シートとの積層シート等が挙げられ、中でも、組立性、取扱性等の点から紙製シートが好ましく、ボール紙がより好ましい。なお、当該折畳式陳列具10は、第1シート30、第2シート40、第3シート50については各1枚、第4シート60については棚部20の個数分だけ使用して設けられる。
【0024】
〔第1シート〕
第1シート30は、背面板1、前面板3及び一対の側板2を含む。また、第1シート30は、上側支持部7を構成する延出片(上側延出片7a)と、下側支持部8を構成する延出片(下側延出片8a)とを含む。より詳しくは、第1シート30は、上下方向に間隔を空けて配置される複数の前面板3と、前面板3の左右両側に配置される一対の側板2と、一方の側板2の前面板3と接続される側の反対側の側縁に接続される背面板1と、背面板1の上縁から延出する上側延出片7aと、背面板1の下縁から延出する下側延出片8aと、背面板1の側板2と接続される側の反対側の側縁に接続される継代31とを有する。第1シート30は、左右方向外側(
図6における左側)に位置する側板2を継代31と貼り合わせることで、背面板1と前面板3とが対向する筒状に形成される。なお、「左右方向」とは、上下方向に垂直な方向を意味する。
【0025】
背面板1は、上下方向を長手方向とする長方形状である。背面板1は、上部に指挿入孔1aを有する。指挿入孔1aは、背面板1の左右方向中央位置に設けられている。指挿入孔1aは、後述するように上側延出片7aを背面板1の前面側に折り返した状態で、上側延出片7aの先端縁(下端縁)の直下に設けられている。すなわち、指挿入孔1aは、上側支持部7の下端縁から下側に連続するように設けられている。指挿入孔1aは、第2状態においてスライド板4を背面板1から浮き上がらせる際にユーザの指が挿入される。また、背面板1は、指挿入孔1aの下側に窓部1bを有する。窓部1bは、上下方向を長手方向とする細長状である。窓部1bは、スライド板4をスライドする際にユーザの指が挿入される。
【0026】
側板2は、背面板1の側縁と接続される上下方向を長手方向とする後部2aと、後部2aの側縁(組立状態における前縁)に接続される複数の前部2bとを有する。複数の前部2bは、上下方向に間隔を空けて配置されている。前部2bはそれぞれ前面板3に接続されている。後部2aと前部2bとの間の境界部分には、折り曲げ容易線2cが設けられている。第1状態では、後部2aと前部2bとは、折り曲げ容易線2cで折り畳まれている。一方、第2状態では、後部2aと前部2bとは、折り曲げ容易線2cによる折り曲げが解除され、全体として平板状に設けられる。
【0027】
前面板3は、左右両側縁が側板2の前部2bに接続される長方形状の本体3aと、本体3aの上縁から延出し、本体3aの背面側に折り重ねられる上側折曲片3bと、本体3aの下縁から延出し、底面板5に貼り合わされる下側折曲片3cとを有する。前面板3は、第1状態では、底面板5及びスライド板4を挟んで背面板1の前面に折り畳まれる。一方、前面板3は、第2状態では、背面板1と間隔を空けて背面板1と対向するように、背面板1の前方に突出して配置される。より詳しくは、側板2の左右方向長さ分だけ背面板1の前方に突出して配置される。
【0028】
上側延出片7aは、背面板1と接続されている基端縁で背面板1の前面側に折り返される。上側延出片7aは矩形状であり、より詳しくは、背面板1と同幅の矩形状である。上側延出片7aは、背面板1の前面側に折り返された状態で、背面板1の前面に固定(例えば接着)される。上側延出片7aは、背面板1との境界部分に差込孔7bを有する。差込孔7bには、表示用パネル6の後述する差込片6bが差し込まれる。
【0029】
下側延出片8aは、背面板1に接続される第1延出片と、この第1延出片の先端縁から延出する第2延出片とを有する。上記第1延出片及び上記第2延出片はそれぞれ背面板1と同幅の矩形状である。下側延出片8aは、上記第2延出片を上記第1延出片上に折り重ね、さらに折り重ねられた上記第1延出片及び上記第2延出片を背面板1の前面に折り重ねて背面板1の前面に固定(例えば接着)される。
【0030】
上側延出片7aが背面板1の前面に固定された状態で背面板1及び上側延出片7aの重なり合う部分には、紐部材Sが挿通される挿通孔11が設けられている。
【0031】
〔第2シート〕
第2シート40は、スライド板4を含み、より詳しくはスライド板4からなる。第2シート40は、上下方向を長手方向とする長方形状である。第2シート40(すなわちスライド板4)は、複数の底面板5によって前面板3と接続される。より詳しくは、スライド板4は、複数の底面板5を背面板1に対して垂直に配置した状態(すなわち第2状態)で係合部7、8に係合するように複数の底面板5に接続されている。第2シート40は、複数の底面板5に接続されている一方、背面板1及び側板2には接続されていない。このように構成されることで、スライド板4は、背面板1の前面側、かつ一対の側板2同士の間で上下にスライドすることで、複数の底面板5をスライド板4の前面側に折り畳まれた状態(第1状態)と、スライド板4に対して垂直に突出した状態(第2状態)とに変形可能に構成されている。
【0032】
スライド板4は、左右方向の中央部に指穴4aを有する。指穴4aは、当該折畳式陳列具10を背面側から見た場合に窓部1bに露出する位置に配置されている。より詳しくは、指穴4aは、第1状態と第2状態との間で変形する過程において、常時窓部1bから露出するように設けられている。
【0033】
〔第3シート〕
第3シート50は、表示用パネル6を含み、より詳しくは表示用パネル6からなる。第3シート50は、互いに折り重ねられて表示用パネル6の本体を構成する一対の表示板6aと、表示板6aからそれぞれ延出し、上述の差込孔7bに差し込まれる差込片6bとを有する。
【0034】
〔第4シート〕
第4シート60は、底面板5と、底面板5の両側縁からそれぞれ延出するサイドガード9とを含む。底面板5は、棚部20の底壁を構成する本体5aと、本体5aの基端縁(背面板1側に位置する端縁)から延出する接続片5bとを有する。本体5aの延出長さ(第2状態における前後方向長さ)は、側板2の前後方向長さと略等しい。これにより、第2状態で、スライド板4は、底面板5によって前方から支持され、前方への意図しない浮き上がりが防止される。接続片5bは、スライド板4の前面に貼り合わされる。接続片5bは、第1状態において底面板5がスライド板4の前面に折り重ねられる位置でスライド板4に固定される。サイドガード9は、本体5aの上方に折り曲げられた状態で、側板2の内面に配置される。サイドガード9は、側板2とは固定されていない。
【0035】
(各部の構成)
以下、当該折畳式陳列具10の各部の構成について説明する。
【0036】
図5に示すように、当該折畳式陳列具10は、上記係合部が、第2状態でスライド板4の下端縁を下方から支持する下側支持部8と、第2状態でスライド板4の上端縁を上方から支持する上側支持部7とを有する。下側支持部8と上側支持部7との間隔は、スライド板4の上下方向長さと等しい。下側支持部8及び上側支持部7は、それぞれ背面板1の前面に配置されている。第2状態で、スライド板4は、下側支持部8と上側支持部7との間にはまり込む。このように構成されていることで、当該折畳式陳列具10は、スライド板4を第2状態にスライドさせることで、このスライド板4を、前後方向及び上下方向の4方向から支持することができる。より詳しくは、スライド板4を、底面板5によって前方から、背面板1によって後方から、上側支持部7によって上方から、かつ下側支持部8によって下方から支持することができる。その結果、スライド板4を背面板1の前面側に容易かつ確実に固定することができる。
【0037】
図3に示すように、当該折畳式陳列具10は、背面板1に指挿入孔1aが設けられている。この指挿入孔1aは、第2状態においてスライド板4を背面板1から浮かび上がらせるように形成されている。より詳しくは、当該折畳式陳列具10は、第2状態において、指挿入孔1aに指を入れてスライド板4を背面側から押すことで、スライド板4の上部を前方に浮かび上がらせることで、スライド板4と上側支持部7との係合を解除できるように設けられている。この指挿入孔1aは、第2状態における一番上の棚部20の底面板5よりも上方(つまり、スライド板4を前方から支持している底面板5よりも上方)に形成されている。このように構成されていることで、当該折畳式陳列具10は、組立状態(第2状態)から第1状態への変形を容易に行うことができる。その結果、当該折畳式陳列具10の取扱性を高めることができる。
【0038】
図5及び
図6に示すように、上側支持部7は、背面板1の上縁から延出する上側延出片7aを折り返して形成されたものである。上側延出片7aと背面板1との境界部分には差込孔7bが形成されている。さらに、当該折畳式陳列具10は、差込孔7bに差し込まれる表示用パネル6を備えている。このように構成されていることで、当該折畳式陳列具10は、組み立ての容易化を図りつつ、組立状態における商品の表示機能を高めることができる。また、スライド板4を支持する部材と表示用パネル6を取り付けるための部材とを兼用することで、部品点数の増加を抑え、陳列具全体の簡素化を図ることができる。
【0039】
図3に示すように、当該折畳式陳列具10は、スライド板4に、このスライド板4をスライドさせるための指穴4aが形成されている。また、当該折畳式陳列具10は、背面板1に、この背面板1側から指穴4aに指を掛けてスライド板4をスライド可能にするための窓部1bが形成されている。このように構成されていることで、当該折畳式陳列具10は、スライド板4を容易かつ確実にスライドさせることができる。
【0040】
<利点>
当該折畳式陳列具10は、背面板1、スライド板4、底面板5及び前面板3が折り重ねられた第1状態から、スライド板4を背面板1に対して下方にスライドさせることで組み立てることができるので、組み立てが容易である。また、当該折畳式陳列具10は、背面板1に、スライド板4をスライドさせた際にこのスライド板4と係合する係合部7、8
が設けられているので、組立状態を容易かつ確実に維持することができる。
【0041】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0042】
上記係合部の具体的な構成は上述の実施形態に記載された構成に限定されない。但し、当該折畳式陳列具は、第2状態(組立状態)で、上記スライド板を4方向から支持できることが好ましい。このような観点から、上記係合部は、第2状態で、上記スライド板を上記背面板の前面側で上下方向から支持できるように構成されていることが好ましい。
【0043】
当該折畳式陳列具は、例えば組立後に第1状態に戻すことを要しないような場合であれば、第2状態において上記スライド板を上記背面板から浮き上がらせるための指挿入孔を有しない構成とすることも可能である。
【0044】
当該折畳式陳列具は、上述の表示用パネルを備えない構成とすることも可能である。また、当該折畳式陳列具が上記表示用パネルを備える場合でも、この表示用パネルの配置や取り付け構造は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。
【0045】
当該折畳式陳列具は、上記スライド板を上下にスライドできる限り、必ずしも上述の指穴を有しなくてもよい。また、上記背面板は、上述の窓部を有しない構成とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明の一態様に係る折畳式陳列具は、店頭に配置して商品を陳列するのに適している。
【符号の説明】
【0047】
1 背面板
1a 指挿入孔
1b 窓部
2 側板
2a 後部
2b 前部
2c 折り曲げ容易線
3 前面板
3a 本体
3b 上側折曲片
3c 下側折曲片
4 スライド板
4a 指穴
5 底面板
5a 本体
5b 接続片
6 表示用パネル
6a 表示板
6b 差込片
7 上側支持部
7a 上側延出片
7b 差込孔
8 下側支持部
8a 下側延出片
9 サイドガード
10 折畳式陳列具
11 挿通孔
20 棚部
30 第1シート
31 継代
40 第2シート
50 第3シート
60 第4シート
S 紐部材
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に間隔を空けて配置される複数の棚部を有する折畳式陳列具であって、
上下方向に長尺な背面板と、
上記背面板の一対の側縁に接続されている一対の側板と、
上記一対の側板間に架け渡され、上記棚部の前壁を構成する複数の前面板と、
上記背面板の前方に配置されるスライド板と、
上記スライド板と上記前面板とに接続されており、上記棚部の底壁を構成する複数の底面板と
を備えており、
上記背面板、上記スライド板、上記底面板及び上記前面板が折り重ねられた第1状態から、上記スライド板を上記背面板に対して下方にスライドさせることで、上記棚部が組み立てられた第2状態に変形可能であり、
上記背面板に、上記スライド板を上記第2状態にスライドさせた際に上記スライド板と係合する係合部が設けられており、
上記係合部が、上記第2状態で上記スライド板の下端縁を下方から支持する下側支持部と、上記第2状態で上記スライド板の上端縁を上方から支持する上側支持部とを有しており、
上記下側支持部及び上記上側支持部が、それぞれ上記背面板と同幅で、かつ上記背面板の前面に配置されており、
上記第2状態で、上記スライド板が、上記下側支持部と上記上側支持部との間にはまり込むことで、上記底面板によって前方から、上記背面板によって後方から、上記上側支持部によって上方から、上記下側支持部によって下方から支持される折畳式陳列具。
【請求項2】
上記背面板に、上記第2状態において上記スライド板を上記背面板から浮き上がらせるための指挿入孔が形成されている請求項1に記載の折畳式陳列具。
【請求項3】
上記上側支持部が、上記背面板の上縁から延出する延出片を折り返して形成されたものであり、
上記延出片と上記背面板との境界部分に差込孔が形成されており、
上記差込孔に差し込まれる表示用パネルをさらに備える請求項1又は請求項2に記載の折畳式陳列具。
【請求項4】
上記スライド板に、このスライド板をスライドさせるための指穴が形成されており、
上記背面板に、この背面板側から上記指穴に指を掛けて上記スライド板をスライド可能にするための窓部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の折畳式陳列具。