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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173920
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086479
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】新田 翔司
(72)【発明者】
【氏名】後藤 優介
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FC07
5E021FC40
5E021HA03
5E021JA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】雌型端子と雄型端子との接触箇所の摩耗を抑制する。
【解決手段】コネクタ構造10は、雌型コネクタ12の雌型端子42と雄型コネクタ14の雄型端子40とが接続されるとき、雌型端子支持台44と雄型端子支持台98との第2方向の相対移動を規制する保持構造16を備える。保持構造16は、雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において雄型コネクタ14を第2方向に付勢する付勢部122と、雌型端子支持台44に設けられる第1金属部材124と、雄型端子支持台98に設けられ前記接続状態で前記第1金属部材124と接触する第2金属部材126とを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型端子と、樹脂材料から形成され前記雌型端子を支持する雌型端子支持台とを有した雌型コネクタと、
前記雌型端子に挿入されて該雌型端子と接続される雄型端子と、樹脂材料から形成され前記雄型端子を支持する雄型端子支持台とを有し、前記雌型コネクタに接続される雄型コネクタと、
を備え、前記雌型端子と前記雄型端子との接続状態で、前記雌型端子と前記雄型端子とが互いに当接し合うことにより、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタとの接続方向と直交する第1方向に前記雌型端子と前記雄型端子との相対移動が規制されるコネクタ構造であって、
前記接続方向と前記第1方向とに直交する第2方向に前記雌型端子支持台と前記雄型端子支持台との相対移動を規制する保持構造を備え、
前記保持構造は、
前記雌型端子支持台又は前記雄型端子支持台に設けられ、前記接続状態で前記雄型端子支持台又は前記雌型端子支持台を前記第2方向に付勢する付勢部と、
前記雌型端子支持台及び前記雄型端子支持台の一方である第1支持台に設けられる第1金属部材と、
前記雌型端子支持台及び前記雄型端子支持台の他方である第2支持台に設けられると共に、前記接続状態で前記第1金属部材と接触する第2金属部材と、
を有する、コネクタ構造。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタ構造において、
前記第1支持台は、前記雌型端子支持台であり、
前記第2支持台は、前記雄型端子支持台であり、
前記第1金属部材は、前記第1支持台の前記雌型端子と平行に配置されるピン孔から構成され、
前記第2金属部材は、前記第2支持台の前記雄型端子支持台から突出して前記ピン孔に挿入されるピン部材から構成される、コネクタ構造。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタ構造において、
前記第1方向に互いに離間して一対の前記ピン孔が設けられ、
前記第1方向に互いに離間して一対の前記ピン部材が設けられ
前記接続状態で、一方の前記ピン孔と一方の前記ピン部材とが接触し、且つ、他方の前記ピン孔と他方の前記ピン部材とが接触する、コネクタ構造。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ構造において、
前記第1支持台は、第1対向部を有し、
前記第2支持台は、第2対向部を有し、
前記雌型コネクタと前記雄型コネクタとが接続されたとき、前記第1対向部と前記第2対向部とは、互いに離間した状態で向かい合う、コネクタ構造。
【請求項5】
請求項1記載のコネクタ構造において、
前記第2支持台は、前記付勢部によって前記第2方向へ付勢される支持壁部を有し、
前記支持壁部と前記第1支持台とが前記第2方向において非接触である、コネクタ構造。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ構造において、
前記雌型コネクタは、繰り返し充電可能なバッテリパックに装着され、
前記雌型端子支持台は、締結部材が挿通される締結孔を有した締結部を備え、
該締結部材によって前記締結部が前記バッテリパックに固定され、
前記第1及び第2金属部材の軸方向から見て、前記第1及び第2金属部材と前記締結孔とが前記第2方向に沿った直線上に配置される、コネクタ構造。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ構造において、
前記雌型コネクタは、繰り返し充電可能なバッテリパックに設けられ、
前記雄型コネクタは、前記バッテリパックから電力供給を受ける車両に設けられ、
前記第2方向は、前記車両の前後方向である、コネクタ構造。
【請求項8】
請求項7記載のコネクタ構造において、
前記第1及び第2金属部材は、前記付勢部よりも前記車両の後方に配置される、コネクタ構造。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ構造において、
前記付勢部は、前記第2方向に付勢する弾発力を有するばね部を備えたばね部材である、コネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雌型コネクタと雄型コネクタとを備えたコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動車両に設けられた雄型コネクタと、該電動車両に電力を供給するためのバッテリパックに設けられた雌型コネクタとを備えたコネクタ構造が開示されている。雄型コネクタは、雄型端子と、雄型端子を支持する雄型端子支持台とを有する。雌型コネクタは、雌型端子と、雌型端子を支持する雌型端子支持台とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/010433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
雌型コネクタと雄型コネクタとを接続した状態で、コネクタ接続方向と直交する方向に雌型端子支持台と雄型端子支持台とが相対移動可能である場合、コネクタ構造に慣性力が作用した際に、雌型端子と雄型端子との相対移動に起因して雌型端子と雄型端子との接触箇所が摺動により摩耗する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、雌型端子と、樹脂材料から形成され前記雌型端子を支持する雌型端子支持台とを有した雌型コネクタと、
前記雌型端子に挿入されて該雌型端子と接続される雄型端子と、樹脂材料から形成され前記雄型端子を支持する雄型端子支持台とを有し、前記雌型コネクタに接続される雄型コネクタと、
を備え、前記雌型端子と前記雄型端子との接続状態で、前記雌型端子と前記雄型端子とが互いに当接し合うことにより、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタとの接続方向と直交する第1方向に前記雌型端子と前記雄型端子との相対移動が規制されるコネクタ構造であって、
前記接続方向と前記第1方向とに直交する第2方向に前記雌型端子支持台と前記雄型端子支持台との相対移動を規制する保持構造を備え、
前記保持構造は、
前記雌型端子支持台又は前記雄型端子支持台に設けられ、前記接続状態で前記雄型端子支持台又は前記雌型端子支持台を前記第2方向に付勢する付勢部と、
前記雌型端子支持台及び前記雄型端子支持台の一方である第1支持台に設けられる第1金属部材と、
前記雌型端子支持台及び前記雄型端子支持台の他方である第2支持台に設けられると共に、前記接続状態で前記第1金属部材と接触する第2金属部材と、
を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0008】
すなわち、雌型コネクタの雌型端子と雄型コネクタの雄型端子とが接続されるとき、付勢部によって雄型端子支持台又は雌型端子支持台を第2方向に向けて付勢し、第1支持台の第1金属部材と第2支持台の第2金属部材とを接触させることで、雌型端子と雄型端子との間の第2方向への相対移動を抑制することができる。従って、雌型端子と雄型端子とが第2方向に互いに摺動することが抑制され、雌型端子及び雄型端子の摩耗を抑制することができる。第1支持台の第1金属部材と第2支持台の第2金属部材とが接触することで、第1支持台と第2支持台とにおいて樹脂同士のみで接触することを回避し、第1及び第2支持台の摩耗を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコネクタ構造の雌型コネクタ及び雄型コネクタを示す断面図である。
図2図2は、図1に示す雌型コネクタを備えるバッテリパックの外観斜視図である。
図3図3は、図1に示す雄型コネクタを備える電動車両の側面図である。
図4図4は、図1のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図5は、図4の第1ピン部材及び第1ピン孔の近傍を示す拡大断面図である。
図6図6は、図4のVI-VI線に沿った断面図である。
図7図7は、図6に示す雌型コネクタが雄型コネクタに接続される前の状態を示す断面図である。
図8図8は、ばね部材の斜視図である。
図9図9は、図1に示す雌型コネクタが雄型コネクタに接続される前の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示されるように、本実施形態に係るコネクタ構造10は、雌型コネクタ12と、雄型コネクタ14と、保持構造16とを備える。
【0011】
雌型コネクタ12は、例えば、図2に示すバッテリパック18に備えられる。雄型コネクタ14は、例えば、図3に示すバッテリパック18の収容される電動車両20に備えられる。バッテリパック18に配置された雌型コネクタ12と、電動車両20に配置された雄型コネクタ14とが接続可能である。以下、雌型コネクタ12がバッテリパック18に備えられ、雄型コネクタ14が電動車両20に備えられる場合について説明する。
【0012】
先ず、雌型コネクタ12を備えるバッテリパック18について図2を参照しながら説明する。
【0013】
バッテリパック18は、ケース22と、雌型コネクタ12とを有する。雌型コネクタ12は、コネクタ構造10におけるバッテリ側のコネクタである。ケース22の内部には、複数の電池セルを保持したバッテリコアパック(図示せず)が収容される。電池セルは、例えば、リチウム二次電池からなり、充電及び放電を繰り返すことが可能である。
【0014】
ケース22は、ケース本体24と、ケース本体24の上部に固定されたトップケース26と、ケース本体24の下部に固定されたボトムケース28とを有する。
【0015】
トップケース26は、ハンドル30を有する。使用者は、ハンドル30を把持することが可能である。使用者は、ハンドル30を把持してバッテリパック18を電動車両20又は充電装置(図示せず)のバッテリパック収容部34に対して着脱可能である(図3参照)。ボトムケース28の底部には、雌型コネクタ12が配置される。
【0016】
次に、雄型コネクタ14を備える電動車両20について図3を参照しながら説明する。
【0017】
電動車両20は、例えば、鞍乗型の電動自動二輪車である。なお、電動車両20は、電動アシスト自転車及び電気自動車等であってもよい。
【0018】
電動車両20は、バッテリパック18の電力が供給される車両である。電動車両20は、走行駆動力源である駆動用モータ32を備える。例えば、駆動用モータ32にバッテリパック18の電力が供給されることで、電動車両20が走行可能である。電動車両20は、バッテリパック収容部34を備える。バッテリパック収容部34は、シート36を保持するシート保持部38の内部に設けられる。バッテリパック収容部34は、内部にバッテリパック18を収容可能な空間である。
【0019】
シート保持部38から離間する方向にシート36をシート保持部38に対して回動することで、バッテリパック収容部34の上方が開放される。これにより、バッテリパック収容部34へのバッテリパック18の収容、又は、バッテリパック収容部34からのバッテリパック18の取り出しが可能になる。バッテリパック18は、バッテリパック収容部34内に着脱可能に収容される。
【0020】
バッテリパック収容部34の底部には雄型コネクタ14を備える。バッテリパック収容部34にバッテリパック18が収容されると、雄型コネクタ14の雄型端子40とバッテリパック18に設けられた雌型コネクタ12の雌型端子42とが電気的に接続される。互いに接続された雄型端子40及び雌型端子42を介してバッテリパック18の電力が電動車両20に供給可能となる。
【0021】
次に、コネクタ構造10を構成する雌型コネクタ12及び雄型コネクタ14について説明する。
【0022】
図1に示すように、雌型コネクタ12は、雌型端子支持台(第1支持台)44と、複数の雌型端子42とを備える。雌型端子支持台44は、樹脂材料から形成される。雌型端子支持台44は、複数の雌型端子42を支持する第1端子支持部46を有する。
【0023】
以下、図1に示す雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続方向(コネクタ接続方向)を、矢印Z方向と呼ぶ。コネクタ接続方向と直交し、雌型端子42と雄型端子40とが互いに当接し合うことにより雌型端子42と雄型端子40との相対移動が規制される方向をX方向、又は、第1方向と呼ぶ。コネクタ接続方向(矢印Z方向)及び第1方向(矢印X方向)と直交する方向を、矢印Y方向、又は、第2方向と呼ぶ(図4参照)。なお、図3に示すように、第2方向(矢印Y方向)は、バッテリパック18の搭載される電動車両20の前後方向である。第2方向一方(矢印Y1方向)が電動車両20の後方であり、第2方向他方(矢印Y2方向)が電動車両20の前方である。また、第2方向(矢印Y方向)は、電動車両20の前後方向に限定されない。第2方向を電動車両20の前後方向とすることで、後述するばね部材128の保持方向と電動車両20の前後方向とを一致させることが可能となる。
【0024】
図4に示すように、第1端子支持部46は、第1方向(矢印X方向)に延在する。第1端子支持部46は、一対の第1締結部48a、48bと、一対の第2締結部(締結部)50a、50bとを有する。
【0025】
一対の第1締結部48a、48bは、第1端子支持部46の第1方向の両端にそれぞれ配置される。一対の第2締結部50a、50bは、第1端子支持部46の第1方向の両端にそれぞれ配置される。
【0026】
第2締結部50a、50bは、第1端子支持部46の第2方向一方(矢印Y1方向)の端部に配置される。第2締結部50a、50bは、第1端子支持部46から矢印Y1方向に突出する。一対の第1締結部48a、48bは、締結部材52である締結ボルトの挿通される締結孔54aをそれぞれ有する。一対の第2締結部50a、50bは、締結部材52である締結ボルトの挿通される締結孔54bをそれぞれ有する。
【0027】
各締結孔54a、54bに挿通された締結部材52によって各第1締結部48a、48b及び第2締結部50a、50bがボトムケース28の底部に固定される。これにより、バッテリパック18の底部に雌型コネクタ12の雌型端子支持台44が固定される(図2参照)。
【0028】
図1に示すように、第1端子支持部46は、複数の端子収容室55と、挿入空間56と、収容部58(図4参照)と、第1装着孔60aと、第2装着孔60bとを有する。
【0029】
複数の端子収容室55は、第1端子支持部46の下面461に開口する。端子収容室55は、第1端子支持部46の第1方向(矢印X方向)に沿って等間隔離れて並列する。複数の端子収容室55には、複数の雌型端子42が収容される。
【0030】
複数の端子収容室55は、カバー部材62によって覆われる。カバー部材62は、樹脂材料から形成され第1端子支持部46の下面461に装着される。カバー部材62によって複数の端子収容室55の開口した下部が覆われる。カバー部材62は、雌型端子42に向かい合う複数の差込孔64を有する。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、各差込孔64に雄型端子40がそれぞれ挿入される(図1参照)。
【0031】
図4に示すように、挿入空間56は、端子収容室55の第2方向他方(矢印Y2方向)に配置される。挿入空間56は、各端子収容室55と連通する。挿入空間56は、第1端子支持部46の第2方向他方(矢印Y2方向)を構成する外壁66に囲まれる。挿入空間56は、第1端子支持部46の下面461(図6参照)に開口する。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とが接続されるとき、後述する雄型コネクタ14の支持壁部104が挿入空間56に挿入される。
【0032】
図4に示すように、挿入空間56は、第1端子支持部46の第1方向(矢印X方向)に沿って延在する。挿入空間56は、第1端子支持部46の下面461から上方に向けて窪んで形成される(図7参照)。
【0033】
図4に示すように、挿入空間56の第1方向両端部には、一対の空間部68a、68bを有する。空間部68a、68bは、第1方向両端部から第2方向一方(矢印Y1方向)に向けて延出する。空間部68a、68bは、第1方向両端に配置される2つの端子収容室55より第1方向外方にそれぞれ配置される。
【0034】
空間部68a、68bの第2方向一方の端部は、第1端子支持部46の第1対向部70a、70bに向かい合う。第1対向部70a、70bは、第1方向と平行な第1対向面70cを有する。第2方向において、第1対向部70a、70bは、端子収容室55の第2方向中央から第2方向他方寄りに配置される。第1対向面70cは、端子収容室55から第1方向外方に向けて延在する。第1対向面70cは、第2方向(矢印Y方向)と直交する平坦面である。第1対向部70aと空間部68aとが第2方向(矢印Y方向)に向かい合う。第1対向部70bと空間部68bとが第2方向(矢印Y方向)に向かい合う。
【0035】
収容部58は、後述する保持構造16の付勢部122を収容可能である。収容部58は、挿入空間56の第2方向他方(矢印Y2方向)に配置される。収容部58は、挿入空間56を囲む外壁66に配置される。収容部58は、外壁66の延在方向に沿って複数配置される。収容部58の数量は、付勢部122におけるばね部材128の数量に対応する。複数の収容部58は、第1方向(矢印X方向)に沿って等間隔離れて配置される。以下、3個の収容部58及びばね部材128を備える場合について説明する。
【0036】
図4に示すように、収容部58は、外壁66の内部に形成されたスリット孔72である。スリット孔72の第2方向の寸法は、スリット孔72の第1方向の幅寸法よりも小さい。図7に示すように、スリット孔72の下端は、第1端子支持部46(外壁66)の下面461に開口する。スリット孔72の下端には、付勢部122を挿入可能な開口部74を有する。すなわち、スリット孔72は、雌型端子支持台44に対する雄型端子支持台98の接続方向に開口する。スリット孔72の上端及びX方向両端には、付勢部122の外周部が挿入されて支持される支持部76を有する。
【0037】
図1に示すように、第1及び第2装着孔60a、60bは、第1方向(矢印X方向)に沿った第1端子支持部46の第1方向両側にそれぞれ配置される。第1及び第2装着孔60a、60bは、第1端子支持部46の雌型端子42と平行に配置される。
【0038】
第1装着孔60aは、第1端子支持部46の第1方向一端に配置される。第2装着孔60bは、第1端子支持部46の第1方向他端に配置される。第1装着孔60aと第2装着孔60bとが第1方向(矢印X方向)に互いに離間して配置される。
【0039】
第1及び第2装着孔60a、60bは、第1方向に沿って端子収容室55及び雌型端子42と並列に配置される。第1及び第2装着孔60a、60bは、端子収容室55の第1方向外方にそれぞれ配置される。第1及び第2装着孔60a、60bは、第1端子支持部46の下面461に開口する。第1及び第2装着孔60a、60bの直径は、第1端子支持部46の上下方向(矢印Z方向)に沿ってそれぞれ略一定である。
【0040】
第1装着孔60aの内部には、第1補強部材78が設けられる。第2装着孔60bの内部には、第2補強部材80が設けられる。第1及び第2補強部材78、80の材料は、それぞれ金属材料である。第1及び第2補強部材78、80は、有底円筒状に形成される。第1補強部材78の下端は開口する。第2補強部材80の下端は開口する。第1及び第2補強部材78、80の下面は、第1端子支持部46の下面461と同一面である。
【0041】
第1補強部材78の中心には、第1ピン孔82を有する。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とが接続されるとき、第1ピン孔82には、雄型コネクタ14の第1ピン部材106が挿入される。
【0042】
第1ピン孔82は、軸方向(矢印Z方向)に沿って延在する。第1ピン孔82は、第1補強部材78の下端に開口する。第1ピン孔82は、第1孔部82aを有する。第1孔部82aは、軸方向に沿って一定径で形成される。
【0043】
第2補強部材80の中心には、第2ピン孔84を有する。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とが接続されるとき、第2ピン孔84には、雄型コネクタ14の第2ピン部材108が挿入される。
【0044】
第2ピン孔84は、軸方向(矢印Z方向)に沿って延在する。第2ピン孔84は、第2補強部材80の下端に開口する。第2ピン孔84は、第1孔部84aを有する。第1孔部84aは、軸方向に沿って一定径で形成される。
【0045】
第1端子支持部46には、複数の雌型端子42が保持される。複数の雌型端子42は、第1端子支持部46の第1方向(矢印X方向)に沿って等間隔離れて並列する。以下、7個の雌型端子42を備える場合について説明する。
【0046】
雌型端子42は、例えば、導電性を有した金属材料から形成される。複数の雌型端子42のうち、第1端子支持部46の第1方向両側に配置された雌型端子42a、42bは、バッテリパック18と電動車両20又は充電装置との間で電力を伝達するための電力用端子である。雌型端子42a、42bには、図示しないリード線が電気的に接続される。
【0047】
複数の雌型端子42のうち、雌型端子42a、42b以外の5本の雌型端子42cは、信号を伝達するための信号用端子である。各雌型端子42cには、図示しないリード線が電気的に接続される。
【0048】
各雌型端子42は、一対の端子部材86を有する。一対の端子部材86は第1方向(矢印X方向)に並列に配置される。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とが接続されるとき、一対の端子部材86の間に雄型コネクタ14の雄型端子40が挿入される。一対の端子部材86によって雄型端子40が第1方向(矢印X方向)に挟持される。これにより、各雌型端子42と各雄型端子40とが電気的に接続される。
【0049】
一対の端子部材86は、それぞれ板状に形成される。一対の端子部材86は、一対のアーム部88と、一対の挟持部90とを備える。
【0050】
一対のアーム部88の基端部は、互いに当接して第1端子支持部46に保持される。アーム部88の一部は、端子収容室55に収容される。端子収容室55において一対のアーム部88は、第1方向(矢印X方向)に離間して向かい合う。一対のアーム部88は、端子収容室55内で下方に向けて鉛直に延在する。
【0051】
一対の挟持部90は、一対のアーム部88から下方に向けて延出する。一対の挟持部90は、第1方向(矢印X方向)において雄型端子40を両側から弾性的に挟持可能である。一対の挟持部90は、第1端子支持部46の端子収容室55に収容される。一対の挟持部90は、第1方向に互いに離間して向かい合う。
【0052】
一対の挟持部90は、一対の先端部92と、一対の弾性部94と、一対の折曲部96とを有する。一対の先端部92は、一対の端子部材86の先端に配置される。一対の先端部92は、先端方向に向かって第1方向に離間する方向に傾斜する。一対の弾性部94の基端部は、一対のアーム部88の先端部92に接続される。弾性部94は、アーム部88から離間する下方に向けて互いに接近する方向に傾斜する。一対の折曲部96は、弾性部94と先端部92との間に配置される。一対の折曲部96によって一対の弾性部94と一対の先端部92とが第1方向において広がる方向へ折り返される。
【0053】
雌型端子42と雄型端子40とが接続されるとき、一対の折曲部96の間に雄型端子40が挿入される。一対の折曲部96によって雄型端子40が両側から弾性的に挟持される。
【0054】
雄型コネクタ14は、雄型端子支持台(第2支持台)98と、雄型端子40とを有する。
【0055】
雄型端子支持台98は、樹脂材料から形成される。雄型端子支持台98は、複数の雄型端子40を支持する第2端子支持部100と、一対の台座102a、102bと、第1及び第2ピン部材106、108とを有する。
【0056】
第2端子支持部100の第1方向の両端に一対の第3締結部110が設けられる。第3締結部110が電動車両20におけるバッテリパック収容部34の底部(図3参照)に固定される。
【0057】
台座102aは、第1方向に沿った雄型端子支持台98の第1方向の一端に配置される。台座102bは、第1方向に沿った雄型端子支持台98の第1方向の他端に配置される。
【0058】
図9に示すように、雄型端子支持台98は、支持壁部104をさらに有する。支持壁部104は、第2端子支持部100に対して直立し、且つ、第1方向に沿って延在する。図4に示すように、支持壁部104は、複数の雄型端子40の第2方向他方(矢印Y2方向)に配置される。支持壁部104は、壁本体112と、一対の第2対向部114a、114bとを有する。
【0059】
壁本体112は、第1方向に沿って延在する。壁本体112は、複数の雄型端子40の第2方向他端を保持する(図6参照)。支持壁部104は、複数の雄型端子40の第2方向他方(矢印Y2方向)を覆うように配置される。
【0060】
一対の第2対向部114a、114bは、壁本体112の第1方向両端部から第2方向一方(矢印Y1方向)に向けてそれぞれ突出する。第2対向部114a、114bと壁本体112とがそれぞれ直交する。第2対向部114a、114bは、第1方向と平行な第2対向面114cをそれぞれ有する。
【0061】
雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、支持壁部104が挿入空間56に挿入され収容され、支持壁部104の壁本体112が付勢部122に向かい合い、且つ、後述する保持構造16の付勢部122の弾発力によって支持壁部104が第2方向一方に向けて付勢される。
【0062】
雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、第2方向において第2対向部114a、114bと雌型コネクタ12の第1対向部70a、70bとが互いに離間した状態で向かい合う。第1対向部70aと第2対向部114a、第1対向部70bと第2対向部114bとが、それぞれ非接触に配置される。すなわち、第1対向部70a、70bを備える雌型端子支持台44と支持壁部104とが第2方向において非接触である。
【0063】
図1に示すように、雄型端子支持台98には、複数の雄型端子40が保持される。複数の雄型端子40は、第1端子支持部46の第1方向(矢印X方向)に沿って等間隔離れて並列する。ここでは、7個の雄型端子40を備える場合について説明する。
【0064】
雄型端子40は、例えば、導電性を有した金属材料から形成される。複数の雄型端子40のうち、雄型端子支持台98の第1方向両側に配置された雄型端子40a、40bは、バッテリパック18と電動車両20又は充電装置との間で電力を伝達するための電力用端子である。
【0065】
複数の雄型端子40のうち、雄型端子40a、40b以外の5本の雄型端子40cは、信号を伝達するための信号用端子である。各雄型端子40cには、図示しないリード線が電気的に接続される。
【0066】
各雄型端子40は、上下方向(矢印Z方向)に延在する板状である。各雄型端子40は、雄型端子支持台98を貫通して該雄型端子支持台98に保持される。各雄型端子40は、雄型端子支持台98の上面から突出した突出部位116を有する。雄型コネクタ14と雌型コネクタ12とが接続されるとき、雄型端子40の突出部位116が雌型端子42に挿入され折曲部96に挟持される。突出部位116が、雌型端子42に接続される部位である。各雄型端子40の下端には、図示しないリード線が電気的に接続される。
【0067】
第1及び第2ピン部材106、108は、金属材料から形成される。第1及び第2ピン部材106、108の下端は、台座102a、102bの上面にそれぞれ固定される。第1及び第2ピン部材106、108は、台座102a、102bから上方に向けて突出する。第1及び第2ピン部材106、108は、第2端子支持部100の雄型端子40と平行に配置される。第1ピン部材106と第2ピン部材108とが第1方向(矢印X方向)に互いに離間して配置される。
【0068】
第1及び第2ピン部材106、108は、ピン本体118をそれぞれ有する。各ピン本体118は、一定の直径で軸方向(矢印Z方向)に沿って延在する。図4に示す第1及び第2ピン部材106、108の軸方向から見たとき、第1及び第2ピン部材106、108の断面形状はそれぞれ円形状である。
【0069】
雄型コネクタ14と雌型コネクタ12との接続状態において、第1ピン部材106が第1補強部材78の第1ピン孔82に挿入され、第2ピン部材108が第2補強部材80の第2ピン孔84に挿入される。第1及び第2ピン部材106、108のピン本体118が、第1及び第2ピン孔82、84の第1孔部82a、84aにそれぞれ挿入される。
【0070】
第1及び第2ピン部材106、108のピン本体118の直径は、第1及び第2ピン孔82、84の直径よりもそれぞれわずかに小さい。そのため、第1ピン部材106が第1ピン孔82に挿入されたとき、第1ピン部材106の外周面106aと第1ピン孔82の内周面82cとの間には、径方向にクリアランスCを有する。第2ピン部材108が第2ピン孔84に挿入されたとき、第2ピン部材108の外周面108aと第2ピン孔84の内周面84cとの間には、径方向にクリアランスCを有する。
【0071】
雄型端子40と雌型端子42とが接続されるとき、雄型コネクタ14に向けた雌型コネクタ12の下方への移動が規制され、且つ、雄型コネクタ14と雌型コネクタ12とが第1方向(矢印X方向)及び第2方向(矢印Y方向)において位置決めされる。
【0072】
図4に示すように、保持構造16は、雌型コネクタ12の雌型端子支持台44と雄型コネクタ14の雄型端子支持台98との間に配置される。保持構造16は、雌型コネクタ12に対する雄型コネクタ14の第2方向への相対移動を抑制する。保持構造16は、付勢部122と、第1及び第2金属部材124、126とを備える。
【0073】
付勢部122は、雌型コネクタ12の雌型端子支持台44に設けられる。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、付勢部122は、雄型コネクタ14を第2方向一方(図4中、矢印Y1方向)へ向けて付勢する。
【0074】
付勢部122は、複数のばね部材128を有する。ばね部材128は、雄型コネクタ14を第2方向に向けて付勢する弾発力を有する。ばね部材128は、第2端子支持部100に第1方向(矢印X方向)に沿って複数配置される。ばね部材128は、第1端子支持部46の収容部58に装着される。以下、3個のばね部材128を備える場合について説明する。ばね部材128は、雌型コネクタ12に配置される場合に限定されない。雌型コネクタ12の代わりに、ばね部材128を、雄型コネクタ14の第2端子支持部100に配置し、ばね部材128によって雌型コネクタ12を第2方向に付勢してもよい。
【0075】
図8に示すように、ばね部材128は、板ばねから構成される。ばね部材128は、薄板をプレス成形することで形成される。なお、ばね部材128は、板ばねに限定されない。
【0076】
ばね部材128は、プレート部130と、ばね部132とを有する。プレート部130は、薄板材から平坦且つ矩形状に形成される。プレート部130は、ばね部材128が収容部58(図7参照)に挿入されるときに挿入方向の端部となる挿入方向端部134を有する。ばね部132は、プレート部130の中央部を切り起こして形成される。ばね部132は、プレート部130の挿入方向端部134に接続された片持ち構造である。ばね部132は、プレート部130の挿入方向端部134から離間する方向に延在する。ばね部132は、プレート部130に対して該プレート部130の板厚方向に突出する。
【0077】
図6に示すように、プレート部130は、開口部74から収容部58の内部に挿入される。これにより、ばね部材128が雌型コネクタ12の第1端子支持部46に保持される。
【0078】
図6に示すプレート部130の板厚方向と直交し、ばね部132の延在方向と直交する方向から見たとき、ばね部132の断面形状は、プレート部130から離間する方向に凸状の円弧状である。
【0079】
ばね部132は、プレート部130の板厚方向においてプレート部130から離間する方向(第2方向一方、矢印Y1方向)に付勢する弾発力を有する。ばね部材128が収容部58に装着されたとき、ばね部132が挿入空間56(雄型端子支持台98)に向けて突出して挿入空間56内に配置される。
【0080】
雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、ばね部132の頂部132aと挿入空間56に挿入される雄型コネクタ14の支持壁部104とが接触する。ばね部材128のばね部132の弾発力によって雄型コネクタ14(支持壁部104)が第2方向一方(矢印Y1方向)に向けて付勢される。雄型コネクタ14にばね部材128を設ける場合、ばね部材128を支持壁部104に配置することで、ばね部132によって外壁66を第2方向に付勢することができる。ばね部材128を第2対向部114a、114bに配置することで、ばね部132によって第1対向部70a、70bを第2方向に付勢することができる。
【0081】
図1に示すように、第1金属部材124は、雌型端子支持台44に配置される第1及び第2補強部材78、80の第1及び第2ピン孔82、84である。第1金属部材124は、雌型端子支持台44の雌型端子42と平行に配置される。
【0082】
第2金属部材126は、雄型端子支持台98に配置される第1及び第2ピン部材106、108である。第2金属部材126は、雄型端子支持台98から突出して第1金属部材124である第1及び第2ピン孔82、84に挿入される。第1及び第2金属部材124、126は、例えば、付勢部122よりも車両の後方(第2方向一方、矢印Y1方向)に配置される。
【0083】
図4に示すように、第1及び第2金属部材124、126の軸方向から見て、第1及び第2金属部材124、126と第2締結部50a、50bの締結孔54bとが第2方向に沿った直線上に配置される。
【0084】
雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、第1金属部材124と第2金属部材126とが接触する。具体的には、雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続状態において、第1ピン部材106の外周面106aと第1ピン孔82の内周面82cとが第2方向一方において接触し、且つ、第2ピン部材108の外周面108aと第2ピン孔84の内周面84cとが第2方向一方において接触する。
【0085】
図1に示すように、上述したコネクタ構造10では、雌型コネクタ12の雌型端子42と雄型コネクタ14の雄型端子40との接続状態において、雌型端子42と雄型端子40とが互いに当接し合うことにより、雄型コネクタ14と雌型コネクタ12との接続方向と直交する第1方向に雌型端子42と雄型端子40との相対移動が規制されている。
【0086】
次に、図3に示すように、バッテリパック18を電動車両20のバッテリパック収容部34に収容し、雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とを接続する場合について説明する。
【0087】
使用者が、ハンドル30を把持してバッテリパック18を電動車両20のバッテリパック収容部34へ収容する。このとき、バッテリパック18の底部が下方に配置される。
【0088】
バッテリパック収容部34において、図9に示すようにバッテリパック18の雌型コネクタ12が、バッテリパック収容部34に設けられた雄型コネクタ14に向かい合う。一対の第1及び第2ピン部材106、108と、一対の第1及び第2ピン孔82、84とが上下方向に向かい合う。
【0089】
電動車両20の操作レバーを使用者が操作することで、雄型コネクタ14がバッテリパック18に向けて上昇する。図1に示すように、雄型コネクタ14の第1及び第2ピン部材106、108が、雌型コネクタ12における第1及び第2補強部材78、80の第1及び第2ピン孔82、84の内部に挿入される。これにより、第1方向及び第2方向において、雄型コネクタ14に対して雌型コネクタ12が所定位置となるように調整される。雄型コネクタ14と雌型コネクタ12とが上下方向(図1中、矢印Z方向)に向かい合う。
【0090】
このとき、第1及び第2ピン部材106、108の直径が、第1及び第2ピン孔82、84(第1孔部82a、84a)の直径より小さい。そのため、第1及び第2ピン孔82、84の内周面82c、84cと第1及び第2ピン部材106、108の外周面106a、108aとの間には、それぞれ径方向にクリアランスCを有する。
【0091】
雄型コネクタ14の上昇に伴って、図1に示すように雌型コネクタ12の各雌型端子42において、一対の折曲部96(端子部材86)の間に雄型端子40が挿入される。複数の雌型端子42と複数の雄型端子40とが電気的に接続される。このとき、雄型コネクタ14の台座102a、102bの上面が、雌型コネクタ12の雌型端子支持台44の下面に当接することで、雄型コネクタ14の上昇が停止する。
【0092】
雄型コネクタ14と雌型コネクタ12とが接続されるとき、第1ピン部材106が第1ピン孔82に挿入され、第2ピン部材108が第2ピン孔84に挿入されることで、第1及び第2ピン孔82、84が第1及び第2ピン部材106、108によって所定位置へと案内される。この結果、雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とが所定位置に位置決めされるため、複数の雌型端子42と複数の雄型端子40とが確実に接続される。
【0093】
複数の雌型端子42と複数の雄型端子40とが接続されるとき、雄型コネクタ14の上昇に伴って、雄型コネクタ14の支持壁部104が雌型コネクタ12の挿入空間56へ挿入される。図4に示すように、挿入空間56において、複数のばね部材128のばね部132に支持壁部104の壁本体112の端面が接触する。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14との接続方向から見て、支持壁部104とばね部132との接触に伴って、支持壁部104によって第2方向他方に向けてばね部132が押圧されて弾性変形する。
【0094】
支持壁部104が挿入空間56に挿入されると、複数のばね部材128のばね部132によって支持壁部104の壁本体112が第2方向一方(図4中、矢印Y1方向)に向けて付勢される。ばね部材128による付勢に伴って、支持壁部104を介して雄型コネクタ14が雌型コネクタ12に対して第2方向一方へ相対移動する。雄型コネクタ14の移動に伴って、第1及び第2ピン部材106、108(第2金属部材126)の外周面106a、108aが、雌型コネクタ12の第1及び第2ピン孔82、84(第1金属部材124)の内周面82c、84cに接触する(図4及び図5参照)。
【0095】
詳細には、第1ピン部材106におけるピン本体118の第2方向一方の外周面106aが、第1ピン孔82における第1孔部82aの内周面82cに接触する。第2ピン部材108におけるピン本体118の第2方向一方の外周面108aが、第2ピン孔84における第1孔部84aの内周面84cに接触する。第1及び第2ピン部材106、108と第1及び第2ピン孔82、84とが、第1及び第2ピン部材106、108の軸方向に沿ってそれぞれ接触する。
【0096】
これにより、雌型コネクタ12に対する雄型コネクタ14の第2方向一方(矢印Y1方向)に向けた移動が規制される。すなわち、雄型コネクタ14の雄型端子40と雌型コネクタ12の雌型端子42との接続状態において、雄型端子40を含む雄型コネクタ14と雌型端子42を含む雌型コネクタ12との第2方向の相対移動が規制される。
【0097】
以上のように、本発明の実施形態では、雌型端子42と雄型端子40とが接続されるとき、付勢部122によって雄型端子支持台98を第2方向に向けて付勢し、雌型端子支持台44の第1金属部材124と雄型端子支持台98の第2金属部材126とを接触させることで、雌型端子42と雄型端子40との第2方向への相対移動が抑制される。従って、雌型端子42と雄型端子40とが第2方向に互いに摺動することが抑制され、雌型端子42及び雄型端子40の摩耗を抑制することができる。
【0098】
雌型端子支持台44の第1金属部材124と雄型端子支持台98の第2金属部材126とが接触することで、樹脂材料からなる雌型端子支持台44と雄型端子支持台98とにおいて樹脂同士のみで接触することを回避し、雌型端子支持台44及び雄型端子支持台98の摩耗を効果的に抑制できる。
【0099】
雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とを接続するとき、雌型端子支持台44と雄型端子支持台98との位置決めを行うための第1及び第2ピン孔82、84と、第1及び第2ピン部材106、108とを利用し、金属材料からなる第1及び第2ピン部材106、108と第1及び第2ピン孔82、84とを接触させる。これにより、雌型端子支持台44と雄型端子支持台98との摩耗を抑制しつつ、雌型端子支持台44と雄型端子支持台98との第2方向へのがたつきを容易に防止できる。
【0100】
一対の第1及び第2ピン孔82、84と一対の第1及び第2ピン部材106、108とを介して雄型端子40と雌型端子42とを接続することで、第1及び第2ピン孔82、84と第1及び第2ピン部材106、108とによって、雄型コネクタ14と雌型コネクタ12とが相対回転することを防止できる。
【0101】
第2方向において雌型端子支持台44の第1対向部70a、70bと雄型端子支持台98の第2対向部114a、114bとが非接触であるため、雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とを繰り返し接続したとき、雌型端子支持台44と雄型端子支持台98との接触を回避して摩耗を防止することができる。例えば、第1対向部70a、70b及び第2対向部114a、114bの少なくともいずれか一方を切削加工して互いに非接触とすることで、容易且つ低コストで雌型端子支持台44と雄型端子支持台98との接触を防止できる。
【0102】
雄型端子支持台98は、付勢部122によって第2方向へ付勢される支持壁部104を有し、支持壁部104と雌型端子支持台44とを第2方向において非接触に配置することで、支持壁部104に向かい合う雌型端子支持台44の部位に精度が要求されない。そのため、支持壁部104を有する雄型端子支持台98及び雌型端子支持台44を安価に製造することができ、コネクタ構造10のコストを削減可能である。
【0103】
雌型端子支持台44は、締結部材52が挿通される締結孔54bを有しバッテリパック18の底部に固定される第2締結部50a、50bを備え、第1及び第2金属部材124、126の軸方向から見たとき、第1及び第2金属部材124、126と締結孔54bとが第2方向に沿った直線上に配置される。これにより、付勢部122によって雄型コネクタ14が付勢されて第2方向へ移動し、第1金属部材124が第2方向に向けて付勢されたとき、バッテリパック18に対する雌型コネクタ12の締結部位を中心としたモーメントが発生しない。そのため、雌型コネクタ12をバッテリパック18に対して安定して締結することが可能となる。
【0104】
例えば、コネクタ構造10における第2方向を、電動車両20の前後方向とした場合、バッテリパック18を収容した電動車両20が加減速するのに伴って、前後方向の加速度がバッテリパック18に付与されたとき、保持構造16によって雄型コネクタ14と雌型コネクタ12との第2方向(前後方向)への相対移動が抑制される。これにより、車両の加減速に起因する雄型端子40と雌型端子42の摩耗が効果的に抑制される。
【0105】
例えば、保持構造16を構成する第1及び第2金属部材124、126を、付勢部122よりも電動車両20の後方に配置することで、電動車両20の前進加速に起因する雌型コネクタ12に対する雄型コネクタ14の後方への相対移動を抑制できる。これにより、電動車両20の前進加速に起因する雌型端子42と雄型端子40の摩耗を効果的に抑制できる。
【0106】
付勢部122を構成するばね部材128のばね部132の弾発力によって、雄型コネクタ14の雄型端子支持台98を第2方向へ向けて付勢することで、第2方向における雌型コネクタ12(雌型端子支持台44)と雄型コネクタ14(雄型端子支持台98)との相対移動を簡素な構成で抑制できる。雌型コネクタ12と雄型コネクタ14とを接続するとき、雄型端子支持台98がばね部132を付勢方向と反対方向に弾性変形させながら雄型端子支持台98を雌型端子支持台44へと挿入できるため、雌型端子支持台44に対する雄型端子支持台98の挿入性を高めることができる。
【0107】
上記の実施形態をまとめると、以下のようになる。
【0108】
上記の実施形態は、雌型端子(42)と、樹脂材料から形成され前記雌型端子を支持する雌型端子支持台(44)とを有した雌型コネクタ(12)と、
前記雌型端子に挿入されて該雌型端子と接続される雄型端子(40)と、樹脂材料から形成され前記雄型端子を支持する雄型端子支持台(98)とを有し、前記雌型コネクタに接続される雄型コネクタ(14)と、
を備え、前記雌型端子と前記雄型端子との接続状態で、前記雌型端子と前記雄型端子とが互いに当接し合うことにより、前記雄型コネクタと前記雌型コネクタとの接続方向と直交する第1方向に前記雌型端子と前記雄型端子との相対移動が規制されるコネクタ構造(10)であって、
前記接続方向と前記第1方向とに直交する第2方向に前記雌型端子支持台と前記雄型端子支持台との相対移動を規制する保持構造(16)を備え、
前記保持構造は、
前記雌型端子支持台又は前記雄型端子支持台に設けられ、前記接続状態で前記雄型端子支持台又は前記雌型端子支持台を前記第2方向に付勢する付勢部(122)と、
前記雌型端子支持台及び前記雄型端子支持台の一方である第1支持台に設けられる第1金属部材(124)と、
前記雌型端子支持台及び前記雄型端子支持台の他方である第2支持台に設けられると共に、前記接続状態で前記第1金属部材と接触する第2金属部材(126)と、
を有する。
【0109】
前記第1支持台は、前記雌型端子支持台であり、
前記第2支持台は、前記雄型端子支持台であり、
前記第1金属部材は、前記第1支持台の前記雌型端子と平行に配置されるピン孔(82、84)から構成され、
前記第2金属部材は、前記第2支持台の前記雄型端子支持台から突出して前記ピン孔に挿入されるピン部材(106、108)から構成される。
【0110】
前記第1方向に互いに離間して一対の前記ピン孔が設けられ、
前記第1方向に互いに離間して一対の前記ピン部材が設けられ
前記接続状態で、一方の前記ピン孔(82)と一方の前記ピン部材(106)とが接触し、且つ、他方の前記ピン孔(84)と他方の前記ピン部材(108)とが接触する。
【0111】
前記第1支持台は、第1対向部(70a、70b)を有し、
前記第2支持台は、第2対向部(114a、114b)を有し、
前記雌型コネクタと前記雄型コネクタとが接続されたとき、前記第1対向部と前記第2対向部とは、互いに離間した状態で向かい合う。
【0112】
前記第2支持台は、前記付勢部によって前記第2方向へ付勢される支持壁部(104)を有し、
前記支持壁部と前記第1支持台とが前記第2方向において非接触である。
【0113】
前記雌型コネクタは、繰り返し充電可能なバッテリパック(18)に装着され、
前記雌型端子支持台は、締結部材(52)が挿通される締結孔(54b)を有した締結部(50a、50b)を備え、
該締結部材によって前記締結部が前記バッテリパックに固定され、
前記第1及び第2金属部材の軸方向から見て、前記第1及び第2金属部材と前記締結孔とが前記第2方向に沿った直線上に配置される。
【0114】
前記雌型コネクタは、繰り返し充電可能なバッテリパックに設けられ、
前記雄型コネクタは、前記バッテリパックから電力供給を受ける車両(20)に設けられ、
前記第2方向は、前記車両の前後方向である。
【0115】
前記第1及び第2金属部材は、前記付勢部よりも前記車両の後方に配置される。
【0116】
前記付勢部は、前記第2方向に付勢する弾発力を有するばね部(132)を備えたばね部材(128)である。
【0117】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0118】
10…コネクタ構造 12…雌型コネクタ
14…雄型コネクタ 16…保持構造
18…バッテリパック 20…電動車両
40、40a~40c…雄型端子 42、42a~42c…雌型端子
44…雌型端子支持台 82…第1ピン孔
84…第2ピン孔 98…雄型端子支持台
122…付勢部 124…第1金属部材
126…第2金属部材 128…ばね部材
図1
図2
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図9