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特開2023-173923家電機器管理システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173923
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】家電機器管理システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20231130BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086488
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】美内 健士郎
(72)【発明者】
【氏名】徳永 益規
(72)【発明者】
【氏名】加藤 功記
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】
家電機器の不具合に応じて、適切な保守実施者を判定することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、家電機器、利用者端末および家電機器管理装置で構成され、これらのいずれかが、家電機器のログデータを取得するログデータ取得部と、前記ログデータを用いて、当該家電機器の不具合を検知する不具合分類部と、検知された前記不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定し、前記利用者による保守作業で対処可能な不具合である場合、前記利用者による保守作業を提案する保守提案情報を作成する保守提案部を有する家電機器管理システムである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器のログデータを取得するログデータ取得部と、
前記ログデータを用いて、当該家電機器の不具合を検知する不具合分類部と、
検知された前記不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定し、前記利用者による保守作業で対処可能な不具合である場合、前記利用者による保守作業を提案する保守提案情報を作成する保守提案部を有する家電機器管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記不具合分類部は、検知された前記不具合を分類し、
前記保守提案部は、前記不具合分類部での分類に応じて、前記不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定する家電機器管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記保守提案部は、
前記不具合が利用者により保守作業が可能かの第1の判定を実行し、
当該保守作業で用いられる消耗品および/または部品の購入が必要であるかの第2の判定を実行し、
前記第1の判定および前記第2の判定により、前記利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定する家電機器管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記保守提案部は、前記不具合の発生頻度または回数に応じて、前記第2の判定を実行する家電機器管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記保守提案部は、診断のための制御指令を作成し、
前記家電機器は、前記制御指令に応じで稼働し、
前記ログデータ取得部は、前記制御指令に応じた稼働を示すログデータを取得する家電機器管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の家電機器管理システムにおいて、
前記保守提案部は、前記利用者による保守作業が実行された場合に、前記制御指令を作成する家電機器管理システム。
【請求項7】
家電機器を管理するためのプログラムであって、コンピュータである利用者端末に、
家電機器のログデータを取得するログデータ取得部と、
前記ログデータを用いて、当該家電機器の不具合を検知する不具合分類部と、
検知された前記不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定し、前記利用者による保守作業で対処可能な不具合である場合、前記利用者による保守作業を提案する保守提案情報を作成する保守提案部として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記不具合分類部は、検知された前記不具合を分類し、
前記保守提案部は、前記不具合分類部での分類に応じて、前記不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定するプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記保守提案部は、
前記不具合が利用者により保守作業が可能かの第1の判定を実行し、
当該保守作業で用いられる消耗品および/または部品の購入が必要であるかの第2の判定を実行し、
前記第1の判定および前記第2の判定により、前記利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定するプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムにおいて、
前記保守提案部は、前記不具合の発生頻度または回数に応じて、前記第2の判定を実行するプログラム。
【請求項11】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記保守提案部は、診断のための制御指令を作成し、
前記家電機器は、前記制御指令に応じで稼働し、
前記ログデータ取得部は、前記制御指令に応じた稼働を示すログデータを取得するプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記保守提案部は、前記利用者による保守作業が実行された場合に、前記制御指令を作成するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器の管理に関し、その中でも特に、消耗品の購入や修理を含む保守を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、家庭内などで各種家電機器が利用されている。これら家電機器については、汚れ、故障予兆、劣化、消耗品の不足など各種不具合に対処する必要がある。このため、特許文献1では、洗剤などの消耗品の自動発注に関する技術が開示されている。具体的には、洗濯処理液を適切に発注できるための「タンク20に貯留された洗濯処理液32を洗濯槽14に自動投入する投入部18Dを有する洗濯機10から、自動投入の状態を表す自動投入パラメータを受信し、自動投入パラメータに基づいて洗濯処理液の発注の要否を判定する発注要否判定部と、発注要否判定部の判定が肯定であった場合に、洗濯処理液の発注処理を行う発注処理部と、予め記憶された洗濯処理液の総残量と自動投入パラメータに基づいて総残量を演算する総残量演算部と、を備える」洗濯機消費財自動発注システム1が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、乾燥器のフィルタの目詰まりを検知する技術が開示されている。具体的には、「空気循環経路内の風圧(圧力センサで検知)や、送風ファン用のモータの電流値(電流センサで検知)に基づいて検出する」ことやフィルタの状態に応じた自動清掃が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-96678号公報
【特許文献2】特開2020-54632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、家電機器の不具合についての保守は、様々な種類が存在する。清掃といった利用者で対処可能なものから部品の交換、修理といった専門家である保守員の対処が必要なものまである。例えば、家電機器で不具合(エラー)が発生すると、保守員による点検や部品交換が必要な場合があった。
【0006】
また、保守には、消耗品、部品の購入およびその補充、交換が含まれる。このような補充や交換には、利用者自身で補充、交換部品もあるが、利用者はどの部品、消耗品を購入するべきか、もしくは、備蓄(ストック)の状況からどのタイミングで交換すべきかがわからないことが多い。
【0007】
このため、発生した不具合が放置されることになり、さらなる家電機器不良が発生する可能性が高まってしまう。そこで、本発明では、家電機器の不具合に応じて、保守実施者を判定することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明では、不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合である場合には、利用者での保守作業を提案する保守提案情報を提示する。より具体的には、家電機器のログデータを取得するログデータ取得部と、前記ログデータを用いて、当該家電機器の不具合を検知する不具合分類部と、検知された前記不具合が利用者による保守作業で対処可能な不具合であるかを判定し、前記利用者による保守作業で対処可能な不具合である場合、前記利用者による保守作業を提案する保守提案情報を作成する保守提案部を有する家電機器管理システムである。
【0009】
また、本発明には、家電機器管理システムを構成する利用者端末、家電機器管理装置、家電機器やその組み合わせも含まれる。さらに、利用者端末や家電機器管理装置をコンピュータとして機能させるプログラムやこれを格納する媒体も本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、家電機器の不具合に応じた、保守実施者をより適切に判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における家電機器管理システムのシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態における家電機器の機能ブロック図である。
図3】本発明の一本実施形態における利用者端末のハードウエア構成図である。
図4】本発明の一本実施形態における家電管理装置のハードウエア構成図である。
図5】本発明の一実施形態で用いられる利用者管理情報を示す図である。
図6】本発明の一実施形態で用いられる保守支援情報を示す図である。
図7】本発明の一実施形態で用いられる家電機器管理情報を示す図である。
図8】本発明の一実施形態で用いられるログデータを示す図である。
図9】本発明の一実施形態における家電機器管理システムでの保守提案処理を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態における購入支援のための表示例を示す図である。
図11】実施例1における保守提案処理を示すフローチャートである。
図12】実施例2における保守提案処理を示すフローチャートである。
図13】実施例3における保守提案処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態では、家電機器管理システムにより、家電機器で発生した不具合が利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかを判定し、利用者により保守作業が可能な不具合である場合、利用者による保守を提案する保守提案処理を実行する。なお、本実施形態における保守作業とは、修理、消耗品や部品の交換や補充等の他、清掃、目視確認など広く保守に関する作業が含まれる。以下、その詳細を説明する。
【0013】
<構成>
まず、本実施形態の構成について説明する。図1は、本実施形態における家電機器管理システムのシステム構成図である。図1において、家電機器管理システムは、利用者端末10、家電機器管理装置20および制御対象である家電機器群30を有する。そして、これらは、ルータ40やネットワーク80を介して互いに接続されている。また、家電機器管理装置20は、保守の関係者が利用する各種端末装置と接続される。この端末装置には、保守員や管理者が利用する保守員端末60や保守員タブレット70が含まれる。
【0014】
また、家電機器管理システムは、ネットワーク80を介して、家電機器の消耗品や部品を販売する消耗品/部品販売システム50と接続される。
【0015】
また、利用者端末10と家電機器群30は、近距離無線通信などを利用して直接接続してもよい。さらに、利用者端末10、家電機器群30とルータ40、ネットワーク80間は、有線接続でも無線接続でも構わない。以下、これらの各装置について説明する。
【0016】
まず、本実施形態の管理対象である家電機器群30について説明する。家電機器群30は、1つの領域(例えば、家庭内)で使用されていることを想定している。また、本実施形態の家電機器群30には、掃除機31、IH調理器32および洗濯機33が含まれる。なお、これらは、まとめて家電機器3nと称する。つまり、家電機器3nは、掃除機31、IH調理器32および洗濯機33を代表する表記である。
【0017】
なお、但し、掃除機31、IH調理器32および洗濯機33は例示であり、これらの一部は省略可能であり、また、その他の家電機器3nを追加してもよい。これら各家電機器3nは、掃除機能、調理機能、洗濯機能、といった各種機能の他、近距離無線通信等、通信機能を有する。
【0018】
ここで、家電機器3nの構成について説明する。図2は、本実施形態における家電機器3nの機能ブロック図である。このブロック図は、各家電機器を代表するものである。図2に示すように、家電機器3nは、制御部301、通信部307、表示操作パネル308、稼働部309およびセンサ310を有する。そして、これらは通信路を介して互いに接続されている。以下、各構成について説明する。
【0019】
まず、制御部301は、ログデータ取得部302、不具合分類部303、保守提案部304、制御信号作成部305および記憶部306を有する。つまり、制御部301は、制御信号作成部305を用いて、掃除等の当該家電機器3nの機能を実現するための制御信号を作成、出力し、家電機器3nの稼働を制御する。また、この制御には、表示操作パネル308や利用者端末10を介して入力される利用者からの操作指示に応じた制御が含まれる。
【0020】
そして、ログデータ取得部302は、稼働部309やセンサ310もしくは制御信号作成部305から当該家電機器3nのログデータを取得する。さらに、ログデータ取得部302は、該当家電機器3nのセルフ診断を実行することが望ましい。このセルフ診断は、稼働部309を稼働させ、そのログデータを取得することで実行される家電機器3nの診断である。また、不具合分類部303は、ログデータに含まれる不具合(エラー)を検知し、これを分類する。例えば、不具合分類部303は、ログデータを用いて、不具合を特定し、これを分類する。この分類には、エラーコードの特定が含まれる。
【0021】
また、保守提案部304は、不具合が利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかを判定する。そして、保守提案部304は、利用者により保守作業が可能な不具合である場合、利用者による保守を提案する保守提案情報を作成する。ここで、保守提案部304は、利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかの判定を、不具合分類部303での分類結果に応じて実行することが望ましい。
【0022】
また、制御信号作成部305は、表示操作パネル308や利用者端末10に対する利用者の操作等に従い、該当の家電機器3nを制御する制御信号を作成する。さらに、記憶部306には、不具合を示す保守支援情報、保守に関する当該家電機器3nの制御ステータスを示す家電機器管理情報および当該家電機器3nの稼働に関するログデータを記憶する。これら各種情報、データについては、後述する。
【0023】
ここで、制御部301は、MPU(Micro-Processing Unit)で実現可能であり、ログデータ取得部302、不具合分類部303、保守提案部304や制御信号作成部305の各部は専用ハードウエアやプログラムといったソフトウエアで実現できる。
【0024】
また、制御信号作成部305で作成される制御信号は、制御情報に一種であり、制御信号作成部305は、制御情報作成部の一例である。
【0025】
また、通信部307は、ルータ40やネットワーク80を介した通信や近距離無線通信機能を有する。そして、通信部307は、ログデータを通知したり、利用者端末10から制御指令を受信したりする。また、表示操作パネル308は、利用者から当該家電機器3nに対する操作を受け付けたり、家電機器の稼働状況を出力したりする。
【0026】
また、稼働部309は、制御部301からの制御に従って、各種機能を実行する。このために、例えば、制御信号作成部305で作成された制御信号が用いられる。実行される機能としては、掃除機能、調理機能、洗濯機能等であり、モータ等のアクチュエータ、ヒータ圧縮器などで実現できる。
【0027】
さらに、センサ310は、温度センサ、電流センサや電圧センサなどで実現でき、当該家電機器の稼働状況を検知する。そして、センサ310で検知された内容が、ログデータの一部となる。
【0028】
なお、本実施形態での保守提案処理を、家電機器3nや利用者端末10で実行することが望ましい。但し、家電機器管理装置20で行ってもよいし、これらを連携して実行してもよい。このため、不具合分類部303および保守提案部304は、省略可能であり、利用者端末10、家電機器管理装置20が該当の機能を実行してもよい。
【0029】
以上で図2の説明を終わり、図1の説明に戻る。利用者端末10は、複数の家電機器3n、つまり、家電機器群30の管理に利用されるもので、スマートフォン、携帯電話、タブレット、スマートスピーカ、PCなどのコンピュータで実現できる。このために、利用者端末10は、通信部11、ログデータ取得部12、不具合分類部13、保守提案部14、購入支援部15、出力部16、入力部17および記憶部18を有する。
【0030】
そして、通信部11は、ルータ40やネットワーク80を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、ログデータ取得部12は、各家電機器3nからログデータを取得する。このログデータ取得部12は、周期的に、特に一定期間ごと(定期的)にログデータを取得することが望ましい。なお、ログデータは、ログデータ取得部12により能動的に取得(PULL)されてもよいし、各家電機器3nにより能動的に通知(PUSH)されてもよい。さらに、ログデータ取得部12は、該当家電機器3nのセルフ診断を実行することが望ましい。このように、ログデータ取得部12は、ログデータ取得部302と同様の機能を有する。
【0031】
また、不具合分類部13は、ログデータ取得部12で取得されたログデータを用いて、不具合を特定し、これを分類する。この分類には、エラーコードの特定が含まれる。このように、不具合分類部13は、不具合分類部303と同様の機能を有する。
【0032】
また、保守提案部14は、不具合が利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかを判定する。そして、保守提案部14は、利用者により保守作業が可能な不具合である場合、利用者による保守を提案する保守提案情報を作成する。ここで、保守提案部14は、利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかの判定を、不具合分類部13や不具合分類部303での分類結果に応じて実行することが望ましい。以上のように、保守提案部14は、保守提案部304と同様の機能を有する。
【0033】
また、購入支援部15は、ログデータ取得部12で取得されたログデータを用いて、家電機器3nの購入支援を行う。この購入支援には、利用者に対する購入提案や購入処理が含まれる。
【0034】
また、出力部16は、ログデータ、不具合の内容、保守提案情報や購入提案情報などの各種情報を出力する。なお、出力部16での出力は、表示の他、音声等他の方法でも出力できる。また、入力部17は、利用者から各種操作を受け付ける。この操作には、消耗品や部品の購入指示やセルフ診断指示が含まれる。なお、出力部16および入力部17は一体で構成できる。なお、入力部17への入力は、タッチ等の指・手を用いた入力の他、音声等他の方法でも受け付けることができる。さらに、記憶部18は、不具合分類部13、保守提案部14などの処理で用いられる各種情報などを記憶する。
【0035】
ここで、利用者端末10の一実現例について説明する。図3は、本実施形態における利用者端末10のハードウエア構成図である。図3において、利用者端末10は、タッチパネル101、処理装置102、通信装置103、記憶装置104を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0036】
まず、タッチパネル101は、図1の出力部16および入力部17を兼ねた構成であり、利用者の操作を受け付けたり、各種情報を表示したりする。なお、タッチパネル101は、入力デバイスと出力デバイスに分けて構成してもよい。また、処理装置102は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、後述する記憶装置104に記憶されている家電機器管理プログラム105(統合アプリ)に従って演算を実行する。
【0037】
そして、家電機器管理プログラム105は、その機能ごとに、ログデータ取得モジュール106、不具合分類モジュール107、保守提案モジュール108および購入支援モジュール109で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0038】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する図1に示す構成は、以下のとおりである。
ログデータ取得モジュール106:ログデータ取得部12
不具合分類モジュール107:不具合分類部13
保守提案モジュール108:保守提案部14
購入支援モジュール109:購入支援部15
このため、処理装置102は、家電機器管理プログラム105に従って、ログデータ取得部12、不具合分類部13、保守提案部14および購入支援部15の処理を実行することになる。
【0039】
また、記憶装置104は、家電機器管理プログラム105、利用者管理情報110、保守支援情報111、家電機器管理情報112およびログデータ113を記憶する。ここで、家電機器管理プログラム105は、各家電機器3nを管理するためのプログラムであってもよいし、家電機器ごとの複数のプログラムで構成してもよい。後者については、掃除機31、IH調理器32および洗濯機33各々の管理プログラムを用いることになる。
【0040】
なお、利用者管理情報110、保守支援情報111、家電機器管理情報112およびログデータ113については、<情報>で後述する。また、記憶装置104は、メモリのような主記憶装置と、いわゆるストレージである副記憶装置(記憶媒体)で実現してもよい。なお、副記憶装置は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどで実現してもよい。さらに、家電機器管理プログラム105、利用者管理情報110、保守支援情報111、家電機器管理情報112およびログデータ113の少なくとも一部は省略できる。これは、後述の家電機器管理装置20で保持されていればよい。またさらに、家電機器管理プログラム105の少なくとも一部のモジュール(機能)を、家電機器管理装置20に設けてもよい。
【0041】
以上で図3の説明を終わり、図1の説明に戻る。家電機器管理装置20は、各家電機器3nの管理に用いられ、サーバ、クラウドといったコンピュータで実現できる。このために、家電機器管理装置20は、I/F部21、ログデータ取得部22、不具合分類部23、保守提案部24、購入支援部25および記憶部26を有する。
【0042】
まず、I/F部21は、ネットワーク80を介した通信や近距離無線通信機能を有する。また、I/F部21は、保守員端末60や保守員タブレット70と接続する機能も有する。なお、家電機器管理装置20と保守員端末60や保守員タブレット70との接続は、ネットワーク80を介して実現してもよい。
【0043】
また、ログデータ取得部22は、各家電機器3nからログデータを取得する。ここで、このログデータは、各家電機器3nから取得されてもよいし、利用者端末10を介して取得されてもよい。また、ログデータ取得部22は、周期的に、特に一定期間ごと(定期的)にログデータを取得することが望ましい。なお、ログデータは、ログデータ取得部22により能動的に取得(PULL)されてもよいし、各家電機器3nやログデータ取得部12により能動的に通知(PUSH)されてもよい。さらに、ログデータ取得部12は、該当家電機器3nのセルフ診断を実行することが望ましい。このように、ログデータ取得部12は、ログデータ取得部302やログデータ取得部12と同様の機能を有する。
【0044】
また、不具合分類部23は、ログデータ取得部22で取得されたログデータを用いて、不具合を特定し、これを分類する。この分類には、エラーコードの特定が含まれる。このように、不具合分類部23は、不具合分類部303や不具合分類部13と同様の機能を有する。
【0045】
また、保守提案部24は、不具合が利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかを判定する。そして、保守提案部24は、利用者により保守作業が可能な不具合である場合、利用者による保守を提案する保守提案情報を作成する。ここで、保守提案部14は、利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかの判定を、不具合分類部23、不具合分類部303や不具合分類部13のいずれかでの分類結果に応じて実行することが望ましい。以上のように、保守提案部24は、保守提案部304や保守提案部14と同様の機能を有する。
【0046】
また、購入支援部25は、ログデータ取得部22で取得されたログデータを用いて、家電機器3nの購入支援を行う。この購入支援には、利用者に対する購入提案や購入処理が含まれる。利用者端末10、家電機器管理装置20および家電機器3nにおける同名の部位は、少なくとも1つで設ければよい。
【0047】
さらに、記憶部26は、利用者管理情報261、保守支援情報262、家電機器管理情報263およびログデータ264を記憶する。なお、利用者管理情報261、保守支援情報262、家電機器管理情報263およびログデータ264は、利用者端末10に記憶される同名の情報と内容的に同じものであり、一方を省略してもよい。利用者端末10のリソースを考慮し、圧縮ないし簡略化された情報としたりしてもよい。特に、利用者端末10の各情報は、利用者端末10の利用者が利用する家電機器3nに限定したものであることが望ましく、家電機器管理装置20の各情報は、複数の利用者の情報であることが望ましい。なお、これら各情報については、<情報>で後述する。
【0048】
ここで、家電機器管理装置20の一実現例について説明する。図4は、本実施形態における家電機器管理装置20のハードウエア構成図である。図4において、家電機器管理装置20は、処理装置201、通信装置202、接続装置203、メモリ204および副記憶装置205を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0049】
まず、処理装置201は、CPUなどのプロセッサで実現でき、後述する副記憶装置205に記憶されている家電機器管理プログラム206に従って演算を実行する。家電機器管理プログラム206については、後述する。
【0050】
また、通信装置202は、図1のI/F部21に該当し、ネットワーク80と接続し、他の装置との通信を行う。また、接続装置203は、図1のI/F部21に該当し、保守員端末60等と接続する。
【0051】
また、メモリ204および副記憶装置205が、図1の記憶部26に該当する。そして、メモリ204は、副記憶装置205に記憶されている家電機器管理プログラム206や処理装置201での処理に用いられる情報が展開される。また、副記憶装置205は、いわゆるストレージで実現でき、家電機器管理プログラム206、利用者管理情報261、保守支援情報262、家電機器管理情報263およびログデータ264を記憶する。また、副記憶装置205は、外付けのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、メモリカードなどの各種記憶媒体で実現してもよい。さらに、ファイルサーバのように家電機器管理装置20とは別装置で実現してもよい。
【0052】
ここで、家電機器管理プログラム206は、ログデータ取得モジュール207、不具合分類モジュール208、保守提案モジュール209および購入支援モジュール210で構成される。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。
【0053】
ここで、各モジュールと同一の機能を実行する図1に示す構成は、以下のとおりである。
ログデータ取得モジュール207:ログデータ取得部22
不具合分類モジュール208:不具合分類部23
保守提案モジュール209:保守提案部24
購入支援モジュール210:購入支援部25
このため、処理装置201は、当該プログラムに従って、ログデータ取得部22、不具合分類部23、保守提案部24および購入支援部25の処理を実行することになる。
【0054】
なお、家電機器管理プログラム206は家電機器管理プログラム105と同様の演算を実行するもので、少なくとも一方が存在すればよい。この際、これらを構成するモジュールについても少なくとも一方に存在すればよい。
【0055】
以上で図4の説明を終わり、図1の説明に戻る。保守員端末60や保守員タブレット70は、家電機器3nの保守作業を実行する保守員やその管理者が利用する装置である。保守員端末60や保守員タブレット70は、コンピュータで実現でき、より具体的にはPC、タブレット、スマートフォンなどで実現できる。
【0056】
ルータ40は、各装置を接続するための機能を有するもので、家電機器群30と同じ敷地内に設けられることが望ましい。なお、ルータ40は省略もしくは他の通信機器と説き替え可能である。また、ネットワーク80は、インターネットや公衆回線網等の通信網である。
【0057】
また、消耗品/部品販売システム50は、いわゆるEC(Electronic Commerce)サイトとして実現でき、家電機器3nの消耗品や部品の販売処理を行う。また、消耗品/部品販売システム50は、サーバ等のコンピュータで実現できる。さらに、消耗品/部品販売システム50は、家電機器3nのメーカや販売業者で運用されることが望ましいが、一般的なショッピングサイトの一部として実現してもよい。
以上で、本実施形態の構成についての説明を終わる。
【0058】
<情報>
次に、本実施形態で用いられる各種情報について説明する。以下では、利用者端末10が記憶する情報を例に説明する。図5は、本実施形態で用いられる利用者管理情報110を示す図である。この利用者管理情報110は、家電機器群30の利用者に関する情報である。図5に示すように、利用者管理情報261は、利用者名、住所、連絡先、保有機器および消耗品/部品の各項目を有する。ここで、利用者名は、該当の利用者を識別する情報であればよい。また、住所、連絡先は省略可能である。さらに、保有機器は、該当の利用者が保有ないし利用する家電機器、つまり、家電機器群30を特定する情報であるが、この情報は省略してもよい。また、消耗品/部品ストックは、各家電機器3nの消耗品や部品について、利用者が備蓄している数量を示す。また、家電機器管理装置20が記憶する利用者管理情報261は、該当の利用者A以外のレコード(利用者管理情報)を有することになる。
【0059】
次に、図6は、本実施形態で用いられる保守支援情報111を示す図である。保守支援情報111は、家電機器ごとに、発生する不具合を示す情報である。図6に示すように、保守支援情報111は、家電機器、エラーコード、不具合内容、保守作業、作業者および必要消耗品/部品の各項目を有する。家電機器は、家電機器を識別する情報であるが、家電機器の種別ないし製品を識別する情報であってもよい。また、エラーコードは、発生したエラー、つまり、不具合を識別する。
【0060】
また、不具合内容は、エラーコードが示す不具合(エラー)の内容を示す。保守内容は、発生した不具合へ対処する保守の作業内容を示す。また、作業者は、保守作業を実行する作業者を示し、本実施形態では、「利用者」と専門家である「保守員」を記録する。但し、本項目は、利用者にて作業可能かを示せればよい。最後に、必要消耗品/部品は、保守作業で必要となる消耗品や部品を示す。以上の保守支援情報111は、家電機器群30分、つまり、家庭等の該当利用者の保有する家電機器3n分の情報であるが、家電機器管理装置20が記憶する保守支援情報262は他の利用者の家電機器の情報も含まれることになる。
【0061】
なお、本実施形態では、エラーコードごとのレコードとしたが、不具合の発生回数や頻度、環境条件とエラーコードの組合せごとのレコードとしてもよい。例えば、エラーコードE111が所定回数以上発生した場合ごとに、保守作業、作業者、必要消耗品/部品の各項目を設けてもよい。このようにすることで、継続的に発生する不具合や所定環境下で発生する不具合により適切な対処が可能となる。
【0062】
次に、図7は、本実施形態で用いられる家電機器管理情報112を示す図である。家電機器管理情報112は、家電機器3nにおける制御ステータスを示す情報である。図7に示すように、家電機器管理情報112は、家電機器および制御ステータスの各項目を有する。まず、家電機器は、保守支援情報111と同様に、家電機器を識別する情報であるが、家電機器の種別ないし製品を識別する情報であってもよい。また、制御ステータスは、対応する家電機器の保守作業ないし不具合に関する制御の状況を示す。つまり、不具合が発生し、「保守待ち」であるか、「通常」制御であるか等を示す。他、部品や消耗品の購入を待っている状態であれば「保守(購入)待ち」が用いられる。その他、保守員への保守依頼中、不具合に応じた縮退制御等を用いることができる。以上の家電機器管理情報112は、家電機器群30分、つまり、家庭等の該当利用者の保有する家電機器3n分の情報であるが、家電機器管理装置20が記憶する家電機器管理情報263は他の利用者の家電機器の情報も含まれることになる。
【0063】
次に、図8は、本実施形態で用いられるログデータ113を示す図である。ログデータ113は、家電機器3nの稼働データ(稼働時間、稼働内容)、環境(温度等)、購入時期、エラー、センサ310で検知される物理量等のイベントなどのいずれかを含む情報である。本実施形態では、取得されたログデータそのものと、ログデータから作成され、家電機器3nの不具合に関する不具合ログデータの両方を用いるが、いずれか一方のみと扱ってもよい。
【0064】
図8(a)が、取得されたログデータであり、家電機器、日時、事象・内容の各項目を有する。家電機器は、保守支援情報111や家電機器管理情報112と同様に、家電機器3nを識別する。日時は、ログデータが発生、取得ないし収集された日時を示す。事象・内容は、家電機器で発生した不具合を含む事象等を示す。なお、事象・内容で発生した不具合は、エラーコードとして記録される。
【0065】
また、図8(b)が、不具合ログデータを示し、家電機器、エラーコードおよび発生回数/頻度の各項目を有する。家電機器は、保守支援情報111や家電機器管理情報112と同様に、家電機器3nを識別する。エラーコードは、図8(a)の事象・内容から抽出されるエラーコードである。そして、発生回数/頻度は、該当のエラーコードの発生回数および頻度を示す。但し、発生回数/頻度は、回数と頻度の一方であってもよい。さらに、環境条件等他の項目と置き換えたり、他の項目が追加したりしてもよい。この発生回数/頻度や環境条件等を用いることで、継続的に発生する不具合や所定環境下で発生する不具合を特定できる。
【0066】
以上のログデータ113も、家電機器群30分、つまり、家庭等の該当利用者の保有する家電機器3n分の情報であるが、家電機器管理装置20が記憶するログデータ264は他の利用者の家電機器の情報も含まれることになる。
【0067】
<処理フロー>
次に、本実施形態の処理フローについて説明する。なお、以下の説明において、利用者端末10や家電機器管理装置20の処理は、図1図2に示す構成を用いる。
【0068】
図9は、本実施形態における家電機器管理システムでの保守提案処理を示すフローチャートである。本保守提案処理は、家電機器3nが稼働している場合に実行される。但し、家電機器3nの稼働に加え、の利用者からの指示に応じて実行されてもよい。
【0069】
まず、ステップS1において、家電機器3nのログデータ取得部302が、稼働部309等からログデータを取得する。そして、ログデータ取得部302が、通信部307を用いて、利用者端末10に取得されたログデータを通知する。この結果、利用者端末10のログデータ取得部12が、ログデータを取得することになる。より望ましくは、本ステップにおいて、ログデータ取得部12が、取得されたログデータから不具合ログデータを作成する。なお、本ステップは、周期的に実行されることが望ましい。
【0070】
また、ステップS2において、不具合分類部13が、取得されたログデータを用いて、不具合の発生を検知する。例えば、不具合分類部13は、ログデータにエラーコードが含まれるか、不具合ログデータが所定条件を満たすかで、不具合の発生を検知する。所定条件には、発生回数/頻度が予め定められた所定回数/頻度以上であるか、環境条件が所定条件を満たすかなどを用いることができる。ステップS2の結果、不具合を検知していない場合(N)、ステップS3に遷移する。また、不具合を検知した場合(Y)、ステップS4に遷移する。
【0071】
そして、ステップS3において、家電機器3nは、そのまま稼働を続ける。つまり、標準運転を続ける。この際、不具合分類部13は、出力部16に対して、不具合が検知されていないことや標準運転を続けることを出力することが望ましい。
【0072】
また、ステップS4において、不具合分類部13は、検知された不具合を分類する。このために、上述のエラーコードが用いられる。また、当該分類に当たっては、発生回数/頻度といった他の条件を用いたり、センサ310で検知される電流値などの物理量を用いたりすることができる。以上の結果、不具合分類部13は、検知された不具合が保守支援情報111のいずれに該当するかを特定することになる。
【0073】
また、ステップS5において、保守提案部14が、分類された不具合が利用者により保守作業が可能かを判定する。このために、ステップS4で特定された保守支援情報111の「作業者」の項目が利用される。つまり、「作業者」が「利用者」であれば利用者による保守作業が可能と判定し(Y)、ステップS6に遷移する。そうでなければ、利用者による保守作業が不可能と判定し(N)、ステップS12に遷移する。なお、本実施形態では、「作業者」の項目を用いて、利用者による保守作業が可能かを判定しているが、「作業内容」を用いて判定してもよい。つまり、保守内容ごとに、保守作業が可能な作業者を特定するルールを作成しておき、これに基づき判定されてもよい。
【0074】
また、ステップS6において、保守提案部14が、分類された不具合への保守作業に、消耗品や部品の購入が必要かを判定する。このために、ステップS4で特定された保守支援情報111の「必要消耗品/部品」と利用者管理情報110の「消耗品/部品ストック」の項目が利用される。つまり、「必要消耗品/部品」で示される保守作業で必要な数量が足りているかが「消耗品/部品ストック」により判定される。なお、この判定においては、保守作業に必要な数量が備蓄されていても、保守作業が実行された場合、備蓄が無くなる等の所定条件に従って判定してもよい
この結果、消耗品や部品の購入が必要である場合(Y)、ステップS9に遷移する。また、不要である場合(N)、ステップS7に遷移する。このように、ステップS6においては、該当の保守作業に消耗品や部品が必要か、および、備蓄が有るかが判定されているが、前者のみの判定としてもよい。
【0075】
以上のように、ステップS5およびS6により、利用者の保守作業で対処可能な不具合であるかが判定されている。また、ステップS6においては、消耗品や部品の購入の必要性が、保守作業での必要性および備蓄の有無で判定されている。つまり、ステップS5を第1の判定として実行し、ステップS6を第2の判定として実行している。これらのように、本実施形態では、検知された不具合が「利用者による保守作業で対処可能」かを、多段階で判定されている。但し、多段階であることは1つの例であり、これらのうち、ステップS5のみを実行等とし、その一部を省略する構成としてもよい。なお、利用者の保守作業で対処可能かは、利用者の保守作業により、不具合が解消可能かとの観点を基準としてもよい。
【0076】
また、ステップS7において、保守提案部14が、利用者が行う保守作業を示す保守提案情報を作成する。保守提案情報には、保守支援情報111の「保守内容」が含まれ、その手順なども示されることが望ましい。また、保守提案情報の手順などの詳細については、インターネットにおけるリンク先を用いてもよい。また、ステップS8において、出力部16が、作成された保守提案情報を出力する。この結果、利用者が保守提案情報に従って、保守作業を行うことができる。このように、保守作業が実行された場合、利用者の入力やログデータ取得部302ないしログデータ取得部12で取得されるログデータに応じて、保守提案部14が、家電機器管理情報112の制御ステータスを更新する。
【0077】
また、ステップS6で消耗品や部品が必要と判定された場合、ステップS9において、購入支援部15が、必要とされる消耗品や部品(消耗品および/または部品)の購入を行うかを判定する。このために、購入支援部15は、出力部16を用いて、必要な消耗品や部品を、その数量と共に出力する。この数量は、保守作業に必要な数量やこれに備蓄分を加えた数量等、保守作業と備蓄数量に応じた数量となる。また、購入支援部15は、利用者に対する消耗品や部品の購入確認についても出力部16に出力する。また、この出力に応じて、保守作業の概要も出力してもよい。そして、この出力に対する利用者からの入力に応じて、購入支援部15は、購入を行うかを判定する。この結果、購入を行う場合(Y)、ステップS11に遷移する。また、購入しない場合(N)、ステップS10に遷移する。
【0078】
ここで、本ステップの表示例を説明する。図10は、本実施形態における購入支援のための表示例を示す図である。出力部16には、保守作業の概要を示す領域161、購入を推奨する領域162および購入ボタン163が含まれる。
【0079】
そして、利用者が購入ボタンの何れかを選択することで、上記の判定が実行される。すなわち、「購入する」ボタンが指定された場合、ステップS11に遷移し、「購入しない」ボタンが選択された場合、ステップS10に遷移する。なお、「購入する」ボタンが指定された場合、購入支援部15は、その数量を入力させるための表示を、出力部16を用いて行うことが望ましい。
【0080】
また、ステップS10において、購入支援部15は、検知された不具合に応じた縮退運転を提案する。例えば、購入支援部15は、出力部16を用いて、不具合に応じた停止等の縮退運転を提案する提案情報を出力する。また、本ステップにおいては、購入支援部15は、縮退運転を行うための制御指令を作成し、通信部11を介して、家電機器3nに通知してもよい。なお、制御指令の作成や通知については、利用者から入力部17を用いた許諾入力を受け付けたことを条件に実行してもよい。なお、この縮退運転の内容は、保守支援情報111の保守内容に記録しておくことが望ましい。この結果、家電機器3nにおいて、縮退運転が実行される。このように、縮退運転が実行された場合、利用者の入力やログデータ取得部302ないしログデータ取得部12で取得されるログデータに応じて、保守提案部14が、家電機器管理情報112の制御ステータスを更新する。また、縮退運転の制御指令の作成や通知は、図示しない制御指令部といった別構成で実行してもよい。
【0081】
また、ステップS11において、購入支援部15は、利用者からの入力部17での購入手続きの入力に応じて、購入支援を実行する。つまり、購入支援部15は、購入が必要な部品や消耗品について、指定された数量の発注情報を作成する。なお、発注情報には、利用者管理情報110の利用者名や住所が含まれる。そして、購入支援部15は、通信部11を介して消耗品/部品販売システム50に、発注情報を通知する。この結果、利用者は、保守作業で必要となる消耗品や部品が購入できる。なお、ステップS11が実行される場合もステップS10を実行してもよい。さらに、ステップS9をスキップして、ステップS11を実行することで、自動発注を実現してもよい。
【0082】
また、ステップS5で利用者による保守作業が不可能と判定された場合、ステップS12において、保守提案部14が、保守依頼情報を作成する。この保守依頼情報とは、専門家である保守員による保守を依頼する情報であり、検知された不具合および該当の利用者の情報が含まれる。利用者の情報は、利用者管理情報110の利用者名、住所、連絡先が含まれる。さらに、不具合の生じた家電機器3nの情報も、保守依頼情報に含まれる。この際、保守提案部14は、保守依頼情報を出力部16に出力することが望ましい。
【0083】
そして、ステップS13において、保守提案部14が、通信部11を用いて家電機器管理装置20に、保守依頼情報を通知する。この結果、家電機器管理装置20は、保守依頼情報もしくはこれに基づき作成される保守計画を、保守員端末60や保守員タブレット70に通知する。この結果、保守員が利用者宅を訪問し、保守作業を実行することになる。
【0084】
なお、ステップS13は、利用者が電話等の通信機能を用いて、保守企業やメーカに連絡することで実現してもよい。また、保守計画の作成は、管理者による保守員端末60の操作に応じて実行されてもよい。
【0085】
以上で本実施形態の説明を終わるが、本実施形態は様々な変形例が想定される。例えば、本実施形態を実行した各部は、他の装置における同名の部位で実行してもよい。例えば、ログデータ取得部12、不具合分類部13等は、家電機器管理装置20のログデータ取得部22、不具合分類部23等で実行してもよい。さらに、家電機器3nのログデータ取得部302や不具合分類部303等で実行してもよい。また、その一部のみを他の装置で実行するように構成してもよい。さらに、購入支援部15は、一般的なインターネットショッピング機能、アプリとして実現してもよい。以下、本実施形態についてのより具体的な内容を示す各実施例を説明する。
【実施例0086】
実施例1は、家電機器3nとして、洗濯機33の不具合を検知する場合の例に示す。この中でも特に、洗濯機33のフィルタの不具合に対する保守提案処理について説明する。図11は、実施例1における保守提案処理を示すフローチャートである。ステップS4までは、図9の内容と同様の処理である。但し、ステップS4では、不具合分類部13が、不具合として、フィルタの目詰まりを特定したとする。
【0087】
そして、ステップS5において、図9と同様に、保守提案部14が、分類された不具合が利用者により保守作業が可能かを判定する。この結果、利用者により保守作業が可能な場合(Y)、ステップS60へ遷移する。そうでない場合(N)、ステップS12へ遷移する。
【0088】
また、ステップS60において、保守提案部14が、フィルタの目詰まりの発生頻度が所定回数以上かを判定する。このために、保守提案部14は、不具合ログデータを用いる。この結果、発生頻度が所定回数以上である場合(Y)、ステップS70に遷移する。また、発生頻度が所定回数未満である場合(N)、ステップS9に遷移する。本ステップでは、フィルタの目詰まりの発生頻度により、消耗品であるフィルタの購入が必要か、が判定される。このため、ステップS9以降においては、フィルタの購入処理が実行される。
【0089】
また、ステップS70において、保守提案部14が、利用者が行う保守作業を示す保守提案情報として、フィルタの掃除についての情報が作成される。そして、ステップS8以降の処理が実行される。
【0090】
以上のように、本実施例では、フィルタの目詰まりの発生頻度に応じた処理が実行されるが、この処理はフィルタの不具合に限定されず、他の消耗品や部品、または、洗濯機33以外にも適用できる。さらに、発生頻度に限らずその回数であってもよい。
【実施例0091】
次に、実施例2は、セルフ診断を実行する場合の保守提案処理である。また、本実施例でも、洗濯機33のフィルタの不具合を検知する場合の例にとする。また、本実施例では、ステップS8まで実行されたものとする。この際、不具合として、フィルタの目詰まりが検知されているものとする。
【0092】
図12は、実施例2における保守提案処理を示すフローチャートである。図12のステップS101において、保守提案部14などにより、セルフ診断を実行する。本ステップは、ステップS8で提示された保守提案情報に応じた保守作業が実行された後に実行される。つまり、保守作業により不具合が解消したかを確認することになる。のために、入力部17や表示操作パネル308に対する利用者からの診断指示を開始条件とすることができる。また、不具合分類部13が、ログデータに基づいて、保守作業の完了を検知してもよい。
【0093】
そして、保守提案部14が診断のための制御指令を作成する。洗濯機33が稼働するような制御指令を作成する。ここで、洗濯機33は乾燥機能を有し、ここでの稼働は、乾燥対象の洗濯物が投入されていることになる。また、保守提案部14が、通信部11を用いて洗濯機33に、制御指令を通知する。また、洗濯機33の制御信号作成部305が、制御指令に応じた制御信号を作成する。この結果、稼働部309が制御信号により稼働することになる。また、ログデータ取得部302が、当該稼働におけるログデータを取得し、通信部307を用いて、利用者端末10に通知する。
【0094】
また、ステップS102において、不具合分類部13が、通知されたログデータを用いて、上述のフィルタの目詰まりが維持しているかを判定する。ここで、目詰まりが維持してかは、上述の稼働において、所定条件を満たす運転負荷で稼働しているかで判定できる。所定負荷としては、通常運転等の基準値から0.5kg~1.0kg超過などを用いることができる。さらに、この負荷を特定するために、モータに対する電流値や電圧値を用いることができ、これらはセンサ310で検知できる。
【0095】
この結果、目詰まりが解消している場合(N)、処理を終了する。この際、不具合分類部13は、出力部16に目詰まりが解消したことを出力することが望ましい。また、目詰まりが維持している場合(Y)、ステップS103に遷移する。そして、ステップS103において、保守提案部14が、上記稼働において、標準の乾燥時間を超過するかを、ログデータを用いて判定する。ここで、超過するとは、予め定められた時間から超過するかだけでなく、その差分が所定以上かで判定されてもよい。この結果、超過する場合(Y)、ステップS104に遷移する。また、超過しない場合(N)、処理を終了する。この際、保守提案部14は、出力部16に目詰まりが解消したことを出力することが望ましい。なお、ステップS102およびS103、同時に判定されてもよい。
【0096】
また、ステップS104において、保守提案部14は、フィルタが劣化していることを、出力部16に出力する。そして、ステップS9へ遷移して、フィルタの購入処理が実行される。以上で、実施例2の説明を終わる。
【実施例0097】
次に、実施例3も、セルフ診断を実行する場合の保守提案処理である。但し、本実施例では、掃除機31の二次電池(バッテリ)の不具合を検知する場合の例にとする。また、本実施例では、実施例1とは異なり、ステップS1を受けての処理となる。つまり、保守作業とは独立して、セルフ診断を実行することになる。
【0098】
図13は、実施例3における保守提案処理を示すフローチャートである。図13のステップS201において、保守提案部14などにより、セルフ診断を実行する。つまり、保守提案部14が診断のための制御指令を作成する。掃除機31が稼働するような制御指令を作成する。また、保守提案部14が、通信部11を用いて掃除機31に、制御指令を通知する。また、掃除機31の制御信号作成部305が、制御指令に応じた制御信号を作成する。この結果、稼働部309が制御信号により稼働することになる。本実施例では、二次電池の不具合を診断するため、二次電池を電源としてモータ等を駆動させる。また、ログデータ取得部302が、当該稼働におけるログデータを取得し、通信部307を用いて、利用者端末10に通知する。
【0099】
また、ステップS202において、不具合分類部13が、二次電池が劣化しているか画を判定する。この結果、劣化している場合(Y)、ステップS203に遷移する。また、劣化していない場合(N)、ステップS3へ遷移する。
【0100】
また、ステップS203において、保守提案部14は、フィルタが劣化していることを、出力部16に出力する。そして、ステップS9へ遷移して、二次電池の購入処理が実行される。以上で、実施例3の説明を終わる。
【0101】
以上で、本発明の実施形態や各実施例の説明を終わるが、本発明はこれらに限定されない。例えば、家電機器3nは例示したものに限定されない。特に、各実施例も他の家電機器3nに適用できる。さらに、各処理主体も例示したものに限定されない。
【符号の説明】
【0102】
10…利用者端末、11…通信部、12…ログデータ取得部、13…不具合分類部、14…保守提案部、15…購入支援部、16…出力部、17…入力部、18…記憶部、105…家電機器管理プログラム、106…ログデータ取得モジュール、107…不具合分類モジュール、108…保守提案モジュール、109…購入支援モジュール、110…利用者管理情報、111…保守支援情報、112…家電機器管理情報、113…ログデータ、20…家電機器管理装置、21…I/F部、22…ログデータ取得部、23…不具合分類部、24…保守提案部、25…購入支援部、26…記憶部、261…利用者管理情報、262…保守支援情報、263…家電機器管理情報、264…ログデータ、30…家電機器群、31…掃除機、32…IH調理器、33…洗濯機、40…ルータ、50…消耗品/部品販売システム、60…保守員端末、70…保守員タブレット、80…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13