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  • 特開-コンクリート圧送管の閉塞解除方法 図1
  • 特開-コンクリート圧送管の閉塞解除方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173935
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】コンクリート圧送管の閉塞解除方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20231130BHJP
   F16L 55/24 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E04G21/02
F16L55/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086504
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(71)【出願人】
【識別番号】512270807
【氏名又は名称】株式会社北斗工業
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】池上 明男
(72)【発明者】
【氏名】金澤 優樹
(72)【発明者】
【氏名】為石 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】對馬 陽公
(72)【発明者】
【氏名】武石 海斗
(72)【発明者】
【氏名】中平 憲文
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA33
(57)【要約】
【課題】作業空間を確保しにくく、重機を用いることができない現場でも、軽作業で、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に発生した閉塞を解除することができるコンクリート圧送管の閉塞解除方法を提供すること。
【解決手段】コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管1に閉塞が発生したときに、以下の工程で当該閉塞を解除する。
(A)コンクリートの圧送を停止する工程
(B)コンクリート圧送管1の閉塞箇所2を特定する工程
(C)閉塞箇所2のコンクリート圧送管1に孔を形成する工程
(D)形成した孔からコンクリートの流動性付与剤3を圧入する工程
(E)コンクリートの圧送を再開する工程
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に閉塞が発生したときに、以下の工程で当該閉塞を解除するようにすることを特徴とするコンクリート圧送管の閉塞解除方法。
(A)コンクリートの圧送を停止する工程
(B)コンクリート圧送管の閉塞箇所を特定する工程
(C)閉塞箇所のコンクリート圧送管に孔を形成する工程
(D)形成した孔からコンクリートの流動性付与剤を圧入する工程
(E)コンクリートの圧送を再開する工程
【請求項2】
前記(C)~(E)の工程の少なくとも一つの工程で、コンクリート圧送管の閉塞箇所に打撃又は振動を付加するようにすることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート圧送管の閉塞解除方法。
【請求項3】
前記(D)の工程で、形成した孔を介して閉塞箇所の減圧を行うようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート圧送管の閉塞解除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に閉塞が発生したときに、当該閉塞を解除するためのコンクリート圧送管の閉塞解除方法に関するものである。
【0002】
従来、コンクリートミキサー車が入り込めない場所等へコンクリートを搬送、打設する場合には、その場所までコンクリート圧送管を敷設し、ポンプを用いてコンクリートを圧送するようにしている。
具体的には、例えば、トンネル補修補強工事をトンネルの供用下で実施する場合、道路機能を奏するために必要となる空間及び施設機能を確保した上で、供用中の安全性を確保しながら施工を行うことが求められる。また、シールドトンネル工事や水路トンネル等では、狭隘な空間においての施工が求められる。
このような要請の下で、コンクリートを打設する場合、コンクリートをコンクリート圧送管を介して長距離圧送する必要が生じる。
【0003】
この場合、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に閉塞が発生しないように、従来から種々の対策が提案されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【0004】
しかしながら、種々の対策を施しても、実際の現場においては、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に閉塞が発生することがあり、この場合、以下の工程で当該閉塞を解除するようにしていた。
(a)コンクリートの圧送を停止する工程
(b)コンクリート圧送管の閉塞箇所を特定する工程
(c)閉塞箇所のコンクリート圧送管を取り外す工程
(d)取り外したコンクリート圧送管からコンクリートを取り除く工程
(e)取り外したコンクリート圧送管を取り付ける工程
(f)コンクリートの圧送を再開する工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3274342号公報
【特許文献2】実公昭63-32849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のコンクリート圧送管の閉塞解除方法は、閉塞箇所のコンクリート圧送管を取り外した上で、取り外したコンクリート圧送管からコンクリートを取り除く必要があるため、コンクリートの圧送を再開するまで長時間を要するとともに、作業が重作業となり、作業空間を確保しにくく、重機を用いることができない現場では、作業に困難を来すという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来のコンクリート圧送管の閉塞解除方法の問題点に鑑み、作業空間を確保しにくく、重機を用いることができない現場でも、軽作業で、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に発生した閉塞を解除することができるコンクリート圧送管の閉塞解除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法は、コンクリー
トが圧送されているコンクリート圧送管に閉塞が発生したときに、以下の工程で当該閉塞を解除するようにすることを特徴とする。
(A)コンクリートの圧送を停止する工程
(B)コンクリート圧送管の閉塞箇所を特定する工程
(C)閉塞箇所のコンクリート圧送管に孔を形成する工程
(D)形成した孔からコンクリートの流動性付与剤を圧入する工程
(E)コンクリートの圧送を再開する工程
【0009】
この場合において、前記(C)~(E)の工程の少なくとも一つの工程で、コンクリート圧送管の閉塞箇所に打撃又は振動を付加するようにすることができる。
【0010】
また、前記(D)の工程で、形成した孔を介して閉塞箇所の減圧を行うようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法によれば、軽作業で、かつ、短時間でコンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に発生した閉塞を解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法の一実施例を示す工程説明図(1)である。
図2】同工程説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図2に、本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法の一実施例を示す。
このコンクリート圧送管の閉塞解除方法は、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管1に閉塞が発生したときに、以下の工程で当該閉塞を解除するようにするものである。
(A)コンクリートの圧送を停止する工程
(B)コンクリート圧送管1の閉塞箇所2を特定する工程
(C)閉塞箇所2のコンクリート圧送管1に孔を形成する工程
(D)形成した孔からコンクリートの流動性付与剤3を圧入する工程
(E)コンクリートの圧送を再開する工程
【0015】
ここで、(B)の工程において、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2を特定には、図1(1)に示すように、打音等の従来汎用されている任意の方法を採用することができる。
【0016】
(C)の工程において、閉塞箇所2のコンクリート圧送管1に孔を形成するために、図1(2)に示すように、コンクリート圧送管1の孔を形成する箇所に、穿孔機4を取り付けるための穿孔用ホルダ41をクランプ部材42を用いて固定するようにする。
穿孔用ホルダ41は、コンクリート圧送管1の孔の周囲に気密用パッキン43を介在することで、気密状態を維持して取り付けるようにする。
次に、図1(3)に示すように、穿孔用ホルダ41に穿孔機4を取り付け、図2(4)に示すように、閉塞箇所2のコンクリート圧送管1に、穿孔機4のドリルで、φ15~40mm程度(本実施例においては、φ25mm。)の孔を形成するようにする。
この場合、形成する孔の個数は、閉塞の大きさや閉塞度合い等に応じて、1個乃至複数個とすることができる。
【0017】
(D)の工程において、図2(5)に示すように、穿孔機4のドリルを引き上げ、形成した孔からコンクリートの流動性付与剤3を圧入するようにする。
このコンクリートの流動性付与剤3には、閉塞箇所2のコンクリートに流動性を付与して、ビンガム流体に蘇生する種々の材料を用いることができるが、コンクリートの性状に悪影響を及ぼさない、セメントミルクのほか、高性能AE減水剤(ポリカルボン酸系、ナフタリン系、アミノスルホン酸系、メラミン系)等のコンクリート混和剤を好適に用いることができる。
これにより、コンクリート圧送管1の閉塞を解除した後に、コンクリート圧送管1を洗浄等することなく、そのまま工事を続行することができる。
【0018】
(D)の工程によって、閉塞箇所2のコンクリートに流動性を付与した後、(E)の工程で、コンクリートの圧送を再開することで、コンクリート圧送管1の閉塞を解除することができる。
【0019】
この場合において、(C)~(E)の工程の少なくとも一つの工程で、好ましくは、各工程で、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2に打撃又は振動を付加するようにすることができる。
この打撃又は振動を付加は、作業者がハンマを用いて打撃する方法等、任意の方法を採用することができるが、本実施例においては、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2の近傍に振動モータ5を取り付け、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2に振動を付加するようにしている。
これにより、(C)の工程では、穿孔機4のドリルで、閉塞箇所2のコンクリート圧送管1に孔を形成する際に、コンクリートの閉塞を崩壊(コンクリートの骨材の圧密状態を破壊)させる作用を補助することができ、(D)の工程では、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2へのコンクリートの流動性付与剤3の圧入、浸透を促進させることができ、(E)の工程では、コンクリート圧送管1の閉塞の解除を促進させることができる。
【0020】
また、(D)の工程で、形成した孔を介して閉塞箇所2の減圧を行うことができる。
この閉塞箇所2の減圧は、穿孔用ホルダ41に形成した分岐部を介して、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2の空気を吸引する(例えば、コンプレッサの圧縮空気をエジェクタ式負圧発生器に供給することで負圧を発生させ、これにより吸引力を発生するようにすることができる。)ことで行うようにする。
これにより、コンクリート圧送管1の閉塞箇所2へのコンクリートの流動性付与剤3の圧入、浸透を促進させることができる。
【0021】
そして、(E)の工程で、コンクリートの圧送を再開することで、コンクリート圧送管1の閉塞を解除することができた場合は、コンクリート圧送管1に装着していた穿孔機4、振動モータ5等の機材を取り外し、コンクリート圧送管1に形成した孔を、プラグやステンレステープを用いて塞ぐようにする。
【0022】
なお、(E)の工程で、コンクリートの圧送を再開することで、コンクリート圧送管1の閉塞を解除することができない場合は、(A)~(E)の工程を、繰り返したり、範囲を拡大したり、範囲を変えて実施するようにする。
【0023】
このコンクリート圧送管の閉塞解除方法によれば、軽作業で、かつ、短時間でコンクリートが圧送されているコンクリート圧送管1に発生した閉塞を解除することができる。
【0024】
以上、本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸
脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のコンクリート圧送管の閉塞解除方法は、作業空間を確保しにくく、重機を用いることができない現場でも、軽作業で、コンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に発生した閉塞を解除することができることから、トンネル補修補強工事やシールドトンネル工事等においてコンクリートが圧送されているコンクリート圧送管に閉塞が発生したときに、当該閉塞を解除するために広く用いることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 コンクリート圧送管
2 閉塞箇所
3 コンクリートの流動性付与剤
4 穿孔機
41 穿孔用ホルダ
42 クランプ部材
43 気密用パッキン
5 振動モータ
図1
図2