(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173943
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20231130BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20231130BHJP
E04B 2/56 20060101ALI20231130BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
E04B1/64 B
E04F13/08 101X
E04F13/08 101Y
E04B2/56 603B
E06B1/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086513
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】390018463
【氏名又は名称】アイジー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤淳二
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
2E011
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DA02
2E001DA03
2E001DA06
2E001EA05
2E001EA08
2E001FA04
2E001FA09
2E001FA32
2E001FA51
2E001GA12
2E001GA13
2E001GA24
2E001HB01
2E001HF01
2E001HF02
2E001KA01
2E001LA01
2E001LA04
2E001MA02
2E001MA03
2E001MA04
2E001MA06
2E002EC02
2E002FB02
2E002FB08
2E002GA01
2E002GA02
2E002MA23
2E011LA02
2E011LB02
2E011LC03
2E011LD01
2E011LE13
2E110AA13
2E110AA14
2E110AA15
2E110AA18
2E110AB15
2E110AB22
2E110DD02
2E110DD03
2E110EA06
2E110GA33W
2E110GA33Z
2E110GA44Z
2E110GB01W
2E110GB01X
2E110GB01Z
2E110GB02W
2E110GB05W
2E110GB06W
2E110GB07W
2E110GB23W
2E110GB26W
2E110GB42Z
2E110GB43Z
2E110GB46Z
2E110GB54Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部間から壁下地への雨水の浸入を防止する乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造に関するものである。
【解決手段】建築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部の雨仕舞い構造において、垂直平面状の固定面と、長尺状の捨板と、垂直平面状の固定片と、側片と、化粧片とから形成した止縁と、流水部材を使用し、開口部の上面上にはシーリングを介して捨板が載置、固定され、開口部の下面に隙間を介して止縁が固定され、開口部の両側面に隙間を介して止縁が固定され、開口部の上面に隙間を介して排水孔を形成した止縁が固定され、開口部の両側に形成された止縁の下端の固定片に流水部材の防水部を固定し、開口部に合わせて乾式壁材が開口部の止縁を介して施工され、開口部と止縁間の隙間にシーリングが形成されると共に、開口部の上面部分にはシーリングを形成しない隙開を形成した。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部の雨仕舞い構造において、垂直平面状の固定面と、該固定面の下端を屋外側へ折り返して防水片とから断面略L字状に形成した長尺状の捨板と、垂直平面状の固定片と、該固定片の一端を略90度で折り返した側片と、該側片の先端を固定片と略平行に突出した化粧片とから形成した止縁と、断面L字状の防水部と、下端部に屋外側に突出した断面樋状の流水部よりなる流水部材を使用し、開口部の上面上には連続状でシーリングが形成され、該シーリングを介して捨板の防水面が載置されて固定され、開口部の下面に隙間を介して化粧片の先端部分を部分的に切除した切り欠きを形成した止縁が固定され、開口部の両側面に隙間を介して止縁が固定され、開口部の上面に隙間を介して下面となる側片を部分的に切除して排水孔を形成した止縁が固定され、開口部の両側に形成された止縁の下端の固定片に流水部材の防水部を固定し、開口部に合わせて切断加工された乾式壁材が開口部の止縁を介して施工され、開口部と止縁間の隙間にシーリングが形成されると共に、開口部の上面部分にはシーリングを形成しない隙間を形成したことを特徴とする乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部間から壁下地への雨水の浸入を防止する乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に金属板を表面材とし、合成樹脂発泡体を芯材とし、シート状物を裏面材としたサンドイッチ構造の乾式壁材、あるいは無機系の材料からなる乾式壁材を用いて壁体を形成した場合には、乾式壁材の端部とサッシなどの開口部間に突き合わせにより隙間が形成され、隙間にコーキング材を植設、コ字状断面止縁、L字状の水切りを介して納める方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-179872号公報
【特許文献2】特開2021-031998号公報
【特許文献3】特開2018-031185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、引用文献1、2は隙間にバックアップ剤、目地材を隙間に充填する構造で、材料の劣化による漏水が避けられなかった。また、引用文献3は引用文献1の構造の裏面側(サッシの上部)に排水用部材を形成しているが、サッシ側面に流れた雨水が側面側から壁下地内に浸入する危険があった。
【0005】
本発明はこのような欠点を解決するために、建築、構築物に用いる乾式壁材とサッシなどの開口部の雨仕舞い構造において、垂直平面状の固定面と、該固定面の下端を屋外側へ折り返して防水片とから断面略L字状に形成した長尺状の捨板と、垂直平面状の固定片と、該固定片の一端を略90度で折り返した側片と、該側片の先端を固定片と略平行に突出した化粧片とから形成した止縁と、断面L字状の防水部と、下端部に屋外側に突出した断面樋状の流水部よりなる流水部材を使用し、開口部の上面上には連続状でシーリングが形成され、該シーリングを介して捨板の防水面が載置されて固定され、開口部の下面に隙間を介して化粧片の先端部分を部分的に切除した切り欠きを形成した止縁が固定され、開口部の両側面に隙間を介して止縁が固定され、開口部の上面に隙間を介して下面となる側片を部分的に切除して排水孔を形成した止縁が固定され、開口部の両側に形成された止縁の下端の固定片に流水部材の防水部を固定し、開口部に合わせて切断加工された乾式壁材が開口部の止縁を介して施工され、開口部と止縁間の隙間にシーリングが形成されると共に、開口部の上面部分にはシーリングを形成しない隙間を形成した乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る乾式壁材と開口部の雨仕舞い構造(以下単に、雨仕舞構造という)によれば、(1)開口部上面の止縁に排水孔を形成し、開口部上面に隙間を形成したために、乾式壁材の表面から流れてくる雨水を速やかに外部へ排水出来る。(2)開口部下部の止縁に切り欠きを複数個形成したために、風雨により外圧が大きくなっても、止縁内の内圧も大きくなるために、雨水が内部に浸入しにくくなる。(3)流水部材の形成により、万が一に内部に浸入した雨水を速やかに外部に排水できる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一の実施例を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序一の実施例を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図5】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図6】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する流水部材の一実施例を示す展開図である。
【
図7】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する流水部材の成形順序を示す説明図である。
【
図8】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する流水部材の成形順序を示す説明図である。
【
図9】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する流水部材の断面を示す説明図である。
【
図10】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する流水部材の斜視図である。
【
図11】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図12】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図13】本発明に係る雨仕舞い構造に使用する乾式壁材の一実施例を示す断面図と施工状態を示す断面図である。
【
図14】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図15】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図16】本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序の一実施例を示す斜視図である。
【
図17】本発明に係る雨仕舞い構造の施工状態を示す斜視図である。
【
図18】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分に使用する敷目板のその他の実施例を示す断面図である。
【
図19】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分に使用する化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
【
図20】本発明に係る雨仕舞い構造の一般部分に使用する化粧キャップのその他の実施例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0008】
以下に図面を用いて本発明に係る雨仕舞い構造の代表的な実施例について詳細に説明する。
図1~
図5、
図10、
図11、
図12、
図13~
図16は本発明に係る雨仕舞い構造の施工順序を説明するための説明図である。
図1に示すように、壁下地α、サッシなどの開口部Kからなる構造である。また、図示しないが防水性を図るために壁下地α上には防水シートが施設されている。
【0009】
まず、
図1に示すように開口部Kの上面K2の上部に連続状にシーリングSを施工する。その後矢印aに示すように捨板Tを
図2に示すように施工する。なお、捨板Tは固定面1、防水面2からなるものである。なお、シーリング材Sはシリコーン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系などよりなるコーキング材、あるいはエチレンプロピレンゴム(EPDM)などよりなるものである。
【0010】
捨板Tの施工が完了したら、
図2に示すような固定片3、側片4、化粧片5、固定片3と側片4と化粧片5からなる空間6とからなる止縁Xを開口部Kの側面K1、上面X2、下面X3に施工する。その際に、
図2に示すように止縁Xには化粧片5部分を切り欠き、側片4を90度で折り返した挿入片X1を形成し、挿入片X1を止縁Xの空間6に挿入するようにして
図3、
図4に示すように開口部Kの周りに止縁Xを固定する。勿論、固定際には釘、スクリュービス等の固定具βを使用するものである。
【0011】
下面K2に施工する止縁Xには
図2にて拡大部分bに示すように化粧片5部分を一定間隔で切除した切り欠きX2を形成するものである。この切り欠きX2は、施工後に下面K3部分に形成した止縁Xの空間6内の内圧を外圧と同程度にし、雨水の内部への浸入を阻止するものである。また、上面K2に施工する止縁Xには
図2に示すように側片4に一定間隔で切除した排水孔4aを形成するものである。
【0012】
止縁Xの施工は、まず、下面K3の下部に10mmの隙間Bを設けて止縁Xを固定する。その後側面K2の側面に10mmの隙間Bを設けて止縁Xを固定する。最後に、
図5に示すように、上面K1の上面に10mmの隙間Bを設けて止縁Xを固定するものである。なお、
図4に示すように止縁Xの施工前にシーリングSを形成し、捨板Tと止縁Xの裏面間からの雨水の横走りを防止するものである。
【0013】
流水部材Cは
図6(a)、(b)~
図10(a)、(b)に示すような金属製板材からなる薄板を折り曲げ加工を施して形成した内部に浸入した雨水を外部へ排水するために形成した下部に樋状の流水口22を形成した部材である。
【0014】
流水部材Cは
図11に示すように、開口部Kの両端下部の敷目板K1上に施工され、内部に浸入した雨水などを乾式壁材Aの表面側に流下させるためのものである。
【0015】
流水部材Cの切り抜き切断された平面図は
図6(a)、(b)に示すようなものであり、
図6(a)は開口部Kの右側に、
図6(b)は開口部Kの左側に形成されるものである。点線は切断線、点線は90度で折り返されて立ち上がる線、一点鎖線は180度で折り替えされる線である。
【0016】
流水部材Cは、固定部14、固定孔14a、舌片15、舌片16、立ち上がり片17、側面18、側面19、側面20、底面21、流水口22とから形成されるものである。
【0017】
次に、流水部材Cの加工方法について説明する。
図7(a)、(b)に示すように舌片15、16を180度で折り曲げる。
【0018】
次に、流水部材Cの加工方法について説明する。
図8(a)に示すように立ち上がり片17を90折り曲げる。その後、
図8(b)に示すように側面18、側面19、側面20を一点鎖線に沿って90度で折り曲げる。なお、
図8(a)、(b)は開口部Kの右側の流水部材Cのみを図示しているが、左側の流水部材Cも同様に加工するものである。
【0019】
また、
図9(a)は
図8(a)のa-a線断面図、
図9(b)は
図8(a)のb-b線断面図、
図9(c)は
図8(a)のc-c線断面図、
図9(d)は
図8(b)のd-d線断面図である。
図10(a)、(b)は流水部材Cの斜視図である。
【0020】
流水部材Cは
図10(a)、(b)に示すように、断面L字状の防水部C1と、下端部に屋外側に突出した断面樋状の流水部C2より形成され、防水部C1により集められた内部に浸入した雨水を流水部C2により外部に流下させるものである。
【0021】
流水部材Cは
図11に示すように、開口部Kの両側に形成された止縁Xの下端部に固定具βにより固定されるものである。
【0022】
流水部材Cの施工が完了したら、
図11に示すようにパッキンPを形成し防水性を向上するものである。また、固定部14の上端部、立ち上がり片17の上端部、舌片15と舌片16の側面部にパッキンPを形成するものである。勿論、パッキンPの代わりにシーリングSを形成しても良い。
【0023】
図11に示すように、流水部材C、パッキンP、シーリングSの施工が完了したら、
図13(a)に示すような長尺状の乾式壁材Aを
図13、
図14に示すように乾式壁材Aを加工して開口部Kの上下左右に止縁Xを介して施工する。その際には、
図15に示すように止縁X間のコーナー部分の乾式壁材Aの表面から固定具βにより4カ所を固定するものである。勿論、固定具βの部分はシーリングSにて埋設し防水性を図るものである。
【0024】
乾式壁材Aの一例としては、
図13(a)に乾式壁材Aの断面図、
図13(b)に施工状態断面図を示すように、金属製の薄板からなる金属製表面材8と裏面材9間に芯材10をサンドイッチし、幅方向の下端に形成した凹部11と、上端に形成した凸部12、凸部12の裏面を上方に折り返して形成した上端凹部12aと固定部13とから形成した長尺状のサンドイッチパネルである。
【0025】
なお、Pは防水性、防風性、気密性、断熱性強化のために形成したパッキンである。
【0026】
乾式壁材A同士は、凸部12に凹部11が連結されることにより、
図13(b)に示すように固定具βにより壁下地α上に固定されるものである。
【0027】
乾式壁材Aは金属系サイディング材、あるいは窯業系サイディング材、セラミック、等より成形したものであり、その一例としての金属系サイディング材としては、金属製表面材8は金属薄板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ホーロー鋼板、クラッド鋼板、ラミネート鋼板(塩ビ鋼板等)、サンドイッチ鋼板(制振鋼板等)、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板を含む)の一種をエンボスロール成形、あるいはプレス成形したものである。また、裏面材9としてはアルミニウム蒸着紙、クラフト紙、アスファルトフェルト、金属箔(Al、Fe、Pb、Cu)、合成樹脂シート、ゴムシート、布シート、石膏紙、水酸化アルミ紙、ガラス繊維不織布等の1種、または2種以上をラミネートしたもの、あるいは防水処理、難燃処理されたシート状物からなるものでも良いものである。
【0028】
芯材3は例えばポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム、ユリアフォーム等、の合成樹脂発泡体からなるものであり、金属製表面材1、もしくは裏面材2の裏面側に吐出し、加熱して反応・発泡・硬化させて金属製表面材1と裏面材2を一体に形成するものである。また、芯材3中には各種難燃材として軽量骨材(パーライト粒、ガラスビーズ、石膏スラグ、タルク石、シラスバルーン、水酸化アルミニウム等)、繊維状物(グラスウール、ロックウール、カーボン繊維、グラファイト等)を混在させ、耐火性、防火性を向上させることも出来る。
【0029】
開口部K部分への乾式壁材Aの施工が完了したら、
図15、
図16に示すようにシーリングSを介して止縁Xのコーナー部分に止縁コーナーキャップHを施工する。
【0030】
乾式壁材Aと止縁コーナーキャップHの施工が完了したら、
図16に示すように開口部Kと止縁X間の隙間BにシーリングSを施工する。その際には、上面K2と止縁X間の隙間B部分にはシーリングSを施工しない部分を設け、隙間Bより止縁X内に浸入した雨水を上面K2に形成した止縁Xの排水孔4aより隙間Bを介して排出出来るように形成するものである。
【0031】
また、
図17に示すように一般部分の縦目地に乾式壁材Aを施工する際には、乾式壁材Aの嵌合部分の固定部13部分~止縁Xの固定片3間に掛けてシーリングSを施工し防水性を強化するものである。
【0032】
なお、
図18(a)~(c)~
図20(a)~(c)は一般部に使用する止縁、出隅、入隅として使用する敷目板M1、化粧キャップM2を示す説明図である。