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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173955
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】カウルトップカバー
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20231130BHJP
   B60S 1/04 20060101ALN20231130BHJP
【FI】
B62D25/08 H
B60S1/04 730
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086527
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良輔
【テーマコード(参考)】
3D203
3D225
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB38
3D203DA19
3D203DA37
3D203DA38
3D203DA68
3D225AA01
3D225AC01
3D225AD02
3D225AE03
(57)【要約】
【課題】車体への取り付け作業性が良好で、ワイパー装置の装置本体部側への液体の浸入を防止又は抑制可能なカウルトップカバーを提供する。
【解決手段】本発明のカウルトップカバー(10)は、ワイパー装置の少なくとも一部を覆うように配されるカバー本体部(11)を有し、前記カバー本体部(11)は、前記ワイパー装置の一部を挿通させる少なくとも1つの挿通孔(13)と、前記挿通孔(13)を囲むように配されるとともに弾性変形可能に形成される開口周縁部(20)とを有し、前記開口周縁部(20)は、前記ワイパー装置に当接する当接部(24)を有し、前記開口周縁部(20)に、前記カバー本体部(11)の裏面側に液体を排出する少なくとも1つの排水部が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントウインドシールドの前側に配されるカウルトップカバーであって、
ワイパー装置の少なくとも一部を覆うように配されるカバー本体部を有し、
前記カバー本体部は、前記ワイパー装置の一部を挿通させる少なくとも1つの挿通孔と、前記挿通孔を囲むように配されるとともに弾性変形可能に形成される開口周縁部とを有し、
前記開口周縁部は、前記ワイパー装置に当接する当接部を有し、
前記開口周縁部に、前記カバー本体部の裏面側に液体を排出する少なくとも1つの排水部が設けられている
ことを特徴とするカウルトップカバー。
【請求項2】
前記開口周縁部に、前記挿通孔から延びる複数の分離部が設けられ、
前記開口周縁部は、前記分離部によって分割される複数の弾性片部を有し、
前記排水部は、前記分離部により形成される
請求項1記載のカウルトップカバー。
【請求項3】
前記挿通孔は、円形に形成され、
前記開口周縁部の少なくとも一部は、前記挿通孔の周方向に直交する断面を見たときに略U字状に曲がって形成されている
請求項1又は2記載のカウルトップカバー。
【請求項4】
前記開口周縁部は、前記当接部の裏面から突出する少なくとも1つのガイドリブを有し、
前記ガイドリブは、前記挿通孔に前記ワイパー装置を挿通させる挿通方向に対し、前記開口周縁部の裏面側の空間を前記挿通孔に向けて狭くするように傾斜する傾斜部を有する
請求項1又は2記載のカウルトップカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のカウルトップカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、一般的に、フロントウインドシールドの雨水等を拭き取るワイパー装置が搭載されている。ワイパー装置では、電動モーター等を備える装置本体部にピボット軸部が接続されており、また、そのピボット軸部には、フロントウインドシールド上を揺動するワイパー部材が取り付けられている。
【0003】
また、自動車のフロントウインドシールドと、エンジンルームを覆うフロントフードとの間にはカウルトップカバーが配されており、このカウルトップカバーによって、ワイパー装置の装置本体部の少なくとも一部が覆われている。更に、カウルトップカバーには、ワイパー装置のピボット軸部を挿通させるための挿通穴が形成されている。例えば特開2013-230711号公報(特許文献1)には、ピボット軸部を挿通させる挿通穴の周辺部の構造に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-230711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている構造では、ワイパー装置のピボット軸部を、カウルトップカバーに設けた挿通穴に挿通させている。更に特許文献1では、ピボット軸部とカウルトップカバーとの間に、ワイパー装置及びカウルトップカバーの加工寸法精度や取り付け作業性等を考慮して隙間が設定されている。
【0006】
上述のようにピボット軸部とカウルトップカバーとの間の隙間が設けられる場合、通常、その隙間から雨水等の液体がワイパー装置の装置本体部側に浸入することを防ぐため、カウルトップカバーの挿通穴の下側に、雨水等の液体を受け入れるためのカップ形状を備えたカバー部材が設置されることがある。
【0007】
また、例えばフロントウインドシールド側から雨水等がカウルトップカバーの挿通穴に流入した場合、上記のようなカップ形状のカバー部材では受けきれずにカバー部材から液体が溢れ出す可能性がある。このため、従来では、カップ形状のカバー部材を設置する場合でも、ワイパー装置の装置本体部側への液体の浸入を安定して防止するために、液体の浸入を阻止するシール材が、カウルトップカバー裏面側の所要部位に取り付けられていた。しかし、カウルトップカバーの挿通穴の周辺部に、上述のようなカバー部材とシール材とを設置する場合、製造コストの増大や、取り付け作業性の低下を招いていた。
【0008】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、車体への取り付け作業性が良好で、ワイパー装置の装置本体部側に雨水等の液体が浸入することを防止することが可能なカウルトップカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明により提供されるカウルトップカバーは、フロントウインドシールドの前側に配されるカウルトップカバーであって、ワイパー装置の少なくとも一部を覆うように配されるカバー本体部を有し、前記カバー本体部は、前記ワイパー装置の一部を挿通させる少なくとも1つの挿通孔と、前記挿通孔を囲むように配されるとともに弾性変形可能に形成される開口周縁部とを有し、前記開口周縁部は、前記ワイパー装置に当接する当接部を有し、前記開口周縁部に、前記カバー本体部の裏面側に液体を排出する少なくとも1つの排水部が設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明のカウルトップカバーにおいて、前記開口周縁部に、前記挿通孔から延びる複数の分離部が設けられ、前記開口周縁部は、前記分離部によって分割される複数の弾性片部を有し、前記排水部は、前記分離部により形成されることが好ましい。
【0011】
また、前記挿通孔は、円形に形成され、前記開口周縁部の少なくとも一部は、前記挿通孔の周方向に直交する断面を見たときに略U字状に曲がって形成されていることが好ましい。
【0012】
更に、前記開口周縁部は、前記当接部の裏面から突出する少なくとも1つのガイドリブを有し、前記ガイドリブは、前記挿通孔に前記ワイパー装置を挿通させる挿通方向に対し、前記開口周縁部の裏面側の空間を前記挿通孔に向けて狭くするように傾斜する傾斜部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカウルトップカバーによれば、シール材の設置を不要にして車体への良好な取り付け作業性を得ることができ、また、ワイパー装置の装置本体部側に雨水等の液体が浸入することを安定して防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係るカウルトップカバーとフロントウインドシールドの一部とを模式的に示す平面図である。
図2図1に示したカウルトップカバーの要部を模式的に示す斜視図である。
図3】カウルトップカバーの開口周縁部とワイパー装置のピボット軸部とを模式的に示す断面図である。
図4】ワイパー装置のピボット軸部にカウルトップカバーを取り付けるときの位置関係を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
例えば、カウルトップカバーの全体形状及び車体に対する取り付け位置等は、特に限定されるものではなく、車両の形状等に応じて変更することが可能である。
【実施例0016】
図1は、本実施例に係るカウルトップカバーとフロントウインドシールドの一部とを模式的に示す平面図であり、図2は、カウルトップカバーの要部を模式的に示す斜視図である。図3は、カウルトップカバーの開口周縁部とワイパー装置のピボット軸部とを模式的に示す断面図である。なお、図1では、ワイパー装置の図示が省略されている。図2及び図3では、ワイパー装置の一部(後述するピボット軸部)を図示するものの、その他の部分の図示が省略されている。
【0017】
また、以下の説明において、前後方向とは、自動車(車両)の車長方向に沿った方向であり、自動車が前進する方向を前方とし、後退する方向を後方とする。左右方向とは、自動車の車幅方向に沿った方向であり、運転者が前方を向いたときの左側及び右側の方向を、それぞれ左方及び右方とする。上下方向とは、自動車の車高方向に沿った方向であり、自動車に対して地面側の方向を下方とし、その反対側の方向を上方とする。
【0018】
本実施例の自動車には、フロントウインドシールド(フロントガラス)1が車室の前方に配されている。また、図示しないフロントフード(ボンネットフード)が、車体前部に配置されるエンジンルームを上方から覆うようにして開閉可能に設けられている。更に、フロントウインドシールド1の雨水等を拭き取るためのワイパー装置が自動車に搭載されている。
【0019】
ワイパー装置は、電動モーター等を備える図示しない装置本体部と、装置本体部に接続される2つのピボット軸部5と、それぞれのピボット軸部5に取り付けられるとともにフロントウインドシールド1上を揺動する図示しない2つのワイパー部材とを有する。本実施例において、ワイパー装置の各ピボット軸部5は、前方上側に傾斜する方向に沿って直線状に配されている。
【0020】
本実施例のカウルトップカバー10は、フロントウインドシールド1とフロントフードとの間に挟まれる領域(例えば、カウル部)を覆うように、車体に取り付けられている。このカウルトップカバー10は、ポリプロピレン等の硬質の熱可塑性樹脂により形成されており、また、後述するようにカウルトップカバー10の一部が弾性変形可能なように適度な弾性を備えている。なお本発明において、カウルトップカバーの材質は特に限定されない。また、カウルトップカバーを車体に取り付ける取付構造も特に限定されず、一般的に知られている従来の取付構造を採用可能である。
【0021】
本実施例のカウルトップカバー10は、フロントウインドシールド1の前端部から前側に向けて延びるカバー本体部11を有する。このカバー本体部11は、車幅方向に沿うように左右方向に長く形成されており、ワイパー装置の図示しない装置本体部の少なくとも一部を覆っている。
【0022】
カバー本体部11は、外部に露呈する薄板状の外板部12と、ワイパー装置のピボット軸部5を挿通させる2つの挿通孔13と、各挿通孔13の周りに設けられる開口周縁部20とを少なくとも有する(図1を参照)。なお本発明において、カバー本体部に設ける挿通孔の設置数は特に限定されず、カバー本体部に1つの挿通孔が形成されていてもよく、又は3つ以上の複数の挿通孔が形成されていてもよい。
【0023】
また本実施例において、カバー本体部11の開口周縁部20の下方には、カバー体7が設置されている(図3を参照)。このカバー体7によって、開口周縁部20の後述するスリット部30を通過して排水された雨水等の液体が、ワイパー装置の装置本体部に浸入することを防ぐとともに、車体外に排出可能に形成されている。なお本発明において、カバー体7の形状及び構造は特に限定されるものではなく、また、カバー体の設置が省略されてもよい。
【0024】
カバー本体部11の2つの挿通孔13は、それぞれ、カバー本体部11の表面から裏面まで貫通している。各挿通孔13は、ピボット軸部5が挿通されていない状態において、ピボット軸部5の挿通方向6の一方側(カバー本体部11の表面側)又は他方側(カバー本体部11の裏面側)から見たときに、円形の形状を有する。また、挿通孔13は、ピボット軸部5が挿通孔13に挿通されたときにピボット軸部5の挿通孔13に対応する部分の直径よりも少し小さな直径を有するように形成されている。
【0025】
開口周縁部20は、挿通孔13の周りに設けられるとともに、外板部12に対してカバー本体部11の裏面側に窪んだ形状に形成されている。2つの開口周縁部20は、カバー本体部11の外板部12に一体的に形成されており、これらの開口周縁部20は、カバー本体部11に対して、別体に形成されて後から取り付けられたものではなく、同じ合成樹脂を用いて成形される継ぎ目(境界)のない単一の成形体として形成されている。
【0026】
本実施例の開口周縁部20は、2つの挿通孔13のそれぞれに対して1つずつ設けられており、右側の挿通孔13を囲んで形成される第1開口周縁部20aと、左側の挿通孔13を囲んで形成される第2開口周縁部20bとを有する。本実施例の第1開口周縁部20aと第2開口周縁部20bとは、互いに実質的に同じ形状及び構造を有する。このため、以下では、第1開口周縁部20aについて主に説明し、第2開口周縁部20bについては、冗長を避けるためにその詳細な説明を省略する。
【0027】
本実施例の開口周縁部20(第1開口周縁部20a)は、図2に示すように、ピボット軸部5を囲むとともにカバー本体部11に接続する外側周壁部(第1壁部)21と、外側周壁部21の下端部から内側に向けて延びる底面部22と、底面部22の内周側端部から立ち上がって外側周壁部21に対向するように形成される内壁部(第2壁部)23と、内壁部23の上端部から曲がって連続的に延びる当接部24と、当接部24の裏面から突出する複数のガイドリブ25とを有する。
【0028】
また、開口周縁部20には、円形の挿通孔13から径方向の外側に向けて切り込まれたように延びる4つのスリット部30が設けられている。各スリット部30は、挿通孔13から、底面部22及び外側周壁部21間の境界部まで形成されており、開口周縁部20における当接部24、内壁部23、及び底面部22を4つに分割する分離部を形成している。
【0029】
本実施例の各スリット部30は、カバー本体部11の裏面側に雨水等の液体を排出可能な排水部として機能するように設けられており、例えば開口周縁部20内に雨水等の液体が多く流れ込んだときに、開口周縁部20内に液体を貯めると同時に開口周縁部20内に溜まった液体を排水可能な大きさ(スリット幅)で形成されている。なお本発明では、開口周縁部20における液体の排水部として、スリット部30の代わりに、又はスリット部30と共に、例えば挿通孔13よりも開口面積が小さい小孔部が開口周縁部20に設けられていてもよい。
【0030】
開口周縁部20の外側周壁部21は、外板部12から曲がって下方(外板部12の裏面側)に向けて延びている。この外側周壁部21の外壁面は、挿通孔13に挿通するピボット軸部5側に向くように配され、また、そのピボット軸部5を360度囲むように、切れ目も大きな凹凸もない連続する湾曲面により形成されている。なお、外側周壁部21の外壁面は、カバー本体部11の裏側の面ではなく、外部に露呈する外側の面を示している。
【0031】
開口周縁部20の底面部22は、外側周壁部21の下端部から連続的に形成されている。また、底面部22は、挿通孔13の周方向に直交する開口周縁部20の断面を見たときに(図3を参照)、下方に向けて凸状に湾曲する円弧状又は略円弧状の湾曲部に形成されている。開口周縁部20の内壁部23は、底面部22から上側に延びるように連続して形成されている。
【0032】
開口周縁部20の当接部24は、内壁部23の上端部から略90°に内側に向けて折れ曲がって延びるように形成されている。当接部24は、ピボット軸部5が挿通孔13に挿通されたときに、ピボット軸部5の挿通孔13に挿通している部分の外周面に当接する。なお、本実施例の当接部24は、内壁部23の上端部から内側に折れ曲がって形成されているが、本発明において、当接部は、ピボット軸部の外周面に当接可能に形成されていればよく、例えば内壁部からまっすぐに連続的に延びるように形成されることによって、内壁部の先端部に一体的に設けられていてもよい。
【0033】
開口周縁部20における外側周壁部21、底面部22、内壁部23、及び当接部24は、スリット部30を除いて、挿通孔13を取り囲むように挿通孔13の全周に亘って設けられている。また、外側周壁部21、底面部22、及び内壁部23は、挿通孔13の周方向に直交する断面を見たときに、略U字状に曲がって連続的に形成されている。
【0034】
開口周縁部20の当接部24の裏面(下面)には、複数のガイドリブ25が設けられている。複数のガイドリブ25は、それぞれ、当接部24の裏面から下方に向けて突出する板状に形成されており、また、挿通孔13の周方向に互いに離間して設けられている。例えば本実施例では、4つのガイドリブ25が、前記周方向で隣り合う2つのスリット部30間にそれぞれ配されている。
【0035】
各ガイドリブ25は、当接部24と内壁部23の一部(上端部分)とに連結して一体的に形成されている。このようなガイドリブ25が設けられていることにより、開口周縁部20における挿通孔13の近傍部分の強度(すなわち、当接部24と内壁部23の上端部分の強度)を高めることができる。これによって、開口周縁部20の当接部24をピボット軸部5の外周面に安定して当接させることができる。
【0036】
また、各ガイドリブ25は、ピボット軸部5を挿通孔13に挿通させる挿通方向6に対し、開口周縁部20の裏面側の空間部分を挿通孔13に向けて狭くするように傾斜する傾斜部25aを有する。このような傾斜部25aがガイドリブ25に設けられていることにより、例えばカウルトップカバー10を車体に取り付ける作業において、図4に示すようにカバー本体部11をワイパー装置のピボット軸部5に近付けて、ピボット軸部5をカウルトップカバー10の裏面側から挿通孔13に挿入するときに、複数のガイドリブ25によってピボット軸部5を挿通孔13に向けて案内できる。このため、ピボット軸部5を挿通孔13に円滑に挿し込んで、ピボット軸部5の一部をカバー本体部11の表面(上面)側に突出させることができる(図3を参照)。
【0037】
本実施例の開口周縁部20では、上述したように、外側周壁部21、底面部22、及び内壁部23が略U字状に曲がっており、且つ、開口周縁部20の当接部24、内壁部23、及び底面部22がスリット部(分離部)30によって4つに分割されている。これにより、本実施例の開口周縁部20には、内壁部23と底面部22とによって、弾性変形可能な4つの弾性片部31が形成されている。
【0038】
このような弾性片部31(すなわち、内壁部23及び底面部22)が形成されていることにより、開口周縁部20の当接部24が例えばピボット軸部5に当接してピボット軸部5によって径方向の外側に向けて押されたときに、内壁部23が外側周壁部21に近付く方向に撓む(弾性変形する)ことができる。
【0039】
このような弾性片部31の撓みによって、当接部24をピボット軸部5に追従させるように容易に移動させることができるため、カウルトップカバー10を車体に取り付けるときにピボット軸部5を挿通孔13に容易に挿入することができる。このため、カウルトップカバー10の取付作業性を向上させることができる。更に、弾性片部31が撓むことによって、当接部24がピボット軸部5に当接した状態を安定して維持できる。従って、例えばピボット軸部5が前後左右に移動したとしても、弾性片部31(内壁部23及び底面部22)の弾性変形によって当接部24とピボット軸部5との当接状態が維持されるため、当接部24とピボット軸部5との間に隙間が形成されることを防止又は抑制できる。
【0040】
以上のような本実施例のカウルトップカバー10では、例えば雨水又は洗車時に使用する水等の液体が、フロントウインドシールド1側からカウルトップカバー10に設けた窪んだ形状の開口周縁部20に流入しても、その液体を開口周縁部20に設けた細いスリット部30から適切な流量で排水できる。これにより、例えば開口周縁部20に液体が強く流れ込んだとしても、開口周縁部20のスリット部30から液体を勢いが弱められた状態で排水でき、また、そのスリット部30を通過した液体は、カウルトップカバー10の裏面側に設けた構造を利用して車体外に円滑に排出できる。
【0041】
従って、本実施例のカウルトップカバー10によれば、例えば液体が溢れ出ることによってワイパー装置の装置本体部側に浸入するという従来の問題を、液体の浸入を阻止するシール材を設置することなく、カウルトップカバー10に一体化された比較的簡単な構造の開口周縁部20によって解消できる。またそれによって、製造コストを削減できる。更に、本実施例の開口周縁部20には、挿通孔13を除いて、4つの細いスリット部30しか開口していないため、枯葉等のゴミがカウルトップカバー10の裏面側に落下すること(入り込むこと)を防止できる。
【0042】
また本実施例のカウルトップカバー10によれば、上述したようにピボット軸部5を挿通孔13に挿入し易くでき、また、シール材を不要にして作業を簡略化できるため、車体に対するカウルトップカバー10の良好な取り付け作業性を確保できる。
【0043】
なお、上述した実施例のカウルトップカバー10において、開口周縁部20には4つのスリット部30が形成されることによって、4つの弾性片部31が設けられている。しかし本発明において、開口周縁部に設けるスリット部の設置数は特に限定されない。
【0044】
たとえば、カウルトップカバーの形状及び材質、並びに開口周縁部の大きさ等に応じて、1つの開口周縁部に対して、1つ、6つ、又は8つのスリット部が形成されていてもよい。なお、開口周縁部に弾性片部を形成する場合、2つ以上のスリット部が形成されていることが好ましい。更に、1つの開口周縁部に設けるスリット部の設置数及び/又は大きさ(スリット幅)を変更することによって、弾性片部の撓み易さや撓み量を調整することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 フロントウインドシールド(フロントガラス)
5 ピボット軸部
6 挿通方向
7 カバー体
10 カウルトップカバー
11 カバー本体部
12 外板部
13 挿通孔
20 開口周縁部
20a 第1開口周縁部
20b 第2開口周縁部
21 外側周壁部(第1壁部)
22 底面部
23 内壁部(第2壁部)
24 当接部
25 ガイドリブ
25a 傾斜部
30 スリット部(分離部)
31 弾性片部
図1
図2
図3
図4