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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173965
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】磁気記録装置
(51)【国際特許分類】
   G11B 5/31 20060101AFI20231130BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G11B5/31 A
G11B5/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086542
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕治
(72)【発明者】
【氏名】成田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】高岸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 知幸
(57)【要約】
【課題】記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッド及び制御部を含む。磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、第1磁極と第2磁極との間に設けられた磁気素子と、コイルと、を含む。制御部は、磁気素子及びコイルと電気的に接続される。制御部は、記録動作が可能である。制御部は、記録動作において、磁気素子に素子電圧を印加しつつコイルに記録電流を供給する。素子電圧が印加された磁気素子から交番磁界が発生する。コイルに記録電流が供給されつつ磁気素子に印加される印加電圧を変化させたときの磁気素子の電気抵抗の微分抵抗は、印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなる。微分抵抗は、印加電圧が第2電圧のときに第2微分抵抗ピークとなる。第2電圧は第1電圧よりも高い。素子電圧は、第1電圧よりも高く第2電圧未満である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなり、前記微分抵抗は、前記印加電圧が第2電圧のときに第2微分抵抗ピークとなり、前記第2電圧は前記第1電圧よりも高く、
前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第2電圧未満である、磁気記録装置。
【請求項2】
前記印加電圧が前記第1電圧よりも高く前記第2電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生し、
前記印加電圧が前記第1電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記記録動作において、前記第1磁極から前記第2磁極への向きの素子電流が前記磁気素子に流れ、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ、前記第2磁極から前記第1磁極への向きの電流が前記磁気素子に流れたときには、前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記第2電圧よりも高いときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は、第1周波数の第1周波数ピークと、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークと、を含み、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記周波数成分は前記第1周波数ピークを含み前記第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧が第1印加電圧よりも高いときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は、第1周波数の第1周波数ピークと、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークと、を含み、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記周波数成分は前記第1周波数ピークを含み前記第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、磁気記録装置。
【請求項6】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなり、
前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第1電圧の5.4倍未満である、磁気記録装置。
【請求項7】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第4磁性層の第4厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さは、前記第2厚さよりも厚く、前記第4厚さよりも厚い、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項8】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の磁気記録装置。
【請求項9】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の磁気記録装置。
【請求項10】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第4磁性層の第4厚さは、前記第2厚さよりも厚く、前記第3厚さよりも厚い、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項11】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さは、前記第3厚さよりも厚い、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項12】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は第1周波数の第1周波数ピークを含み、前記周波数成分は、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、磁気記録装置。
【請求項13】
前記印加電圧が前記素子電圧よりも高いときに、前記周波数成分は、前記第2周波数ピークを含む、請求項12に記載の磁気記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気ヘッドを用いて、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体に情報が記録される。磁気記録装置において、記録密度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-277586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッド及び制御部を含む。前記磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、コイルと、を含む。前記制御部は、前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続される。前記制御部は、記録動作が可能である。前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給する。前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生する。前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなる。前記微分抵抗は、前記印加電圧が第2電圧のときに第2微分抵抗ピークとなる。前記第2電圧は前記第1電圧よりも高い。前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第2電圧未満である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る磁気記録装置の特性を例示する模式図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の特性を例示する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式平面図である。
図6図6(a)~図6(d)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
図8図8(a)~図8(c)は、第1実施形態に係る磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
図11図11は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図12図12は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図13図13は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図14図14は、第2実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図15図15は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図16図16は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図17図17(a)及び図17(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る磁気記録装置210は、磁気ヘッド110及び制御部75を含む。磁気記録装置210は、磁気記録媒体80を含んでも良い。磁気記録装置210において、少なくとも記録動作が行われる。記録動作において、磁気ヘッド110を用いて磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0008】
磁気ヘッド110は、記録部60を含む。後述するように、磁気ヘッド110は、再生部を含んでも良い。記録部60は、第1磁極31、第2磁極32、磁気素子20及びコイル30cを含む。磁気素子20は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。
【0009】
例えば、第1磁極31及び第2磁極32は、磁気回路を形成する。第1磁極31は、例えば、主磁極である。第2磁極32は、例えば、トレーリングシールドである。第1磁極31がトレーリングシールドで、第2磁極32が主磁極でも良い。
【0010】
磁気記録媒体80から磁気ヘッド110への方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。Z軸方向は、例えばハイト方向に対応する。X軸方向は、例えば、ダウントラック方向に対応する。Y軸方向は、例えば、クロストラック方向に対応する。ダウントラック方向に沿って、磁気記録媒体80と磁気ヘッド110とが相対的に移動する。磁気記録媒体80の所望の位置に、磁気ヘッド110から生じる記録磁界が印加される。磁気記録媒体80の所望の位置の磁化が、記録磁界に応じた方向に制御される。これにより、磁気記録媒体80に情報が記録される。
【0011】
第1磁極31から第2磁極32への方向を第1方向D1とする。第1方向D1は、実質的にX軸方向に沿う。実施形態において、第1方向D1は、X軸方向に対して傾斜しても良い。傾斜の角度は、例えば、0度を超え10度以下である。
【0012】
この例では、コイル30cの一部は、第1磁極31と第2磁極32との間にある。この例では、シールド33が設けられている。X軸方向において、シールド33と第2磁極32との間に第1磁極31がある。コイル30cの別の一部が、シールド33と第1磁極31との間にある。これらの複数の要素の間に、絶縁部30iが設けられる。シールド33は、例えば、リーディングシールドである。磁気ヘッド110は、サイドシールド(図示しない)を含んでも良い。
【0013】
図1に示すように、記録回路30Dから、コイル30cに記録電流Iwが供給される。例えば、第1コイル端子Tc1及び第2コイル端子Tc2がコイル30cに設けられる。これらのコイル端子を介して、記録電流Iwがコイル30cに供給される。第1磁極31から、記録電流Iwに応じた記録磁界が磁気記録媒体80に印加される。
【0014】
図1に示すように、第1磁極31は、媒体対向面30Fを含む。媒体対向面30Fは、例えば、ABS(Air Bearing Surface)である。媒体対向面30Fは、例えば、磁気記録媒体80に対向する。媒体対向面30Fは、例えば、X-Y平面に沿う。
【0015】
図1に示すように、素子回路20Dが、磁気素子20に電気的に接続される。この例では、磁気素子20は、第1磁極31及び第2磁極32と電気的に接続される。磁気ヘッド110に、第1端子T1及び第2端子T2が設けられる。第1端子T1は、第1配線W1及び第1磁極31を介して、磁気素子20の一端と電気的に接続される。第2端子T2は、第2配線W2及び第2磁極32を介して、磁気素子20の他端と電気的に接続される。素子回路20Dから、例えば、素子電流icが磁気素子20に供給される。
【0016】
図1に示すように、素子電流icは、第1磁極31から第2磁極32への向きを有する。図1に示すように、素子電流icに伴う電子流jeは、第2磁極32から第1磁極31への向きを有する。
【0017】
例えば、しきい値以上の素子電流icが磁気素子20を流れることで、磁気素子20に含まれる磁性層において発振が生じる。磁気素子20は、例えばSTO(Spin-Torque Oscillator)として機能する。発振に伴い、磁気素子20から交番磁界(例えば高周波磁界)が発生する。磁気素子20で発生した交番磁界が磁気記録媒体80に印加され、磁気記録媒体80への記録がアシストされる。例えば、MAMR(Microwave Assisted Magnetic Recording)が実施可能である。
【0018】
記録回路30D及び素子回路20Dは、制御部75に含まれる。制御部75は、磁気素子20及びコイル30cと電気的に接続される。制御部75は、コイル30cに記録電流Iwを供給し、磁気素子20に素子電流icを供給可能である。
【0019】
例えば、制御部75(素子回路20D)は、素子電流icに対応する素子電圧V20を第1端子T1と第2端子T2との間に印加する。実用的に、素子電流icは、素子電圧V20を制御することで制御されても良い。素子電圧V20は、例えば、第2端子T2の電位を基準にした第1端子T1の電位に対応する。これらの端子と磁気素子20との間の配線抵抗は、実質的に一定である。素子電圧V20と、配線における電圧降下と、の差の電圧が、磁気素子20に印加される。磁気素子20に印加される電圧の変化は、素子電圧V20の変化に対応する。例えば、印加電圧に基づく磁気素子20の特性を考慮する場合、第1端子T1と第2端子T2との間に印加される電圧(素子電圧V20)が、実質的に磁気素子20に印加されると見なされて良い。例えば、素子電圧V20における変化の割合は、磁気素子20に印加される電圧の変化の割合と実質的に同じである。
【0020】
上記のように、制御部75は、記録動作において、第1端子T1と第2端子T2との間に素子電圧V20を印加しつつ、コイル30cに記録電流Iwを供給する。上記のように、素子電圧V20に対応する電圧が印加された磁気素子20から交番磁界が発生する。記録動作において、磁気素子20から交番磁界が発生する。実施形態における素子電圧V20(及び素子電流ic)の例については、後述する。
【0021】
以下、実施形態に係る磁気ヘッド110の特性の例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る磁気記録装置の特性を例示する模式図である。
図2の横軸は、制御部75(素子回路20D)が第1端子T1と第2端子T2との間に印加電圧する印加電圧Va1である。印加電圧Va1は、磁気素子20に印加される電圧に対応する。図2の横軸は、磁気素子20に供給される供給電流ia1に対応する。供給電流ia1は、第1端子T1と第2端子T2との間に流れる電流に対応する。図2の縦軸は、磁気素子20の電気抵抗Re1である。電気抵抗Re1及び供給電流ia1の積が、印加電圧Va1に対応する。後述するように、特定の印加電圧Va1(及び特定の供給電流ia1)のときに、磁気素子20は発振する。磁気素子20から交番磁界が発生する。磁気素子20の電気抵抗は、この発振に対応して変化(発振)する。図2おいては、電気抵抗Re1の発振に伴う変化は平均化されて示されている。図2の電気抵抗Re1は、磁気素子20の時間平均の電気抵抗である。図2において、電気抵抗Re1は、時間平均の測定結果である。図2の電気抵抗Re1は、直流抵抗である。
【0022】
図2は、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ第1端子T1と第2端子T2との間に印加される印加電圧Va1を変化させたときの磁気素子20の電気抵抗Re1の変化を例示している。印加電圧Va1が正の場合、印加電圧Va1の変化は、例えば、0ボルトからの上昇で良い。
【0023】
図2に示すように、印加電圧Va1の絶対値の上昇に応じて、電気抵抗Re1が上昇する。以下では、印加電圧Va1が正の領域について説明する。印加電圧Va1が正の領域において、磁気素子20を流れる素子電流icの向きは、第1磁極31から第2磁極32への向きである。印加電圧Va1が正の時に、例えば、第1磁極31の電位は、第2磁極32の電位よりも高い。
【0024】
例えば、印加電圧Va1の絶対値が小さい領域において、電気抵抗Re1は、急激に減少、または、急激に上昇する。この現象は、例えば、磁気素子20中の熱電効果によって生じる電圧に関係すると考えられる。この急激な減少または上昇は、電気抵抗Re1を導出する際に印加電圧Va1を補正することで除くことができる。印加電圧Va1から熱電効果によって生じる電圧が除去された電圧が得られる。熱電効果によって生じる電圧が除去された電圧の、供給電流ia1に対する比が得られる。得られた比により、急激な減少または上昇が除去された電気抵抗Re1が得られる。熱電効果によって生じる電圧の値は、電気抵抗Re1における急激な減少または上昇が適切に除かれるように見積もられる。後述する微分抵抗の測定においては、この急激な減少または上昇は実質的に生じない。
【0025】
例えば、正の印加電圧Va1が上昇すると、電気抵抗Re1は、実質的に、印加電圧Va1の2乗の関数で上昇する。これは、磁気素子20中を流れる電流によるジュール熱に起因した温度の上昇に関係すると考えられる。
【0026】
さらに、図2に示すように、印加電圧Va1が第1電圧V1のときに、電気抵抗Re1は、不連続にステップ状に変化する。この例では、印加電圧Va1が第2電圧V2のときに、電気抵抗Re1は、不連続にステップ状に変化する。第2電圧V2は、第1電圧V1よりも高い。
【0027】
コイル30cに記録電流Iwが供給されている状態において、例えば、直流の印加電圧Va1(及び直流の供給電流ia1)が磁気素子20に供給される。このときに、磁気素子20から生じる高周波信号(例えば、交番信号)を取り出すことができる。交周波信号は、第1端子T1または第2端子T2から取り出すことができる。高周波信号は、例えば、交番電流及び交番電圧の積として取り出すことができる。高周波信号は、例えば、交番電力である。例えば、第1端子T1または第2端子T2の近くから高周波信号を取り出すことで、減衰が小さい状態で高周波信号が得られる。取り出される高周波信号は、磁気素子20の電気抵抗Re1の発振に伴うと考えられる。
【0028】
高周波信号が生じるとき、交番磁界が発生している。高周波信号の周波数は、磁気素子20中の磁性層から生じる交番磁界の周波数に対応する。高周波信号の強度は、磁気素子20中の磁性層から生じる交番磁界の強度に対応する。磁性層が発振していない場合には、高周波信号が実質的に得られない。
【0029】
印加電圧Va1が0ボルト以上第1電圧V1未満の領域は、第1状態ST1に対応する。第1状態ST1において、磁気素子20から実質的に高周波信号が得られない。例えば、第1状態ST1において、電気抵抗Re1は、発振状に変化しない。
【0030】
印加電圧Va1が第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満の領域は、第2状態ST2に対応する。第2状態ST2において、磁気素子20から高周波信号が得られる。例えば、第2状態ST2において、電気抵抗Re1は、発振状に変化する。第2状態ST2において、磁気素子20から交番磁界(高周波磁界)が発生する。
【0031】
印加電圧Va1が第2電圧V2よりも高い領域は、第3状態ST3に対応する。第3状態ST3において、磁気素子20から高周波信号が得られる。例えば、第3状態ST3において、電気抵抗Re1は、発振状に変化する。後述するように、第3状態ST3における発振状態は、第2状態ST2における発振状態とは異なる。第3状態ST3において、磁気素子20から別の状態の交番磁界(高周波磁界)が発生する。
【0032】
第1電圧V1において、第1状態ST1と第2状態ST2との間の遷移が生じる。第2電圧V2において、第2状態ST2と第3状態ST3との間の遷移が生じる。
【0033】
供給電流ia1が0以上第1電流i1未満の領域は、第1状態ST1に対応する。第1状態ST1において、磁気素子20から高周波信号が実質的に得られない。例えば、第1状態ST1において、電気抵抗Re1は、発振状に変化しない。
【0034】
供給電流ia1が第1電流i1よりも高く第2電流i2未満の領域は、第2状態ST2に対応する。第2状態ST2において、磁気素子20から高周波信号が得られる。例えば、第2状態ST2において、電気抵抗Re1は、発振状に変化する。第2状態ST2において、磁気素子20から交番磁界(高周波磁界)が発生する。
【0035】
供給電流ia1が第2電流i2よりも高い領域は、第3状態ST3に対応する。第3状態ST3において、磁気素子20から高周波信号が得られる。第3状態ST3において、電気抵抗Re1は、発振状に変化する。第3状態ST3において、磁気素子20から別の状態の交番磁界(高周波磁界)が発生する。
【0036】
第1電流i1において、第1状態ST1と第2状態ST2との間の遷移が生じる。第2電流i2において、第2状態ST2と第3状態ST3との間の遷移が生じる。
【0037】
図3(a)及び図3(b)は、第1実施形態に係る磁気記録装置の特性を例示する模式図である。
図3(a)の横軸は、印加電圧Va1である。図3(b)の横軸は、供給電流ia1である。図3(a)及び図3(b)の縦軸は、磁気素子20の微分抵抗Rd1である。微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1の微小な変化d(Va1)の、供給電流ia1の微小な変化d(ia1)に対する比である。微分抵抗Rd1は、例えば、d(Va1)/d(ia1)である。これらの図の特性は、コイル30cに記録電流Iwが供給されている時の特性である。例えば、微分抵抗Rd1は、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ印加電圧Va1を変化させたときの、磁気素子20の微分抵抗に対応する。記録電流Iwは、記録動作においてコイル30cに流れる電流である。記録電流Iwの向き(極性)は、記録すべき情報に依存して変化する。以下の例では、記録電流Iwの向き(極性)は、第2磁極32から第1磁極31への向きの成分を含む磁界が生じるような電流の向きである。
【0038】
図3(a)に示すように、磁気素子20の微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第1電圧V1のときに第1微分抵抗ピークp1となる。微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第2電圧V2のときに第2微分抵抗ピークp2となる。第2電圧V2は第1電圧V1よりも高い。実施形態において、記録動作において印加される素子電圧V20は、第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満である。
【0039】
このような素子電圧V20により、適切な交番磁界が得られる。MAMRが適切に実施できる。実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供できる。
【0040】
図3(b)に示すように、磁気素子20の微分抵抗Rd1は、磁気素子20に供給される供給電流ia1が第1電流i1のときに第1微分抵抗ピークp1となる。微分抵抗Rd1は、供給電流ia1が第2電流i2のときに第2微分抵抗ピークp2となる。第2電流i2は第1電流i1よりも大きい。実施形態において、記録動作において、素子電流icは、第1電流i1よりも大きく第2電流i2未満である。
【0041】
このような素子電流icにより、適切な交番磁界が得られる。MAMRが適切に実施できる。実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気記録装置を提供できる。
【0042】
既に説明したように、第2状態ST2は、印加電圧Va1が第1電圧V1よりも高く第2電圧V2よりも低いときに対応する。第2状態ST2において、磁気素子20から交番磁界が発生する。第1状態ST1は、印加電圧Va1が第1電圧V1よりも低いときに対応する。第1状態ST1においては、磁気素子20から上記の交番磁界が発生しない。第1電圧V1は、発振に関するしきい値に対応する。
【0043】
実施形態において、交番磁界の周波数は、例えば、10GHz以上40GHz以下である。実施形態において、記録動作において、第1磁極31の電位は第2磁極32の電位よりも高い。記録動作において、第1磁極31から第2磁極32への向きの素子電流icが磁気素子20に流れる。コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ、第2磁極32から第1磁極31への向きの電流が磁気素子20に流れたとき(図2において、供給電流ia1が負の場合)には、記録動作で生じる交番磁界が発生しない。
【0044】
上記の高周波信号は、例えば、コイル30cに供給される電流を変化させることで、観察し易くなる。例えば、コイル30cに供給される電流の変化に対する、高周波信号の変化から、記録動作時の交番磁界に関する情報が得やすくなる。例えば、外部から直流磁界を印加することで、高周波信号が観察し易くなる。直流磁界の変化に対する高周波信号の変化から、記録動作時の交番磁界に関する情報が得やすくなる。
【0045】
直流の印加電圧Va1(及び直流の供給電流ia1)を供給しながら、磁気素子20に交番電磁力を与えると、磁気素子20の状態に応じて、電気抵抗Re1が変化する。交番電磁力は、例えば、外部から与えられる交番磁界である。交番電磁力は、例えば、第1端子T1または第2端子T2から磁気素子20に与えられる高周波信号である。
【0046】
図4は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的断面図である。
図5は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図4に示すように、磁気素子20は、第1磁性層21、第2磁性層22、第3磁性層23、及び、第4磁性層24を含む。第1磁性層21は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。第2磁性層22は、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第3磁性層23は、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられる。第4磁性層24は、第3磁性層23と第2磁極32との間に設けられる。
【0047】
磁気素子20は、第1非磁性層41、第2非磁性層42、第3非磁性層43、第4非磁性層44、及び、第5非磁性層45を含む。第1非磁性層41は、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第2非磁性層42は、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。第3非磁性層43は、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられる。第4非磁性層44は、第3磁性層23と第4磁性層24との間に設けられる。第5非磁性層45は、第4磁性層24と第2磁極32との間に設けられる。
【0048】
図5に示すように、磁気ヘッド110においては、第1磁性層21及び第3磁性層23は、第2磁性層22及び第4磁性層24よりも厚い。
【0049】
第1磁極31から第2磁極32への方向を第1方向D1とする。第1方向D1に沿う第1磁性層21の厚さを第1厚さt21とする。第1方向D1に沿う第2磁性層22の厚さを第2厚さt22とする。第1方向D1に沿う第3磁性層23の厚さを第3厚さt23とする。第1方向D1に沿う第4磁性層24の厚さを第4厚さt24とする。
【0050】
磁気ヘッド110においては、第1厚さt21は、第2厚さt22よりも厚い。第1厚さt21は、第4厚さt24よりも厚い。第3厚さt23は、第2厚さt22よりも厚い。第3厚さt23は、第4厚さt24よりも厚い。
【0051】
第1磁性層21及び第3磁性層23は、例えば、発振層である。第2磁性層22及び第4磁性層24は、例えば、スピン注入層である。
【0052】
磁気ヘッド110において、例えば、第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0053】
Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1材料において、スピンは透過し難い。Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2材料において、スピンは透過し易い。
【0054】
磁気ヘッド110において、図2図3(a)及び図3(b)に関して説明した複数の状態は、磁性層の磁化の状態の変化に対応する。以下、磁化の状態の例について説明する。
【0055】
図6(a)~図6(d)は、第1実施形態に係る磁気記録装置における動作を例示する模式図である。
図6(a)に示すように、1つの例において、第1状態ST1において、第1磁極31の磁化31M及び第2磁極32の磁化32Mは、「上向き」である。「上向き」は、第2磁極32から第1磁極31への向きに対応する。第1状態ST1において、第1磁性層21の磁化21M、第2磁性層22の磁化22M、第3磁性層23の磁化23M、及び、第4磁性層24の磁化24Mは、「上向き」である。「上向き」は、第2磁極32から第1磁極31への向きに対応する。図6(a)~図6(d)の例では、記録電流Iwの向き(極性)は、「上向き」に対応する向きである。
【0056】
図6(b)に示すように、印加電圧Va1が第1電圧V1であるとき、第4磁性層24の磁化24Mが反転する。
【0057】
図6(c)に示すように、第2状態ST2において、第1磁性層21の磁化21M、及び、第3磁性層23の磁化23Mが発振する。これにより、磁気素子20から交番磁界が発生する。磁化21Mと磁化23Mとは、逆位相で発振する。例えば、磁化21MのY軸方向の成分と、磁化23MのY軸方向の成分と、において、位相差は、160度以上200度以下である。第2状態ST2においては、逆位相の発振により、安定した発振周波数が得られる。適切なMAMRが実施できる。
【0058】
図6(d)に示すように、第3状態ST3において、第1磁性層21の磁化21M、及び、第3磁性層23の磁化23Mが発振する。第3状態ST3においては、これらの磁性層における発振は逆位相とは異なる。例えば、磁化21Mの発振周波数は、磁化23Mの発振周波数とは異なる。第3状態ST3においては、逆位相とは異なる発振により、適切なMAMRが困難である。
【0059】
以下、磁気ヘッド110に関するシミュレーション結果の例について説明する。
図7(a)及び図7(b)は、磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、印加電圧Va1である。図7(a)の縦軸は、磁気素子20の電気抵抗Re2である。図7(b)の縦軸は、磁気素子20の微分抵抗Rd2である。シミュレーションにおいて、電気抵抗Re2及び微分抵抗Rd2においては、ジュール熱の影響が無視されている。シミュレーションにおいて、熱電効果の影響が無視されている。
【0060】
図7(a)に示すように、第1電圧V1及び第2電圧V2において、電気抵抗Re2は、不連続にステップ状に変化する。
【0061】
図7(b)に示すように、第1電圧V1において、微分抵抗Rd2は、第1微分抵抗ピークp1となる。第2電圧V2において、微分抵抗Rd2は、第2微分抵抗ピークp2となる。
【0062】
図8(a)~図8(c)は、磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
これらの図は、磁気素子20から発生する高周波信号の周波数成分のシミュレーション結果を例示している。横軸は、周波数fr0である。周波数fr0は、磁気素子20から得られる高周波信号の周波数に対応する。周波数fr0は、磁気素子20から得られる交番磁界の周波数に対応する。縦軸は、磁気素子20の電気抵抗の発振の強度Int1(例えば、振幅)に対応する。縦軸は、図8(a)~図8(c)それぞれにおける最大値で規格化されている。縦軸は、磁気素子20から得られる高周波信号の強度に対応する。縦軸は、交番磁界の強度に対応する。
【0063】
図8(a)は、第2状態ST2の1つに対応する。図8(a)において、印加電圧Va1は、第3電圧V3(図7(a)及び図7(b)参照)である。第3電圧V3は、第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満である。第3電圧V3が印加される状態において、1つのピーク(第1周波数ピークpf1)が観察される。この例では、第1周波数ピークpf1に対応する第1周波数f1は、約25GHzである。
【0064】
図8(b)において、印加電圧Va1は、第4電圧V4(図7(a)及び図7(b)参照)である。第4電圧V4は、第3電圧V3よりも高く第2電圧V2よりも低い。図8(b)に示すように、第4電圧V4が印加される状態において、第1周波数ピークpf1と、第2周波数ピークpf2が観察される。この例では、第2周波数ピークpf2に対応する第2周波数f2は、約41GHzである。
【0065】
図8(c)は、第3状態ST3の1つに対応する。図8(c)に示すように、印加電圧Va1は、第5電圧V5電圧(図7(a)及び図7(b)参照)である。第5電圧V5は、第2電圧V2よりも高い。図8(c)に示すように、第2周波数ピークpf2の高さが、図8(b)の例における第2周波数ピークpf2の高さよりも高くなる。
【0066】
第1周波数f1の交番磁界がMAMRに用いられる。第2周波数f2の交番磁界は、MAMRにおいて不要である。印加電圧Va1が第2電圧V2よりも高くなる(例えば第5電圧V5)と、第2周波数ピークpf2が過度に高くなる。
【0067】
図9(a)及び図9(b)は、磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
図9(a)及び図9(b)の横軸は、規格化電圧VR1である。規格化電圧VR1は、印加電圧Va1の第1電圧V1に対する比(Va1/V1)である。図9(a)の縦軸は、第1磁性層21の発振周波数fr21である。発振周波数fr21は、第1磁性層21における発振において、最大の強度の発振に対応する周波数である。図9(b)の縦軸は、第3磁性層23の発振周波数fr23である。発振周波数fr23は、第3磁性層23における発振において、最大の強度の発振に対応する周波数である。
【0068】
図9(a)に示すように、規格化電圧VR1が1以下において、発振が実質的に生じない。規格化電圧VR1が1を超えると(印加電圧Va1が第1電圧V1を超える)と、第1磁性層21における発振周波数fr21は、ステップ状に上昇する。さらに、印加電圧Va1が第2電圧V2を超えると、第1磁性層21における発振周波数fr21は、ステップ状にさらに上昇する。
【0069】
図9(b)に示すように、規格化電圧VR1が1以下において、発振が実質的に生じない。規格化電圧VR1が1を超えると(印加電圧Va1が第1電圧V1を超えると、第3磁性層23における発振周波数fr23は、ステップ状に上昇する。印加電圧Va1が第2電圧V2を超えても、第3磁性層23における発振周波数fr23は、ステップ状に上昇しない。
【0070】
印加電圧Va1が第1電圧V1よりも高く第2電圧V2のときに、第1磁性層21における発振周波数fr21は、第3磁性層23における発振周波数fr23と実質的に同じである。この状態(第2状態ST2)において、第1磁性層21の磁化21Mは、第3磁性層23の磁化23Mの磁化と同期して、逆位相で発振すると考えられる。
【0071】
このような第2状態ST2において、第1磁性層21及び第3磁性層23の同期した発振により、例えば、安定した周波数で高い強度の交番磁界が得られる。
【0072】
図9(b)に例示した、第1電圧V1を超える領域における発振周波数fr23が、図8(a)などに例示した第1周波数f1に対応する。図9(a)に例示した、第2電圧V2を超える領域における発振周波数fr21が、図8(c)などに例示した第2周波数f2に対応すると考えられる。
【0073】
第2電圧V2を超える領域(第3状態ST3)では、磁気素子20に含まれる複数の発振層が、異なる周波数で発振すると考えられる。複数の発振層が設けられる場合に、このような状態が特異的に生じる。第2状態ST2において、複数の発振層が同期して発振し、高い強度の1つの発振周波数が得られる。
【0074】
図9(a)及び図9(b)に例示した第4電圧V4及び第5電圧V5においては、図8(a)及び図8(c)に例示した第2周波数f2の第2周波数ピークpf2が生じていると考えられる。
【0075】
図10(a)及び図10(b)は、磁気記録装置に関するシミュレーション結果を例示する模式図である。
これらの図の横軸は、規格化電圧VR1である。これらの図の縦軸は、ピーク比RP1である。ピーク比RP1は、第2周波数ピークの高さ(強度)の第1周波数ピークの高さ(強度)に対する比である。図9(b)の縦軸は、図9(a)の縦軸が拡大されている。
【0076】
図10(a)及び図10(b)に示すように、規格化電圧VR1が5.4を超えると、ピーク比RP1が急激に増大する。ピーク比RP1が急激に増大する領域は、第3状態ST3に対応する。
【0077】
実施形態において、ピーク比RP1は0.1以下であることが実用的に好ましい。これにより、MAMRで利用されない第2周波数ピークpf2による影響が抑制される。これにより、第1周波数ピークpf1によるMAMRが、効果的に実施できる。過度に高い電圧(過度に大きい電流)が抑制され、より安定した磁気ヘッドの特性が得られる。例えば、長寿命の実用的な磁気記録装置が得られる。例えば、過度に広い書き込み領域が抑制される。高い記録密度が得られる。
【0078】
実施形態において、規格化電圧VR1は5.4未満であることが好ましい。これにより、MAMRで利用されない第2周波数ピークpf2が抑制される。実施形態において、規格化電圧VR1は5以下であることがさらに好ましい。第2周波数ピークpf2が安定して抑制される。この例では、第2電圧V2において、規格化電圧VR1は5.4である。
【0079】
このように、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ第1端子T1と第2端子T2との間に印加される印加電圧Va1が第2電圧V2よりも高いときに、磁気素子20から得られる信号の周波数成分は、第1周波数f1の第1周波数ピークpf1と、第2周波数f2の第2周波数ピークpf2と、を含む。第2周波数f2は、第1周波数f1よりも高い。
【0080】
実施形態において、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ第1端子T1と第2端子T2との間に印加される印加電圧Va1が素子電圧V20であるときに、磁気素子20から得られる信号の周波数成分は第1周波数ピークpf1を含み第2周波数ピークpf2を含まない。または、第2周波数ピークpf2の高さの、第1周波数ピークpf1の高さに対する比は、0.1以下である。
【0081】
実施形態において、素子電圧V20は、第1電圧V1よりも高く第1電圧V1の5.4倍未満であることが好ましい。実施形態において、素子電圧V20は、第1電圧V1の5倍以下であることがさらに好ましい。
【0082】
磁気素子20に、上記のような素子電圧V20が印加されることで、安定した周波数の強い交番磁界が得られる。
【0083】
実施形態において、電気抵抗Re1がステップ状に変化する上記の第2電圧V2が明確に観察されない場合があっても良い。実施形態において、微分抵抗Rd1において、上記の第2電圧V2(第2微分抵抗ピークp2が生じる電圧)が明確に観察されない場合があっても良い。この場合、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1の5.4倍未満に設定されて良い。
【0084】
図5に示すように、第1非磁性層41は、厚さt41を有する。第2非磁性層42は、厚さt42を有する。第3非磁性層43は、厚さt43を有する。第4非磁性層44は、厚さt44を有する。第5非磁性層45は、厚さt45を有する。これらの厚さは、第1方向D1に沿う長さである。これらの厚さの少なくともいずれかは、例えば5nm以上15nm以下である。
【0085】
以下、実施形態に係る磁気記録装置210における磁気ヘッドについて、いくつかの例について説明する。
【0086】
図11は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図11に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド111においても、磁気素子20は、第1磁性層21、第2磁性層22、第3磁性層23、及び、第4磁性層24を含む。磁気ヘッド111においても、第1厚さt21は、第2厚さt22よりも厚い。第1厚さt21は、第4厚さt24よりも厚い。第3厚さt23は、第2厚さt22よりも厚い。第3厚さt23は、第4厚さt24よりも厚い。第1磁性層21及び第3磁性層23は、例えば、発振層である。第2磁性層22及び第4磁性層24は、例えば、スピン注入層である。
【0087】
磁気ヘッド111においても、磁気素子20は、第1非磁性層41、第2非磁性層42、第3非磁性層43、第4非磁性層44、及び、第5非磁性層45を含む。磁気ヘッド111においては、これらの非磁性層の材料が、磁気ヘッド110における材料とは異なる。
【0088】
磁気ヘッド111において、第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0089】
このような磁気ヘッド111においても、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満である。例えば、磁気素子20の微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第1電圧V1のときに第1微分抵抗ピークp1となる。微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第2電圧V2のときに第2微分抵抗ピークp2となる。第2電圧V2は第1電圧V1の2倍よりも高い。
【0090】
磁気ヘッド111においても、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1の5.4倍未満に設定されて良い。
【0091】
磁気ヘッド111においても、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ第1端子T1と第2端子T2との間に印加される印加電圧Va1が素子電圧V20であるときに、磁気素子20から得られる信号の周波数成分は第1周波数ピークpf1を含み第2周波数ピークpf2を含まない。または、第2周波数ピークpf2の高さの、第1周波数ピークpf1の高さに対する比は、0.1以下である。
【0092】
図12は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図12に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド112においても、磁気素子20は、第1磁性層21、第2磁性層22、第3磁性層23、及び、第4磁性層24を含む。磁気ヘッド112においては、第1厚さt21は、第2厚さt22よりも厚い。第1厚さt21は、第3厚さt23よりも厚い。第4厚さt24は、第2厚さt22よりも厚い。第4厚さt24は、第3厚さt23よりも厚い。磁気ヘッド112において、第1磁性層21及び第4磁性層24は、例えば、発振層である。第2磁性層22及び第3磁性層23は、例えば、スピン注入層である。
【0093】
磁気ヘッド112においても、磁気素子20は、第1非磁性層41、第2非磁性層42、第3非磁性層43、第4非磁性層44、及び、第5非磁性層45を含む。磁気ヘッド112においては、第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第5非磁性層45は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0094】
このような磁気ヘッド112においても、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満である。例えば、磁気素子20の微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第1電圧V1のときに第1微分抵抗ピークp1となる。微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第2電圧V2のときに第2微分抵抗ピークp2となる。第2電圧V2は第1電圧V1よりも高い。
【0095】
磁気ヘッド112においても、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1の5.4倍未満に設定されて良い。
【0096】
磁気ヘッド112においても、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ第1端子T1と第2端子T2との間に印加される印加電圧Va1が素子電圧V20であるときに、磁気素子20から得られる信号の周波数成分は第1周波数ピークpf1を含み第2周波数ピークpf2を含まない。または、第2周波数ピークpf2の高さの、第1周波数ピークpf1の高さに対する比は、0.1以下である。
【0097】
図13は、第1実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的平面図である。
図13に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド113において、磁気素子20は、第1磁性層21、第2磁性層22及び第3磁性層23を含む。第1磁性層21は、第1磁極31と第2磁極32との間に設けられる。第2磁性層22は、第1磁性層21と第2磁極32との間に設けられる。第3磁性層23は、第2磁性層22と第2磁極32との間に設けられる。第1磁極31から第2磁極32への方向を第1方向D1とする。第1方向D1に沿う第1磁性層21の第1厚さt21は、第1方向D1に沿う第3磁性層23の第3厚さt23よりも厚い。第1方向D1に沿う第2磁性層22の第2厚さt22は、第3厚さt23よりも厚い。磁気ヘッド113において、第1磁性層21及び第2磁性層22は、例えば、発振層である。第3磁性層23は、例えば、スピン注入層である。
【0098】
磁気ヘッド113において、磁気素子20は、第1非磁性層41、第2非磁性層42、第3非磁性層43、及び、第4非磁性層44を含む。第1非磁性層41は、第1磁極31と第1磁性層21との間に設けられる。第2非磁性層42は、第1磁性層21と第2磁性層22との間に設けられる。第3非磁性層43は、第2磁性層22と第3磁性層23との間に設けられる。第4非磁性層44は、第3磁性層23と第2磁極32との間に設けられる。
【0099】
磁気ヘッド113において、第1非磁性層41は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2非磁性層42は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3非磁性層43は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第4非磁性層44は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0100】
このような磁気ヘッド113においても、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満である。例えば、磁気素子20の微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第1電圧V1のときに第1微分抵抗ピークp1となる。微分抵抗Rd1は、印加電圧Va1が第2電圧V2のときに第2微分抵抗ピークp2となる。第2電圧V2は第1電圧V1よりも高い。
【0101】
磁気ヘッド113においても、記録動作における素子電圧V20は、第1電圧V1の5.4倍未満に設定されて良い。
【0102】
磁気ヘッド113においても、コイル30cに記録電流Iwが供給されつつ第1端子T1と第2端子T2との間に印加される印加電圧Va1が素子電圧V20であるときに、磁気素子20から得られる信号の周波数成分は第1周波数ピークpf1を含み第2周波数ピークpf2を含まない。または、第2周波数ピークpf2の高さの、第1周波数ピークpf1の高さに対する比は、0.1以下である。
【0103】
磁気素子20の特性を評価する際に、磁気素子20に第1評価用交番電磁力が与えられても良い。第1評価用交番電磁力の周波数は、記録動作において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数よりも高い。第1評価用交番電磁力の周波数は、第2状態ST2において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数よりも高い。第2状態ST2において、このような第1評価用交番電磁力が与えられると、例えば、電気抵抗Re1が変化(上昇または減少)する。例えば、電気抵抗Re1の変化が最大となる第1評価用交番電磁力の周波数が存在する。電気抵抗Re1の、第1評価用交番電磁力の周波数に対する変化は、例えば、極値を持つ。
【0104】
磁気素子20の特性を評価する際に、磁気素子20に第2評価用交番電磁力が与えられても良い。第2評価用交番電磁力の周波数は、第3状態ST3において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数よりも高い。第3状態ST3において、このような第2評価用交番電磁力が与えられると、例えば、電気抵抗Re1が変化(上昇または減少)する。例えば、電気抵抗Re1の変化が最大となる第2評価用交番電磁力の周波数が存在する。電気抵抗Re1の、第2評価用交番電磁力の周波数に対する変化は、例えば、極値を持つ。一方、第1状態ST1において、第1評価用交番電磁力、または、第2評価用交番電磁力が与えられても、電気抵抗Re1は実質的に変化しない。例えば、電気抵抗Re1は、交番電磁力の周波数に対して変化しない。
【0105】
磁気素子20の特性を評価する際に、磁気素子20に第3評価用交番電磁力が与えられても良い。第3評価用交番電磁力の周波数は、記録動作において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数よりも低い。第3評価用交番電磁力の周波数は、第2状態ST2において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数よりも低い。第2状態ST2において、このような第3評価用交番電磁力が与えられると、例えば、電気抵抗Re1が変化(上昇または減少)する。第3評価用交番電磁力が与えられた場合の電気抵抗Re1の変化の向きと、第1評価用交番電磁力が与えられた場合の電気抵抗Re1の変化の向きは、例えば、逆である。例えば、電気抵抗Re1の変化が最大となる第3評価用交番電磁力の周波数が存在する。電気抵抗Re1の、第3評価用交番電磁力の周波数に対する変化は、例えば、極値を持つ。
【0106】
磁気素子20の特性を評価する際に、磁気素子20に第4評価用交番電磁力が与えられても良い。第4評価用交番電磁力の周波数は、第3状態ST3において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数よりも低い。第3状態ST3において、このような第4評価用交番電磁力が与えられると、例えば、電気抵抗Re1が変化(上昇または減少)する。第4評価用交番電磁力が与えられた場合の電気抵抗Re1の変化の向きと、第2評価用交番電磁力が与えられた場合の電気抵抗Re1の変化の向きは、例えば、逆である。例えば、電気抵抗Re2の変化が最大となる第4評価用交番電磁力の周波数が存在する。電気抵抗Re1の、第4評価用交番電磁力の周波数に対する変化は、例えば、極値を持つ。一方、第1状態ST1において、第3評価用交番電磁力、または、第4評価用交番電磁力が与えられても、電気抵抗Re1は実質的に変化しない。例えば、電気抵抗Re1は、交番電磁力の周波数に対して変化しない。
【0107】
磁気素子20の特性を評価する際に、磁気素子20に第5評価用交番電磁力が与えられても良い。第5評価用交番電磁力の周波数は、記録動作において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数と実質的に同じである。第5評価用交番電磁力の周波数は、第2状態ST2において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数と実質的に同じである。第1状態ST1、及び、第2状態ST2において、第5評価用交番電磁力が与えられると、例えば、電気抵抗Re1は変化しない。
【0108】
磁気素子20の特性を評価する際に、磁気素子20に第6評価用交番電磁力が与えられても良い。第6評価用交番電磁力の周波数は、第3状態ST3において磁気素子20から発生する交番磁界の周波数と実質的に同じである。第1状態ST1、及び、第3状態ST3において、このような第6評価用交番電磁力が与えられると、例えば、電気抵抗Re1は変化しない。
【0109】
上記のような第1~第6評価用交番電磁力に対する電気抵抗Re1の変化の特性から、記録動作において磁気素子20から発生する交番磁界に関する情報が得られて良い。上記のような特性が得られる交番磁界の周波数において、磁気素子20から高周波信号(または交番磁界)が生じていると考えてよい。
【0110】
(第2実施形態)
以下の実施形態において、第1実施形態に関して説明した磁気ヘッド(磁気ヘッド1110など)及びその変形が適用される。以下、磁気ヘッド110が用いられる場合の例を説明する。
【0111】
図14は、第2実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図14に示すように、実施形態に係る磁気ヘッド(例えば、磁気ヘッド110)は、磁気記録媒体80と共に用いられる。この例では、磁気ヘッド110は、記録部60及び再生部70を含む。磁気ヘッド110の記録部60により、磁気記録媒体80に情報が記録される。再生部70により、磁気記録媒体80に記録された情報が再生される。
【0112】
磁気記録媒体80は、例えば、媒体基板82と、媒体基板82の上に設けられた磁気記録層81と、を含む。磁気記録層81の磁化83が記録部60により制御される。
【0113】
再生部70は、例えば、第1再生磁気シールド72a、第2再生磁気シールド72b、及び磁気再生素子71を含む。磁気再生素子71は、第1再生磁気シールド72aと第2再生磁気シールド72bとの間に設けられる。磁気再生素子71は、磁気記録層81の磁化83に応じた信号を出力可能である。
【0114】
図14に示すように、磁気記録媒体80は、媒体移動方向85の方向に、磁気ヘッド110に対して相対的に移動する。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が制御される。磁気ヘッド110により、任意の位置において、磁気記録層81の磁化83に対応する情報が再生される。
【0115】
図15は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図15は、ヘッドスライダを例示している。
磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159に設けられる。ヘッドスライダ159は、例えばAl/TiCなどを含む。ヘッドスライダ159は、磁気記録媒体の上を、浮上または接触しながら、磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0116】
ヘッドスライダ159は、例えば、空気流入側159A及び空気流出側159Bを有する。磁気ヘッド110は、ヘッドスライダ159の空気流出側159Bの側面などに配置される。これにより、磁気ヘッド110は、磁気記録媒体の上を浮上または接触しながら磁気記録媒体に対して相対的に運動する。
【0117】
図16は、実施形態に係る磁気記録装置を例示する模式的斜視図である。
図17(a)及び図17(b)は、実施形態に係る磁気記録装置の一部を例示する模式的斜視図である。
図16に示すように、実施形態に係る磁気記録装置150においては、ロータリーアクチュエータが用いられる。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mに装着される。記録用媒体ディスク180は、スピンドルモータ180Mにより矢印ARの方向に回転する。スピンドルモータ180Mは、駆動装置制御部からの制御信号に応答する。本実施形態に係る磁気記録装置150は、複数の記録用媒体ディスク180を備えても良い。磁気記録装置150は、記録媒体181を含んでもよい。記録媒体181は、例えば、SSD(Solid State Drive)である。記録媒体181には、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリが用いられる。例えば、磁気記録装置150は、ハイブリッドHDD(Hard Disk Drive)でも良い。
【0118】
ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180に記録する情報の、記録及び再生を行う。ヘッドスライダ159は、薄膜状のサスペンション154の先端に設けられる。ヘッドスライダ159の先端付近に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0119】
記録用媒体ディスク180が回転すると、サスペンション154による押し付け圧力と、ヘッドスライダ159の媒体対向面(ABS)で発生する圧力と、がバランスする。ヘッドスライダ159の媒体対向面と、記録用媒体ディスク180の表面と、の間の距離が、所定の浮上量となる。実施形態において、ヘッドスライダ159は、記録用媒体ディスク180と接触しても良い。例えば、接触走行型が適用されても良い。
【0120】
サスペンション154は、アーム155(例えばアクチュエータアーム)の一端に接続されている。アーム155は、例えば、ボビン部などを有する。ボビン部は、駆動コイルを保持する。アーム155の他端には、ボイスコイルモータ156が設けられる。ボイスコイルモータ156は、リニアモータの一種である。ボイスコイルモータ156は、例えば、駆動コイル及び磁気回路を含む。駆動コイルは、アーム155のボビン部に巻かれる。磁気回路は、永久磁石及び対向ヨークを含む。永久磁石と対向ヨークとの間に、駆動コイルが設けられる。サスペンション154は、一端と他端とを有する。磁気ヘッドは、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端に接続される。
【0121】
アーム155は、ボールベアリングによって保持される。ボールベアリングは、軸受部157の上下の2箇所に設けられる。アーム155は、ボイスコイルモータ156により回転及びスライドが可能である。磁気ヘッドは、記録用媒体ディスク180の任意の位置に移動可能である。
【0122】
図17(a)は、磁気記録装置の一部の構成を例示しており、ヘッドスタックアセンブリ160の拡大斜視図である。
図17(b)は、ヘッドスタックアセンブリ160の一部となる磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ:HGA)158を例示する斜視図である。
【0123】
図17(a)に示すように、ヘッドスタックアセンブリ160は、軸受部157と、ヘッドジンバルアセンブリ158と、支持フレーム161と、を含む。ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びる。支持フレーム161は、軸受部157から延びる。支持フレーム161の延びる方向は、ヘッドジンバルアセンブリ158の延びる方向とは逆である。支持フレーム161は、ボイスコイルモータ156のコイル162を支持する。
【0124】
図17(b)に示すように、ヘッドジンバルアセンブリ158は、軸受部157から延びたアーム155と、アーム155から延びたサスペンション154と、を有している。
【0125】
サスペンション154の先端には、ヘッドスライダ159が設けられる。ヘッドスライダ159に、実施形態に係る磁気ヘッドが設けられる。
【0126】
実施形態に係る磁気ヘッドアセンブリ(ヘッドジンバルアセンブリ)158は、実施形態に係る磁気ヘッドと、磁気ヘッドが設けられたヘッドスライダ159と、サスペンション154と、アーム155と、を含む。ヘッドスライダ159は、サスペンション154の一端に設けられる。アーム155は、サスペンション154の他端と接続される。
【0127】
サスペンション154は、例えば、信号の記録及び再生用のリード線(図示しない)を有する。サスペンション154は、例えば、浮上量調整のためのヒーター用のリード線(図示しない)を有しても良い。サスペンション154は、例えば発振素子などのためのリード線(図示しない)を有しても良い。これらのリード線と、磁気ヘッドに設けられた複数の電極と、が電気的に接続される。
【0128】
磁気記録装置150において、信号処理部190が設けられる。信号処理部190は、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。信号処理部190は、信号処理部190の入出力線は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158の電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に接続される。
【0129】
実施形態に係る磁気記録装置150は、磁気記録媒体と、実施形態に係る磁気ヘッドと、可動部と、位置制御部と、信号処理部と、を含む。可動部は、磁気記録媒体と磁気ヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で相対的に移動可能とする。位置制御部は、磁気ヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合わせする。信号処理部は、磁気ヘッドを用いた磁気記録媒体への信号の記録及び再生を行う。
【0130】
例えば、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク180が用いられる。上記の可動部は、例えば、ヘッドスライダ159を含む。上記の位置制御部は、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ158を含む。
【0131】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなり、前記微分抵抗は、前記印加電圧が第2電圧のときに第2微分抵抗ピークとなり、前記第2電圧は前記第1電圧よりも高く、
前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第2電圧未満である、磁気記録装置。
【0132】
(構成2)
前記印加電圧が前記第1電圧よりも高く前記第2電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生し、
前記印加電圧が前記第1電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、構成1に記載の磁気記録装置。
【0133】
(構成3)
前記交番磁界の周波数は、10GHz以上40GHz以下である、構成1または2に記載の磁気記録装置。
【0134】
(構成4)
前記記録動作において、前記第1磁極の電位は前記第2磁極の電位よりも高い、構成1~3のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0135】
(構成5)
前記記録動作において、前記第1磁極から前記第2磁極への向きの素子電流が前記磁気素子に流れ、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ、前記第2磁極から前記第1磁極への向きの電流が前記磁気素子に流れたときには、前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、構成1~4のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0136】
(構成6)
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記第2電圧よりも高いときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は、第1周波数の第1周波数ピークと、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークと、を含み、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記周波数成分は前記第1周波数ピークを含み前記第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、構成1~5のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0137】
(構成7)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧が第1印加電圧よりも高いときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は、第1周波数の第1周波数ピークと、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークと、を含み、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記周波数成分は前記第1周波数ピークを含み前記第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、磁気記録装置。
【0138】
(構成8)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなり、
前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第1電圧の5.4倍未満である、磁気記録装置。
【0139】
(構成9)
前記素子電圧は、前記第1電圧の5倍以下である、構成8に記載の磁気記録装置。
【0140】
(構成10)
前記印加電圧が前記第1電圧よりも高いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生し、
前記印加電圧が前記第1電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、構成8または9に記載の磁気記録装置。
【0141】
(構成11)
前記交番磁界の周波数は、10GHz以上40GHz以下である、構成8~10のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0142】
(構成12)
前記記録動作において、前記第1磁極の電位は前記第2磁極の電位よりも高い、構成8~11のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0143】
(構成13)
前記記録動作において、前記第1磁極から前記第2磁極への向きの素子電流が前記磁気素子に流れ、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ、前記第2磁極から前記第1磁極への向きの電流が前記磁気素子に流れたときには、前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、構成8~12のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0144】
(構成14)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第4磁性層の第4厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さは、前記第2厚さよりも厚く、前記第4厚さよりも厚い、構成1~13のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0145】
(構成15)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成14に記載の磁気記録装置。
【0146】
(構成16)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成14に記載の磁気記録装置。
【0147】
(構成17)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第4磁性層の第4厚さは、前記第2厚さよりも厚く、前記第3厚さよりも厚い、構成1~13のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0148】
(構成18)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成17に記載の磁気記録装置。
【0149】
(構成19)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さは、前記第3厚さよりも厚い、構成1~13のいずれか1つに記載の磁気記録装置。
【0150】
(構成20)
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、構成19に記載の磁気記録装置。
【0151】
(構成21)
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し、
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は第1周波数の第1周波数ピークを含み、前記周波数成分は、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、磁気記録装置。
【0152】
(構成22)
前記印加電圧が前記素子電圧よりも高いときに、前記周波数成分は、前記第2周波数ピークを含む、構成21に記載の磁気記録装置。
【0153】
実施形態によれば、記録密度の向上が可能な磁気記録装置が提供できる。
【0154】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0155】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、磁気ヘッド及び磁気記録装置に含まれる、磁極、磁気素子、磁性層、非磁性層、及び制御部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0156】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0157】
その他、本発明の実施の形態として上述した磁気記録装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての磁気記録装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0158】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0160】
20…磁気素子、 20D…素子回路、 21~24…第1~第4磁性層、 21M~24M…磁化、 30D…記録回路、 30F…媒体対向面、 30c…コイル、 30i…絶縁部、 31、32…第1、第2磁極、 31M、32M…磁化、 33…シールド、 41~45…第1~第5非磁性層、 60…記録部、 70…再生部、 71…磁気再生素子、 72a、72b…第1、第2再生磁気シールド、 75…制御部、 80…磁気記録媒体、 81…磁気記録層、 82…媒体基板、 83…磁化、 85…媒体移動方向、 110~113…磁気ヘッド、 150…磁気記録装置、 154…サスペンション、 155…アーム、 156…ボイスコイルモータ、 157…軸受部、 158…ヘッドジンバルアセンブリ、 159…ヘッドスライダ、 159A…空気流入側、 159B…空気流出側、 160…ヘッドスタックアセンブリ、 161…支持フレーム、 162…コイル、 180…記録用媒体ディスク、 180M…スピンドルモータ、 181…記録媒体、 190…信号処理部、 210…磁気記録装置、 AR…矢印、 D1…第1方向、 Int1…強度、 Iw…記録電流、 Rd1、Rd2…微分抵抗、 Re1、Re2…電気抵抗、 ST1~ST3…第1~第3状態、 T1、T2…第1、第2端子、 Tc1、Tc2…第1、第2コイル端子、 V1~V5…第1~第5電圧、 V20…素子電圧、 Va1…印加電圧、 W1、W2…第1、第2配線、 f1、f2…第1、第2周波数、 fr0…周波数、 fr21、fr23…発振周波数、 i1、i2…第1、第2電流、 ia1…供給電流、 ic…素子電流、 je…電子流、 p1、p2…第1、第2微分抵抗ピーク、 pf1、pf2…第1、第2周波数ピーク、 t21~t24…第1~第4厚さ、 t41~t45…厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2023-03-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し
記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなり、前記微分抵抗は、前記印加電圧が第2電圧のときに第2微分抵抗ピークとなり、前記第2電圧は前記第1電圧よりも高く、
前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第2電圧未満である、磁気記録装置。
【請求項2】
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記印加電圧が前記第1電圧よりも高く前記第2電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生し、
前記印加電圧が前記第1電圧よりも低いときに前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項3】
前記記録動作において前記磁気素子から交番磁界が発生し、
前記記録動作において、前記第1磁極から前記第2磁極への向きの素子電流が前記磁気素子に流れ、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ、前記第2磁極から前記第1磁極への向きの電流が前記磁気素子に流れたときには、前記磁気素子から前記交番磁界が発生しない、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項4】
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記第2電圧よりも高いときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は、第1周波数の第1周波数ピークと、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークと、を含み、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記周波数成分は前記第1周波数ピークを含み前記第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項5】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し
記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧が第1印加電圧よりも高いときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は、第1周波数の第1周波数ピークと、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークと、を含み、
前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される前記印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記周波数成分は前記第1周波数ピークを含み前記第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、磁気記録装置。
【請求項6】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し
記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなり、
前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第1電圧の5.4倍未満である、磁気記録装置。
【請求項7】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第4磁性層の第4厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さは、前記第2厚さよりも厚く、前記第4厚さよりも厚い、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項8】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の磁気記録装置。
【請求項9】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第1磁性層との間に設けられた第1非磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、
前記第2磁性層と前記第3磁性層との間に設けられた第3非磁性層と、
前記第3磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第4非磁性層と、
前記第4磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第5非磁性層と、
を含み、
前記第1非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第2非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第3非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第4非磁性層は、Cu、Au、Cr、V、Al及びAgよりなる群から選択された少なくとも1つを含み、
前記第5非磁性層は、Ru、Ir、Ta、Rh、Pd、Pt及びWよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項7に記載の磁気記録装置。
【請求項10】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
前記第3磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第4磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さよりも厚く、前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第4磁性層の第4厚さは、前記第2厚さよりも厚く、前記第3厚さよりも厚い、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項11】
前記磁気素子は、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた第1磁性層と、
前記第1磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第2磁性層と、
前記第2磁性層と前記第2磁極との間に設けられた第3磁性層と、
を含み、
前記第1磁極から前記第2磁極への第1方向に沿う前記第1磁性層の第1厚さは、前記第1方向に沿う前記第3磁性層の第3厚さよりも厚く、
前記第1方向に沿う前記第2磁性層の第2厚さは、前記第3厚さよりも厚い、請求項1に記載の磁気記録装置。
【請求項12】
第1磁極と、
第2磁極と、
前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、
前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、
前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、
コイルと、
を含む磁気ヘッドと、
前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続された制御部と、
を備え、
前記制御部は、記録動作が可能であり、
前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給し
記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧が前記素子電圧であるときに、前記磁気素子から得られる信号の周波数成分は第1周波数の第1周波数ピークを含み、前記周波数成分は、前記第1周波数よりも高い第2周波数の第2周波数ピークを含まない、または、前記第2周波数ピークの高さの前記第1周波数ピークの高さに対する比は、0.1以下である、磁気記録装置。
【請求項13】
前記印加電圧が前記素子電圧よりも高いときに、前記周波数成分は、前記第2周波数ピークを含む、請求項12に記載の磁気記録装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
実施形態によれば、磁気記録装置は、磁気ヘッド及び制御部を含む。前記磁気ヘッドは、第1磁極と、第2磁極と、前記第1磁極と前記第2磁極との間に設けられた磁気素子と、前記磁気素子の一端と電気的に接続された第1端子と、前記磁気素子の他端と電気的に接続された第2端子と、コイルと、を含む。前記制御部は、前記磁気素子及び前記コイルと電気的に接続される。前記制御部は、記録動作が可能である。前記制御部は、前記記録動作において、前記第1端子と前記第2端子との間に素子電圧を印加しつつ前記コイルに記録電流を供給する。前記コイルに前記記録電流が供給されつつ前記第1端子と前記第2端子との間に印加される印加電圧を変化させたときの前記磁気素子の微分抵抗は、前記印加電圧が第1電圧のときに第1微分抵抗ピークとなる。前記微分抵抗は、前記印加電圧が第2電圧のときに第2微分抵抗ピークとなる。前記第2電圧は前記第1電圧よりも高い。前記素子電圧は、前記第1電圧よりも高く前記第2電圧未満である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
印加電圧Va1が第1電圧V1よりも高く第2電圧V2未満のときに、第1磁性層21における発振周波数fr21は、第3磁性層23における発振周波数fr23と実質的に同じである。この状態(第2状態ST2)において、第1磁性層21の磁化21Mは、第3磁性層23の磁化23Mの磁化と同期して、逆位相で発振すると考えられる。