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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173966
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】水素ガス吸引具
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086543
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】510281874
【氏名又は名称】株式会社環境技研
(74)【代理人】
【識別番号】100158665
【弁理士】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勝義
(72)【発明者】
【氏名】山口 宣明
(57)【要約】
【課題】本発明は、携行でき、かつ簡単な操作で安定して多量の水素ガスを発生させて吸引できる水素ガス吸引具を提供することを目的とする。
【解決手段】有底筒状の胴部および口部とからなる容器と該口部に嵌合する蓋体と該容器に収納される中子とを有し、水素ガス発生体が入った不織布包装体に水を散布して発生する水素ガスを吸引することができる水素ガス吸引具であって、容器の口部は胴部よりも横断面積が大きく、容器の口部と胴部の境界において段差部が形成され、蓋体は、吸引パイプが挿通できる孔が形成され、中子は、上端が開口し下端が有底である筒状であって、上端の縁はフランジ部が形成され、該フランジ部で段差部に支持され容器に懸架されて保持され、中子の下端の底部には、吸引パイプが挿通できる孔と窪みと該窪みの底に水素ガスが通過できる孔とが形成され、該窪みには香玉が籠められている水素ガス吸引具。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の胴部および口部とからなる容器と該口部に嵌合する蓋体と該容器に収納される中子とを有し、マグネシウムとクエン酸とセルロースからなる水素ガス発生体が入った不織布包装体に水を散布して発生する水素ガスを吸引することができる水素ガス吸引具であって、
容器の口部は胴部よりも横断面積が大きく、容器の口部と胴部の境界において段差部が形成され、
蓋体は、吸引パイプが挿通できる孔が形成され、
中子は、上端が開口し下端が有底である筒状であって、上端の縁はフランジ部が形成され、該フランジ部で容器の段差部に懸架されて保持され、
中子の下端の底部には、吸引パイプが挿通できる孔と窪みと該窪みの底に水素ガスが通過できる孔とが形成され、該吸引パイプが挿通できる孔には吸引パイプが収納され、該窪みには香玉が籠められ、
水素ガス吸引時には、上記吸引パイプを蓋体に形成された孔に挿通して、中子の下端の底部に形成された窪みに当接させて水素ガスを吸引することができることを特徴とする水素ガス吸引具。
【請求項2】
前記中子の下端の底部の窪み以外の部位に傾斜部を設け、該傾斜部に前記吸引パイプが挿通できる孔を形成し、さらに該傾斜部の最も低い部位に散布した水を排出できる孔を形成したことを特徴とした請求項1に記載の水素ガス吸引具。
【請求項3】
前記中子のフランジ部の一部の部位と容器との間に間隙を形成し、水パックを該間隙から挿入して収納したことを特徴とする、請求項1または2に記載の水素ガス吸引具。
【請求項4】
前記中子と容器との間に間隙を形成し、水パックを該間隙から挿入して収納し、かつ前記容器の底部に水素ガス発生体が入った不織布包装体を収納したことを特徴とする、請求項1または2に記載の水素ガス吸引具。
【請求項5】
前記中子の香玉が籠められた窪みをスポンジ片で覆うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の水素ガス吸引具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素ガス吸引具、とりわけ携行するのに好適な水素ガス吸引具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素ガスを体内に取り込むことにより、健康の維持向上を図ることが注目されている。水素ガスの体内への吸引は、老化やがん、糖尿病、高血圧などの数多くの疾患に深く関わっているヒドロキシルラジカルなどの活性酸素を除去するといわれており、先進医療にも取り入れられている。
【0003】
水素ガスは、水の電気分解などにより容易に製造できるガスであり、特許文献1には、水の電気分解により発生させた水素ガスを吸引する吸引具の発明が記載されている。この吸引具は、カバン等に入れられて持ち歩くのに適したほどの小型化されたものであり、電気分解の電力の供給を内蔵する電池で行い、該電力の供給などを制御するための制御手段を備え、電極部にはチタン電極に連結されたメッシュ電極板を使用するなど部品点数が多いものであり、水素ガス発生に関わる操作が複雑であり、また高価なものとならざるを得ないものである。
この吸引具では、携帯できるように小型化されているために、電極面積や電池容量に制限を受け、短時間では比較的少量の水素ガスしか発生させることができない。
【0004】
他方、小型で軽量な携行できるようにした、水の電気分解に基づかない水素ガス吸引具の発明が特許文献2に記載さている。これは先端と後端が閉じられ、内部にマグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースからなる水素ガス発生体が入った筒状不織布を筒状ケースに収納し、筒状ケースの先端部に保水材を、後端部に吸水材をそれぞれ詰めてなるカートリッジを吸引具のホルダーに装着して、水素ガスを吸引するものである。
【0005】
この特許文献2に記載された水素ガス吸引具は、水素ガス発生体が収納されたカートリッジの先端部を容器やコップなどに蓄えられた水に数秒間浸して引き上げると、カートリッジの先端部に詰められた保水材に水が保水される。そして、この保水された水が粉末セルロースの吸水効果により、水素ガス発生体の内部に浸透して、マグネシウムとクエン酸が反応し水素ガスが発生する。
発生した水素ガスをホルダーの吸引口から吸引しはじめると、カートリッジ先端部の保水材から水が水素ガス発生体に補給され、反応が継続して水素ガスが所定時間発生し続ける。
【0006】
特許文献2に記載の水素ガス吸引具は、水素ガス発生体が収納されたカートリッジは5cm前後の長さのものであり、ホルダーも7cm前後のものであるから、カバンやハンドバッグ、衣服のポケットなどに入れたりして携行できるものである。
しかし、この発明では、カートリッジの先端を容器やコップに蓄えられた水に所定時間浸して引き上げることにより水素ガスが発生するが、カートリッジの先端から後端に向けて水素ガス発生の反応が起こるから、カートリッジの先端への水の浸し方や傾け方など操作に細心の注意を払う必要があり、吸引する水素ガスを安定して発生させることにやや難があり、また、カートリッジの先端から後端まで水素ガス発生の反応が完了するまで時間がかかり、短時間で比較的多量の水素ガスを吸引することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6464385号公報
【特許文献2】特許第6436325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような事情に鑑みて、本発明は、カバンやハンドバッグなどに入れたりして携行できるとともに、水素ガスを簡単な操作で安定して発生させて、短時間で比較的多量に水素ガスを吸引することができる水素ガス吸引具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
[1]有底筒状の胴部および口部とからなる容器と該口部に嵌合する蓋体と該容器に収納される中子とを有し、マグネシウムとクエン酸とセルロースからなる水素ガス発生体が入った不織布包装体に水を散布して発生する水素ガスを吸引することができる水素ガス吸引具であって、容器の口部は胴部よりも横断面積が大きく、容器の口部と胴部の境界において段差部が形成され、蓋体は、吸引パイプが挿通できる孔が形成され、中子は、上端が開口し下端が有底である筒状であって、上端の縁はフランジ部が形成され、該フランジ部で容器の段差部に懸架されて保持され、中子の下端の底部には、吸引パイプが挿通できる孔と窪みと該窪みの底に水素ガスが通過できる孔とが形成され、該吸引パイプが挿通できる孔には吸引パイプが収納され、該窪みには香玉が籠められ、水素ガス吸引時には、上記吸引パイプを蓋体に形成された孔に挿通して、中子の下端の底部に形成された窪みに当接させて水素ガスを吸引することができることを特徴とする水素ガス吸引具。
[2]前記中子の下端の底部の窪み以外の部位に傾斜部を設け、該傾斜部に前記吸引パイプが挿通できる孔を形成し、さらに該傾斜部の最も低い部位に散布した水を排出できる孔を形成したことを特徴とした[1]に記載の水素ガス吸引具。
[3]前記中子のフランジ部の一部の部位と容器との間に間隙を形成し、水パックを該間隙から挿入して収納したことを特徴とする、[1]または[2]に記載の水素ガス吸引具。
[4]前記中子と容器との間に間隙を形成し、水パックを該間隙から挿入して収納し、かつ前記容器の底部に水素ガス発生体が入った不織布包装体を収納したことを特徴とする、[1]または[2]に記載の水素ガス吸引具。
[5]前記中子の香玉が籠められた窪みをスポンジ片で覆うことを特徴とする、[1]または[2]に記載の水素ガス吸引具。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水素ガス吸引具は、水素ガス吸引具が容器、蓋体、中子および吸引パイプ等で構成され小型にできるから、カバンやハンドバッグなどに入れたりして携行できるとともに、水素ガス発生体が入った不織布包装体を容器に収納して、これに水を散布して水素ガスを発生させ、次いで容器に収納していた吸引パイプを蓋体に形成された孔に挿通して、水素ガスを吸引することができるので、簡単な操作で水素ガスを発生させて吸引することができ、また、吸引時には水素ガスに香玉の香りが移り吸引していることを実感できる。そして、マグネシウムとクエン酸とセルロースからなる水素ガス発生体が入った不織布包装体に水を散布して水素ガスを発生させるので、確実に水素ガスを安定して、しかも短時間で比較的多量の水素ガスを発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水素ガス吸引具の外観全体の正面図(a)と側面図(b)を示す。
図2】水素ガス吸引具の容器の正面図(a)と側面図(b)を示す。
図3】水素ガス吸引具の蓋体の縦断面図(a)と上面図(b)を示す。
図4】水素ガス吸引具の縦断面図を示す。吸引パイプが、(a)では中子の孔に挿通されて収納され、(b)では蓋体の孔に挿通されて収納されている。
図5】中子の縦断面図(a)および上面図(b)を示す。
図6】容器に懸架された中子の底部に形成され、香玉が籠められた窪みをスポンジ片が覆っている状態を示す。
図7】水素ガス発生体が入った不織布包装体の一例を示す図面代用写真である。
図8】スティック型の水パックを示す図面代用写真である。
図9】スティック型とは異なる水パックを示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水素ガス吸引具の実施形態を図面に基づいて説明する。以下、水素ガス吸引具を単に「吸引具」という。
吸引具の外観全体図を図1に示す。吸引具1は容器2および蓋体3を有し、容器2の内部に中子4を有している(図4参照)。
後述するように、容器2には水素ガス発生体が入った不織布包装体8を収納し、水素ガスを吸引する際には、水素ガス発生体が入った不織布包装体8に水を散布することにより発生する水素ガスを管からなる吸引パイプ5を介して吸引することができる。
【0013】
図2に容器2を示した。この図に示すように、容器2は有底筒状の胴部21と口部22を有し、胴部21と口部22とは横断面が相似形である。口部22の横断面積は胴部21の横断面積よりも大きく、胴部と口部の境には段差部23が形成されている。
段差部23を形成することにより容器は丈夫になり、把持されても容易には変形しないようにすることができる。後述するように、段差部23には中子4が懸架される。
【0014】
容器2の口部22には蓋体3が嵌合される。図3に示すように、蓋体3には吸引パイプ5を挿通することができる孔31が形成されている。後述するように、水素ガス吸引時には、孔31に吸引パイプ5を挿入して吸引する。孔31の径は吸引パイプ5の外径に等しく、吸引パイプ5の外周と孔31との間に間隙ができないようにしている。こうすることで、水素ガス吸引時に吸引パイプ5の外周と孔31との間から水素ガスが容易に漏れないようにしている。孔31は、図3に示す実施形態では蓋体3の縁寄りに形成されているが、この部位に限るものではない。なお、蓋体3には凹み(図面番号なし)を形成して蓋体3が変形しがたいものにしているが、この凹みはなくてもよい。
この実施形態では、図4に示すように、蓋体3の外周下端が容器2の口部22の内周に挿入されて嵌合しているが、逆でもよい。また、これに限らず、容器2と蓋体3との間に間隙ができないものであって、着脱が可能であればよい。
【0015】
図4に示すように、容器2内には中子が懸架した状態で収納される。
中子4は、図5に示すように、上端が開口し下端が有底の筒状体である。
中子4の開口している上端の縁にはフランジ部41が形成され、このフランジ部41が容器2の段差部23に支持されて、中子4は容器2に懸架した状態で収納される。
【0016】
中子4は、段差部23に支持されて容器2に懸架して保持されているだけであるから、中子4は容器2から容易に外すことができる。水素ガスを吸引する前に、中子4を外した状態で、容器2の胴部21の底に水素ガス発生体が入った不織布包装体8を載置して収納することができる。この水素ガス発生体が入った不織布包装体8に水を散布すると水素ガスが発生する。
【0017】
中子4の下端の底部42には、吸引パイプ5が挿通できる孔42aおよび香玉(芳香剤ボール)6が籠められる窪み42bが形成されている。そして、窪み42bの底には水素ガスが通過できる孔42cが形成されている。さらに、中子4の下端の底部42には、水素ガス吸引時に散布する水が滞留しないように、排出用の孔42dが形成されている。したがって、図4に示す実施形態では、中子の底部42は、吸引パイプ5が挿通できる孔42a、水素ガスが通過できる孔42cおよび散布した水の排出用の孔42dの3つの孔以外の部位で中子の底は塞がれている。
【0018】
水素ガスを吸引する際には、孔42aに挿通されている吸引パイプ5を引き抜いて水素ガスを吸引することになるが、水素ガス吸引時に散布する水は、吸引パイプ5が挿通できる孔42aからも滴下するので、排出用の孔42dは設けなくともよい。孔42dを設ける場合は、図4図5に示すように、中子4の下端の底部42の窪み42b以外の部位に傾斜部を設け、この傾斜部の最も低い部位に散布した水の排出用の孔42dを形成することが望ましい。
【0019】
中子4の下端の底部に形成された孔42aは、図4(a)に示すように、吸引パイプ5を容器2に収納するために利用されるものであり、また、水素ガス吸引時には、後述するように、水素ガス発生体が入った不織布包装体8に散布する水が通過する孔としても利用される。吸引パイプ5は蓋体3が嵌合された容器2に収まる程度の長さになっており、水素ガスを吸引しないときは、孔42aに吸引パイプ5を挿通して収納した状態で吸引具1を携行することができる。
【0020】
中子4の下端の底部42に形成された水素ガスが通過できる孔42cは、香玉(芳香剤ボール)6が籠められる窪み42bの底に形成されているが、後述するように、水素ガス吸引時には、水素ガス発生体が入った不織布包装体8から発生する水素ガスはこの孔42cを通過し、次いで香玉6の外周を通過して、蓋体の孔31に挿通されて窪み42bに当接される吸引パイプ5で吸引される〔図4(b)参照〕。このとき、水素ガスに香玉6の香りが移り、この香りにより、吸引者は水素ガスを吸引していると実感できる効果がある。また、水素ガス発生の初期には、水素ガス発生体の金属(Mg)の臭いが水素ガスに移ることがあるが、香玉6はこの臭いを和らげる作用もある。
【0021】
香玉6には径が5mm前後のものが使用され、香玉6が籠められる窪み42bの内径もその程度であり、水素ガスが通過する孔42cの径も1~3mm前後で十分である。香玉6と窪み42bとの間には微細な間隙があり、極めて小さい水素ガス分子はこの間隙を通過することができ、水素ガスの吸引が妨げられることはない。
【0022】
吸引パイプ5の内径は、窪み42bの開口部断面の内径と同程度か、それよりもよりも少し大きくしておくことが望ましい。また、図4図5に示すように、窪み42bの開口部を板状のスポンジ片7で覆い、その上から吸引パイプを当接して吸引することが望ましい。こうすることで、吸引パイプ5が位置ずれすることなく窪み42bに当接することができる。
【0023】
図4(b)に示すように、吸引具1を垂直に立てた状態で、窪み42bは蓋体3の孔31の真下に位置するように形成する。こうすることで、水素ガス吸引時に安定して吸引パイプ5を窪み42bに当接しやすくしている。ここでは、窪み42bは、孔31が蓋体3の縁寄りに形成されているのと同様に、中子4の底部42の縁寄りに形成しているが、この位置に限らず、孔31も窪み42bもともに中央寄りに形成してもよい。
【0024】
図5(b)に示されているように、有底の筒状体である中子4の筒状部の横断面形状は、中央部近くでくびれて異形になっており、中子4の上端に形成されているフランジ部41もフランジ幅が一定ではなく、筒状部の一部の部位〔図5(b)では下の部位〕ではフランジ幅が狭くなり、他の一部の部位〔図5(b)では上の部位〕ではフランジ幅が広くなっている。フランジ幅が狭くなっている部位の一部では、フランジ部41は容器2の段差部23に支持されておらず、容器2と中子4のフランジ41との間に間隙が形成される。この間隙に水パック9を挿入することができる。このようにして、段差部23に支持されて容器2に懸架された中子4のフランジ部41と容器2との間に形成される間隙から水パック9を挿入して、容器2に水パック9を収納することができる。
容器2との間に間隙を形成するフランジ部41の長さは、フランジ部41の全周長の1/3の長さ以内に収めることが望ましい。この範囲であれば、中子4を安定して容器2に懸架できる。
【0025】
水パック9は収納した水パック9の上端が容器2とフランジ部41との間隙から少し飛び出す寸法にしておく。こうすることで、水素ガスを吸引する際に、容器2に収納した水パック9を容易に取り出すことができ、次いでこれを開封することにより、容器2内の中子4の下に収納された水素ガス発生体が入った不織布包装体8に容器2の上から水を散布することができる。水パック9は、図8に示すように、上記の間隙に収納しやすいようにスティック型のものが望ましい。
【0026】
図5(b)に示す実施形態では、中子4の筒状部の一部の部位ではフランジ幅を狭くして、容器2と中子4のフランジ41との間に間隙を形成していたが、このような間隙を形成しないで、中子4のフランジ部41のすべての部位で、フランジ部41が容器2の段差部23に支持されて、容器2と中子4のフランジ41と間に間隙を形成しないようにすることができる。
この場合、中子4の筒状部の横断面形状は、中央部近くでくびれて異形にする必要がなく、フランジ41の幅もおおむね一定にすることができる。この実施形態では、中子4のフランジ41と容器2の間隙に水パックを挿入することはできないが、容器2に懸架している中子4を外し、容器2の底部42に、図9に示すような一辺の長さがスティック型のもより短い水パック9を採用するなどして収納することができる。
【0027】
散布された水は、中子の底部42に形成された孔42aと孔42dを通過して水素ガス発生体が入った不織布包装体8に滴下される。中子の底部42は、図4図5に示すように、傾斜した部位を設け、その最も低い部位に排水用孔42dを設けておくと、散布した水が滞留しないので望ましい。
このように、本発明の吸引具1は、容器2に水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9と吸引パイプ5を収納しておけば、水の確保ができないところでも水素ガスを発生させて吸引することができる。
【0028】
吸引具1は水素ガス吸引者が握れる程度の太さであり、高さも80mm前後にすることが携行するうえで望ましい。容器2の横断面の形状は特に限定しないが、略長方形や楕円形や卵形が把持する上で好適である。また、容器2は底部に向かうにしたがって先細状にするとより把持しやすい。
吸引具1の容器2や蓋体3や中子4はそれぞれ、樹脂材料を射出成形することなどにより一体的に製造することができる。また、これらを紙製材料により製造してもよい。
【0029】
水素ガス発生体が入った不織布包装体8に散布する水は、蛇口からの水やペットボトルの水なども使用することができるが、水パック9には水素ガス発生体が入った不織布包装体8の水素ガス発生の反応に見合う適量な水を封入するので、過剰の水や過少の水を散布することが避けられる利点がある。
【0030】
図7に水素ガス発生体が入った不織布が入った不織布包装体8の一例を示す。
水素ガス発生体が入った不織布包装体8は、例えば矩形の不織布を二つ折りして合わせ幅端部を閉じ袋状とし、開口部から内部に水素発生体を入れた後に開口部を閉じることでつくることができる。不織布としては、例えば、お茶パックなどに使用される親水性の食品用不織布を使用することができる。
水素ガス発生体が入った不織布包装体8に水を散布すると、水は容易に不織布を通過して水素ガス発生体に浸透し水素ガスが発生する。
【0031】
水を散布して水素ガスを発生させる水素ガス発生体としては、金属マグネシウムとクエン酸を含む混合物が使用できるが、特許文献2に記載されているように、マグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースの混合物を採用することができる。この混合物に水を散布すると、マグネシウムとクエン酸が反応して、水素ガスが発生する。この反応では水の電気分解のように酸素ガスが発生しない。
なお、ここで「粉粒体」とは、粉粒体を構成する粒子が粉(こな)状の粒子や粒径が1mm程度以下の粒状の粒子を含むものを意味している(特許文献2参照)。
【0032】
マグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースの混合物は、混合物の素材が分離しないようにすることが化学反応を継続させ、より安定して効率よく水素ガスを発生させることができるので、マグネシウム粉粒体とクエン酸粉粒体および粉末セルロースからなる3種の素材の混合物を団粒化したものを使用することが望ましい。団粒化する方法も特許文献2に記載されている。
【0033】
マグネシウム粉粒体、クエン酸粉粒体および粉末セルロースを質量比で1:3~9:1~3程度の割合で混合して団粒化した約3gの水素ガス発生体を不織布包装体に収納して、水を散布して反応させると、水素ガスを1分ほど反応が継続して、その間に総量80ml程度発生させることができる。このとき、反応に必要な水は2.5cc程度であるが、散布する水は余裕をみて3~5cc程度で十分である。
【0034】
水素ガス発生体は、上述したように、3グラム程度でよく、水素ガス発生体が入った不織布包装体8は、閉じ代を8mm程度にして、閉じ代を含めても長さと幅が50mm程度で厚みが8mm程度の扁平状のものとすることができる。
扁平状の水素ガスが入った不織布包装体8は可撓性があるので、中子4を外した容器2の底部42の面に接するようにたやすく配置して中子4の底部42と容器2の底部との間の空間に収納することができる。
【0035】
水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9を容器2に収納して、吸引具1をカバンやハンドバッグに入れて携行することができるので、どこでも水素ガスが吸引できる。
また、予備の水素ガス発生体が入った不織布包装体8および水パック9をカバンやハンドバッグに入れて携行すれば、吸引具を使用して、繰り返して水素ガスを吸引することができる。
【0036】
図8に水パック9として、スティック型のものを示す。このスティック型の水パックは、ポリエチレン樹脂とアルミ箔のラミネートフィルムで水を包んだ長尺状(短辺方向に対して長辺方向が長い形態)のものである。一方の端部に切り込みを入れておくと、切り込みから破り封入された水を散布しやすい。これに限らず、図9に示すような透明の樹脂膜で水を包んだ扁平状の水パックも使用できる。
【0037】
水パック9には、水素ガス発生体の量に見合う水を入れておけばよく、上記の水素ガス発生体が3g程度である場合、3~5ccの量の水で十分であるから、容器2に収納できる大きさにすることが可能である。
また、水素ガス発生体の量に見合う量の水を散布することができる点でも、水パック9の使用は、過少の水を散布して水素ガスが十分に発生しないことや過剰の水を散布することを避けることができる。
【0038】
容器2の底に配置された水素ガス発生体の入った不織布包装体8に、中子4の上から水を散布すると水素ガスが発生する。このとき、散布した水は、中子4の孔42aや孔42dから滴下して、直ちに水素ガス発生体の入った不織布包装体8に達するので、水が不織布内の水素ガス発生体に速やかに浸透して確実に反応が生じ、安定して水素ガスが発生する。
このように、吸引者は、吸引パイプ5を引き抜いて容器2内の水素ガス発生体の入った不織布包装体8に水を散布し、次いで蓋体3を装着した後に蓋体の孔31に吸引パイプ5を挿通して、水素ガスを吸引することができる〔図4(b)参照〕。
【0039】
すでに記載したように、約3gの水素ガス発生体の入った不織布包装体8に水を散布することにより、1分間におよそ80mlの水素ガスを発生させることができる。特許文献2に記載されている吸引具では、発生する水素ガスは15分間でせいぜい80ml程度である。また、引用文献1に記載されている吸引具でも、小型の電気分解式であるため、発生する水素ガスの量は、1分当たりせいぜい数ml程度と考えられる。
このように、本発明の吸引具は、短時間で比較的多量の水素ガスを吸引でき、所定量の水素ガスの吸引に拘束される時間を短くできるものである。
【0040】
水素発生体のマグネシウムとクエン酸の反応は発熱反応であるので、容器2内で水素が発生すると、容器2の表面が50℃くらいになることがある。容器2に断熱効果を有するもの、例えばエンボス加工を施したものを使用したり、ダンボール製のスリーブを紙コップに巻いたりして対応することができる。
【0041】
吸引具1の大きさは、人が把持できる程度であれば特に制限は無いが、不織布包装体8に包装された水素ガス発生体が3g程度であれば、蓋体3が嵌合された吸引具1の高さを80mm程度、容器2の口部22の横断面の長さを60mm程度、底部42の横断面の長さを40mm程度にすることができる。
この場合、水パック9の水量は3~5cc程度でよいから、水パック9は容器2に収納できる程度の寸法にすることができる。
【0042】
以下、吸引具1から水素ガスを吸引する基本的な手順をステップ1~ステップ3に示す。予め、吸引具1の容器2には水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9と吸引パイプ5が収納されているものとする。水素ガス発生体が入った不織布包装体8は中子4を外して容器2の底部に載置して収納しておき、水パック9は、中子4の側面と容器2の胴部21との間に形成される間隙あるいは容器2の底部2に収納され、吸引パイプ4は中子の底部42に形成された孔42aに挿通して収納しておく。なお、水素ガスを吸引する手順はステップ1~ステップ3に限るものではない。
【0043】
<ステップ1>
容器2から蓋体3を外し、容器2内の中子の孔42aに挿通されている吸引パイプ5を抜いて取り出すとともに、水パック9も中子4の側面と容器2の胴部21との間に形成される間隙あるいは中子4を外し容器2の底部からから取り出す。
<ステップ2>
水パック9を開封して、容器2に再び懸架した中子4の上から水を散布する。水は、中子4の底部42に形成された孔42aと孔42dとから滴下し、水素ガス発生体が入った不織布包装体8に浸透し、水素ガスが発生する。
<ステップ3>
直ちに容器2の口部22に蓋体を嵌合して、蓋体に形成された孔31に吸引パイプ5を挿通し、中子4の底部42に形成された窪み42bの開口部に当接させて、水素ガスを吸引する。
【0044】
ステップ1~ステップ3に示したように、予め水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9と吸引パイプ5が収納された吸引具1を携行すれば、水の入手ができないところでも水素ガスを吸引することができる。
また、予備の水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9を用意しておけば、ステップ1~ステップ3で使用した吸引具1の容器2と蓋体3は繰り返し使用して水素ガスを吸引することができる。
【0045】
吸引具1の容器2に吸引パイプ5と水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9とを収納して携行すれば、水の入手が困難なところでも、水素ガスを吸引できて便利である。その際、水素ガス発生体が入った不織布包装体8と水パック9とを、予備としてカバンやハンドバッグに入れて携行すれば、簡単な操作で繰り返し水素ガスを吸引することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、簡単な操作で水素ガスを吸引することができ、また吸引具が繰り返し使用できるから、日常的に水素ガスを吸引することを望む人々の期待に応えるものである。
【符号の説明】
【0047】
1:水素ガス吸引具
2:容器
21:胴部
22:口部
23:段差部
3:蓋体
31:(吸引パイプが挿通できる)孔
4:中子
41:フランジ部
42:底部
42a:(吸引パイプが挿通できる)孔
42b:窪み
42c:(水素ガスが通過できる)孔
42d:散布した水の排水用孔
5:吸引パイプ
6:香玉(芳香剤ボール)
7:スポンジ片
8:水素ガス発生体が入った不織布包装体
9:水パック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9