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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173967
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】点灯制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/34 20060101AFI20231130BHJP
   B60Q 1/38 20060101ALI20231130BHJP
   B60Q 1/52 20060101ALI20231130BHJP
   B60Q 1/46 20060101ALI20231130BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20231130BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20231130BHJP
【FI】
B60Q1/34 A
B60Q1/38 B
B60Q1/52
B60Q1/46
H05B47/165
H05B47/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086544
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯野 英介
(72)【発明者】
【氏名】重松 克也
(72)【発明者】
【氏名】増山 聖人
【テーマコード(参考)】
3K273
3K339
【Fターム(参考)】
3K273PA07
3K273QA24
3K273RA13
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA30
3K273TA31
3K273TA33
3K273TA37
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA49
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA29
3K339AA22
3K339AA23
3K339AA24
3K339AA25
3K339BA09
3K339BA11
3K339BA23
3K339BA28
3K339CA12
3K339DA01
3K339FA02
3K339GB01
3K339GB21
3K339JA02
3K339JA04
3K339JA21
3K339KA13
3K339KA39
3K339MC58
3K339MC65
3K339MC77
3K339MC96
(57)【要約】
【課題】システムの複雑化を回避しつつ、様々な点灯形態に対応可能な点灯制御装置を提供する。
【解決手段】点灯回路と、点灯回路に接続された第1の出力部と、点灯回路に接続された第2の出力部と、入力信号を受けて、第1のランプのみを点滅させる第1の点灯状態、または、第1のランプおよび第2のランプを同期して点滅させる第2の点灯状態のうちのいずれかを点灯回路に指定する入力回路と、を備え、点灯回路は、入力回路により第1の点灯状態が指定された場合には、第1の出力部から第1のランプのみに電流を供給し、入力回路により第2の点灯状態が指定された場合には、第1の出力部から第1のランプに電流を供給するとともに、第2の出力部から第2のランプに電流を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたランプの点灯状態を制御する点灯制御装置であって、
電源からの電流供給を受けて、第1のランプおよび第2のランプを点滅させる点灯回路と、
前記点灯回路に接続された第1の出力部と、
前記点灯回路に接続された第2の出力部と、
入力信号を受けて、前記第1のランプのみを点滅させる第1の点灯状態、または、第1のランプおよび第2のランプを同期して点滅させる第2の点灯状態のうちのいずれかを前記点灯回路に指定する入力回路と、
を備え、
前記点灯回路は、
前記入力回路により前記第1の点灯状態が指定された場合には、前記第1の出力部から前記第1のランプのみに電流を供給し、
前記入力回路により前記第2の点灯状態が指定された場合には、前記第1の出力部から前記第1のランプに電流を供給するとともに、前記第2の出力部から前記第2のランプに電流を供給する、点灯制御装置。
【請求項2】
選択信号を受けて、前記点灯回路に対し、複数の点滅周波数の中から一の点滅周波数を選択する周波数設定回路を備え、
前記点灯回路は、前記第2の点灯状態において、前記周波数設定回路により選択された前記点滅周波数で第1のランプおよび第2のランプを同期して点滅させる、請求項1に記載の点灯制御装置。
【請求項3】
前記点滅周波数は、前記周波数設定回路に設けられた、抵抗とコンデンサとを互いに直列接続した充放電回路における充放電の速度に応じて選択され、
前記周波数設定回路は、前記コンデンサの容量を切り替えることにより、前記点滅周波数を切り替える、請求項2に記載の点灯制御装置。
【請求項4】
前記第1の点灯状態および前記第2の点灯状態にそれぞれ対応する複数の前記入力信号が競合する場合、前記入力回路は、前記第2の点灯状態を優先的に前記点灯回路に指定する、請求項1~請求項3のうちいずれか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項5】
複数の前記点滅周波数にそれぞれ対応する複数の前記選択信号が競合する場合、前記周波数設定回路は、前記点滅周波数として所定周波数を優先的に選択する、請求項1~請求項4のうちいずれか1項に記載の点灯制御装置。
【請求項6】
アンサーバック機能に対応する接続線を備え、
前記接続線は、前記点灯回路を経由せずに前記第1の出力部および前記第2の出力部と前記電源との間を接続する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の点灯制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、点灯制御装置から点滅信号をウィンカーランプに出力することにより、ウィンカーランプを点灯させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-214019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシステムでは、点灯制御装置に、左右のウィンカーランプへの電流供給を振り分けるスイッチが必要となる。また、ハザードのように左右のウィンカーランプを同時に点滅させるためには、さらに配線やスイッチが必要となる。
【0005】
図5は、ウィンカーランプを左右別々に点滅させるとともに、左右同時に点滅させることも可能とするシステムを例示する図である。図5において、LEDランプ装置3Lは、左側のフロントウィンカーに、LEDランプ装置3Rは、右側のフロントウィンカーに、それぞれ対応する。また、LEDランプ装置4Lは、左側のリアウィンカーランプに、LEDランプ装置4Rは、右側のリアウィンカーランプに、それぞれ対応する。
【0006】
この場合、点灯制御装置110には、LEDランプ装置3L、3R、4L、4Rに同時に点滅信号を出力する出力回路110aと、LEDランプ装置3L、4L、または、LEDランプ装置3R、4Rに点滅信号を出力する出力回路110bと、が設けられる。また、出力回路110bからの点滅信号の出力先を左右に切り替えるためのスイッチ120も必要となる。このように、点灯制御装置110の出力側にスイッチを設けることにより、ウィンカーランプの点灯の形態を切り替えることは可能であるが、ハーネスによる配線が複雑になるなど、システムの複雑化や実装コストの上昇を招くという問題がある。
【0007】
また、アンサーバック機能やESS(緊急制動信号システム)を導入する場合には、ウィンカーランプの点灯形態として、さらに多くの形態を用意しなければならない。この場合には、点灯制御装置110の出力側にスイッチや配線を追加する必要があり、システムがさらに複雑化する。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、システムの複雑化を回避しつつ、様々な点灯形態に対応可能な点灯制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
車両に設けられたランプの点灯状態を制御する点灯制御装置であって、
電源からの電流供給を受けて、第1のランプおよび第2のランプを点滅させる点灯回路と、
前記点灯回路に接続された第1の出力部と、
前記点灯回路に接続された第2の出力部と、
入力信号を受けて、前記第1のランプのみを点滅させる第1の点灯状態、または、第1のランプおよび第2のランプを同期して点滅させる第2の点灯状態のうちのいずれかを前記点灯回路に指定する入力回路と、
を備え、
前記点灯回路は、
前記入力回路により前記第1の点灯状態が指定された場合には、前記第1の出力部から前記第1のランプのみに電流を供給し、
前記入力回路により前記第2の点灯状態が指定された場合には、前記第1の出力部から前記第1のランプに電流を供給するとともに、前記第2の出力部から前記第2のランプに電流を供給する、点灯制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、システムの複雑化を回避しつつ、様々な点灯形態に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施例の点灯制御装置を備える点灯制御システムの構成を示す図である。
図2】周波数設定回路の構成例を示す図である。
図3】充電電圧と、点灯回路内のカウンタの波形との関係を示す図である。
図4】抵抗値を変化させることにより、点滅周期を可変する例(比較例)を示す図である。
図5】ウィンカーランプを左右別々に点滅させるとともに、左右同時に点滅させることも可能とするシステム例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施例の点灯制御装置を備える点灯制御システムの構成を示す図である。以下、点灯制御システムとして、自動二輪車のウィンカーランプの点灯状態を制御するシステムについて説明するが、本発明は、自動二輪車のウィンカーランプの点灯状態を制御する場合に限定されず、任意の車両のランプの点灯状態を制御する装置に適用される。
【0014】
図1に示すように、点灯制御システムは、電源電圧VBを供給する電源としてのバッテリーBTと、バッテリーBTに接続されたイグニッションスイッチIswと、左側のウィンカーランプまたは右側のウィンカーランプを点滅させる指示の手動操作を受けるターンシグナルスイッチTSswと、ハザードの出力指示の手動操作を受けるハザードスイッチHZswと、バッテリーBTに接続されたアンサーバックスイッチABswと、ウィンカーの点灯状態を制御する点灯制御装置10と、ESS(緊急制動信号システム)ユニット20と、点灯制御装置10を経由するバッテリーBTからの駆動電流が供給されるLEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rと、インディケーター5L、5Rと、を備える。
【0015】
LEDランプ装置3Lは、左側のフロントウィンカーに、LEDランプ装置3Rは、右側のフロントウィンカーに、それぞれ対応する。また、LEDランプ装置4Lは、左側のリアウィンカーランプに、LEDランプ装置4Rは、右側のリアウィンカーランプに、それぞれ対応する。
【0016】
インディケーター5L、5Rは、それぞれ、LEDランプ装置4L、4Rと並列接続され、LEDランプ装置4L、4Rと同時に点灯(点滅)することで、運転者にLEDランプ装置4L、4Rの点灯状態を知らせる機能を有する。
【0017】
点灯制御装置10は、入力側にターンシグナルスイッチTSswおよびハザードスイッチHZswがそれぞれ接続されたターンシグナル入力回路11(入力回路の一例)およびハザード認識回路12と、ESSユニット20から出力されるESS信号Sを受けるESS信号入力回路13(入力回路の一例)と、ESS信号入力回路13からの周波数切替信号S1を受ける周波数設定回路14と、ターンシグナル入力回路11およびESS信号入力回路13から出力される左信号LS1および右信号RS1を受ける点灯回路15と、点灯回路15に接続された出力部17L、17Rと、点灯回路15に接続された出力部18L、18Rと、を備える。
【0018】
図1に示すように、出力部17L、17Rには、LEDランプ装置3L、3Rがそれぞれ接続され、出力部18L、18Rには、LEDランプ装置4L、4Rがそれぞれ接続されている。LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rは、出力部17L、17Rおよび出力部18L、18Rを介する点灯回路15からの電流の供給を受けて、点滅するように構成されている。
【0019】
また、点灯制御装置10は、アンサーバックスイッチABswを経由してバッテリーBTに接続された接続線16Aと、接続線16Aを出力部17L、17Rおよび出力部18L、18Rに合流させるアンサーバック対応回路16と、を備える。アンサーバック対応回路16には、点灯回路15からバッテリーBT側への電流の逆流を防止するためのダイオードD1~D4が設けられている。
【0020】
次に、本実施例の点灯制御装置10の動作について説明する。
【0021】
イグニッションスイッチIswがオンし、ターンシグナルスイッチTSswがオンし、ハザードスイッチHZswがオフしているとき、ターンシグナル入力回路11には、ターンシグナルスイッチTSswへの操作方向に対応する左信号LSまたは右信号RSが入力される。このとき、ターンシグナル入力回路11は、左信号LSの入力に対応して左信号LS1を出力し、または右信号RSの入力に対応して右信号RS1を出力する。
【0022】
点灯回路15は、ターンシグナル入力回路11からの左信号LS1のみを受けた場合には、出力部17Lおよび出力部18Lを介して、LEDランプ装置3L(第1のランプの一例)およびLEDランプ装置4L(第1のランプの一例)にバッテリーBTからの電流を供給し、LEDランプ装置3LおよびLEDランプ装置4Lをターンシグナルとして点滅させ、左折などの運転者の意思を表示する(第1の点灯状態の一例)。
【0023】
点灯回路15は、ターンシグナル入力回路11からの右信号RS1のみを受けた場合には、出力部17Rおよび出力部18Rを介して、LEDランプ装置3RおよびLEDランプ装置4RにバッテリーBTからの電流を供給し、LEDランプ装置3RおよびLEDランプ装置4Rをターンシグナルとして点滅させ、右折などの運転者の意思を表示する(第1の点灯状態の一例)。
【0024】
イグニッションスイッチIswがオンし、ハザードスイッチHZswがオンしているとき、ターンシグナル入力回路11には、左信号LSおよび右信号RSが入力される。このとき、ターンシグナル入力回路11は、左信号LS1および右信号RS1を出力する。
【0025】
点灯回路15は、ターンシグナル入力回路11からの左信号LS1および右信号RS1の両者を同時に受けた場合には、出力部17L、17Rおよび出力部18L、18Rを介して、LEDランプ装置3L、LEDランプ装置3R(第2のランプの一例)、LEDランプ装置4LおよびLEDランプ装置4R(第2のランプの一例)を同時に第1の周波数で同期して点滅させ、ハザードを表示する(第2の点灯状態の一例)。
【0026】
イグニッションスイッチIswがオンしており、ESS信号入力回路13がESSユニット20からESS信号Sを受けたとき、ESS信号入力回路13は、左信号LS1および右信号RS1を同時に出力する。また、このとき、ESS信号入力回路13は、周波数切替信号S1を周波数設定回路14に向けて出力する。周波数切替信号S1を受けた周波数設定回路14は、点滅周波数を第1の周波数よりも高い第2の周波数に切り替える。なお、ESSユニット20は、例えば、走行中に急ブレーキをかけた際にESS信号を出力する。
【0027】
点灯回路15は、ターンシグナル入力回路11からの左信号LS1および右信号RS1の両者を同時に受けると、出力部17L、17Rおよび出力部18L、18Rを介して、LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rを同時に第2の周波数で同期させて点滅させ、ESSが動作していることを表示する(第2の点灯状態の一例)。これにより、後続車の追突防止を図ることができる。
【0028】
図2は、周波数設定回路の構成例を示す図である。
【0029】
図2の例では、周波数設定回路14は、充放電回路14Aと、周波数切替回路14Bとを備える。
【0030】
充放電回路14Aでは、電圧VCCとグランドの間に、抵抗R1、抵抗R2、コンデンサC1およびコンデンサC2が直列に接続されて、充放電回路14Aの抵抗値(合成抵抗値)およびコンデンサ容量(合成容量)により充放電の時定数が規定される。抵抗R1と抵抗R2の接続点は、点灯回路15の端子DISCに接続され、抵抗R2とコンデンサC1の接続点は、点灯回路15の端子CRTに接続されている。
【0031】
周波数切替信号S1が周波数切替回路14Bに入力されていない場合、電源電圧VBからグランドへ向かう電流i0により抵抗R0の両端に電圧が発生し、この電圧によりFET14aがオンし、コンデンサC2が短絡されている。したがって、充放電回路14Aのコンデンサ容量はコンデンサC1の容量となる。
【0032】
周波数切替信号S1が周波数切替回路14Bに入力されている場合、周波数切替回路14Bのトランジスタ14bがオンし、FET14aのゲート電圧が低下するため、FET14aがオフする。このため、充放電回路14Aのコンデンサ容量はコンデンサC1とコンデンサC2とを直列した容量となる。
【0033】
点灯回路15は、端子CRTの電圧が所定の電圧V1を超えると、端子DISCをグランドに接続し、端子CRTの電圧が所定の電圧V2を下回ると、端子DISCを解放する動作を繰り返す。これにより、端子CRTの電圧が、電圧V1と電圧V2との間を往復する。
【0034】
図3は、充電電圧と、点灯回路内のカウンタの波形との関係を示す図である。
【0035】
図3の波形51は、周波数切替信号S1が周波数切替回路14Bに入力されていない場合、すなわち、充放電回路14Aのコンデンサ容量がコンデンサC1の容量である場合の充電電圧(端子CRTの電圧)を示している。図3の波形53は、波形51に対応する点灯回路15内のカウンタの波形を示している。波形53に示すように、端子CRTの電圧が電圧V1および電圧V2に到達するタイミングで、カウンタのオン、オフが繰り返される。点滅周期および点滅のデューティー比は、点灯回路15の機能により、波形53が示す充放電の周期のカウント数に基づいて制御される。例えば、ターンシグナル、ハザード、ESS動作時には、カウンタの波形53の所定数の周期(例えば、512周期)を点滅の1周期に対応させ、点滅のデューティー比を50パーセントとしてもよい。
【0036】
図3の波形52は、周波数切替信号S1が周波数切替回路14Bに入力されている場合の充電電圧(端子CRTの電圧)を示している。また、波形54は、波形52に対応する点灯回路15内のカウンタの波形を示している。この場合には、充放電回路14Aのコンデンサ容量はコンデンサC1とコンデンサC2とを直列した容量となるため、充電速度および放電速度が上昇し、波形52および波形54の周期が短くなる。したがって、点滅の周期も波形54の周期に応じて短くなる。
【0037】
本実施例では、充放電回路14Aのコンデンサ容量を切り替えることにより、充放電回路14Aの時定数を変化させているので、充電速度および放電速度の速度を同時に切り替えることができ、点滅周期を広い範囲で変化させることができる。このため、例えば、LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rをウィンカーポジションライトとして使用する場合など、点滅周期をハザード時よりも長くしたい場合にも対応可能となる。
【0038】
なお、比較例として、コンデンサの容量を変化させる代わりに、抵抗の抵抗値を変化させることも考えられる。
【0039】
図3Aは、抵抗値を変化させることにより、点滅周期を可変する例(比較例)を示す図である。
【0040】
図3Aにおいて、周波数切替回路114Bに周波数切替信号S1が入力されると、トランジスタ114bがオンし、電流iが流れる。このため、抵抗rの両端に発生する電圧によりFET114aがオンし、抵抗R1と並列に抵抗R3が挿入される。
【0041】
この場合、抵抗R1と並列に抵抗R3が挿入されることにより、充電速度が上昇し、その充電速度の上昇分だけ、点滅周期を短くすることができる。しかし、図3Aの場合には、抵抗R1および抵抗R3からなる経路は放電に寄与しないため、放電速度を速めることはできない。このため、点滅周期を大きな幅で変化させることができなくなる。したがって、例えば、LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rを、ウィンカーポジションランプとして使用する場合など、点滅周期をハザード時よりも長くしたい場合に対応できなくなる。
【0042】
次に、本実施例では、LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rを点灯させる複数の形態の間に、優先順位を付けている。
【0043】
まず、本実施例では、アンサーバック機能が最優先される。図1に示すように、アンサーバックスイッチABswがオンすると、接続線16Aを経由して、バッテリーBTからの電流がLEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rに供給される。接続線16Aを経由する電流供給は、点灯回路15の動作と無関係であり、また、この電流は他のスイッチも経由しない。このため、アンサーバックスイッチABswがオンすれば、必ず、LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rが点灯する。なお、アンサーバック機能は、エンジン操作あるいはリモコン施錠操作、リモコン解錠操作に応じて、施錠または解錠の実行を通知する機能である。
【0044】
また、本実施例では、ハザードとターンシグナルとが競合する場合、ハザードが優先される。
【0045】
図1に示すように、本実施例では、ハザードスイッチHZswがオンされると、ターンシグナルスイッチTSswの状態と無関係に、ターンシグナル入力回路11には、左信号LSおよび右信号RSが入力される。このため本実施例では、ターンシグナルに対し、ハザードが優先される。
【0046】
さらに、本実施例では、ハザードとESS信号Sが競合する場合、ハザードが優先される。
【0047】
本実施例では、ハザードスイッチHZswがオンしているとき、ハザード認識回路12は、ハザードスイッチHZswがオンしていることを左信号LSおよび右信号RSが入力されていることにより認識する。また、ハザードスイッチHZswがオンしていることを認識すると、ハザード認識回路12は、ハザード認識信号SH(図1)をESS信号入力回路13に向けて出力する。ESS信号入力回路13は、ハザード認識信号SHが入力されている間、ESS信号Sが入力されても周波数切替信号S1を出力しない。この結果、周波数設定回路14には、周波数切替信号S1が入力されず、点滅周波数として第1の周波数(所定周波数の一例)が選択される。したがって、LEDランプ装置3L、3RおよびLEDランプ装置4L、4Rは、第1の周波数で点滅する。すなわち、ESSユニット20からESS信号Sが出力されても、ハザードを表示する状態が維持される。
【0048】
以上説明したように、本実施例によれば、ターンシグナル入力回路11およびESS信号入力回路13により点灯状態(第1の点灯状態および第2の点灯状態)が指定される。そして、点灯回路15は、指定された点灯状態に即して、出力部17L、18LからLEDランプ装置3L、4Lに電流を供給し、出力部17R、18RからLEDランプ装置3R、4Rに電流を供給する。このため、点灯制御装置10の出力側で接続状態を操作せずに、点灯形態(第1の点灯状態および第2の点灯状態)を切り替えることができる。したがって、システムの複雑化を招くことなく、様々な点灯形態に対応できる。
【0049】
また、本実施例によれば、周波数設定回路14に入力される周波数切替信号S1の有無に応じて、点滅周波数を切り替えており、いずれの周波数(第1の周波数および第2の周波数)でも、点灯回路15は、出力部17L、18LからLEDランプ装置3L、4Lに電流を供給し、出力部17R、18RからLEDランプ装置3R、4Rに電流を供給する。このため、点灯制御装置10の出力側で接続状態を操作せずに、点灯形態を切り替えることができる。したがって、システムの複雑化を招くことなく、様々な点灯形態(第1の周波数での点滅および第2の周波数での点滅)に対応できる。
【0050】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0051】
なお、以上の本発明の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0052】
[付記1]
車両に設けられたランプの点灯状態を制御する点灯制御装置(10)であって、
電源からの電流供給を受けて、第1のランプ(3L、4L)および第2のランプ(3R、4R)を点滅させる点灯回路(15)と、
前記点灯回路に接続された第1の出力部(17L、18L)と、
前記点灯回路に接続された第2の出力部(17R、18R)と、
入力信号を受けて、前記第1のランプのみを点滅させる第1の点灯状態、または、第1のランプおよび第2のランプを同期して点滅させる第2の点灯状態のうちのいずれかを前記点灯回路に指定する入力回路(11、13)と、
を備え、
前記点灯回路は、
前記入力回路により前記第1の点灯状態が指定された場合には、前記第1の出力部から前記第1のランプのみに電流を供給し、
前記入力回路により前記第2の点灯状態が指定された場合には、前記第1の出力部から前記第1のランプに電流を供給するとともに、前記第2の出力部から前記第2のランプに電流を供給する、点灯制御装置。
【0053】
付記1に記載の構成によれば、入力回路により点灯状態が指定されるとともに、指定された点灯状態(第1の点灯状態および第2の点灯状態)に即して、点灯回路では、第1の出力部から第1のランプに電流を供給し、第2の出力部から前記第2のランプに電流を供給する。このため、点灯制御装置の出力側での操作をせずに、点灯状態を切り替えることができるので、システムの複雑化を招くことなく、様々な点灯形態に対応できる。
【0054】
[付記2]
選択信号を受けて、前記点灯回路に対し、複数の点滅周波数の中から一の点滅周波数を選択する周波数設定回路を備え、
前記点灯回路は、前記第2の点灯状態において、前記周波数設定回路により選択された前記点滅周波数で第1のランプおよび第2のランプを同期して点滅させる、付記1に記載の点灯制御装置。
【0055】
付記2に記載の構成によれば、周波数設定回路により点滅周波数が選択されるとともに、点灯回路は、選択された点滅周波数に依らず、第1の出力部から第1のランプに電流を供給し、第2の出力部から前記第2のランプに電流を供給する。このため、点灯制御装置の出力側で接続を切り替えずに、点灯状態を切り替えることができるので、システムの複雑化を招くことなく、様々な点灯形態に対応できる。
【0056】
[付記3]
前記点滅周波数は、前記周波数設定回路に設けられた、抵抗とコンデンサとを互いに直列接続した充放電回路における充放電の速度に応じて選択され、
前記周波数設定回路は、前記コンデンサの容量を切り替えることにより、前記点滅周波数を切り替える、付記2に記載の点灯制御装置。
【0057】
付記3に記載の構成によれば、周波数設定回路は、充放電回路のコンデンサの容量を切り替えることにより点滅周波数を切り替えるので、点滅周波数を広範囲で選択できる。このため、システムの複雑化を招くことなく、点滅周波数が大きく異なる様々な点灯形態に対応できる。
【0058】
[付記4]
前記第1の点灯状態および前記第2の点灯状態にそれぞれ対応する複数の前記入力信号が競合する場合、前記入力回路は、前記第2の点灯状態を優先的に前記点灯回路に指定する、付記1~付記3のうちいずれか1項に記載の点灯制御装置。
【0059】
付記4に記載の構成によれば、入力信号が競合する場合、第2の点灯状態が第1の点灯状態よりも優先される。例えば、ターンシグナルよりもハザードが優先される。
【0060】
[付記5]
複数の前記点滅周波数にそれぞれ対応する複数の前記選択信号が競合する場合、前記周波数設定回路は、前記点滅周波数として所定周波数を優先的に選択する、付記1~付記4のうちいずれか1項に記載の点灯制御装置。
【0061】
付記5に記載の構成によれば、複数の前記選択信号が競合する場合、点滅周波数として所定周波数を優先的に選択される。例えば、ESS信号が出力されても、ハザードが優先される。
【0062】
[付記6]
アンサーバック機能に対応する接続線を備え、
前記接続線は、前記点灯回路を経由せずに前記第1の出力部および前記第2の出力部と前記電源との間を接続する、付記1~付記5のいずれか1項に記載の点灯制御装置。
【0063】
付記6に記載の構成によれば、接続線は、点灯回路を経由せずに第1の出力部および第2の出力部と電源との間を接続するので、点灯回路の状態に依らず、アンサーバックのための点灯状態が優先される。
【符号の説明】
【0064】
10 点灯制御装置
11 ターンシグナル入力回路
12 ハザード認識回路
13 ESS信号入力回路
14 周波数設定回路
15 点灯回路
3L、3R LEDランプ装置
4L、4R LEDランプ装置
17L、17R 出力部
18L、18R 出力部
図1
図2
図3
図4
図5