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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173970
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】シリンダ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/58 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
F16F9/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086547
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄司 康平
(72)【発明者】
【氏名】服部 龍一
(72)【発明者】
【氏名】栗原 雄輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博康
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA54
3J069CC05
3J069DD50
(57)【要約】
【課題】リバウンドクッションの荷重に対する撓み量の急激な変化を抑制することが可能となるシリンダ装置を提供する。
【解決手段】一端側がピストンに連結されるとともにロッドガイドを挿通して他端側がシリンダの外部に延出されるピストンロッドと、ピストンとロッドガイドとの間に設けられ、ピストンロッドがシリンダから延出する方向に移動するときにロッドガイドに当接するリバウンドクッション81と、を備え、リバウンドクッション81には、ロッドガイドと対向する面145に、周方向に並べられて複数の凸部122が設けられ、シリンダと対向する外周側に、周方向に並べられて複数の平面状部111が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が封入されるシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され該シリンダ内を二室に区画するピストンと、
前記シリンダの開口側に設けられるロッドガイドと、
一端側が前記ピストンに連結されるとともに前記ロッドガイドを挿通して他端側が前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、
前記ピストンと前記ロッドガイドとの間に設けられ、前記ピストンロッドが前記シリンダから延出する方向に移動するときに前記ロッドガイドに当接するリバウンドクッションと、を備え、
前記リバウンドクッションには、
前記ロッドガイドと対向する面に、周方向に並べられて複数の凸部が設けられ、
前記シリンダと対向する外周側に、周方向に並べられて複数の平面状部が設けられるシリンダ装置。
【請求項2】
前記リバウンドクッションは、前記凸部と前記平面状部とが位相を合わせている請求項1に記載のシリンダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ装置において、ピストンロッドに連結されるピストンと、ピストンロッドを案内するロッドガイドとの間にリバウンドクッションを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-092169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リバウンドクッションは、ピストンロッドが伸び切り側の所定位置まで移動すると、ロッドガイドに押し付けられ変形して伸び切り時の衝撃を吸収する。シリンダ装置において、リバウンドクッションの荷重に対する撓み量の急激な変化を抑制する要望がある。
【0005】
したがって、本発明は、リバウンドクッションの荷重に対する撓み量の急激な変化を抑制することが可能となるシリンダ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る一の態様は、作動流体が封入されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装され該シリンダ内を二室に区画するピストンと、前記シリンダの開口側に設けられるロッドガイドと、一端側が前記ピストンに連結されるとともに前記ロッドガイドを挿通して他端側が前記シリンダの外部に延出されるピストンロッドと、前記ピストンと前記ロッドガイドとの間に設けられ、前記ピストンロッドが前記シリンダから延出する方向に移動するときに前記ロッドガイドに当接するリバウンドクッションと、を備え、前記リバウンドクッションには、前記ロッドガイドと対向する面に、周方向に並べられて複数の凸部が設けられ、前記シリンダと対向する外周側に、周方向に並べられて複数の平面状部が設けられる、構成とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リバウンドクッションの荷重に対する撓み量の急激な変化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態のシリンダ装置を示す断面図である。
図2】本発明に係る実施形態のシリンダ装置のリバウンドクッションを示す斜視図である。
図3】本発明に係る実施形態のシリンダ装置のリバウンドクッション、内筒およびピストンロッドを示す断面図である。
図4】本発明に係る実施形態のシリンダ装置のリバウンドクッション、内筒、ピストンロッド、ストッパ部材およびロッドガイドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ以下に説明する。
【0010】
図1は、実施形態のシリンダ装置11を示すものである。このシリンダ装置11は、自動車や鉄道車両等の車両のサスペンション装置に用いられる緩衝器である。シリンダ装置11は、具体的には自動車のサスペンション装置に用いられる油圧緩衝器である。シリンダ装置11は、内筒15と外筒16とを有するシリンダ17を備えた複筒式の緩衝器である。内筒15は円筒状である。外筒16は内筒15よりも大径の有底筒状である。外筒16は内筒15の径方向外側に、内筒15と同軸状に設けられている。外筒16と内筒15との間はリザーバ室18となっている。
【0011】
外筒16は、胴部20と底部21とを有している。胴部20は円筒状である。底部21は、胴部20の軸方向の一方の端部を閉塞している。胴部20の底部21とは反対側は開口部22となっている。外筒16の開口部22は、シリンダ17においても軸方向の一端に設けられる。外筒16の底部21は、シリンダ17においても軸方向の他端に設けられる。言い換えれば、シリンダ17は、軸方向の一端が開口部22となって開口しており、軸方向の他端が閉塞されている。
【0012】
内筒15は、金属製の一部材からなる一体成形品であり、円筒状である。内筒15は、その内周面15aが円筒面状である。
【0013】
シリンダ装置11は、バルブボディ25とロッドガイド26とを備えている。
バルブボディ25は、円環状であり、内筒15および外筒16の軸方向の一端部に設けられている。バルブボディ25は、ベースバルブ30を構成するものであり、外周部が段差状をなしている。バルブボディ25は底部21に載置されている。その際に、バルブボディ25は、外周部の大径部分において外筒16に対し径方向に位置決めされる。
【0014】
ロッドガイド26は、円環状であり、内筒15および外筒16の軸方向の他端部に設けられている。ロッドガイド26は、シリンダ17の開口部22側に設けられている。ロッドガイド26は、ロッドガイド本体32とカラー33とを有している。
【0015】
ロッドガイド本体32は、金属製であって円環状である。ロッドガイド本体32は、外周部に大径部35と小径部36とを有している。大径部35の外径は小径部36の外径よりも大径である。よって、ロッドガイド本体32は、外周部が段差状をなしている。
【0016】
カラー33は円筒状である。カラー33は、金属製の円筒体の内周面を摺動性の高い材料で被覆してなるものである。カラー33は、ロッドガイド本体32の内周部に嵌合されて固定されている。
【0017】
ロッドガイド26は、ロッドガイド本体32の大径部35において、外筒16の胴部20の開口部22側の内周部に嵌合する。ロッドガイド26は、その軸方向の大径部35とは反対側の端部にある端面26aがロッドガイド26の中心軸線に直交して広がる平面状をなす。端面26aはロッドガイド本体32およびカラー33に形成されている。
【0018】
内筒15は、軸方向の一端部が、バルブボディ25の外周部の小径部分に、バルブボディ25の大径部分に軸方向に当接するまで嵌合されている。内筒15は、軸方向の一端部が、このバルブボディ25を介して外筒16の底部21に載置されている。また、内筒15は、軸方向の他端部が、ロッドガイド本体32の小径部36に、軸方向において大径部35に当接するまで嵌合されている。内筒15は、この他端部が、ロッドガイド26を介して外筒16の胴部20に嵌合している。この状態で、内筒15は、外筒16に対して軸方向および径方向に位置決めされる。ここで、バルブボディ25と底部21との間は、バルブボディ25に形成された通路溝40を介して内筒15と外筒16との間に連通している。バルブボディ25と底部21との間は、内筒15と外筒16との間と同様、リザーバ室18を構成している。
【0019】
シリンダ装置11は、円環状のロッドシール41を備えている。ロッドシール41は、シリンダ17の軸方向におけるロッドガイド26の底部21とは反対側に設けられている。このロッドシール41も、ロッドガイド26と同様に胴部20の内周部に嵌合されている。外筒16には、胴部20の底部21とは反対の端部に係止部43が形成されている。係止部43は、胴部20をカール加工等の加締め加工によって径方向内方に塑性変形させて形成されている。ロッドシール41は、この係止部43とロッドガイド26とに挟持されている。ロッドシール41は、その際に、ロッドガイド26によって胴部20の内周面に押し付けられる。これにより、ロッドシール41は、外筒16の開口部22を閉塞する。ロッドシール41は、具体的にはオイルシールである。
【0020】
シリンダ装置11は、ピストン45を備えている。ピストン45は、シリンダ17の内筒15内に摺動可能に嵌装されている。ピストン45は、内筒15内を第1室48と第2室49との二室に区画している。第1室48は、内筒15内のピストン45とロッドガイド26との間に設けられている。第2室49は、内筒15内のピストン45とバルブボディ25との間に設けられている。第2室49は、バルブボディ25によって、リザーバ室18と区画されている。シリンダ17内には、第1室48および第2室49に作動流体としての油液Lが封入されている。シリンダ17内には、リザーバ室18に作動流体としてのガスGと油液Lとが封入されている。
【0021】
シリンダ装置11は、ピストンロッド50を備えている。ピストンロッド50は、軸方向の一端部分がシリンダ17の内部に挿入されている。ピストンロッド50は、この一端側の部分がピストン45に連結されている。ピストンロッド50は、軸方向の中間部分がロッドガイド26およびロッドシール41を挿通している。ピストンロッド50は、軸方向の他端側の部分がシリンダ17の外部に延出されている。ピストンロッド50は、金属製であって、第1室48内を貫通している。ピストンロッド50は第2室49を貫通していない。よって、第1室48はピストンロッド50が貫通するロッド側室である。第2室49はシリンダ17の底部21側のボトム側室である。ピストンロッド50は、シリンダ17から外部に延出する部分が車両の車体側に連結される。
【0022】
ピストンロッド50は、主軸部51と取付軸部52とを有している。
取付軸部52は、その外径が主軸部51の外径よりも小径である。ピストンロッド50は、取付軸部52側がシリンダ17内に挿入されている。
【0023】
主軸部51は、その外周面51aが円筒面状である。ピストンロッド50は、主軸部51がロッドガイド26およびロッドシール41を通っている。ピストンロッド50の主軸部51には、係合溝53が形成されている。係合溝53は主軸部51の外周面51aから径方向内方に凹んでいる。係合溝53は主軸部51の外周面51aと同軸の円環状である。係合溝53は、主軸部51の内筒15内に配置される部位であってピストン45とロッドガイド26との間に配置される部位に形成されている。
【0024】
ロッドガイド26およびロッドシール41は、シリンダ17のピストンロッド50が延出する側の部分に設けられている。ロッドガイド26は、ピストンロッド50を摺動可能に支持する。ピストンロッド50は、主軸部51の外周面51aにおいてロッドガイド26に案内される。ロッドガイド26の端面26aは、ピストンロッド50の中心軸線に直交して広がる。ピストンロッド50は、シリンダ17に対して、ピストン45と一体に軸方向に移動する。ピストンロッド50がシリンダ17からの突出量を増やすシリンダ装置11の伸び行程において、ピストン45は第1室48側へ移動する。ピストンロッド50がシリンダ17からの突出量を減らすシリンダ装置11の縮み行程において、ピストン45は第2室49側へ移動する。
【0025】
ロッドシール41は、シリンダ17のピストンロッド50が延出する側、すなわち外筒16の開口部22側に設けられている。ロッドシール41は、ロッドガイド26とによって、外筒16の胴部20とピストンロッド50の主軸部51との間をシールして、内筒15内の油液Lと、リザーバ室18内のガスGおよび油液Lとが外部に漏出するのを規制する。
【0026】
ピストン45には、通路55および通路56が形成されている。通路55および通路56は、いずれもピストン45を軸方向に貫通している。通路55,56は、第1室48と第2室49とを連通可能である。シリンダ装置11は、ディスクバルブ57とディスクバルブ58とを備えている。ディスクバルブ57は、ピストン45の軸方向における底部21とは反対側に設けられている。ディスクバルブ57は、円環状であり、ピストン45に当接することで通路55を閉塞する。ディスクバルブ58は、ピストン45の軸方向における底部21側に設けられている。ディスクバルブ58は、円環状であり、ピストン45に当接することで通路56を閉塞する。ディスクバルブ57,58は、ピストン45とともにピストンロッド50に取り付けられている。
【0027】
ピストンロッド50が内筒15および外筒16内への進入量を増やす縮み側に移動しピストン45が第2室49を狭める方向に移動すると、第2室49の圧力が第1室48の圧力よりも高くなる。すると、ディスクバルブ57が通路55を開いて第2室49の油液Lを第1室48に流すことになる。その際にディスクバルブ57は減衰力を発生させる。
【0028】
ピストンロッド50が内筒15および外筒16からの突出量を増やす伸び側に移動しピストン45が第1室48を狭める方向に移動すると、第1室48の圧力が第2室49の圧力よりも高くなる。すると、ディスクバルブ58が通路56を開いて第1室48の油液Lを第2室49に流すことになる。その際にディスクバルブ58は減衰力を発生させる。
【0029】
ピストン45およびディスクバルブ57のうちの少なくとも一方には図示略の固定オリフィスが形成されている。この固定オリフィスは、ディスクバルブ57が通路55を最も閉塞した状態でも通路55を介して第1室48と第2室49とを連通させる。
【0030】
ピストン45およびディスクバルブ58のうちの少なくとも一方にも図示略の固定オリフィスが形成されている。この固定オリフィスは、ディスクバルブ58が通路56を最も閉塞した状態でも通路56を介して第1室48と第2室49とを連通させる。
【0031】
バルブボディ25には、液通路61および液通路62が形成されている。液通路61および液通路62は、いずれもバルブボディ25を軸方向に貫通している。液通路61,62は、いずれも第2室49とリザーバ室18とを連通可能である。
【0032】
ベースバルブ30は、ディスクバルブ65およびディスクバルブ66を備えている。ディスクバルブ65は、バルブボディ25の軸方向における底部21側に設けられている。ディスクバルブ65は、バルブボディ25に当接することで液通路61を閉塞する。ディスクバルブ66は、バルブボディ25の軸方向における底部21とは反対側に設けられている。ディスクバルブ66は、バルブボディ25に当接することで液通路62を閉塞する。ベースバルブ30は、ピン68を有している。このピン68がディスクバルブ65,66をバルブボディ25に取り付けている。バルブボディ25、ディスクバルブ65,66およびピン68等がベースバルブ30を構成している。
【0033】
ピストンロッド50が縮み側に移動しピストン45が第2室49を狭める方向に移動すると第2室49の圧力がリザーバ室18の圧力よりも高くなる。すると、ベースバルブ30は、ディスクバルブ65が液通路61を開いて、第2室49の油液Lをリザーバ室18に流すことになる。その際にディスクバルブ65が減衰力を発生させる。ピストンロッド50が伸び側に移動しピストン45が第1室48側に移動すると第2室49の圧力がリザーバ室18の圧力より低下する。すると、ベースバルブ30は、ディスクバルブ66が液通路62を開いて、リザーバ室18の油液Lを第2室49に流すことになる。ディスクバルブ66は、その際にリザーバ室18から第2室49内に実質的に減衰力を発生させずに油液Lを流すサクションバルブである。
【0034】
シリンダ装置11は、ストッパ部材80とリバウンドクッション81とを備えている。
ストッパ部材80は、金属製であり、円環状である。ストッパ部材80は、支持部91と固定部92とを有している。
【0035】
支持部91は、円形の平板状である。支持部91は、その軸方向の一側にある支持面91aが、円環状であって支持部91の軸方向に対し直交して広がる平面状である。支持部91は、その外径が、内筒15の内径すなわち内周面15aの径よりも小径である。
【0036】
固定部92は、支持部91の内周縁部から支持部91の軸方向において支持面91aとは反対側に突出している。固定部92は筒状である。固定部92は、その外径が支持部91の外径よりも小径である。
【0037】
ストッパ部材80は、ピストンロッド50への取り付け前の状態では、固定部92が円筒状をなしている。この状態で、ストッパ部材80が、支持部91から固定部92がピストン45側に突出する向きでピストンロッド50の主軸部51に嵌合される。そして、固定部92が、ピストンロッド50の係合溝53と位置を合わせた状態で径方向内方に加締められる。これにより、固定部92が塑性変形して係合溝53内に入り込み、ストッパ部材80がピストンロッド50に固定される。この状態で、支持部91の支持面91aはピストンロッド50の中心軸線に対して垂直に広がる。
【0038】
リバウンドクッション81は、例えば、熱可塑性樹脂材であるポリフェニレンサルファイド材(PPS材)からなる一体成形品である。リバウンドクッション81の材料は、PPS材を例に挙げているが、その他の弾性材料を用いても良い。
【0039】
図2および図3に示すように、リバウンドクッション81は、筒状である。リバウンドクッション81は、外周面101が多角形状、具体的には略正六角形状をなしている。また、リバウンドクッション81は、内周面102が円筒面状をなしている。
【0040】
ここで、内周面102の中心軸線をリバウンドクッション81の中心軸線とし、この中心軸線に沿う方向をリバウンドクッション81の軸方向、この中心軸線に直交する方向をリバウンドクッション81の径方向、内周面102の円周方向をリバウンドクッション81の周方向とする。
【0041】
外周面101は、複数、具体的には6箇所の同形状の平面状部111を有している。言い換えれば、リバウンドクッション81は、外周側に、周方向に並べられて複数の平面状部111が形成されている。これらの平面状部111は、いずれもリバウンドクッション81の径方向に対して垂直に広がる平面状である。これらの平面状部111は、いずれもリバウンドクッション81の中心軸線から等距離の位置に配置されている。これらの平面状部111は、リバウンドクッション81の周方向に等間隔に並べられている。
【0042】
外周面101は、複数、具体的には6箇所の同形状の面取り部112を有している。これらの面取り部112は、いずれもリバウンドクッション81の中心軸線から等距離の位置に配置されている。これらの面取り部112は、リバウンドクッション81の周方向に等間隔に並べられている。これらの面取り部112は、それぞれが、リバウンドクッション81の周方向に隣り合う平面状部111と平面状部111とをなだらかに繋いでいる。外周面101は、リバウンドクッション81の周方向に平面状部111と面取り部112とが交互に配置されている。
【0043】
リバウンドクッション81は、図2に示すように、主体部121と、複数、具体的には6箇所の同形状の凸部122と、を有している。
【0044】
主体部121は、リバウンドクッション81の軸方向における長さが一定の環状である。主体部121には、リバウンドクッション81の内周面102の軸方向における中間部から一端部までが形成されている。主体部121には、リバウンドクッション81の軸方向における一端の端面125が形成されている。端面125は、リバウンドクッション81の中心軸線に垂直に広がる平面状である。
【0045】
主体部121には、外周面101のリバウンドクッション81の軸方向における中間部から一端部までが形成されている。主体部121には、面取り部112の全体と、平面状部111のリバウンドクッション81の軸方向における中間部から一端部までと、が形成されている。
【0046】
複数の凸部122は、いずれも、主体部121から、リバウンドクッション81の軸方向における端面125とは反対方向に突出している。複数の凸部122には、リバウンドクッション81の内周面102の軸方向における端面125とは反対の他端側の部分が形成されている。
【0047】
複数の凸部122には、リバウンドクッション81の外周面101の軸方向における端面125とは反対の他端側の部分が形成されている。複数の凸部122には、それぞれに、リバウンドクッション81の軸方向における平面状部111の端面125とは反対の他端側の部分が形成されている。すなわち、複数の凸部122は、それぞれが、リバウンドクッション81の周方向において対応する平面状部111の位置に設けられてこの平面状部111の一部を形成している。言い換えれば、リバウンドクッション81は、凸部122と平面状部111とが、リバウンドクッション81の周方向において位相を合わせている。
【0048】
複数の凸部122は、同形状であるため、そのうちの一つの凸部122についてさらに説明する。
【0049】
凸部122は、主体部121からの突出高さが高くなるほど、リバウンドクッション81の周方向における幅が狭くなるように先細の形状をなしている。凸部122は、リバウンドクッション81の軸方向における端面125とは反対側の突出面130が、先端面部131と、一対の中間面部132と、一対の基端側面部133と、を有している。
【0050】
先端面部131は、突出面130のリバウンドクッション81の周方向における中央に設けられている。先端面部131は、突出面130において、リバウンドクッション81の軸方向における最も端面125とは反対側の端にある。先端面部131は、リバウンドクッション81においても、リバウンドクッション81の軸方向における最も端面125とは反対側の端にある。先端面部131は、リバウンドクッション81の中心軸線に対して垂直に広がる平面状をなしている。
【0051】
一対の中間面部132は、先端面部131のリバウンドクッション81の周方向における両側に、先端面部131と連続して設けられている。一対の中間面部132は、いずれも先端面部131からリバウンドクッション81の周方向に離れるほど、リバウンドクッション81の軸方向において端面125に近づく。一対の中間面部132は、いずれも凸部122内に中心を有する円弧状である。一対の中間面部132は、リバウンドクッション81の周方向において鏡面対称状である。
【0052】
一対の基端側面部133のうちの一方の基端側面部133は、一対の中間面部132のうちの一方の中間面部132のリバウンドクッション81の周方向における先端面部131とは反対側に、この中間面部132と連続して設けられている。一対の基端側面部133のうちの他方の基端側面部133は、一対の中間面部132のうちの他方の中間面部132のリバウンドクッション81の周方向における先端面部131とは反対側に、この中間面部132と連続して設けられている。一対の基端側面部133は、いずれも先端面部131からリバウンドクッション81の周方向に離れるほど、リバウンドクッション81の軸方向において端面125に近づく。一対の基端側面部133は、いずれも凸部122外に中心を有する円弧状である。一対の基端側面部133は、リバウンドクッション81の周方向において鏡面対称状である。凸部122は、リバウンドクッション81の周方向において鏡面対称状である。
【0053】
このような凸部122が、リバウンドクッション81に、その周方向に並べられて設けられている。リバウンドクッション81の周方向に隣り合う凸部122と凸部122との近接する基端側面部133と基端側面部133との間は、主体部121の端面125とは反対側の端面141となっている。端面141は、端面125と平行に広がる平面状である。複数の凸部122は、主体部121のこの端面141から端面125とは反対方向に突出している。リバウンドクッション81は、端面141と複数の突出面130とが、端面125とは反対側の対向面145(面)となっている。リバウンドクッション81には、この対向面145に、周方向に並べられて複数の凸部122が設けられている。
【0054】
以上の構成のリバウンドクッション81は、図1に示すように、内周側にピストンロッド50の主軸部51を挿通させた状態で、ロッドガイド26とピストン45との間であって、ロッドガイド26とストッパ部材80との間に設けられる。その際に、リバウンドクッション81は、凸部122がロッドガイド26の端面26aと対向し、端面125がストッパ部材80の支持部91の支持面91aに当接する向きとされる。よって、リバウンドクッション81は、その対向面145がロッドガイド26の端面26aと対向する。また、リバウンドクッション81は、ストッパ部材80と共にシリンダ17の内筒15内に配置されている。リバウンドクッション81は、図3に示すように、複数の平面状部111を含む外周面101が、内筒15の内周面15aよりも小径であり、内周面15aに対向する。
【0055】
よって、リバウンドクッション81は、ロッドガイド26と対向する対向面145に、周方向に並べられて複数の凸部122が設けられ、シリンダ17と対向する外周側に、周方向に並べられて複数の平面状部111が設けられている。
【0056】
以上の構成のリバウンドクッション81は、ピストンロッド50がシリンダ17から延出する方向に移動して伸び切り側の所定位置に位置すると、複数の凸部122においてロッドガイド26に当接する。ピストンロッド50がさらに伸び切り側に移動すると、リバウンドクッション81は、図4に示すように、ストッパ部材80によってロッドガイド26に押し付けられ軸方向に圧縮変形して、ストッパ部材80を介してピストンロッド50に抵抗力を付与し、ピストンロッド50を伸び切り位置で停止させる。これにより、リバウンドクッション81が、伸び切り時にピストンロッド50をシリンダ17に対し停止させる際の衝撃を吸収する。その際に、リバウンドクッション81は、まず、主として図2に示す複数の凸部122が軸方向に圧縮変形し、その後、主体部121が軸方向に圧縮変形する。
【0057】
特許文献1には、ピストンロッドに連結されるピストンと、ピストンロッドを案内するロッドガイドとの間にリバウンドクッションを設けたシリンダ装置が開示されている。このシリンダ装置のリバウンドクッションは、内周面が円筒面状であり、外周面も円筒面状である。このリバウンドクッションは、軸方向に圧縮変形する際に、径方向外側に膨出するように中心軸線を含む面での断面がC字状に変形してシリンダの内周面に圧接して抵抗力を増大させる。このため、このリバウンドクッションは、負荷された荷重に対する撓み量の特性が急激に変化してしまう。また、このリバウンドクッションは、軸方向両側それぞれに、軸方向に突出する複数の突起部が周方向の位相を合わせて設けられている。このため、このリバウンドクッションは、周方向において複数の突起部が設けられている部分が径方向外側に大きく膨出するように断面C字状に変形してシリンダの内周面に強く圧接して抵抗力を増大させてしまう。よって、このリバウンドクッションは、荷重に対する撓み量の特性が一層急激に変化してしまう。すなわち、このリバウンドクッションは、荷重が小さい場合は、荷重の増大に対して撓み量がほぼリニアに増大することになるが、荷重が高負荷となると、荷重の増大に対して撓み量の増大が急激に小さくなってしまう。つまり、このリバウンドクッションは、高負荷時に急激に撓みにくくなってしまう。シリンダ装置において、リバウンドクッションの荷重に対する撓み量の急激な変化を抑制する要望がある。
【0058】
これに対して、実施形態のシリンダ装置11は、リバウンドクッション81のシリンダ17の内筒15と対向する外周側に、周方向に並べられて複数の平面状部111が設けられている。このため、リバウンドクッション81は、シリンダ17の内筒15との間に径方向のクリアランスを確保することができる。また、リバウンドクッション81は、荷重が負荷されて軸方向に圧縮変形する際に、平面状部111の形状によって、図4に示すように、径方向外側へ膨出する断面C字状となる変形が抑制されると共に、径方向内方へも押し付けられるように変形することになる。よって、リバウンドクッション81は、シリンダ17の内筒15の内周面15aへの圧接が抑制される。これにより、リバウンドクッション81の荷重に対する撓み量の急激な変化を抑制して、リニアな荷重-撓み量特性に近づけることができる。
【0059】
また、実施形態のシリンダ装置11は、リバウンドクッション81が、ロッドガイド26と対向する対向面145に周方向に並べられて設けられた凸部122と、平面状部111との位相を合わせている。このように、リバウンドクッション81は、凸部122がある分、径方向外方へ膨出する断面C字状となる変形を生じ易い部分が平面状部111とされている。このため、リバウンドクッション81は、軸方向に圧縮変形する際の、内筒15の内周面15aへの圧接を一層抑制することができる。よって、リバウンドクッション81の荷重に対する撓み量の急激な変化を一層抑制して、一層リニアな荷重-撓み量特性に近づけることができる。
【符号の説明】
【0060】
11…シリンダ装置、17…シリンダ、26…ロッドガイド、45…ピストン、48…第1室、49…第2室、50…ピストンロッド、81…リバウンドクッション、111…平面状部、122…凸部。
図1
図2
図3
図4