(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173993
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
B67D 3/00 20060101AFI20231130BHJP
B60B 33/00 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
B60B33/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086580
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部を簡単に掃除できるようにすることで、冷水タンクの実際上の冷却効率を高める。
【解決手段】筐体1の背面に、冷却装置20の放熱部22が設けられたウォーターサーバーにおいて、筐体1の下端に、床面Fと上下に対向する底板10が設けられ、底板10には、床面F上を前後方向に転がるローラ33と、ローラ33の回転を規制するローラロック状態とローラ33の回転規制を解除するローラロック解除状態とを切り替え可能なローラロック機構34とが設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面(F)に載置される筐体(1)と、
前記筐体(1)の前面に設けられた冷水注出口(2)と、
前記筐体(1)の内部に設けられた冷水タンク(4)と、
前記冷水タンク(4)を冷却する冷却装置(20)と、
前記冷水タンク(4)と前記冷水注出口(2)の間を連通する冷水注出路(6)と、を有し、
前記筐体(1)の背面に、前記冷却装置(20)の放熱部(22)が設けられたウォーターサーバーにおいて、
前記筐体(1)の下端に、前記床面(F)と上下に対向する底板(10)が設けられ、
前記底板(10)には、前記床面(F)上を前後方向に転がるローラ(33)と、前記ローラ(33)の回転を規制するローラロック状態と前記ローラ(33)の回転規制を解除するローラロック解除状態とを切り替え可能なローラロック機構(34)とが設けられていることを特徴とするウォーターサーバー。
【請求項2】
前記放熱部(22)は、冷媒が流れる冷媒パイプを前記筐体(1)の背面に沿って蛇行するように配置した網状の部材である請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記底板(10)の下面には、下方に開口する複数の柱状凹部(30)を形成するように互いに交差する複数のリブ(31)が設けられ、
前記底板(10)の前端には、左右方向に延びるスカート壁(32)が設けられ、
前記ローラ(33)は、前記スカート壁(32)の下縁から下方への突出量が5mm以下となるように、前記柱状凹部(30)内に収容して設けられている請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記ローラ(33)は、前記底板(10)の前側部分に配置された左右一対の前輪(33a,33b)を含み、
前記ローラロック機構(34)は、前記底板(10)の左右方向の中央に配置された単一の操作部材(40)を有し、その操作部材(40)の操作により、前記左右一対の前輪(33a,33b)の回転を同時に規制する前記ローラロック状態と、前記左右一対の前輪(33a,33b)の回転規制を同時に解除する前記ローラロック解除状態とを切り替え可能に構成されている請求項1または2に記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
前記底板(10)の上側には、交換式の水ボトル(13)が載置されるボトル受け(14)が、前記水ボトル(13)が前記筐体(1)の内部に収容される収容位置と、前記水ボトル(13)が前記筐体(1)から前方に引き出される引き出し位置との間で前後方向に移動可能に設けられ、
前記ローラロック機構(34)は、前記ローラロック状態と前記ローラロック解除状態とを切り替えるための前記操作部材(40)の操作方向が左右方向となるように構成されている請求項4に記載のウォーターサーバー。
【請求項6】
前記ローラロック機構(34)は、前記左右一対の前輪(33a,33b)のうち、左側前輪(33a)の右側面に周方向に間隔をおいて設けられた複数の左側前輪係合凹部(37a)と、右側前輪(33b)の左側面に周方向に間隔をおいて設けられた複数の右側前輪係合凹部(37b)と、前記左側前輪係合凹部(37a)に係合する位置と前記左側前輪係合凹部(37a)との係合を解除する位置との間で左右方向に移動可能に設けられた左側前輪係合部材(38a)と、前記右側前輪係合凹部(37b)に係合する位置と前記右側前輪係合凹部(37b)との係合を解除する位置との間で左右方向に移動可能に設けられた右側前輪係合部材(38b)と、前記左側前輪係合部材(38a)と前記右側前輪係合部材(38b)とが互いに左右方向の逆向きに移動するように前記左側前輪係合部材(38a)と前記右側前輪係合部材(38b)の間を連結する連結機構(39)とを有し、
前記操作部材(40)は、前記左側前輪係合部材(38a)と前記右側前輪係合部材(38b)のうちの一方の部材と左右方向に一体に移動するように連結されている請求項4に記載のウォーターサーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年、水の安全や健康への関心の高まりから、一般家庭にもウォーターサーバーが普及しつつある。ウォーターサーバーは、一般に、床面に載置される筐体と、その筐体の内部に設けられた冷水タンクと、冷水タンクを冷却する冷却装置と、筐体の前面に設けられた冷水注出口と、冷水タンクと冷水注出口の間を連通する冷水注出路とを有し、その冷水注出路に設けられたバルブを開弁することで、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができ、優れた利便性をもつ(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の発明者は、特に夏場など、冷水の消費量が多い状況において、ウォーターサーバーの冷却効率を高めるにはどのようにすればよいかを検討した。その検討の結果、冷水タンクの冷却装置の放熱部にホコリ等が付着することで冷水タンクの冷却効率が低下した状態となり、その状態のままウォーターサーバーが使用されていることが多い点に着目し、この状態を改善することができれば、冷水タンクの実際上の冷却効率を高めることが可能となるという着想を得た。
【0005】
すなわち、ウォーターサーバーの筐体の背面には、通常、冷水タンクを冷却する冷却装置の放熱部が設けられている。放熱部は、冷媒が流れる冷媒パイプを蛇行して配置した網状の部材が採用されることが多い。このウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部は、例えば1ヶ月に1回程度、掃除機や布で定期的に掃除して取り除くことが推奨されている。
【0006】
一方、ウォーターサーバーが一般家庭のキッチンやリビング等に設置される場合、キッチンやリビング等の限られた居住空間を有効に利用するため、冷蔵庫や棚などと隣り合わせにウォーターサーバーが設置されることが多く、場合によっては、ウォーターサーバーの左右両隣に冷蔵庫や棚などがある配置(つまり、ウォーターサーバーが冷蔵庫や棚などで左右両側から排熱用の隙間のみを介して挟み込まれる配置)となるように設置されることもある。
【0007】
この場合、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部を掃除するに際しては、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部に掃除機などが届くようにするため、いったん、ウォーターサーバーを前方に移動させる必要がある。
【0008】
しかしながら、ウォーターサーバーの筐体は、その自重だけでなく、筐体の内部の冷水タンクなどに貯留された水の重量もあるので、総重量が20kgを超えることがあり、ウォーターサーバーの筐体を移動させる作業は簡単ではない。特に、ウォーターサーバーのユーザーが女性や高齢者などである場合、ウォーターサーバーの筐体を移動させるのは大変である。
【0009】
そのため、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部が、長期にわたって掃除されないまま放置され、その放熱部にホコリ等が付着することで冷水タンクの冷却効率が低下した状態となり、その状態のままウォーターサーバーが使用されていることが多い。
【0010】
この発明が解決しようとする課題は、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部を簡単に掃除できるようにすることで、冷水タンクの実際上の冷却効率を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
[構成1]
床面に載置される筐体と、
前記筐体の前面に設けられた冷水注出口と、
前記筐体の内部に設けられた冷水タンクと、
前記冷水タンクを冷却する冷却装置と、
前記冷水タンクと前記冷水注出口の間を連通する冷水注出路と、を有し、
前記筐体の背面に、前記冷却装置の放熱部が設けられたウォーターサーバーにおいて、
前記筐体の下端に、前記床面と上下に対向する底板が設けられ、
前記底板には、前記床面上を前後方向に転がるローラと、前記ローラの回転を規制するローラロック状態と前記ローラの回転規制を解除するローラロック解除状態とを切り替え可能なローラロック機構とが設けられていることを特徴とするウォーターサーバー。
【0012】
このようにすると、床面に載置される筐体の下端の底板に、床面上を前後方向に転がるローラが設けられているので、小さい力で、ウォーターサーバーの筐体を前後方向に移動させることができる。そのため、女性や高齢者のユーザーでも、容易にウォーターサーバーの筐体を前方に移動させることができ、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部を掃除することができる。そして、ウォーターサーバーの筐体の背面の掃除が完了した後は、ウォーターサーバーの筐体を後方に移動させ、もとの位置に戻すことができる。また、ローラの回転を規制するローラロック状態と、ローラの回転規制を解除するローラロック解除状態とを切り替え可能なローラロック機構が設けられているので、ウォーターサーバーの通常使用時(すなわち、筐体の背面の放熱部の掃除をしないとき)は、ローラの回転を規制するローラロック状態とし、筐体の位置を固定することが可能である。
【0013】
[構成2]
前記放熱部は、冷媒が流れる冷媒パイプを前記筐体の背面に沿って蛇行するように配置した網状の部材である構成1に記載のウォーターサーバー。
【0014】
このようにすると、冷媒が流れる冷媒パイプを前記筐体の背面に沿って蛇行するように配置した網状の部材は、表面積が大きいため特にホコリ等が付着しやすく、掃除することで特に効果的に冷却効率を高めることができる。
【0015】
[構成3]
前記底板の下面には、下方に開口する複数の柱状凹部を形成するように互いに交差する複数のリブが設けられ、
前記底板の前端には、左右方向に延びるスカート壁が設けられ、
前記ローラは、前記スカート壁の下縁から下方への突出量が5mm以下となるように、前記柱状凹部内に収容して設けられている構成1または2に記載のウォーターサーバー。
【0016】
このようにすると、筐体を前方に移動させるときに、ローラが異物に乗り上げて、筐体の姿勢が不安定になるのを防止することができる。すなわち、筐体を前方に移動させるときに、筐体の前方の床面に異物が存在すると、ローラがその異物に乗り上げ、筐体の姿勢が不安定になるおそれがある。特に、ウォーターサーバーの筐体は、冷水タンクを比較的高い位置に収容しているので重心が高く、姿勢が不安定になりやすい。この問題に対し、筐体の底板の前端に左右方向に延びるスカート壁を設け、そのスカート壁の下縁から下方へのローラの突出量が5mm以下になるように、ローラを柱状凹部内に収容して設けると、筐体を前方に移動させるときに、筐体の前方の床面にある5mmを超える高さをもつ異物が、スカート壁で前方に押し動されるので、ローラが異物に乗り上げて筐体の姿勢が不安定になるのを防止することができる。
【0017】
[構成4]
前記ローラは、前記底板の前側部分に配置された左右一対の前輪を含み、
前記ローラロック機構は、前記底板の左右方向の中央に配置された単一の操作部材を有し、その操作部材の操作により、前記左右一対の前輪の回転を同時に規制する前記ローラロック状態と、前記左右一対の前輪の回転規制を同時に解除する前記ローラロック解除状態とを切り替え可能に構成されている構成1から3のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【0018】
このようにすると、単一の操作部材の操作により、左側前輪の回転の規制と右側前輪の回転の規制とを同時に行なうので、左側前輪と右側前輪のうちの一方のみの回転を規制した状態(ウォーターサーバーの筐体が意図せず旋回移動するおそれがある状態)となるのを防止することができる。
【0019】
[構成5]
前記底板の上側には、交換式の水ボトルが載置されるボトル受けが、前記水ボトルが前記筐体の内部に収容される収容位置と、前記水ボトルが前記筐体から前方に引き出される引き出し位置との間で前後方向に移動可能に設けられ、
前記ローラロック機構は、前記ローラロック状態と前記ローラロック解除状態とを切り替えるための前記操作部材の操作方向が左右方向となるように構成されている構成4に記載のウォーターサーバー。
【0020】
このようにすると、ボトル受けの移動方向(前後方向)と、ローラロック機構の操作部材の操作方向(左右方向)とが直交する関係となるので、ユーザーがボトル受けを移動させるときに、ユーザーの手などが不意に操作部材に触れて、ローラロック機構によるロック状態が意図せず解除される事態を防止することが可能となる。
【0021】
[構成6]
前記ローラロック機構は、前記左右一対の前輪のうち、左側前輪の右側面に周方向に間隔をおいて設けられた複数の左側前輪係合凹部と、右側前輪の左側面に周方向に間隔をおいて設けられた複数の右側前輪係合凹部と、前記左側前輪係合凹部に係合する位置と前記左側前輪係合凹部との係合を解除する位置との間で左右方向に移動可能に設けられた左側前輪係合部材と、前記右側前輪係合凹部に係合する位置と前記右側前輪係合凹部との係合を解除する位置との間で左右方向に移動可能に設けられた右側前輪係合部材と、前記左側前輪係合部材と前記右側前輪係合部材とが互いに左右方向の逆向きに移動するように前記左側前輪係合部材と前記右側前輪係合部材の間を連結する連結機構とを有し、
前記操作部材は、前記左側前輪係合部材と前記右側前輪係合部材のうちの一方の部材と左右方向に一体に移動するように連結されている構成4または5に記載のウォーターサーバー。
【発明の効果】
【0022】
この発明のウォーターサーバーは、床面に載置される筐体の下端の底板に、床面上を前後方向に転がるローラが設けられているので、小さい力で、ウォーターサーバーの筐体を前後方向に移動させることができる。そのため、女性や高齢者のユーザーでも、容易にウォーターサーバーの筐体を前方に移動させることができ、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部を掃除することができる。そして、ウォーターサーバーの筐体の背面の掃除が完了した後は、ウォーターサーバーの筐体を後方に移動させ、もとの位置に戻すことができる。また、ローラの回転を規制するローラロック状態と、ローラの回転規制を解除するローラロック解除状態とを切り替え可能なローラロック機構が設けられているので、ウォーターサーバーの通常使用時(すなわち、筐体の背面の放熱部の掃除をしないとき)は、ローラの回転を規制するローラロック状態とし、筐体の位置を固定することが可能である。このように、ウォーターサーバーの筐体の背面の放熱部を簡単に掃除することができるので、冷水タンクの実際上の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】この発明の実施形態のウォーターサーバーを前方から見た平面図
【
図2】
図1のウォーターサーバーを、ウォーターサーバーの左側から見た断面図
【
図5】
図1のウォーターサーバーの下部を拡大して示す部分断面図
【
図6】
図4、
図5に示すローラロック機構を取り出して示す斜視図
【
図7】
図6に示す左側前輪と右側前輪を露出して示す斜視図
【
図8】
図4に示す操作部材を左右方向の右側に移動させることでローラロック状態からローラロック解除状態に切り替えた状態を示す図
【
図9】
図5に示す右側前輪の近傍を拡大して示す部分断面図
【
図10】
図9に示す右側前輪係合部材が左右方向の左側に移動して右側前輪係合凹部との係合を解除した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1、
図2に、この発明の実施形態のウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、床面Fに載置される筐体1と、筐体1の前面に設けられた冷水注出口2および温水注出口3と、筐体1の内部に設けられた冷水タンク4および温水タンク5(
図2参照)と、冷水タンク4と冷水注出口2の間を連通する冷水注出路6と、温水タンク5と温水注出口3の間を連通する温水注出路7とを有する。
【0025】
図2に示すように、筐体1は、左右に対向する一対の側板8(
図1参照)と、一対の側板8の上端に固定された天板9と、一対の側板8の下端に固定された底板10と、一対の側板8の前端同士を連結する前面パネル11と、一対の側板8の後端同士を連結する背面板12とを有する。底板10は、床面Fと上下に対向して配置されている。
【0026】
筐体1の内部には、水ボトル13を載置するボトル受け14が底板10の上側に対向して設けられている。ボトル受け14は、底板10の上面に設けたスライド支持機構15で、水ボトル13が筐体1の内部に収容される収容位置と、水ボトル13が筐体1から前方に引き出される引き出し位置との間で前後方向(図では左右方向)に移動可能に支持されている。筐体1の前面下部には、水ボトル13を筐体1から出し入れすることができるように筐体1の前面を開閉する前面扉16が設けられている。
【0027】
筐体1の内部には、ボトル受け14に載置した水ボトル13から冷水タンク4および温水タンク5に水を汲み上げるポンプ17が組み込まれている。水ボトル13と冷水タンク4の間は、ポンプ17を介して原水汲み上げ管(図示せず)で接続されている。
【0028】
冷水タンク4には、冷水タンク4内の飲料水を冷却する冷却装置20が取り付けられている。冷水タンク4内の飲料水は、冷却装置20によって所定の低温(例えば10℃以下)に保たれる。冷却装置20は、コンプレッサ21と放熱部22と膨張弁23と冷却管24とを有する。コンプレッサ21と放熱部22と膨張弁23と冷却管24は、順に冷媒が通過して循環するように冷媒用の配管25で接続されている。
【0029】
コンプレッサ21は、冷却管24から冷媒を吸引し、その冷媒を圧縮して冷媒の温度を上昇させ、高温高圧となった冷媒を放熱部22の側に吐出する。放熱部22は、筐体1の背面に設けられている。放熱部22は、コンプレッサ21から吐出された冷媒が流れる冷媒パイプを筐体1の背面に沿って蛇行するように配置した網状の部材であり、コンプレッサ21から吐出された高温の冷媒と外気との間で熱交換を行なうことで冷媒を冷却し、凝縮させる。膨張弁23は、放熱部22を通過した冷媒を受け入れ、その冷媒を減圧して温度を低下させる。冷却管24は、膨張弁23で低温低圧になった冷媒を受け入れ、その冷媒と冷水タンク4の間で熱交換を行なう。冷却管24は、冷水タンク4の外周に螺旋状に巻き付けられている。冷却管24は、冷水タンク4の内部を通るように冷水タンク4の壁面を貫通して設けてもよい。
【0030】
温水タンク5には、温水タンク5内の飲料水を加熱する加熱装置26が取り付けられている。温水タンク5内の飲料水は、加熱装置26によって所定の高温(例えば80℃以上)に保たれる。
【0031】
冷水注出口2と冷水タンク4は、冷水注出路6を介して接続されており、冷水注出路6の途中に設けた冷水バルブ27を開弁することで、冷水タンク4内の低温の飲料水が、冷水注出路6を通って冷水注出口2から注出されるようになっている。同様に、温水注出口3(
図1参照)と温水タンク5は、温水注出路7を介して接続されており、温水注出路7の途中に設けた温水バルブ28(
図1参照)を開弁することで、温水タンク5内の高温の飲料水が、温水注出路7を通って温水注出口3から注出されるようになっている。
【0032】
図3に示すように、底板10は、略方形の輪郭を有する。底板10の下面には、下方に開口する複数の柱状凹部30を形成するように互いに交差する複数のリブ31が設けられている。複数のリブ31は、左右方向に直交する板状に形成され、前後方向(図では上下方向)に延びる複数の縦リブ31aと、これらの縦リブに直交する板状に形成され、左右方向に延びる複数の横リブ31bとで構成されている。
【0033】
底板10の前端には、左右方向に延びるスカート壁32が設けられている。スカート壁32は、底板10の外周に沿って全周に設けられた周壁の一部である。スカート壁32は、リブ31の下端と同じ高さかそれよりも低い高さに下縁を有するように形成されている。スカート壁32とリブ31とを含む底板10は、樹脂の射出成形で一体に形成されている。
【0034】
底板10には、床面F(
図2参照)の上を前後方向に転がるローラ33を有する。ローラ33は、底板10の前側部分に配置された左右一対の前輪33a,33bと、底板10の後側部分に配置された左右一対の後輪33c,33dとを有する。また、底板10には、ローラ33(ここでは左右一対の前輪33a,33b)の回転を規制するローラロック状態と、ローラ33(前輪33a,33b)の回転規制を解除するローラロック解除状態とを切り替え可能なローラロック機構34とが設けられている。左右一対の前輪33a,33bと左右一対の後輪33c,33dは、いずれもスカート壁32の下縁から下方への突出量が5mm以下となるように、柱状凹部30内に収容して設けられている。
【0035】
図4~
図7に示すように、ローラロック機構34は、左側前輪33aの右側面に周方向に間隔をおいて設けられた複数の左側前輪係合凹部37a(
図7参照)と、左側前輪係合凹部37aに係合する位置と左側前輪係合凹部37aとの係合を解除する位置との間で左右方向に移動可能に設けられた左側前輪係合部材38aと、右側前輪33bの左側面に周方向に間隔をおいて設けられた複数の右側前輪係合凹部37b(
図5参照)と、右側前輪係合凹部37bに係合する位置と右側前輪係合凹部37bとの係合を解除する位置との間で左右方向に移動可能に設けられた右側前輪係合部材38bと、左側前輪係合部材38aと右側前輪係合部材38bとが互いに左右方向の逆向きに移動するように左側前輪係合部材38aと右側前輪係合部材38bの間を連結する連結機構39とを有する。
【0036】
また、ローラロック機構34は、底板10の左右方向の中央に配置された単一の操作部材40を有する。操作部材40は、左側前輪係合部材38aと左右方向に一体に移動するように連結されている。このローラロック機構34は、操作部材40を左右方向に移動させる操作により、左右一対の前輪33a,33bの回転を同時に規制するローラロック状態(
図4、
図5、
図9に示す状態)と、左右一対の前輪33a,33bの回転規制を同時に解除するローラロック解除状態(
図8、
図10に示す状態)とを切り替え可能に構成されている。ここで、ローラロック機構34は、ローラロック状態とローラロック解除状態とを切り替えるための操作部材40の操作方向が左右方向となっている。
【0037】
図9、
図10に示すように、右側前輪33bは、樹脂製のローラ本体41と、ローラ本体41の外周に装着されたローラ外周部42とを有する。ローラ外周部42は、床面Fに対する滑りを防止するためゴムで形成されている。右側前輪係合凹部37bは、ローラ本体41に形成されている。左側前輪33a、左右一対の後輪33c,33dも、右側前輪33bと同様に形成されている。
【0038】
ところで、ウォーターサーバーが一般家庭のキッチンやリビング等に設置される場合、キッチンやリビング等の限られた居住空間を有効に利用するため、冷蔵庫や棚などと隣り合わせにウォーターサーバーが設置されることが多く、場合によっては、ウォーターサーバーの左右両隣に冷蔵庫や棚などがある配置(つまり、ウォーターサーバーが冷蔵庫や棚などで左右両側から排熱用の隙間のみを介して挟み込まれる配置)となるように設置されることもある。
【0039】
この場合、ウォーターサーバーの筐体1の背面の放熱部22を掃除するに際しては、ウォーターサーバーの筐体1の背面の放熱部22に掃除機などが届くようにするため、いったん、ウォーターサーバーを前方に移動させる必要がある。
【0040】
しかしながら、ウォーターサーバーの筐体1は、その自重だけでなく、筐体1の内部の冷水タンク4などに貯留された水の重量もあるので、総重量が20kgを超えることがあり、ウォーターサーバーの筐体1を移動させる作業は簡単ではない。特に、ウォーターサーバーのユーザーが女性や高齢者などである場合、ウォーターサーバーの筐体1を移動させるのは大変である。
【0041】
そのため、ウォーターサーバーの筐体1の背面の放熱部22が、長期にわたって掃除されないまま放置され、その放熱部22にホコリ等が付着することで冷水タンク4の冷却効率が低下した状態となり、その状態のままウォーターサーバーが使用されていることが多い。
【0042】
この問題に対し、この実施形態のウォーターサーバーは、
図2に示すように、床面Fに載置される筐体1の下端の底板10に、床面F上を前後方向に転がるローラ33が設けられているので、小さい力で、ウォーターサーバーの筐体1を前後方向に移動させることができる。そのため、女性や高齢者のユーザーでも、容易にウォーターサーバーの筐体1を前方に移動させることができ、ウォーターサーバーの筐体1の背面の放熱部22を掃除することができる。そして、ウォーターサーバーの筐体1の背面の掃除が完了した後は、ウォーターサーバーの筐体1を後方に移動させ、もとの位置に戻すことができる。このように、このウォーターサーバーは、筐体1の背面の放熱部22を簡単に掃除することができるので、冷水タンク4の実際上の冷却効率を高めることができる。
【0043】
特に、このウォーターサーバーは、
図2に示すように、筐体1の背面に沿って蛇行するように冷媒パイプを配置した網状の部材を放熱部22に採用しており、このような構成の放熱部22は、表面積が大きいため特にホコリ等が付着しやすいが、その放熱部22を掃除することで特に効果的に冷却効率を高めることが可能となっている。
【0044】
また、このウォーターサーバーは、
図9、
図10に示すように、ローラ33の回転を規制するローラロック状態(
図9に示す状態)と、ローラ33の回転規制を解除するローラロック解除状態(
図10に示す状態)とを切り替え可能なローラロック機構34(
図6、
図7参照)が設けられているので、ウォーターサーバーの通常使用時(すなわち、筐体1の背面の放熱部22の掃除をしないとき)は、
図9に示すようにローラ33の回転を規制するローラロック状態とし、
図2に示す筐体1の位置を固定することが可能である。
【0045】
また、このウォーターサーバーは、
図2に示す筐体1を前方に移動させるときに、ローラ33が異物に乗り上げて、筐体1の姿勢が不安定になるのを防止することができる。すなわち、筐体1を前方に移動させるときに、筐体1の前方の床面Fに異物が存在すると、ローラ33がその異物に乗り上げ、筐体1の姿勢が不安定になるおそれがある。特に、ウォーターサーバーの筐体1は、冷水タンク4を比較的高い位置に収容しているので重心が高く、姿勢が不安定になりやすい。この問題に対し、このウォーターサーバーは、
図3に示すように、筐体1の底板10の前端に左右方向に延びるスカート壁32を設け、そのスカート壁32の下縁から下方へのローラ33の突出量が5mm以下になるように、ローラ33を柱状凹部30内に収容して設けているので、
図2に示す筐体1を前方に移動させるときに、筐体1の前方の床面Fにある5mmを超える高さをもつ異物を、スカート壁32で前方に押し動かす(またはスカート壁32が異物に当たることで筐体1の移動を止める)ことができ、ローラ33が異物に乗り上げて筐体1の姿勢が不安定になるのを防止することができる。
【0046】
また、このウォーターサーバーは、
図5に示すように、単一の操作部材40の操作により、左側前輪33aの回転の規制と右側前輪33bの回転の規制とを同時に行なうので、左側前輪33aと右側前輪33bのうちの一方のみの回転を規制した状態(ウォーターサーバーの筐体1が意図せず旋回移動するおそれがある状態)となるのを防止することが可能である。
【0047】
また、このウォーターサーバーは、
図5に示すボトル受け14の移動方向(前後方向)と、ローラロック機構34の操作部材40の操作方向(左右方向)とが直交する関係となっているので、ユーザーが
図2に示すボトル受け14を前後方向に移動させるときに、ユーザーの手などが不意に操作部材40に触れて、ローラロック機構34によるロック状態が意図せず解除される事態を防止することができる。
【0048】
1 筐体
2 冷水注出口
4 冷水タンク
6 冷水注出路
10 底板
13 水ボトル
14 ボトル受け
20 冷却装置
22 放熱部
30 柱状凹部
31 リブ
32 スカート壁
33 ローラ
33a 左側前輪
33b 右側前輪
34 ローラロック機構
37a 左側前輪係合凹部
37b 右側前輪係合凹部
38a 左側前輪係合部材
38b 右側前輪係合部材
39 連結機構
40 操作部材
F 床面