(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023173994
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20231130BHJP
【FI】
F25D23/02 304A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086582
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 勝啓
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102KA01
3L102KE04
3L102KE08
(57)【要約】
【課題】廃棄の際におけるリサイクル等の観点から好適な冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、冷蔵庫本体の外表面12上に装着され外表面12の上を覆う板材22と、冷蔵庫本体に板材22を脱着自在にずれなく支持させる支持部材23と、を備える。冷蔵庫は、板材22と外表面12との間に収容され板材22と外表面12との間の隙間を埋める充填材31を更に備える。充填材31は、可撓性、粘着性を備え、板材22と外表面12とによって挟持されて支持されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体の外表面側に装着され前記外表面を覆う板材と、
前記冷蔵庫本体に前記板材を脱着自在にずれなく支持させる支持部材と、を備えることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記板材と前記外表面との間に収容され当該板材と外表面との間の隙間を埋める充填材を更に備えること、を特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記充填材は、可撓性を有すること、を特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記充填材は、粘着性を有すること、を特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記充填材は、前記板材と前記外表面とによって挟持されて支持されていること、を特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記外表面は、温度差のある2つの空間を区画する前記冷蔵庫本体の外装材の外側の面であること、を特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記支持部材は、弾性的に前記冷蔵庫本体に係合して前記板材を前記冷蔵庫本体に支持させること、を特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記支持部材は、前記板材と前記外表面とのうちの一方に固定され他方に吸着する吸盤を備えていること、を特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記支持部材は、前記板材と前記外表面とのうちの一方にオスが他方にメスがそれぞれ取り付けられた面ファスナを備えていること、を特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記支持部材は、前記板材と前記外表面とのうちの一方に凸部が他方に凹部がそれぞれ取り付けられたスナップボタンを備えていること、を特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2005-180790号公報(特許文献1)がある。この公報には、「冷凍室扉や冷蔵室扉の前面パネルに、この前面パネルに付された色彩とは異なる色彩が印刷されたシートを貼ることにより、或いは貼り替える。この場合、前記シートはその裏面に面状に弱粘性の接着剤が付されたものか、シート状のマグネット付きのものを使用する。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、前面パネルにシートを貼る技術が記載されている。しかし、特許文献1に開示の技術は、冷蔵庫の廃棄の際におけるリサイクル等の観点からは改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体の外表面側に装着され前記外表面側を覆う板材と、前記冷蔵庫本体に前記板材を脱着自在にずれなく支持させる支持部材と、を備えることを特徴とする。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施例1にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解斜視図である。
【
図3】実施例1にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解縦断面図である。
【
図4】実施例1にかかる冷蔵室左扉の外装材の縦断面図(
図1のA-A断面図)である。
【
図5】実施例2にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解斜視図である。
【
図6】実施例2にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解縦断面図である。
【
図7】実施例2にかかる冷蔵室左扉の外装材の縦断面図(
図1のA-A断面図)である。
【
図8】実施例3にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解斜視図である。
【
図9】実施例3にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解縦断面図である。
【
図10】実施例3にかかる冷蔵室左扉の外装材の縦断面図(
図1のA-A断面図)である。
【
図11】実施例4にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解斜視図である。
【
図12】実施例4にかかる冷蔵室左扉の外装材の分解縦断面図である。
【
図13】実施例4にかかる冷蔵室左扉の外装材の縦断面図(
図1のA-A断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の複数の実施例について図面を用いて説明する。
【実施例0008】
図1は、本発明の実施例1にかかる冷蔵庫の正面図である。
図1中には正面から視た冷蔵庫100の上下左右の方向を矢印で示している。冷蔵庫100の冷蔵庫本体111の前面には、冷蔵室の扉である冷蔵室左扉101および冷蔵室右扉102、製氷室の扉である製氷室扉103、急速冷凍室の扉である急速冷凍室扉104、冷凍室の扉である冷凍室扉105ならびに野菜室の扉である野菜室扉106を備えている。冷蔵室左扉101と冷蔵室右扉102は、それぞれ左端上下、右端上下に設けられたヒンジ(図示せず)により、回動可能になっている。製氷室扉103、急速冷凍室扉104、冷凍室扉105及び野菜室扉106には、それぞれに引出レール(図示せず)が設けられており、前方方向に引出可能になっている。この他、冷蔵庫100の内部には、棚、配管、冷却機器類等(いずれも図示せず)が設置されている。なお、本発明に言う冷蔵庫とは冷凍室等を備えない冷蔵室のみのものを含み、逆に冷凍室のみを備えた冷凍庫も本発明に言う冷蔵庫に含まれる。また、本体の上面に上開き式の扉やスライド式の扉を備えた、チェスト型の冷蔵庫や冷凍庫に対しても本発明を適用することができる。
図1の冷蔵庫100は、近年使用されている冷蔵庫の一般的なレイアウトの一例を示すものである。
【0009】
ところで、冷蔵庫の外装材の意匠はユーザの好みのものに変更できるようにすることが望ましい。
この点で、前記の特許文献1の技術では、前面パネルにシートを貼ることにより、冷蔵庫の外装材の意匠を、季節に応じてや、模様替え感覚で、楽しむことができるようにしている。
しかしながら、特許文献1の技術では、前面パネルにシートを貼るために接着剤を使用している。
【0010】
そのため、特許文献1の技術では、前面パネルから剥がしたシートに接着剤が付着していて、そのままではシートを冷蔵庫廃棄の際にリサイクルに回すことができないという点で改善の余地があった。
また、特許文献1の技術では、シート状のマグネット付きのものを使用するとの記載もある。
しかし、シートをマグネットで前面パネルに支持させるのでは、時間とともにシートが冷蔵庫からずれ下がってしまうという点で改善の余地があった。
【0011】
そこで、以下に示す各実施例では、冷蔵庫の外装材の意匠をユーザの好みのものに変更できるようにするに際して、冷蔵庫の外表面に交換可能な板材を装着するのに関し、板材のリサイクルを容易に図れ、しかも、板材を冷蔵庫の外表面にしっかり固定する手段について説明する。
【0012】
なお、冷蔵庫100の外装材としては、冷蔵室左扉101、冷蔵室右扉102、製氷室扉103、急速冷凍室扉104、冷凍室扉105ならびに野菜室扉106の他に、冷蔵庫100の左右の壁や天板などもある。以下に各実施例で説明する冷蔵庫100の外装材の工夫は、前記の冷蔵庫100の外壁全体に施されていてもよいし、外壁の一部のみに施されていてもよい。以下では冷蔵室左扉101を例にして各実施例の冷蔵庫100の外装材の工夫について説明する。
【0013】
図2は、実施例1にかかる冷蔵室左扉101の外装材の分解斜視図である。
図3は、実施例1にかかる冷蔵室左扉101の外装材の分解縦断面図である。
図4は、実施例1にかかる冷蔵室左扉101の外装材の縦断面図(
図1のA-A断面図)である。
冷蔵室左扉101の外装材11は、一般的には例えばスチール製の鋼板、樹脂製の板、またはガラス製の板等で形成されている。この外装材11の外表面12(外装材11の外側を向いた面)側には、カバー21が装着される。外表面12は、温度差のある2つの空間(冷蔵庫100の冷蔵庫内や冷凍庫内の空間と、冷蔵庫100外の空間)とを区画する冷蔵庫本体111の外装材11の外側の面である。カバー21は、外表面12の上を覆う薄板上の板材22と、冷蔵庫本体111(の外装材11)に板材22を脱着自在にずれなく支持させる支持部材23とを備えている。板材22は、例えばガラス製や樹脂製等である。
【0014】
本実施例1では、支持部材23は、弾性的に冷蔵庫本体111(の外装材11)に係合して板材22を冷蔵庫本体111(の外装材11)側に支持させる部材である。すなわち、支持部材23は、板材22の外周縁部から外装材11側に向かって延出していて、外装材11の側面13に対して内周面24が弾性的に係合している。板材22は、例えば樹脂等のある程度可撓性を有する材料で形成されている。あるいは、板材22は、伸縮性のあるゴムバンド(帯状や板状のゴム)等で構成されていてもよい。
【0015】
板材22と外表面12との間には充填材31が収容されている。充填材31は、板材22と外表面12との間の隙間を埋める部材である。充填材31は、板材22と外表面12とによって挟持され、板材22の内面25(外装材11側の面)と外表面12とによって支持されている。
充填材31は、外表面12の凹凸を埋めるのに十分な可撓性と、内面25と外表面12とによって支持されるのに必要な粘着性(接着剤等を使用せずとも充填材31そのものが備えている)とを備えている。充填材31としては、例えば、ウレタン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゲル、ニトリルゴム、ポリウレタン、合成ゴム、天然ゴム等の材料が挙げられる。
【0016】
以上説明した本実施例1によれば、冷蔵庫本体111(の外装材11)に板材22を支持部材23によって脱着自在に支持させるので、板材22を容易に取り外して冷蔵庫本体111の表面の意匠を変更することができる。
また、冷蔵庫本体111(の外装材11)に板材22を支持部材23によってずれなく支持させているだけなので、板材22を冷蔵庫本体111(の外装材11)の外表面12に保持させるために接着剤を使用する必要がない。そのため、冷蔵庫100を廃棄する際に板材22を外しても板材22には接着剤が付着しておらず、板材22を容易にリサイクルに回すことができる。
【0017】
また、冷蔵庫本体111(の外装材11)に板材22を支持部材23によってずれなく支持させるので、板材22が冷蔵庫本体111の外表面12からずれてしまうことがない。具体的には、本実施例1では、支持部材23は、弾性的に冷蔵庫本体111(外装材11の側面13)に係合して板材22を冷蔵庫本体111に支持させるので、簡易な手段により冷蔵庫本体111(の外装材11)に板材22をずれなく支持させることができる。
また、外装材11の外表面12は冷蔵庫100内の冷気により低温になっている。そのため、特に夏場の湿度の高い時期などには外表面12に結露を生じやすい。しかし、板材22と冷蔵庫本体111の外表面12との間には隙間を埋める充填材31が設けられているので、外表面12に結露を生じにくい。特に、充填材31は、外表面12の凹凸を効果的に埋めるだけの可撓性を有しているので、外表面12の結露を効果的に抑制することができる。
【0018】
また、充填材31は、板材22と外表面12とによって挟持されて支持されているので、充填材31のずり下がりを抑制することができる。また、充填材31は、粘着性を有する部材であるため、この点でも充填材31のずり下がりを抑制することができる。
また、
図4の例では、側面13と支持部材23の上面や下面などとの間に段差ができるが、支持部材23と嵌合する側面13の部分を支持部材23の肉厚分だけ彫り込むなどして段付きとし、一方、支持部材23の寸法を段差に見合う分だけ小さくするなどして、インロー嵌合(印籠嵌合)のごとく、段差が生じないようすることもできる。
内面25(または外表面12)に設けられた支持部材41となる吸盤は、穴32を介して、外表面12(または内面25)に吸着し、板材22を冷蔵庫本体111(の外装材11)の外表面12にずれなく支持させることができる。また、支持部材41となる吸盤の吸着力によって充填材31は板材22と外表面12との間に挟持されて支持される。