(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174003
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】蓄圧式吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20231130BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20231130BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101Q
B05B11/00 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086594
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084AB09
3E084BA03
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB08
3E084DB12
3E084DC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB06
3E084LA12
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】倒立状態で使用できる蓄圧式吐出器を提供する。
【解決手段】蓄圧式吐出器1は、主シリンダ20に装着される正倒立両用アダプタ40を備え、主シリンダ20は、主ピストン71の下降端位置において、主ピストン71と主シリンダ20の内周面との間に隙間を形成する圧逃がし溝27と、圧逃がし溝27の上方に位置し、主シリンダ20内と容器本体2内とを連通させる圧逃がし孔28と、圧逃がし孔28の上方に位置し、主シリンダ20と副シリンダ50との隙間空間と容器本体2内とを連通させる外気導入孔29と、を有し、外気導入孔29を径方向外側から覆う遮断弁部80を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着される蓄圧式吐出器であって、
前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップの内側に配置され、前記容器本体と内部が連通する主シリンダと、
前記主シリンダの内側に配置され、前記主シリンダの加圧時に前記主シリンダ内と前記容器本体内との連通を遮断し、かつ前記主シリンダ内の減圧時に前記主シリンダ内と前記容器本体内とを連通させる逆止弁部と、
前記主シリンダに装着され、前記容器本体内の底部に向けて開口し、前記蓄圧式吐出器の正立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な正立時導入孔と、前記正立時導入孔より上方に配置され、かつ前記蓄圧式吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な倒立時導入孔と、前記正立時導入孔および前記倒立時導入孔と前記主シリンダの下端開口部とを連通する連通路と、が形成されるとともに、前記蓄圧式吐出器の正立時に、前記倒立時導入孔と前記連通路との連通を遮断し、かつ前記蓄圧式吐出器の倒立時に、前記倒立時導入孔と前記連通路とを連通する切替弁が配設される正倒立両用アダプタと、
前記主シリンダの内側に沿って、上方付勢状態で下方移動可能に配置され、前記主シリンダと内部が連通する副シリンダと、
前記副シリンダの上端部に装着され、前記副シリンダと連通する吐出孔を有する押下ヘッドと、
前記主シリンダと前記副シリンダとの上下方向の間に配置され、上方付勢状態で下方移動可能なプランジャと、を備え、
前記プランジャは、
前記主シリンダの内部に上下方向に摺動自在に配置された主ピストンと、
前記副シリンダの内部に上下方向に摺動自在に配置された副ピストンと、
前記主シリンダの内部と前記副シリンダの内部とを繋ぐ連通流路と、
前記副シリンダの内部と前記吐出孔との間を開閉可能な蓄圧弁と、を有し、
前記副シリンダは、
前記副ピストンの下方に位置し、前記蓄圧弁の下降端位置を規制する蓄圧弁ストローク規制部と、
前記主ピストンの上方において、前記主シリンダの内側に上下方向に摺動自在に配置されたシール筒と、を有し、
前記主シリンダは、
前記主ピストンの下降端位置において、前記主ピストンと前記主シリンダの内周面との間に隙間を形成する圧逃がし溝と、
前記圧逃がし溝の上方、かつ前記シール筒の下降端位置より下方に位置し、前記主シリンダ内と前記容器本体内とを連通させる圧逃がし孔と、
前記圧逃がし孔の上方、かつ前記シール筒の下降端位置より上方に位置し、前記主シリンダと前記副シリンダとの隙間空間と前記容器本体内とを連通させる外気導入孔と、を有し、
前記外気導入孔を径方向外側から覆うとともに、前記主シリンダの外周面に対して径方向外側に向けて離反自在に当接し、前記外気導入孔と前記容器本体内との連通を開放自在に遮断する遮断弁部を備える、蓄圧式吐出器。
【請求項2】
前記圧逃がし孔は、前記主ピストンの上昇端位置より上方に位置する、請求項1に記載の蓄圧式吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄圧式吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、押下ヘッドを押し下げることにより、吐出孔から内容物を吐出できる蓄圧式吐出器が知られている。このような蓄圧式吐出器においては、内容物が流入されるシリンダ内の圧力が、押下ヘッドを下降端位置まで押し下げて内容物を吐出させた後において高い状態のままとなり、シリンダ内に内容物を十分に流入できない問題があった。
【0003】
これに対して、下記特許文献1には、押下ヘッドが下降端位置まで押し下げられた状態において、シリンダの内部と容器本体の内部とを連通させる透孔(圧逃がし孔)を設けて、シリンダ内の圧力を逃がす構造が記載されている。また、この透孔は、押下ヘッドの押し下げを解除し、容器本体内の内容物をシリンダ内に供給した際に、押下ヘッドと装着キャップとの隙間を介して容器本体内に外気を導入する外気導入孔としても機能し、容器本体内の負圧状態を解除することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の蓄圧式吐出器は、倒立状態で使用した場合、容器本体内の内容物がシリンダの透孔に流入し、押下ヘッドと装着キャップの隙間から内容物が外部に吹き出してしまう可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、倒立状態で使用できる蓄圧式吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る蓄圧式吐出器は、内容物が収容される容器本体の口部に装着される蓄圧式吐出器であって、前記容器本体の口部に装着される装着キャップと、前記装着キャップの内側に配置され、前記容器本体と内部が連通する主シリンダと、前記主シリンダの内側に配置され、前記主シリンダの加圧時に前記主シリンダ内と前記容器本体内との連通を遮断し、かつ前記主シリンダ内の減圧時に前記主シリンダ内と前記容器本体内とを連通させる逆止弁部と、前記主シリンダに装着され、前記容器本体内の底部に向けて開口し、前記蓄圧式吐出器の正立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な正立時導入孔と、前記正立時導入孔より上方に配置され、かつ前記蓄圧式吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容物が導入可能な倒立時導入孔と、前記正立時導入孔および前記倒立時導入孔と前記主シリンダの下端開口部とを連通する連通路と、が形成されるとともに、前記蓄圧式吐出器の正立時に、前記倒立時導入孔と前記連通路との連通を遮断し、かつ前記蓄圧式吐出器の倒立時に、前記倒立時導入孔と前記連通路とを連通する切替弁が配設される正倒立両用アダプタと、前記主シリンダの内側に沿って、上方付勢状態で下方移動可能に配置され、前記主シリンダと内部が連通する副シリンダと、前記副シリンダの上端部に装着され、前記副シリンダと連通する吐出孔を有する押下ヘッドと、前記主シリンダと前記副シリンダとの上下方向の間に配置され、上方付勢状態で下方移動可能なプランジャと、を備え、前記プランジャは、前記主シリンダの内部に上下方向に摺動自在に配置された主ピストンと、前記副シリンダの内部に上下方向に摺動自在に配置された副ピストンと、前記主シリンダの内部と前記副シリンダの内部とを繋ぐ連通流路と、前記副シリンダの内部と前記吐出孔との間を開閉可能な蓄圧弁と、を有し、前記副シリンダは、前記副ピストンの下方に位置し、前記蓄圧弁の下降端位置を規制する蓄圧弁ストローク規制部と、前記主ピストンの上方において、前記主シリンダの内側に上下方向に摺動自在に配置されたシール筒と、を有し、前記主シリンダは、前記主ピストンの下降端位置において、前記主ピストンと前記主シリンダの内周面との間に隙間を形成する圧逃がし溝と、前記圧逃がし溝の上方、かつ前記シール筒の下降端位置より下方に位置し、前記主シリンダ内と前記容器本体内とを連通させる圧逃がし孔と、前記圧逃がし孔の上方、かつ前記シール筒の下降端位置より上方に位置し、前記主シリンダと前記副シリンダとの隙間空間と前記容器本体内とを連通させる外気導入孔と、を有し、前記外気導入孔を径方向外側から覆うとともに、前記主シリンダの外周面に対して径方向外側に向けて離反自在に当接し、前記外気導入孔と前記容器本体内との連通を開放自在に遮断する遮断弁部を備える。
【0008】
本発明に係る蓄圧式吐出器によれば、押下ヘッドを押し下げると、副シリンダ、プランジャが押下ヘッドとともに押し下げられる。プランジャが押し下げられる過程において、主ピストンが主シリンダの内側を摺動することで、主シリンダ内が加圧され、主シリンダ内の逆止弁部が主シリンダ内と容器本体内との連通を遮断する。
これにより、主シリンダ内で加圧された内容物がプランジャの連通流路を通して副シリンダ内に流入し、副シリンダ内が加圧(蓄圧)される。そして、副シリンダ内が蓄圧され、副シリンダ内の圧力が上方付勢力よりも高くなると、プランジャが副シリンダに対して下降する。そうすると、プランジャの蓄圧弁が副シリンダの内部と吐出孔との間を開放し、副シリンダ内で蓄圧された内容物が押下ヘッド内を流通し、吐出孔を通して外部に吐出される。ここで、蓄圧弁は、副シリンダに設けた蓄圧弁ストローク規制部によって下降端位置が規制され、副シリンダ内の圧力が短時間で抜けなくなるため、比較的長い時間、内容物を吐出できる。
【0009】
なお、押下ヘッドを押し下げると、副シリンダのシール筒の下端が、主シリンダの外気導入孔よりも下方に移動し、主シリンダと副シリンダとの隙間空間と容器本体内とが連通する。これにより、容器本体内が、外気導入孔、主シリンダと副シリンダとの隙間空間、押下ヘッドと装着キャップの隙間空間を介して、外部と連通する。ここで、容器本体内は、押下ヘッドの押し下げが解除されて、容器本体内の内容物が主シリンダ内に供給された際に負圧になっており、外気導入孔を覆う遮断弁部が、主シリンダの外周面に対して径方向外側に離反することで、外部の空気が容器本体内に流入し、容器本体内の負圧が解除される。
押下ヘッドがさらに押し下げられ、プランジャが下方に移動していくと、プランジャに設けられた主ピストンは、押下ヘッドが下降端位置まで押し下げられた状態において主シリンダの内周面に形成された圧逃がし溝と径方向に対向する。主ピストンが圧逃がし溝と対向した状態において、主ピストンは、主シリンダの内周面から離間する。そのため、主ピストンと主シリンダとの間に隙間が形成され、主シリンダ内が圧逃がし孔に繋がり、主シリンダ内と容器本体内とが連通する。これにより、主シリンダ内の内容物の少なくとも一部及び主シリンダ内の空気が、容器本体内に流出し、主シリンダ内の残圧が開放される。
【0010】
ここで、蓄圧式吐出器が倒立状態の場合、容器本体内の内容物は、主シリンダの外周面に対して径方向外側に離反自在に当接する遮断弁部によって、外気導入孔への流入が阻止される。これにより、容器本体内の内容物が、主シリンダと副シリンダとの隙間空間、押下ヘッドと装着キャップの隙間空間を介して、外部に吹き出すことを防止できる。このように、主シリンダに圧逃がし孔と外気導入孔とを別途設け、外部に連通する外気導入孔を主シリンダの径方向外側から遮断弁部で開放自在に覆うことで、蓄圧式吐出器を倒立状態で使用した場合であっても、内容物の吹き出しを防止でき、外部の空気の取り込みが安定する。
なお、押下ヘッドの押し下げを解除すると、上方付勢力によってプランジャが副シリンダ及び押下ヘッドとともに押し上げられる。プランジャが押し上げられる過程において、主ピストンが主シリンダの内側を摺動することで、主シリンダ内が減圧される。すると、蓄圧式吐出器が正立状態の場合は、正倒立両用アダプタの切替弁が倒立時導入孔と連通路との連通を遮断し、正立時導入孔、連通路を介して容器本体内の内容物が主シリンダ内に流入する。また、蓄圧式吐出器が倒立状態の場合は、正倒立両用アダプタの切替弁が倒立時導入孔と連通路とを連通させ、正立時導入孔より上方に配置された倒立時導入孔から容器本体内の内容物が主シリンダ内に流入する。その結果、押下ヘッドを押し下げる前の状態に復帰する。
【0011】
(2)前記圧逃がし孔は、前記主ピストンの上昇端位置より上方に位置しても良い。
【0012】
この場合には、押下ヘッドを押し下げる過程において、圧逃がし孔から主シリンダ内の内容物が流出しなくなるため、主シリンダ内を加圧しやすくなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る蓄圧式吐出器によれば、押下ヘッドと装着キャップの隙間から内容物が外部に吹き出すことなく、倒立状態で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る蓄圧式吐出器の縦断面図である。
【
図2】
図1に示す蓄圧式吐出器の押下ヘッドを押し下げたときの縦断面図である。
【
図3】本実施形態に係る蓄圧式吐出器の一変形例を示す縦断面図である。
【
図4】本実施形態に係る蓄圧式吐出器の他の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る吐出器について説明する。
図1に示すように、蓄圧式吐出器1は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2の口部2aに取り付けられる。容器本体2の内容物としては、例えば医薬品、化粧品、香料、消毒剤、洗浄剤、食品等の液体である。蓄圧式吐出器1は、有頂筒状に形成され、容器本体2の口部2aを閉塞する。
【0016】
ここで、容器本体2および蓄圧式吐出器1は、口部2aの中心を共通軸とする同軸に形成されている。以下、共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向のうち、容器本体2の底部から口部2aに向かう方向を上方とし、その反対方向を下方とする。また、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
蓄圧式吐出器1は、装着キャップ10と、主シリンダ20と、逆止弁部30と、正倒立両用アダプタ40と、副シリンダ50と、押下ヘッド60と、プランジャ70と、遮断弁部80と、を備えている。
【0018】
装着キャップ10は、容器本体2の口部2aに装着される。装着キャップ10は、有頂筒状の装着筒部11と、円筒状のヘッド案内筒12と、を備えている。装着筒部11の頂壁には、主シリンダ20が上下方向に貫通する貫通孔が形成されている。装着筒部11の内周面には、雌ネジが形成されている。装着筒部11の雌ネジは、容器本体2の口部2aに形成された雄ネジと螺合している。
【0019】
ヘッド案内筒12は、装着筒部11の頂壁から上方に向かって延びている。ヘッド案内筒12は、装着筒部11の周壁よりも径方向内側に位置する。ヘッド案内筒12の上端部は、開口している。ヘッド案内筒12の上端部における内周面には、径方向内側に突出する係止突起12aが形成されている。
【0020】
主シリンダ20は、装着キャップ10の内側に配置され、容器本体2と内部が連通している。主シリンダ20は、下筒部21と、上筒部22と、フランジ部23と、接続部24と、を備えている。下筒部21の下端部には、逆止弁部30(ボール弁)が上方から着座する弁座部25と、弁座部25から上方に離反した逆止弁部30の上方移動を規制する弁移動規制部26と、が形成されている。
【0021】
弁座部25は、その内周面が下方に向かうに従い縮径するテーパ筒状に形成されている。逆止弁部30は、弁座部25の上方に配置されている。逆止弁部30は、弁座部25の内周面に対して上方に離反自在に当接している。逆止弁部30は、弁座部25の内周面および逆止弁部30の外表面の密接によりシール面を形成する。
【0022】
逆止弁部30は、主シリンダ20内の圧力に応じて主シリンダ20内と容器本体2内との連通及び遮断を切り替える。具体的に、逆止弁部30は、主シリンダ20内の加圧時に主シリンダ20内と容器本体2内との連通を遮断し、かつ主シリンダ20内の減圧時に主シリンダ20内と容器本体2内とを連通させる。
【0023】
弁移動規制部26は、弁座部25の上方に配設され、下筒部21の内周面から径方向内側に突出している。弁移動規制部26は、周方向に隙間をあけて形成されており、逆止弁部30が下方から当接した状態でも内容物が上下方向に通過できるようになっている。弁移動規制部26の上面は、主シリンダ20内に収容された付勢部材90の下端部を受けるバネ受けになっている。
【0024】
下筒部21の弁移動規制部26より上方の内周面には、径方向外側に窪む圧逃がし溝27が形成されている。圧逃がし溝27は、容器軸Oと同軸に配置された円環状の凹部である。なお、圧逃がし溝27は、周方向に連続する凹部でも、周方向に間欠の凹部でもよい。また、圧逃がし溝27は、周方向の任意の箇所の一部のみに設けてもよい。圧逃がし溝27は、下筒部21の内周面のうち、押下ヘッド60を押し下げたときの、主ピストン71(後述)の下降端位置(
図2参照)に対応する部分に形成されている。
【0025】
上筒部22は、下筒部21の上端に連設されている。主シリンダ20は、上筒部22、下筒部21の順に縮径された多段筒状に形成されている。上筒部22には、径方向に貫通する圧逃がし孔28および外気導入孔29が形成されている。圧逃がし孔28は、上筒部22の内周面のうち、押下ヘッド60を押し下げたときの、シール筒51(後述)の下降端位置(
図2参照)より下方に位置している。
【0026】
外気導入孔29は、圧逃がし孔28の上方、かつシール筒51の下降端位置より上方に位置している。圧逃がし孔28および外気導入孔29は、装着キャップ10の内部に位置し、容器本体2における口部2aの内部に開口する。圧逃がし孔28および外気導入孔29は、押下ヘッド60を押し下げる前の、主ピストン71の上昇端位置(
図1参照)よりも上方に位置する。
【0027】
フランジ部23は、主シリンダ20の上端部に、径方向外側に拡がる円環状に形成されている。フランジ部23は、装着筒部11の上端部における内部に嵌合されている。これにより、主シリンダ20は、装着筒部11に取り付けられている。フランジ部23の下面は、容器本体2の口部2aの上端開口縁に、円環状のシール部材15を介して接触する。
【0028】
接続部24は、上筒部22の上端開口縁と、フランジ部23の内端縁とを環状に接続している。接続部24は、上方に凸状に屈曲している。接続部24の上端部は、装着筒部11の頂壁よりも上方かつヘッド案内筒12よりも径方向内側に位置している。接続部24は、副シリンダ50に形成された通気溝54と上下方向で対向している。
【0029】
正倒立両用アダプタ40は、主シリンダ20の下端部(下筒部21)に装着されている。正倒立両用アダプタ40は、主シリンダ20に外嵌された外筒部41と、外筒部41の内側に内嵌された内筒部42と、内筒部42の内部に配置された切替弁43と、を備えている。内筒部42の下端部には、吸引筒44の上端部が取り付けられている。吸引筒44の下端部は、容器本体2の底部まで延びている。
【0030】
内筒部42には、容器本体2の底部に向けて開口し、蓄圧式吐出器1が正立状態のとき容器本体2内の内容物を導入可能な正立時導入孔45が形成されている。外筒部41には、正立時導入孔45よりも上方に配設され、かつ蓄圧式吐出器1が倒立状態のとき容器本体2内の内容物を導入可能な倒立時導入孔46と、正立時導入孔45および倒立時導入孔46と主シリンダ20の下端開口部とを連通する連通路47と、が形成されている。
【0031】
切替弁43は、ボール弁である。切替弁43は、蓄圧式吐出器1が正立状態のとき、倒立時導入孔46と連通路47との連通を遮断し、かつ、蓄圧式吐出器1が倒立状態のとき、倒立時導入孔46と連通路47とを連通する。
【0032】
副シリンダ50は、主シリンダ20の内側に、上方付勢状態で下方移動可能に配置されている。副シリンダ50の内部は、主シリンダ20の内部と連通している。副シリンダ50は、シール筒51と、嵌合筒52と、蓄圧弁ストローク規制部53と、を備えている。
【0033】
シール筒51は、上下方向に延びる円筒状に形成されている。シール筒51は、主シリンダ20の上筒部22の内径よりも外径が小さく、上筒部22の内側に挿入されている。シール筒51の下端部51aは、シール筒51の外周面より僅かに拡径しており、上筒部22の内周面に全周に亘って密接している。つまり、シール筒51の下端部51a以外の部分には、上筒部22の内周面との間に隙間が形成されている。
【0034】
嵌合筒52は、シール筒51の上端部に蓄圧弁ストローク規制部53を介して連設されている。嵌合筒52は、蓄圧弁ストローク規制部53の外周縁から上方に延びる円筒状に形成されている。嵌合筒52は、シール筒51よりも内径が大きい。嵌合筒52は、有頂筒状の押下ヘッド60の内側に嵌合している。
【0035】
蓄圧弁ストローク規制部53は、シール筒51の上端開口縁と、嵌合筒52の下端開口縁とを環状に接続している。蓄圧弁ストローク規制部53は、上方に凸状に屈曲している。蓄圧弁ストローク規制部53の凸部は、副ピストン72(後述)と上下方向で対向している。蓄圧弁ストローク規制部53の下面側には、下方に開口し、径方向に延びる通気溝54が形成されている。
【0036】
押下ヘッド60は、副シリンダ50の上端部(嵌合筒52)に装着されている。押下ヘッド60は、副シリンダ50とともに、上方付勢状態で下方移動可能である。押下ヘッド60は、ノズルチップ61と、ヘッド本体62と、副シリンダ蓋63と、を備えている。
【0037】
ノズルチップ61は、径方向内側に開口し、径方向外側に蓋部を有する円筒状の部材である。ノズルチップ61の蓋部の中央部には、ノズルチップ61の蓋部を径方向に貫通する吐出孔3が形成されている。
【0038】
ヘッド本体62は、下方に開口する有頂筒状に形成されている。ヘッド本体62の周壁には、ノズル貫通孔62bが開口し、ノズル貫通孔62bの内側にノズル軸部62aが配設されている。ノズル貫通孔62bには、ノズルチップ61が径方向外側から嵌合されている。ノズル軸部62aは、ノズル貫通孔62b内においてノズルチップ61の内部に挿入されている。
【0039】
ノズル軸部62aの径方向外側の端部は、ノズルチップ61の蓋部と隙間を介して対向している。ノズル軸部62aの外周面は、ノズルチップ61の内周面と隙間を介して対向している。吐出孔3は、ノズルチップ61とノズル軸部62aとの隙間、ノズル貫通孔62b、ヘッド本体62の内部、および副シリンダ蓋63に設けられた連通孔63aを介して、副シリンダ50の内部と繋がっている。
【0040】
ヘッド本体62の周壁は、装着キャップ10のヘッド案内筒12の径方向内側に位置する。ヘッド本体62の周壁の下端部には、ヘッド案内筒12の上端部より下方に位置するとともに径方向外側に突出し、ヘッド案内筒12の係止突起12aと上下方向に対向する抜け止め部62cが形成されている。また、ヘッド本体62の周壁は、副シリンダ50の嵌合筒52の径方向外側に位置する。抜け止め部62cは、径方向内側にも突出し、嵌合筒52の下端に係合している。
【0041】
副シリンダ蓋63は、ヘッド本体62の内側に嵌合される有頂筒状に形成されている。副シリンダ蓋63の頂壁の中央には、上下方向に貫通する連通孔63aが形成されている。副シリンダ蓋63の頂壁の連通孔63aより径方向外側の上面には、ヘッド本体62に嵌合する嵌合突起63bが上方に向かって突設されている。
【0042】
副シリンダ蓋63の周壁は、ヘッド本体62の周壁との間で、副シリンダ50の嵌合筒52を径方向に挟み込む挟持筒部63cを形成している。副シリンダ蓋63の頂壁の連通孔63aより径方向外側かつ挟持筒部63cの径方向内側の下面には、プランジャ70を上下方向に案内するプランジャ案内筒63dが下方に向かって突設されている。
【0043】
プランジャ70は、主シリンダ20と副シリンダ50との上下方向の間に配置され、上方付勢状態で下方移動可能である。プランジャ70は、主ピストン71と、副ピストン72と、連通流路73と、蓄圧弁74と、を備えている。
【0044】
蓄圧弁74は、上下方向に延びる円柱状に形成され、その上端部が略円錐状に形成されている。蓄圧弁74の上端部は、連通孔63aに下方から挿入されており、連通孔63aを閉塞している。蓄圧弁74によって連通孔63aが閉塞されると、副シリンダ50の内部と吐出孔3との間の連通が遮断される。蓄圧弁74が連通孔63aの下方に離間すると、連通孔63aが開放されて、副シリンダ50の内部と吐出孔3とが連通する。このように、蓄圧弁74は、副シリンダ50の内部と吐出孔3との間を開閉可能である。
【0045】
蓄圧弁74の上下方向の中間部には、円筒状の主ピストン71および副ピストン72が径方向外側に延びる連結部を介して連設されている。主ピストン71は、蓄圧弁74との連結部から下方に延びる円筒状に形成されている。主ピストン71は、主シリンダ20の内部に上下方向に摺動自在に配置されている。主ピストン71の下端部は、主シリンダ20の下筒部21の内周面に全周にわたって密接している。主ピストン71の外周面は、主シリンダ20の上筒部22の内周面と径方向に隙間をあけて対向している。
【0046】
副ピストン72は、蓄圧弁74との連結部から上方に向かって延びる摺動筒75に連設されている。副ピストン72は、摺動筒75の上端部の径方向外側に連設されている。副ピストン72は、蓄圧弁ストローク規制部53の上方、かつ挟持筒部63cの径方向内側に配置されている。副ピストン72のうち、上下方向における副シリンダ50内の圧力を受ける面の面積は、上下方向における主ピストン71のうち主シリンダ20内の圧力を受ける面の面積よりも大きい。
【0047】
副ピストン72の上側部分は、上方に向かうに従って径方向外側に延在している。副ピストン72の下側部分は、下方に向かうに従って径方向外側に延在している。副ピストン72の上端部と副ピストン72の下端部とは、挟持筒部63cに全周にわたって密接している。
【0048】
蓄圧弁74と摺動筒75との径方向の隙間には、上方からプランジャ案内筒63dが挿入されている。蓄圧弁74の外周面とプランジャ案内筒63dの内周面との間には、隙間が形成されている。また、摺動筒75の内周面とプランジャ案内筒63dの外周面との間には、隙間が形成されている。
【0049】
蓄圧弁74と主ピストン71との径方向の隙間には、下方から付勢部材90の上端部が挿入されている。付勢部材90は、蓄圧弁74の下端部に外挿されている。付勢部材90は、例えば、上下方向に延びるコイルスプリングである。付勢部材90は、主シリンダ20の内部に収容されている。付勢部材90の下端部は、下筒部21の弁移動規制部26に上方から接触している。
【0050】
付勢部材90は、蓄圧弁74と主ピストン71および副ピストン72との連結部に下方から接触し、プランジャ70に上方の弾性力を加えている。また、付勢部材90は、プランジャ70を介して副シリンダ50および押下ヘッド60にも上方の弾性力を加えている。これにより、付勢部材90によって、プランジャ70、副シリンダ50および押下ヘッド60が上方に付勢されている。
【0051】
連通流路73は、蓄圧弁74と主ピストン71および副ピストン72との連結部に形成されている。連通流路73は、主シリンダ20の内部と副シリンダ50の内部とを繋ぐ流路を形成している。具体的に、連通流路73は、蓄圧弁74と主ピストン71との径方向の隙間と、蓄圧弁74と摺動筒75との径方向の隙間とを上下方向に連通させている。連通流路73は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0052】
遮断弁部80は、主シリンダ20の外気導入孔29を径方向外側から覆うとともに、主シリンダ20の外周面に対して径方向外側に向けて離反自在に当接し、外気導入孔29と容器本体2内との連通を開放自在に遮断する。遮断弁部80は、上下方向に延びる円筒状に形成されている可撓性筒部材である。遮断弁部80の上端部には、径方向外側に延びる円環状の被挟持部81が形成されている。被挟持部81は、主シリンダ20のフランジ部23とシール部材15との間に、上下方向に挟み込まれている。
【0053】
遮断弁部80の上端部は、主シリンダ20の上筒部22の外周面に嵌合している。遮断弁部80は、上筒部22との嵌合部分から下方に延びるとともに遮断弁部80の下端部に向けて縮径している。遮断弁部80の下端部には、上筒部22の外気導入孔29より下方かつ圧逃がし孔28の上方の外周面に対して当接され、主シリンダ20の外周面から径方向外側に離反自在とされた当接部82が形成されている。当接部82は、上筒部22の外周面に対して当接することにより、外気導入孔29を通した容器本体2内と外部との連通を遮断する。
【0054】
図2に示すように、押下ヘッド60が押し下げた状態において、押下ヘッド60とヘッド案内筒12の隙間空間、通気溝54、主シリンダ20と副シリンダ50の隙間、および外気導入孔29は、容器本体2内と外部とを連通する外気導入路を形成している。遮断弁部80は、容器本体2の内部が減圧された場合に、外気導入路の内圧により径方向外側に撓むことが可能な厚みに設定されている。つまり、遮断弁部80は、容器本体2と外気導入路との差圧により、径方向外側に弾性変形可能とされている。
【0055】
続いて、本実施形態の蓄圧式吐出器1の動作について説明する。
図1に示す状態から、付勢部材90の弾性力に抗して、押下ヘッド60を押し下げると、副シリンダ50、プランジャ70が押下ヘッド60とともに押し下げられる。プランジャ70が押し下げられる過程において、主ピストン71が主シリンダ20の下筒部21の内側を摺動することで、主シリンダ20内が加圧される。
【0056】
そうすると、主シリンダ20内の逆止弁部30が主シリンダ20内と容器本体2内との連通を遮断する。これにより、主シリンダ20内で加圧された内容物がプランジャ70の連通流路73を通して副シリンダ50内に流入し、副シリンダ50内が加圧(蓄圧)される。
【0057】
押下ヘッド60を押し下げる過程において、主シリンダ20の内部の圧力と副シリンダ50の内部の圧力は同じとなる。しかし、副ピストン72の受圧面積が主ピストン71の受圧面積よりも大きいため、副シリンダ50内の内容物からプランジャ70が下方向きに受ける力は、主シリンダ20内の内容物からプランジャ70が上方向きに受ける力よりも大きくなる。そして、副シリンダ50内の圧力が付勢部材90の上方付勢力よりも高くなると、プランジャ70が副シリンダ50に対して下降する。
【0058】
そうすると、プランジャ70の蓄圧弁74が、連通孔63aを開放し、副シリンダ50の内部と吐出孔3との間が連通され、副シリンダ50内で蓄圧され、所定の圧力まで高められた内容物が押下ヘッド60内を流通し、吐出孔3を通して外部に吐出される。ここで、蓄圧弁74は、副シリンダ50に設けた蓄圧弁ストローク規制部53によって下降端位置が規制され、副シリンダ50内の圧力が短時間で抜けなくなるため、比較的長い時間、内容物が吐出される。つまり、蓄圧弁ストローク規制部53があることで、連通孔63aの開口断面積が制限され、蓄圧弁74と連通孔63aとの隙間が狭い状態で維持される。その結果、主シリンダ20内の急激な圧力低下が起こらず、押下ヘッド60の押し下げに必要な力も低下しないため、主ピストン71が下降端位置に到達するまで時間がかかる。よって、圧力が短時間で抜けなくなる。一方、蓄圧弁ストローク規制部53がない場合、押下ヘッド60の押し下げ量、つまり主シリンダ20内の圧力上昇に比例して、連通孔63aの開口断面積が急激に大きくなるため、小さい力で押下ヘッド60の押し下げが可能となる。その結果、主ピストン71が短時間で下降端位置まで到達し、後述する圧逃がし溝27を通じて主シリンダ20内の圧力が解除されることで、内容物の吐出が短時間で止まる。
【0059】
なお、押下ヘッド60を押し下げると、
図2に示すように、副シリンダ50のシール筒51の下端部51aが、主シリンダ20の外気導入孔29よりも下方に移動し、主シリンダ20と副シリンダ50との隙間空間と外気導入孔29とが連通する。これにより、外気導入孔29を径方向外側から遮断する遮断弁部80に、外部と連通する外気導入孔29から内圧がかかる。
【0060】
ここで、容器本体2内は、押下ヘッド60の押し下げが解除されて、容器本体2内の内容物が主シリンダ20内に供給された際に負圧になっており、外気導入孔29を覆う遮断弁部80が、主シリンダ20の外周面に対して径方向外側に離反することで、外部の空気が容器本体2内に流入する。これにより、容器本体2内の負圧が解除される。
【0061】
押下ヘッド60がさらに押し下げられ、プランジャ70が下方に移動していくと、プランジャ70に設けられた主ピストン71は、押下ヘッド60が下降端位置まで押し下げられた状態において主シリンダ20の内周面に形成された圧逃がし溝27と径方向に対向する。
【0062】
主ピストン71が圧逃がし溝27と対向した状態において、主ピストン71は、主シリンダ20の内周面から離間する。そのため、主ピストン71と主シリンダ20との間に隙間が形成され、主シリンダ20内が圧逃がし孔28に繋がり、主シリンダ20内と容器本体2内とが連通する。これにより、主シリンダ20内の内容物の少なくとも一部及び主シリンダ20内の空気が、容器本体2内に流出し、主シリンダ20内の残圧が開放される。
【0063】
ここで、蓄圧式吐出器1が倒立状態の場合、容器本体2内の内容物は、主シリンダ20の外周面に対して径方向外側に離反自在に当接する遮断弁部80によって、外気導入孔29への流入が阻止される。これにより、容器本体2内の内容物が、主シリンダ20と副シリンダ50との隙間空間、通気溝54、および押下ヘッド60と装着キャップ10の隙間空間を介して、外部に吹き出すことを防止できる。
【0064】
このように、主シリンダ20に圧逃がし孔28と外気導入孔29とを別途設け、外部に連通する外気導入孔29を主シリンダ20の径方向外側から遮断弁部80で開放自在に覆うことで、蓄圧式吐出器1を倒立状態で使用した場合であっても、内容物の吹き出しを防止でき、外部の空気の取り込みが安定する。
【0065】
なお、押下ヘッド60の押し下げを解除すると、付勢部材90の上方付勢力によってプランジャ70が副シリンダ50及び押下ヘッド60とともに押し上げられる。プランジャ70が押し上げられる過程において、主ピストン71が主シリンダ20の内側を摺動することで、主シリンダ20内が減圧される。
【0066】
ここで、蓄圧式吐出器1が正立状態の場合は、正倒立両用アダプタ40の切替弁43が倒立時導入孔46と連通路47との連通を遮断し、正立時導入孔45、連通路47を介して容器本体2内の内容物が主シリンダ20内に流入する。また、蓄圧式吐出器1が倒立状態の場合は、正倒立両用アダプタ40の切替弁43が倒立時導入孔46と連通路47とを連通させ、正立時導入孔45より上方に配置された倒立時導入孔46から容器本体2内の内容物が主シリンダ20内に流入する。その結果、
図1に示す押下ヘッド60を押し下げる前の状態に復帰する。
【0067】
このように、本実施形態の蓄圧式吐出器1は、内容物が収容される容器本体2の口部2aに装着される蓄圧式吐出器1であって、容器本体2の口部2aに装着される装着キャップ10と、装着キャップ10の内側に配置され、容器本体2と内部が連通する主シリンダ20と、主シリンダ20の内側に配置され、主シリンダ20の加圧時に主シリンダ20内と容器本体2内との連通を遮断し、かつ主シリンダ20内の減圧時に主シリンダ20内と容器本体2内とを連通させる逆止弁部30と、主シリンダ20に装着され、容器本体2内の底部に向けて開口し、蓄圧式吐出器1の正立時に容器本体2内の内容物が導入可能な正立時導入孔45と、正立時導入孔45より上方に配置され、かつ蓄圧式吐出器1の倒立時に容器本体2内の内容物が導入可能な倒立時導入孔46と、正立時導入孔45および倒立時導入孔46と主シリンダ20の下端開口部とを連通する連通路47と、が形成されるとともに、蓄圧式吐出器1の正立時に、倒立時導入孔46と連通路47との連通を遮断し、かつ蓄圧式吐出器1の倒立時に、倒立時導入孔46と連通路47とを連通する切替弁43が配設される正倒立両用アダプタ40と、主シリンダ20の内側に沿って、上方付勢状態で下方移動可能に配置され、主シリンダ20と内部が連通する副シリンダ50と、副シリンダ50の上端部に装着され、副シリンダ50と連通する吐出孔3を有する押下ヘッド60と、主シリンダ20と副シリンダ50との上下方向の間に配置され、上方付勢状態で下方移動可能なプランジャ70と、を備え、プランジャ70は、主シリンダ20の内部に上下方向に摺動自在に配置された主ピストン71と、副シリンダ50の内部に上下方向に摺動自在に配置された副ピストン72と、主シリンダ20の内部と副シリンダ50の内部とを繋ぐ連通流路73と、副シリンダ50の内部と吐出孔3との間を開閉可能な蓄圧弁74と、を有し、副シリンダ50は、副ピストン72の下方に位置し、蓄圧弁74の下降端位置を規制する蓄圧弁ストローク規制部53と、主ピストン71の上方において、主シリンダ20の内側に上下方向に摺動自在に配置されたシール筒51と、を有し、主シリンダ20は、主ピストン71の下降端位置において、主ピストン71と主シリンダ20の内周面との間に隙間を形成する圧逃がし溝27と、圧逃がし溝27の上方、かつシール筒51の下降端位置より下方に位置し、主シリンダ20内と容器本体2内とを連通させる圧逃がし孔28と、圧逃がし孔28の上方、かつシール筒51の下降端位置より上方に位置し、主シリンダ20と副シリンダ50との隙間空間と容器本体2内とを連通させる外気導入孔29と、を有し、外気導入孔29を径方向外側から覆うとともに、主シリンダ20の外周面に対して径方向外側に向けて離反自在に当接し、外気導入孔29と容器本体2内との連通を開放自在に遮断する遮断弁部80を備える。
この構成によれば、押下ヘッド60と装着キャップ10の隙間から内容物が外部に吹き出すことなく、倒立状態で使用できる。
【0068】
また、本実施形態では、圧逃がし孔28は、主ピストン71の上昇端位置より上方に位置している。この構成によれば、押下ヘッド60を押し下げる過程において、圧逃がし孔28から主シリンダ20内の内容物が流出しなくなるため、主シリンダ20内を加圧しやすくなる。
【0069】
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0070】
例えば、
図3に示す変形例のように、正倒立両用アダプタ40が、外装スリーブ48を備えてもよい。外装スリーブ48は、外筒部41の倒立時導入孔46より下方に外嵌する筒状に形成されている。外装スリーブ48の上端は開口しており、蓄圧式吐出器1が倒立状態で、装着キャップ10の内側から内容物を吸い上げることができる。
【0071】
また、例えば、
図4に示す他の変形例のように、正倒立両用アダプタ40が、第2の切替弁49を備えてもよい。第2の切替弁49は、蓄圧式吐出器1の倒立時に、正立時導入孔45と連通路47とを遮断する。蓄圧式吐出器1が倒立状態のとき、吸引筒44の下端は容器本体2内の底部において空気中に露出するため、第2の切替弁49による正立時導入孔45の遮断により、吸引筒44の下端からの空気の吸い込みを防止できる。
【0072】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…蓄圧式吐出器、2…容器本体、2a…口部、3…吐出孔、10…装着キャップ、11…装着筒部、12…ヘッド案内筒、12a…係止突起、15…シール部材、20…主シリンダ、21…下筒部、22…上筒部、23…フランジ部、24…接続部、25…弁座部、26…弁移動規制部、27…圧逃がし溝、28…圧逃がし孔、29…外気導入孔、30…逆止弁部、40…正倒立両用アダプタ、41…外筒部、42…内筒部、43…切替弁、44…吸引筒、45…正立時導入孔、46…倒立時導入孔、47…連通路、48…外装スリーブ、49…第2の切替弁、50…副シリンダ、51…シール筒、51a…下端部、52…嵌合筒、53…蓄圧弁ストローク規制部、54…通気溝、60…押下ヘッド、61…ノズルチップ、62…ヘッド本体、62a…ノズル軸部、62b…ノズル貫通孔、62c…止め部、63…副シリンダ蓋、63a…連通孔、63b…嵌合突起、63c…挟持筒部、63d…プランジャ案内筒、70…プランジャ、71…主ピストン、72…副ピストン、73…連通流路、74…蓄圧弁、75…摺動筒、80…遮断弁部、81…被挟持部、82…当接部、90…付勢部材、O…容器軸