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特開2023-174028工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174028
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20231130BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20231130BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231130BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
G08B25/04 F
G07C9/27
G06Q50/04
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086634
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 元
(72)【発明者】
【氏名】備 健太朗
【テーマコード(参考)】
3E138
5C086
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
3E138AA01
3E138JA02
3E138JB12
3E138JC05
3E138JC12
3E138JC14
3E138JC19
3E138JC25
3E138JD01
5C086AA22
5C086BA20
5C086BA22
5C086CA06
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA15
5C087AA10
5C087AA19
5C087BB20
5C087CC01
5C087DD03
5C087DD06
5C087DD14
5C087DD27
5C087DD33
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG02
5C087GG10
5C087GG12
5C087GG59
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域内に立ち入る作業者の安全を確実に確保可能な工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る工場作業場における作業者の安全管理システムは、ライン入退場口を通過する作業者が所持し、移動機のロック操作及びロック解除操作についての申請情報を生成可能なスマートデバイスと、スマートデバイスから受信した申請情報に基づいて移動機のロック操作又はロック解除操作の可否を判定する判定部を含む、立入管理サーバーと、を備え、申請情報は、作業者が通過するライン入退場口に表示される入退場口識別IDと、作業者を識別する作業者識別IDと、を作業者位置識別情報として含み、立入管理サーバーは、判定部の判定結果に応じて、申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を移動機の制御装置に送信すると共に、申請情報を送信したスマートデバイスに対して判定結果を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域と、前記管理区域の外側に設けられた安全区域と、前記管理区域と前記安全区域との境界に設けられたライン入退場口と、を含む工場作業場における作業者の安全管理システムであって、
前記ライン入退場口を通過する作業者が所持し、前記移動機のロック操作及びロック解除操作についての申請情報を生成可能なスマートデバイスと、
前記スマートデバイスから受信した申請情報に基づいて前記移動機のロック操作又はロック解除操作の可否を判定する判定部を含む、立入管理サーバーと、
を備え、
前記申請情報は、前記作業者が通過するライン入退場口に表示される入退場口識別IDと、前記作業者を識別する作業者識別IDと、を作業者位置識別情報として含み、
前記立入管理サーバーは、前記判定部の判定結果に応じて、前記申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を前記移動機の制御装置に送信すると共に、前記申請情報を送信したスマートデバイスに対して前記判定結果を送信する、
工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項2】
前記申請情報が前記移動機のロック操作を申請するものである場合、前記判定部は、前記作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致することを条件に前記移動機のロック操作を許可する判定結果を出力し、
前記申請情報が前記移動機のロック解除操作を申請するものである場合には、前記判定部は、前記作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致することと、現時点において他のスマートデバイスから前記移動機のロック操作を申請する申請情報を受信していないことと、を条件に前記移動機のロック解除操作を許可する判定結果を出力する、
請求項1に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項3】
前記申請情報が前記移動機のロック操作を申請するものである場合には、前記作業者位置識別情報には、前記管理区域内の移動機の移動機識別IDが含まれる、
請求項1又は2に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項4】
前記工場作業場には表示装置が設置され、
前記立入管理サーバーは、現時点において前記管理区域へ立ち入っている作業者の作業者識別IDを特定し、
前記表示装置は、前記立入管理サーバーが特定した作業者識別IDに対応する作業者名を表示する、
請求項1又は2に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項5】
前記工場作業場には表示装置が設置され、
前記立入管理サーバーは、現時点において前記管理区域へ立ち入っている作業者の作業者識別IDを特定し、
前記表示装置は、前記立入管理サーバーが特定した作業者識別IDに対応する作業者名を表示する、
請求項3に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項6】
前記入退場口識別IDは前記ライン入退場口の前記安全区域に面して表示される、
請求項1又は2に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項7】
前記入退場口識別IDは前記ライン入退場口の前記安全区域に面して表示される、
請求項5に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項8】
前記ライン入退場口に表示される入退場口識別IDはQRコードであり、
前記スマートデバイスは、前記QRコードを前記スマートデバイスが備える撮像装置で読み取ることにより前記申請情報を生成する、
請求項6に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項9】
前記ライン入退場口に表示される入退場口識別IDはQRコードであり、
前記スマートデバイスは、前記QRコードを前記スマートデバイスが備える撮像装置で読み取ることにより前記申請情報を生成する、
請求項7に記載の工場作業場における作業者の安全管理システム。
【請求項10】
移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域と、前記管理区域の外側に設けられた安全区域と、前記管理区域と前記安全区域との境界に設けられたライン入退場口と、を含む工場作業場における作業者の安全管理方法であって、
前記ライン入退場口を通過する作業者が所持するスマートデバイスが、前記移動機のロック操作及びロック解除操作についての申請情報を生成するステップと、
立入管理サーバーが、前記スマートデバイスから受信した申請情報に基づいて前記移動機のロック操作又はロック解除操作の可否を判定するステップと、
を含み、
前記申請情報は、前記作業者が通過するライン入退場口に表示される入退場口識別IDと、前記作業者を識別する作業者識別IDと、を作業者位置識別情報として含み、
前記立入管理サーバーは、判定結果に応じて、前記申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を前記移動機の制御装置に送信すると共に、前記申請情報を送信したスマートデバイスに対して前記判定結果を送信する、
工場作業場における作業者の安全管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所等の工場では、移動可能な設備や車両等(以下、移動機と称する)が走行する。このため、作業者の安全確保の観点から、移動機の走行エリアと作業者の作業エリアとを分離することが重要である。そして、作業者が移動機の走行エリアに立ち入る場合には、作業者は、移動機の動力源を遮断するロック操作を行い、走行エリアにおける移動機の走行を確実に停止してから走行エリアに立ち入る。また、移動機を再び走行させる場合には、作業者が走行エリアから退場したことを確認してから移動機のロック操作を解除することが必要である。このとき、複数の作業者が移動機の走行エリアに立ち入る場合には、最初に走行エリアに立ち入る作業者が移動機のロック操作を行うと共に、ロック操作(及びロック解除操作)を行う操作盤に操作禁止札をかけてから走行エリアに立ち入る。そして、他の作業者も操作盤にそれぞれの操作禁止札をかけて走行エリアに立ち入ることが基準化されている。これにより、走行エリアから退場する作業者が移動機のロック解除操作を行おうとした際、他の作業者が走行エリアに立ち入っているか否かを判断でき、走行エリアに作業者が残っている状態で移動機のロック解除操作が行われないようにすることができる。一方、移動機の走行エリアが広い場合、移動機の走行エリアに立ち入ることができる入退場口が複数ある場合がある。特に製鉄所の工場作業場のように複数の移動機が走行エリアを走行し、広範囲の走行エリアが設定されている場合には、入退場口を一つに設定すると移動機の保守点検作業を効率的に行うことが困難になるからである。しかしながら、このような工場作業場では以下のような問題が生じる。
【0003】
図9(a),(b)は、従来の工場作業場における作業者の安全管理方法を適用した一例を説明するための図である。図9(a),(b)に示すように、移動機Mの走行エリアを含む管理区域が予め設定され、その外側に作業者の安全が確保される安全区域が区画されている。図9(a)は、作業者Aが管理区域への入退場口であるライン入退場口G1から管理区域に立ち入る場面であり、図9(b)は、管理区域に立ち入った作業者Aが他のライン入退場口G2から安全区域に退場する場面である。ライン入退場口G1から管理区域に立ち入る場合、作業者Aは、ライン入退場口G1に設置されている機側操作盤101aを操作することにより移動機制御装置100にロック制御信号を入力する。移動機制御装置100は、ロック制御信号が入力されるのに応じて移動機Mのロックスイッチ(動力遮断装置)をオン(ロック操作)する。また、作業者Aは、第三者がロックスイッチをオフ(ロック解除操作)しないように、機側操作盤101aに操作禁止札をかけてから管理区域に立ち入る。そして、管理区域において移動機Mの保守点検作業等を終え、他のライン入退場口G2から退場した作業者Aは、ライン入退場口G2に設置されている機側操作盤101bを操作することにより移動機制御装置100にロック解除制御信号を入力する。移動機制御装置100は、ロック解除制御信号が入力されるのに応じて移動機Mのロックスイッチをオフする。しかしながら、図9(a),(b)に示す例では、作業者がロック操作を行う場所とロック解除操作を行う場所とが異なるため、管理区域に立ち入る作業者が一人の場合には問題が生じないものの、複数の作業者が管理区域に立ち入る場合に問題が生じ得る。すなわち、作業者が機側操作盤101bにおいてロック解除操作を行う際に、他の作業者が管理区域に立ち入っているか否かを認識できないため、機側操作盤101bからのロック解除操作により他の作業者の安全を確保できなくなるという問題が生じる。
【0004】
これに対して、図10は、従来の工場作業場における作業者の安全管理方法を適用した他の例を説明するための図である。図10に示す安全管理方法は、中央管制室を設置し、管理区域へ立ち入ろうとする作業者が、中央管制室のオペレータに対して、移動機Mのロック操作及びロック解除操作を要求する方法である。作業者からロック操作を求められた中央管制室のオペレータは、中央操作盤102を操作することにより移動機Mのロック操作及びロック解除操作を行う。この場合、中央管制室のオペレータが複数の作業者の管理区域への立ち入り状態を正しく認識していれば問題は生じない。しかしながら、管理区域への入退場を行う作業者の数が多くなると、中央管制室のオペレータの判断ミスや、ライン入退場口から退出する際の作業者からの連絡忘れ等、人為的なミスにより管理区域に立ち入る作業者の安全が確保されない可能性があり問題となる。このような観点から、作業者が移動機の走行エリアに立ち入る際の安全を確保するために、移動機のロック操作及びロック解除操作はできるだけ自動で行われることが望ましい。
【0005】
このような背景から、作業者の安全を確保するための各種入退場管理システムが提案されている。具体的には、特許文献1には、移動機が走行する危険区域と安全区域の境界にゲートが設けられ、ゲートに設けられて危険区域への入場者及び危険区域からの退場者のIDを識別するIDタグリーダと、危険区域への入場可否を指示する入場是非出力手段と、ゲートの開閉動作を行うゲート制御手段と、を有する危険区域の入退管理システムが提案されている。このシステムでは、ゲート開による作業者の危険区域への入場は、作業者のID認識、危険区域への入場許可信号の発生、及び車両停止を条件に行われる。また、ゲート開による危険区域からの作業者の退場は、作業者のID認識を条件にして行われる。さらに、このシステムは、危険区域に入場した作業者の数と危険区域から退場した作業者の数から、実際に危険区域に存在する作業者の数を計算し、危険区域に作業者が存在する場合には、車両の走行を停止させるものである。また、特許文献2には、管理対象エリアの予め設定された領域に磁場を発生する複数の磁場発生装置を設け、発生した磁場により起動してタグ情報を送信するRFIDタグと、タグ情報を受信するRFIDリーダと、を備え、第1磁場発生装置と第2磁場発生装置を用いて、管理対象エリアを区画した区画エリア間の作業者の入退場を管理するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-71217号公報
【特許文献2】特開2020-17165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の入退管理システムは、移動機が走行する危険区域と安全区域の境界にゲートを設置するものである。このため、製鉄所内の危険区域のように広い範囲が危険区域に設定されると、必要なゲートの数が多くなるために設備コストが増加する。また、IDタグリーダのように電磁的な手段により危険区域への入場者及び危険区域からの退場者を識別する方法は、製鉄所の工場作業場のように必ずしも周囲環境が良好でない場合に機器の不具合が発生しやすく、センサーの誤認識によって作業者の安全を確保できない場合がある。また、全てのゲートにおける電子機器のメンテナンスに多大な労力を要するという問題がある。一方、特許文献2に記載の入退管理システムは、物理的なゲートを設けられない場合にも適用可能なシステムではあるものの、複数の移動機が走行する広い危険区域を備える場合には、多数の磁場発生装置とRFIDリーダとが必要になるために設備コストの上昇を招く。また、複数の移動機が走行し、磁場やRFIDリーダに対するノイズが発生しやすい場所では、これらの機器の故障や誤検出が生じやすく、そのような情報に基づいて移動機のロック操作やロック解除操作を行うのは、作業者の安全を確保する上でリスクが大きい。
【0008】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的は、移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域内に立ち入る作業者の安全を確実に確保可能な工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る工場作業場における作業者の安全管理システムは、移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域と、前記管理区域の外側に設けられた安全区域と、前記管理区域と前記安全区域との境界に設けられたライン入退場口と、を含む工場作業場における作業者の安全管理システムであって、前記ライン入退場口を通過する作業者が所持し、前記移動機のロック操作及びロック解除操作についての申請情報を生成可能なスマートデバイスと、前記スマートデバイスから受信した申請情報に基づいて前記移動機のロック操作又はロック解除操作の可否を判定する判定部を含む、立入管理サーバーと、を備え、前記申請情報は、前記作業者が通過するライン入退場口に表示される入退場口識別IDと、前記作業者を識別する作業者識別IDと、を作業者位置識別情報として含み、前記立入管理サーバーは、前記判定部の判定結果に応じて、前記申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を前記移動機の制御装置に送信すると共に、前記申請情報を送信したスマートデバイスに対して前記判定結果を送信する。
【0010】
前記申請情報が前記移動機のロック操作を申請するものである場合、前記判定部は、前記作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致することを条件に前記移動機のロック操作を許可する判定結果を出力し、前記申請情報が前記移動機のロック解除操作を申請するものである場合には、前記判定部は、前記作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致することと、現時点において他のスマートデバイスから前記移動機のロック操作を申請する申請情報を受信していないことと、を条件に前記移動機のロック解除操作を許可する判定結果を出力するとよい。
【0011】
前記申請情報が前記移動機のロック操作を申請するものである場合には、前記作業者位置識別情報には、前記管理区域内の移動機の移動機識別IDが含まれるとよい。
【0012】
前記工場作業場には表示装置が設置され、前記立入管理サーバーは、現時点において前記管理区域へ立ち入っている作業者の作業者識別IDを特定し、前記表示装置は、前記立入管理サーバーが特定した作業者識別IDに対応する作業者名を表示するとよい。
【0013】
前記入退場口識別IDは前記ライン入退場口の前記安全区域に面して表示されるとよい。
【0014】
前記ライン入退場口に表示される入退場口識別IDはQRコード(登録商標)であり、前記スマートデバイスは、前記QRコードを前記スマートデバイスが備える撮像装置で読み取ることにより前記申請情報を生成するとよい。
【0015】
本発明に係る工場作業場における作業者の安全管理方法は、移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域と、前記管理区域の外側に設けられた安全区域と、前記管理区域と前記安全区域との境界に設けられたライン入退場口と、を含む工場作業場における作業者の安全管理方法であって、前記ライン入退場口を通過する作業者が所持するスマートデバイスが、前記移動機のロック操作及びロック解除操作についての申請情報を生成するステップと、立入管理サーバーが、前記スマートデバイスから受信した申請情報に基づいて前記移動機のロック操作又はロック解除操作の可否を判定するステップと、を含み、前記申請情報は、前記作業者が通過するライン入退場口に表示される入退場口識別IDと、前記作業者を識別する作業者識別IDと、を作業者位置識別情報として含み、前記立入管理サーバーは、判定結果に応じて、前記申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を前記移動機の制御装置に送信すると共に、前記申請情報を送信したスマートデバイスに対して前記判定結果を送信する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法によれば、移動機が走行可能な範囲を区画する管理区域内に立ち入る作業者の安全を確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態である工場作業場における作業者の安全管理システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態である工場作業場における作業者の安全管理システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、製鉄所のコークス炉設備の構成を示す模式図である。
図4図4は、図1図2に示す立入管理サーバーの構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の一実施形態である工場作業場における作業者の安全管理システムのネットワーク構成を示す模式図である。
図6図6は、本発明の一実施形態である表示装置の画面構成例を示す図である。
図7図7は、本発明の一実施形態である専用アプリの処理フローの一例を示す図である。
図8図8は、ライン入退場口に表示される入退場口識別IDの一例を示す図である。
図9図9は、従来の工場作業場における作業者の安全管理方法を適用した一例を説明するための図である。
図10図10は、従来の工場作業場における作業者の安全管理方法を適用した他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である工場作業場における作業者の安全管理システム及び安全管理方法について説明する。
【0019】
〔工場作業場〕
まず、図1図3を参照して、本発明が対象とする工場作業場について説明する。本発明が対象とする工場作業場は、走行可能な移動機が配置され、移動機が走行する範囲を含む所定のエリアを管理区域として区画する工場作業場である。管理区域の外側には安全区域が設けられ、管理区域と安全区域との境界にはライン入退場口が備えられている。安全区域は、管理区域を走行する移動機と工場作業場の作業者とが接触して事故が発生することがないように、移動機の走行範囲よりも広い範囲に設定されている。ライン入退場口は、安全区域と管理区域との間で作業者が通行可能な箇所を限定するためのものであり、手動又は自動のゲート等の手段によって作業者が誤って管理区域に立ち入ることを防止することが多い。そして、作業者が安全区域から管理区域に立ち入って移動機の保守点検作業等を行う間は、移動機の動力源を遮断するロック操作がなされていることが作業者の安全を確保する上で肝要である。
【0020】
図1図2に示す例では、管理区域内に移動機Mが備えられており、管理区域と安全区域との境界には2つのライン入退場口G1、G2が備えられている。但し、管理区域に配置される移動機Mは2台以上であってもよく、ライン入退場口の数も3つ以上であってもよい。本発明が適用される工場作業場としては、例えば図3に示すような製鉄所のコークス炉設備を例示できる。図3に示すように、製鉄所のコークス炉設備は複数の燃焼室と交互に配置される複数の炭化室とを備え、それぞれの炭化室内には事前処理された石炭が装炭車10a~10cによって装入される。炭化室内に装入された石炭は、燃焼室において燃料ガスを燃焼させることにより、温度1100~1350℃で12~14時間程度空気を遮断して乾留される。炭化室内で乾留された赤熱状態のコークス(赤熱コークス)は、押出機11a~11cによって炉蓋を通って炭化室の外部に排出される。押出機11a~11cによって排出された赤熱コークスは、押出機11a~11cの対面に配置されるガイド車12a~12cによって消火車13a,13bに移送される。消火車13a,13bは赤熱コークスをガイド車12a~12cから受け取り、湿式消火設備14に赤熱コークスを搬送する。
【0021】
コークス炉設備を構成する装炭車10a~10c、押出機11a~11c、ガイド車12a~12c、及び消火車13a,13bは、いずれも敷設された軌道上を走行可能な移動機である。これらの他にも、押出機11a~11cが走行する軌道上には、メンテナンス点検用の点検車両が配置される場合もあり、このような点検車両もコークス炉設備を構成するものであり、移動機に含まれる。一方、装炭車10a~10cやガイド車12a~12c等は、自動(無人)運転されるものもあるが、移動機にはその走行を操作するための運転室又は機上の運転操作盤を備えることもある。そして、これらの複数の移動機を含む所定のエリアが管理区域として設定される。
【0022】
図1図2に戻り、工場作業場には移動機Mの走行を制御するための移動機制御装置100が備えられている。移動機制御装置100は、内部で生成する制御信号又は外部からの制御信号に基づいて、管理区域にある移動機Mの走行を停止させ、その停止状態を維持するように電気的又は機械的に移動機Mの動力源を遮断するロック動作を実現し得る。また、移動機制御装置100は、内部で生成する制御信号又は外部からの制御信号に基づいて、動力源が遮断されたロック動作を解除するためのロック解除動作を実現し得る。なお、上記ロック動作は、管理区域に複数の移動機Mがある場合には全ての移動機Mに対して実行されるのに対して、ロック解除動作は、一部の移動機Mについてのみロック解除動作を行う場合もある。作業者が管理区域に立ち入る場合には、全ての移動機Mを確実に停止させておく必要があるのに対して、ロック解除動作は必要最小限の移動機Mのみを動作させればよい場合があるからである。
【0023】
〔安全管理システム〕
図1図2に示すように、本発明の一実施形態である工場作業場における作業者の安全管理システムは、上記の工場作業場において、ライン入退場口G1,G2を通過する作業者が所持し、移動機Mのロック操作又はロック解除操作についての申請情報を生成可能なスマートデバイス1と、スマートデバイス1から受信した申請情報に基づいて移動機Mのロック操作又はロック解除操作の可否を判定する判定部を含む、立入管理サーバー2と、を備えている。スマートデバイス1が生成する申請情報は、作業者が通過するライン入退場口に設置された表示装置3a,3bに表示される入退場口識別IDと、作業者を識別する作業者識別IDと、を作業者位置識別情報として含む。また、立入管理サーバー2は、判定部の判定結果に応じて、申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を移動機制御装置100に送信すると共に、申請情報を送信したスマートデバイス1に対して判定結果を送信する。
【0024】
〔スマートデバイス〕
スマートデバイス1は、スマートフォンやタブレット端末等、通信機能や簡易なコンピュータ機能を内蔵し、ソフトウエアによる情報処理機能を利用できる電子機器である。また、スマートデバイス1は、電子機器内部にマイクロプロセッサ(CPU/MPU)を始めとするコンピュータ機能と有線や無線によるネットワーク接続機能を有し、外部の機器と連携することと、複数のアプリケーションソフトウエアを組み込んで使用することとができる。スマートデバイス1は、作業者が工場作業場において所持し、他の作業者と共同で作業を行う場合に、相互に連絡を取り合って作業を進める目的で各々の作業者が所持する。そのため、工場作業場における作業者とその作業者に割り当てられたスマートデバイス1とは工場作業場において同一の位置にあるとみなすことができる。
【0025】
スマートデバイス1は、作業者の操作に応じて移動機Mのロック操作又はロック解除操作についての申請情報を生成する。申請情報は、作業者が安全区域から管理区域に立ち入ろうとする場合に移動機Mの動力源を遮断するロック操作申請情報、又は、作業者が管理区域から安全区域に退出した場合に移動機Mのロックを解除して動力源を開放するロック解除操作申請情報と、を含む。さらに、それらの申請情報には、作業者が通過するライン入退場口に表示される入退場口識別IDと、作業者を識別する作業者識別IDと、が作業者位置識別情報として含まれる。また、作業者位置識別情報には、作業者が指定する移動機Mを識別するための移動機識別IDを含むのが好ましい。作業者は移動機Mの保守点検作業を目的として管理区域に立ち入る場合が多いため、作業者が作業しようとする移動機Mが特定されていると、作業者の管理区域での位置情報となり、災害発生時の作業者の救助活動等を迅速に行うことができるからである。
【0026】
入退場口識別IDは、ライン入退場口を識別するためにライン入退場口毎に割り当てられた識別IDであり、記号、符号、数値情報等により特定される。作業者識別IDは、管理区域に立ち入ろうとする作業者を特定するために作業者毎に割り当てられた識別IDであり、作業者番号や職番等によって特定される。但し、作業者識別IDは、作業者が所持するスマートデバイスの識別情報であってよい。スマートデバイス1は、管理区域に立ち入る資格のある全ての作業者の各々が所持するものであり、スマートデバイス1とその所持者との対応関係が予め特定されているからである。
【0027】
入退場口識別IDが「ライン入退場口に表示される」とは、入退場口識別IDがライン入退場口の近傍に表示される意味である。この場合、入退場口識別IDは、ライン入退場口の安全区域に面して表示されることが好ましい。つまり、作業者がライン入退場口から管理区域に立ち入る前に、視覚によって入退場口識別IDを認識できるように表示され、作業者がライン入退場口から管理区域から安全区域に退出した後に、視覚によって入退場口識別IDを認識できるように表示されているのが好ましい。これにより、作業者がライン入退場口から管理区域に立ち入る前に、スマートデバイス1はロック操作申請情報を生成できる。また、作業者がライン入退場口から安全区域に退出した後に、スマートデバイス1はロック解除操作申請情報を生成できる。これにより、作業者が誤って管理区域に立ち入った状態で申請情報を生成することを抑制できる。
【0028】
スマートデバイス1の内部には、本実施形態の安全管理システムの機能を実現するための専用のアプリケーションソフトウエア(専用アプリ)がインストールされ、作業者からライン入退場口に表示される入退場口識別IDの入力を受け付ける。入退場口識別IDは、スマートデバイス1のタッチパネルから入力するようにしてもよく、スマートデバイス1が有する音声入力機能を用いて入力するようにしてもよい。この場合、ライン入退場口に表示される入退場口識別IDをQRコードとして表示し、スマートデバイス1が有する撮像装置を用いてQRコードを読み取ることにより入退場口識別IDを入力するようにするのが好ましい。市販のスマートデバイスには、QRコードリーダーをアプリケーションソフトウエアとしてインストールすることができ、これにより入退場口識別IDをスマートデバイス1に取り込むことができ、申請情報を容易に生成できるからである。なお、ライン入退場口の表示はQRコードでなく、バーコードによるものであってもよい。
【0029】
申請情報は、本実施形態の安全管理システムの機能を実現するための専用のアプリを用いて生成される。申請情報に含まれる入退場口識別IDは、上記のようにしてライン入退場口に表示される入退場口識別IDを専用アプリが取り込むことにより生成される。作業者を識別する作業者識別IDは、予めスマートデバイス1の内部に所持者を特定する情報が含まれているため、このような情報を取込むことにより生成される。但し、専用アプリへログインするための認証情報(例えばログインID等)により作業者を特定できる場合には、このような認証情報を作業者識別IDとしてもよい。
【0030】
以上のように、ライン入退場口に表示される入退場口識別IDと作業者を識別する作業者識別IDは、安全区域から管理区域に立ち入ろうとする作業者と、管理区域から安全区域に退出した作業者とを特定し、いずれのライン入退場口を通過するかを識別する情報であり、これらを作業者位置識別情報と呼ぶ。なお、申請情報には、作業者が申請情報を送信した日時、作業者の所属(所属企業、組織名等)、作業者の職制上の役割(管理者、監督者、作業者等)等、管理区域への立ち入る作業者や立入り状況に関する他の情報が含まれていてよい。
【0031】
〔立入管理サーバー〕
立入管理サーバー2は、工場作業場における作業者の安全管理を統括する機能を有する。立入管理サーバー2は、スマートデバイス1が生成した申請情報を受け付け、受け付けた申請情報に基づいて移動機Mのロック操作又はロック解除操作の可否を判定する判定部を含む。判定部は、申請情報に含まれる作業者位置識別情報が予め登録された識別情報に含まれている場合、作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致したと判定する。これにより、作業者が正規のライン入退場口を通過していること及びその作業者が管理区域への立ち入り資格を有していることが確認される。予め登録された識別情報とは、管理区域への立ち入り資格がある作業者の作業者識別ID及び管理区域に配置される入退場口識別IDである。
【0032】
判定部が移動機Mのロック操作又はロック解除操作の申請を許可すると判定した場合には、立入管理サーバー2は、移動機Mのロック操作又はロック解除操作の申請を許可する判定結果に応じて、申請情報に対応した動作の実行を指示する制御信号を移動機制御装置100に送信すると共に、申請情報を送信したスマートデバイス1に対して判定結果を送信する。すなわち、立入管理サーバー2は、移動機Mのロック動作又はロック解除動作を指示する制御信号を移動機制御装置100に送信する。さらに、立入管理サーバー2は、申請情報を送信したスマートデバイス1に対して移動機Mのロック操作又はロック解除操作を許可したことを示す情報を送信する。なお、申請情報が移動機Mのロック操作申請であって、判定部が申請を許可する場合にスマートデバイス1に対して送信される情報は、管理区域への立ち入りを許可する立入許可情報でもよい。管理区域における移動機Mの動力源が遮断され、管理区域における作業者の安全が確保された状態にあるからである。
【0033】
判定部が移動機Mのロック操作又はロック解除操作の申請を許可しないと判定した場合には、立入管理サーバー2は、申請情報を送信したスマートデバイス1に対して、移動機Mのロック操作又はロック解除操作についての申請を許可しないことを示す情報を送信する。なお、申請情報が移動機Mのロック操作についての申請であって、判定部が申請を許可しない場合にスマートデバイス1に対して送信される情報は、管理区域への立ち入りを許可しない立入不許可情報でもよい。作業者が誤ったライン入退場口から管理区域に立ち入ることを防止し、立ち入り資格のない作業者の管理区域への立ち入りを抑止できるからである。この場合に、立入管理サーバー2は移動機Mのロック操作又はロック解除操作の申請を許可しないため、移動機Mに対してそれまでのロック状態またはロック解除状態を維持する制御信号を送信する。
【0034】
立入管理サーバー2から移動機制御装置100に送信するロック動作又はロック解除動作の制御信号としては、パルス信号を用いるのが好ましい。この場合、移動機Mのロック状態を変更する場合だけでなく、現在の状態を維持する場合にも、ロック動作又はロック解除動作を行うパルス信号が継続して送信される。パルス信号の発信状態により立入管理サーバー2の故障を判定することができ、立入管理サーバー2の故障により偶発的に移動機Mのロック制御信号又はロック解除制御信号が送信されるのを防ぐためである。従って、立入管理サーバー2が判定部の判定結果に応じて移動機制御装置100に送信する制御信号は、判定部が申請を許可する場合にはロック状態の切替えを行う制御信号であり、申請を許可しない場合には現在の制御信号を維持する制御信号である。
【0035】
本実施形態に適用可能な立入管理サーバー2の構成について図4を用いて説明する。立入管理サーバー2は、例えばワークステーションやパソコン等の汎用コンピュータにより構成される。図4に示すように、立入管理サーバー2は、通信部21を備え、ネットワークを介して他の機器と通信可能に構成される。立入管理サーバー2は、例えばLTEルーター4(図1図2参照)と接続され、スマートデバイス1と相互に情報を送受信できるように構成される。立入管理サーバー2は、受付部22を備え、スマートデバイス1から送信される申請情報として、移動機Mのロック操作申請情報や、移動機Mの動力源を開放するためのロック解除操作申請情報を受け付ける。
【0036】
立入管理サーバー2は、記憶部23を備え、予め登録される工場作業場において作業する資格のある作業者の作業者識別ID、工場作業場の入退場口識別IDを含む情報を予め記憶しておく。記憶部23は管理区域にある移動機Mを識別する移動機識IDを予め記憶しておいてよい。また、記憶部23は、現時点までの申請情報及び対応する判定部24の判定結果を作業者識別ID毎に保持する。但し、立入管理サーバー2が移動機制御装置100に対してロック解除操作制御信号を送信した場合には、立入管理サーバー2は、過去の申請情報及び対応する判定部24の判定結果を記憶部23から削除(リセット)してよい。移動機Mが走行している状態では管理区域に作業者の立ち入りがない状態にあるため、新たに管理区域への立入管理を開始すればよいからである。
【0037】
立入管理サーバー2は、判定部24を備え、スマートデバイス1から送信される申請情報に含まれる作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致するか否かを判定する。また、判定部24は、現時点において受け付けている申請情報を送信したスマートデバイス以外の他のスマートデバイスから過去に受け付けた申請情報とその判定結果を用いて、現時点のロック解除操作申請の可否を判定する。この場合、記憶部23に記憶されている情報が参照される。
【0038】
立入管理サーバー2は、制御信号出力部25を備え、判定部24における判定結果に基づいて、移動機制御装置100に対して、動力源を遮断するロック制御信号を送信する機能と、動力源を開放するロック解除制御信号を送信する機能を有する。なお、制御信号出力部25が移動機制御装置100に対してロック制御信号を送信する場合には、管理区域にある全ての移動機Mの動力源を遮断する指令が送信される。なお、制御信号出力部25はパルス信号により制御信号を送信し、その状態を移動機制御装置100で保持する構成が好ましい。
【0039】
立入管理サーバー2は、判定結果出力部26を備え、ロック操作申請情報又はロック解除操作申請情報を送信したスマートデバイス1に対して判定部24による判定結果を送信する。この場合、判定結果出力部26は、制御信号出力部25から移動機制御装置100へのロック制御信号又はロック解除制御信号に対して、移動機Mのロック動作又はロック解除動作が完了したことを示す信号を受け取ってからスマートデバイス1に対して判定結果を送信するのが好ましい。
【0040】
〔管理区域への立ち入り時〕
図1を用いて、作業者がライン入退場口を通過して管理区域に立ち入る場合の実施形態について詳しく説明する。図1は、作業者Aがライン入退場口G1を通過して管理区域に立ち入ろうとする状態を模式的に示している。作業者Aは、自身が所持するスマートデバイス1にインストールされている安全管理システムの専用アプリケーションソフトウエア(専用アプリ)を用いて、移動機Mのロック操作についての申請情報(ロック操作申請情報)を生成する。この場合、専用アプリにログインする際の本人認証により、申請情報を生成する作業者の作業者識別IDが特定される。あるいは、スマートデバイス1の所持者として予め作業者識別IDが専用アプリに取り込まれるようにしてよく、ログイン時のユーザーIDにより作業者識別IDが特定されるようにしてもよい。
【0041】
作業者Aは、ロック操作申請情報に含まれる作業者位置識別情報として、ライン入退場口G1に割り当てられ、ライン入退場口G1に表示される入退場口識別IDを特定する。この場合、申請情報を生成するスマートデバイス1に対しては、作業者Aが入退場口識別IDをタッチパネルから入力しても、音声入力機能を用いて入力してもよい。また、上記のようにQRコードとして表示される入退場口識別IDを、スマートデバイス1の撮像装置で読み取って専用アプリに取り込んでもよい。そして、作業者Aは、申請情報を生成したスマートデバイス1の通信機能を用いて、LTEルーター4等を介して立入管理サーバー2に申請情報を送信する。
【0042】
作業者Aが所持するスマートデバイス1からロック操作申請情報を受け付けた立入管理サーバー2は、その判定部24において、移動機Mのロック操作の可否を判定する。具体的には、判定部24は、ロック操作申請情報に含まれる作業者位置識別情報が予め登録された識別情報に含まれているときは、作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致したと判定する。これにより、作業者が正規のライン入退場口を通過して管理区域に立ち入ろうとしていること及びその作業者が管理区域への立ち入り資格を有していることが確認される。そして、判定部24はロック操作申請を許可する判定結果を出力する。
【0043】
立入管理サーバー2は、判定部24がロック操作申請を許可する判定結果を出力した場合には、移動機Mのロック操作申請に対応したロック制御信号(移動機Mをロックするための制御信号)を移動機制御装置100に送信する。さらに、立入管理サーバー2は、ロック操作申請情報を送信したスマートデバイス1に対してロック操作申請を許可する情報(ロック許可情報)又は管理区域への立入許可情報を判定結果として送信する。但し、立入管理サーバー2は、移動機制御装置100に対してロック制御信号を送信し、管理区域の移動機Mが停止すると共に、移動機Mの動力源がロックされたことを示すロック完了信号を移動機制御装置100から受信した後に、立入許可情報を送信するのが好ましい。作業者Aが管理区域に立ち入ろうとする段階では、管理区域の移動機Mが確実に停止している状態を実現するためである。
【0044】
以上のようにして、ロック操作申請情報を送信したスマートデバイス1に対して立入許可情報が送信されると、作業者Aはスマートデバイス1の画面から立入許可情報を確認することができる。そして、作業者Aはロック操作申請情報で特定されたライン入退場口から管理区域に立ち入ることができる。なお、ライン入退場口には、作業者の立ち入りを制限するためのゲートを設けるようにしてもよい。作業者が所持するスマートデバイス1に立入許可情報が表示されない段階での管理区域への立ち入りを抑制するためである。また、立ち入りを制限するためのゲートにゲート制御装置を設け、立入許可情報を受信したスマートデバイス1に表示される情報に基づいて、ゲートの開閉を制御するようにしてもよい。この場合、ゲート制御装置は、Bluetooth(登録商標)等の近距離での無線通信機能や画像情報等の読み取り機能を備え、これらによりスマートデバイス1が受信した立入許可情報を認証することによってゲートの開閉を制御するのが好ましい。立入管理サーバー2から立入許可情報を受信していないスマートデバイス1の所持者が誤って管理区域に立ち入ることを確実に防止できるからである。
【0045】
本実施形態は、管理区域に立ち入る作業者が複数いる場合にも適用できる。立入管理サーバー2は、管理区域に立ち入る資格のある作業者の作業者識別ID毎に、申請情報を受け付け、判定部24の判定結果を送信するので、いずれの作業者が管理区域に立ち入っているかを判定できる。この場合、立入管理サーバー2は、作業者Aからのロック操作申請情報に基づいて移動機制御装置100に対してロック制御信号が送信されている状態において、他の作業者(例えばB)のスマートデバイス1からロック操作申請情報を受信した場合には次のような処置を行う。すなわち、作業者Bが所持するスマートデバイス1からロック操作申請情報を受け付けた時点で、立入管理サーバー2は、作業者Aからのロック操作申請情報に応じて移動機制御装置100に対してロック制御信号を送信している。このため、判定部24は、作業者Bからの申請情報に含まれる作業者位置識別情報が、予め登録された識別情報と合致するときは、移動機Mのロック操作申請を許可することを示す判定結果を、作業者Bが所持するスマートデバイス1に対して送信する。一方、立入管理サーバー2は、移動機制御装置100に対して移動機Mのロックを維持するロック制御信号を送信する。但し、既に作業者Aからのロック操作申請情報に基づいて移動機Mのロック制御信号を送信している状態であるため、立入管理サーバー2の内部において作業者Bからのロック操作申請情報を許可する判定結果を保持しておけば、改めて移動機制御装置100に対して作業者Bからのロック操作申請情報に対応したロック制御信号を送信する必要はない。また、作業者Aが管理区域から退出してロック解除操作申請があった場合には、作業者Bからのロック操作申請が許可されている状態にあるので、移動機制御装置100に対するロック制御信号の送信を維持する。これにより、いずれかの作業者が管理区域に立ち入っている状態では、移動機Mのロックが維持されるようになり、作業者の安全が確保される。
【0046】
〔管理区域からの退出時の実施形態〕
図2を用いて、作業者が管理区域から安全区域に退出する場合の実施形態について詳しく説明する。図2は、作業者Aがライン入退場口G2を通過して管理区域から安全区域に退出した状態を模式的に示している。この場合、作業者Aは自身が所持するスマートデバイス1にインストールされている安全管理システムの専用アプリを用いて、移動機Mのロック解除操作についての申請情報(ロック解除操作申請情報)を生成する。ロック解除操作申請情報に含まれる作業者識別IDは、専用アプリにログインする際の本人認証により生成してよいが、既に管理区域に立ち入る際にスマートデバイス1の内部に作業者識別IDを保持している場合には、改めて作業者識別IDを入力する必要はない。
【0047】
一方、ロック解除操作申請情報に含まれるライン入退場口識別IDとしては、安全区域に退出したライン入退場口G2に割り当てられた情報を改めてスマートデバイス1に取り込む。作業者Aが正規のライン入退場口から退出したことが確認されるからである。ライン入退場口G2に表示される入退場口識別IDの特定方法は上記と同様である。そして、作業者Aは、ロック解除操作申請情報を生成したスマートデバイス1の通信機能を用いて、LTEルーター4等を介して立入管理サーバー2にロック解除操作申請情報を送信する。
【0048】
作業者Aが所持するスマートデバイス1からロック解除操作申請情報を受け付けた立入管理サーバー2は、その判定部24において、移動機Mのロック解除操作の可否を判定する。具体的には、判定部24は、ロック解除操作申請情報に含まれる作業者位置識別情報が予め登録された識別情報に含まれているときは、作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致したと判定する。これにより、作業者が正規のライン入退場口を通過して安全区域に退出したこと及びその作業者が管理区域への立ち入り資格を有していることが確認される。そして、判定部24はロック解除操作申請を許可する判定結果を出力する。
【0049】
立入管理サーバー2は、判定部24がロック解除操作申請を許可する判定結果を出力した場合には、移動機Mのロック解除操作申請に対応したロック解除操作制御信号(移動機Mのロックを解除するための制御信号)を移動機制御装置100に送信する。さらに、立入管理サーバー2は、ロック解除操作申請情報を送信したスマートデバイス1に対してロック解除操作申請を許可する情報(ロック解除操作許可情報)を判定結果として送信する。但し、立入管理サーバー2は、移動機制御装置100に対してロック解除制御信号を送信し、管理区域の移動機Mの動力源が開放されたことを示すロック解除完了信号を移動機制御装置100から受信した後に、ロック解除操作許可情報を送信するのが好ましい。これにより、作業者Aに移動機Mが走行を開始することを伝達し、管理区域への立ち入りが禁止されたことが明確になる。
【0050】
本実施形態は、管理区域に立ち入る作業者が複数いる場合にも適用できる。立入管理サーバー2は、管理区域に立ち入る資格のある作業者の作業者識別ID毎に、申請情報を受け付け、判定部24が申請の可否を判定するので、いずれの作業者が管理区域に立ち入っているかを容易に判定できる。この場合、立入管理サーバー2の判定部24は、作業者Aが所持するスマートデバイス1からのロック解除操作申請情報に対して、作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致することと、現時点において作業者A以外の作業者が所持するスマートデバイス1から移動機Mのロック操作申請情報を受信していないことと、を条件に、移動機Mのロック解除申請を許可する判定結果を出力するのが好ましい。
【0051】
具体的には、立入管理サーバー2は、作業者Bからのロック操作申請情報に基づいて移動機制御装置100に対してロック制御信号が送信されている状態において、作業者Aのスマートデバイス1からロック解除操作申請情報を受信した場合には、次のような処置を行う。すなわち、作業者Aが所持するスマートデバイス1からロック解除操作申請情報を受け付けた時点で、立入管理サーバー2は、作業者Bからのロック操作申請情報に対応するロック制御信号を移動機制御装置100に対して送信している。このため、判定部24は、作業者Aからのロック解除操作申請情報に含まれる作業者位置識別情報が予め登録された識別情報と合致しても、作業者Bが所持するスマートデバイス1から移動機Mのロック操作申請情報を受信しているので、移動機Mのロック解除操作申請を許可しない判定結果を出力し、立入管理サーバー2は作業者Aが所持するスマートデバイス1に対して、ロック解除操作申請を許可しないロック解除操作不許可情報を判定結果として送信する。また、立入管理サーバー2は移動機制御装置100に対して送信しているロック制御信号を維持する。この場合には、作業者Aは既に安全区域に退出しているため作業者Aの安全は確保され、作業者Bへのロック操作許可情報が維持されている状態にあるため作業者Bの安全も確保される。
【0052】
その後、作業者Bがライン入退場口から安全区域に退出した場合には、作業者Bのスマートデバイス1からロック解除操作申請情報が送信されると、判定部24は、作業者Bからのロック解除操作申請情報に含まれる作業者位置識別情報が、予め登録された識別情報と合致することと、作業者B以外の作業者が所持するスマートデバイス1から移動機Mのロック操作申請情報を受信していないことと、を条件に、移動機Mのロック解除操作申請を許可する判定結果を出力する。そして、立入管理サーバー2は、作業者Bが所持するスマートデバイス1にロック解除操作許可情報を送信する。これにより、作業者Bは管理区域の移動機Mが走行を開始することを認識できる。但し、作業者Bが所持するスマートデバイス1にロック解除操作許可情報を送信すると共に、ロック解除操作不許可情報を受信している作業者Aのスマートデバイス1に対してロック解除操作許可情報が発信されたことを表す情報を送信してもよい。
【0053】
〔ネットワークシステム〕
本実施形態の安全管理システムは、図5に例示するネットワーク構成により実現できる。工場作業場の管理区域へ立ち入る資格を有する作業者が所持するスマートデバイス1には、作業者の氏名や作業者識別ID等の情報が記憶されている。それぞれのスマートデバイス1には、本実施形態の安全管理システムの専用のアプリケーションソフトウエア(専用アプリ)がインストールされている。専用アプリは、移動機Mのロック操作申請情報やロック解除操作申請情報を生成する機能を備えている。図5に示すように、スマートデバイス1は、公衆回線として利用可能な無線通信規格であるLTE(4G)網等を利用して、LTEルーター4を経由して立入管理サーバー2と情報の送受信が可能に構成されている。
【0054】
LTEルーター4と立入管理サーバー2との間には、VPN接続機能を有するVPN(Virtual Private Network)ルーター5を設けることが好ましい。仮想的な専用回線を用いることにより、安全管理システムのセキュリティ上のリスクを低減できるからである。さらに、VPNルーター5と立入管理サーバー2との間には、セキュリティスイッチ(SW)6を設け、安全管理システムのネットワークに対する外部からの攻撃を検知しブロックするように構成するのが好ましい。
【0055】
一方、立入管理サーバー2は、移動機制御装置100と接続される。本実施形態の安全管理システムは、既設の移動機M及び移動機制御装置100に対して適用される場合がある。このときには、移動機制御装置100への外部制御信号として、ロック制御信号やロック解除制御信号が送られる。但し、スマートデバイス1との通信異常や立入管理サーバー2の故障等、意図せぬトラブルに対しても作業者の安全を確保するために、立入管理サーバー2からはロック制御信号とロック解除制御信号をパルス化して送信し、立入管理サーバー2に異常が発生した場合でも誤動作によって移動機Mのロックが解除されないようにしておくのが好ましい。
【0056】
〔表示装置〕
本実施形態の安全管理システムは、立入管理サーバー2に接続される表示装置を備える。立入管理サーバー2は、スマートデバイス1からの申請情報及び判定部24における判定結果に基づいて、現時点において管理区域へ立ち入っている作業者の作業者識別IDを特定し、表示装置により立入管理サーバー2が特定した作業者識別IDに対応する作業者名を表示するのが好ましい。また、表示装置は、このように特定された作業者識別IDに基づいて、その作業者識別IDに対応する入退場口識別IDを表示してもよい。これにより、現時点において管理区域へ立ち入っている作業者が管理区域に立ち入ったライン入退場口を特定できる。さらに、作業者位置識別情報に作業者が指定する移動機Mの移動機識別IDが含まれる場合には、その作業者識別IDに対応する移動機識別IDを表示するようにしてよい。入退場口識別IDは管理区域に立ち入った作業者の立ち入り経路に関する情報であり、移動機識別IDは管理区域における作業者の作業位置に関連する情報であるため、これらを表示装置で表示することにより管理者による作業安全管理が容易になるからである。
【0057】
表示装置は例えばディスプレイである。表示装置は、工場作業場を管理する工場管理棟等に設置してよい。管理区域に立ち入っている作業者の数等を把握でき、移動機Mのロック状態を確認することができるからである。表示装置は、管理区域に配置するライン入退場口や移動機Mに設置してもよい。管理区域に立ち入っている他の作業者を確認でき、共同作業における安全確保が容易になるからである。ここで、スマートデバイス1からの申請情報及び判定部24における判定結果に基づいて、現時点で管理区域内へ立ち入っている作業者の作業者識別IDを特定する方法は以下のとおりである。すなわち、特定のスマートデバイス1から移動機Mのロック操作申請情報が発信される場合、ロック操作申請情報には入退場口識別IDが含まれるので、立入管理サーバー2がそのスマートデバイス1に立入許可情報を発信した場合、作業者がいずれのライン入退場口から管理区域に立ち入ったかを特定できる。そして、立入管理サーバー2が移動機Mの動力源を開放するためのロック解除操作申請情報を受信すると、作業者がいずれのライン入退場口から安全区域に退出したかを特定できる。そして、ロック操作申請情報やロック解除操作申請情報には作業者識別IDが含まれるので、立入管理サーバー2は、特定の作業者のスマートデバイス1に対して立入許可情報を送信してから、ロック解除操作申請情報を受信するまでの間は、その作業者が管理区域に立ち入っていると特定できる。
【0058】
以上のようにして、立入管理サーバー2は、特定の作業者が管理区域に立ち入っているか否かを時系列の情報として特定することができる。そして、立入管理サーバー2は、複数の作業者が所持する各々のスマートデバイス1からの送信されるロック操作申請情報及びロック解除操作申請情報に基づいて、それぞれの作業者が現時点において管理区域に立ち入っているか否かを特定することができる。
【0059】
本実施形態の表示装置は、以上のようにして現時点で管理区域内へ立ち入っている作業者識別IDを特定し、特定された作業者識別IDに対応する作業者名を表示する場合に、随時表示画面を更新するようにしてよい。また、立入管理サーバー2が、いずれかのスマートデバイス1に対して申請情報を送信したタイミングで表示を更新するようにしてもよい。表示装置の好ましい実施形態の例を図6に示す。図6は、本発明の一実施形態である表示装置7の画面構成例を示す図である。これは、申請情報の作業者位置識別情報に移動機識別IDが含まれる場合の例であり、現時点において立入許可情報に基づいて管理区域に立ち入っている作業者名と、作業者がロック操作申請情報を生成する際に指定した移動機識別IDに対応する移動機の名称を表示している。このような表示装置7を工場作業場に設けることにより、管理区域における作業者の作業状況を認識することができ、作業者の安全管理が容易になる。
【0060】
〔専用アプリ〕
図7は、スマートデバイス1に搭載可能な専用のアプリケーションソフトウエア(専用アプリ)の処理フローの例を示す図である。図7に示すように、管理区域に立ち入る作業者は、自身が所持するスマートデバイス1に搭載された専用アプリ(立入申請アプリ)にログインすることで本人認証を行い、作業者識別IDが特定される。そして、申請情報生成画面から、「ロック操作申請情報」又は「ロック解除操作申請情報」のいずれかを選択し、対応する申請情報の生成が行われる。申請情報に含まれる作業者位置識別情報には作業者識別IDと入退場口識別IDが含まれる。入退場口識別IDは、作業者が通過するライン入退場口に表示されているので、作業者による入退場口識別IDの入力を受け付ける。入退場口識別IDは、例えばライン入退場口に表示されるQRコードの読み取りによって専用アプリに取り込むことができる。その場合、スマートデバイス1に備えられた撮像装置によってQRコードを撮影し、撮影された画像から入退場口識別IDを判別するQRコード読み取りアプリを用いることができる。また、作業者位置識別情報に作業者が点検等を行うために立ち寄る移動機Mの移動機識別IDを含める場合には、専用アプリの入力画面から作業者からの入力を受け付ける。移動機識別IDは、管理区域にある移動機Mの一覧から対象とする移動機Mを選択する選択ボタンにより入力を受け付けてもよい。
【0061】
以上のようにして、作業者位置識別情報が専用アプリ内で特定されると、送信操作により、立入管理サーバー2に対する申請情報(ロック操作申請情報又はロック解除操作申請情報)が送信される。そして、スマートデバイス1が立入管理サーバー2から判定結果を受信すると、専用アプリの画面に判定結果が表示される。この場合、スマートデバイス1が生成した申請情報がロック操作申請情報である場合には、専用アプリは次にロック解除操作申請情報が生成されまで待機するようにしてもよい。
【0062】
〔QRコード〕
図8は、ライン入退場口に表示される入退場口識別IDとして、QRコードが表示される例を示すものである。図8に示す例は、ライン入退場口に設けられている手動の開閉扉8を安全区域側からみた図である。すなわち、入退場口識別IDは、ライン入退場口に表示されており、さらに入退場口識別IDはライン入退場口の安全区域に面して表示されている。これにより、ライン入退場口を通過して管理区域に立ち入ろうとする作業者は、ライン入退場口の安全区域の側に立って、スマートデバイス1により申請情報を生成するので、立入管理サーバー2に申請情報を送信する前に管理区域に立ち入ることを防止できる。また、図8に示す例では、ライン入退場口に表示される入退場口識別IDがQRコードであり、スマートデバイス1が備える撮像装置を用いてQRコードの画像情報から入退場口識別IDが特定されるので、立入管理サーバー2に申請情報を送信する前に作業者が管理区域に立ち入ることを防止できる。なお、本実施形態の入退場口識別IDはライン入退場口に表示される情報をスマートデバイス1により読み取る方法で入退場口識別IDを特定している。これは、識別情報の送信部と受信部とを用いて、電磁的な信号の送受信を行う方法とは異なる。すなわち、特許文献1や特許文献2に記載のシステムのように、タグに含まれる情報を、IDタグリーダやRFIDリーダを用いて受信する方法とは異なるため、工場作業場のように周囲環境が必ずしも良好でない場合にも信頼性の高い安全管理システムを構築できる。また、周囲環境が優れない工場作業場では、図8に示す例のように、入退場口識別IDの表示装置3に手動で開閉可能なカバー9を用いれば入退場口識別IDの表示が劣化することもない。
【0063】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明が限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 スマートデバイス
2 立入管理サーバー
3,3a,3b,7 表示装置
4 LTEルーター
5 VPNルーター
6 セキュリティスイッチ
8 開閉扉
9 カバー
10a~10c 装炭車
11a~11c 押出機
12a~12c ガイド車
13a,13b 消火車
14 湿式消火設備
21 通信部
22 受付部
23 記憶部
24 判定部
25 制御信号出力部
26 判定結果出力部
100 移動機制御装置
101a,101b 機側操作盤
102 中央操作盤
G1,G2 ライン入退場口
M 移動機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10