(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023174036
(43)【公開日】2023-12-07
(54)【発明の名称】包装材、包装材原反ロール及び包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 65/34 20060101AFI20231130BHJP
B65D 65/10 20060101ALI20231130BHJP
B65D 85/50 20060101ALI20231130BHJP
【FI】
B65D65/34
B65D65/10 A
B65D85/50 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022086646
(22)【出願日】2022-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100214938
【弁理士】
【氏名又は名称】樋熊 政一
(72)【発明者】
【氏名】神谷 知毅
【テーマコード(参考)】
3E035
3E086
【Fターム(参考)】
3E035AA09
3E035AA20
3E035AB06
3E035BA08
3E035BB09
3E035BC02
3E035BD04
3E035CA04
3E086AA02
3E086AB02
3E086AC14
3E086AC15
3E086AC16
3E086BA02
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA33
3E086BB02
3E086BB51
3E086CA02
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】開封によって包装材に形成される帯状の開口の幅を一定にすることができる包装材を提供する。
【解決手段】シート本体10と、開封方向に延在する複数のカットテープ40と、シート本体10の開封開始領域に形成されたノッチ11と、ノッチ11の開封方向の側に形成される開封片20と、ノッチ11を覆ってシート本体10に配置される保護シート30と、を備え、複数のカットテープ40のそれぞれは、開封方向に沿った直線カット性を有し、複数のカットテープ40は、少なくとも、開封方向に直交する開封交差方向の最も一端側に配置される第1のカットテープ41と、最も他端側に配置される第2のカットテープ42と、を含み、ノッチ11は、第1のカットテープ41から第2のカットテープ42にわたって配置され、ノッチ11の一端は、第1のカットテープ41の幅内に配置され、ノッチ11の他端は、第2のカットテープ42の幅内に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包囲可能で、所定箇所に開封開始領域が設定されたシート本体と、
前記シート本体に設けられ、少なくとも前記開封開始領域から開封方向に延在する複数のカットテープと、
前記開封開始領域に形成されたノッチと、
前記ノッチが形成されることにより、前記開封開始領域における前記ノッチの前記開封方向の側に形成される開封片と、
前記ノッチを覆って前記シート本体に配置される保護シートと、を備える包装材であって、
前記複数のカットテープのそれぞれは、前記開封方向に沿った直線カット性を有し、
前記複数のカットテープは、少なくとも、前記開封方向に直交する開封交差方向の最も一端側に配置される第1のカットテープと、最も他端側に配置される第2のカットテープと、を含み、
前記ノッチは、前記第1のカットテープから前記第2のカットテープにわたって配置され、
前記ノッチの一端は、前記第1のカットテープの幅内に配置され、
前記ノッチの他端は、前記第2のカットテープの幅内に配置されている、包装材。
【請求項2】
前記開封方向に延在する一対の帯状シート部が、前記シート本体の、前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープにおける前記開封交差方向の外側に配置されている、請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の包装材の前記シート本体が袋状に形成された袋体を含み、当該袋体の内部に被包装物が収容される、包装袋。
【請求項4】
前記シート本体が折り込まれて前記袋体が立体形状に形成される、請求項3に記載の包装袋。
【請求項5】
請求項2に記載の包装材が、前記帯状シート部の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反が、ロール状に巻かれている、包装材原反ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材、包装材原反ロール及び包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、おにぎりやサンドイッチ、調理パン等の塊状の食品を、手掴みの状態で衛生的に食することができるようにするフィルム状の包装材が知られている。例えば特許文献1には、開封の起点となる開封片を手指で摘まんで包装材を引き裂くことにより、中身の食品を露出させる帯状の開口が形成される包装材が開示されている。
【0003】
この包装材は、十分な長さの開口を確保できるようにするカットテープを備えている。すなわち、開封片を起点として包装材が引き裂かれると、開封片に連続する帯状の切断片が、その幅方向両側に切れ目を生じさせながら外側にめくられていき、それら一対の切れ目の間が開口となる。ここで、一対の切れ目のうちの少なくとも一方が内側によれても、カットテープがあることによりその切れ目がそれ以上内側に切れ込まず、カットテープに沿って延びていく。これにより、切断片が途切れることが抑えられて開口の幅が確保されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の包装材にあっては、引き裂きによって形成される開口の幅はカットテープにより確保される。しかし、切断片をめくることによって生じる一対の切れ目が外側へ広がることを規制するものはない。このため、開口が所望の幅よりも大きくなってしまう可能性がある。開口の幅が過度に広くなると開口から食品が落下したり、包装材を介して食品を手掴みしにくくなったりするなどの不都合が起こるため、改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明の主たる目的は、開封によって包装材に形成される帯状の開口の幅を一定にすることができる包装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の包装材は、被包装物を包囲可能で、所定箇所に開封開始領域が設定されたシート本体と、前記シート本体に設けられ、少なくとも前記開封開始領域から開封方向に延在する複数のカットテープと、前記開封開始領域に形成されたノッチと、前記ノッチが形成されることにより、前記開封開始領域における前記ノッチの前記開封方向の側に形成される開封片と、前記ノッチを覆って前記シート本体に配置される保護シートと、を備える包装材であって、前記複数のカットテープのそれぞれは、前記開封方向に沿った直線カット性を有し、前記複数のカットテープは、少なくとも、前記開封方向に直交する開封交差方向の最も一端側に配置される第1のカットテープと、最も他端側に配置される第2のカットテープと、を含み、前記ノッチは、前記第1のカットテープから前記第2のカットテープにわたって配置され、前記ノッチの一端は、前記第1のカットテープの幅内に配置され、前記ノッチの他端は、前記第2のカットテープの幅内に配置されている。
【0008】
(2)(1)において、前記開封方向に延在する一対の帯状シート部が、前記シート本体の、前記第1のカットテープ及び前記第2のカットテープにおける前記開封交差方向の外側に配置されていることが好ましい。
【0009】
(3)本発明の包装袋は、(1)または(2)の包装材の前記シート本体が袋状に形成された袋体を含み、当該袋体の内部に被包装物が収容されるものである。
【0010】
(4)(3)において、前記シート本体が折り込まれて前記袋体が立体形状に形成されてもよい。
【0011】
(5)本発明の包装材原反ロールは、(2)の包装材が、前記帯状シート部の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反が、ロール状に巻かれているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、開封によって包装材に形成される帯状の開口の幅を一定にすることができる包装材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図4】実施形態に係る包装材に設定される開封開始領域及びその周辺を示す平面拡大図である。
【
図5】実施形態に係る包装材で食品を包装した状態を示す斜視図である。
【
図6】実施形態に係る包装材を開封している状態を示す斜視図である。
【
図7】実施形態に係る包装材を加工して得た包装袋の一例を示す斜視図である。
【
図8】実施形態に係る包装材原反ロールを示す斜視図である。
【
図9】実施形態に係る包装材の製造方法を実施する製造ラインの一例を模式的に示す側面図である。
【
図10】実施形態の第1変形例に係るノッチを示す包装材の一部拡大平面図である。
【
図11】実施形態の第2変形例に係るノッチ及びカットテープを示す包装材の一部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0015】
(包装材)
図1は、実施形態に係る包装材1をシート本体10の外面10b側から見た平面図、
図2は、包装材1の斜視図、
図3は、包装材1の分解斜視図である。
図4は、包装材1に設定される開封開始領域15及びその周辺を示す拡大図である。
図5は、包装材1で食品5を包装した状態を示す斜視図、
図6は、包装材1を開封している状態を示す斜視図である。
【0016】
包装材1は、例えば
図5に示すように、後述する突き上げ包装によって被包装物としての直方体形状の食品5を包装する。
【0017】
図1~
図3に示すように、実施形態に係る包装材1は、包装材1の主体をなすシート本体10と、保護シート30と、複数のカットテープ40と、帯状シート部50と、を備える。なお、
図1~
図4においては、包装材1及びシート本体10の長さ方向をLで示し、幅方向をWで示している。以下においてシート本体10の長さ方向及び幅方向は、それぞれ
図1~
図3のL及びWで示す方向をいう。なお、幅方向Wを左右方向という場合がある。その場合の左右方向は、
図1においての左右方向である。
図1に示すように、包装材1は、幅方向中央を通る中心線Pを対称線として左右対称の構成を有する。
【0018】
図1~
図3に示すように、シート本体10は、長さ方向及び幅方向を有する長方形形状に形成された樹脂フィルムである。シート本体10は、被包装物と対面する内面10aと、内面10aと反対側の外面10bと、を有する。また、シート本体10は、四辺の各端縁10e1、10e2、10e3、10e4を含む端縁10eを有する。以下では、
図1に基づき、これら端縁を、上側端縁10e1、下側端縁10e2、左側端縁10e3、右側端縁10e4と称する。シート本体10は、被包装物の全面を包囲可能な形状及び大きさを有する。
【0019】
シート本体10の幅方向中央部、かつ、長さ方向の一端側である上側端縁10e1側の所定箇所には、開封開始領域15が設定されている。シート本体10は、開封開始領域15から下側端縁10e2側に向かう開封方向(
図1~
図6において矢印Mで示す)に沿って引き裂かれ、開封される。開封方向は、シート本体10の長さ方向に沿っている。
【0020】
開封開始領域15には、ノッチ11が形成されている。ノッチ11は、外面10bから内面10aに貫通する切り込み線である。
図1及び
図4に示すように、ノッチ11は、偏平な逆U字状に形成されており、第1のカットテープ41から第2のカットテープ42にわたって配置されている。
【0021】
ノッチ11は、シート本体10の幅方向に延びる交差部11aと、交差部11aに連続してノッチ11における左側端縁10e3側の一端を構成する第1のガイド部11bと、交差部11aに連続してノッチ11における右側端縁10e4側の他端を構成する第2のガイド部11cと、を含む。第1のガイド部11bは、交差部11aの一端から下側端縁10e2側に屈曲してシート本体10の長さ方向に延びている。第2のガイド部11cは、交差部11aの他端から下側端縁10e2側に屈曲してシート本体10の長さ方向に延びている。ノッチ11は、シート本体10の端縁10e、すなわち上側端縁10e1、下側端縁10e2、左側端縁10e3、右側端縁10e4のいずれにも開放していない。
【0022】
ノッチ11が形成されることにより、このノッチ11の開封方向側には、開封片20が形成されている。開封片20は、開封開始領域15内に配置されている。この開封片20は、シート本体10におけるノッチ11で囲まれる部分であって、シート本体10の一部を、開封方向側に向けて外面10b側にめくることができるようにした部分である。開封片20が外面10b側にめくられると、ノッチ11の第1のガイド部11b及び第2のガイド部11cを起点として、シート本体10が開封方向に切り裂かれることが可能なようになっている。
【0023】
なお、ノッチ11は、線状にカットされた連続する切り込み線の他に、一部にカットされていない非カット部分を有する不連続線状の切り込み線であってもよい。例えば、カット部分及び非カット部分の長さが1mm以上で交互に連続する切り込み線(ミシン目と呼ばれる場合がある)や、カット部分及び非カット部分の長さがさらに短く、例えば0.9mm以下で交互に連続する切り込み線(マイクロジョイントと呼ばれる場合がある)、あるいは、途中の少なくとも1ヶ所に非カット部分がある切り込み線(ジョイントと呼ばれる場合がある)であってもよい。
【0024】
実施形態のカットテープ40は、2本の帯状のカットテープ、すなわち第1のカットテープ41と、第2のカットテープ42と、を含んでいる。第1のカットテープ41の幅と、第2のカットテープ42の幅は、互いに同じである。開封開始領域15の幅方向の一端側(
図1において左側)を第1のカットテープ41が通過しており、開封開始領域15の幅方向の他端側(
図1において右側の端部)を第2のカットテープ42が通過している。第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、シート本体10の長さ方向と平行であり、シート本体10の長さ方向の全長にわたって延在している。したがって第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、互いに平行な状態で、開封方向に直交する開封交差方向に互いに離間している。
【0025】
実施形態では、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、シート本体10の内面10aに配置されている。第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段でシート本体10の内面10aに貼着されている。
【0026】
第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、一方向への直線カット性を有しており、その一方向は、自身の長さ方向、すなわち包装材1の開封方向である。一方向への直線カット性を有する(方向性を有するともいう)とは、当該の直線方向に切り裂く際に、その方向に沿って直線的にストレスなく切り裂くことができるとともに、切り裂き方向に交差する方向には比較的容易には切り裂きにくい性質を有することをいう。したがって第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、開封方向に直線的に容易に切り裂くことができる。
【0027】
第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42には、上述した直線カット性を有し、かつ、可撓性を有する方向性フィルムが用いられる。そのような方向性フィルムとしては、例えば、一軸延伸熱可塑性合成樹脂フィルムや、一方向に比較して他方向の配向性が極めて大きい二軸延伸熱可塑性合成樹脂フィルム等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリプロピレン系フィルム等が挙げられる。
【0028】
図4に示すように、ノッチ11の第1のガイド部11bは、第1のカットテープ41の幅内に配置されている。第1のガイド部11bは、第1のカットテープ41の幅方向のほぼ真ん中に配置されて、開封方向に延びている。また、ノッチ11の第2のガイド部11cは、第2のカットテープ42の幅内に配置されている。第2のガイド部11cは、第2のカットテープ42の幅方向のほぼ真ん中に配置されて、開封方向に延びている。
【0029】
なお、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、シート本体10の外面10bに配置されてもよく、内面10aと及び外面10bの双方にシート本体10を挟んで配置されてもよい。
【0030】
保護シート30は、シート本体10の幅方向に長い長方形状のフィルムである。保護シート30は、その一部が、シート本体10の外面10bに接着されている。開封片20は、保護シート30を介して外面10b側にめくられる。なお、実施形態の保護シート30の形状は長方形状であるが、保護シート30の形状はこれに限定されず、例えば、正方形、円形状、楕円形状等であってもよく、この他には、被包装物の形状に近似した形状であってもよい。
【0031】
保護シート30は、保護部31と、摘まみ部32と、を含む。保護部31は、開封片20を含む外面10bに接着されており、ノッチ11を覆っている。保護部31は、開封片20の全領域と、開封片20の周囲部分とに、接着剤やヒートシール等の手段によって接合されている。保護部31は、その全領域が外面10bに接着されており、この保護部31により、ノッチ11が塞がれている。したがって、ノッチ11は保護部31により外部から隔てられている。摘まみ部32は、保護部31から上側端縁10e1側に連続する矩形形状のフィルム片である。この摘まみ部32は外面10bに接着されておらず、手指で摘まんで外面10bから離間するようにめくることが可能となっている。外面10bに対する保護部31の接着領域は、開封開始領域15にほぼ等しい。なお、保護シート30は、シート本体10の内面10aの側に配置されていてもよい。その場合、保護部31がノッチ11を覆って内面10aに接着される。
【0032】
保護シート30は、めくった摘まみ部32を保護部31側(開封方向側)に強く引っ張ると、ノッチ11よりも摘まみ部32側の保護部31の部分が、外面10bから剥離する。引き続き保護シート30を引っ張ると、開封片20が保護部31に接着したまま保護シート30に追従してめくられ、次いで、
図6に示すように、ノッチ11の第1のガイド部11bの延長線上に第1の切れ目12aが生じ、ノッチ11の第2のガイド部11cの延長線上に第2の切れ目12bが生じる。これにより、シート本体10が長さ方向に沿って部分的に引き裂かれ、包装材1が開封される。開封の作用については後で詳述する。
【0033】
図1~
図3に示すように、シート本体10の内面10aには、シート本体10の長さ方向に延びる左右一対の帯状シート部50が配置されている。帯状シート部50は、カットテープ40の幅方向両側に配置されている。帯状シート部50は、第1の帯状シート部51と、第2の帯状シート部52と、を含む。第1の帯状シート部51は、第1のカットテープ41と左側端縁10e3との間に配置されている。第2の帯状シート部52は、第2のカットテープ42と右側端縁10e4との間に配置されている。これら帯状シート部51、52は、カットテープ40と略平行である。各帯状シート部51、52は、シート本体10の内面10aに、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段で貼着される。
【0034】
なお、第1の帯状シート部51及び第2の帯状シート部52は、シート本体10の外面10bに配置されてもよく、内面10aと及び外面10bの双方にシート本体10を挟んで配置されてもよい。
【0035】
シート本体10、保護シート30、及び各帯状シート部51、52は、可撓性を有する透明もしくは半透明の合成樹脂製フィルムで構成される。当該樹脂フィルムは、ヒートシールを容易とする点で、熱溶着性を有すると好ましい。当該樹脂フィルムとしては、単層あるいは多層の合成樹脂フィルムが用いられる。単層の場合は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂フィルムである。多層の場合は、例えば、湿気を遮断するバリア層となるPVDC(ポリ塩化ビニリデン)コートを含んだポリプロピレン等の合成樹脂フィルムが使用でき、具体的には、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無延伸ポリプロピレン)等が好適に使用される。
【0036】
第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、上述したように可撓性を有し、かつ、自身の長さ方向に沿った直線カット性を有する方向性フィルムが用いられる。第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、透明もしくは半透明のフィルムであってよい。シート本体10、保護シート30、及び各帯状シート部51、52は、直線カット性を有さない樹脂製フィルムが用いられてよい。なお、シート本体10、保護シート30及び各帯状シート部51、52のうちの少なくとも1つは、紙、不織布等の、上記樹脂製フィルム以外の材料であってもよい。
【0037】
シート本体10、保護シート30第1のカットテープ41、第2のカットテープ42及び各帯状シート部51、52を形成する樹脂フィルムの厚みは、同じであってよい。ただし、保護シート30は、開封の際に手指で摘まむ摘まみ部32がちぎれないようにする点から、比較的厚みが大きくコシがあるものが用いられることが望ましい。また、シート本体10は、包装状態が保持される厚みを有し、かつ、開封の際には容易に引き裂かれる厚みを有することが望ましい。
【0038】
包装材1は、例えば
図5に示すように、被包装物としての直方体状の食品5を内面10aの略中央に押し当て、包装材1を食品5の外形形状に沿って変形させて包み込む、いわゆる突き上げ包装によって、当該食品5を包装する。食品5を包装した包装材1は、
図5では見えない食品5の裏面側において折り込まれて食品5を外部から封鎖し、テープ等を貼って包装状態が保持される。あるいは、包装材1の裏面側に折り込まれた部分をヒートシールにより接着し、包装状態を保持してもよい。食品5を包装した包装材1は、シート本体10の長さ方向が食品5の長さ方向と略平行な状態となり、表面側の中央やや長さ方向一端側に、ノッチ11及び保護シート30が配置される。
【0039】
包装材1を開封する際の作用を説明する。保護シート30の摘まみ部32を手指で摘まんで外面10b側にめくり、開封方向である保護部31側に引っ張ると、保護部31におけるノッチ11よりも摘まみ部32側の部分が外面10bから剥離する。引き続き摘まみ部32を開封方向に引っ張ると、ノッチ11の交差部11aを起点として、保護部31に接着して重なっている開封片20が保護部31に追従して外面10b側にめくられる。さらに摘まみ部32を開封方向に引っ張ると、
図6に示すように、シート本体10の、ノッチ11の第1のガイド部11bの延長線上に第1の切れ目12aが生じるとともに、ノッチ11の第2のガイド部11cの延長線上に第2の切れ目12bが生じる。これにより、開封片20に連続する帯状の切断片21がめくられていく。切断片21は、シート本体10の一部である。
【0040】
このように切断片21がめくられていくと、第1の切れ目12aと第2の切れ目12bとの間に、長さ方向に延びる帯状の開口13が形成される。開口13により包装材1は左右に分割され、食品5を手掴みした状態で、開口13から食品5を食することができる。あるいは、開口13から食品5を取り出すことができる。切断片21は引きちぎって包装材1から切り離してもよいし、残してもよい。
【0041】
上述したようにして包装材1が開封される際において、第1の切れ目12aは、第1のカットテープ41の幅方向のほぼ真ん中に形成される。また、第2の切れ目12bは、第2のカットテープ42の幅方向のほぼ真ん中に形成される。ここで、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42は、いずれも開封方向に沿った直線カット性を有している。このため、第1の切れ目12aは、第1のカットテープ41の直線カット性に導かれて幅方向のほぼ真ん中を開封方向に沿って真っ直ぐ進展する。また、第2の切れ目12bは、第2のカットテープ42の直線カット性に導かれて幅方向のほぼ真ん中を開封方向に沿って真っ直ぐ進展する。このため、第1の切れ目12a及び第2の切れ目12bは、いずれも内側あるいは外側に進路が変更することが抑えられる。その結果、開封によって包装材1に形成される帯状の開口13は、幅がほぼ一定になる。そして、開口13の幅が広がったり、あるいは第1の切れ目12a及び第2の切れ目12bが互いに合流して開口13が消滅したりすることも起こりにくい。
【0042】
第1のカットテープ41は第1の切れ目12aにより幅方向に2分割され、分割された幅方向内側の部分は切断片21の内面に接着したまま引き裂かれ、分割された幅方向外側の部分は食品5を包装しているシート本体10側の内面10aに残る。第2のカットテープ42は第2の切れ目12bにより幅方向に2分割され、分割された幅方向内側の部分は切断片21の内面に接着したまま引き裂かれ、分割された幅方向外側の部分は食品5を包装しているシート本体10側の内面10aに残る。
【0043】
(包装袋)
実施形態に係る包装材1による包装形態は、
図5に示した突き上げ包装に限られない。例えば、
図7に示すように、シート本体10の幅方向両端部を互いに貼り合わせて背貼り部14aを形成するとともに、長さ方向他端側(
図6で下端側)の互いに対向する端部どうしを貼り合わせて底部シール部14bを形成することで、開口部14cを残したいわゆる合掌包装の形態に折り込んだ包装袋14を得ることができる。この包装袋14は、長方形状の袋体14dを含む。この包装袋14は、いわゆるピロー包装袋の形態を有する。包装袋14には、例えば、おにぎり、サンドイッチ、調理パン、ハンバーガー等の塊状の食品や、液体状、粉状、粒状等の被包装物を収容して包装することができる。被包装物を収容した後に、開口部14cを気密的にシールして密閉する。
【0044】
なお、包装袋14としては、シート本体10をさらに適宜に折り込んで袋体14dを立体形状に形成したものであってもよい。この場合の立体形状は、立方体形状、直方体形状の他に、三角柱状、あるいは円柱状等の形状を有する立体形状も含む。
【0045】
このように、包装材1から包装袋14を形成する場合、この包装袋14を多数製造し、供給先において包装袋14に任意の被包装物を収容して密閉することができる。
【0046】
(包装材原反ロール)
実施形態に係る包装材1は、
図8に示す実施形態に係る包装材原反ロール1Rから、多数を連続的に得ることができる。
【0047】
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、多数の包装材1が長さ方向に沿って連続するように一体化された長尺な包装材原反1Gが、ロール状に巻かれたものである。包装材原反ロール1Rに設けられる切断境界1cを切断することにより、多数の包装材1を順次得ることができる。
【0048】
包装材原反1Gは、樹脂フィルムからなる長尺帯状のシート本体原反10Gを主体とする。シート本体原反10Gには、1枚1枚のシート本体10となる多数のシート本体部10Aを区画する切断境界1cが設けられる。シート本体部10Aの1つ1つに、ノッチ11及び開封片20がそれぞれ設けられているとともに、ノッチ11を塞ぐ保護シート30が、外面10bに設定される側の面にそれぞれ接着されている。保護シート30は、保護部31がシート本体原反10Gに接着剤により剥離可能に接着される。
【0049】
包装材原反ロール1Rにおいて、保護シート30は、シート本体原反10Gに接着されない摘まみ部32がロール巻き元側に配置され、シート本体原反10Gに接着される保護部31がロール巻き出し側に配置される。
【0050】
また、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42、及び第1の帯状シート部51及び第2の帯状シート部52となるそれぞれの原反、すなわち第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42G、及び第1の帯状シート部原反51G及び第2の帯状シート部原反52Gのそれぞれが、内面10aに設定される側の面にそれぞれ貼着されている。第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42Gのそれぞれは、自身の長さ方向に沿った直線カット性を有している。包装材原反ロール1Rは、保護シート30が貼着される外面10bが外周面の側に配置されるようにロール状に巻かれる。したがって、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gは、内周面の側に配置される。
【0051】
包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出しつつ、切断境界1cを順次切断していくことにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。また、包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出すときには、保護シート30はシート本体原反10Gに接着されている保護部31から先に巻き出され、接着されていない摘まみ部32は後から出てくる。このため、保護シート30の摘まみ部32がめくれたり折れて重なったりするおそれが生じず、巻き出しが円滑に行われる。また、保護シート30が比較的厚みが大きく、摘まみ部32にコシがあると、包装材原反ロール1Rの巻き取り時に摘まみ部32が折れることなく、円滑に巻くことができる。
【0052】
(包装材原反ロールの製造方法)
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、例えば
図9に示す製造ライン60により製造される。
【0053】
図9に示す製造ライン60は、シート本体原反ロール10Rからシート本体原反10GがH方向に巻き出されて搬送される。シート本体原反ロール10Rから巻き出された直後のシート本体原反10Gの外周面側に、カットテープ原反ロール40Rから巻き出された第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42Gと、帯状シート部原反ロール50Rから巻き出された第1の帯状シート部原反51G及び第2の帯状シート部原反52Gとが、所定箇所にそれぞれ重ねられる。次に、シール部61で、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが、シート本体原反10Gに貼着される。シール部61は、超音波シールやヒートシール等の貼着手段を有するが、貼着された部分及びその周辺に皺が生じにくい点で、超音波シールが好ましい。
【0054】
次に、ノッチ形成部62で、シート本体原反10Gにノッチ11が形成される。ノッチ11は、ノッチ11の形状を有する図示しないカッターでシート本体原反10G、第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42Gを打ち抜くことにより形成される。ノッチ11は、上述した切断境界1cによってシート本体原反10Gに区画される1つ1つの包装材1の開封開始領域15に、間欠的に形成される。
【0055】
次に、保護シート貼着部63で、シート本体原反10Gの、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが貼着された側とは反対側の面に、保護シート30が接着される。保護シート30は、保護シート30が一定間隔おきに台紙に貼られている保護シート原反ロール30Rから、1枚1枚剥離されて、各シート本体部10Aの開封開始領域15に間欠的に接着される。
【0056】
以上のようにして、シート本体原反10Gに、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが貼着されるとともに、開封開始領域15にノッチ11が形成され、開封開始領域15に保護シート30が接着された
図8に示す包装材原反1Gが製造される。そして、この包装材原反1Gが巻き取られて包装材原反ロール1Rが得られる。この包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出し、シート本体部10Aを切断境界1cで切断することにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。
【0057】
以上のようにして、シート本体原反10Gに、各カットテープ原反41G、42G及び各帯状シート部原反51G、52Gが貼着されるとともに、開封開始領域15にノッチ11が形成され、開封開始領域15に保護シート30が接着された
図8に示す包装材原反1Gが製造される。そして、この包装材原反1Gが巻き取られて包装材原反ロール1Rが得られる。この包装材原反ロール1Rから包装材原反1Gを巻き出し、シート本体部10Aを切断境界1cで切断することにより、包装材1を1枚ずつ得ることができる。
【0058】
実施形態に係る包装材原反1Gは、幅方向両端部近傍のそれぞれの位置に、長さ方向に延びる第1の帯状シート部原反51G及び第2の帯状シート部原反52Gが貼着されている。これにより、第1のカットテープ原反41G及び第2のカットテープ原反42Gや、保護シート30によって幅方向中央部の厚みが大きくなる厚みの偏りが抑えられ、幅方向の厚みを全体的に均一化させることができる。その結果、包装材原反1Gを巻き取って包装材原反ロール1Rを得る場合に、厚みの偏りによるヨレが生じて巻き取り不良が起こることが抑えられる。
【0059】
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0060】
実施形態に係る包装材1は、被包装物としての食品5を包囲可能で、所定箇所に開封開始領域15が設定されたシート本体10と、シート本体10に設けられ、少なくとも開封開始領域15から開封方向に延在する複数のカットテープ40と、開封開始領域15に形成されたノッチ11と、ノッチ11が形成されることにより、開封開始領域15におけるノッチ11の開封方向の側に形成される開封片20と、ノッチ11を覆ってシート本体10に配置される保護シート30と、を備えており、複数のカットテープ40のそれぞれは、開封方向に沿った直線カット性を有し、複数のカットテープ40は、少なくとも、開封方向に直交する開封交差方向の最も一端側に配置される第1のカットテープ41と、最も他端側に配置される第2のカットテープ42と、を含み、ノッチ11は、第1のカットテープ41から第2のカットテープ42にわたって配置され、ノッチ11の一端を構成する第1のガイド部11bは、第1のカットテープ41の幅内に配置され、ノッチ11の他端を構成する第2のガイド部11cは、第2のカットテープ42の幅内に配置されている。
【0061】
実施形態に係る包装材1によれば、シート本体10の外面10b側にめくった開封片20を摘まんで開封方向に引っ張ることにより、シート本体10が引き裂かれ、帯状の開口13が形成されて開封される。開口13は、ノッチ11の第1のガイド部11bから開封方向に延長して形成される第1の切れ目12aと、ノッチ11の第2のガイド部11cから開封方向に延長して形成される第2の切れ目12bとの間に帯状に形成される。第1のガイド部11bが配置された第1のカットテープ41、及び第2のガイド部11cが配置された第2のカットテープ42は、いずれも開封方向に沿った直線カット性を有しているため、第1の切れ目12a及び第2の切れ目12bのそれぞれは、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐ進展する。これにより、包装材1に形成される帯状の開口13を、幅が広がったり消滅したりすることなく、一定の幅に形成することができる。
【0062】
ノッチ11の両端に、開封方向に延びる第1のガイド部11b及び第2のガイド部11cが形成されているため、これらガイド部11b、11cに導かれることにより第1の切れ目12a及び第2の切れ目12bは開封方向に円滑に形成される。
【0063】
直線カット性を有する方向性フィルムは、非方向性フィルムと比較すると高価である。したがって、カットテープ40以外のフィルム(シート本体10、保護シート30、帯状シート部50)に非方向性フィルムを用い、カットテープ40のみに方向性フィルムを用いれば、材料費を削減でき、製造コストを抑えることができる。また、カットテープ40は、2本のカットテープ、すなわち第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42を有しており、開封時にこれらカットテープ41、42に沿って形成される第1の切れ目12a及び第2の切れ目12bは、各カットテープ41、42が細くても、各カットテープ41、42からはみ出すことなく真っ直ぐに形成される。このため、各カットテープ41、42の幅を細くすることによっても、材料費を削減でき、製造コストを抑えることができる。
【0064】
実施形態に係る包装材1においては、開封方向に延在する一対の帯状シート部51A、51Bが、シート本体10の、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42における開封交差方向の外側に配置されていることが好ましい。
【0065】
これにより、包装材1の幅方向の全体的な厚みに偏りが生じることを抑えることができる。このため、包装材1の原反(上記包装材原反1G)をロール状に巻き取った場合、厚みの偏りによる巻き取り不良を抑えることができる。
【0066】
実施形態に係る包装袋14は、包装材1のシート本体10が袋状に形成された袋体14dを含み、袋体14dの内部に被包装物が収容される。
【0067】
これにより、包装材1をそのままの状態で突き上げ包装により被包装物を包装できることに加え、包装材1を包装袋14に加工し、その包装袋14に、液体状、粉状、粒状等の多様な形態の被包装物を収容して包装することができる。
【0068】
実施形態に係る包装袋14は、シート本体10が折り込まれて袋体14dが立方体形状に形成される形態を含む。
【0069】
これにより、シート本体10の折り込み方に応じて、袋体14dを多様な形状とすることができる。
【0070】
実施形態に係る包装材原反ロール1Rは、包装材1が、第1の帯状シート部51及び第2の帯状シート部52の延在する方向に連続するように一体化された包装材原反1Gが、ロール状に巻かれている。
【0071】
これにより、包装材原反1Gから複数の包装材1を切り出すことにより、複数の包装材1を容易に製造することができる。また、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の開封方向外側において第1の帯状シート部51及び第2の帯状シート部52が延在することにより、上述した包装材原反1Gの製造時において、包装材1の原反である包装材原反1Gをロール状に巻き取って包装材原反ロール1Rとする際、厚みの偏りによる巻き取り不良を抑えることができる。
【0072】
次に、
図10及び
図11を参照して、上記実施形態の一部を変形した第1変形例及び第2変形例を説明する。
図10及び
図11において上記実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0073】
(第1変形例)
図10は、第1変形例に係るノッチ71を備えた包装材の一部拡大平面図である。第1変形例では、ノッチ71は、複数(この場合、5つ)の同形状及び同寸法のノッチ部71aを含んでいる。ノッチ部71aは、シート本体10の外面10bから内面10aに貫通する切り込み線である。ノッチ部71aは、開封方向の上流側(
図10で上側)に緩やかに凸となる左右対称の円弧状の形状を有している。なお、複数のノッチ部の組み合わせでノッチが構成される場合、それらノッチ部は同形状及び同寸法に限定はされず、それぞれのノッチ部が異なる形状や異なる寸法の組み合わせでノッチが構成されてもよい。
【0074】
5つのノッチ部71aは、
図10に示すように、平面視した場合、シート本体10の長さ方向の一端側と他端側とに交互にずれながら、シート本体10の幅方向の一端側から他端側に並んだ千鳥状、かつ、左右対称に配置されている。この場合、3つのノッチ部71aが開封方向の上流側に配置され、2つのノッチ部71aが開封方向の下流側(
図10で下側)に配置されている。開封方向(シート本体10の長さ方向)に互いにずれた状態で幅方向に隣接する一対のノッチ部71aどうしは、開封方向で見た場合において互いに重なる部分を有している。各ノッチ部71aの開封方向下流側の山状の形状を有する部分のそれぞれが、開封片75となっている。
【0075】
図10で最も左側の、左側端縁10e3に最も近い左端ノッチ部71bの一端である左端72aは、第1のカットテープ41の幅内に配置されている。
図10で最も右側の、右側端縁10e4に最も近い右端ノッチ部71cの他端である右端72bは、第2のカットテープ42の幅内に配置されている。
【0076】
第1変形例によれば、摘まみ部32を摘まんで保護シート30を開封方向に引っ張ると、開封方向上流側の3つのノッチ部71aに対応する各開封片75が外面10b側にめくられ、これら3つのノッチ部71aの両端から、開封方向に切れ目が生じる。左端ノッチ部71bの左端72aからは、第1のカットテープ41に沿って進展する第1の切れ目12aが生じ、右端ノッチ部71cの右端72bからは、第2のカットテープ42に沿って進展する第2の切れ目12bが生じる。これら幅方向両端の第1の切れ目12a及び第2の切れ目12b以外の切れ目12gは、開封方向下流側のいずれかのノッチ部71aに到達する。すると、5つのノッチ部71aは、それら切れ目12gを介して連続する。この状態から、さらに保護シート30が開封方向に引っ張られると、各開封片75が1つのまとまった開封片となってめくられ、シート本体10が引き裂かれていく。これにより、第1のカットテープ41の中を開封方向に沿って進展する第1の切れ目12aと、第2のカットテープ42の中を開封方向に沿って進展する第2の切れ目12bとの間に、帯状の開口が形成されて包装材1が開封される。
【0077】
第1変形例によっても、第1の切れ目12aは第1のカットテープ41の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐ進展し、第2の切れ目12bは第2のカットテープ42の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐに進展する。これにより、第1の切れ目12aと第2の切れ目12bとの間に形成される開口の幅は、ほぼ一定になる。
【0078】
(第2変形例)
図11は、第2変形例に係るノッチ11及びカットテープ40を備えた包装材の一部拡大平面図である。第2変形例のカットテープ40は、上記実施形態の第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42に加え、第3のカットテープ43を含んでいる。第3のカットテープ43は、第1のカットテープ41と第2のカットテープ42との間に配置されている。
【0079】
開封方向に直交する開封交差方向において、第1のカットテープ41は最も一端側(
図11の左側)に配置され、第2のカットテープ42は最も他端側(
図11の右側)に配置されている。第3のカットテープ43は、開封方向に沿って延在しており、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42と平行である。第3のカットテープ43の幅は、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の幅よりも大きい。
【0080】
第3のカットテープ43は、シート本体10の中心線Pと、第2のカットテープ42との間に配置されている。したがって、第1のカットテープ41と第3のカットテープ43との間の幅方向の離間距離は、第2のカットテープ42と第3のカットテープ43との間の幅方向の離間距離よりも大きい。
【0081】
第3のカットテープ43は、超音波シール、ヒートシールあるいは接着剤塗布等の手段でシート本体10の内面10aに貼着されている。なお、第3のカットテープ43は、シート本体10の外面10bに配置されてもよく、内面10aと及び外面10bの双方にシート本体10を挟んで配置されてもよい。
【0082】
第2変形例のノッチ11は、上記実施形態のノッチ11に、第3のガイド部11dが追加された構成を有する。第3のガイド部11dは、交差部11aに連続する切り込み線であって、交差部11aから開封方向に沿って延びている。この第3のガイド部11dは、第3のカットテープ43の幅内に配置されている。第3のガイド部11dは、第3のカットテープ43の幅方向のほぼ真ん中に配置されている。第2変形例の開封片20は、第3のガイド部11dを境にして、第1のカットテープ41側の第1の開封片20aと、第2のカットテープ42側の第2の開封片20bとに分離している。
【0083】
第2変形例の保護シート30には、第3のガイド部11dに連続して開封方向に延びるミシン目35が形成されている。ミシン目35は、保護部31側に形成された保護部側ミシン目35aと、摘まみ部32側に形成された摘まみ部側ミシン目35bと、を含む。第2変形例の保護シート30の摘まみ部32は、摘まみ部側ミシン目35bを境にして、第1のカットテープ41側の第1の摘まみ部32aと、第2のカットテープ42側の第2の摘まみ部32bと、を含む。摘まみ部側ミシン目35bを引き裂くことにより、摘まみ部32を、第1の摘まみ部32aと第2の摘まみ部32bとに分離させることができるようになっている。
【0084】
第2変形例によれば、分離させた第1の摘まみ部32aを摘まんで開封方向に引っ張ることにより、第1の開封片20aがめくれ、ノッチ11の第1のガイド部11bから生じる第1の切れ目12aが第1のカットテープ41の中を開封方向に沿って進展する。また、これとともに、ノッチ11の第3のガイド部11dから開封方向に第3の切れ目12cが生じ、この第3の切れ目12cが、第3のカットテープ43の中を開封方向に沿って進展する。第3の切れ目12cが保護部31を通るとき、保護部側ミシン目35aも追従して開封方向に引き裂かれる。すなわち、シート本体10と保護部31とが同時に引き裂かれる。これにより、第1の切れ目12aと第3の切れ目12cとの間に、帯状の開口(第1の開口という)が形成されて包装材1が開封される。第1の切れ目12aは第1のカットテープ41の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐに進展し、第3の切れ目12cは第3のカットテープ43の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐに進展する。これにより、第1の開口の幅は、ほぼ一定になる。
【0085】
一方、分離させた第2の摘まみ部32bを摘まんで開封方向に引っ張ると、第2の開封片20bがめくれ、ノッチ11の第2のガイド部11cから生じる第2の切れ目12bが第2のカットテープ42の中を開封方向に沿って進展する。また、これとともに、ノッチ11の第3のガイド部11dから開封方向に第3の切れ目12cが生じ、この第3の切れ目12cが、第3のカットテープ43の中を開封方向に沿って進展する。第3の切れ目12cが保護部31を通るとき、保護部側ミシン目35aも追従して開封方向に引き裂かれる。すなわち、シート本体10と保護部31とが同時に引き裂かれる。これにより、第2の切れ目12bと第3の切れ目12cとの間に、帯状の開口(第2の開口という)が形成されて包装材1が開封される。第2の切れ目12bは第2のカットテープ42の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐに進展し、第3の切れ目12cは第3のカットテープ43の直線カット性に導かれて開封方向に真っ直ぐに進展する。これにより、第2の開口の幅も、ほぼ一定になる。
【0086】
第1のカットテープ41と第3のカットテープ43との間の距離は、第2のカットテープ42と第3のカットテープ43との間の距離よりも大きいため、第1の開口の幅は第2の開口の幅よりも大きい。第2変形例では、第1の摘まみ部32a及び第2の摘まみ部32bのいずれか一方を選択することにより、開封時の開口の幅を異ならせることができる。すなわち、開口の幅が異なる2つの開封パターンを選択することができる。
【0087】
なお、第2変形例では、摘まみ部32を第1の摘まみ部32aと第2の摘まみ部32bとに分離はさせず、そのままの状態で開封方向に引っ張ることにより、開封片20全体をめくって開封することができる。その場合には、上述した実施形態と同様に、両側の第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42に沿って第1の切れ目12a及び第2の切れ目12bがそれぞれ形成され、これら切れ目12a、12bの間に幅広の開口が形成されて包装材1が開封される。この開封パターンを含めると、第2変形例では開口の幅が異なる3つの開封パターンを選択することができる。
【0088】
以上、実施形態に係る包装材1及び実施形態を基にした各変形例を説明したが、本発明はこれら実施形態及び変形例に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0089】
例えば、ノッチ11の形状は任意である。例えば、上記実施形態の第1のガイド部11b及び第2のガイド部11cのように両端部が開封方向の側に延びる部分を有さず、開封交差方向に延びる単なる直線の切り込みであって、その両端が、第1のカットテープ41及び第2のカットテープ42の幅内にそれぞれ配置された態様でもよい。また、シート本体10が、開封方向に沿った直線カット性を有する方向性フィルムで構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 包装材
1G 包装材原反
1R 包装材原反ロール
5 食品(被包装物)
10 シート本体
10a シート本体の内面
10b シート本体の外面
10e シート本体の端縁
11、71 ノッチ
14 包装袋
14d 袋体
15 開封開始領域
20、75 開封片
30 保護シート
40 カットテープ
41 第1のカットテープ
42 第2のカットテープ
50 帯状シート部
M 開封方向